国境は別れの顔(ルパン三世)

登録日:2022/08/09 (Tue) 03:26:14
更新日:2022/08/09 Tue 21:38:39
所要時間:約 11 分で読めます



次元とプリマバレリーナ、モニカの逃亡の旅が始まった!2人は果てしない雪原を愛と希望に燃えながら……かーっこいい次元!
どうしてこうなっちゃったのかは見てのお楽しみ
次回『国境は別れの顔』
また会おうぜぇ!

『国境は別れの顔』とは『ルパン三世(2ndシリーズ)』の第58話。
本放送は1978年11月13日。
逃げ損ねた次元と彼を助けアメリカへの亡命を図るバレリーナのモニカとのロマンスを描いた、今なお2ndシリーズにおける傑作と名高いエピソードである。

【あらすじ】


以下ネタバレ注意!!


モスクワのとある劇場。銭形警部はソ連国家警察に摘み出されていた。中にルパンがいるとあきらめず必死に訴えるが、西側諸国の代表団を招いた特別公演の最中ということもあり、ついには銃を突きつけられ、「インターポールの銭形をなんだと思ってやがるんでぇ!バッキャロー!!」の捨てゼリフと共に走り去る。

やっぱり銭形の言う通り、ルパンと次元はこの公演に入り込んでいた。今回の彼らの狙いはプリマであるモニカの持つ「オーロラの雫」と呼ばれるダイヤモンドであった。
2人はそれぞれオペラグラスでモニカの額に輝くオーロラの雫を確認しつつ、次元のオペラグラスに仕込んだ発射装置で見事にアタッチメントを付けることに成功した。
上手く行ったことに思わず笑みを浮かべ、サムズアップを浮かべる次元。
その後ルパンが舞台の真上へと上がり、ライターからアンテナを伸ばし、舞台の幕が降りるのに合わせてボタンを押した。するとオーロラの雫は見事に浮かび上がり、ルパンの手元へ。
そしてあらかじめ屋根へ出ていた次元が天窓を開け、劇場の広い屋根を利用してスキージャンプの要領で隣の屋根へ渡りずらかるという算段である。
だが逃走の段階になってトラブルが発生。ジャンプしたルパンが下からのサーチライトに捉えられてしまったのである。次元が即座にライトを撃ち抜き、ルパンは隣の屋根に渡ることに成功したものの、肝心の次元は左肩を撃たれた上にスキー板を落としてしまう。
戻ろうとするルパンに対し、次元はこのままでは2人ともお陀仏だからここは俺に任せて五右衛門と合流しろと叫ぶ。2人は再会を誓い、それぞれその場を離れる。
薄れゆく意識の中、次元は「こっちよ……」という女の声を聞き、そちらへ向かう。だがとうとう気を失ってしまう。

目を覚ました次元は痛みを堪えつつ起き上がる。傷には包帯が巻いてあることに気づきつつも、扉の外から近寄ってくる足音を警戒し、即座に近くに置いてあったマグナムを構える次元。

「そんなもの、しまってくれない?」

なんと、扉から現れたのはダイヤの持ち主であるモニカであった。どうして助けてくれたのだと問う次元に、説明は後だ、一緒に来てと話すモニカ。
どうしようもなさそうと判断した次元は大人しく従い、衣装ケースに隠れた上でモニカの車に乗り込む。
途中で郊外への道の検問に引っかかるも、モニカの機転で通り抜けることに成功する。

やがて2人はホテルに到着した。抜け目なく警戒を巡らす次元を笑うモニカに対し、次元は「女は信用できないからな」「裏切らない女がいたらお目にかかりたいな」と返す。
根拠を問う次元に対し、モニカは「だって私たち、これから夫婦になるんですもの」と返す。
仰天する次元に対し、モニカは2冊のパスポートを見せる。一冊にはモニカ本人の写真があったが、もう片方には写真がない。しかしそこに次元が写真を貼れば「イワノフご夫妻」の出来上がりだとモニカは話す。
モニカはソ連からの亡命を企てていたのである。

「一緒に逃げてくれるわね?」
「追われる者同士というわけか……」
「私たち、似合いの夫婦になれるんじゃない?」
「んー、俺の相棒に聞かせてやりたいな」

同じ頃、ベルリンのアジトでは不二子がオーロラの雫を手にしてご機嫌であった。だが盗み出したオーロラの雫は偽物であり、ルパンは「そんなもんつかまされた上に次元まで捕まるとはドジな話だよ全く」と不満タラタラであった。
そこに(おそらく国家警察に)探りを入れていた五右衛門が戻ってきて、次元はまだ捕まっていないと伝える。行方をくらませた次元に対し、不二子は次元がオーロラの雫をすり替えて本物と共に逃げたのではと話すが、五右衛門は「次元はお主とは違う!」の一言と共に偽ダイヤを奪い取り斬鉄剣で一刀両断する。
しかしいずれにしても所在がわからなければ助けにも行けないとこぼすルパンであった。

その頃、銭形は国家警察にてルパン一味の情報を提供しつつ協力を求めるも、彼らの答えは「我がソ連邦はインターポールという無能な組織には加盟していない」ということで再びつまみ出されてしまう。しかしその後、次元とモニカは国境警備隊に手配が回ってしまう。

次元とモニカは鉄道を使って逃避行を続けていた。オーストリアへの国境が近づいたため、2人の個室にも検問のための係官が入ってくる。モニカは2人のパスポートを見せるが、係官はそれを見ただけで礼を言って立ち去ろうとする。
しかし次元はその不自然さを見逃さず「荷物検査はやらないのか」と声をかける。係官は警備隊を呼び寄せるが、2人は間一髪外へ出て車両の屋根の上へ上がる。
助かったと話すモニカに、次の駅で兵隊が乗り込んできてここもバレると返す次元。ちょうどその時、列車は陸橋の下を通過しようとしていた。2人は屋根の上から陸橋へ飛びつくことで離脱することに成功した。
だが、次元は左肩の傷のせいで陸橋へ這い上がることができない。そんな彼を迷わず引き上げるモニカ。
這い上がった2人は陸橋の上から去りゆく列車を見下ろしながら語り合う。

「すまねぇ、また借りができちまった……」
「私と貴方の間に、貸し借りなんてないわ。私には貴方が必要なのよ」

やがて2人は雪道を再び歩き出した。


国家警察で関係各国への手配を指示する高官。だがその指示を受けていたのはなんと不二子であった。
もちろんその話はルパンも無線で効いていた。五右衛門は高官が「奴ら」と言っていたことから、次元は誰かと一緒なのかと疑問を呈する。

道中のおそらくは空き家で夜を明かした次元とモニカ。明日にはいよいよ国境を越えると弾んだ声で話すモニカに対し、ソ連を出たらどうするのかと次元は問う。アメリカへ渡ると答えるモニカに対し、彼女ほどのプリマならアメリカも歓迎してくれる、だがアメリカに何があるのかと次元は問いを重ねる。

「自由があるわ」

「金のある奴にはな」

「ジャズ、ロック、ミュージカルにディスコ、最新のファッション……アメリカにはなんでもあるわ」

「それに、ギャング、セックス、麻薬、暴力、暗殺、核兵器……なんでもあるさ」

2人は再び雪道を進む。一日中進んで、再び山小屋に泊まる2人。いよいよ翌日にはオーストリアである。暖炉にあたっていた次元はふと肩の包帯を解こうとする。ちょうどそこに食糧を調達してきたモニカが入り、次元は「解けたから……」と話すが「勝手にやってはダメ、手当は私がやるわ」と返される。

翌朝、2人は最も警備の手薄なオーストリアとの国境の跳ね橋の前にまで辿り着く。しかしいかに警備が薄いとはいえ、今の2人にはどこだって危険である。どうするのかと尋ねるモニカに、次元は俺が聞きたいと返す。

「私の決意は変わらないわ」
「命を賭けても、か?」

次元の問いに無言で頷くモニカ。それに対し次元は「俺が女と心中したと知ったら、ルパンがどんな顔をするか、見ものだな」とごちる。


やがて跳ね橋の前の国境警備隊の前に、サイドカー付きのバイクに乗った次元とモニカが現れる。当然銃を突きつける国境警備隊だが、次元はマグナムで彼らの銃を撃ち抜く。
しかし国家警察の高官は慌てずに跳ね橋を上げてしまう。万事休すかと思われた次元だったが、モニカの乗るサイドカーを切り離し、勢いをつけて彼女をオーストリア側に飛び渡すことに成功する。

次元はモニカだけでも逃すために、この行動を取ったのである。

待っていると叫ぶモニカだが、残された次元は「デートの約束なんて、俺にはとてもニアわねぇ」と呟く。そして大人しく国境警備隊に捕まるのであった……


それからまもなく、次元の銃殺が行われようとしていた。棒に括り付けられ、目隠しをされようとするも、気丈にも目隠しはいらないと返す次元。そして銃を構えられた………その瞬間に彼らの背後の山で爆発が起こり、火の手が上がった。ダイナマイトによるそれは雪崩を起こし、彼らの方へ滑り落ちてきた。
逃げ惑う国境警備隊に対し、括り付けられた次元はなす術がない。雪崩が目の前に迫った時、突然何者かが次元を真下の雪の中へ引き摺り込んだ。

「ルパン……!」
「間にあってよかったぜ。五右衛門も待ってるんだ。今度ぁ、一緒にずらかろうぜ」

そう。ルパンであった。間一髪のところで次元を助け出したのだ。そして2人は五右衛門と合流し、気球で脱出。五右衛門は次元に一緒にいたはずの人物について尋ねるが、次元は何も語らなかった。
一方、銃を乱射する警備隊に対し、高官は「あそこはもう、オーストリアだ」と告げて制止する。


どこかの遊園地の観覧車。次元とモニカはゴンドラの中で落ち合う。無事を喜び合う2人。きっときてくれると信じていた、ありがとうと言うモニカに、礼を言われる覚えはないと返す次元。しかし……

「だって、私のためにオーロラの雫を運んできてくれたんですもの」

なんとモニカは銃を突きつけた。一瞬虚を突かれた次元に対し、モニカは上着を脱ぐよう指示。彼女はオーロラの雫を包帯の中の脱脂綿に包んで隠していたのだった。
初めから利用するつもりだったのかと問う次元に対し、貴方の言う通り自由を買うにはお金がいるとそれを肯定するモニカ。せっかく助かった命を無駄にしたくないだろうと続けるモニカに次元は「選ぶ相手を間違えたらしいな」と上を見上げる。

なんとすぐ上のゴンドラからルパンがワルサーを突きつけていたのだ。

これには負けを認め、銃を手放すモニカ。その手にオーロラの雫を握らせる次元。

「あんたには2度助けられた。そして俺が1度……これで貸し借りなしだ」

「次元……!」

「思い出の多い逃避行だったな……」



観覧車を降り、モニカを見送った次元の元に怒り心頭のルパンが駆けてくる。あれは不二子に渡すのだと息巻くルパンに、あんな女のどこがいいと呆れ気味に呟く次元。
そりゃ裏切るけど可愛いと告げるルパンに「つくづくお前が羨ましい、肩の傷がまだ疼く」と告げて立ち去る次元。
そんな彼を「お前はただのロマンチストだ」と憤慨するルパン。

やがて「忘れ物があった」と足を止め、「イワノフご夫妻」として用意した自分のパスポートを空に投げ……


「あばよ…」

マグナムでその顔写真を撃ち抜いたのであった。


【登場人物】


ルパン三世
声:山田康雄
ご存知主人公。ダイヤの偽物を掴まされたり、逃げれば見つかったりと前半は迂闊な場面が目立つが、後半はきちんと次元を助け出す活躍を見せる。

次元大介
声:小林清志
今回の主役。モニカとの逃避行の末に思いを寄せ、ついには自分を犠牲にしてまで彼女だけでも亡命させる漢。
一方でモニカとの逃避行の際の彼が「アメリカにあるもの」として挙げたものの数々は彼が裏社会で生きてきたが故のものであろう。そこにはプリマという華やかな表舞台で生きてきたモニカとの違いが表れていた。

峰不二子
声:増山江威子
偽物のダイヤを手にして踊ったり、次元を裏切ったと言い捨てたりと前半はコミカルかつドライな面が目立つ。しかし単身国家警察に侵入して情報を得るなど、おそらくは彼女も次元が本気で裏切ったとは思っていなかったのであろう。

石川五右衛門
声:井上真樹夫
他のレギュラーより活躍は少ないが、不二子の発言に憤慨したシーンは彼の仲間への思いを端的に表した名シーンであろう。

銭形警部
声:納谷五郎
劇場から摘み出され、国家警察に相手にされないなど、おおよそいつも通りのとっつぁん。とはいえソ連は高官の言う通りインターポールに加盟していないので、この対応も無理はないのだが。
仮にもインターポールとして世界を飛び回っているのに世界情勢に疎すぎるのではないだろうか……*1

【解説】

  • 本話は複数のシーンに様々な「白鳥の湖」のアレンジ曲が使用されており、独特の雰囲気を作り出している。
  • ソ連は放送当時はインターポールに加盟していなかったが、ロシア共和国に改称した1990年にインターポールに正式に加盟している。


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最終更新:2022年08月09日 21:38

*1 ちなみに銭形は同シーズン第7話『ツタンカーメン三千年の呪い』にてイスラエルの空港から敵対状態にあるエジプトまでの飛行機を要求して係員を締め上げ、日本赤軍呼ばわりされて連行された前科さえある。