ロザリオとバンパイア

登録日:2023/10/10 Tue 10:30:00
更新日:2024/03/23 Sat 23:07:25
所要時間:約 2 分で読めます





【概要】

ロザリオとバンパイアは月刊少年ジャンプで連載されていた池田晃久(現・紗池晃久)原作の漫画作品。
読み切り1作の掲載を経て、主人公とヒロインの大筋以外の設定を大幅にアレンジした上で本格的に連載を開始。
読み切り版は下に記す解説書に解説付きで掲載されている。

同誌でもかなり高い人気を誇っていたが同誌の廃刊によって一旦展開に区切りをつけ、後に『ロザリオとバンパイア season II』と改題した上でジャンプSQに移行。
『ロザリオとバンパイア』名義で全10巻、『seeson Ⅱ』名義で全14巻の合計24巻。世界観などの解説書として『陽海学園入学案内』が別途に1巻。
ファンからの通称はロザバン。

基本的にはハーレム系学園ラブコメを主軸にシナリオが展開され、萌えギャグ…特にエロネタに関してはパンチラ胸チララッキースケベなんぞ通過儀礼。
『Seeson Ⅱ』に入ってからは更に加速し、もはや某ラブコメにすら比肩するレベルの展開すらドカドカ挟まれ始める。
だがその合間で男主人公とヒロインとのラブコメもしっかり進行し、中盤に入るまでは良くも悪くも常識人な主人公とのすれ違いや軋轢、それ以降も激動する展開の中多角的な視点から両者の交流をしっかり描き切っており、主人公もヒロイン一筋を貫く為正統派ラブコメとしての質も高い。

そしてジャンプの作品という事で、バトルに於いても余念は無い。
このテの作品では戦闘があってもヒロインの可憐さを損なわない為あまり激しく描かれない・ギャグ半分で済まされる事が多くなりがちだが、本作のバトルの大半は生死をかけた激戦が占めている。
主人公は大抵半死半生の重傷に追い込まれる。

それでも『ロザバン』後半までは戦闘中でもそれとなくパンチラしつつ基本的にヒロインが覚醒すれば勝ち確と言っても過言ではなかったが*1、『Seeson Ⅱ』から彼女と比肩・或いは普通に凌駕する敵が多く出始め、それに釣られるように主人公をはじめとした主要メンバーたちもメキメキ実力を身に着けだし、後半になると完全にインフレバトル漫画としての道を突き進む事となり、戦闘中のスケベ要素も皆無になる。
そして後半以降はヒロインたちも容赦なくバトル漫画仕様でズタボロになる

そしてもう一点、特筆すべきは画力の凄まじい上達具合
『連載中に画力が上達していった作品は何か』という話題になるとまず間違いなく本作が挙がる程で、同誌かつ同時期に連載していた覇者の剣に並んで連載が進むにつれて画力もインフレしていく。
当初はデビュー作『綺流斗』からの作風変更に四苦八苦していた事もありやや大味で若干拙さが残っていたが、みるみるうちに粗が整いやがて更なる美麗さに磨きをかけていき、『Seeson Ⅱ』の中盤以降は本当に同じ作者なのかと疑いたくなる程の作風で萌えギャグもバトルもシリアスも存分に彩ってくれる。
主人公に至っては『ロザバン』1巻と『Seeson Ⅱ』の終盤ではほぼ別人のイケメンと化している(戦闘力・人間的な意味でも*2)。

2006~7年に集英社ドラマCDシリーズから2本ドラマCDが発売された事を皮切りに、アニメ化を主軸に小説やゲームなどメディア展開がなされた。


【ストーリー】

普通の少年青野月音は高校受験に失敗するが、父親が偶然書類審査だけで通れるという『私立陽海学園』の入学案内を持ってきた事により、高校浪人だけは何としても避けたいと藁にも縋る想いで入学した。

だが、バスで長いトンネルを抜けた先にあったそこは、妖怪やモンスターたちが通う文字通りの妖怪学園だった。
日本とは思えない荒涼とした光景の中佇むその学園は、将来妖怪が人間界で人間と共存する為の知識や技能を身に着ける施設で、人間は自分ただ一人、…に留まらず『人間が紛れ込んだら死んでもらう』という鉄の掟に仰天する。

早速凶暴なチンピラ妖怪に目をつけられ、その常軌を逸した力を目の当たりにしてここに居るべきではないと逃げ帰ろうとしたが、偶然出会った美少女、赤夜萌香に一目惚れし、自分なんかにも親身に接してくれる彼女と共に学園でがんばっていいこうと決める。
だが萌香の本性は最強格の大妖であるバンパイア。
しかも自分なんかに何の魅力を感じたのか一癖も二癖もある女の子たちが次々と自分目当てに集まってきて、挙句そんな自分に因縁をつけてつけ狙う凶悪な妖怪まで現れて…。
萌香にちゅーっと血を吸われ、女の子たちにもみくちゃにされ、時に悪との戦いに立ち向かいながら、月音の息つく暇もない波乱万丈な学園生活が始まる。


【登場人物】

  • 青野月音(あおのつくね)
CV:岸尾大輔(現:岸尾だいすけ)
主人公。
成績オール3のどこにでもいる普通の少年だったが、偶然陽海学園に入学してしまったことから大変な青春を送ることになる。
人間であるため妖怪にはついていけないが、優しく人見知りしない器の持ち主であることから主に美少女と敵友達を増やしていく。
絶賛ハーレム生活を謳歌する一方、妖怪が好む生気や血の持ち主という事で序盤はしょっちゅう(主に)美女妖怪に血肉を狙われ、妖怪と人間との倫理や感性の違い、何より『人間』としての自分との対等な理解者が居ない環境に一時期悩み苦しむ事もあった。
+ 最初は一般人だったのだが…
彼の正体を見抜いた公安委員会の最高幹部である九曜に瀕死の重傷を負わされ、裏萌香から命を救うために彼女の血を与えられ一時的に「半吸血鬼化」する事が増えていき、無印版中盤ではその血の力を使い過ぎたせいで暴走
あわや理性を無くした怪物「食屍鬼(グール)」に堕ちかけたが、謎の「退魔師」によって鎮圧され彼から与えられた「魔封じの鍵」(ホーリーロック)による封印で何とか理性を取りもどした。
…だがあくまで「魔封じの鍵」は「吸血鬼の力の抑制」でしかない事、そして鍵を与えた「退魔師」こと学園理事長がなぜか月音が進んで鍵を超え、力を使うような状況へと誘導していった事で、吸血鬼化は徐々に進行していき…。
また力を得たと言っても『Seeson Ⅱ』途中までは吸血鬼化でブーストされた腕力だけで戦っていたのだが、後半では周囲の猛者に追いつけなくなった上耐え切れず再び食屍鬼化が発生する程の過酷な人体改造を自ら受けた事で妖術行使能力も取得している。

  • 赤夜萌香(あかしやもか)
CV:水樹奈々
メインヒロイン。
ピンク色のロングヘアの美少女。
温和でやや天然の混じった優しい子で、月音を人間でも構わずに受け入れた最初の妖怪。
とはいえ子供の頃母アカーシャが謎の失踪をし、それと共にある事情から生家「朱染家」から人間の世界へと移されるも学園入りするまで友達が出来なかったという辛い過去を抱えている*3
種族は「力の大妖」と称されるバンパイアで、見た目に反してものすごい怪力の持ち主、ただし心優しい性格によってかなり抑制されており、普段はそれを発揮する事は無い。
月音の血の味がお気に入りで、月音はよくヤバいところまで吸われている。

  • 裏萌香
CV:水樹奈々
萌香が肌身離さずつけているロザリオによって封印されている、彼女のもう一つの人格。
月音がロザリオを外すと一時的にこの人格が顕現する。
表とは正反対の高潔かつ冷酷な女傑で、敵対者は『身の程を知れ』という言葉と共にバンパイアの力(主に足技)を遠慮なく使って叩き潰す。
しかし萌香のことは何だかんだ思いやっており、時にさりげなく助力や助言を与えることもある。
月音に対してはただの人間と軽んじ、彼の身勝手な押し付けで表萌香を傷つけられた際は「二度と萌香に近づくな」と拒絶した程だったが、弱いながらも賢明に困難に立ち向かう彼の姿に少しずつ見解を改めていき、中盤以降は彼との直接の交流も増えていった事もあって戦友として、やがて異性として惹かれていくようになる。
「力の大妖」と称されるだけあってその身体能力は極めて高く中盤までは裏萌香の登場が勝利フラグだったが、『Seeson Ⅱ』では自分より強い朱染家の異母姉2人の登場等からその前提が崩れることに。
また、「人格ごと封印されている」という事は裏萌香こそが本来の萌香だった訳であり…

  • 黒乃胡夢(くろのくるむ)
CV:福圓美里
サキュバスの少女。
萌香に並ぶ程の美少女で、カルト的な人気に於いては彼女をも凌駕する程。
数が少ない種族の繁栄の為、月音を運命の人と決めて積極的に彼にアタックしまくる。
月音への猛烈なアピール(意味深)の数々から誤解されがちだがサキュバスらしくなく初心な純情娘*4
メンバーの中では滅茶苦茶デカイ(何がとは言わない)。
普段は気の強いながらも社交性の高く明るい性格で、ヒロイン達とも張り合いながらも満遍なく交流している。
トラブルメーカーその1。

  • 仙童紫(せんどうゆかり)
CV:こやまきみこ
魔女のロリっ子。
リアル小学生だが飛び級で入学している。
成績は学園でもトップだが、口調には「ですぅ」をつける幼子。
月音と萌香の恋を応援しており、その為なら手段を問わない。
魔女という種族自体、人間と妖怪の中間のような立場ゆえどちらの世界にも迎合されない不憫な立場であり、登場から暫くは他人とのコミュニケーションがやや不得手であった。
トラブルメーカーその2。

  • 白雪みぞれ
CV:釘宮理恵
雪女の少女。
内気でおとなしいが月音のこととなると過激になる。
氷で巨大なかぎ爪を作ったり氷の刃を飛ばすのが得意で、さらに怒らせると氷漬けにしてくる。
アニメでは「くぎゅゅゅゅゅゅゅゅうううう!!!」なのにやってることはストーカー

CV:千葉紗子
魔女。
当初は人間を敵視し敵として対面したが、月音たちとの交流の中で和解して学園で理事長の元働いている。
最初はどこか他人を寄せ付けない刺々しい美女だったが、学園に来た途端覚醒してハジけた。
詳しくは該当記事にて。
アニメ版では原作と異なり極度のネガティブシンキングに。

  • 朱染心愛(しゅぜんここあ)
CV:斎藤千和
萌香の異母妹。
バケバケコウモリのこーちゃん(CV:子安武人)を従えている。
シスコン(ただし裏萌香に限る)。
アニメ化にあたって急遽構想を固めたキャラクターで、原作とアニメでは性格も立ち位置も大きく異なる。

  • 森丘銀影(もりおかぎんえい)
CV:関智一
月音たちの1年先輩で、つかみどころのない女好きなチャラ男。
しかし内心では仲間思いな漢で、月音たちの所属する新聞部のよき部長。
スケベだが一応本命の相手がいる。
本性は「瞬速の大妖」と称される人狼(ワーウルフ)で、その実力はヴァンパイアとにも比肩するとされいる。
実際本気になれば裏萌香に匹敵(速度は彼女を遥かに凌駕)する強さを誇る。
だが先輩というポジション&強すぎたが故に出番的な意味で作者を大いに悩ませ、暫くの間はやや不遇な扱いであった。

「seasonⅡ」中盤から登場した後輩キャラ。
中国出身の男子生徒。
アニメ未登場のため印象がやや薄いが、ギン先輩同様に心強い味方である。

  • バスの運転手
CV:長島雄一(ドラマCD1巻) →井上倫宏(TVアニメ)
学園と人間界を繋ぐバスの運転手。
素性などは一切不明。
いつも目元を怪しく光らせ表情を見せず、振る舞いや言動も真意が全くうかがえず思いっきりアヤしい。
最終回で正体がサラっと明かされる。


【アニメ版】

  • 2008年冬季(1~3月)に第1期
  • 同年秋季(10月~12月)に第2期「CAPU2(カプチュー)」
が放送。

冒頭で記したドラマCDのキャストが完全に引き継がれた。

作風は原作からシリアス分を抜いて、お色気とラブコメ分を追加した感じ。
1期はまだ所々改変しつつもそれなりにバトルやシリアスもしていたが、2期でとうとう原作とは完全に袂を分かち、萌えエロ学園ラブコメ作品としての道を突っ走る。
シリアス?御伽の国?アルカード?なにそれおいしいの?
GONZOだから仕方ない。
裏萌香の登場が原作以上にデウス・エキス・マキナ。
お陰でロザンならぬロザンとか言われる始末。

OP・EDテーマは全て萌香役の水樹奈々による歌唱。
2期のOP「DISCOTHEQUE」は「ちゅるぱや症候群」を生み出すほどの中毒性の高い曲になっているので、一度聴いてみよう!
また、ヒロインたちのキャラソンはオリジナル曲と懐メロカバーの混成式であり、懐メロだけを集めたベスト盤も存在する。
そしてその中にしれっと混ざる子安武人。


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最終更新:2024年03月23日 23:07

*1 とはいえ『ロザバン』の段階でも裏萌香とも対等、あるいはそれ以上のスペックを持つキャラがちらほら居たり、敵の策略によって満足に力が発揮出来ず追い詰められる場面もあった。

*2 月音の変遷に関しては、解説書での作者へのインタビュー記事から、彼の作中での成長を読者に示す為の意図的なものである。

*3 その美貌で普通に言い寄ってくる男くらい居ただろうと思うかもしれないが、読み切り版では、寧ろそれ故に高峰の花として周囲に人は集まっても親身に接してくれないという状態であった事から、本作でもそういった環境だったかもしれない。

*4 月音に色仕掛けする際も内心ではかなり恥ずかしがっているとの事で、彼以外にはそういった素振り自体見せず、月音から迫られた際はかなりたじろいでいる。