登録日:2023/01/27 Fri 12:11:20
更新日:2023/03/11 Sat 19:43:26
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※この項目には性的な内容および精神的苦痛を与えかねない内容が含まれます。
『若い女くん』とは、ビッグコミックスピリッツで連載された真鍋昌平の漫画『闇金ウシジマくん』3、4話のエピソード。単行本第1巻収録。
タイトルの通り、闇金融から金を借りた女性の運命を描いた話である。
【主な登場人物】
丑嶋馨
この漫画の主人公にして狂言回し。
闇金融会社「カウカウファイナンス」の社長として、今日も客に融資する。
作品の終盤において、このエピソードのある台詞を思い出した人もいるのではないだろうか。
高田
カウカウファイナンスの新入り。
あまりにも冷徹な闇金融の仕事に、まだ慣れずにいる。
村田久美子
このエピソードの主役。
大手の会社に勤める女性で、長野県出身。実家の酒屋には夫と子を持つ妹が住んでいる。家賃11万5千円の1DKにひとりで暮らす独身だが彼氏はいる。好きな歌手は工藤静香らしい。
ごく普通のOLなのだが、ある悩みを抱えており...
上原由実子
久美子の同僚。ある仕事がきっかけで彼女と仲良くなる。
タカシ
久美子の恋人。常に彼女に優しく接する好青年。近々、久美子との同棲を考えている。
【前編のあらすじ】
(ネタバレ注意)
若い女がカウカウファイナンスに訪れた。
彼女の名前は村田久美子。
これまで6社から合計約200万円を借りており、DM(ダイレクトメール)を通じて新たにカウカウファイナンスから30万円ほど借りに来たのだ。缶コーヒーを勧めつつ笑顔で迎える丑嶋馨。
なぜ金が必要なのかと丑嶋に聞かれると、今度の連休に会社の同僚と海外旅行に行く予定なのだが、今日中に旅行代理店に30万円を振り込まないとキャンセルされてしまうと答える久美子。
別にそれくらい行かなくていいのではと諭す丑嶋に対し、久美子は本当の理由を語る。
なんでもOLには複数のグループがあるのだが、そこでの食事、合コン、旅行に参加しないと除け者にされてしまうため、金に無理してでも参加せざるを得ないというのだ。
さらに着換えの際にも密かにブランドをチェックされるので、なめられないためにファッションにおいても高く着飾らざるを得ないという。
内心呆れつつも30万円の融資を受け入れる丑嶋。
さっそく借用書にサインする久美子だったが、借りたのは30万円のはずが、借用書には45万120円と書かれていた。10日5割(トゴ)の超暴利+コーヒー代によるもので、DMで確認した実質年利率9~24%によるものではなかった。
さっきからおかしいわよ!DMに書いてるコトと全然違う!!
久美子は思わず声を荒げた。
ほかの金融業者から借金出来ねーからウチに来たンだろ。
丑嶋は一変してドスを利かせ、久美子を黙らせた。
トボトボ帰る久美子の後ろ姿を冷ややかに見送りながら、丑嶋は高田にこう言い聞かせる。
自分をちゃんと知ってる奴は、身分相応に生活すンだろ。
借金まみれのあの女からどうやって金を回収するンスか?
10日後───
久美子は金を用意することが出来なかった。
だが丑嶋は正直に言ったから特別にと、新たに金を融資し、その金からこれまでの分を返済するという「ジャンプ」なる制度を提案し、気前よく5万円を久美子に与えた。
10日後。
借金50万円✕150%=75万円。
久美子は金を用意することが出来なかった。
だが丑嶋は今回も、気前よく5万円をジャンプに充てて久美子に与えた。
10日後。
借金80万円✕150%=120万円。
久美子は金を用意することが出来なかった。
だが丑嶋は今回も、気前よく5万円をジャンプに充てて久美子に与えた。
10日後。
10日後。
積もり積もって、久美子の借金は288万7千500円まで膨れ上がった。
いよいよ首が回らなくなった久美子に、丑嶋はこう持ちかけた。
後日、久美子は同僚のOLからレストランの誘いを受けるも...
...と、付き合うどころではなくなっていた。
そして、自己破産も考えて実家の村田酒店に相談の電話をかけるが、妹によると近所のコンビニが酒を置きはじめたため売上が悪化し、父もストレスで肝臓を悪くしたため通院中だという。
さらに自身の借金を話す間もなく、妹から仕送りを要求されてしまう。
どのみち帰る場所が無いと落ち込む久美子のもとに、恋人のタカシが訪ねてきた。
借金のことなど言えないまま、せめてもの安らぎとしてタカシに甘える久美子なのだった。
後日、久美子は丑嶋から紹介された店で面接を受けた。
そこで、店長の中年男性による「研修」が行われたが...
研修とは、全裸になった久美子が、全裸になった店長にフェラチオを行うというものだった。久美子は今日から風俗嬢「ちはる」として働くことになったのだ。
しかし店長いわく、風俗でなら楽に稼げると思うのはマチガイで、久美子の場合はOLの仕事もあって10日で28万円が限界だという。丑嶋との話し合いで金利が10日5割(トゴ)から10日1割(トイチ)に変わったものの、それでもギリギリだった。
それから多くの男とセックスし、身も心も疲れ果てる久美子。
帰宅すると、ソファでタカシが寝ており、テーブルに料理が置かれていた。タカシが「残業」する久美子のために作った手料理だった。
タカシの優しさが、久美子をより苦しめた。
【後編のあらすじ】
(ネタバレ注意)
ある日、久美子は魔が差して9万円のアウターを買ってしまう。
自分を責めつつも、これを着て明日から頑張ると自分を励ました。
ある日、会社のロッカーに入れたアウターが醤油で汚れていた。
久美子はOL内で除け者にされはじめていた。
そしてある日の帰り、久美子は仕事仲間の風俗嬢「リサ」こと上原由実子に話しかけられる。2人は意気投合し、飲み友達となった。
借金も少しずつ返せるようになり、タカシへの負い目はありつつも、前向きになる久美子。
しかしある日、社内中のPCに「ちはる」としての写真が送られてしまう。以前誘いを断った、あのOLの仕業だった。
風俗に勤めている噂が会社に流れ、ストレスで悩む久美子だったが、それを由実子に話すと彼女から、毎朝飲んでいるという「気分良くなる薬」を渡される。病院でもらったから、違法じゃないからというが...
さらにタカシの様子がおかしい。彼に聞いてみたところ、こう返した。
うん......なんかムスコがジンジンする......
心当たりしかない久美子は、思わず例の薬を口にする。そして、病院で検査を受けた。
クラミジア、トリコモナス膣炎、カンジタ膣炎、毛ジラミに感染していた。HIV検査も勧められる始末だった。
未だにタカシには性病のことも、風俗のことも、借金のことも言えないまま、薬の量だけが増えていった。
いよいよ会社にも居られなくなり、退職届を出した久美子。
すると例のOLが話しかける。
久美子は泣きながらも、ただならぬ形相で返す。
追い打ちのつもりが威圧され、恐怖で涙目になるOL。
そのまま立ち去る久美子。
しかし仕事を辞めた直後にも関わらず、新しいバッグを購入してしまう。
今や日課の薬を服用しながら、自らにこう言い聞かせた。これは退職祝いだと、自分へのご褒美だと。
そして薬さえも次第に効かなくなり、由実子に新しい薬を求めると、彼女はより強力だという粉末らしきものを勧めた。
日に日に髪は傷み、体は痩せていった。
ある日、風俗店の店長から突然、休みを告げる電話が来た。
久美子は26歳と店の中では高齢な上、写真とはかけ離れたガサガサの肌、骨と皮だけの外見に成り果てていたのだ。
そして店長から、もうウチでは無理だからと「人妻デリヘル」を紹介される。
どこか壊...吹っ切れたような笑顔でジャンプする久美子。
デリヘルで向かった先は、見るからに不潔な男の住む、悪臭に満ちた汚部屋だった。
これには久美子も耐えられず、スタッフにキャンセルの電話をかけるが...
もう逃げ場など無かった。
それから月日は流れ...
すっかり髪色の抜け落ちた久美子は、注射を射ちながら、恋人に話しかけた。
そこには久美子同様、心身共に変わり果てたタカシがいた。
精神が崩壊した久美子の態度に苛立ち彼女を殴るタカシ。
あの頃の彼は、もういなかった。
更に月日は流れ...
荒れ果てた部屋で、歌を口ずさむ誰か。
生きた屍同然の姿となった久美子だった。
意味不明な台詞を並べつつ、電話で由実子に薬を求める久美子。
しかし由実子は、薬はもう無いと電話を切った。
ちはるちゃんあっちの世界行っちゃった。もうダメみたい。
そこには丑嶋がいた。2人はグルだったのだ。
客のひとりでもあった由実子。
丑嶋はこう返した。
そんな甘っちょろい男ではなかった。
後に久美子の存在は、三丁目のカドで千円で売春する「妖怪人間ベラ」という都市伝説として知れ渡った。
そこで噂を聞きつけたDQNに絡まれ、立ち去る久美子。
するとDQNが妖怪退治と称し、石付きのポールで久美子の頭を殴打。
DQNが去っていった後も、血を流し、倒れながら、なにかを見つめる久美子...
ある日、街中を歩いていた丑嶋と高田が久美子を目撃した。どうやら生きていたようだ。
最後に、久美子が自分と同じような顔色をした男たちを自宅に集め、謎の集会を開いている場面でこの話は終わる。
来たる2012年12月22日、マヤ暦の終末の日に備えてのオフ会です。
我々は家族です。どんな人間より深くつながった仲間です.........
なにもかも失った久美子だったが、丑嶋の言う通り「納まる所」だけは手に入れることができた...のかもしれない。
【実写ドラマ版】
山田孝之主演のドラマ版シーズン1でも前半のメインストーリーとしてこのエピソードが扱われた。
話の大筋は概ね原作通りだが、久美子の彼氏が「健介」という後の楽園くん編の中田やギャル汚くん編の純などの要素を併せたドラマオリジナルのキャラクターとなっており、最後は久美子を売るか自分がロシアンマフィアに売られるかを迫られ、彼女を救うために健介が身代わりとなった。
このため薬漬けの廃人にもならず、久美子にとっては原作よりも救いのある結末を迎えた。
- 本編を文章化したみたいだし、もう少し何かあるといいな・・・あと項目名にウシジマくんの名前あると分かりやすい -- 名無しさん (2023-01-27 14:11:53)
- 会社のOLも大概クズ過ぎる。 -- 名無しさん (2023-01-27 14:22:12)
- ↑×2 若い女くん(闇金ウシジマくん)という項目名がいいんじゃないかな? -- 名無しさん (2023-01-27 14:29:57)
- 実写ドラマだとまだ一応救いのある終わり方だった -- 名無しさん (2023-01-27 15:32:50)
- 死ぬときは独りぼっちってのはある意味ウシジマ君の末路を暗示してたのかな -- 名無しさん (2023-01-27 15:59:04)
- この漫画の債務者達ってほぼ全員「消費者金融からブラックリスト入り」「安定した収入ゼロ」がデフォなので、真面目に会社行ってるだけ相当マシに見える -- 名無しさん (2023-01-27 16:06:07)
- 他の債務者とは違って定職があって自分に寄り添ってくれる人もいたのに全部投げ捨てた末路だから印象に残る -- 名無しさん (2023-01-27 17:10:37)
- 初期のエピソードだけあって色々シンプルというか本当にいち債務者の破滅を淡々と描いてるだけなんだけどそれが逆に怖い -- 名無しさん (2023-01-27 17:25:40)
- 連載終わった漫画だし、項目名は作品タイトルと併記の方がいいよね -- 名無しさん (2023-01-27 18:42:00)
- じゃ、項目タイトルに(闇金ウシジマくん)加えちゃっていいかな?議論したい人いる? -- 名無しさん (2023-01-27 18:45:16)
- 例の画像の元ネタか -- 名無しさん (2023-01-27 22:33:10)
- 最初に借金の使い道を聞いて「だったら無理しなきゃいいのに」って言ったりする辺り、(返せる目途があるか気にしてるのもあるとはいえ)ウシジマくんの良心を感じないでもない -- 名無しさん (2023-01-27 23:16:31)
- 作中でも言っていた「分不相応な生活を終わらせる」を分かりやすく体言しているような話である。会社での人間関係を割り切ることさえできれば少なくとももっと少ない犠牲で済んだはずなのに、羊頭狗肉な生活をおくった結果がこれである。自分も同じようなことになってもおかしくないところが恐ろしい。 -- 名無しさん (2023-01-28 00:48:16)
- タカシは本当にいい男だったのに、自分を着飾ることに取り付かれた久美子に尽くしたのが何の落ち度もない彼の不幸の始まりだった。 -- 名無しさん (2023-01-28 00:51:24)
- 「無理して周りと付き合わなくても…」ってのは普通は正しいけど、この会社に限っては同僚もヤバいから実際嫌われると仕事続けられなさそう。救われるには転職するしかねえ -- 名無しさん (2023-01-28 01:36:15)
- 最初の6社・200万の借金も、(縁を切られる覚悟で)彼氏や家族に頭下げて回れば用意できない額じゃないと思うんだけど、やっぱり見栄っ張りなのがダメだったのかね -- 名無しさん (2023-01-28 12:11:11)
- 丑嶋に「別に金を貸さなくってもかまわねェ」と言われた時に久美子が金を借りずに引っ込んでいたら、どんな結末を迎えたのだろう? -- 名無しさん (2023-01-29 07:42:00)
- ↑闇金はあくまで「トドメを刺してる」だけだから、借金してまで見栄を張る自分の生き方を顧みない限り遅かれ結局破滅するんじゃないかな -- 名無しさん (2023-01-29 16:54:50)
- 漫画でも実写でも彼氏はひどい目に遭うのか…悲しいなぁ -- 名無しさん (2023-01-30 08:49:23)
- 反対意見がなかったためページ名に作品タイトルを追加しました。 -- 名無しさん (2023-01-30 09:05:38)
- 「無理して相手に合わしてもその場限りだし、 無理して着飾っても一瞬の優越感しか味わえねェ。」ってセリフ。結婚式とかで分不相応にお金掛けたがる女性に刺さりそう。 -- 名無しさん (2023-01-30 13:00:04)
- 社内イジメで久美子を借金漬けに追い込んだOLグループって大した報いを受けないまま退場したけど、中年になったら紗理奈やギャル代みたいな末路を辿る可能性もあると思う -- 名無しさん (2023-01-31 15:42:07)
- このエピソード、借金で見得を張ることの愚かさだけじゃなく、薬物の恐ろしさもしっかりと表現しているのが怖いんだよな。現実から逃げて薬を服用し心も体も壊れていくって感じでね。「ゴミ屋敷とトイプードルと私」の沙耶と明日香も下手したら、こうなっていたのかも知れない -- 名無しさん (2023-02-19 10:46:30)
最終更新:2023年03月11日 19:43