ヒーローになりたい(PUI PUI モルカー)

登録日:2021/04/17 Sat 23:00:00
更新日:2021/05/10 Mon 21:24:51
所要時間:約 4 分で読めます




「ヒーローになりたい」とは、アニメPUI PUI モルカー第10話のエピソード。

初心者マーク付きのモルカー、「アビー」が、誰もが憧れるヒーローになることを目指すことから始まるエピソードであり、2分ちょっとの短尺でありながら「ヒーローの本質とは何か?」というテーマを見事に表現している神回と言えるだろう。モルカーは全話神回? おっしゃる通りです。


■あらすじ

初心者マーク付きのモルカー、アビーは今日も真剣な眼差しでトレーニング(サンドバッグへの打ち込み、腕(?)立て伏せ、100gもの重さのダンベル上げなど)に打ち込んでいた。壁に飾られていたのはどこかで見たような衣装を着た雄々しいモルカーのポスター。

そう、アビーはヒーローになりたかったのだ。


そしてついにその日が来た。初心者マークが剥がされ、アビーの持ち主の男性が塗装の準備を始める。

どこかの蝙蝠男が乗ってそうなかっこいい姿のモルカーを想像してウキウキ気分のアビー。

だが、塗装を終えて目を開けたアビーの姿に飛び込んできたのは……














全身真っピンクな上に、モルカーを美少女化したようなアニメキャラ、「魔法天使もるみ」のペイントが施された痛車でした。



いかにもオタクっぽい持ち主が喜ぶ横で、アビーは、理想とはかけ離れた姿になってしまったことに、がっくりとするのであった。







以下ネタバレ注意




その後、いかにもオタクが好きそうな可愛らしいもるみのアニメーションが流れるいかにもオタクが集まりそうな街の、いかにもオタクが行きそうなお店まで持ち主を送り届けるアビー。

その姿を別のモルカーに見られたアビーは、自分の姿がそのモルカーたちだけでなく、たまたま通りかかっただけの人間にまで嘲笑されているという被害妄想に囚われてしまう。*1

耐えきれなくなったアビーは涙を浮かべてその場から逃げ出す。ことの発端の持ち主はアニメストアに置いてけぼりである



自身の恥ずかしい姿を見られたくないのか、ビルとビルの隙間に隠れて嗚咽を漏らすアビー。

そんな彼の耳に、人々の悲鳴が飛び込んでくる。



一匹のちゃんが木から降りれなくなり、救急モルカーやパトモルカーまで出動する騒ぎになっていたのだ。

その光景を見て目を見開くアビー。

もし今ここで自分が飛び出せば、大勢の人々とモルカーたちに、自分の恥ずかしい姿を見られてしまう。それ以前にアビーはモルカーの中でも特に猫が苦手な個体であり、そもそもモルカーは空は飛べないので、何が出来るわけではない。

それでも、今までヒーローを目指してきたアビーの頭によぎった感情は、想像するに難くないだろう。



(助けなければーー。)



その時、不思議なことが起こった。


アビーの体に描かれていたもるみのペイントが意思を持って動き出し、アビーを魔法少女ならぬ魔法モルカーへと変身させたのだ。



まるで天使のような華麗で力強い翼を具現化させたアビーは、そのまま木から落ちそうになった猫ちゃんを救出。

人々は颯爽と現れて事件を解決に導いたアビーに歓声を上げ、救出された猫ちゃんにも擦り寄られる。その場に居合わせたポテトとテディにも称賛され、駆けつけた持ち主にも名前を呼ばれながら抱きしめられ、頭を撫でられる。

そこに、自身の姿に対するコンプレックスに怯えるアビーの姿はどこにもなかった。


ーーアビーはヒーローになるという目標を掲げて、必死に努力をしていた。


アビーはたとえ苦手な猫であっても、命が危なければ救わなければいけないと考える優しさを持っていた。


アビーには、自身の恥ずかしい姿を大衆に見られることよりも、目の前の命を救うために行動するという勇気があった。


そしてなにより、アビーは誰かの力になりたいという意志があった。


ヒーローの本質とは、決して見た目のカッコ良さに宿るものではない。

自らの意思でもって世界を良くしようと行動する心にこそ、ヒーローの本質が宿るのである。



人知れずアビーに力を貸したもるみのペイントは、そのようなことを語りかけるかのように、我々視聴者に向かってウインクするのであった。


■余談

  • 本話の予告が公開された時点では「アビーが自身の意に反した痛車の姿にさせられて涙を流している」とのことで、ファンの間では「やはり人類は愚か」という声も散見されたが、蓋を開けてみれば「どんな姿でもヒーローになれる」というテーマの話であり、「本当に愚かだったのは、『ヒーロー』という概念を見た目だけで判断していた自分たちだったのかもしれない」という反応が見受けられた。

  • アビーが持ち主をアニメストアに送り届けるシーンでは6話でゾンビ化したはずのシロモがかつての姿でしれっと写り込んでおり、話題になった。モルカー世界のゾンビ化は治療が可能な類の疾病なのかもしれない。


追記・修正お願いします。


第9話「すべってサプライズ」
第11話「タイムモルカー」
この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2021年05月10日 21:24

*1 実際に視聴すれば分かるが、このシーン、未就学児向けアニメとは思えないほど生生しく描かれている。