スペシャルセット(プラレール)

登録日:2025/11/13 Thu 10:29:56
更新日:2025/11/13 Thu 20:51:17
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スペシャルセットとは鉄道玩具『プラレール』の製品形態の一つである。

概要

プラレールのリアル化及び鉄道会社の正式許諾化が始まった2001年よりスペシャルセットと称し特定の鉄道会社や路線の車両を特集し、基本的には3編成をセットにした製品が発売され始めた。
一部通常品(S品番車両)と全く同じ仕様の車両が存在するも、各車両は基本的にセット品ならではの仕様を持っており、セット品でしか存在しない金型の車両、既存金型を使用しているものの塗装や車番違い、部分的に新規金型とすることで新形式が登場、ハイグレード塗装、ラッピング、ヘッドマーク装備など鉄道ファンにはたまらない仕様の車両ばかりという点が見逃せない。稀に後々単品化するケースもあるが、後にも先にもこの仕様はスペシャルセット限定という車両は多数存在する。
しかしプラレールは基本的には1編成を単品売りしており、恒常品として廃盤まで数年間に渡り発売することを基本としてきたが、こちらは生産期間が短く流通量も少ない。更に編成セットということは子供向け玩具としては比較的高額になるため、クリスマスや誕生日といった限られたタイミングでしか買ってもらえない上子供向け玩具である以上美品での現存数も限られる。
そのためセット内の1編成だけでも5,000〜1万円、未開封品なら2〜5万円近くはくだらないと中古価格が暴騰している。もし持っていたら大事にしよう。
一部はタイの洪水により失われた金型はあれど、このような事情から(セット・一部車両の単品問わず)再販を望む声は少なくない。

一覧

便宜上スペシャルセットの前身にあたる製品などスペシャルセットの名を冠さない3編成セットも解説する。

全国販売品

復活!電動プラ電車トリオ(1994年4月)

初となるプラレールの3編成セット。プラレール40周年企画の一環にもあたる。
1960年代より存在していた103系をイメージした通勤電車で、タイトル通り1993年に廃盤となったものを再登場させたセット。
車両は『103系(ウグイス)』(山手線)、『103系(スカイブルー)』(京浜東北線等)、『103系(オレンジバーミリオン)』(中央本線等)を収録。
単品廃盤時の仕様に合わせ屋根はグレーに塗装されている。ウグイスは『電車(緑)』、スカイブルーは『電車(青)』の復刻にあたるが復活の名の割にオレンジバーミリオンは初登場。本来存在した赤はリアリティに欠けるため排除されたと思われる*1
またこの金型としては初めて103系と明記された。60年代の製品でもパッケージには103系の写真は使用されていたものの。

みんなが選んだ復活トリオ(2000年3月)

かつて存在したプラレールファンクラブの会員による人気投票で決まったラインナップを収録したもの。
車両は『457系(ときわ)』、『103系(エメラルドグリーン)』(常磐線)、『103系(カナリア)』(総武線)を収録。
457系は旧動力時代末期に登場し新動力では発売されなかった『急行電車』、カナリアは『電車(黄)』の復刻、エメラルドグリーンは初登場となる。これにて首都圏の103系5色が出揃ったこととなる。
尚急行電車は旧版では2スピード車だった*2が新動力以降時に2スピード化しなかったため1スピードでの復刻となる。また後尾車だけなら後年『鉄道博物館セット』で455系として再登場している。
加えてファンクラブ誌限定販売の内先着100名にはオリジナル硬券風カードが付属している。

JR九州スペシャルセット(2001年12月)

初となるスペシャルセットの名を関する製品。勿論JR九州の車両を収録している。
この時点で「特定の鉄道会社を3編成分」というコンセプト自体は確立されていたもののタイトルが下にある、各車両の背景部が車両側面を描いたものになっている、表面に車両の解説があると後のスペシャルセットとは箱のデザインが全く異なる。
車両は『885系「白いかもめ」』、『787系つばめ』、『883系ソニック』を収録。
いずれも単品に存在する形式で885系は単品と同仕様だがあと2つは床下機器が塗装されており、883系は通常品が最も多い銀顔に対しこちらは1編成しか存在せず883系の中でも特に人気のあった黄色顔のAO-7編成となっている。
本販売の2ヶ月前に小倉駅・博多駅・佐賀駅・熊本駅・大牟田駅・西鹿児島駅・宮崎駅・長崎駅・大分駅のキオスク、およびハガキによる通信販売にて先行販売がされた。

JR西日本スペシャルセット(2002年10月)

スペシャルセット第二弾となるが箱のフォーマットが次のように変更され、以降もこの仕様で定着した。

プラレールロゴ 製品名 TOMYロゴ
1編成目 実車写真 車両イラスト
2編成目 実車写真 車両イラスト
3編成目 実車写真 車両イラスト

車両は『223系(新快速)』、『キハ181系』、『583系(きたぐに)』を収録。
223系は単品がサウンド車両なのでこちらはプラキッズ仕様として差別化している。
キハ181は90年代に単品が廃盤となって以降初登場かつ初のリアルカラー化となる。
583系は初の実車のカラーバリエーションとなっている。
また一般販売前に天王寺駅で先行販売が行われ、その際は特典のステッカーも配布された。

JR東日本スペシャルセット(2002年11月)

車両は『E2系1000番代新幹線 はやて』、『200系 やまびこ』、『485系 はつかり』を収録。
実質的に翌月に控えた東北新幹線八戸延伸記念品で、東北新幹線の新旧車両と東北地方の特急列車をラインナップ。
E2系1000番代は後に単品やセットで再登場するが勿論今回初登場となる。
200系は旧塗装でライトが実車同様の丸型となったリニューアル版として初登場。
485系は雷鳥として単品にあるもヘッドマーク違いとなっている。
プラキッズに乗務員とおじさんが付属するが乗せられる車両は無い。

JR九州スペシャルセット2(2002年11月)

初となる同コンセプトの第二弾。
今回は『885系 白いソニック』、『485系 きりしま&ひゅうが』、『811系 近郊電車』を収録。
白ソニは初登場だが翌年に単品化している。
485系はやはりJR九州の485系には不要な帯モールド付きとなっているが塗装クリアシールで可能な限り再現している。そして後年新規金型でショップ限定品として販売。
そして注目すべきは811系。『人形あそび通勤電車(209系)』の車体に新規金型の先頭部で再現しており、プラレールでの製品化は現状これが最初で最後であり希少価値が高い。

JR北海道スペシャルセット

この辺りからラインナップの攻め具合が本格化し始める。

車両は『スーパー白鳥』(789系)、『釧路湿原 ノロッコ号』(DE10)、『急行利尻』(キハ400)を収録。
789系は単品化しているが残り2つはこのセット限定品。
ノロッコ号のDE10は1660号機に専用金型の50系客車を使用している。
利尻は実車同様きちんとキハで寝台車をサンドイッチする編成で非常にマニアック。加えてキハ40系列もプラレール初登場。後に単品化されたが通常のキハ40のみで、急行型のキハ400はこれが唯一。但し実車は14系だがこちらは金型の都合上既に製品化されている24系を使用している。

JR東日本スペシャルセット2(2003年11月)

車両は『ブルートレイン北斗星』(EF81+24系)、『E231系常磐線』、『DE10 1705号機+オハ47+スハフ32』を収録。
前回が東北新幹線開業記念品だったのに対し今回は在来線特集。
北斗星はJR東日本の顔、常磐線E231系は当時の最新型としての選出だがDE10はかなりニッチな選出。
ぶどう色のDE10は1705号機が唯一で、旧型客車に合わせた塗装ということもあり北関東地区の観光列車で見るタイプである赤帯入りの旧型客車を牽引している。

北斗星は長編成のセット品で、E231系はショップ限定品で再登場したがDE10と赤帯入りの旧型客車はこれが唯一となっている。

JR貨物スペシャルセット(2004年7月)

車両は『EH200-901号機』、『DE10 1192号機』、『EF81 10号機』を収録。
EH200は単品と同時発売だが、単品は量産機の1号機に対しこちらは試作機でブルーサンダーロゴの無い901号機となっている。こちらも単品同様ハイパワーモーター搭載。
DE10は貨物更新色の1192号機。
EF81は側面に正面にJRFロゴがあり側面に「コンテナで信頼を運ぶJR貨物」「夢と希望を運ぶJR貨物」と書かれた10号機。しかしミスなのかこのラッピングで正面にJRFロゴが存在するEF81はもう片方の19号機であり取り違えが発生してしまっている。

加えてそれぞれが牽引しているコンテナもここでしか手に入らない、もしくはセット品でしか手に入らないレア物が多く、このセット限定のV19B(EH200牽引)と下が黒い30A(EF81牽引)、他には後述の2でしか手に入らない20B(DE10牽引)、2とオールインワンセットにしか存在しない24A(EF81牽引)、そして極め付きはこのセット限定な上実物もたった1個しか存在しないピンクの塗装と水色模様と犬のマークが特徴の天井開き試作ハイキューブコンテナの20A(DE10牽引)*3
機関車もこのセット限定の仕様のみで、コンテナ含めて希少価値の高いものだらけのセットとなっている。

蒸気機関車 (くろがね)三勇士(2004年9月)

スペシャルセット発足後初となるスペシャルセットを冠さない3編成でかつ鉄道会社が複数存在するセット。その名の通り蒸気機関車を3編成収録。
車両は『C62 3号機』、『D51 498号機』、『C57 1 SLやまぐち号』とJR北海道、JR東日本、JR西日本の動態保存機(C62は動態保存終了済)となっている。
C62は既存の、C57は今回初登場の新規金型、D51とC57の12系も新規金型と殆どがリアルな造形な一方D51が旧金型なままなのが惜しい。新規金型のD51の登場がもう少し早ければ……*4
新規設計のC57はC57特有の細いボイラーを再現すべく炭水車に動力を搭載し、キャブに機関士を乗せられるようになっており、牽引している12系もプラキッズ仕様となっている。
C62 3は後年イベント限定品で単品化(現在は廃盤)。D51 498は2005年にスチーム仕様で単品化し2010年にセット品として門デフ+集煙装置装備で発売されたが旧金型であるものの完全通常仕様の498号機は今回限りの仕様。C57 1は同年12月に客車含め単品化されたが、今回はグレーロッドで単品は赤ロッドなので珍しい仕様*5

東海道新幹線開業40周年記念スペシャルセット(2004年10月)

東海道新幹線名義だが同時にJR東海唯一のスペシャルセット。
車両は『0系 新幹線』、『100系 新幹線』、『700系 新幹線』を収録。
0系と100系は東海道新幹線引退記念仕様、700系はTOKIOでお馴染みの『AMBITIOUS JAPAN!』ラッピング。
0系はモールドの細かい新規金型となっている。
今となってはいずれも懐かしの存在だが、0系は撤退から5年、100系は1年あまり、700系はラッピングの真っ最中と当時としてはまだまだホットな存在だった。
ラストラン仕様の2本は今回限りの仕様だがラッピング700系だけは黄色車輪化して日車夢工房*6限定品として再登場している。
尚スペシャルセット自体の希少性に加えプラレールの100系はやたら変色しやすく、このセットのものも例外ではないためその意味でも美品の入手難易度が高い。

プラレール45周年記念セット(2005年1月)

40周年以来となる電動プラ汽車と電動プラ電車の最初期の電動車コンビが復活。
電動プラ汽車は赤と黒のオリジナルカラーで歴代トミーとプラレールロゴを描いたコンテナを牽引*7、プラ電車は『電動電車(赤)』、『電動電車(緑)』を収録。
復刻品としては赤は初登場で、いずれも屋根が塗装されていない旧動力時代の姿を復刻したものとなっている。

東武鉄道スペシャルセット(2005年3月)

初となる私鉄のスペシャルセット。
車両は『100系 スペーシア』、『8000系 通勤車両』、『10030形 通勤車両』を収録。
通常品にあるものの東武の顔なので100系はラインナップ。残り2形式は初登場なもののそれぞれ鋼製車の8000系は阪急8000系(奇しくも形式被り)、ステンレス車の10030形は211系の車体を使用、顔は211系のもの使用することで既存金型だけで再現しきった。
8000系は2025年にまさかの新規金型でS品番入りを果たした。10030形は現状唯一の製品化。

名古屋鉄道スペシャルセット(2005年3月)

プラレール冷遇地域である東海圏の救世主。
車両は『1000系パノラマSUPER』、『7000系パノラマカー』、『モ510(旧塗装)』を収録。
1000系はイベント限定品で存在するが屋根未塗装、黄色車輪のクラシックモデルに近い仕様だったのに対しこちらはグレー車輪、床下、屋根、クーラー塗装済、方向幕ありのリアルカラー。
7000系は90年代前半に廃盤となったものの復刻品にあたり、2003年に白帯車が東海地方のショッピングセンターであるユニー限定品としてリアルカラーで登場したため、それに準じたクオリティの赤一色の通常塗装で登場。旧製品は無塗装で形成色がいかにもプラスチックな明るい赤色だったが、今回は少しくすんだ赤の名鉄スカーレットに窓枠やはしご塗装済のリアルカラー。前面の逆さ富士は最末期の電動式で「急 河和」を掲出している。
モ510が単品が新塗装だったのに対し車番違いかつ赤一色の旧塗装となっている。系統板は「新岐阜」。車番もご丁寧に単品が最末期まで残った513と514に対しこちらは早期に廃車された511と515となっている*8
ユニーの35周年記念品にあたり、ユニー発売分にはその旨を示すステッカーが貼られている。
7000系はユニー限定品で同時期に白帯車が、後年プラレールアドバンス及び日車夢工房限定品で通常塗装が再登場している。

名鉄は東海圏では根強い人気を持ち、大手私鉄の一員であるにもかかわらず前述の通り当時は勿論現在に至るまでプラレールではかなり冷遇されている*9ため、私鉄セットとしては恐らく今最も人気が高いセット。

小田急電鉄スペシャルセット(2005年6月)

車両は『ロマンスカー50000形』、『ロマンスカー10000形』『2600形フラワートレイン』を収録。
50000形VSEはS品番入りしているが、中間車の向きが反転しており通常品と揃えると編成の向きを揃えたまますれ違い走行が楽しめるという地味ながら嬉しい仕様*10。10000形HiSEは中間車に横線が入った旧塗装でブルーリボン賞受賞ヘッドマーク付き。2600形は通常塗装が事業者限定品で製品化されたためラッピング車両を製品化(同時に2600形が全国販売された唯一の事例)。
加えて小田急電鉄直売限定でこれらの単品化も行われたが、殆ど告知もされず入手手段も限られていたため非常に希少な品となっている。

ここまで私鉄セットが3連続で発売されたが、いずれも既存車両の塗装違いか既存金型を組み合わせただけの車両のみで新規金型は現れず、後述の事業者限定品を除くと私鉄セットもこれにて終了した*11

山手線環状運転80周年記念スペシャルセット(2005年8月)

山手線が1925年に環状運転を開始してから2005年で80周年を迎えたことを記念したセット。
車両は『E231系 500番台』、『205系 ADトレイン』、『103系(高運転台)』を収録。最新型、先代、先々代がラインナップ。
E231系はオールインワンセットに、205系は単品にあるのでそれぞれデビュー記念とADトレイン*12のヘッドマークを装備。E231系の中間車はドア開閉仕様。
そして目玉はなんといっても103系。プラレールの103系といえば前述のプラ電車のみだった。60年代の金型が元ということもあり90年代時点でもう時代遅れとなり、一度だけリアル装飾化したことがあるものの2000年代では基本的にはレトロ品のポジションにある状況だった。そんな中なんと細部までモールド表現や細かい塗装がなされたリアルな完全新規金型で登場。当時の時点で一線を追われている車両だっただけに破格の待遇である。しかも先頭部を別パーツとしており、先頭部を取り替えることで低運転台仕様にすることも可能な優れモノ。翌年にはJR西日本限定品として低運転台の大阪環状線用車両が早速登場。
これ以降もスペシャルセットを中心に何度か登場し、スペシャルセットの展開終了後もショップ限定品や期間限定として時折再登場の機会があるも入手手段や期間が限られているため即入手困難品と化す大人気製品となっている。2025年に埼京線として久々に発売された際も大きく話題となり、即完売となった。

JR四国スペシャルセット(2005年9月)

これにてスペシャルセットでJR7社が出揃った。
車両は『5000系マリンライナー』、『2000系しおかぜ』、『キハ40 四国色』を収録。
5000系と2000系単品にもあるので5000系は帯色がM4〜6編成のオレンジのもの、2000系が単品の『南風』に対してこちらは『しおかぜ』にして差別化。キハ40の四国色はこのセット限定でかつ単品には無い2両編成仕様。
いずれも黄色車輪となっている(キハ40以外単品はグレー車輪)。

京浜東北線スペシャルセット(2006年3月)

車両は『209系 500番台』、『209系 0番台』、『103系』を収録。
209系が2本いて205系がハブられているがスカイブルー帯はJR西日本車としてS品番入りしている*13ためと思われる。
京浜東北線の209系0番台は2001年のイベント限定品以来の登場、500番台とスカイブルーの103系は初登場。
また2001年版の方は金型の都合上*14顔だけ209系で205系の車体を使用していたため正しい209系としては初となる。

歴代つばめスペシャルセット(2006年3月)

恐らくスペシャルセットの中でも最も伝説的な存在。
車両は『C62 つばめ』、『EF58 つばめ』、『583系 つばめ』を収録。
九州新幹線開業にあやかったと思われるセットだが、800系は単独でオールインワンセットにあり、787系は単品に存在するので国鉄時代に戻ってしまった
『つばめ』としてはC62は1950〜1956年、EF58は1956〜1960年代初頭、583系は1968〜1975年の運用、最終的には山陽新幹線開業により廃止された列車であり、2006年時点でも子供には全く縁も無く、親どころか祖父母世代の車両ばかりというとんでもなく渋いラインナップ。583系以外は実車写真もモノクロ。
C62は『つばめ』専用機として除煙板につばめのマークが付いたスワローエンゼルだが、有名な方の2号機(現在も動態保存されている)が既に製品化されているのでつばめが少し下を向いた「下りつばめ」の有名じゃない方の18号機(現存していない)となり、幹線華形特急の一等展望車である茶色のマイテ49 2を牽引。
EF58は機関車・客車共にライトグリーンが眩しい青大将色の86号機で、旧型客車とマイテ49 1を牽引している。リアルなカラーリングだがEF58に青大将には不要な帯モールドがあるのが少し残念。
583系は2001年の最初の復刻品以来となる通常塗装で*15、JNRロゴもモールドではなく銀色の印刷表現により美麗に再現。プラレールの583系は色んな意味で有名*16だが今回が最後の登板となった。

このセット自体あまりに子供ガン無視でマニアックすぎるせいか当時はあまり人気が無かったようで、大手家電量販店の通販サイトを確認すると定価5,229円が最終的に980円にまで値崩れしていたことが判明している*17
しかし今となっては成人層のファンが増えたことやブッ飛んだチョイス、クオリティの高さ、いずれも今回限りの仕様ということもあって再評価され、人気の高い品となっている。

総武線スペシャルセット(2006年11月)

タカラトミー移行後初のスペシャルセット。
車両は『E217系(ダブルデッカー)』、『205系』、『103系(高運転台)』を収録。
E217系は単品が平屋中間車なのでダブルデッカーグリーン車に、205系は1999年の初回生産限定品(性質上希少品)以来、103系は新規金型でこの塗装は初登場。
更にE217系は側面方向幕入り、205系は従来はシール処理だった前面デザインが印刷表現となっており細かい点がハイグレード。しかし金型の都合上E217系の中間車には不要な211系由来の帯モールドがあり、205系は総武線車両には存在しない乗降扉の窓が小さいタイプとなっている。

常磐線スペシャルセット(2007年1月)

車両は『E531系』、『455系 グリーンライナー』、『103系高運転台さよなら103系』を収録。
E531系はE217系とは逆に単品がダブルデッカーなのでこちらが平屋中間車、455系は455系列としては初のカラーバリエーション、103系は2006年3月に引退したばかりなためかラストラン仕様となっている。ちなみにラストラン仕様ではない常磐線103系は現在未登場(カプセルプラレールでのみ存在)。

中央線スペシャルセット(2007年3月)

車両は『E257系あずさ』、『E233系』、『103系高運転台特別快速』を収録。
E257系は単品と同時発売で、単品とは中間車の塗装を変えているが何故か前後非貫通というよく分からない仕様で差別化されている。じゃあE351系は?と思うかもしれないが……
最新型のE233系はプラレール初登場。車体は209系の使い回しなのでパンタグラフがシングルアーム式ではないのが残念。後に単品化されるがこちらは特別快速、単品は快速とすることで差別化されている。
103系は中央線名物の「」のヘッドマーク付き、国鉄時代に撤退済なのでJRマーク無しとなった。そしてこれにて新規金型でも103系の首都圏5色が出揃った。

JR貨物スペシャルセット2(2007年6月)

車両は『EF510 2号機』、『EF65-1000 1042号機』、『EF65 500 535号機』を収録。
EF510は先行量産機の1号機が既に製品化されていたがレッドサンダーロゴ入りの量産機は初登場。9月に単品化するがあちらは4号機と差別化されている。
注目すべきはEF65二種。EF63の顔を取り替えることで、非貫通P型の535号機と貫通顔PF型の1042号機がリアルな金型で登場*18。535号機はJR貨物の500番台としては最末期まで残っていたものでかつ国鉄色だったため非常に人気の車両だった。
500番台はこれで最後、1000番台は度々製品化され現在はS品番入りしているがこちらはプラレール唯一の貨物更新色となっている。
機関車だけでなくEF510の牽引している貨車にも注目。日本石油輸送のタキ43000が付属しているが、まさかのリアルな新規金型となっている。タキ43000自体は既に製品化されていたが、トーマスシリーズ由来の金型を使用したリアリティに欠ける仕様だったためクオリティの差は一目瞭然。
その後セット品や単品で塗装・車番・日本オイルターミナル所有車が多数登場し、プラレールの貨物列車に新時代をもたらした。

JR西日本スペシャルセット2(2007年6月)

車両は『683系(しらさぎ)』、『103系(関西本線)』、『0系 新幹線 こだま フレッシュグリーン』
いずれも既に存在する形式だが塗装バリエーションとして初登場。
103系はウグイス色と山手線に似ているがこちらは低運転台で白帯入り。0系フレッシュグリーンは翌年6両編成で登場するがこちらは前照灯が黄色塗装で表現されている。
683系2000番台は2015年に直流専用の289系と化し、2024年に0番台を塗装変更の上再度『しらさぎ』に投入したが2000番台とは違う塗装となったため旧塗装での再製品化は絶望的と思われるので今回限りの仕様になるだろう。
大和路線の103系は今回限りの仕様。

長野新幹線開業10周年スペシャルセット

その名の通り長野新幹線(北陸新幹線)開業10周年記念品。ということで現行車両と開業直前の横軽名物ロクサンが登場。
車両は『E2系 新幹線 あさま』、『EF63 電気機関車(サウンドプラレール)』、『L特急 あさま(動力無し)』(189系)を収録。
E2系は非連結仕様で単品と全く同じだが注目すべきはEF63と189系。
元々これらはセット品で存在していたがセット品ではEF63が直流機色、189系があさま色だったがこちらはEF63がぶどう色の茶釜で最終増備車の24・25号機、189系が国鉄色となっている。
最初のセットと組み合わせることで塗装の組み合わせの違いを楽しむことが出来る。
ちなみにEF63は最初のセットが11・12号機で、今回が24・25号機となっているが、これらは全て現在碓氷峠鉄道文化むらで動態保存されている車両から選出したためと思われる。24・25号機も現在は直流機色に戻されている。

JR東日本新幹線アニバーサリーセット(2007年11月)

東北新幹線開業25周年記念品にあたる製品。
車両は『E1系新幹線 Max(登場時)』、『400系新幹線 つばさ(登場時)』、『200系新幹線(K編成)』を収録。
E1系の旧塗装は6月に新塗装化して廃盤となったばかり、400系の旧塗装の連結仕様及び200系の連結仕様は初登場だが記念品の割に水増し感のある仕様だった。
200系は倒れ込むように展開される実車の連結器の展開方式をプラレールで再現することは困難だったためか位置はそのままにスカートごとマグネット面がせり出すという大胆な構造に。連結してしまえばスカートの欠けも特に気にならず、制約の中で実車に近い展開状態を保てる秀逸な機構となっている。
連結仕様なのでパッケージは200系と400系の部分は実車写真とイラストの代わりにプラレールの連結面の写真が大きく使われている。
しかしE1系旧塗装もすっかり懐かしの存在、後述のセットまで400系旧塗装の連結器仕様は未登場、200系の連結仕様は後にも先にもこれだけという希少価値が再評価されつつある。

JR北国スペシャルセット(2008年1月)

車両は『キハ40 カニ+キハ40 キツネ(動力無し)+キハ40 イカ(動力無し)』、『キハ183系 おおぞら』、『485系3000番台 白鳥』を収録。東北・北海道の車両をラインナップ。
キハ40はかつて存在し、発売時点で消滅していたJR発足10周年記念の塗装を再現。カニは釧路、キツネは旭川、イカは函館と各地の名物となる生き物を描いた可愛らしいデザインで、1両ずつ北海道各地に配置された。動力車はカニのみで、残り2両はカニに牽引される形となるが各車配置が全く異なる場所だったためこのような編成は鉄道の日イベントでしか見られず、製品化されていない北海道色も編成されていた。箱も各車両のデザインを見せるべく3両分の窓が設けられており、車両イラストと写真は省略されている。
キハ183は今回初登場の新規金型かつ国鉄色で登場。
485系は既に存在した日光の先頭部パーツを替えることで再現している。
この塗装のキハ40とキハ183はこのセット限定で、キハ183はとかち色と旭山動物園号で単品化したが485系3000番台は今回限りとなった。

スーパー列車大集合セット -新幹線・SL・貨物列車-(2008年9月)

今回は様々な部門での「ナンバーワン」を記録する車両をラインナップ。
車両はスピード(営業運転速度)No.1の『N700系 N1編成』、エンジンスケールNo.1の『C62形 2号機』、パワーNo.1の『EF200形電気機関車』を収録。
N700系は製品化の機会に恵まれているがC62 2は5年ぶりの製品化。そして注目すべきは新規金型でプラレール初登場*19のEF200。しかも当時の時点で消滅済の旧塗装となっている。後述のように新塗装は何度か製品化されたが旧塗装は今回限りの仕様で希少価値が高い。
ちなみにこのC62、一部前述の18号機に使われる下りつばめのロゴが印刷されてしまったミスロット個体が存在する。

スーパー列車大集合セット 〜No.1列車がいっぱい〜(2012年12月)

前回に引き続きナンバーワン車両をラインナップしているが一部ラインナップが変更された。
速度No.1は記録更新が発生したため『E5系新幹線』に変更、出力No.1はそのまま(部門名が若干改称)『EF200形電気機関車』が続投、もう一つは部門自体変更されて製造数No.1の『D51形蒸気機関車』に変更。
E5系はデビューしたてで人気こそあったもののセット品限定で希少価値が高く、EF200は新塗装の14号機でしかもプラレールでは入手難易度の高い日本オイルターミナル所有のタキ43000を牽引、D51は保存されておらず今回限りの151号機で貨物機らしくレム5000を牽引と子供人気のE5系と大人が喜びそうな貨物機という絶妙なラインナップとなった。
いずれもS品番入りしている形式だが、新動力で非連結仕様のE5系はこのセット唯一(連結仕様は他で2セット存在)、EF200は再登場の度に車番が変わるため14号機としての製品化は唯一*20、非保存機故に再登場が絶望的であろう151号機とよく見るとありふれていそうで唯一無二の仕様を持っている。

新幹線アニバーサリースペシャルセット(2017年10月)

新メカ時代初のスペシャルセット。そのため車両名のフォントが現行の新メカ用箱のものと同様になっている。
その名の通り東北新幹線系統でキリのいい年を迎えた路線をラインナップしている。
車両は山形新幹線開業25周年の『400系新幹線つばさ』、秋田新幹線開業20周年の『E3系新幹線0番台こまち』、東北新幹線開業35周年、八戸延伸より15周年の『E4系新幹線Max』を収録。
400系とE3系0番台の新メカ版は初登場で、E4系は400系に牽引される前提の無動力の新メカ台車を使用している。新メカ台車なので400系と台車を入れ替えることでE4系を先頭にすることも可能。
この無動力台車がさりげなく優秀で、軽いため走行中連結が外れるリスクが下がり、底部のギミック動作用の窪みが無いため自動ポイントレールなど動力車の通過に反応するタイプのレールや情景を問題無く通過出来るという特徴がある。2025年にE259系のセットで登場するまでは唯一だった。
全て連結仕様となっている豪華仕様だがこのセットだけで実際の組成を再現するとE3系が余ってしまう。仕方無くE4系と連結させると……
400系は2018年に単品化、400系とE4系は2022年にセット化、E3系0番台は2023年に200系カラーのE2系とセット化したがいずれも単発品なので結局入手困難品となっている。


事業者限定品

鉄道会社直接のグッズとして発売されたタイプ。
いずれも2010年代の製品で、スペシャルセットの名は冠していない。

京急トリプルセット(2016年5月)

初となる事業者限定品3編成セット。新メカ発足後のセットだが京急は新動力のためか従来通りのフォーマットを使用している。
車両は『京急2100形 KEIKYU BLUE SKY TRAIN(サウンドプラレール)』、『京急新1000形 KEIKYU YELLOW HAPPY TRAIN』、『京急600形』を収録。
既に発売済のイエハピと初登場のブルスカと通常塗装の600形のセット。いずれも最終的には単品化されているが単品とは方向幕が違うという事業者限定品ならではのこだわりが存在する。
2100形はサウンド車両で京急名物ドレミファインバータが楽しめる。

京急リラックマトレイントリプルセット(2018年4月)

2018年の『リラックマ』ラッピングの3編成セット。こちらも箱フォーマットは従来通り。
車両は『新1000形 KEIKYU TRAD TRAIN「リラックマのイチゴお祝い号」』『京急600形 KEIKYU BLUE SKY TRAIN「コリラックマ&チャイロイコグマ がおがお号」』、『新1000形 KEIKYU YELLOW HAPPY TRAIN「しあわせのキイロイトリ号」』を収録。
同月中に単品化したがこちらも例によって方向幕違いとなっている。

京成・都営・京急 相互直通50周年トリプルセット(2019年3月)

京急本線都営地下鉄浅草線京成本線の相互直通運転記念50周年を記念したセット。箱フォーマットが新幹線アニバーサリーセットと同様になった。
車両は『京成 3050形』、『都営 5300形』、『京急 1500形』を収録。
3050形は2010年の京成電鉄限定品以来、残り2本は新規金型。
3050形の金型は2010年のままなので唯一新動力のまま。5300形は新型車両の5500形が投入され始めた時期にまさかの製品化となった(5500形も後に製品化)。1500形はラッピング車両の『京急120周年の歩み号』として2月に先行登場していた。
注目すべきは方向幕。相互直通運転をテーマにしたセットだけに3050形が「アクセス特急 西馬込」、5300形が「✈快特 羽田空港」、1500形が「✈快特 成田空港」と直通先の行先になっているのがポイント。
1500形と5300形も単品化したがやはり方向幕違い。

西武鉄道9000系(イエロー・レッド・ブルー 3色セット)(2023年12月)

9000系の原色とラッピングを剥がして塗装だけそのままになった赤と青をセットにしたもの。同形式の色違いというある意味事業者限定品でしかなし得ないセット。
単品売りと同時発売だが単品が1本3,300円に対しセットが9,000円なのでお買い得。


現在は上述の『新幹線アニバーサリースペシャルセット』がすべて実在する車両かつ3編成セット商品としては事実上最後となっている(事業者限定品はあくまでも「その鉄道会社の商品」であり、おもちゃ店での全国販売は原則されないため)。
ただし現行商品で言えば『E257系踊り子*21&サフィール踊り子ダブルセット』や『ありがとう!E217系横須賀色&湘南色ダブルセット』、『新幹線開業60周年記念 0系新幹線ひかり1号&超特急ひかり号*22セット』のように、スペシャルセットシリーズの「関連性を持った組み合わせにはするが、併結遊びのように編成同士で連動はしていない」商品はみられるし、廃盤品でも東京メトロ関係は「異なる2路線のセット」がなかば定番だった時期も長かった(半蔵門線08系+日比谷線03系、同じく08系+有楽町線・副都心線10000系など。銀座線旧2000系+丸の内線500系*23なんてぶっ飛んだセットまである)。

そう考えれば、スペシャルセットで得られた知見・「売り方」自体は現在のプラレールでも活かされているとも言えるだろう。


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最終更新:2025年11月13日 20:51

*1 一応赤い103系自体は実在するがJR発足後に登場したタイプであり直接のモデルではなく、色合いもプラレールのような明るい赤ではない。

*2 旧動力の2スピード車なので現行の2スピード車とは機構が全く異なる。

*3 現在は廃棄されているが民家の倉庫に転用されていることが確認されている。

*4 2005年にスチーム機能搭載で登場し、2010年に通常仕様で発売された。

*5 2008年にJR西日本限定品でグレーロッド版が再登場したが事業者限定品であり入手手段が限られており全国品はこのセットでは唯一。

*6 2017年まで存在した車両製造メーカー日本車輌製造が展開していたグッズ販売部門。

*7 デザインはそれぞれトミーロゴが富山商事時代のくまマーク、男の子と女の子が描かれた1964〜1981年使用のなかよしマーク、プラレールロゴが1966〜1696年使用の緑のテントマーク、1973〜1986年使用の0系が描かれたマークとなっている。

*8 511はモ510の中で唯一現存していないが515は名古屋市内の飲食店で車体のみ保存されている。

*9 これ以外の車両はS品番で2000系ミュースカイが出てそれっきり、今も発売こそされているが組成変更による中間車のパンタグラフ移設や運行形態整理時の種別名の変更も反映されず何故か新メカ化もされない(構造上新メカ化が出来ない一部機関車を除くと新メカ移行前から継続してS品番で販売されているS品番車両としては唯一)時代遅れな仕様、たまにラッピング車両が出るも中間車の金型が更新されていないため見た目がおかしい。イベント限定の1000系も東海地方では入手不能。他の私鉄セットの東武鉄道と小田急電鉄はS品番・事業者限定品も非常に充実している。

*10 後年70000形でも事業者限定品版でこの仕様が採用されており、小田急電鉄製品以外では見られない仕様。

*11 数年後東京メトロからダブルセットが多数発売されることとなるが。

*12 編成丸ごと特定の企業が広告枠を貸し切った編成。

*13 2010年に京浜東北線E233系に置き換えられて廃盤。

*14 209系の金型は人形遊び用の車両として作られた特集な構造である関係上翌年E217系を発売する際に金型を改修するまでは通常車両として使用することが出来なかった。

*15 正確には2003年のアメリカのとある企業が非売品ノベルティとして旧製品に近い仕様で復刻している。JNRロゴのモールドもここで削除。

*16 詳細はプラレールの項参照。

*17 参考までに当時の車両単品価格は1,800円程度である。

*18 501号機は旧金型で製品化済。

*19 製品化の予定自体はあったようだが。

*20 前述の1号機、『いっぱいつなごう EF200とタンク車セット』の19号機、今回の14号機、『S-38 ロングコンテナ列車』の18号機。加えて18号機の登場までは完全にセット品限定だったためEF200を入手可能というだけでも十分貴重。

*21 他の番台が代走することも多いが、基本の『踊り子』通りに2000番台がモデル。

*22 プラレール製品化初期の「紅白の0系」がモデル…というか現行の商品基準に変更して再販売。

*23 それぞれ1993年・1995年に引退。後者は葛西の地下鉄博物館の301号がほぼ外見的に同型と言えば当時でもいかに「古い」チョイスだったかわかるか