動機とアリバイ(Q.E.D. 証明終了)

登録日:2021/01/21 (木曜日) 10:42:12
更新日:2021/01/21 Thu 19:07:30
所要時間:約 ? 分で読めます





可奈 それはアリバイじゃない
アリバイは自分で証言するもんじゃない
他人が証言するもんだ


「動機とアリバイ」とは、Q.E.D. 証明終了のエピソードの一つ。単行本第29巻に収録。同時収録作は「エレファント」。
以下、ネタバレにご注意ください。



【ストーリー】
燈馬達の学校の美術教師である青則巻雄の美大時代の恩師・黒豆福蔵が自宅で死亡する。
事故、自殺の可能性が低い事から他殺の線が濃厚と警察は判断したが、
事件の夜に黒豆の自宅にいたのは元教え子の緑茶陽三と赤米彬、そして青則だけだった。
当初3人の中で動機が判明していたのは青則だけだったが、水原警部の調査により緑茶にも動機がある事が明らかになる。しかし2人にはアリバイがあった。
一方可奈は3人の証言からアリバイを検証していたが、その結果残る赤米のみアリバイを証明できない時間帯があった。しかし彼には黒豆を殺す動機はない。
動機がある者にはアリバイもあり、アリバイがない者には動機もない。何故このような事が起こったのだろうか。



【事件関係者】
こんな居心地のいいイス
しばらく譲る気はないからな
  • 黒豆福蔵(くろまめ ふくぞう)
被害者。画家。
大物政治家の娘を妻に持つためか政財界に知人が多いが、剽窃(絵の題材の盗作)の疑惑が多く黒い噂が絶えない。
絵の実力がある訳ではなく、いわゆる世渡りの上手さでのし上がったタイプ。
その一方で恐妻家でもあり、政財界に繋がる妻を失う事がないよう浮気や不倫の類はした事がなかったそうだ。
事件の夜は展覧会に入賞した記念に元教え子の3人を自宅に招き会食を催していた。
教え子たちに酒は自由に飲んでいいと言い残して夜8時半に1人先に就寝したが、翌朝寝室のベッドで死亡していたところを発見される。
死因はインシュリンの過剰投与による低血糖症。糖尿病を患っていた彼は普段から注射器で定期的に服用していたが、
健康管理に気を配る性格から誤って過剰に打った可能性は低く、遺書がない事から自殺の可能性も低い。



警察の誤解だ!
私は黒豆先生を殺してなんかいない
なのに あんな犯人みたいな扱い…
  • 青則巻雄(あおのり まきお)
咲坂高校美術教師。
学生時代、恩師である黒豆に絵の題材を横取りされたことでショックを受け、画家の道を諦めて美術教師となった。
その過去を赤米が警察に話してしまったため、動機ありと判断した警察に任意で事情聴取を受けた。そのため、やや警察不信になっている。
事件当日は黒豆が就寝した後は酒を飲みながら居間のテレビでサッカー観戦をするつもりだったらしいが、
緑茶が持ってきたDVDを見るために赤米がテレビを占領してしまったため、仕方なく遊戯室で緑茶と将棋を指す事にした。
ただ緑茶は遊戯室の前に資料室に寄りたかったそうなので、彼が来るまでは1人で詰将棋をしていたらしい。
また理由は不明だが9時10分程に突然入ってきた赤米に「おどかすなよ」と言われている。
ちなみに彼を含め容疑者の3人はいずれも「自分達3人は誰も寝室へと行ってないため、被害者は事故か自殺だ」と主張している。




悪かったよ
青則が盗作されたことしゃべったせいで疑いをかけられたみたいで
  • 赤米彬(あかごめ あきら)
画家。
青則の過去を警察に話したせいで彼が疑われたと後から知って「青則は遊戯室にいたからアリバイがある」と付け加えたらしい。
事件の日は見たかった映画をダビングしたDVDを緑茶が持ってきてくれたため、
折角なのでそのまま居間のサラウンド音響付きのテレビで映画を鑑賞していた。
途中何かをひっくり返すような変な物音が遊戯室の方から聞こえてきたため気になって確認したが、
青則が詰将棋をしていただけで特に変わった事はなかったらしい。
9時半頃に資料室から出てきた緑茶と映画を見ながら少し話し、10時に彼が遊戯室に向かってからはまた1人で映画を見ていた。
11時頃に2人が遊戯室から戻ってきたのでエンドロールの途中だったがそこで視聴を終えて客間で3人揃って就寝したそうだ。
ちなみにDVDはそのまま緑茶から貰ったらしい。
2人と違い唯一10時から11時までのアリバイを証明できない。
しかし彼にとって黒豆は画壇における後ろ盾となるため、わざわざ彼を殺す動機はない。



な!完璧だろ?
先生は事故か自殺で亡くなったんだよ
  • 緑茶陽三(りょくちゃ ようぞう)
画家。
事件の夜は赤米が見たがっていた映画を録画したDVDを彼に渡して居間のテレビで見るよう勧めた。
それが結果としてサッカーを見たがっていた青則を邪魔する事になったため、フォローとして彼を将棋に誘った。
遊戯室に行く前に資料室で絶版になっている貴重な画集をいくつか見ていたのだが、その多くが黒豆の絵の盗作の元になっていた事に呆れ、
9時半で居間に戻り映画を鑑賞中の赤米と少し話して10時に約束を思い出し遊戯室に向かい、そこから11時まで青則と将棋を指していた。
彼にとっても黒豆は強力な後ろ盾のため当初は赤米同様動機がないと思われていた。
しかし水原警部の聞き込みにより、彼の母親は黒豆の元恋人で轢き逃げの罪で3年間服役していた事が判明する。



  • 白駒光代(しらこま みつよ)
黒豆とかつて交際していた女性。故人。
40年前に死亡者の出る轢き逃げを起こしてしまい逃走。その3日後に自首。
3年間の実刑判決を受け、服役中に黒豆とも破局した。
出所後、故郷に戻った彼女は同級生だった男と結婚し、1児を設けた。
ようやく自分の幸せを手にできたのだが、結婚から7年後(現在から30年ほど前)に病でこの世を去った。
彼女の夫も現在では故人だが、夫婦には白駒源太(しらこま げんた)という息子がいたようで、水原警部の捜査でそれが緑茶陽三の本名だと判明した。



かわいそうに
若い娘が無実の罪で3年も刑務所だ
悔しくて忘れられんよ!
  • 山吹病院の院長
轢き逃げの時にむち打ちを起こしていた白駒と、事故当時に同乗して同じくむち打ちになっていたという黒豆を治療した病院の医師。
黒豆死亡事件との関係を調べるために白駒について話を聞きに来た水原警部に「今更来おって」と悪態をつく。
実は事故当時に2人を治療した彼はむち打ちの角度から、実際に運転していたのは白駒ではなく黒豆だと判断していたのだ。*1
警察にも2人が嘘をついていると忠告したのだが、当時の警察は白駒の自供を優先し、彼の忠告は黙殺されてしまったらしい。
それが今でも無念でならないようで、40年前の事にもかかわらず事故当時の事を覚えていたのだ。




へー 放課後に油絵習い始めたんだ
ええ…趣味を広げようと思って

でもさーあんた本当に変わってんね
緑一色で描くなんて…
  • 燈馬想
この漫画の主人公兼ホームズ役。
冒頭では新しい趣味として油彩を始めていたようで放課後に青則から指導を貰っていた(教師の仕事もあるだろうに律義な人だ)。
しかしその絵は緑一色。彼の心の鬱屈具合が見て取れる…訳ではなくこれはれっきとした技法の一つ。
青則曰くこの後に赤を足す事で色に深みが増すんだそうな。
また警察に不信感を持つ青則には「水原警部は理由なく疑う人ではないからちゃんと疑問に答えた方が疑いは晴れる」と説得する。
  • 水原可奈
この漫画のヒロイン兼ワトソン役。
青則自身から聞いたアリバイや人柄の良さを理由に彼の無実を父に力説する。
しかしその父からは「アリバイは自分でなく他人に証言されて初めて意味を持つし、人柄に寄らず犯人は窮地から逃れるために嘘をつくもの」と返されてしまった。
その後は3人の証言を元にアリバイ表を作り、いずれにも犯行は不可能と一度は思うが、
そこで父の言葉を思い出し自分の証言ではなく他人からの証言という観点から再度アリバイを検証し、アリバイがないのは赤米だけだと割り出した。
ところが父も父で娘の言葉を思い出して動機の線から緑茶の犯行と割り出していた。
皮肉にもお互いがお互いの言葉に影響されて違う推理に行き着いてしまっていたのだ。



私の仕事は犯人を捕まえることだ
その相手がお前の学校の先生かどうかは関係ないんだ
  • 水原幸太郎
可奈の父親にして警視庁捜査一課の警部。
人柄を理由に青則の無実を力説する可奈の考えを一蹴する。
それでも娘の言葉が頭に残ってたのか青則以外の2人に動機がないか部下の笹塚と共に聞き込みを続け、遂に白駒源太(緑茶陽三)にたどり着く。
しかしアリバイを検証しないまま関係者一同を集めてしまい、赤米のアリバイがない事を可奈に指摘されてしまう。
燈馬がいたから良かったものの、危うく収拾が着かなくなる所だった事を思うと今回はかなり勇み足だったと言える。




【キーワード】
  • 黒豆邸
黒豆福蔵の自宅。
寝室に向かう渡り廊下の下には川を通しているなどかなりの大豪邸。
緑茶のいた資料室と青則のいた遊戯室は赤米のいた居間を経由しないと出入りが出来ない。
居間の中央に据えられた大型テレビにはサラウンド音響が取り付けられており、
正面のソファに座ればテレビ本体の他、斜め前と斜め後ろに置いたスピーカーからも音が聞こえる。
ちなみにこの時遊戯室は左斜め前、資料室は左斜め後ろ、廊下につながる引き戸は真後ろに当たる。
資料室には絶版になった貴重な画集も多く収蔵されているが、緑茶曰く黒豆の盗作の元だらけらしい。
どうやら彼は盗作とバレないよう、画集が絶版になって知名度が下がった絵を利用していたようだ。


  • 映画のDVD
赤米が見たがっていた映画のDVD。彼に渡すために緑茶がダビングして持ってきた。緑茶はもう既に見たらしい。
内容は断片的にしか描写されてないがサスペンス物のようで、
主人公の女性が斧を持った殺人鬼から逃げながら、はぐれた娘を見つけようと病院内を探し回っているシーンが確認できる。








以上……証明終了です。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2021年01月21日 19:07