お金のいらない世界(ドラえもん)

登録日:2021/12/04 Sat 09:31:00
更新日:2021/12/13 Mon 02:11:41
所要時間:約 4 分で読めます




『お金のいらない世界』とは、漫画ドラえもんのエピソードの1つ。
『小学五年生』1977年1月号に『もしもボックス』の題で掲載され、てんとう虫コミックスでは第13巻に収録。


【あらすじ】

ある日、ラジコン飛行機が欲しいのび太ママにお金をくれるように頼むが断られてしまう。
不貞腐れながら部屋に入った彼を見て、ヨーヨーで遊んでいたドラえもん「きみはいつもお金をほしがってるやつだな。」と呆れ果てる。

あああ。お金のいらない世界にすめたら気らくだろうなあ…。

じゃ、すんでみる?

そんなのび太の独り言を聞いたドラえもんは、「もしもボックス」を取り出した。
ご存じの通り、これは「もしもこんなことが……」と思ったことを実際に体験できるものだ。
早速のび太は「お金のいらない世界」を実現させ、意気揚々と玩具店に向かいラジコン飛行機を手に入れる。
だが、店主は店を後にするのび太を呼び止めると代金を要求する。
「話がうますぎると思ったんだ。」とうなだれるのび太だが…

代金二万六千円を………。

もってってくれなくちゃこまる。

何と、この世界ではお金は払うものではなく貰うものになったのだ!羨ましい!
のび太にとってはこれ以上ない理想の世界である。
家に帰ると家計の赤字に悩むママに、親孝行と称してお金を渡すが……

また、むだもらいしたのねっ。

お金がたまりすぎてどうしようかと思ってるのに!

何故か血相を変えて怒り出し、押し入れがはちきれそうな程溜まっているお金を見せた。
そこへ、パパが慌てて帰ってくる。
どうやらスリにあったようで、懐に10万円を入れられていたとのこと。
パパは「会社へ月給を持っていける」と泣きじゃくるママを慰めるが、安月給なので焼け石に水。


そう、この世界は「労働者が資本家に給料を払う」、つまりお金が無い人、通称「お金無し」こそが裕福という、現実とは逆転した仕組みなのだ。
この世界において貨幣とは「いらない」というか「負債」であり、連載当時は電子決済など無かった*1ので、働いて「支払わない」限り無限に溜まっていく
故に「お金持ち」は貧乏扱いされ、のび太が見かけたホームレスらしき男は「一円でもいいから持ってって」と言って箱一杯の札束を道に出していた。

この光景を目の当たりにしたのび太は「お金がじゃまならすてりゃいいのに。」と思うが、そんなことは誰でも考えつく。
従って、この世界の法律では金を捨てた場合には捨てた額の10倍の罰金を「貰わされる」のだ。
静粛に・・・この少年は金を捨てた 法律で言われたはずだ・・・・そういう行為は一切認めていないと・・・・!繰り返す・・・・ 金の破棄は無条件で罰金だっ・・・・!

その事を知らないのび太はこっそりお金を埋めようとするが、偶然大金が入ったバッグを堀出してしまう。
運の悪いことに警察官に見つかってしまい急いで逃げるが、うっかりおじいさんとぶつかって重要文化財の壺を割ってしまった。
こうしてのび太は、捨てようとしたお金+バッグに入っていたお金の10倍の罰金と、壺の弁償費1億円を貰ってしまった。
確かに(知らなかったとはいえ)のび太がお金を捨てようとしたことは事実で、壺を割ったのも周りをよく見なかったのび太が悪い。
しかし、バッグに入っていたお金はのび太とは無関係のはず……。
にも関わらず、この警察官はバッグのお金ものび太が捨てたと一方的に決め付けて罰金を押し付けた(せめて、相手の話ぐらい聞いたらどうなんだ)。

大金を背負いながら家に着いたのび太はもうヘトヘトになり、すぐに「もしもボックス」で元の世界に戻した。
一応確認の為に代金を払わずにラジコン飛行機を持って店を出ると、やっぱり店主が追いかけてくる。
「二万六千円」と言う店主にのび太は「それはぼくがもらうのか はらうのかどっち?」実にアホらしい質問をする。


たしかにもとの世界だ。よかったよかった!

もちろん答えは後者。
怒った店主に殴られてたんこぶができてしまったが、のび太は元の世界に戻れたことを喜ぶのだった。


【アニメ】

〇わさドラ版『お金のいらない世界』
2014年11月28日放映。
原作では登場しなかった、静香スネ夫ジャイアンも登場。スネ夫は案の定「大金無し」になっていた。
また、野比家が宝くじに当選するアニメオリジナルシーンがある。


【考察】

今回このような事態になってしまった原因は、のび太が願った「お金のいらない世界」の「いらない」の意味をもしもボックスが曲解したのではないか?と一部読者は考察している。
(のび太が言う「いらない」は「必要ない」。もしもボックスはこれを「欲しくない」と解釈してしまった可能性がある)

また、札束は全て1万円札ならそれほど場所を取るものでもないが(例えば1億円なら大きさは横38cm、縦32cm、高さ10cm程度)、押し入れには(お金しか入れていないわけではないとしても)明らかにそれ以上入っており、一体何円入っているのか。ちなみに壺の弁償の1億円は風呂敷に入る程度と、現実的な大きさである。そもそも、お金を大量に持っていても空間が狭くなる以外のデメリットがあるかも不明。
また、銀行関連も一切登場していない。こんなのものを引き出す客がいるかは不明だが、一度に何円引き出せて、何円預けられるかは不明(わさドラでは銀行強盗が大金を銀行に押し付けている)。


【ペイの拡充】

久米田康治氏著作の漫画『さよなら絶望先生』にて、エピソード268話「ペイの拡充」の顛末がほぼこの話そのままになってしまうという事態が発生してしまった(現在では載せられないと判断してボツにしたネタまで被っていた模様)。

藤子プロや小学館にお伺いを立てた所「特に問題なし。単行本にも載せていいよ。」という太っ腹な回答を頂いているが、久米田康治氏が自ら封印する形になった。
本人は該当エピソードを描き終わった後は「久しぶりに話がうまく転がったな」と満足していたが別人からの指摘で発覚。
指摘されるまで作者本人含め相当な藤子マニアであるアシスタントも全く気づいていなかったが、元ネタが『ドラえもん』単行本の比較的若い巻に収録されていることから読んでいないわけがなく、意図的ではなく無意識のうちとはいえあのドラえもんからパクってしまった、ということで本人にとって相当堪えたようである。
+ 『絶望先生』のあらすじ
糸色望は面倒なペンキ塗りを他人に代わって貰う方法を思いつく。
それが『トム・ソーヤの冒険』に登場する、「楽しそうにペンキを塗り、羨ましがった友達に対価をもらってペンキを塗らせる」という方法だった。
それが功をなし日塔奈美が先生にアイスをあげてペンキを塗らせてもらうという普通では考えられないことをする。
他のキャラたちも同様のことをする。若い子たちはトムソーヤを知らないらしい。
常月まといは「自らお金を出してF1カーに乗せてもらう「ペーパードライヤーペイドライバー」もいるのです」と語る。
可符香は「全てのお仕事は、お金を払ってやらせていただくようにすればいいんです」とまで言い出す始末。
そしてペンキ塗りだけではなく本当にそのとおりにな「全テノ労働ニ対シ、ペイワーク制ノ導入実施」が始まった。
漫画を買ったらお金をもらい、パブではキャバ嬢からお金を渡されるなど。
金銭犯罪ももちろんあり、ドラえもんの場合はスリにお金を入れられるということが起きたが、こちらはカツアゲ犯がお金を押し付けている。
そして藤吉晴美明らかにお金よりも比率が多すぎる漫画と現金で部屋が溢れかえり身動きが取れなくなる。
お金を捨てることを思いつくが、そこには「お金を捨てたものは死刑もしくは捨てた額の10倍の罰金」と書かれた張り紙を見る。
そしてギャンブルでお金を減らそうとするが家が壊れるほどお金が膨れ上がる始末。


追記・修正はお金無しになってからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2021年12月13日 02:11

*1 むろん小切手やクレジットカードはあったし、実際にそれを題材としたひみつ道具もあるが。