おばあちゃん(世にも奇妙な物語)

登録日:2012/01/21(土) 21:52:40
更新日:2020/09/22 Tue 14:05:47
所要時間:約 3 分で読めます




世にも奇妙な物語の、2001年秋の特別編に放送されたエピソードの一つ。同時放送されたのは『ママ新発売!』等。
後に『世にも奇妙な物語 小説の特別編 悲鳴』(角川ホラー文庫)にノベライズ版が収録された。


◆プロローグ
タモリ「人生は始まってしまうと、幕を下ろすことはできません。何があっても、演じ続けなければいけません。たとえ、役回りが変わったとしても…」


◆あらすじ(以下ネタバレ)
幼い少女、美保(柊瑠美)は両親(深浦加奈子・樋渡真司)に連れられ静かな山の中の病院にいるおばあちゃん(草村礼子)のお見舞いに行く。
しかし、みほの母は「夫は次男なのに何故長男夫婦ではなく私達ばかり」、「あんな姿じゃ行ったって行かなくたって分からない」とものすごく不満そうな彼女を「兄さん達には子供もいないし、母さんも寂しいだろうから」と咎める父。
おばあちゃんはもう長くなく、さまざまな医療器具のチューブにつながれ、意識もないようだ。

両親がお医者さんと話をしている間、美保は病室に残される。

医師との話でもやはり「奇跡を待ってるようじゃこっちが持たないからはっきり(死ぬと)言ってくれ」と厄介祓いをしたいのを隠そうともしない母親。
おばあちゃんと山奥の病院の部屋で二人きりなのが心細くなって部屋を出ようとしたその時、美保を呼び止めるおばあちゃんの声が頭に響いた。


おばあちゃんは美保に自分は明後日の朝に死ぬこと、その上で子供の頃離れ離れになってしまった弟に会いたいこと、そのために美保と一日体を交換してほしいことを話した。

美保は自分がおばあちゃんの体になり苦しみを味わうことに戸惑い、一度はそのお願いを断った。
しかし、おばあちゃんが諦めたように優しく「このまま逝くのは寂しいからつい言ってしまったが、美保と話ができただけでも充分だよ」と言ったのを聞いていたたまれなくなり、結局体を交換することにした。

美保の体のおばあちゃんは、明日必ず帰ってくると約束し、両親と共に病室を出ていく。

翌朝。
おばあちゃんは美保の体でけんけんしたり、「一掛け二掛け三掛けて」と童歌でお手玉したりした後、家を知っていたその男の人のところへ行く。


自分と同じように年老いて、食事も一人でとれず寝たきりになっているその人に心を痛める。
彼はサダオといい、弟ではなく親が決めた相手がいた為結ばれる事が叶わなかったおばあちゃんの好きだった人だった。
彼の手を握り、まだお告げが来ていない事を悟ったおばあちゃんは、「せめて少しでも食べて、生きる事を楽しんで」と願い、親の決めた相手がいて結婚できなかった事は怒っていない事、結婚し、家族が増えた後も片時も忘れた事は無かった事、そして向こう(あの世)で会えたら沢山話をしようと呟く。
(小説版では言葉こそ何も返さなかったが、サダオが自分の言葉を理解している事をおばあちゃんが感じ取る描写がある)
しかし、その直後世話をほっぽり出して長電話をしていたサダオの家族に見つかり、学校へと連行されてしまう。

駆け付けた母は娘の心配より先に手を出し、親をなんだと思っているんだと怒鳴り散らす。
しかしその隙におばあちゃんは母の財布をひったくって脱走し、急ぎ病院へと向かう。

その頃美保は、おばあちゃんの体で苦しみを味わっていた。
医者にも容態が急変しかけても(時間が遅かったというのもあるとはいえ)「(家族への連絡は)朝になってからでいいだろう」と意識もなく言った事が分からないだろうと思っているのをいい事にそう言われ、器具をぞんざいに扱われる程だった。

どれだけ苦しんでも声も出ず、謎の光(恐らく死の暗喩)に飲み込まれかけながらもおばあちゃんの帰りを祈る美保。

山の途中で資金が尽き、タクシーを飛び出しておばあちゃんは夜の山を走る。子供の体には山道は険しく、傷だらけになりながらも、走りつづける。


そしてなんとか間に合い、おばあちゃんは病室に飛び込む。

「おばあちゃん…!苦しかったよ…」

「すまなかったね…でもおばあちゃん…会う事が出来たよ。ありがとう、美保…!」


これで思い残すこと無く逝ける、とおばあちゃんのお礼を聞き、美保はこれまでの苦しみが報われた気がした。
そして、美保はようやくおばあちゃんの体から解放される――

その朝、予め言っていた通りに、おばあちゃんは死んだ。
でもきっと、あの苦しみから解放され、あの世で楽しく過ごしていることだろう…。



そして月日は流れ、30年後。
父親は既に亡くなり、成長した美保(片平なぎさ)は、一昨日亡くなった母親の通夜をしていた。
最後の三年間、あの時のおばあちゃん同様管の繋がった体で何も訴える事も出来ず病院で寝たきりになった母親を、美保は手厚く介護したのだった。




































誰もいなくなった部屋で、ふと美保は、一枚のハンカチを結び、お手玉のように遊びはじめる。

「一掛け、二掛け、三掛けて…」

「四掛けて、五掛けて、橋を掛け…」

「十七・八の姉さんが、花と線香手に持って…」

あの日、おばあちゃんが歌っていた童歌――














「美保にはすまない事をした…」



あの日死んだのは、おばあちゃんの体の美保だった。やはり、元に戻る事は出来なかったのだ。

「まだやり残したことがあったからね」

「だって不公平だろ? この女にも苦しい思いをさせなきゃ」

「望まない延命装置、山奥の病室への隔離。全てあの女が私にしてきたことだ」

「不公平だろう?私ばっかりじゃ…」

おばあちゃんは、美保の顔で冷ややかに笑い、その手からは結ばれたハンカチがポトリと落ちたのだった――


◆備考等
幼少の美保を演じたのは、当時『千と千尋の神隠し』で千尋の声をつとめて話題になった柊瑠美。

途中までは感動系の話と見せかけて、最後の最後での非常に後味の悪いどんでん返し。
そのラストシーンへの童歌の演出や片平なぎさの短いながらも狂気の演技、そしておばあちゃんの身勝手な行動などがいかにも世にも〜らしく、ファンの間でもホラー系、ブラック系話としてかなりの好評価を得ている。

小説版「世にも奇妙な物語ドラマノベライズ 逃げられない地獄編」ではこの話が小説化されており、ドラマ版と同じ様に死への恐怖は無かったが、元に戻る時におばあちゃんの手がふっと離れ、おばあちゃんが死んだ…へと繋がるのだが、実際は元に戻る寸前に美保の母親への復讐を思い出してとっさに手を離し、美保はわけも分からぬまま死んでしまっただろう、とラストでおばあちゃんの口から語られるなどそのシーンで書かれた文の「おばあちゃん」というのは「美保の体のおばあちゃん」であったという驚愕の真実が明らかになり、その後も入れ替わる前の自分や息子、美保の体である自分をいいように操ってきた「お母さん」と呼ぶ様になって久しい彼女の遺影の前で、「お母さん、美保には会えた?」と密かに呟くなど、より彼女の狂気的な部分が書き加えられている。
母の最後の三年間の部分も、美保の母が自分にしてきた事、言った言葉をそのまま返していたと書き加えがされている。


追記・修正は自分をぞんざいに扱った女にも苦しい思いをさせないと不公平だと思う方がお願いします。

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最終更新:2020年09月22日 14:05