絶望!!重甲不能/勝利への復活!!(重甲ビーファイター)

登録日:2023/02/02 (木) 09:13:47
更新日:2023/03/16 Thu 00:30:08
所要時間:約 36 分で読めます




※推奨BGM:出撃!ビートマシン


究極の最終作戦・ジャマールホール。
地球を丸ごと飲み込ませるという、恐ろしい計画が今発動させる。

拓也がいないビーファイターを、改造ギガロが追い詰め、
シュヴァルツの秘密兵器が止めを刺す!

昆虫パワーを奪われ、重甲できない大作、舞。
そして、失意の中彷徨う拓也。

果たして地球の運命は!?

重甲ビーファイター!

絶望!!重甲不能







どうして来てくれないの?ビーファイターは…。



「絶望!!重甲不能/勝利への復活!!」とは、『重甲ビーファイター』の第46・47話。1996年1月7、14日放送。

脚本は扇澤延男、監督は渡辺勝也。


概要

ジャマールがついに、最終計画として究極の次元の裂け目「ジャマールホール」の作成準備に取り掛かった。
拓也不在のなか、大作と舞は、シュヴァルツの新発明「エネルギーバキューム装置」で昆虫パワーを奪われて重甲が出来なくなってしまう!
しかも頼みの綱の拓也も、敵を前にして体が動かなくなってしまっていた。

今回は、重甲できない中でも必死に頑張ろうとする大作と舞の奮闘、そして拓也が再起できるのかどうかが描かれていく。

登場人物


  • ブルービート/甲斐拓也
ご存じ前々回ラストから失踪中の主人公。
現在は敵を前にしても体が動かなくなってしまうほどに精神面で追い詰められてしまっている。

  • ジースタッグ/片霧大作
  • レッドル/鷹取舞
ご存じ仲間達。
シュヴァルツによって昆虫パワーを奪われたことで重甲ができなくなってしまう。
だが、それでも希望を捨てずにジャマールに立ち向かう。

  • 向井健三老師グル
ご存じ博士と長老。
行方不明の拓也を気にかけていた。

  • ギガロファイナルギガロ
ご存じ合成獣軍団の団長。
自らを改造し、「ファイナルギガロ」へと変貌する。

  • シュヴァルツシュヴァルツタンク
ご存じ戦闘メカ軍団の団長。
新発明の「エネルギーバキューム装置」でエネルギー奪取に動く。

  • ジェラ
ご存じ傭兵軍団の団長。
ガオームからブラックビート討伐を命じられる。

  • ガオーム
ご存じジャマール首領。
セントパピリアを捕らえるべく、いよいよ最終計画に乗り出す。

  • ブラックビート/シャドー
ご存じ拓也のクローン。
不老不死を手に入れるべく、セントパピリアを追うも、ジェラの妨害を受ける。


話の流れ


【絶望!!重甲不能】


拓也失踪から2週間。
大作と舞は、写真を手掛かりに町で聞き込みを行うも、依然として見つからない。
アースアカデミア日本支部でも、向井博士と老師グルが、拓也の身を案じ続けていたのだった。

ジャマール要塞。
首領ガオームが、「ジャマールホール」の事を三幹部に話していた。


「存在する物全てを、何もかも飲み尽くす、究極の次元の裂け目・『ジャマールホール』。」
「あれに地球を飲み込ませる。」

「地球が死の星と化せば、必ずセントパピリアが現れる。」
「滅んだその地球を救わんとする為にな。」

「そこを捕らえる。今度こそ、逃がす事なく…!」

そこまで言うと、ガオームは突然苦しみだす。
ガオームは既に自身の生命エネルギーを注ぎ込み、ジャマールホールの中心核を作っていた。
あとは育てるためのエネルギーが必要だった。その為、シュヴァルツに「エネルギーバキューム装置」を作らせていたのだった。
そしてガオームは3幹部たちに命じる。


「ギガロ、シュヴァルツ。」
「地球を片っ端から破壊し、ジャマールホール完成のため、エネルギーを掻き集めよ。」

ははっ!!

「そして、ジェラ。」

「はっ!」

「お前にはブラックビート討伐を命ずる。」
「己の寿命を知った今、それを延ばすために、奴もセントパピリアを狙っている筈だ。」
「例の羽根を頼りに、先を越されては全て水の泡。」

「このジェラに、お任せを…。」

ジェラは人間態となり、ブラックビート抹殺に赴くのであった。

「行け!我がジャマールが誇る三幹部共よ!!」


ギガロは自室にて、ギガローダーに弾丸を装填してシュヴァルツに託した。


「我がジャマールにとって最終手段、ジャマールホールを作り出そうとは…ガオーム様も命懸け…。」

「ならば、俺も!」

「…シュヴァルツ、俺は生まれ変わる!よりガオーム様のお役に立てるよう、究極の合成獣へと!」

ジャマールホールを完成させる為に命を掛けるガオームの為に、自らを究極の合成獣へと生まれ変わらせようと画策していたのだ。
そしてギガローダーを自分に向けて撃つようシュヴァルツに言い、シュヴァルツは引き金を引いた。
ギガロは苦しみながらも、合成獣「ファイナルギガロ」へと変貌するのであった。

一方、ブラックビートことシャドーは、セントパピリアを探し続けていた。


「セントパピリアは、必ずまだこの地球の近くにいるはずだ。」
「見守っているはずだ、この地球の運命を。」
「そして、俺とブルービートの宿命の成り行きを…!」

そしてジェラもまた、シャドーを抹殺すべく町を行くのだった。

「ブラックビート…必ず見つけ出す!」


その頃、大作と舞は料理店の店長から拓也を見たという情報を得ていた所だった。
だが、当の拓也はジェラにシャドーと間違えられて電磁鞭による攻撃を受けていた。
しかし、当の拓也は何故か一方的に攻撃を受けるだけで一切の抵抗ができなかった。
その時…


「拓也!!」

「大丈夫!?」

「ジェラ!」

「虫ケラ共!どうして貴様達がシャドーを庇う!?」

「こいつはシャドーなんかじゃねぇ!」

「私達の掛け替えのない仲間!」

「甲斐拓也だ!」

「何!? この私とした事が…今は裏切り者の始末が先!」

駆け付けた大作と舞が拓也を助け、ジェラも人違いに気づいてその場を後にした。


2週間ぶりに再会を果たす拓也たち。


「やっと…やっと見つけたぞ、拓也!」

「今までどこほっつき歩いてたのよ…!?」

「バカ野郎が!心配掛けやがって!! 大切なビーコマンダーまで放っぽり出して行きやがって…!」

大作はビーコマンダーを手渡すが、拓也の手は震えており、再び手放してしまう。


「俺には…、正義の戦士の資格は無いんだ…。」

「ブラックビートの事か?奴が生まれたのはお前の所為じゃない!」

「不可抗力じゃない…。」

しかし、拓也は聞き入れようとはしなかった。


「拓也!お前に罪なんか無いんだ!」

「何度もそう思おうとしたさ。」
「でも…ダメなんだ…。頭で分かっていても、心が…、体が…!」

「今だってそうだった。」
「ジェラに俺は反撃しようとしたんだ。でも…指1本動かなかった。」

「体が…この体が言う事を聞いてくれないんだ!」

そう、今の拓也は戦おうとしても、一種の恐怖心から動けなくなってしまっているのだ。 恐怖心 俺の心に 恐怖心


「拓也…。」

「俺はもう、お前達の仲間じゃない。」

「ビーファイターじゃないんだ!」

拓也はやけっぱちに叫んで去っていく。後を追おうとした時、向井博士からの通信が入った。


『ジャマールが街で無差別破壊を始めた!急げ!破壊を食い止めるんだ!』

急いで街に向かおうとする大作だったが、舞は拓也のことが気がかりになっていた。


「拓也は…完全に戦意を喪失している。今ジャマールと戦えるのは、俺とお前だけなんだ!」

「…うん!」

大作に諭され、急いで街へ向かった。拓也は、ただその様子を黙って見つめていた。

「大作、舞…すまない…」


街ではファイナルギガロが胸から破壊弾を撃って攻撃し、シュヴァルツがエネルギーバキューム装置でありとあらゆるエネルギーを奪っていた。
そこへ駆け付けた大作と舞は、ギガロの変貌ぶりに驚く。
シュヴァルツは拓也だけいないことに気づき、「3匹揃わないと、予定の量に達しない」と意味深な事を呟く。

一方、アースアカデミア日本支部でも向井博士とグルがその様子を見ていたが、グルは「何か不吉な予感がする…」と不安になっていた。


「ハッハッハッハ!街を…地球を!もっともっと破壊してやる!」

「俺達2人だけでも、貴様らを倒してみせる!行くぞ、舞!」

「よし!」

2人はそれぞれジースタッグとレッドルに重甲。それを見たファイナルギガロは…。


「シュヴァルツ!今だ!」

「ギガちゃ~ん、焦っちゃダメェ~。狙うのはパワーが頂点に達したその時よぉ!!」


「そういう事だったのか!2人共、シュヴァルツから離れるんだ!!」

シュヴァルツの話をモニター越しに聞いたグルは、2人に急いで呼びかけるも、時すでに遅く、スティンガーウェポンでギガロ達に向かっていた。


「奴らがパワーを全開にした!今だ、貰うぞ!」

シュヴァルツはエネルギーバキューム装置を手に、2人のエネルギーを吸収した。
すると、大作と舞は重甲が解除されてしまった!


「どうなってるの…!?」

「重甲が…勝手に解除された!?」

「吸い取ってやったのよ!」
「飛びっ切りのエネルギーを、インセクトアーマーの昆虫パワーを、」
「根こそぎねぇ!」

2人はもう一度ビーコマンダーを構えるが、重甲ができない。
積年の恨みを晴らすべく、ファイナルギガロが毒ガスで大作達を攻撃。

だがそこへ、光球と化したグルが駆け付けて、シュヴァルツ達を攻撃しつつ大作達を回収し撤退していった。

アースアカデミア日本支部。
今の大作達には、自分達の昆虫パワーをかき集めてまで進めようとしているジャマールの目的が分からない。

大作は、もう一度拓也を探しに行こうと言い出した。
自分達が重甲できなくなった今、ジャマールと戦えるのは拓也1人しかいないからだった。

拓也が完全に戦意を喪失していることを承知のうえで、大作と舞は再び拓也捜索へと向かった。


一方、羽根を手掛かりに、セントパピリアを探し続けるシャドーの前に、ジェラが現れる。


「今度こそ見つけたぞ!死に損ないの裏切り者め!」

「ジェラ!」

「セントパピリアは貴様の物にはならん!何故なら、貴様はここで果てるからだ!」

「俺は負けん!永遠の命を手に入れる!」

ジェラは元の姿に、シャドーはブラックビートに邪甲して戦いを始めた。


埠頭で拓也を探す大作と舞。しかし、一向に見つかる気配はなかった。
その時、再び街の方で破壊の音が聞こえてきて、2人は急いで向かう。

街では再びファイナルギガロが破壊活動を行い、シュヴァルツがエネルギーバキューム装置でエネルギーを奪っていた。


「シュヴァルツ!ギガロ!もっともっとエネルギーをかき集めろ!」


東都南病院にて、一人の子供が救急車で運ばれてくる。その子供「ケンちゃん」は息も絶え絶えに呟く。


「どうして来てくれないの?ビーファイターは…。」


それを聞いていた拓也は、一人胸を痛めてしまうのだった…。


そして、大作と舞は再びシュヴァルツ達と対峙。


「重甲できない貴様らに、何が出来る?」

「貴様達から吸い取る物はもう何もないのよ?」

「命以外にな!」

「しかし、一思いには殺さん!嬲り殺しにしてやる!」

生身のままでシュヴァルツ達と戦う大作と舞。拓也はその様子を窺っていた。
しかし、重甲ができなければただの人間も同然。簡単に痛めつけられてしまった。
助けに行こうとする拓也だが、またしても体が動かない。


「動かない…体が言う事を聞かない…!」
「どうして俺に戦える…?一緒に戦う資格がある…!?」

「平和の敵・ブラックビートを生み出してしまったこの俺に!」

拓也は、仲間がピンチになっていることを知りながら、ついに敵前逃亡してしまった!!
こうしている間にも、大作達は甚振られていた。


「教えろ…エネルギーを掻き集め、一体何を企んでる…!?」

「飲み込ませるのよ。」
「この地球を、ズルリンベロ~ンとジャマールホールにね!」

「ジャマールホール…!?」

同刻、ジェラとブラックビートは未だに戦い続けていた。


「セントパピリアを誘き寄せる為に!?」

「地球を滅ぼす。そして、そのジャマールホール完成の準備は、着々と進んでいるのだ!」

「渡さん!セントパピリアは…俺の物だ!」

ブラックビートはジェラを殴り飛ばすと、ジャミングマグナムで返り討ちにするのであった…。


「ハハハハハ…!そろそろジエンドと行くか!」

そして、ファイナルギガロは大作達にとどめを刺すべく、剣を振り上げる。
だが、大作はビーコマンダーを取り出した。


「無駄よ…重甲出来ないじゃない!」

「違う!メガヘラクレス、発進!!

すると、メガヘラクレスがオートパイロットモードで起動して駆け付けてきた!
ビートマシンは重甲しないと起動しないが、メガヘラクレスはオートパイロットで動かすことができるのだ。

メガヘラクレスのメガキャノンを食らい、ファイナルギガロとシュヴァルツは一時撤退。

「ありがとう、メガヘラクレス!」

メガヘラクレスに礼を言う舞。だが、大作の表情は晴れない。


「しかし、これが限界だ…。」
「重甲もできない…ビートマシンも使えない…。」
「メガヘラクレスがあっても、必殺のメガビートキャノンは撃てない!」

「そんな俺達に、どう地球を守れって言うんだ…!?」

「拓也、どこへ行ったの…?」


日没を迎えたその頃、拓也はおぼつかない足取りで彷徨い続けていた。
すると、一台のトラックが走ってきて、運転手が拓也に怒鳴りつけつつ降りてきた。
運転手は拓也の顔色が真っ青な事に気づき、何かあったのか聞いてみると…。


「仲間を…見捨てた…。」


そう言い残して拓也は倒れてしまった。


エネルギーを集めんとするシュヴァルツとファイナルギガロ。
セントパピリアを追い続けるシャドー。
シャドーを抹殺するべく探し続けるジェラ。

それぞれの想いが交錯する中、アースアカデミア日本支部では向井博士とグルが、ジャマールホールの事で不安そうにしていた。


【推奨BGM:しあわせはいつも遅れてくるから】

そして大作と舞は、写真を見ながら拓也の事を想っていたのだった。


「拓也…。」

「大丈夫、拓也はどこかで元気にしてるよ…。」

「雪…。」

やがて雪が降り出す中、拓也は先のトラックの助手席で当てもなく運ばれていくのだった……。



果たして拓也は、本当にもう二度と立ち上がれないのか!?地球はそのまま滅亡の道へと進んでしまうのか…!?



※推奨BGM:出撃!ビートマシン


着々と完成へと進むジャマールホールの脅威。
大作、舞が重甲できない今、最後の頼みは拓也、お前だけだ!

「お前はビーファイターのリーダーだ。俺達は信じる!」

「俺は…!」

更に激しさを増すギガロ、シュヴァルツの攻撃。
滅亡へのカウントダウンが始まった!

今こそ甦れ!甲斐拓也・ブルービート!


重甲ビーファイター!

勝利への復活!!







【勝利への復活!!】


引き続き、拓也の捜索を続ける大作と舞。だが、依然として手掛かりは掴めないまま。
すると、凧揚げをしようとしている子供たちが目に入った。


「思いたくない…信じたくない。あの子達にも明日がないなんて…」

「そうさせない為に、拓也を捜してるんじゃない。」

「…そうだよな、拓也さえ甦ってくれれば!」

「頑張って捜そう!」

2人は改めて、拓也を見つけ出すことを決心する。

場面変わってジャマール要塞。


「着々とエネルギーは溜まっておる…」
「しかし、ジャマールホール完成にはまだ足りん!徹底的に街を破壊して、もっともっとかき集めろ!!」

ファイナルギガロは、忠誠心に懸けても必ず目的を達成することをガオームに誓う。
そしてガオームは、ジェラにブラックビート討伐の首尾を聞くが…。

「一度は追い詰めたものの、逃げられ…」

するとガオームは、ジェラに向けて目から光線を放った。

「奴の首を取らぬ限り、このジャマールに貴様の居場所はない!忘れるな!」

ガオームはそう吐き捨てて、消えてしまった。

ジェラを励ますファイナルギガロ。しかし、シュヴァルツは笑った。
今回のエネルギー集めが終わったら、ジャマールを抜けるというのだ。


「ジャマールホールに飲み込まれれば、地球は死の星と化す。
「生き物が全て失せたその地球をガオーム様に譲って頂き、そこにメカだけの新世界を創るのよぉ!

「そして俺は、メカ帝国の帝王となるのだ!夢が叶うっ♪あ、夢が叶うっ♪」

「俺は、ガオーム様への忠誠心を証明する為に!」

「私は、ジャマール一の腕自慢の意地を懸け!」

それぞれの想いを胸に、3幹部達は行動を開始した。


一方、とある洞窟にて。


「セントパピリアを…永遠の命を一刻も早く手に入れなければ…。」

「影として生まれたこの俺が、光に取って代わる。その為にも…。」

シャドーは、セントパピリアを奪取しようと焦っていたのだった。


そしてここは大月山。
この山の中で、拓也は彷徨っていた。


(俺は、ついに街からも逃げ出した。誰とも、何者とももう関わりたくない…)
(昆虫達が、命ある物達が眠りに就く冬。俺も…ここで永い眠りに…)

山の中でその命を終わらせようとしていた拓也。しかし…


(何だあれは…ジャマール…?)
「どうしてアイツ等が、こんな山の中に…!?」

光が反射して、山の上でジャマールが何かをしようとしているのを目撃する。

そしてその場所では巨大なエネルギータンクが鎮座しており、ファイナルギガロとシュヴァルツ、ジャマー軍団がジャマールホールの準備を着々と進めていた。


「このタンクが満タンになったその時こそ、」
「育ちつつある中心核に一気にエネルギーを撃ち込み…」

「ジャマールホールの完成だ!」

「ビーファイター2匹から吸い取ってやった昆虫パワー。」
「あれが目標達成を早めたな。」

「フフフフ!地球を守るための昆虫パワーが、地球を滅ぼすエネルギー源に使われる。」
「こんな素敵な皮肉、他にあるか、他に? アハハハ!」

そして2人はジャマーに警備を任せつつ、エネルギー集めに向かうのだった。
その話を聞いていた拓也は…。

アースカデミア日本支部。
向井博士から、大月山にジャマールのエネルギータンクがあるという匿名の電話があったことを大作と舞に伝えていた。
昆虫パワーを奪い返すチャンスができたのだ。
しかし向井博士は、あの匿名の電話の主に気が付いていた。その主とは、他でもない拓也だった。


再び大月山。
大作と舞が急行すると、ジャマーが警備するエネルギータンクがあるのに気づいた。
するとそこへ、拓也が姿を現す。
エネルギータンクを見つけてくれたことに感心する大作だが、拓也はただの偶然だと言い切った。


「偶然を掴めたのも、お前がビーファイターのリーダーだからだと、俺達は信じる。」

「違う!俺はもう…」

なおも悲観する拓也に、希望を捨てちゃダメだと説得する舞。しかし大作はそんな舞を制する。


「絶望の底で足掻くのも、そこから這い上がるのも、そいつ自身の意志の問題なんだ。」
「握ってくれ…もう一度これを!」

そう言ってビーコマンダーを拓也に託そうとする大作。だが…


「言ったはずだ!心も体も、言う事を聞かないんだって…!」

「いつまでそうやって逃げ続けるんだ、自分から!!」

「お前達に何が分かる!?」
オマエニナニガワカルンダー!

自暴自棄になる拓也は大作と言い争い、ビーコマンダーを投げ捨ててしまう。彼の体はまだ震えていた。

そんな中、大作のビーコマンダーに向井博士から通信が入った。何でも、ギガロ達がまた破壊活動を始めたというのだ。
それを聞いた大作と舞は、直ちに力を取り戻すべくエネルギータンク破壊に向かおうとする。


「俺と舞は、必ず昆虫パワーを奪い返す!」

「取られちゃったのは、私達のミスなんだもん…」

てめぇで撒いた種は、てめぇで刈り取らなきゃな。…行こう!」

2人はそう言い残し、爆弾を携えてエネルギータンクへ向かった。

「俺は…自分から逃げているだけなのか…?」


エネルギータンクへ急ぐ大作と舞。だが、そんな二人をジャマーは妨害してくる。


「奪われた物を、大作たちは命懸けで奪い返そうとしている…。」

「俺はそこまで必死になったか?ただ街から逃げ、宿命から逃げ、そして自分からも…!」


「俺は…」

てめぇで撒いた種は、てめぇで刈り取らなきゃな。

捨てちゃダメなんだよ、希望って。


「…もう逃げはしない!」

そう、今はこんな時に立ち竦んでいる場合じゃない。こうしている間にも、地球はジャマールに狙われている!
拓也はビーコマンダーを拾い、ジャマーに飛び掛かる。そして奪った武器でジャマーを攻撃した。


「拓也!」

「ここは俺に任せろ!」

拓也がジャマーを食い止めている隙に、大作と舞はエネルギータンクに爆弾をセットして爆破。
これによって大作と舞のビーコマンダーに昆虫パワーが戻ってきた。
そこへ合流する拓也。今の彼に必要だったもの…それは、逃げずに立ち向かう事だったのだ。


「俺が…、俺の遺伝子があのブラックビートを生み出してしまった事は事実だ。」

「しかし…いや、だからこそ奴をこの世から葬るのも、俺自身でなきゃいけなかったんだ。」

「自分で撒いた種なら、自分で刈り取らなきゃ。2人の必死さがそれを俺に教えてくれた。ありがとう大作!ありがとう舞!」

「俺はもう二度と…こいつを手放さない!」

一方街では、ファイナルギガロが破壊活動を続け、シュヴァルツがエネルギーを奪い続けていた。


「燃えろ!崩れろ!爆発しろぉ!!」

「吸ってやる!エネルギーを片っ端から!」

「そうはさせん!!!」


【推奨BGM:重甲ビーファイター】

そこへ駆け付ける拓也、大作、舞。


「わざわざ嬲り殺されに来たか?」

「今のお前達に何が出来る!?」

「嘗めるなよ、俺達を!」

「もう町を破壊させはしない!」

「今日こそ決着を付けてやる!」


これ以上の破壊活動を食い止めるべく、今度こそ決着をつけるべく、3人は一斉に重甲した。


「ば、馬鹿な…!?」

「おおーっ!? 昆虫パワーが戻ってる!? なんで…?」


「ブルービート!」

「ジースタッグ!」

「レッドル!」

「重甲・ビーファイター!」

今ここに、ビーファイターは完全復活を果たした!!


「復活したか!」

「大作と舞、そして…拓也も…。」

アースアカデミア日本支部からこの様子を見ていたグルと向井博士も一安心。

ジースタッグはスティンガークローを手に飛び上がり、シュヴァルツを攻撃。その体を拘束する。
レッドルは背後に回ってインプットマグナムのビームモードを撃ち込んだ。

パルセイバーを手にファイナルギガロと戦うブルービート。しかし、県による反撃に遭い蹴り飛ばされていく。
さらに、ガオームの光線が上空から降ってきた。

「倒せ、虫ケラ共を!」

一方、ジースタッグとレッドルを相手にしていたシュヴァルツは、返り討ちに遭っていた。


「ジャマールホールなど、もう当てにせん!」
「何がセントパピリアだ!メカの俺なんか、生まれた時から永遠の命よ!見よ!」

「シュヴァルツ・バトルモード!!」

「シュヴァルツタンク!あ、見ざ~~ん!」

そう言ってシュヴァルツは戦車形態「シュヴァルツタンク」へと強化変形。


「新しい世界の誕生だ!俺がメカ帝国の帝王となるのだ!」

シュヴァルツタンクは、光弾を放ってジースタッグとレッドルを攻撃。

ファイナルギガロは、ブルービートを地面に叩きつけるとそのまま踏みつけていた。


「ガオーム様に歯向かう者は、このギガロが地獄送りにしてやる!」

「どうしてそれほどガオームに忠誠を誓う!?」

「それが俺の生き方だからよ!ただひたすら尽くし抜くのだ!!」

そう言いつつブルービートを蹴り飛ばすファイナルギガロ。


同じ頃、シャドーの前にジェラが現れた。
シャドーの首を取るまでジャマールには帰れないと言うジェラ。しかしシャドーは、三幹部はガオームに騙されてると主張する。

電磁鞭を叩きつけてくるジェラに対抗してブラックビートに邪甲するシャドー。
彼が言うには、ガオームの寿命は自分と同様に尽きかけているというが、ジェラは信用しない。


「奴はセントパピリアを手に入れる事しか考えちゃいない。自分が永遠の命を手に入れる事しか!」
「お前達3幹部も全てその為の道具!ただの捨て駒なんだ!」

「裏切り者の言葉など、誰が信じる!」

その時、レッドジャイロとスタッガータンクが遠くに見えたジェラは、不吉な予感がしてシュヴァルツ達の元へ急いだ。

ジースタッグはスタッガータンク、レッドルはレッドジャイロに乗り込んでシュヴァルツタンクに挑む。

「倒せると思うか?永遠の命を持つこのシュヴァルツ様を!」

砲撃を放つシュヴァルツタンクに対し、レッドパルサーとスタッグバスターを撃ち込むも、シュヴァルツタンクには通じず、光弾による反撃を受ける。


「俺は死なない!メカは永遠よ!」

「何という執念…。レッドル、アタックフォーメーションだ!」

「OK!」

アタックフォーメーションとなった2機のファイヤークラッシュがシュヴァルツタンクをついに撃破した。

「お、俺は……不滅なのだぁぁぁぁ~っ!!!」

シュヴァルツの最期を目の当たりし、驚愕するファイナルギガロとジェラ。


「おのれ…!虫ケラめ!今こそ、ガオーム様の為に、命に代えても貴様らを倒す!」

ジェラに見守られつつ、ファイナルギガロはブルービートに最後の勝負を挑む。
すると、ブラックビートがジェラの前に現れ、ガオームに忠誠を誓うギガロを嘲笑する。



「ギガロ、勝負だ!メタルフォーゼ!!」

「パルセイバー合体!ビートイングラムファイナルモード!」

ブルービートはスーパーブルービートへとメタルフォーゼし、ビートイングラム・ファイナルモードを装備。


「ギガロ、貴様の忠誠心…今こそ見せてみよ!」

「ガオーム様、必ずや!」

スーパーファイナルブローをファイナルギガロへと撃ち込むスーパーブルービート。
爆発が晴れると、ファイナルギガロはしぶとくも立っていた。

「まだまだ…貴様らを倒すまでは…俺は死なん!俺は死なん!!」

すると、ジャマール要塞が飛来してきた。



「ギガロ、貴様の忠誠心…とくと見せてもらった。その命…大いに役立たせてくれるわ!」

「ぬお!?あぁぁぁっ…!?」

ガオームは、要塞からファイナルギガロの生命エネルギーを吸収。
ファイナルギガロは元の姿に戻りつつ、そのまま白骨化してしまった。


「吸い取ったんだ…ギガロから生命エネルギーを!」

「自分の部下から…命まで!?」

「ジャマールホールを作るのに使う為か…!?」

「ば、馬鹿な…!?」

そう、ブラックビートの言うとおり、ガオームはやはり三幹部の事を捨て駒としか見ていなかったのだ。
ガオームの卑劣なやり方に、ビーファイターは怒りを覚えるのだった……。

海岸。
ギガロをエネルギーとして吸収したガオームに、ジェラはショックを隠せないでいた。


「そんな…己の体まで改造して、尽くし抜いたあのギガロから…」

「仲間の命だろうと利用し尽くす…それがガオームなんだ!」

そう言って現れたブラックビートは、突如苦しみつつシャドーの姿に戻った。
シャドーはジェラに、永遠の命を得て、光であるブルービートを葬る事が自分の望みであることを語る。
それを知ったジェラは完全にガオームを見限り、シャドーに力を貸すことにするのだった…。


戦いが終わり、拓也達は向井博士とグルと合流。


「見事…甦ったな、拓也!」

「グル、博士…ご心配をお掛けしました。」

「ビーファイターのリーダー・甲斐拓也!これからも、よろしく頼むぞ!」

「はい!」

だがその時、空が突然暗くなると、ガオームの姿が上空に映し出された。


「フフフフ…。束の間の喜びに酔え!」
「ギガロの生命エネルギーを得た今、ジャマールホール完成に必要なエネルギーは、100%揃ったわ!」
「楽しみに待て、ジャマールホールの出現を!地球が飲み込まれるその時を!フフハハハハ!!」

ガオームはそう言い残して消えてしまった。


「俺達は負けない!」

「希望は捨てない!」

「それがどんな脅威であろうと、命を我が物顔で操る貴様の企て、俺達ビーファイターが必ず叩き潰す!」

かくして再び3人揃ったビーファイター。
果たして彼らは、ジャマールの企みを阻止することができるのだろうか…?


登場怪人


  • ファイナルギガロ
ギガロがシュヴァルツにギガローダーを撃ち込んでもらうことで誕生した究極の合成獣。
体色が赤と白を基調としたものに変化しており、体格もより屈強なものになっている。
右手には大剣を備えている他、左腕は甲殻類の様なハサミ状になっている。
胸部が開いて熱光弾を放つほか、頭部からの毒ガス攻撃も健在。

  • シュヴァルツタンク
シュヴァルツが「シュヴァルツ・バトルモード!」の掛け声で変形した戦車形態。
クリーチャーを思わせる上半身に巨大な砲塔を備え、下半身が巨大な戦車となっている。
ぶっちゃけ頭部以外は面影が何一つ残っていない。
固い装甲と光弾を備えている。

余談




追記修正は、自分で蒔いた種を自分で刈り取れる人にお願いします。

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最終更新:2023年03月16日 00:30