相棒(ドラマ)

登録日:2011/01/11 Tue 00:29:05
更新日:2024/04/15 Mon 00:19:44
所要時間:約 50 分で読めます


タグ一覧
02年秋ドラマ 03年秋ドラマ 04年秋ドラマ 05年秋ドラマ 06年秋ドラマ 07年秋ドラマ 08年秋ドラマ 09年秋ドラマ 10年秋ドラマ 11年秋ドラマ 12年秋ドラマ 13年秋ドラマ 14年秋ドラマ 15年秋ドラマ 16年秋ドラマ 17年秋ドラマ 18年秋ドラマ 19年秋ドラマ 20年秋ドラマ 21年秋ドラマ 22年秋ドラマ 23年秋ドラマ たまに涙腺崩壊 ひとつ、宜しいですか? ←最後にもうひとつだけ また陣川さんだまされてる サスペンス テレビ朝日 ドラマ バディもの 一部カオス 亀山薫 人情 人材の墓場 冠城亘 刑事ドラマ 刑事貴族メンバー 及川光博 反町隆史 和泉聖治 四音タイトル 土曜ワイド劇場 城南大学 ←呪われた悪魔の巣窟 寺脇康文 成宮寛貴 所要時間30分以上の項目 杉下右京 東映 櫻井武晴 正月は帰れない 段々癖になり、ハマるドラマ 水9 水谷豊 特命係 甲斐享 相棒 社会派 神戸尊 稀に鬱展開あり 警察 警察庁 警視庁 警視庁の陸の孤島 輿水泰弘



窓際の二人が、また勝手に動きだす。
*1


相棒(あいぼう)』とは、テレビ朝日と東映が制作している刑事ドラマシリーズである。

以下、本項目ではPreシーズンを「PS.1」、各シーズンを「S.1-1」「S.2-1」のように表記する。


【概要】

元々は『相棒 警視庁ふたりだけの特命係』のタイトルで、2000年6月から2001年11月にかけて『土曜ワイド劇場』の枠で3本が製作された単発ドラマだったが、従来の2時間ドラマの枠にはまらないストーリー展開と重厚な内容から高視聴率を獲得し、2002年から水曜21時の刑事ドラマ枠で毎年放送されるようになった。S.2からは『相棒』と現行のタイトルになる。
同枠の先輩『はぐれ刑事純情派』に代わる新たな水曜21時枠2クールドラマとして定着し、かつて『はみだし刑事情熱系』を放送していた10月~翌年3月枠*2に放送されており、『特捜9』『刑事7人』と並ぶテレビ朝日の水曜21時枠を担う人気刑事ドラマシリーズである。

長らく亀山薫(演 - 寺脇康文)が相棒を務めたが、本来は警視庁にとって不要な人材を辞めさせるはずの特命係に8年も在籍しているという矛盾が生じており、組織の理論と薫の人生をあいまいにしてはならないという思いから、S.7-9をもって番組をいったん卒業した。
その後は相棒不在期間を経て、最終話に2代目相棒・神戸尊(演 - 及川光博)が初登場し、S.10-最終話まで出演。
S.11からは、3代目相棒・甲斐享(演 - 成宮寛貴)が登場。当初は2年の約束だったが、水谷氏やスタッフからの申し出もあって1年延長され、S.13-最終話まで出演。
S.14からは、4代目相棒・冠城亘(演 - 反町隆史)が登場。歴代相棒では初めて警察官ではない人物で、当初は法務省から出向中のキャリア官僚という異色の設定だった。最終的にS.20-最終話まで出演し、出演回数という点では薫をも上回る歴代最長の相棒になった。
S.21からは、薫が5代目相棒として14年ぶりに復帰している。

非常にキャラの立ったキャラクターが描かれ、脚本では政治問題・コメディ・オカルト・人情モノなど多彩なストーリーを展開し、順調に視聴率を伸ばす。S.9は平均視聴率20.4%という快挙を達成し、中でも第16話「監察対象 杉下右京」は歴代最高の23.7%を記録。
現在も世帯平均15%程度と高水準の数値を維持しており、名実ともに国民的ドラマの地位を確立している。
S.4以降は『はぐれ刑事純情派』に代わり、曜日を問わず毎年元日に2時間以上のスペシャルが放送され、前番組の『芸能人格付けチェック』とともに正月の名物としても定着。正月らしからぬ容赦のないストーリーも多く、新年早々から視聴者を戦慄させることも一度や二度ではない。
また、番組の人気に伴いテレ朝はプロ野球日本シリーズの水曜中継を取りやめるなど、編成に大きな影響も与えている。

基本的には1話完結が原則だが、2週(最長で3週)連続で展開されるストーリーもほぼ毎シーズンのように設定されており、過去に登場した人物や事件が後のシーズンにおいて続編や回想という形で登場することも多い。
長期放送されている宿命か、過去に登場したゲスト出演者が別の役で再登場することが非常に多い。特に最多出演者の前沢保美氏は同役の遠山ちず役を含めて、これまでに計8回出演している。
また、以前に別役としてゲスト出演した俳優がメインキャラとしてレギュラー登場することもあるほか、月本幸子や青木年男のようにゲスト出演を経てレギュラー入りする人物もいる。

再放送も頻繁に実施されており、地上波・BS朝日・CSテレ朝チャンネルと電波を問わなければ毎日再放送されているといっても過言ではない。回によって放送の頻度に差はあるが。
過去にはメインキャストの不祥事や引退などでお蔵入りの危機もあったが、現在では動画配信プラットフォーム「テラサ」も含めれば公式に欠番扱いとしているS.3-7以外は全話視聴可能。

2023年現在、Preシーズン+22シリーズが制作される長寿作になっており、21世紀を代表する刑事ドラマとして高い人気と知名度を誇る。
劇場版もスピンオフを含めて6作制作されており、それ以外にも宝塚歌劇・書籍・ゲームなどメディア展開も多数。

劇伴担当は池頼広氏。S.3で登場したオープニングテーマはシーズンごとにアレンジを加えつつ現在も使用され続けており、最も有名なアレンジはS.4で登場したもので、S.6まで使われたほか、次回予告や提供読みのBGMで今なお使われているためおなじみの方が多いだろう。
それ以外の楽曲の評価も高く、楽曲と名場面集と出演者によるミニコントで構成されるコンサートもたびたび実施されている。

車両提供は日産自動車。同枠開始当初の作品『特別機動捜査隊』からのスポンサーで、劇中ではGT-Rスカイラインセダン・エクストレイル・ティアナ・フーガ・シルフィ・エルグランドなど放送時点で発売中の日産車が登場するが、右京のフィガロなど風変わりな車種が出てくることもある。
近年ではドラマとタイアップしたオリジナルCMが放送されることも多い。

芸能界にもファンが多く存在し、公式プレゼンターを務める赤ペン瀧川氏をはじめ*3、坂本龍一氏や早見沙織氏など多数存在する。
また、『名探偵コナン』の作者である青山剛昌氏は巻末の名探偵図鑑に右京を紹介しており、自身もS.9-10でカメオ出演している*4
和泉聖治監督と交流があるということで、映画監督の三池崇史氏もS.10-16に特別出演した。

作風はシーズンごとに少しずつ異なっており、さらに脚本家によっても各話のストーリーの味つけにややバラつきがある。
初代相棒の亀山薫時代は、警察の不正問題・人情モノ・後味の悪い話・企業絡みの犯罪など回によってストーリーは色々だが、コミカルなシーンやどんでん返しを含みながらも原則として1話で綺麗に完結する、比較的シンプルな構成の話が基本形だった。
2代目相棒の神戸尊時代は、当初は薫時代のカラーをある程度継承していたが、S.9以降は社会問題やシリアスな人間の感情を取り上げ、コミカルなシーンの少ない終始落ち着いた雰囲気で進行する回が増えた。またこの頃から警視庁と警察庁の対立など連続ドラマとしてのストーリーの縦軸が強く描写されるようになった。
そして、3代目相棒の甲斐享が参加したS.11あたりからはさらにカラーが変更され、政財界の不祥事から国家規模の巨大な陰謀まで、さまざまな権力の闇に特命係が切り込んだり阻止したりするサスペンス路線の色が強まり、どこか幻想的な雰囲気のある非日常的な話も増えた。
さらに、4代目相棒の冠城亘が参加するS.14前後からは、1話で終わらずに次週に続く長編作や、伏線を一挙にバラ撒いては後のシーズンで徐々に回収していくといった『コナン』の原作のごとくゆっくりとしたストーリー展開が目立つようになり、数か月から時に数シーズンまたぐことも多くなった。
一部のシーズンを除き、基本的には初回・元日・最終回はスペシャルで放送されていたが、現在のスペシャル放送は元日のみであり、初回と最終回に関しては前後編の拡大スペシャルの形で放送している。
特に美彌子や衣笠、峯秋は近年ではほぼスペシャル回のみの登場になっており、ストーリーが大きく動くのはこれらの回または輿水脚本のみとなっている。

ちなみに、他のテレビ朝日の刑事ドラマでは登場人物が同局の他作品に同一人物として特別出演することが多く、同一の世界線と見られることも多々あるが、本作ではそのようなケースは非常に少なく、唯一『警視庁捜査一課9係』に米沢が出演した程度である*5


【あらすじ】

警視庁の陸の孤島」と呼ばれる窓際部署「特命係」。ここは、文字通り別に令がなければ仕事がない閑職であり、捜査権も逮捕権も認められておらず、どこの部署にも属していない浮遊部署でもある。
メンバーには、抜群の知識と推理力を持ちながらもそのユニークな人柄と強すぎる正義感が災いして周囲からは変人扱いされ、ある事件でここに追いやられたキャリア警部・杉下右京が係長としてただ1人いるのみだった。
やがて、ここは上層部が不要と判断した人材を送り込み、右京の個性的な性格も含めて自然に辞めさせる役割を持っていき、いつしか「人材の墓場」と呼ばれるようになっていった。

しかし、失態によって捜査一課から左遷された亀山薫(退職後、後に嘱託職員として復帰)、元々は右京と特命係の必要性を判断するスパイの任を受けて警察庁から表向き左遷された神戸尊、右京直々の指名によって所轄署からスカウトされた甲斐享、法務省からの出向を経て自ら特命係を志願した冠城亘の4人だけは、最低でも3年以上と長期に渡って在籍した。
これは、そんな相棒たちが右京とともに難事件に挑む物語である。


【主な登場人物】

演者に「/」のある役者は、テレビドラマ / 宝塚歌劇の順で記す。

警視庁特命係

警視庁組織犯罪対策部薬物銃器対策課の片隅に押し込められた、特にこれといった仕事のない庁内一の窓際部署。「陸の孤島」「人材の墓場」とも揶揄されており、失態を犯した人材を送り込んで自主退職させる追い出し部屋である。薫が来るまでにも6人が左遷され、全員1週間以内(最短1日)で退職していった過去がある。
S.16-2以降、組織図上では警察庁長官官房付の直属部署になっている。

演 - 水谷豊(小学生時代:新井真悟) / 真飛聖

このドラマの主人公で、細かいことが気になる特命係の係長。階級は警部補→警部。生年月日は不明だが、S.1開始時45歳である。全話に登場。
東京大学法学部を首席で卒業後渡英し、帰国後にキャリアとして警察庁に入庁。3年間のスコットランドヤード研修を経て警視庁刑事部捜査二課に出向し、大物フィクサーの摘発に関わるなど辣腕をふるう。
1987年に外務省公邸で人質籠城事件が発生すると、その頭脳を見込んで、当時公安部参事官だった小野田が結成した非公式部隊「緊急対策特命係」に招集され、作戦参謀として犯人と交渉し、粘り強く人質を解放していった。
しかし、アメリカ国務長官来日による配慮から早期解決を主張する小野田と対立して作戦参謀を解任されてしまい、事件は隊員と人質にも死者が出る大惨事で終わった上に、彼はその責任を全て押しつけられる形で警視庁の片隅に押し込まれてしまう(S.1-11)。

紅茶チェスをたしなむ紳士な名探偵で、一部で「和製シャーロック・ホームズ」と称されるほどの優秀な頭脳と豊富な知識を有するがとんでもない変人でもあり、よくも悪くも全く空気を読まず、犯罪を決して許さず厳格なまでに法遵守を求めるなど*6、人格面では問題人物としか言えないことから周囲から煙たがられている。
本領は頭脳労働なのに格闘術も習得していて、性格以外は完璧超人。

相手に関係なく常に慇懃無礼な敬語で話すが、罪の重さを自覚しない悪質な犯人に対してはプルプル震えながら強い口調で叱責することもある。
一部の回を除き、長らく車の運転は相棒に任せていたが、S.11~S.19では愛車のフィガロ*7が登場し、享や亘を乗せて自ら運転する場面もあった(S.20以降は登場していない)。


演 - 寺脇康文(少年時代:黒須貴之)

PS.1~S.7-9、S.21-2以降で在籍。前の6人と同じように失態を犯して左遷された右京の初代相棒で、通算7人目。階級は巡査長→巡査部長→嘱託職員→巡査部長。1966年7月23日生まれ。新潟県出身。血液型はB型。
城東大学法学部を卒業後、警視庁に入庁。所轄署勤務を経て捜査一課に配属されるが、遭遇した指名手配犯を逮捕しようとして逆に人質になる失態を犯し、特命係に左遷される(PS.1)。
まず体が先に動く熱血系体力バカで、頭を使うことが苦手。人情に厚いが右京に巻き込まれてよく不幸な目に遭う。

当初は露骨に右京のことを敬遠しており、特命係の一員であることを否定する場面も見られたが、最終的には彼の不確かな推理にも命を預けられるほどに信頼するようになった(S.7-9)。
食べた料理の食材段階で起きたことから来る違和感を察知し、プロのワイン評論家も大絶賛するほどの優れた舌を持つ。
遭遇した時に伊丹がものすごく独特の口調で言う「特命係の亀山ぁ~!」はお約束のセリフだった。

NGOのスタッフだった高校時代の友人・兼高が殺害されたことを機に、彼が生前活動していた政情不安定な南アジアのサルウィンへ渡航(S.7-2)。そこでの惨状を目の当たりにした薫は、彼の遺志を継いで現地の子供たちに正義の心を教えることを決意し、警視庁を退職。右京たちに別れを告げ、美和子とともにサルウィンへ移住した(S.7-9)。

その後は過去の回想シーンや右京たちの会話の中で定期的に存在が語られた程度だったが、S.21で約14年ぶりに登場。教え子たちが腐敗政権を打倒したことで、その恩師である彼も親善使節団の一員として国賓待遇で一時帰国し、右京と再会。その直後に起こった事件によって美和子ともどもサルウィン政府からペルソナ・ノン・グラータ(国外追放)の指定を受けて帰国を余儀なくされてしまうも、伊丹の峯秋への土下座もあって嘱託職員として警視庁に復帰し、5代目相棒として特命係に戻ってきた(S.21-1~2)。
その後、ある事件で関わった元与党政調会長・袴田茂昭の根回しもあり、正規の警察官として特例で警視庁に再採用された(S.21-11)。


演 - 及川光博 / 壮一帆

S.7-最終話~S.10-最終話まで在籍。上層部からの特命でスパイとして配属された右京の2代目相棒で、通算9人目。階級は警視→警部補→警視。1970年2月1日生まれ。東京都大田区田園調布出身。血液型はO型。
中央大学法学部を卒業後、警視庁に入庁。警備部警備第一課警備情報第4係への配属を経て推薦組として警察庁警備局警備企画課に採用され、課長補佐時代には全国の防犯カメラによる大規模な顔認識システムの開発を主導していた。
しかし、小野田をはじめとする警察庁上層部からの特命を受け、「特命係が今後警察にとって有益な存在として発展できるかどうか、杉下右京にその可能性があるかどうか」を見極めるために二階級降格による左遷の体で特命係に差し向けられたが(S.7-最終話)、その裏には彼も知らない警察庁の陰謀が隠されており、その任を終えた後も本庁復帰の辞令を無視して自らの意思で特命係に残留した(S.8-最終話)。

薫とは正反対なインテリ系のおぼっちゃまで頭の回転が速く、的確な発言や推理をすることも多い。女性の扱いにも手馴れたプレイボーイでもある一方、警備畑出身なので遺体や白骨を見ただけで気分が悪くなる一面もある。
歳の割に中途半端に甘さと青さが抜け切っておらず、時々熱くなって右京の正義感に異を唱えることもあった。
トリオ・ザ・捜一や陣川からは、名前を音読みにした「ソン」と呼ばれていじられていた。大河内とは旧知の仲で、2人で会うこともしばしば。
ナポリタンとゲロルシュタイナーを好み、黒のGT-Rを愛車とするが非常に運転が荒く、右京からも苦言を呈されている。

警備部時代には友人だった女性が殺害され、憎しみのあまり裁判で偽証を行ったが、被告が実は冤罪だったことが判明し、贖罪の念を抱くようになる(S.10-1)。
そして、クローン人間が絡む事件で右京を屈服させた手腕を元副総監・長谷川宗男に評価されつつも、S.8-最終話で一度本庁復帰の辞令を無視したことを引き合いに「次断れば懲戒免職」と脅迫されたため、やむなく警察庁長官官房付に異動した(S.10-最終話)。
その後も右京との交流は途絶えておらず、定期的に再登場しては彼を手助けしている。さらに、劇場版III・IVでは後輩の相棒である享や亘とも共演を果たすと、S.21-20~最終話では「会ってみたい」と思っていた前任の薫とも共演することになり、歴代相棒の全員と交流したことになった。


演 - 成宮寛貴(小学生時代:橋爪龍、中学生時代:上田晟人)

S.11-1~S.13-最終話まで在籍。所轄の新米刑事だったところを特命係にスカウトされた右京の3代目相棒で、通算10人目。階級は巡査部長。警察庁次長・甲斐峯秋の次男で、愛称は「カイト」。1983年7月7日生まれ。東京都港区芝出身。血液型はAB型。
早慶大学政治経済学部を卒業後、警視庁に入庁。交番勤務を経て署長推薦の選抜試験に合格し、中根署刑事課捜査一係に配属されたが、香港を旅行中に出会った右京と一緒に事件を解決したことで、彼から引き抜かれる形で特命係に配属された(S.11-1)。
年上のCA・笛吹悦子と交際中。

歴代相棒に比べて若いこともあり、薫のように感情的になりやすく、S.12までは犯人や関係者に対して暴力的な行為におよぶこともあった。頭脳面では尊のように的確な発言や推理をすることも多い。
一方で、親子仲は非常に冷え切っており、父からは秀才な長男とは違って「息子としても警察官としても出来が悪い」と酷評され、一日でも早く辞めてほしいと思われている。彼自身も一切の力を借りずにやってきたため、「親のコネ」や「七光り」という言葉には過敏に反応し、互いにいがみ合う関係である。
とはいえ、父の侮辱に関しては怒りを見せることもあり(S.12-1)、心から嫌っているわけでもない模様。

飲み物はコーラ派。歴代相棒では珍しく愛車は保有しておらず、普段は右京や悦子に任せている。
S.13では悦子から父との和解を条件に結婚すると告げられ、さらに彼女の妊娠も判明したが、最終話では警察が手を出せない犯罪者たちに私的制裁を下す連続暴行犯「ダークナイト」の正体だったことが判明し、懲戒免職になった。
悦子が再登場したS.22-10においても服役中であり、息子の結平の立場を考えて婚姻届にサインしていないことが語られている。


演 - 反町隆史(少年時代:榎本司)

S.14-1から登場し、S.15-1~S.20-最終話まで在籍。元法務省という異色の経歴を持つ右京の4代目相棒で、通算11人目。階級は巡査。1975年2月9日生まれ。東京都港区北麻布在住。血液型はAB型。
早慶大学法学部を卒業後、法務省に入省。刑事局総務課企画調査室長を務めていた時、人事交流に際して「現場に興味がある」という理由で、警察庁ではなく警視庁に警務部付として出向してきており、特命係の部屋に住み着いて暇を持て余していた(S.14-1)。
そのため、シリーズ初となる「警察官ではなかった相棒」。
薫と同じコーヒー派だが、コーヒーミルから豆を挽く本格派である。愛車はV37型スカイラインセダン*8だが、初期は右京の運転する車中で気分を悪くする場面があった。

飄々で掴みどころのない性格や、右京に匹敵するほどの真実究明の強さと目的のためなら手段を選ばない大胆さを持ち、異色の経歴も含めてこれまでの相棒とは一線を画す人物である。
実際に、彼に事件を解決してほしいという極めて個人的な理由から、裁判官に直談判して令状の発行を阻止し、殺人事件の早期解決を妨害したことすらある(S.14-15)。
しかし、その行き過ぎた妨害が祟ってついに左遷の危機に陥るが、彼がすでに警視庁で生きがいを覚えていたことを見抜いていた日下部の計らいもあり、法務省を退職して警視庁に入庁した(S.14-最終話)。
だが、捜査妨害による報復人事で特命係配属は叶わず、総務部広報課で美彌子の部下になっていた。実は日下部から彼女の身辺調査を依頼されており、美彌子にそのことを示唆して「離れたほうがお互いのためになる」と半ば強請りな交渉を持ちかけることで特命係に戻ってきた(S.15-1)。
そして、公安調査庁の改革を画策する日下部からのスカウトを承諾して警視庁を退職し、契約職員として移籍した(S.20-最終話)。出演回数は138回にのぼり、同話時点では薫の124回をも上回って歴代最多だった。


トリオ・ザ・捜一

伊丹憲一三浦信輔→出雲麗音*9芹沢慶二からなる、警視庁刑事部捜査第一課7係の刑事3人組。レギュラーキャラクターであり、ほぼ毎回登場する。
この手のドラマにありがちなかませ犬かと思いきや、やたらキャラが立っている上に時に意外な一面も見せるため、コアなファンが多い。
麗音を除く3人は捜査権もないのに勝手に捜査に加わってくる特命係を疎ましく思っており、事件現場や取調室に入ってくるたびに露骨に嫌そうな表情をし、厄介事を押しつけることもある。
もっとも、能力は認めているので何かと協力することも多い。

初期は伊丹と三浦のコンビで、芹沢の登場後も3人で行動することは少なく、三浦と芹沢が交代しながら登場していたが、やがてトリオとして定着していった。
しかし、S.12-1で三浦が引退したことで伊丹と芹沢のコンビになっているが、S.13-4では三浦の後任として人事交流で警察庁刑事局に出向していた若き女性警部補の浅木真彩(演 - 原田夏希)が一時的に配属され、1年ぶりにトリオが復活した。
そして、S.19-1では銃撃事件を受けて交通機動隊から異動してきた出雲麗音が加わり、久々の3人体制になった。
ちなみに、「トリオ・ザ・捜一」の名称は公式が命名した愛称ではあるが、劇中で言及された場面はない。

演 - 川原和久 / 真野すがた

PS.1から登場。トリオのリーダー格で階級は巡査部長。
特命係を目の敵にしており、出くわすたびに嫌そうな表情をするのが定番。中でも薫とは犬猿の仲で、彼の姿を見つけるたびに「特命係の亀山ぁ~!」という罵声を浴びせ、互いに憎まれ口を叩き合うのがお約束の展開だった。無駄にバリエーションも豊富*10
一方、上司からの理不尽な命令には啖呵を切って見せるほか、不正や圧力など筋の通らないことを嫌う熱血漢の一面も見せる。
プライベートはあまり充実しているとはいえないようで、恋愛下手からかトリオでは唯一パートナーがいない。フルーツサンドが好物で、芹沢によれば腹を下すという理由で牛乳が苦手(S.19-16)。
スピンオフ2作目『相棒シリーズ X DAY』ではサイバー捜査官・岩月彬(演 - 田中圭)とともに主人公を務める。


演 - 大谷亮介 / 眉月凰

PS.2~S.12-1までレギュラー登場。トリオの最年長でなだめ役。7係の主任を務める。階級は巡査部長→警部補。トリオ唯一の既婚者。
疎ましく思ってはいるが、特命係に対しては比較的慇懃な態度で接しており、感情的になりやすい伊丹をなだめるなど、トリオのブレーキ役を担う。
S.12-1では警部補への昇任試験に合格し、7係の係長に就任するが*11、甲斐次長誘拐事件の捜査中に太ももを刺される重傷を負ってしまう。命に別状はなかったものの、一生杖が手放せないほどの後遺症が残り、内勤の慰留も固辞して退職することになった。
S.14-10で久々に登場。全国を放浪する旅人のような生活を送っており、花の里で右京と再会し、杯を交わしつつ本多篤人の情報を提供している。

大谷氏はPS.1では特殊犯捜査一係の室谷警部補役で出演。
また、かつて大谷氏と事実婚の関係にあった高畑淳子氏もS.3-17に出演している。


演 - 山中崇史*12 / 夕霧らい

S.2-4から登場。トリオの最年少(現在は中堅)でお調子者。階級は巡査→巡査部長。交際中の彼女がいる。
伊丹や三浦とは違って特命係に対する反感は少なく、うっかり捜査情報を漏らしては2人に頭を叩かれるのがお約束だった。
初登場のS.2では準レギュラー的扱いだったことから登場しない回も多く、クレジットも単に「芹沢刑事」名義だったが、S.3以降は名前が明らかになるとともにレギュラーキャラクターになった。
長らくトリオの下っ端的存在だったが、特命係に配属された後輩刑事の享に対しては先輩風を吹かして何かとかわいがっていた。しかし、その後にやってきた亘や麗音に対しては一転して上から目線で接し、特に後者に対しては先輩として徹底的にいびっており、特命係に捜査情報を漏らす役割も彼女に受け継がれている。

山中氏はS.1-1では薫を人質に警視総監室に立てこもった犯人を狙撃しようとする狙撃手役で出演していたほか、弟の山中聡氏もS.2-18やS.16-17に出演している。
また、同姓同名の俳優である山中崇氏ともS.17-7で共演している。


  • 出雲麗音(いずも れおん)
演 - 篠原ゆき子

S.19-1から登場。初のレギュラー女性刑事で階級は巡査部長。
元々は交通機動隊の白バイ隊員だったが、北上馬の交差点をパトロール中に何者かに銃撃されて重傷を負い、一命は取り止めたものの右肘の複雑骨折に後遺症が残って復帰を断念。美彌子からの依頼を受けた衣笠の鶴の一声で捜査一課7係に転属するという異例の人事になった(S.19-1)。
当初は周囲の男たちから「捜査一課は男の職場」「白バイ上がり」と快く思われていなかったが、彼女自身は特に意に介していない。同時に初期の亘のように時に大胆な行為に出ることもあり、根はかなりの激情家。
S.20以降は伊丹や芹沢も諦めたのか認めたのか、トリオとして行動する場面が多い。
伊丹や芹沢とは違って特命係とは友好的な関係になっており、初期は彼らの姿を見ると喜んでいた場面もあったほか、2人に内緒で協力するというこれまでの芹沢の役割を担っている。
裏設定として、家に帰ったらバイク雑誌を眺めながら一人晩酌するのが日課で、捜査一課配属直後の髪型がオールバックだったのは「なめられないように(したつもり)」という理由で、好きな音楽はエレファントカシマシであるという。


特命係行きつけの小料理屋

事件の状況を整理したり、解決後は女将とその内容について語り合ったりするのが本作のお約束である。座席の奥には番組スポンサーである黄桜の樽が置いてあるのもお約束。

花の里

レギュラーや準レギュラーをはじめ、各回ゲストが訪れることもある。一般客の姿はあまり見られないが、一部回で訪れる場面がある。
席はカウンターのみで10席程度。S.4までは外観・内装と周辺の風景がシーズンごとに異なっていた。初期は代々木に店を構えていたようで、他の従業員やテレビの存在が確認できた。名前は右京の遠縁の杉下花(演 - 原沙知絵)が由来。
PS.では「新ふくとみ」という別の店だった。渋谷にあった実在の店がモデルになっており、クレジットにも記載されたが、店主の死去によって「花の里」に変更された。

  • 宮部たまき(みやべ たまき)
演 - 益戸育江*13 / 桜一花

PS.1~S.10-1まで登場。右京の元妻で「花の里」の初代女将。着物の似合う和風美人。生年月日は不明だが、S.1開始時38歳。
右京と離婚したのは事実だが、信頼関係は変わっていないようで、夫婦以上の絆で結ばれている。
S.10-1にて突然店を畳み、世界放浪の旅に出た。

その後、益戸氏が2016年10月25日に大麻取締法違反容疑で逮捕されたため、当面の間は彼女の出演回の再放送が自粛され、劇場版IIの再放送では出演シーンがカットされていたこともあった。


  • 月本幸子(つきもと さちこ)
演 - 鈴木杏樹

S.4-19で初登場。この世のツキというツキに見放され、夫を殺したヤクザの愛人にまで落ちぶれた、名前に反してツキのなかった女性。
復讐を果たして海外逃亡しようとした時に車がエンストし、あろうことか特命係と遭遇してしまったことで逮捕される。服役中にも脱獄や警察内の陰謀に巻き込まれたりしてしまっており、やっぱりついていない女(S.6-11~12)。
出所後、一度は豪邸の家政婦の職を得たが、つきすぎている境遇を疑り過ぎて右京たちに相談する。トリオ・ザ・捜一なども巻き込んだ末単なる早とちりだと判明し、右京の薦めで「花の里」2代目女将になり、レギュラー入りを果たした(S.10-12)。
これまで波瀾万丈の人生を送っていたこともあってさまざまな幸不幸を経験したためか、発言に重みがあり、その言葉が幾人かの支えや導きになることもある。
しかし、ある事件をきっかけに社会的に恵まれない子どもたちの力になろうと一念発起し、女将を引退して右京と亘に別れを告げた(S.17-19)。


こてまり

花の里とは違って「警察官立ち寄り所」の札を掲げており、カウンターに加えて座敷席もある。

  • 小出茉梨(こいで まり)
演 - 森口瑤子(高校生時代:早川りこ)

S.18-最終話から登場。「花の里」に代わる特命係の新たな行きつけの店になった小料理屋「こてまり」の女将。第八西高校出身。
元々は内閣官房長官や各界著名人からひいきにされていた赤坂の芸者だったが、引退して「こてまり」を開業。古くからの付き合いである峯秋の紹介で特命係と知り合い、彼らの新たな行きつけの店になった*14。現在も当時の芸名である「小手鞠」の名前で呼ばれている。
右京とは対照的に細かいことは気にしない主義だが、自身の深い話題を話したがらない点では似ている。


相棒の恋人

  • 奥寺美和子(おくでら みわこ)
演 - 鈴木砂羽

薫の恋人で当初は帝都新聞社会部の記者だったが、S.5以降はフリージャーナリストに転身。「~したまえ」が口癖。1970年11月12日生まれ。
自身の浮気によりS.3-3で破局したものの、S.4-最終話でめでたくゴールイン。S.5以降は「亀山美和子」名義になり、インド転勤後は美和子スペシャル*15やラブラブTシャツを製造するなどキャラ崩壊。
S.7-9にて退職した薫と共にサルウィンへ旅立ったが、S.21で帰国した。


  • 笛吹悦子(うすい えつこ)
演 - 真飛聖

S.11-1~S.13-最終話までレギュラー登場。日本国際航空のCAで享の年上の恋人。東京都大田区元森町2丁目5-6にあるmonparte 305号室在住。身長167cm、体重53㎏。実家は福島県
渋谷での合コンで享に家まで送ってもらったことから交際をスタートし、現在は半同棲中。特命係の捜査に協力することもある。ボールルームダンスが得意。
一方で甲斐親子の確執には苦慮しており、和解を結婚の条件にするなど、何とか2人の仲を取り持とうと苦心している。
S.13-14~15では享との子どもを授かったことが判明したが、同時に白血病の発症も発覚し、入院を余儀なくされる。幸い治療は順調に進んでおり、うまく行けば出産も可能であることが語られた。
その後、S.22-10で9年ぶりに登場。現在は亡き父親からの骨髄移植によって病気は寛解し、シングルマザーとして息子の結平を育てながら仕事を両立させている。享が逮捕された後も右京との交流は続いており、息子の晴れ舞台に招くなど良好な関係を維持しているようである。

真飛氏は元宝塚歌劇団のトップスターで、宝塚版『相棒』で右京を演じており、この縁でドラマ本編への出演が叶ったと思われる。


レギュラーキャラクター

警視庁

刑事部
演 - 片桐竜次 / 星原美沙緒

PS.1から登場。警視庁刑事部長で階級は警視長*16。名前が明かされたのはS.5からで、それまでは「内村警視長」表記だが、実はS.2-16で一瞬映っている。東京都江戸川区新葛西在住。血液型はB型。左利き。
勝手な捜査をする特命係を部長室に呼び出しては「お前たちは首を突っ込むな!」などと一喝するが、大抵無視されるのがお約束。悪人面。所詮小物で自身の出世や保身以外に興味がなく、上層部の命令によって捜査方針や態度が二転三転することも多い。たまにミスを犯したトリオ・ザ・捜一を説教することもある。初登場時は部下に対しても敬語で話していた。
特命係を心底疎んでいたが、近年では活用法を見出した模様で、私用で動かしたり、重大事件において万が一の際の責任を右京や中園に押しつけつつも右京の提案を聞き入れたりすることもある。こちらも時々萌キャラになる。

S.16-最終話では裏社会との癒着が言及されており、S.19-10では昵懇の間柄である広域指定暴力団「扶桑武蔵桜」が絡む事件で頭部に重傷を負い、一度は死亡宣告されるも奇跡的に蘇生した。
しかし、「出世のために蔑ろにしてきた正義を取り戻したい」と宣言し、以後は人が変わったように正義感に目覚めるようになり、扶桑武蔵桜も容赦なく摘発したり、長年遺恨があった特命係とも固く握手を交わして寛容な態度を示すようになったりするなど、臨死体験を機に文字通り生まれ変わったようだ
だが、不注意で階段から転落した際にまたしても頭を打ち、生死の境をさまよった末に再び元の官僚主義的な人格に戻ってしまった(S.22-9)。


演 - 小野了

PS.1から登場。警視庁刑事部参事官で階級は警視正。生え際が気になる内村の腰巾着。内村ともども名前が出たのはS.5からで、それまでは「中園警視正」表記。東京都港区白金台在住。血液型はA型。左利き。
内村と同じように特命係を疎んでおり、彼とセットで登場しては、2人を説教するのがお決まりのパターン。しかし彼ほど嫌ってはおらず、たまに右京を評価しているような発言をしたり、捜査に参加させたりすることもあるほか、消息を絶っていた右京が生きていたことを知った際には満面の笑みで喜んでいた。
近年では横暴な内村の言動を腹に据え兼ねて反発することも多く、彼の失脚後は自分が刑事部長の椅子に座るという野望を持っており、さらに彼が転生して衣笠にも食ってかかるようになったことで板挟みになった際は思わず「何で生き返ったりなんかしたんだ」と吐露するなど、心底彼に同意しているというわけではない様子も見せる。
家族構成は娘と霊感の強い妻。本人は大切に思っているようだが、当の2人からは軽んじられている様子。


刑事部捜査第二課
演 - 原田龍二

S.3-6で初登場。捜査一課一係の経理担当で階級は警部補。通算8人目の相棒。美奈子(演 - 水崎綾女)という妹がいる。大阪府寝屋川市出身。
経理担当だが刑事になる夢が捨て切れず、二度も誤認逮捕を起こして特命係に左遷される(S.3-6)。欠員が生じたことですぐに復帰するものの、S.6で再登場して以降はたびたび特命係に厄介事を持ち込んでおり、一部を除いて各シーズンに1回は登場している。

真面目かつ実直で人柄もいいが、直情径行で思い込みが激しく、人の話を全く聞かない性格。美人に弱く、毎回のように事件で関わった女性に惚れるが、毎回のように撃沈して「花の里」で酔いつぶれるのがお約束。酒癖も悪く、酔うと「(お)杉さん」などの馴れ馴れしい呼称になってしまう。

右京に対して尊敬の念を抱いており、「敬愛する刑事」と公言している。自分より後に特命係にやってきた尊や享に対しては先輩という立場で接していたが、亘に対しては一転、コーヒー通や法務省からの出向ということで「先輩」と呼んで慕っており、彼が巡査として警視庁に入庁してからも変わっていない。
また、青木には刑事の先輩という立場で接している。

しかし、S.14-12では思いを寄せていたコーヒー店店主・矢島さゆみが殺害されたことか犯人への復讐を決意。右京と亘の追跡を振り切って自力で犯人を特定するという普段の彼らしからぬ非凡な捜査能力を発揮した。
その後、犯人に対して過剰に暴行を加えた上で奪った相手のナイフでとどめを刺そうとするが、すんでのところで駆け付けた右京と亘に阻止され、監察官聴取で取り乱して暴れたところを右京に嗜められた。
その後はスコットランドヤードへ研修に行き、S.16-11で帰国。ロンドンで知り合った女性に関する相談を持ちかけ、事件解決後は捜査二課への配属が決まり、念願の刑事になって「捜査二課のエース」を自称している(S.18-16)。
しかし、有給を取ってまで殺人事件の捜査をしていることから、あくまで一課への配属は諦めていない模様。

原田氏の弟である本宮泰風氏も劇場版II, S.11-11, S.17-10, S.20-19~最終話に出演している。


刑事部鑑識課
  • 益子桑栄(ましこ そうえい)
演 - 田中隆三

S.15-1から登場。米沢の後任として登場した新たな鑑識で階級は巡査部長。
現場検証中は刑事すら立ち入らせようとしないなど、米沢とは違うベクトルで職人気質な人物。常に無愛想で右京に対してもぶっきらぼうに接するがその腕は確かで、上層部からの圧力を嫌うなど正義感の強い面も見せる。
同期の伊丹と親しく、彼の個人的な依頼で鑑識を動員することもある。米沢とは違って当初は特命係に対して邪険に接していたが、シーズンが進むにつれて態度は徐々に軟化してきている。
一方、いかつい言動とは裏腹に好きというギャップがあるほか、釣りが趣味のようで亘が手に入れた猫のレア物写真集や釣りの穴場といった買収に負け、特命係に協力することもある。


組織犯罪対策部
特命係の隣に位置しており*17、S.4までは生活安全部薬物対策課だったが、現実の警視庁の組織改革に合わせ、劇中でもS.5から組織犯罪対策部組織犯罪対策第5課(通称「組対5課」)に改称された。
さらに、2022年4月には現実の警視庁で組織再編が行われたため、これに合わせてS.21以降でも薬物銃器対策課に改称されている。

演 - 山西惇(中学生時代:吉田晴登) / 未涼亜希

PS.2から登場。警視庁組織犯罪対策部薬物銃器対策課長で階級は警視。
ヒマか?」と言いながらコーヒーを淹れに特命係の部屋に入ってきて、会話に首を突っ込んでくるのがお約束。忙しいはずだがこの人の方がよっぽど暇に見える。
米沢と並んで特命係の能力を高く評価する数少ない人物で、捜査への協力も割と快く応じてくれる一方、組対各課の摘発の際には協力させているため、お互いに持ちつ持たれつやっている。
気さくな性格で飄々としているが、叩き上げで警視に出世しただけあってなかなかの切れ者で、暴力団や薬物・拳銃の捜査については一流の腕を持っており、「角田課長がよろしく言っていた」の一言だけでたいていのヤクザが顔を引きつらせているあたり、その道ではかなりのプロである模様。
そして、組織犯罪対策部は仕事柄劇中でも有数の戦力部隊で、たまに暴力団と格闘しているほか、普段の温厚な印象から一転、怒鳴りつけたり暴行を加えたりすることがある。その戦闘力は圧倒的で、部下ともども出撃したら大体のヤクザ半グレは確保されている。


  • 大木長次郎(おおき ちょうじゅうろう)
  • 小松真琴(こまつ まこと)
演 - 志水正義(大木)、久保田龍吉(小松)

PS.1~S.17まで登場。角田の部下で、ほぼ毎回特命係を窓から覗いている2人組。階級は巡査部長。
会話をすることもあるが、セリフがなければ役名は表示されないことも多い。名前が明かされたのはS.6からで、それ以前は「大木刑事」「小松刑事」、PS.では単に「刑事」表記。
薫や伊丹とは同期の間柄。ヤクザ絡みの事件やガサ入れが必要な時は、特命係に捜査協力することもある。
もちろん本人たちも優秀な刑事であり、昔彼らの世話になったヤクザは大体ビビって接している。
ちなみに、名前に反して大きい方が小松、小さい方が大木であり、特命係に来たばかりの享が間違えたことがある。

なお、大木役の志水氏は2018年9月27日に逝去。撮影順の関係で第1話~第3話と第8話に出演しており、病気の影響からか痩せているようにも見える。第1話の最後には写真とともに追悼テロップが表示された。彼のその後の行方については不明。
また、S.18以降は小松の姿も確認されておらず、彼のその後の動向についても不明。ただし、2人とも公式サイトの相関図には引き続き掲載されている。


警務部
演 - 神保悟志

S.2-1から登場。警視庁警務部人事第一課主任監察官で、S.8以降は首席監察官である監察担当理事官。階級は警視→警視正。警察庁キャリアとして警視庁に出向中*18
初登場時は勝手な捜査をした特命係に対し、査問会の席で懲戒免職を言い渡すなど高圧的な人物のように描かれていたが、内心では彼らに期待していた節もあり、腹心の部下が遺体で発見された事件を機に、捜査に協力したり処分を引き延ばしたりするなど比較的良好な関係を築くようになった。
しかし、職務には忠実かつ厳格な人物であるため、監察官としての立場から対立することも多い。
常時携帯している錠剤(実はラムネ菓子)をかじっている姿から「ピルイーター」の異名を持つ。尊も分けてもらう場面がある。
錠剤の中身は周囲に隠しているが、右京と薫には自ら告白し、亘からは得意の嗅覚で見抜かれている。
プライベート関連でとある秘密を持っている。


サイバーセキュリティ対策本部
『X DAY』やS.11-17などに登場した、岩月彬らが所属する生活安全部のサイバー犯罪対策課とは異なる部署である。創設には副総監の衣笠も関わっている。

  • 土師太(はじ ふとし)
演 - 松嶋亮太

S.16-最終話から登場。サイバーセキュリティ対策本部第5課の特別捜査官で青木の同僚。サングラスを愛用しており、パソコンの名札は落語風のフォントになっている。
彼とはライバル関係らしく、互いに張り合ったり煽り合ったりするのが日常茶飯事。特命係から戻ってきた彼を「出戻り」と呼び、彼が拉致された事件で救出に貢献した際は嬉々として恩を着せるなど犬猿の仲(S.18-12)。
当初はスペシャルを中心に登場するサブキャラだったが、青木がS.20-最終話で内閣情報調査室に異動したことから、S.21以降は彼の役割がそのまま降りかかったを引き継いだようになっており、特命係や捜査一課への捜査協力や捜査本部への参加など出番が増加している。
薫からは「はじっち」というあだ名をつけられ、右京からもメールにおいて「青木くんなら5分はかかったでしょうが、あなたなら3分で可能でしょう」と言われて「見くびらないでください。2分で」と俄然やる気になるなどいいように扱われており、本人も「このままじゃ青木年男の二の舞」と嘆いていた(S.21-1)。
実質的に青木の後任のような立ち位置になっているが、果たして彼のような愛されキャラになることはできるだろうか。

松嶋氏はS.5-2にも出演している。


幹部
  • 衣笠藤治(きぬがさ とうじ)
演 - 大杉漣→杉本哲太

S.15-1から登場。警視庁副総監で階級は警視監。権力に固執する典型的官僚ではあるが、サイバーセキュリティ対策本部の設立にも関わるなど、警察組織の改革にも意欲的に取り組む野心家の一面も見せる*19。1959年10月2日生まれ(中園役の小野了氏と全く同じ)。東京都文京区鈴森在住。血液型はB型。左利き。
明慶大学法学部を卒業後、キャリアとして警察庁に入庁。神奈川県警本部長や長官官房総括審議官などを歴任*20
法務省を事実上クビになって警視庁に入庁した亘に対し、一度は捜査妨害による報復として非捜査部門の総務部に追いやったものの、美彌子からの依頼を受けた峯秋の頼みで特命係へ異動させた(S.15-1)。

愛娘の里奈が唯一の目撃者になった事件以降(S.15-11)、初期は特命係だけでなく政敵の峯秋をも明確に敵視し、両者まとめて葬り去ろうと画策していた場面も見られた。
しかし、特命係が事件を未然に防いだ際は内々に感謝状と金一封を贈呈しており、峯秋とあんみつを食べながら「出来の悪い子」について語るなど、両者とも決して本心から嫌っているわけではない様子も見せる。

青木の父とは幼なじみの間柄で、彼が警視庁に配属されたのは衣笠のコネによるものである。青木が楓子を突き落した事件では、動機が『週刊フォトス』嫌いの自身を慮っての行動であると察し、峯秋に頭を下げてまで処分を特命係への左遷にとどめた(S.16-最終話)。
そして、自らの危機を救った彼の行動を評価し、幹部への根回しで古巣へと復帰させたが(S.17-10)、相変わらず問題ばかり引き起こす彼に愛想を尽かし、ついに決別した(S.20-最終話)。

大杉氏は2018年2月21日に逝去。後任には杉本哲太氏が起用された。大杉氏は撮影に参加していたものの全ての撮影は終えていなかったため、改めて杉本氏で撮影し直すことになったという*21。S.16-18の最後には2018年2月21日には追悼テロップが表記された。
なお、大杉氏はS.2-6、杉本氏はS.5-11にもそれぞれ出演している。


警察学校

演 - 六角精児 / 華形ひかる

PS.2~S.14-最終話までレギュラー登場。警視庁刑事部鑑識課で階級は巡査部長→警部補。血液型はB型。所轄署の鑑識係にいたところを本庁に引き抜かれた経緯がある。
まさかのスピンオフ映画が作られた鑑識。嫁に逃げられ、未だに探している。その嫁が美人なのが非常に苛立たしい。
右京とは落語仲間。鉄道・ゲーム・ギター・昆虫・漫画喫茶と、右京に負けず劣らず多趣味で存在感が強い人物。
回を増すごとに登場頻度や特命係との交流が増え、右京のもう1人の相棒と呼んでも差し支えないくらいになっているが、自身の都合に構わず働かせたり、早朝に呼びつけた挙句水臭い態度をとったりする右京の態度に反発することもある。
長年特命係を支えていたが、S.14-最終話で突如警察学校教官への異動辞令が下され、右京と亘に別れを告げた。前触れもなく突然卒業になってしまったため、その理由は後付けという形でS.15-13で補完されている*22*23
劇場版IVでは教官として登場するが、上層部の命令や早く現場に復帰したい思いから、特命係と関わりたくない態度を露骨に出すようになっていたが、そんなことを気にする右京ではないので効果は薄く、結局は渋々ながら力を貸している。
時間の経過か、S.16-5以降で登場した際は協力的になっている。
帰国した薫と再会した際の回想シーンでは薫と同じく人に教える立場であることを語っており、今では教官としての仕事にやりがいを感じている節もある(S.21-20)。

六角氏はPS.1では米沢という同名の監察医役で登場していたが、米沢守とは別人である。


警察庁

演 - 岸部一徳 / 夏美よう

S.1-1~劇場版IIまで登場。警察庁長官官房室長で階級は警視監。通称「官房長*25。1947年6月4日生まれ。
群馬県出身の次男坊で、東京大学進学を機に上京。当時は学生運動に参加していたらしく、赤いカナリアの幹部である本多篤人とは友人にして同志だった*26。卒業後はキャリアとして警察庁に入庁。1987年の公安部参事官時代には外務省公邸籠城事件を解決するため、非公式に「緊急対策特命係」を結成。作戦参謀に当時捜査二課のエースだった右京を招集し、SATから精鋭5名を選抜した。
しかし、アメリカ国務長官来日の知らせを受けたことで強行突入の構えを見せ、拒否する右京を解任。結果、事件は多くの死者を出す大参事で終わってしまい、上層部の判断で右京は特命係に押し込められてしまう(S.1-11)。対照的に、彼自身はその後も出世コースを歩み、「チヨダ」の管理官や公安部長などを歴任して現在に至るが、内閣官房長官の朱雀武比古の怒りを買って一時期長官官房教養課長に降格されたこともある(S.3-2~3)。

特命係に対しては自ら後ろ盾になって処分の先延ばしや復活に寄与する一方、各方面に多大なつながりを持っており、右京とは違って大局的な目で犯罪を見逃すことも許容しているため、特に警察や政府の不祥事・陰謀が絡んだ事件では体裁や国益を守る立場からしばしば対立している。よくも悪くも特命係の存亡は彼の裁量次第であり、その点では最大の味方で、最大の敵。
とはいえ、彼の行動原理は威信や大義を守ることに一貫しており、私利私欲で動いた場面はなく、決して人命を軽視しているわけでもない。同時に警察官僚としての彼なりの正義感も強く持っており、権威を利用して犯罪を隠蔽しようとした人物に対して制裁を下したこともある。

右京とは上記の事件から因縁の関係といってもいいが、今では一緒に食事に行くなど不思議な縁で結ばれており、相容れないながらも互いの信条自体は理解し合っている。
S.6-最終話で彼が発言した「杉下の正義は時に暴走するよ」という言葉は右京の性格を端的に表現しており、実際にその言葉通りの事態になることもしばしば。
だが、自らを殺していい人間に右京を含めるなど、本心では罪悪感も抱いている(S.1-11)。

劇場版IIではかねてから予定していた警察庁の警察省への格上げを実現すべく、長官の金子文郎とともに警視庁籠城事件を利用し、反対する幹部たちを警視庁から追い出そうとするが、2010年7月20日、組織改革の煽りで見せしめのごとく1人だけ懲戒免職にした生活安全部長の三宅貞夫に刃物で刺され、右京に看取られながら「おかしいね……殺されるならお前にだと思ってたのに……」との言葉を残して殉職。
その後もさまざまな裏取引や裏工作の際に名前が挙がったり、時の権力者からも信奉されたり、果てには自身の遺骨が盗まれたりするなど、死後もなお各所に影響を残し続けている。


  • 甲斐峯秋(かい みねあき)
演 - 石坂浩二

S.11-1から登場。警察庁次長で享の父。階級は警視監。血液型はA型。東京都世田谷区成城本町在住。
オーストリア大使館やエルドビア大使館に赴任した経験があり、県警本部長などのポストを歴任後2012年夏に帰任し、次長に就任した*27
劇場版IIで殉職した小野田の立ち位置を引き継いだ人物であり*28、次長時代は自身や組織の利益のためなら非合法的な手段も辞さない場面もあった。
しかし、小野田ほど特命係と対立してはおらず、下記の降格後も含めて全体的には支援する役回りの方が多い。同時に警察官僚として強い信念を持つ漢という一面も明かされている。

大学の後輩でもある右京や美彌子のことは高く評価しており、さまざまな面で協力を惜しまない。東京大学卒ではないが元法務省キャリアである亘のことも買っており、彼の特命係配属に貢献している(S.15-1)。
他方で、次男である享との仲は険悪そのもので、「東京大学、それも法学部以外認めない」というエリート意識から、早慶大学卒の彼を当然に認めておらず、「息子としても警察官としても出来が悪い」と酷評し、初期は何かにつけて警察を辞めさせたがっている場面も見られた*29
しかし、彼が警視庁に入庁するまでの経緯を右京から聞いた際には笑顔を見せており、衣笠との会食の際には享を思い浮かべるなど、本心ではそれなりに愛情を抱いている。

S.14以降は享が起こした事件の責任を取る形で長官官房付の閑職へと降格になったものの*30、中園がS.14-1で「緊急避難的措置」と語っていたように形式的な処分に過ぎないようで、特命係の人事や処分に便宜をはかるなどその影響力は全く衰えていない。
その後、衣笠から打診された「特命係の指揮統括役」への就任を熟慮の末に承諾し、組織図上では特命係を配下に置く上司の立場になっている(S.16-2)。


法務省

  • 日下部彌彦(くさかべ やひこ)
演 - 榎木孝明

S.14-1から登場。法務事務次官。検事の資格は持たないが、前任者の急逝を受けて次へのつなぎとして例外的に起用された経緯があり、そのためにこれ以上の出世は見込めないが*31、その分どんな圧力にも屈することなく思い通りの行動を取っている。
法務省時代の亘の上司で理解者。非常に親しい仲であり、彼の要請にも臨機応変に対応する度量を見せるほか、脅すような言葉の裏で発破をかけたり、警視庁で生きがいを見つけた彼の背中を押したりもした(トドメ的な意味も含めて)。
逆に日下部も、法曹関係やその他あらゆる方面に顔が広く、かつ自由度の高い亘をよく使う。彼が警視庁に移籍してからも引き続き信頼しており、ヤロポロクとの関係が噂されている美彌子に対して探りを入れるために身辺調査を依頼したこともある(S.15-1)。
右京にはかねてより着目していたが、注目していた女性検事の些細な不正を彼が明らかにして辞職に追い込んだことに激怒。「私は君を許さない」と敵対宣言し、亘が巻き添えになってでも特命係を潰そうと考えるようになった(S.15-8)。
S.17-10を最後に登場しなかったが、S.20-19~最終話で久々に登場。少なくとも特命係を敵視しているような描写はなく、相変わらず美彌子に関心があり、亘を通じて近況を引き出そうとするほか、「霞ケ関の盲腸」とも揶揄される公安調査庁の地位向上を画策しており、その一環で彼を特命係からスカウトし、改革を託した(S.20-最終話)。


内閣情報調査室

  • 社美彌子(やしろ みやこ)
演 - 仲間由紀恵

S.13-1から登場。ロシア人スパイ、ヤロポロク・アレンスキーの亡命に絡む連続殺人事件で特命係と関わったキャリアウーマンで階級は警視→警視正。1974年5月3日生まれ。東京都世田谷区西代沢在住。血液型はO型。
東京大学法学部出身で将棋部に所属しており、右京と同じ恩師に学んでいた。卒業後はキャリアとして警察庁に入庁し、組対2課や長官官房国際課への配属を経て、内閣情報調査室に総務部主幹として出向していたが、上記の事件を受け、警視庁総務部広報課長に就任した(S.13-1)。
S.14では出番がなかったが、S.15から再び登場。厄介払いで広報課に配属された亘の上司になったが、彼から自身の身辺調査を行っていることを明かされると、亘を特命係に異動させるよう峯秋に依頼した(S.15-1)。
世間からは「美人広報課長」として知名度も高い。持論としては「公安調査庁不要論」を掲げており*32、鑓鞍とは違って格下げどころか完全に不必要と考えている模様(S.16-13, S.20-19)。

特命係の能力は認めており、全幅の信頼を置いているがうまく口車に乗せて巧みに利用することもある。峯秋からの信頼も厚く、秘密裏な調査を請け負ったり相談事をしたりしている。
スパイの協力者を「国賊」と言い切って断罪する一方、ヤロポロクとは男女の関係になっており、彼との子どもと思われる娘・マリアがいる。そのため、彼との関係について追及や脅迫を受けたりするなど、不幸な出来事には事欠かない。
S.17では仲間氏の産休明けで第10話より復帰し、S.19-1では女性の立場向上を狙うべく、「警視庁ガールズボム(KGB)」のメンバーでもある麗音の捜査一課配属を衣笠に働きかけた。
そして、S.20-3では内閣官房長官の鶴田翁助の策略により、内閣情報調査室トップの内閣情報官に抜擢されるという異例の人事になり*33、鑓鞍への事前の根回しもあってか鶴田の失脚後もそのまま留まっているが、内閣情報官という要職になってもなお変わらず気軽に頼み事をしてくる右京に対して内心辟易している節がある。
一方で、彼女にとっては内閣情報官という立場もあくまで通過点でしかないようで、自らへの銃撃事件を利用してまで警察の勢力図を刷新しようとするなど、ゆくゆくは警察官のトップにのし上がろうとするというキャリアゆえの野心ものぞかせている(S.22-1~2)。

仲間氏の夫である田中哲司氏もS.8-14に出演している。


  • 青木年男(あおき としお)
演 - 浅利陽介

S.14-15で初登場し、S.15-1~S.20-最終話までレギュラー登場。サイバーセキュリティ対策本部の特別捜査官で階級は巡査部長。1987年11月1日生まれ。東京都渋谷区恵比寿本町在住。血液型はAB型。文教館大学経済学部卒で情報処理安全確保支援士(登録情報セキュリティスペシャリスト)の資格を持つ。
元々は大田区に住む区役所勤務の公務員。自宅の向かいで起きた女子大生殺人事件の唯一の目撃者で、その光景をビデオで撮影していたにもかかわらず、「捜査に協力しなければならない義務はないし、協力を断ったところで罰せられるわけでもない」と捜査協力を一切拒否するほどの異常な警察嫌い。
最終的に右京の策に陥って面通しさせられ、ビデオも提出する憂き目を見たが(S.14-15)、この一件で屈辱を味わわされた右京と亘に復讐すべく、父親と竹馬の友である衣笠副総監のコネで警視庁に入庁し、新設されたサイバーセキュリティ対策本部第5課の特別捜査官になった(S.15-1)。
以来、特命係とは友好的に接しており、米沢に代わる新たな協力者になっているが、初期は2人への恨みを晴らすために裏で暗躍する場面も見られた。
シーズンが進むにつれて復讐心は皆無になっているが、2人への嫌味や変な噂を流すなどの嫌がらせは変わらない。

かなりの偏屈で日頃から嫌味な言動が多く、その性格から本人も友だちが少ないと公言しており、同期でもある亘が数少ない友人である。
しかし、実際には年齢や身長差もあってか、同期とはいえ階級上は格下の彼からは常にため口で*34、頭や顔を撫でられたり右京ともどもいいように利用されたりと、扱いは若干雑だが。

警察の不祥事をたびたび記事にする楓子のことは目障りと思っていたらしく、ついには彼女をエスカレーターから突き落とす事件を起こしたが、特命係によって暴かれる。ひたすら過失傷害を主張し続けた末、彼の真意を察した衣笠の配慮で特命係に左遷されることになり、内村のツテでケジメもつけられた(S.16-最終話)。
その後は部屋の一角を仕切りで区切って引きこもり、2人とは極力関わらない姿勢を取っており、伊丹から「特命係の青木年男~!」と呼ばれた際には、初期の薫のように特命係の一員であることを否定する場面もあった。
しかし、衣笠の危機を救った功績が評価され、ようやく古巣に復帰したが(S.17-10)、その後も特命係との関わりは続いている。

亘に対しては偉そうに接しつつも、いざ彼が目の前で刺された際は大声で名前を叫び救急車を慌てて手配するなど(S.20-18)彼なりに友情を持っていたようで、それだけに彼が飲みに行く約束を2度もすっぽかしてマリアと密会していたことは無性に腹立たしかったらしく、「警視庁現役警察官がパパ活!?」なる怪文書を作成して警察庁と警視庁内に拡散するも、これには衣笠にすら愛想を尽かされてしまい、庁内でも微妙な立場になってしまったところを責任を感じた亘の美彌子への推薦によって内閣情報調査室に移籍した*35(S.20-19~最終話)。
その後も右京からはいいように利用されているようで頼りにされているようで、S.21-11では内調に保管されていた袴田の殺人教唆の音声データを右京に提供し、事件解決に貢献している。

浅利氏はS.6-10にも出演しているほか、S.20-最終話では衣笠の持っていた写真の中ではあるが、父の網一郎としても兼役で登場した(ノンクレジット)。


政治家

  • 瀬戸内米蔵(せとうち よねぞう)
演 - 津川雅彦

S.2-最終話~S.16-13まで登場。衆議院議員にして徹正院の住職「照妙」でもある。初登場時は法務大臣で、その出自から一度も死刑執行命令書にサインしなかったことが語られている。
常に江戸言葉の一本筋の通った性格で、非常に強い正義感の持ち主。特命係を高く評価する数少ない人物の1人で、捜査への協力も惜しまない。一方で、その経験から右京の慧眼には恐れも抱いている。
交友関係は広く、雛子とは外務大臣の父と盟友だったことから親交があり、「雛ちゃん」と呼ぶこともある。小野田とも古くからの友人で、閣下の保釈や彼による「証人保護プログラム」にも関わっていた。

人命尊重の信念から紛争地帯で働くNGOの活動を支援しており、資金集めのためのパーティで得た収入を全額寄付していた。しかし、現地政府の腐敗から支援物資が子どもたちに満足に届いていない現状に義憤を持ち、送った支援物資を買い戻し、それで得た利益をNGOに寄付するといった不正に手を染めてしまう。しかし、それがNGOのスタッフだった薫の友人が殺害される事件へと繋がってしまい、真相が発覚して特命係に逮捕された*36。(S.7-1~2)。
その後、懲役10年の刑が下されたもの、本多篤人が釈放された際には特命係を呼んでそのことを伝えたり(S.9-最終話)、闇社会の大物が絡む立てこもり事件が発生した際は自ら人質になったりするなど(S.12-最終話)、服役中も特命係とたびたび関わってきた。
さらに4年後、仮出所を果たして実家を再興しようとするも、雛子による得度や白骨死体の出現など、またもや事件に巻き込まれることになった(S.16-13~14)。

上記の通り、各相棒の期間中に1回は登場しており、全相棒と面識がある。S.4-1では津川氏の実の兄で閣下役の長門裕之氏と兄弟で共演を果たした。
津川氏は2018年8月4日に逝去。衣笠とは違って後任は置かれなかったものの、S.17以降は鑓鞍兵衛が事実上の彼の後釜として新たに登場している。


  • 片山雛子(かたやま ひなこ)
演 - 木村佳乃(高校生時代:安田愛里)

S.3-1で初登場。長年外務大臣を務めた片山擁一を父に持つ女性衆議院議員で、外務大臣政務官・首相補佐官・内閣官房副長官などを歴任した。生年月日は不明だが、初登場時28歳。若くして父親の地盤を引き継ぎ、S.20-最終話時点で当選5回の負けなし。
「身の回りで事件が起きるたびにそれを逆手に取り、まるで糧にするかのように大きくなっていく人間」と右京に評されるように、トラブルの都度、巧みな話術や法の盲点を駆使して自らに不利な事件や事実だけは隠ぺいし、それらを逆用してのし上がる強かさと狡猾さを持つ女傑。その影響力は広く、警察組織とも太いパイプがあって公安を手足のように使うとされる。
表向きは父親の汚職すら公表したことで清廉な政治家になっており、国民からの人気は非常に高い。一方で、秘書による不祥事が判明した際には自殺するよう暗にほのめかすなど、保身のためなら手段も選ばない冷酷な一面も持つ(S.3-2)。

父親の悲願だった内閣総理大臣の椅子を目指すべく、首相補佐官時代のS.9-最終話では「赤いカナリア」との取引による本多篤人釈放の責任を法務大臣と公安調査庁に押しつけ、官房副長官時代のS.14-10では内閣官房長官の音越栄徳と組んで新会派を設立、総裁選への出馬を宣言する。
しかし、音越が船上パーティ中に本多らが起こしたテロで殺害され、新会派は頓挫。引責辞職して表舞台から姿を消した。
S.16-13で再登場し、出所した瀬戸内の元を訪れて尼になったが、未だに政界復帰への野心は失っておらず、出家も世間からの注目を集めるパフォーマンスに過ぎない。
その後は武器輸出を推進する「防衛技術振興協会」の顧問を経て(S.18-1~2)、S.20-19では東京7区から無所属で立候補し、刺客候補として山梨県の選挙区から国替えした鑓鞍を打ち負かして見事当選し、政界へ返り咲いた(S.20-最終話)。
瀬戸内と同じく、歴代相棒全員と面識がある。

木村氏の夫である東山紀之氏は2015年以降、主に夏シーズン(7~9月)の水曜21時枠である『刑事7人』で主演を務めており、同作が最終話に近づくと本作の予告が始まることが多い。


  • 鑓鞍兵衛(やりくら ひょうえ)
演 - 柄本明

S.17-1で初登場。国家公安委員会で委員長を務める衆議院議員。選挙区は山梨県。当選9回。
常に飄々としており、本心がどこにあるのか分からない人物。耳のよさを自慢しており、自他ともに認める地獄耳。国家公安委員の一人が関わった学校法人理事長殺害事件において、警察組織の中で独自の動きを見せる特命係に興味を持つようになる(S.17-1~2)。彼らを「(甲斐さんとこの)若い衆」と呼ぶこともある。
津川氏の逝去によって再登場が困難になった瀬戸内のポジションを引き継いだ人物で、当初は特命係を手助けする場面も多く、本心かどうかはさておき「もし警察をクビになったら事務所で雇ってあげてもいい」と語ったこともあったが(S.18-2)、次第に右京を警戒するような素振りも見せており、彼を「警視庁妄想モンスター」と罵倒する記事が出回るよう仕向けたこともある(S.21-2)。薫のことは当初女性だと勘違いしていた。
男女共同活躍推進会議の顧問も務めることから女性の社会進出に寛容で(S.20-19)、中でも美彌子のことは高く評価しているらしく、鶴田が失脚した際には彼女の内閣情報官就任人事を白紙に戻すべきだと主張する閣僚たちを説き伏せ、留任に導いている(S.20-3)。一方で公安調査庁のことは軽視しており、公安調査局に格下げさせるべきだと閣議で進言したこともある(S.20-19)。
党の選挙対策委員長時代には秘蔵っ子の議員だった王隠堂鷹司に対して無情にも党の公認を外すという仕打ちを行ったが、これは秘蔵っ子と持ち上げられた彼が若手を集めて改革と勉強会を始めたことで党の長老の逆鱗に触れたためであった。鑓鞍自身は忠誠心を試されていると感じつつも、お灸を据えるいい機会と判断してこれに従ったが、鷹司は無所属で立候補して落選した上に事故死(自殺と判明)する結果を招いてしまい、彼の関係者から恨みを買って襲撃されたこともある(S.20-19)。
また、雛子のことはS.14-10での一件から好ましく思っておらず、息の根を止めるために地元の選挙区を秘書に譲り、自らは雛子の選挙区でもある東京7区に刺客として国替えする(S.20-19)。最終的には雛子に敗れて落選するも、実際には比例区での復活当選も織り込み済みの国替えだったようである(S.20-最終話)。
当選後はサルウィン親善使節団のパーティに一緒に出席するなど、表向きは友好的な間柄になっているようだが……(S.21-1)。

次男の柄本時生氏もS.8-16、その元妻である入来茉里氏もS.12-9にそれぞれ出演している。


記者

  • 風間楓子(かざま ふうこ)
演 - 芦名星(幼少期:古川凛)

S.15-最終話~S.19-2まで登場。ゴシップ誌『週刊フォトス』を発行している葉林社の記者。
美彌子の隠し子疑惑を記事にしたことから特命係と出会い、以降もスペシャルを中心に登場しており、たびたび関わっている。その性質上、警察の不祥事も容赦なく記事にするため、衣笠をはじめとする上層部からは快く思われていない。
しかし、彼女個人としては特命係や雛子と良好な関係を築いており、捜査に協力したり、「花の里」や「こてまり」で一緒に飲んだり、仮出所した瀬戸内や北海道で行われた防衛技術振興協会のシンポジウムをスクープしたりしている。

S.16-最終話では、関西の広域指定暴力団・銀龍組の傘下である「風間燦王会」の娘だったことが判明。しかし本人はその立場を嫌っており、過保護過ぎる母親や組員の干渉を本気で嫌っていた。
だが、「拳銃を隠すためにてんやわんやしていたことが懐かしい」と特命係に語るなど、多少の愛着はあったようだ。一応は刑事である2人の前でそういうこと言ってしまうあたり、どこかずれている模様。
警察を非難する記事を好んで書くのもそんな奴らと育った結果で、衣笠の心中を察した青木に突き落されたこともあるが、その際に居合わせた6人を盗撮するなど、かなり抜け目がない強かな女記者でもある(S.16-最終話)。
その強かさは時に敵となり、時に味方となり、影響力のあるメディア記者として活躍していたが……。

芦名氏は2020年9月14日に逝去。S.19-1の最後にはこれまでの出演シーンとともに追悼テロップが表示された。
テレビ朝日によれば代役を立てる方針はなく、水谷氏やスタッフも「芦名氏の代わりなんていない」という思いでいるとのこと。
実際に『週刊フォトス』自体も劇中での登場がなくなっているが、S.19-19では茉梨が「フォトスの楓子さん」と発言する場面がある。


その他

  • 浅倉禄郎(あさくら ろくろう)
演 - 生瀬勝久(幼年期:下城正義、少年時代:関口龍之輔)

PS.2で初登場。東京地検刑事部の敏腕検事として活躍する一方、裏では狂気に満ちた連続殺人鬼「平成の切り裂きジャック」の一面を持っていた。
薫や美和子とは大学時代の無二の親友で、特に薫とは同じ寮で暮らした仲。1963年4月25日生まれ。
母親が売春の常習者だった上に自らが「不義の子」だったことがトラウマになり、幼少期に車のブレーキを細工して事故に見せかけて殺害。7年前の札幌地検時代には婚約者が偶然にも裏で娼婦をしていたことを知ってしまい、車ごと海に転落した自殺に見せかけて殺害(表向きは交通事故死)。
これを機に彼は完全に壊れてしまい、ほぼ3年ごとに新天地に赴任しては娼婦を次々と殺害するようになっており*37、「生きている限り殺し続ける」ともはや自分自身でもコントロール不能な殺意で犯行を続けていたが、最後は特命係によって逮捕された(PS.2)。
逮捕後も薫との友情は奇妙な関係で続き、彼の依頼で少年の更生に一役買ったり(S.1-5)、逆に以前関わった迷宮入りの事件の再捜査を薫や美和子を通じて右京に依頼したりした(S.2-1)。
S.2の1週間前に裁判で死刑判決を受けるが、2度の脱獄の末に千葉県の崖から自殺を図る(S.2-1~2)。奇跡的に生還するも記憶喪失になり、ホームレスとして暮らした末に再収監されたが、結局記憶が戻らないまま獄中で次長検事の教唆を受けた刑務官に殺害されてしまった(S.2-最終話)。
死後、ある事件の容疑者として浮かび上がるものの、特命係の尽力により無実が証明された(S.3-18)。

本作の初期シーズンを代表するキャラクターで、死後も彼の存在感は衰えず、S.3-18では亡霊という形で復活し、S.4-4では所業の観点から名前が上がっている。
演じた生瀬氏の演技はまさに鬼気迫るもので、その狂気を脅威の眼力で見事に表現した。
彼に匹敵する強い個性をもった犯罪者は本作の長い歴史の中でも数人に限られるほか、後のS.16~S.18では人物像や結末が類似した南井十が登場した。


  • ヒロコ
演 - 深沢敦

S.1-3で初登場。この時は焼肉屋の店主で、新宿で発生した事件を捜査中の薫と知り合う(S.1-3)。クレジットに名前はあるが役名は明かされなかった。
S.1-6で名前が明かされ、以後はゲイバー「薔薇と髭と...。」のママとして登場し、主に常連客絡みの事件で特命係に相談を持ちかけるようになる。S.6-13では愛犬が関わった事件で「花の里」に訪れたことで美和子やたまきとも知り合い、劇場版ではマラソンに参加した2人の応援に駆けつけている。
これを最後に音沙汰がなくなったが、S.18-18で約12年ぶりに登場。お気に入りの常連客が巻き込まれた強盗傷害事件の捜査を私的に依頼した。
彼とは頻繁に連絡を取っていたわけではないようで、当然ながら尊や享の存在も知らないため、亘を「彼が薫ちゃんの代わりに入った、右京さんの相棒ね?」と呼んだ*38
その後は麗音や茉莉とも知り合い(S.19-15)、S.21-15では帰国した薫とも再会した。

オネエという性質上、いつもハイテンションでとにかくキャラが濃い。多くの人物を名前で呼んでおり、亘を名前で呼んだ唯一のキャラでもある。
右京や薫をいたく気に入る一方、亘に対しては初対面の際に「この人信用できるの?」と右京に聞くなど警戒心を抱いていたが、再会したS.19-15では「無駄にイケメン」と呼ぶなど関係は改善された模様。
一方、同族嫌悪とも言える麗音には命の恩人にも関わらず「おかちめんこ」と呼んで何かと張り合っていた。「こてまり」に来店した際は茉梨を「ただ者じゃない」「いけ好かない女ね」と評し、本来は事件解決のお礼のために特命係を通じて麗音に渡すはずだった黄色の薔薇の花束を茉梨に渡して帰っていった*39


  • 矢木明(やぎ あきら)
演 - 高橋克実

S.5-10で初登場した私立探偵。
ハードボイルド小説の金字塔である「フィリップ・マーロウ」をはじめとする推理小説や探偵のマニア。「マーロウ矢木」を自称し*40、西日暮里にある事務所も作者にちなんだ「チャンドラー探偵社」。
マーロウの定番スタイルであるトレンチコートと中折れ帽を常に身をまとい、バーボンを好み、マーロウの名台詞もしばしば使うなど古風なハードボイルド派を気取る。
見た目は冴えない中年男性で、尊や薫をあだ名で呼ぶこともあるなどお調子者かつ飄々とした言動が特徴だが、探偵としてはかなりの実力者。ギャルからホームレスまでさまざまな人々に顔が利き、事件の解決や尾行の振り切り(S.22-6)のために協力を依頼することもある。その人脈を駆使して写真1枚から5日ほどで目当ての人物にたどり着くなど(S.5-10)、右京も一目置く推理力はかなりのもの。
仕事は探偵業以外にも引っ越しの手伝いからペット探しまで何でも引き受けており、「依頼人との約束は何があっても最後まで守る」という強い信条を持つが、そのために危険な目に遭うこともしばしば。

高橋氏は2003年7月から2006年9月まで裏番組に出演しており、番組が終了したことによって本作への出演が叶った経緯がある。
また、元妻の兎本有紀氏もS.5-17, S.10-4, S.12-14に出演している。


  • 日野
演 - 寺島進

S.5-11, S.13-10に登場。警視庁警備部の狙撃手で階級は警部補。下の名前は不明。
白髪交じりのオールバックにサングラスという、いかにもダンディな出で立ちの男。
現在に至るまで登場回数は上述した2回(どちらも元日スペシャル)と非常に少なく、「狙撃する展開が必要になった時に出てくるだけのチョイ役」に過ぎないが、その2回の登場でしたことが
  • 軽く数100mは離れている観覧車から、拳銃を持っている犯人の右腕だけを正確に撃ち、負傷させて自殺を阻止する(S.5-11)
  • 木の上という不安定な姿勢にもかかわらず、右京の後頭部に突きつけられていた犯人の拳銃だけを正確に撃ち弾き飛ばす(S.13-10)
と、「警視庁一のスナイパー」の異名を持つだけあってどちらもゴルゴよろしく超人的な活躍で特命係の窮地を救っており、視聴者に対して妙に強い印象を残している。


  • 加西周明(かさい しゅうめい)
演 - 石丸幹二

S.19-1で初登場。IT長者で、「掃いて捨てるほどある」というその圧倒的財力は政府からも無視できない存在になっている。
事業で築いた巨万の富をバックに自由奔放に暮らしており、インターネット上にPCゲームから発展させた仮想VR国家「ネオ・ジパング」を設立し、国王としてプレイヤー(国民)にも多額の金品を分け与えるなど、表向きは気前のよさで知られていた。
しかし、その本質は徹底的な拝金主義者かつ「人間は金次第で何でもする」と考える極めて傲慢な男で*41、億単位の大金をエサに公園で女性を全裸で躍らせたり、高層ビルを命綱なしに登らせたりさせるといった迷惑・危険・犯罪行為をさせて楽しむという外道な人物。6億で雇った実行犯・朱音静(演 - 日南響子)に麗音を銃撃させたのも「北上馬の交差点でいつも張っていて目障りだから」という極めて身勝手な理由からであった。
静の恋人が先の高層ビル登頂に失敗して転落死した事故を機に特命係が捜査を開始し、麗音銃撃の真相が明るみに出て逮捕寸前まで追い詰められるも、鶴田を忖度した衣笠の鶴の一声によって逮捕を免れた(S.19-1~2)。
その後も自由を謳歌し、静に対しても大金と引き換えに証言を翻させるなどして徹底的に逃げ続けたが、好き勝手にやりたい放題してきたことで殺し屋に命を狙われてしまう。
あまりにも現実離れした「殺し屋」という言葉に、彼自身および視聴者は冗談と思っていたが、最終的には食事中の一酸化炭素中毒事故を装って本当に殺し屋に殺害されてしまった(S.19-19~最終話)。
その末路も、雇ったボディーガードと一緒に食事をしようと断られた際に「食べないとクビにするぞ」と無理矢理同席させたせいで一緒に命を落とすという体たらく。無関係な彼らも巻き添えにしてしまったことはもちろん、食事をしなければ一命を取り留めた可能性も高く、そういう意味では自分の傲慢さが仇となった形と言えよう。

常に他人を小馬鹿にした態度は警察も好意的ではなく、特命係からもぞんざいに扱われていた。
自身の悪事が露見しても、悪びれるどころか「いくら欲しいんだ?」と金で解決しようとしたり、殺し屋に狙われていると聞いた際にはそれを冗談と思いつつも守ってもらえるのが当たり前だと振る舞ったりと、とにかく厭味ったらしい男。
その傲慢っぷりと往生際の悪さ、呆気ない最期から妙に印象に残る男であるが、実は彼の遺したものはその裏に潜むさらなる巨悪を倒す切り札にもなり、バーチャルの世界で右京がなり変わる形で登場するなど、石丸氏にギャラが発生した。死してなお存在感を残したのであった。

石丸氏は番組スポンサーでもある「黄桜 辛口一献」のCMに2020年から出演。当然ながら登場回でも流れたため、「何してんだ加西」「死んだんじゃないのか」などといったツッコミが殺到した。
また、同局の長寿音楽番組『題名のない音楽会』の7代目司会を担当している。


  • 袴田茂昭(はかまだ しげあき)
演 - 片岡孝太郎

S.20-11で初登場。与党である自生党の政務調査会長を務める衆議院議員。選挙区は東京27区で当選8回。1964年4月16日生まれ。政治家一族である袴田家の入り婿で、妻の虹子には頭が上がらない。公設秘書である息子の茂斗を後継者として育てている。
建設副大臣*42・国土交通大臣・防衛大臣・内閣府特命担当大臣・党国会対策委員長などを歴任した与党の重鎮で、超党派の議員を率いて『子供の貧困をなくす会』を立ち上げるなど、表向きは子ども政策に熱心な議員として知られていた。
しかし、「この国を動かすには低賃金で働く労働者の確保が必要不可欠」という思想を持ち、企業訴訟で経営者に有利な判例を積み重ねるべく、秘書の結城宏を通じて最高裁判所判事を懐柔しようとするも拒否されて負傷させ、さらには目撃者たちの口封じも画策し、捜査の手が及ぶや否や全ての罪を結城に押し付けるなど、実際には権力と利権に塗れた典型的な「悪い政治家」であった。
しかし、特命係によって真相を突き止められ、さらには結城への殺人教唆の証拠になる決定的な発言を右京に録音されるも、与党重鎮である彼に恩を売って支配下に置きたい美彌子によって録音データが削除されたため、全ての罪を結城に被せて右京の追及を逃れた(S.20-11)。

その1年後、S.21-11で再登場。政調会長こそ辞任したものの政界では隠然たる影響力を持っており、隠し資産である金塊の窃盗予告事件の際に右京と再会する。
相変わらず高圧的な言動で接し、昨年の一件について詮索しないよう牽制するなど往生際の悪さを見せていたが、事件を通じて茂斗の成長と行動に感激し、それと同時に上記のような悪い政治家の一面は出世の過程で身についてしまった不本意なもののようで、本来の彼は先代(義父)のような清廉潔白な政治家を目指していたことが判明。
さらに、当初は嘱託職員と知って侮蔑していた薫が茂斗に対し、「汚れなきゃ出世できないのが政界の現実かもしれないけど理想で現実に立ち向かってくれ。お父さんの果たせなかった夢を君が引き継げばいい」と熱く語りかけたことから、感謝の意を込めて正規の警察官として復帰できるよう衣笠に圧力をかけた。謝礼もまた権力を使ったものというある意味では彼らしい結果である。
その後、内調の青木を通じて右京が録音データを取り戻したことで捜査一課に連行された。しかし、その際に特命係を見つけた茂斗は笑みとも取れる表情を浮かべていた……。


【ストーリー】

ここでは、各シーズンごとの特徴や見所を述べつつ、各回のストーリーを紹介する。
ネタバレ要素も含むので気にする人はここでバック。

本編

S.18までは全シーズン共通で、最終話は2時間前後のスペシャルな上に普段より1時間早い20時00分から始まる回があり、さらにS.15までは初回も2時間前後のスペシャルだった。
また、S.7までは逆に30分遅い21時30分から放送される回もあった。

+ クリックで展開・収納














































劇場版

+ クリックで展開・収納



【脚本】

本作はほぼ毎回異なる脚本家が脚本を担当しており、人によってストーリーの味付けがかなり異なるという特徴を持つ。
主な脚本家は以下の通り。他にも多くの脚本家が参加している。

  • 輿水泰弘(こしみず やすひろ)
企画の段階から担当しており、いわゆるシリーズ構成に当たる生みの親。
巧みな心理描写やどんでん返し、政治家の陰謀に特命係が迫るサスペンスに定評があるが、現在は主に初回・最終回や、メインキャラクターに何か大きな変化が起こる話を担当する。
近年では生成AIやメタバースといった新しいIT技術を作劇に使うことも多い。
階真(きざはし まこと)京匡平(かなどめ きょうへい)など、難読な名前のゲストキャラが多い点も特徴。
『相棒』以外では明石家さんま出演作品を数多く手がけることでも知られる。
ちなみに、反町氏は中学校の後輩でもある。

  • 櫻井武晴(さくらい たけはる)
S.1-3~S.12-3まで。いわゆる「『相棒』らしい話」を書く人で、鬱々しい回をはじめ、時効問題をはじめとする社会派や組織の陰謀を描いたサスペンスに定評がある。
後に『コナン』の劇場版の脚本を何度か書いているが、それも「『相棒』っぽい回」になりがち。
特にS.9-8は、全国の労働者を絶望の底に落とした本作屈指の鬱々回である。
また、『米沢守の事件簿』やS.12-7では「飯田武」名義でも担当している。
現在は『科捜研の女』のメインライターとして活躍している。

  • 砂本量(すなもと はかる)
S.1-6~S.4-5まで。こちらもいわゆる「『相棒』らしい話」を書く人で、スッキリはしないがよくできた後味の話が多い。
また「冒頭で発生した大がかりな事件が、個人的な動機による小さな事件に収束していく」という極端などんでん返しも多い。
特殊なギミックや異色なガジェットを取り入れ、ひねった方向性の回を書くことでも定評がある。一例として、「警視庁ふたりだけの特命係」というシリーズ当初のテーマを破壊した、「第三の男」こと陣川警部補を生んだのも彼である。
S.2の通称「砂本3部作」は古参ファンの間では高い評価を得ていた作品だったが、残念ながら2005年12月21日に逝去。

  • 岩下悠子(いわした ゆうこ)
S.3-13~S.7-4までの後、S.20-14から再加入。
『京都地検の女』『おみやさん』『科捜研の女』など、テレ朝・東映共同製作の刑事ドラマを多数手がける。
登場人物のキャラクターを立たせる描き方に定評があり、名作としてよく名前の挙がるS.5-8も担当している。

  • 古沢良太(こさわ りょうた)
S.4-2~S.12-18まで。
今や『ゴンゾウ 伝説の刑事』『リーガル・ハイ』『コンフィデンスマンJP』『探偵はBARにいる』などの話題作を担当する超売れっ子。
櫻井氏と同様にサスペンスを好むほか、時系列を前後させていくつも伏線を張り、ラストで巧みに回収するストーリーも得意とする。

  • 戸田山雅司(とだやま まさし)
S.4-12~S.12-16まで。『裏相棒』やIIまでの劇場版も担当しており、キャラ萌え描写に定評がある。
歴代相棒の名前の共通点に最初に気付いた人でもあり、以後も踏襲されることに。
櫻井氏と並び、現在は『科捜研の女』のメインライターとして活躍している。ちなみにNHK朝ドラの脚本も手掛けたことがあり、それで忙しかったのかS.7では未登板。

  • 徳永富彦(とくなが とみひこ)
S.7-3から加入。本作と同じ時間帯に放送されている『特捜9』や『刑事7人』も担当している。
作風としては「苦難に直面して心を歪めた人」をエピソード全体の中心に置くことが多く、「倫敦からの客人」こと南井十も彼が生んだキャラクター。
S.9-7やS.14-17など、変則的な構成になっている実験的な回が多いのも特徴。
また、退職前後の薫を含めた4人5代の全相棒で脚本を書いたことのある数少ない人物の一人でもある。

  • 太田愛(おおた あい)
S.8-2~S.20-11まで。アニメ・特撮界隈ではおなじみの人で、人情話を多く手掛けており、S.9-13やS.10-10などは特に評価が高い。
作風としては、ミステリー的な巧みさよりも登場人物の心情に重点を置くのが特徴。
自ら罪を犯す覚悟で特命係に過去の事件を捜査させて真に裁かれるべき存在を明らかにさせたり、自身の思惑通りの結末を迎えさせたりすることも多いが、それでも決して後味の悪さを感じさせないオチも特徴。
また、神戸尊萌えという一面もあり、特命係卒業後の彼が再登場した回の多くは彼女の作品である。

  • 金井寛(かない ひろし)
S.11-8より加入。S.17ではこれまで輿水氏(一部櫻井氏・戸田山氏)がメインだった最終話を担当。

  • 真野勝成(まの かつなり)
S.12-13~S.17-9まで。S.12-13で彗星のごとくデビューすると、抜けたかつてのメイン脚本家の穴を埋めるかのごとく活躍。
平成のシャーロック・ホームズ、日野警部補、本多親子など昔ながらのファンがニヤリとする過去ネタをよく使う。
かなりのハロプロオタクらしく、ゲストキャラの名前は「譜久村聖太郎」「嗣永重道」など、ファンにとっては聞き覚えのあるものが多い。

  • 山本むつみ(やまもと むつみ)
S.12-15より加入。NHK大河ドラマ『八重の桜』の脚本も担当しており、同ドラマの最終回から2か月と経たずに『相棒』へ初登板した。
亘時代はおおむね1シーズン2話ペースで書いていた。「ブラックパールの女」小夜子の回はいずれも担当。

  • 根本ノンジ(ねもと のんじ)
S.17-5より加入。以前は日本テレビ系『弱くても勝てます~青志先生とへっぽこ高校球児の野望~』などのドラマの脚本や、『特命リサーチ200X』や『有吉ゼミ』などの番組構成を担当していた。
現在ではフジテレビ系の『監察医朝顔』や『パリピ孔明』の脚本でも知られる。


【監督】

監督も脚本に負けず劣らず入れ替わりが激しい。
脚本も含めたエピソード全体の出来を調整するのが監督なので、たとえ脚本家がベテランでも、各エピソードの演出や雰囲気は監督の腕前によってかなり異なってくる。
主な監督は以下の通りだが、脚本家と同じく他にも多くの監督が参加している。

  • 和泉聖治(いずみ せいじ)
PS.1~S.14-最終話まで。輿水氏と並ぶシリーズの生みの親。
S.13までは初回・最終回・元日スペシャルを全て監督していたが、「そろそろ卒業して、やりたいことが色々とある」という理由でS.14をもって卒業した。
コントラストを強めつつ青色を強調した「和泉ブルー」とも呼ばれる色彩表現で有名。

  • 長谷部安春(はせべ やすはる)
S.2-18~S.7-6まで。『探偵物語』『西部警察』『あぶない刑事』や、本作のルーツにあたる『刑事貴族』も手がけたレジェンド。
残念ながら2009年6月14日に逝去。『鑑識・米沢守の事件簿』の監督が遺作となった。
ちなみに原作・脚本は長男のハセベバクシンオー氏で、親子共作だった。

  • 橋本一(はしもと はじめ)
S.2-8より加入。S.15からは和泉氏に代わって製作を総指揮する立場となり、初回・最終回の多くを監督している。


追記・修正は特命係に左遷されてからお願いします。


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 土曜ワイド劇場
  • 相棒
  • ドラマ
  • 刑事ドラマ
  • テレビ朝日
  • 四音タイトル
  • 特命係
  • 警視庁の陸の孤島
  • 人材の墓場
  • 水谷豊
  • 杉下右京
  • 寺脇康文
  • 亀山薫
  • 及川光博
  • 神戸尊
  • 成宮寛貴
  • 甲斐享
  • 反町隆史
  • 冠城亘
  • サスペンス
  • 社会派
  • 人情
  • 一部カオス
  • 刑事貴族メンバー
  • 段々癖になり、ハマるドラマ
  • ひとつ、宜しいですか? ←最後にもうひとつだけ
  • 城南大学 ←呪われた悪魔の巣窟
  • 正月は帰れない
  • また陣川さんだまされてる
  • 警察
  • 警視庁
  • 警察庁
  • 所要時間30分以上の項目
  • 水9
  • 東映
  • 和泉聖治
  • 輿水泰弘
  • 櫻井武晴
  • 02年秋ドラマ
  • 03年秋ドラマ
  • 04年秋ドラマ
  • 05年秋ドラマ
  • 06年秋ドラマ
  • 07年秋ドラマ
  • 08年秋ドラマ
  • 09年秋ドラマ
  • 10年秋ドラマ
  • 11年秋ドラマ
  • 12年秋ドラマ
  • 13年秋ドラマ
  • 14年秋ドラマ
  • 15年秋ドラマ
  • 16年秋ドラマ
  • 17年秋ドラマ
  • 18年秋ドラマ
  • 19年秋ドラマ
  • 20年秋ドラマ
  • 21年秋ドラマ
  • 22年秋ドラマ
  • 23年秋ドラマ
  • 稀に鬱展開あり
  • たまに涙腺崩壊
  • バディもの

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年04月15日 00:19

*1 シーズン15のキャッチコピー。

*2 最初は同作の半分の枠を分け持っていた。

*3 俳優としては「瀧川英次」名義で活動しており、S.13-最終話とS.22-9にゲスト出演している(後者では「赤ペン瀧川」名義)。

*4 主人公のポリシーや女心に鈍感という点などが共通しているが、『コナン』の場合は作風上、本作とは違って扱えない展開や動機も多く、逮捕後の展開が描かれることもあまりない。

*5 ただし、『科捜研の女』では本作にも登場した架空の国家「エルドビア共和国」「ルベルタ共和国」がたびたび登場している。

*6 ただし、事件の真相を明らかにして犯人に罪を償わせるために必要とあらば、自ら違法行為に及ぶことも辞さない。

*7 ボディカラーは黒で、純正には設定のないカラーである。

*8 モデルはシーズンによって多少異なり、当初は前期型だったがS.17以降はマイナーチェンジ後の改良型に変わっている。

*9 三浦とは違ってクレジットは伊丹・芹沢と別々になっているが、ここでは便宜上トリオの一員として記す。

*10 尊以降の歴代相棒に対しても、同様に「特命係の○○」という言い回しを使うことも多い。

*11 実際の警視庁係長の階級は警部。警部補は主任を務める。

*12 S.5-5までは「山中たかシ」名義。

*13 劇場版までは旧芸名の「高樹沙耶」名義。

*14 客足はさっぱりだが、店は趣味でやっているとのこと。

*15 当該項目も参照。初期は見た目が悪いながらも味自体は悪くなかったようだが、S.22-1では逆に良質な見た目に反して味は悪化しまっていた。登場するたびに旧Twitter(X)のトレンドにも入るほどの人気っぷりである。

*16 実際の警視庁刑事部長の階級は警視監。

*17 正確には薬物銃器対策課の部屋の中に特命係が設けられていると言った方が正しい。

*18 実際の警務部首席監察官はノンキャリアのポスト。

*19 現実においては副総監が本部長を兼任するが、彼自身はあくまで「設立のキーマン」としか言及されていない。

*20 経歴のモデルは第88代警視総監や初代原子力規制庁長官などを歴任し、現在テレビ朝日取締役を務める池田克彦氏。警視総監を副総監に変えた以外全く同じで、S.15-11での彼のデータでは当該時期がそれぞれ埼玉県警本部長と警察庁警備局長になっているが、S.16-12のエピソードに伴ってなかったことになっている。

*21 本作のレギュラーキャストの逝去は大杉氏が初で、かつ後任が置かれたのは衣笠が唯一である。

*22 実際の警察学校教官の階級は警部か警部補で、巡査部長は助教を務める。S.21-20では階級章が警部補になっている描写がある(公式サイトの相関図では巡査部長のまま)。

*23 六角氏は後年、番組を降板した理由について「撮影に7か月間も拘束されて他の仕事が入れられなかったから」と述べている。

*24 従兄弟の雁屋耕大によれば本当の読み方は「きみあき」であるという(S.12-最終話)。S.1の公式サイトでは「きみあき」と表記されていた。

*25 オフィシャルガイドブックによれば「官房長」は官房室長の略称であるとされており、実際に警察葬時の看板には「官房室長」と表記されている。一方、現実の警察庁に実在するのは警察庁長官官房で、その長は「官房長」である。官房長官(内閣官房長官)とは別物なので注意。

*26 もっとも、彼ほどの真剣さや度胸はなかったことから早々に転向したようで、彼が革命戦士として名を馳せた頃にはせっせと公務員試験の勉強に励んでいたという(S.8-1)。

*27 警察庁次長は基本的に官房長や局長からの昇格が多いが、彼は地方から帰任した上での就任であるため、前職は大阪府警本部長の可能性が高いが詳細は不明(道府県警本部長では最上位で本庁局長級の待遇)。実際に鈴木良一氏と佐藤英彦氏が該当するので全くあり得ない話でもない。

*28 小野田の警察庁長官官房「室」長というポストはあくまでも架空の役職だが(警察庁長官官房長は実在)、警察庁次長は実在する文字通りの「警察庁No.2」で、基本的に次期長官にあてがわれる超重要ポストになっており、指揮系統の面では警視総監すらも上回る「警視監第1位」。

*29 他方で、期待通り東京大学を卒業した長男の秋徳との関係は悪くなく、服役中の享に代わって結平の父親代わりを務めている。

*30 「長官官房付」はあくまで不祥事や引責辞任などで更迭された警察官が懲戒処分や次の異動先が見つかるまでの一時的な措置に過ぎないが、S.22現在もこの措置が解除される様子は見られない。一応、S.11-10では政敵がいることが示唆されてはいる。

*31 事務次官は他省では官僚トップの役職になっているが、法務省においては検察庁が本省を呑み込むような人事体系になっており、法務事務次官は検事総長への出世コースの通過点に過ぎない。よって、事務次官をはじめとする省内外の管理職はほぼ検事の資格を持つ人で占められている。

*32 ただし、亘によればこれは美彌子に限った話ではなく、警察キャリアの共通認識である模様。

*33 内閣情報官は事務次官や警察庁長官級の要職で、基本的に局長級の警察キャリア(警視監)にあてがわれる。そのため、優秀なキャリアとはいえあくまで一介の警視正でしかない美彌子が登用されることはまずない。

*34 ノンキャリアで採用された警察官は亘のように巡査を初任とするが、財務・科学・コンピュータといった専門性を必要とされる「専門 / 特別捜査官」については経験者や有資格者を採用しているため、巡査部長以上の階級を初任とする場合がある。

*35 劇中では言及されていないが、公式サイトの相関図によれば亘と同じく警視庁を退職した上での転籍である模様。

*36 やむを得ない動機ゆえに世間からは同情論も多かったが、亘は「法務大臣なのに死刑を執行しない」という矛盾する言動について批判的な意見をのぞかせている(S.16-13)。彼は元法務省だったことから当時の部下にあたるが、もちろんいくら法務大臣と言えども全ての職員を知っているわけではないため(本省5万7000人、非常勤職員5万5000人いる)、口ぶりからして瀬戸内自身は彼のことを知らなかった模様。

*37 具体的な人数は不明だが、劇中では東京での5人に加えて自身の犯行だと気づいた検察事務官までも殺害しており、上記の2人と合わせて少なくとも8人は明言されている。さらに、「売春容疑」と記された19人の女性たちのリストが次々とめくられるシーンが描写されており、全員が被害者とするならば最大27人におよぶことになる。

*38 右京は「正確には『代わりの代わりの代わり』ですがね」と訂正し、亘は「別に代わりで特命係に入ったつもりはありませんけどね」とコメントした。

*39 黄色い薔薇の花言葉は「友情」のほかに「嫉妬」の意味も持つ。

*40 かつては戸越銀座で活動していたらしく、その時は「サム・スペード矢木」を自称していた。

*41 石丸氏は加西の人物像について、「金がありあまってしょうがない人、多額の金さえ出せば何でも可能だと思っている人、人生はゲームだと思っている人――つまり、頭脳明晰だが、信じるのは金のみという自己中心的な男」と分析している。

*42 建設省は国土交通省の前身、副大臣は2001年1月6日の中央省庁再編で設置された役職であるため、実際には建設省に副大臣は存在しなかった。もっとも、本作では国土建設省(S.8-5)や福祉衛生省(S.8-7など)といった架空の省が登場しているため、劇中世界では以前から副大臣が存在していたか、中央省庁再編後も建設省が存続していた可能性はある(ただしS.17-7では国土交通省、S.8-10などでは厚生労働省として登場)。

*43 同姓同名の声優とは別人の女優の方。S.6-6やS.19-18に出演している前田亜季氏の姉である。

*44 「図書館の自由に関する宣言」より、原則として令状がなければ利用者情報を聞き出すことはできない。

*45 ネット上に違法アップロードされた当時の録画映像は存在するが、普通に著作権法違反の代物なので注意。他に見る手段が存在しないので仕方ないと言えばそれまでだが。

*46 監督も兼任しており、脚本家と監督が同じという唯一の回。

*47 砂本氏の病状悪化により、後に須藤氏が引き継いだ。

*48 北海道新幹線の開業に伴い2016年3月末で廃止。劇中で言うとS.14の放映時までギリギリ走っていた。鉄道ファンには予約の取り辛さでも有名だったほどの人気列車であり、劇中でも偶然が重なってこれが護送手段になったと説明されている。

*49 通称「片棒時代」。元々は薫不在の状態を揶揄する意味合いだったため、使用には注意。

*50 相棒が交代する初めてのシーズンということもあり、途中で退場する薫や最終話でようやく登場する尊の姿を、シーズンを通して使用するオープニングで見せるわけには行かなかったためと思われる。

*51 参考: https://www.joqr.co.jp/article/detail/post_733.php

*52 なお、本作の世界に幽霊が実在すること自体はS.3で既に言及されている。

*53 櫻井武晴氏の別名義であり、『米沢守の事件簿』も担当している。

*54 時期的に考えて衣笠の前任とされる。ちなみに刑事ドラマなどの作品では「次期警視総監と目される副総監」が多いが、実際には本庁局長や大阪府警本部長よりも下位であるため、直接昇格した例は槇野勇氏と斉藤実氏の2人のみ。

*55 同姓同名の声優とは別人の脚本家の方。

*56 「右京の同級生」~「神隠しの山」の間とされる。

*57 今回は芹沢役の兄・崇史氏と兄弟で共演を果たしている。

*58 偶然にも角田役の山西氏もこのエピソードにゲスト出演していた。

*59 ジャニーズ事務所のごたごたによる組織改革より、東山紀之氏は年内をもって芸能界を引退したが、『刑事7人』の処遇は不明(一応、最終話で天樹悠が退職した)。

*60 美彌子や峯秋などが登場するエピソードではあるものの、最終話とは無関係だったからかシーズン終了後に放送されたものと思われる。

*61 尊と別れて休暇中の身であり、帰路に香港を訪れてS.11-1につながる流れと思われる。