神に贈られし物(ゴルゴ13)

登録日:2021/11/29 (Mon) 07:03:11
更新日:2021/12/08 Wed 02:37:27
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弁護士を呼んでくれ……


漫画『ゴルゴ13』のエピソードの一つ(第115話)。

テレビアニメでは第6話として放送された。



今回はゴルゴには珍しい頭脳戦が中心のミステリーもの。
しかも、今までとは違い「不可能な状況でどう殺すか」ではなく「殺した後にどう逃げ切るか」に重点を置かれた異色作。
今まで無駄に思えた行動が伏線で、最後に回収して大逆転勝利と面白い構想になっている。



あらすじ

大統領指名大会で賑わうスタジアム。厳戒態勢の中、ゴルゴはその標的を銃撃で殺害。
しかし、ゴルゴの存在に気付いたFBI捜査官・ダッチェスはゴルゴの「背後の人間に攻撃する」特性を利用して公務執行妨害で逮捕。その後殺人犯として取り調べを行う。追い詰められたゴルゴは弁護士に助けを求める絶体絶命の危機に陥る。


が、実はゴルゴはこの逮捕すら計算に入っていた。
依頼者曰く、厳戒態勢の中狙撃は困難な上に仮に成功しても逃亡できず逮捕されてしまう「檻の中のけもの」状態になってしまう。
その上で「不可能を可能にする」ゴルゴに依頼したのだ。


果たしてゴルゴはこの包囲網から逃れられるのか?







登場人物

  • ダッチェス
CV:菅生隆之
今回の主役。FBIテロ防止専門家。
ゴルゴの存在にいち早く気付き警戒している。
その巧みな頭脳でゴルゴの考えを読み追い詰めていく。

因みに、ゴルゴを見て「おもちゃを持っても笑えない」「奴には針一本持たせたくない」というシーンがあるが、後に普通の針一本だけで暗殺するエピソードが登場したため本当に笑えないから困る…。


  • トライオン
CV:宇垣秀成
刑事の一人で、ダッチェスの友人の一人。
微力ながら彼もゴルゴ逮捕に協力する。
アニメでは出番が削られる…残念。


  • 刑事二人
CV:三宅健太(トーマス)
一人は「トーマス」という名だがもう一人は不明。
ダッチェスの指示に従い動くが実力は高くなくミスが多い。


  • 警察署長
CV:藤本譲
出番は皆無に近いが、最後のあるセリフが印象的。


  • 大統領候補参謀
CV:河野智之
今回の標的。
名前すら解らず殺された可哀想な人。
尤も、前述の通り「殺害後の行動」に重点が置かれた話だから仕方ないかも…。


  • 依頼人
CV:丸山詠二
こちらも名前が無い(アニメでは「マードック」と命名されている)。
とある公共機関の人間で、自分たちの力を削ごうとする標的の抹殺を画策。
前述の通り困難な内容を説明しながらゴルゴに依頼する。


  • テリー・バートン
CV:岩崎ひろし
弁護士。
ゴルゴの弁護にやってきたおじさん。
だが、下手すればコイツのせいでゴルゴが逮捕されるという大戦犯になりかけた人物だったりする。


  • ゴルゴ13
ご存じ主人公。
今回は歴代でもかなりコミカル、というかシュールなシーンが多い。
具体的には
  • おもちゃの拳銃を持ち歩く
  • 射撃場でエンジョイし過ぎて店主を困らせる
  • 警察に物を盗まれる
  • 風船を持って歩く
  • 鳩と遊ぶ
  • 弁護士を呼ぶ
  • 弁護士が「ゴルゴが反省してるから許して(意訳)」と言ってるのに明らかに反省してない
  • ↑の行動をいつもの仏頂面で行う


当然ながらゴルゴは遊んでなどおらず、ちゃんと理由があった。とりあえず反省する素振りは見せようか








解説(ネタバレ注意)


逮捕されたゴルゴが弁護士を呼ぶのを焦りと見て勝利を確信したダッチェス。
ところが、凶器が見つからない。拳銃どころかナイフすら見つからない事に焦る警察。

そこで「ある事」に気付いたダッチェスは高分子化学研究所に向かいある質問を投げた。
それは「おもちゃ(プラスチック)の拳銃で実弾を撃てるのか」というもの。
答えは「YES」だ。
硬質プラスチック・ポリフェニレーン・サルファニド(PPS)なら弾丸の衝撃に耐えられる。
熱に弱い欠点も火薬ガスの燃焼は一瞬なため「一回」だけなら問題ない。
ゴルゴにはその「一回」だけで十分すぎる程。

ダッチェスは凶器だけでなくプラスチック破片を探すように部下に命じた。
更にトライオンがゴルゴの狙撃場と思われる小窓の写真を偶然見つけその場所のフィルムを引き延ばした。

最早ゴルゴの命は風前の灯だった…。




















ところが夜になってもプラスチック破片すら見つからない。
流石に焦りを隠せないダッチェスは捜索を続行するよう部下に命じた。

其処に弁護士が現れとんでもない事を言う。
「公務執行妨害は罰金で許してほしい」
「殺人容疑は警察の言いがかり」
「今すぐ釈放しないと人権侵害で訴える」
予想もしない発言に困惑するダッチェス。

更に弁護士はゴルゴにかけられた殺人容疑の疑惑になる証拠を全てを否定。
加えて頼みの写真にも何も写っていない。


逆に追い詰められたダッチェスだったが、それでも凶器が見つかれば勝てると悪足掻きする。
それを見て呆れた弁護士が「軽いプラスチックの拳銃で」と何気に呟いたことで遂にゴルゴの真の狙いが分かった。
「ゴルゴは凶器を風船にくくりつけて空に飛ばしたのだ」
通常とは違い「おもちゃの拳銃」だから出来る逆転の発想である。

ダッチェスは直ぐに空軍に風船を探すように依頼したが、既に暗い夜な上に明るくなるころには手の届かない所へ……

最後にダッチェスはある推理をたてる。
ゴルゴが弁護士を呼んだのは諦めたのではなく「スタジアムに凶器はある」と思わせて本命の風船への意識をそらすための「時間稼ぎ」なのかと。
だが、ゴルゴはダッチェスの推理を否定も肯定もせず黙って警察から出るのだった。

完全敗北し項垂れるダッチェスを見た署長は呟いた。


「凶器は……神の御手に委ねられたか……」













余談

○アニメは放送直後に壁のような坂が映るというまさかの作画崩壊から始まる。


○アニオリで射撃場の店主がゴルゴの腕前に慌てて賞品・ぬいぐるみを渡すが拒否されるシーンがある(原作では賞品を出す前にゴルゴが立ち去る)。
仮に受け取った場合、「仏頂面でぬいぐるみと風船を持って歩くゴルゴ」と滅茶苦茶シュールなやり取りが見える。

○実は今作は数少ない「ゴルゴは背後の人間に攻撃する」設定が上手く生きた話である。どんだけいつも迷惑かけてんだよ
というか、よく見ると解るが今回はゴルゴが自分から「故意に」攻撃をしかけているので、今までの「無意識」の攻撃とは違う。

ただ、今回ばかりはゴルゴの行動は間違いとは言い切れない。
実際、別のエピソードでは警察が「コレラに罹患している」と嘘を吐いて無理矢理病院に軟禁させて時間稼ぎしたため、下手な事をすれば罪が重くなる・拘束時間が長くなる可能性も十分にあった。



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最終更新:2021年12月08日 02:37