今、甦る死(古畑任三郎)

登録日:2023/03/24 Fri 01:00:00
更新日:2023/05/10 Wed 22:10:33
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明けましておめでとうございます。
ご無沙汰をしております。

さて、今夜の事件は類希なる計画殺人です。

私が出会った犯人の中でも最も巧妙に殺人を犯した男が登場です。



『今、甦る死』とは『古畑任三郎』のエピソードの1つ。
『古畑任三郎FINAL』シリーズ第1弾。初回放送は2006年1月3日。

古畑任三郎シリーズのラストを飾る3部作の1作目で、ゲストに藤原竜也と石坂浩二のダブルキャストを迎えている。
本作の特徴として寒村の名家に起こった悲劇、古いわらべ歌になぞらえた殺人、雪を使った密室トリックなど横溝正史作品を思わせる描写が散りばめられており、出演している俳優陣も多くが横溝作品に出演経験がある。



※以下ネタバレが含まれますのでご注意ください。


ストーリー

東京都郊外に位置する鬼切村の名家・堀部家では15年前に前当主・堀部幾三が謎の失踪を遂げ、後を継いだ義弟の伍平がつい先日、熊に襲われ事故死するという不運に見舞われていた。幾三の長男・大吉が当主と「堀部パン」社長の座を継ぎ、パン工場の経営再建のため裏山を売却してレジャーランドの建設計画を進めていると、それを知った副社長で大吉の弟・音弥が開発計画に真っ向から反対し、兄弟は対立していた。

そんな折、音弥は小学生時代の恩師であり現在は郷土資料館の館長である天馬恭介から資料整理を頼まれ、その中にかつて自分が自由研究で作成した「完全犯罪」をテーマにしたノートを見つける。音弥はそこに記されたトリックを使い、兄の大吉を村に古くから伝わるわらべ歌になぞらえて殺害する計画をたてる。


登場人物


【ゲスト】
  • 堀部音弥(ほりべ おとや)
演:藤原竜也
堀部家の前当主・幾三の次男。大吉の弟。
元々は一族経営の会社である「堀部パン」で専務の地位に就いていたが、現当主の叔父・伍平の死により不本意ながら副社長に就任した。
勤務中でもラジコンカーに興じるなど会社経営にはほとんど携わっておらず無関心だったが、恩師の天馬が大吉の主導する裏山開発により村の自然が失われることを憂慮していることを知ると、開発計画に真っ向から反対するようになる。
普段は人懐こく飄々とした態度をしており、大吉を上回る経営の才覚を自負するなど自信家のように見えるが、実際は繊細でナイーブな性格をしており「強気な態度は自信の無さの裏返し」と珠代に心配されている。
また、金持ちの道楽息子らしく世間知らずで飽きっぽいところもあり、彼の自室は趣味のラジコンの他にギターや模型飛行機などのおもちゃが埃を被っている。


  • 堀部大吉(ほりべ だいきち)
演:千葉哲也
堀部家の前当主・幾三の長男。音弥の兄。
現当主の叔父・伍平の死により、堀部家当主と「堀部パン」社長の座を継いだ。
就任して間もなく、叔父の死をいいことに経営再建の名目で裏山のレジャーランド開発計画に乗り出したため、周囲からよく思われておらず「伍平を事故に見せかけて殺したのではないか」と思われている。


  • 堀部珠代(ほりべ たまよ)
演:立石涼子
事故死した伍平の妻で失踪した幾三の妹。音弥や天馬とは親しくしており、元当主の妻として裏山開発の件で大吉への説得を頼まれるが、幾三の失踪で偶発的に土地と工場を預かったに過ぎない立場では説得は難しいと断っている。


  • 堀部ウメ(ほりべ うめ)
演:吉田日出子
幾三の母で大吉や音弥の祖母。今年で98歳と高齢だが、今でも正確にわらべ歌を記憶しており、古畑たちの前で披露している。


  • 堀部伍平(ほりべ ごへい)
前当主である幾三の義弟。15年前に幾三が謎の失踪を遂げたことで当主の座に就いたが、物語の冒頭で山道を歩いていたところを熊に襲われて事故死する。珠代曰く、今年にも大吉に社長の座を譲るつもりだったらしい。大吉の計画したレジャーランド計画には大反対の立場だった。


  • 堀部幾三(ほりべ いくぞう)
前当主で大吉と音弥の父。堀部パンの創設者で15年前に裏山に遺跡を掘りに出かけてそのまま行方不明になった。警察の捜索でも見つからず死亡扱いになっている。


  • 天馬恭介(てんま きょうすけ)
演:石坂浩二
鬼切村郷土資料館の館長。昨年までは村の小学校の校長を務めており、小学生時代の大吉や音弥の担任だったこともある。
鬼切村の自然や動物、発掘された遺跡を守るため、裏山のレジャーランド開発計画を思いとどまるように大吉への説得を続けている。





【レギュラー陣】

演:田村正和
事件発生を受け鬼切村までタクシーで来たが、あまりの田舎ぶりに辟易し早急に事故で片付けて帰ろうとする。しかし現場や被害者の状況に不自然さを感じてからは真面目に捜査を開始している。


演:西村雅彦
堀部家に置いてあったこけしの首を取ってしまったことをきっかけに一連の事件を祟りの仕業と信じてしまい、何かに付けて「祟りだ」「次に死ぬのは俺だ」と連発し、挙げ句には「祟るなら古畑を祟れ!」と発言し、さらに村人以上に熱心にお祓いをするなどして古畑と西園寺はおろか音弥にも呆れられていた。


  • 西園寺守
演:石井正則
祟りを恐れて大騒ぎする今泉の代わりに古畑の捜査を補助する。あんまりにも騒ぎすぎる今泉に最終的には呼び捨てして一喝した。
劇中で「金田一耕助が出てきてもおかしくない雰囲気」とややメタ的な発言をしている。


  • 向島音吉
演:小林隆
堀部家に到着した古畑を出迎える。古畑からタクシー代を支払っておくように1万円を渡されるが全然足りなかった。今月で退職して知り合いのホテルの保安係として勤めることが決まっており、次作の『フェアな殺人者』への伏線となっている。




【劇中の用語とヒント】

  • 堀部家と事件現場
東京都郊外の寒村にある名家で、幾三・伍平・大吉と当主の死が相次いでいる。建物が古いため廊下がやや傾いており、小学生時代の音弥はそれを利用した時限式トリックを研究していた。10年前に改築工事をしたことで傾きは解消されたが、現在はまた傾き始めている模様。
2階の納戸の前が事件現場で、被害者の近くには何故か甘い水がこぼれていた。


  • 堀部パン
幾三が創設した一族経営の会社で、現在は大吉が社長、音弥が副社長に就任している。企業努力も虚しく経営難に陥っており、大吉は経営再建のため裏山を売却してレジャーランドの建設計画を進めていた。


  • 音弥の自由研究ノート
小学生時代の音弥が自由研究で作成したノートで、テーマは『ぼくの考える完全犯罪のすべて』。
「鎧殺人」、「雪の密室殺人」、「鬼切村わらべ歌殺人」など複数の犯行トリックの他、「死なない程度に散弾銃を暴発させ被害者を装うことで捜査を撹乱する方法」など研究内容は多岐に渡る。
手法自体は様々な推理小説や書物からトリックを持ち寄った小学生レベルの代物ではあるが、数値に関しては驚くほど正確に調べられており、特に毒物が人体に及ぼす影響を調べた棒グラフなどは警察資料にそのまま採用できるほどである。


  • 裏山と開発計画
15年前に旧石器時代の遺跡が発掘されたことで記念碑が建立され、今では村人たちにとっての聖地となっている。その時の出土物に3万年前のものと思われる先が欠けた槍の先端があり、現在は天馬の勤める郷土資料館に展示されている。
売却が持ち上がったのは今回が2度目で、15年前にも幾三が裏山売却を進めていたが、彼の失踪により立ち消えになっているが、15年の間に再び堀部パンが経営難に陥り、反対派であった伍平の死により、あとを引き継いだ大吉が再び裏山の売却を提案した。
天馬は「バブル全盛期に建てられたアミューズメントパークが、次々と経営難で閉鎖している」「山を売った金で急場を凌げても抜本的問題は何一つ解決していない」と嘆いている。


  • あの世節
鬼切村に伝わるわらべ歌で様々な人の死に方を歌ったもの。幾三・伍平・大吉らの死を予言したような歌があり、村人は一連の死を祟りと恐れている。
実際には歌は100近くあり、「どんな死に方をしても当てはまるようになっている」というからくりが郷土史に詳しい天馬によって明かされている。







以下、事件の展開。ネタバレにご注意ください
















音弥の犯罪計画


天馬は大吉のオフィスを訪ね、裏山開発を思いとどまるよう説得を続けていた。
音弥が自室で自由研究ノートを読み耽っていると、大吉のオフィスに飾ってあった鎧が自宅に運ばれてくる。トリックに必要だった鎧が突然手元に届いたことに音弥は驚きつつも、自宅の2階の納戸にしまっておくように命じる。
音弥がノートを見返しながら窓の外を見ると曇天の空からは雪が降り始めていた。大吉殺害のピースが揃い始めていることに音弥は奇妙な感覚に囚われていく。

天馬と伍平の妻・珠代が大吉の説得が難航していることを話している中、音弥は途中で抜け出して大吉の殺害を決行する。
竹馬を使い雪の積もった庭を通って自室から大吉の私室へ移動した音弥は大吉を背後から撲殺すると、その死体を鎧の入ったケースを仕舞った納戸の前まで移動させる。ケースを伸縮式のつっかえ棒で支え、その足元に角砂糖を設置し床にバケツの水を流すことで、時間が立てば床の傾きで流れた水が角砂糖を溶かしバランスを崩したケースが落下、あたかも鎧を出そうとした大吉が下敷きになって事故死したかのように偽装することが音弥の計画であった。

準備を終え何食わぬ顔で天馬と珠代の元に戻った音弥は、アリバイ作りのため拾った土器を見てもらうという名目で2人の前で仕掛けが発動するのを待つ。しかし、当初の予定時刻を過ぎても鎧が落下せず、疲れた珠代が帰ろうとしたため音弥は慌てて引き留めようとする。たまたま天馬が珠代に土器の話の続きをしてくれたため、思わぬ僥倖に音弥は安堵しそのまま話を続けていると2階から大きな物音が響き、3人は大吉の死体を発見する。

必死に大吉に呼びかける天馬を見て、音弥はほくそ笑むのであった。



古畑による捜査


鬼切村に来た古畑は当初は事故で片付けて帰ろうとしていたが、「大吉が鎧を出そうとしていたにしては設置するスペースを作っておらず」、「はめていた軍手が薬指と小指だけ不自然に抜けていた」ことから、事故ではなく殺人と考える。しかし、事件現場は母屋の2階で物音がした時は音弥と天馬、珠代の3人が1階にいたため、擬似的な密室となっていた。

鬼切村に伝わるわらべ歌の話を聞いた翌日、古畑らは裏山に開設されたお祓い場に来ていた。祟りを恐れる村人は熱心にお祓いをするが、犯人ならお祓いを真面目にしないのではないかと踏んだ古畑がその様子を見守っていると、そこにはお祓いを簡単に済ませる音弥と祟るなら古畑を祟れという今泉の姿があった。
犯人はわらべ歌になぞらえて殺人を行っていると考える古畑は天馬の元を訪れ、わらべ歌のからくりとかつて村中のわらべ歌を集めさせた生徒の中に音弥がいたことを知る。
犯人は子どものように事件を楽しんでいると睨んだ古畑は竹馬を使った密室トリックにもたどり着く。音弥は捜査の手が迫りつつあることに焦りを覚えるが、敢えてヒントを教えるなど自分のトリックと古畑の推理力との対決を楽しむかのように振る舞う。

大吉の死後、堀部パンは音弥が社長に就任。訪ねてきた古畑たちに、音弥は「堀部パンは僕が変えます。ビジョンはいっぱい持ってる」と宣言。「大手コンビニと提携して全国展開」「新作菓子パンの開発」等のプランをぶち上げ、「5年で堀部パンを日本一にしてみせる」と豪語する。
早速開かれた重役会議でも、音弥は「レジャーランド計画は白紙に戻す」と宣言する。しかし幹部社員たちは「そうなると工場は閉鎖するしかない」と浮かない表情。「山を売るのはあくまでも最終手段」と言う音弥に対して「今がその時なのです」「我々も大吉さんも山を売る気はなかったが、苦渋の決断だった」と明かす。音弥は先程のプランを上げて説得にかかるが、「コンビニとの全国展開も新作パンの開発も先代の時代に失敗した」「既にその手の菓子パンは大手メーカーが作っていて、今更我々が入り込む余地はない」と返される。尚も「みんなで力を合わせればなんとかなる」と音弥は続けるものの「精神論だけでは乗り越えられないところまで来ている」と重役たち。
今まで会社のことなど気にもせず遊んでばかりいた音弥に経営能力があるはずもなかったのだ。

鎧を落とすタイマートリックを検証しているうちに母屋の傾きに気づいた古畑は、大吉の殺害現場にこぼれていた水が甘かったことを思い出し、天馬に「一方向からの荷重に強いがもう一方からの力には途端に脆くなる」という角砂糖の特性と、それをかつて授業でも音弥に話したことを確認する。
西園寺に連れられて倉庫に来た音弥は、そこで古畑が角砂糖の足場の上に木材を敷き、その上に今泉を載せてトリックの実験をしている姿を見せられる。古畑は角砂糖を水鉄砲で溶かし足場を崩すことで、上に載った重量物を落下させることができることを直接音弥に示すことで反応を窺う。
天馬は狼狽える音弥を庇い、古畑の露骨で嫌らしいやり口と、お祓いを真面目にしなかったという稚拙な理由で音弥を疑っていることを非難する。

その晩、トリックを暴かれ追い詰められた音弥は天馬に助けを求める。天馬は、古畑は音弥が犯人という妄想に取り憑かれているから相手にしないように助言し、「君自身が次の犠牲者にでもなれば流石に彼も目を覚ますだろう。」と冗談めかして言う。


翌朝、散弾銃を手に森に佇ずむ音弥は銃を構えゆっくりと引き金を引く...。





以下、事件の真相と解決まで。さらなるネタバレにご注意ください












警察に運ばれていく遺体とそれを見送る古畑たち。
音弥は散弾銃の暴発により死亡してしまった
古畑は生涯2度目の容疑者の死による決着*1にひどく落ち込み鬼切村を離れる。

落ち込む古畑を励ますため今泉と西園寺は都内のバーに古畑を連れて行き、音弥のノートを見ながら事件の答え合わせをする。
祟りを恐れ大騒ぎする今泉をよそに食事をしながら音弥のノートを見ていた古畑は、あるページで音弥の死に関わる重大な痕跡を発見する。そしてこの事件の裏で働いていた大きな力の存在を確信すると、直ぐに鬼切村に戻ることを決める。
珠代に音弥の人となりを聞いた後、音弥の死は事故なのか自殺なのかを尋ねられた古畑は、「彼はこの事件の本当の真犯人に殺された。」と断言する。








大吉さんを殺したのは音弥さんです。
しかし、その裏にはもう一人の真犯人がいます。
その人物は意のままに音弥さんを操り大吉さんを殺害、そして音弥さん自身をも葬り去りました。
彼の計画は実に巧妙でした。おそらく音弥さんは最後まで自分が操られていたことすら気づいていなかったのではないでしょうか。

明日の朝一番で私はこの本当の犯人と対決しようと思っています。
みなさん、CMの間に是非もう一度この事件を振り返ってみてください。そして考えてください。
きっとこの事件の本当の姿が見えてくるはずです。


古畑任三郎でした。

















解決編


古畑が睨んだ真犯人、それは鬼切村郷土資料館の館長・天馬恭介だった。
郷土資料館で待ち構えていた天馬と対峙した古畑はこの事件の真相を明らかにしていく。

古畑が天馬の関与に気づいたきっかけは音弥のノートの「死なない程度に散弾銃を暴発させ被害者を装うことで捜査を撹乱する方法」のページにあった。そこには散弾銃に詰める火薬の量は「8.5g」と記載されていたが、それでは多すぎたため音弥は死んでしまった。他の数値は驚くほど正確だったのに何故そこだけ間違えたのか、その観点で見た時、よく見ると本来は「3.5g」と書かれていたものに後から加筆された痕跡があった。そしてそれが出来たのは元々ノートを所持していた天馬だけ。天馬はそれを証明することなど不可能と言うが、古畑は珠代から借りた音弥の自由研究の発表会を録音していたテープで数値の改竄を立証する。

天馬の目的は「裏山の自然と遺跡を守るため、自らの手を汚すことなく堀部兄弟を抹殺すること。」だった。
本来であれば大吉の排除のみで良かったが、音弥が人の意見に左右されやすい性格であることを天馬は知っていた。今は自分の言いなりでも会社の人間に責められたらいずれは開発に転ぶかもしれないと考え、利用するだけ利用した後に音弥を始末し、土地の権利を自分に頼り切りの珠代に継がせた方が好都合と考える。
そのために天馬はノート改竄の他にも多くの仕込みと手助けをしていた。

  • 自分を慕う音弥に裏山開発を憂慮していることを伝え、大吉と対立させる。
  • 音弥に自由研究ノートを入れた段ボールの整理を依頼し、彼が自分でノートを発見するように仕組む。
  • 大吉を説得し、彼のオフィスから計画に必要な鎧を音弥の元に届けさせる。
  • 音弥と自身のアリバイのため、鎧の仕掛けが発動するまで珠代をさり気なく引き留める。
  • 大吉の遺体の軍手をわざと不自然な状態にし、古畑に事故ではなく殺人と気づかせる。
  • 事件がわらべ歌になぞらえていること、そのわらべ歌を集めた者の中に音弥がいたという情報を古畑に与える。また音弥の前で古畑を非難することでさり気なく音弥が疑われているという印象を付けることで精神的に追い詰める。
  • 仕上げとして古畑の疑いから逃れる方法として、自身が被害者を装う散弾銃のトリックに誘導し音弥を事故死させる。

確かに雲行きから予想していたとはいえ、都合よく雪が降るなど恵まれていたところはあった。
それを差し引いても音弥だけでなく古畑をも思い通りに操り、何より今回の一件で罪に問われることを一切していなかった天馬の計画は、古畑をして「これほど完璧な殺人の計画を私は知らない。まさに完全犯罪だ。」と言わしめた。


勝ち誇った様に立ち去ろうとする天馬に、古畑は「動機は裏山の自然と遺跡を守るため」と語った天馬の嘘を指摘し15年前に村で起こった様々な出来事を列挙する

  • 裏山売却の話が出たのが15年前
  • 裏山で旧石器時代の遺跡が発見されたのも15年前
  • 欠けた槍の先端が発見されたのも15年前
  • 裏山に記念碑が建ったのも15年前
  • 音弥と大吉の父・堀部幾三が失踪したのも15年前


これらが意味するものとは何か?
古畑は「開発のため裏山を掘り返されると天馬にとって都合の悪いものが出てくるからではないか。」と推測。
そしてそれは、「発掘された槍の先端で殺害した幾三の死体が記念碑の下に埋まっているのではないか。」と推理する。

サイレンが鳴り響き、パトカーと記念碑を掘り返すためのショベルカーが2人の前を通り過ぎていく。
古畑は珠代に記念碑の下に幾三が埋まっているかもしれないと伝え、事前に記念碑を掘り返す許可を貰っていた。
それを知った天馬は、15年前に裏山売却を譲らなかった幾三を口論の末、発作的に殺害したことを認める。凶器に使った槍の先端を学術的価値から破棄できなかったことを含め、「確かに今回の犯罪は完璧でした。しかし昔のはいただけません。」と古畑に揶揄される。



こうして古畑に完全犯罪と言わしめた天馬の計画は、15年越しの今、甦る幾三のの真相により崩れ去った。
互いに納得のいく結末ではなかったものの、古畑はこれで十分と言い、天馬も潔く負けを認める。
最後に天馬は古畑の言葉を再確認する。


これほど完璧な殺人の計画を…?


私は知らない。


それを聞き嬉しそうにする天馬。古畑は続けて言い放つ。


それでも、犯人は捕まる。


きょとんした後に思わず笑ってしまった天馬は古畑に連行されていった。





【余談】
  • 天馬恭介を演じた石坂浩二氏は金田一耕助役を演じたことでお馴染み。ある意味で古畑VS金田一耕助の夢のカードが実現した話とも言える。名前の「天馬」は、『鉄腕アトム』の天馬博士から。

  • 堀部音弥を演じた藤原竜也氏も2004年に横溝作品のドラマ『八つ墓村』に出演している。

  • 度々「伍平も天馬が殺したのでは?」と勘違いされることが多いが、伍平の死自体は単なる事故死である。
    伍平はレジャーランド建設計画には反対しており、天馬としても殺す動機がなく、伍平を殺したのではと噂された大吉も元々社長の座を近々譲られる予定だったので殺す動機がない。

  • ちなみに作中では天馬が犯人サイドの人間である事は最終盤まで明かされていないのだが、視聴者には事前の広告や石坂浩二が藤原竜也と一緒にクレジットされているOPでバレバレだったり。

  • 本エピソードはNHKの『新撰組!土方歳三最期の一日』と放送日時が被ってしまった。こちらも同じ三谷幸喜が脚本を担当した上、藤原竜也も出演している。放送時間の被りに関してはフジテレビ側が「調整が間に合わなかった」と説明している。

追記・修正は巧妙で計画的にお願いします。

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最終更新:2023年05月10日 22:10

*1 1度目はエピソード的に前回にあたる「すべて閣下の仕業」の黛竹千代。