児童虐待

登録日:2012/04/06(金) 17:58:02
更新日:2024/03/25 Mon 21:13:28
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児童虐待とは、その名の通り児童*1に対して行われる虐待行為である。
この項目では「児童」を対象にした虐待を取り扱うが、対象が異なる動物虐待、高齢者虐待や障害者虐待なども児童虐待と大部分で共通する。「パワハラ」や「セクハラ」などのハラスメント行為を児童に向けた場合は児童虐待になる。
虐待と同様に問題視される「いじめ」も、気付いた大人が適切に対処するべきであるが、気付いたのにも関わらず見て見ぬふりをしたり、まして加担した場合も加害者に変わりない。


◎虐待内容


●暴力行為

大怪我や死亡などの痛ましい結果に繋がるため、ニュースで最も話題に上りやすい。体罰とも。
刑法では暴行罪や傷害罪に該当する立派な犯罪行為である。
「取っ組み合ってでも児童から遠ざけなければならない危険があった」*2等の緊急事態を除き、
特に意味がない、または理由に対して明らかに過剰な暴力行為を親が働いた場合に虐待とみなされる。

この場合、親側は躾(しつけ)と称して暴行を加えていることが多く、児童相談所に通報しても「躾と言い張られる」などで対処しづらいという問題もある。
ビンタやげんこつなどは1発程度であれば躾の範疇とされていたが、今はこれも立派な体罰であるとされる。
過剰な暴行によって児童が死亡したり、命は失わずに済んでも重篤な障害を負わされたりするケースもあるが、
この手の虐待を行う親の多くは「躾のつもりだった」と供述することがほとんどで、暴行を受けていた児童さえも「親は悪くない、悪いのは親に従えないダメな自分」と信じ込んでしまうこともある。
たとえ本当にそのつもりで児童が自分に非があると認めていたとしても、行き過ぎた暴力を「躾」で言い訳にすることはできないのである。
下手をすると虐待を行う親の側にその認識が無くても暴力行為や叱責行為に快楽状態と依存性を得てしまう*3「嗜虐依存」状態に陥る危険性もある。

2018年の東京都目黒区で両親から虐待を受けた5歳の女児が「ゆるしてください」と手紙を残して死亡した事件、
2019年の千葉県野田市で父親から虐待を受けた小学4年の女子児童が死亡した事件は世間から注目を浴びた悲惨な虐待事件であるが、いずれも暴力行為が日常的であった。
これらの事件をきっかけに躾であっても暴力をふるう行為を禁じる動きが一気に加速する。

また、しつけとは別に、「病気やけがをした児童の献身的な親」を演じることに快感を覚えてしまい、故意に児童を傷つけて積極的に医者に行くという親もいる。
代理によるミュンヒハウゼン症候群(MSBP)の項目を参照。


●放置・監禁

親からの全面的な補助が必要な乳幼児期・幼年期の児童に十分な衣食住や補助を与えなかったり、教育を行わないことが該当する。
「育児放棄」「ネグレクト」とも称され、放置されている期間が長くなれば児童が死亡することもままある。

また、親が子を車に放置してパチンコに行って、熱中症で死亡するニュースを聞くことがあるが、こちらも車の中に児童を監禁状態にしていると言ってよい。
特に夏場の炎天下では車内温度が50℃近くまで上がり、ものの10分もしないうちに重篤な熱中症や脱水症状を起こしてしまう。児童は体温調節機能が大人と比べて低く、車から逃げ出すなどの対処も全くできないので非常に危険である。*4
育児は多大なストレスを感じるものであり、財布としっかり相談し、子育てに悪影響がないよう適度に嗜むのであれば、パチンコ自体はストレス発散として責められない。
パチンコ屋の側が託児スペースを設けるケースもある。
だが、子どもの命に関わる程・経済的に困窮する程熱中するとなれば話は別。本来は賭博でもある以上、依存をどうにかするのが本筋だろう。

大阪で数ヶ月放置された幼い姉弟が餓死して発見された事件を覚えている人もいるだろう。
…否、決して忘れてはならない。


●言葉の暴力

成人ですら優位性が上の者から下の者への言葉の暴力はパワハラ(場合によってはセクハラなど他の呼び方にも)となる。
児童に対する言葉の暴力は当然ながら虐待である。

たとえ叱責や指導を行ったとしても、適切なものは児童のためになるが、度が過ぎたものは虐待である。
2017年、福井県池田町では、他の生徒が身震いするほど過剰な叱責を日頃から受けた中学生が投身自殺した。
叱責が「薬」となるならば、過剰に投与すれば「毒」でしかない。

親や教師から心無い言葉を浴びれば児童はどう感じるであろうか?
本来、心の拠り所となるべき人から精神的に追い詰められる。
神経がすり減るなどという生易しいものではなく、ズタズタに擦り切れて長い間重い精神障害に苦しむ事態にさえなりうるのだ。

特に児童が乳幼児の場合、叱られても自分が何が悪いのかすら分からず、「ただ怒られている 怖い」としか認識できない場合も多い。
その場は萎縮してその行為をしなくなるかもしれないが、何が悪いのかを理解していないのでほとぼりが冷めた頃別のきっかけで繰り返す。
また児童はただでさえ知識が少ないので語彙に乏しく、児童側も保護者にうまく伝わらない事に憤りを感じていたり、大人の側が乏しい語彙による発した言葉を誤解し激怒する事もある。
叱る事自体は必要なこともあるが、元々乳幼児の育児は親にとって大きな負担である事も課題である。
叱責をきっかけに親の感情が爆発しやすく、必要な叱責のつもりが言葉の暴力になってしまう可能性がある。


●性的虐待

性的知識に乏しく、また、抵抗する膂力が発達していない児童は、性別問わず性的虐待の被害者になり得る。

加害者と被害者の性別がどちらであれ、性行為に至る過程がどうであれ、発覚すれば犯罪として取り締まられる。
また、性器や性行為、アダルトメディアを見せる・見せてもらう・触らせる・卑猥な言葉を言わせる・裸の写真を撮る*5などといった、
性行為まではいかなくとも、児童に性的ないたずらや搾取をしようとすれば性的虐待とみなされる。
ちなみに刑法では、男女の別を問わず13歳未満と性行為を行うことは同意の上でも強制性交として罰則の対象となる。つまりレイプと同じ扱いだ。
また、性的な目的で児童の写真を流布・所持することも児童虐待の一種である。

インターネットの危険性などを理解できていない児童が、悪意を持った相手に猥褻な写真を要求されてそれに応じてしまったり、
仲良くなった(と思い込んだ)相手に直接会おうと誘われ、それに応じたら性行為などを強要される等という、SNSを利用した事件が発生している。

平成29年度よりの法改正で、18歳未満の子に手を出した場合、合意の有無に関わらず監護者性交等罪(本番、フェラ)もしくは監護者わいせつ罪に問われ成人への強姦と同様の扱いを受けることとなり、
それによる罰則も懲役5年と重くなっている。これは実親だけでなく、養親や養護施設の職員にも適用される。

他方、児童が性的被害を受けたのかが気になり、過剰に児童を問い詰め、結果として児童に嘘の被害申告をさせてしまった例も報告されている。


●経済的虐待

財産の使い込みをするという形で高齢者虐待で問題になりやすいが、児童虐待としての事例も。
高齢者と違い児童は金を持っていない場合が多いため、児童虐待防止法では経済的虐待は児童虐待に含まれていないが、実際には深刻な問題である*6

親は財産を管理する能力が無い子の財産をきちんと管理し、扶養する権利と義務があるが、
お金を全て自分の贅沢に使ってしまい、子には必要最低限の面倒しか見ない親というのも中には存在する。
元の収入自体が少ないのにギャンブルや酒に使い込むケースがまず定番で、これは親の依存症を直さないとたとえ周囲の人間が注意しても治らない可能性が高い。
収入が無いならともかく、十分な収入があるのに学費すらケチって学校にも行かせず、自分はのうのうと贅沢三昧(特に賭博や嗜好品の過剰な購入等)する者や、
酷くなると、子に奨学金を申請させた上で振り込まれた奨学金をむしり取って学費を払えず学校に通えない状態にしてしまったり、子のアルバイト収入を全部むしり上げ全て自分で使ってしまうようなケースもある。
もちろんその奨学金を返す義務があるのは子であり、実質子に借金させてまでお金を巻き上げているのと同じである*7
生活が苦しく親の財産が足りなくなったので、子のために子自身の財産を使わせるなら親権としてアリだが、親が自分の努力を怠って子にタカっていいわけではない。

他にも、子どもが貰ったお年玉など個人の財産になった物を管理権があるのをいい事に勝手に使いこんだり、子どもの個人的に集めたものを勝手に捨てる行為もこれに当たる。

昔の子役などでは、芸能活動で得た収入は児童本人には一切手を付けさせず親が完全に私財として使い込む様な事もあった。
近年でも℃-uteの岡井千聖が母親にギャラをソシャゲ(ツムツム)で使い込まれてしまったり、元モーニング娘。の加護亜依が継父に娘。時代のギャラを殆ど使い込まれてしまったりという被害体験談がある。
岡井の場合はそれをネタにして復讐しているのでまだ笑い話で済んでいるが、加護の方はその後度々失敗を重ねる羽目*8になっており、後々まで深い禍根を残している。

この為現在は児童芸能人の収入は本人専用の口座を作ってそこに振り込み、親の手が付けられない様にしているケースもある。*9
本来給料は労働者に直接払われるべきもので、親であろうと代理人に支払ってはいけない。
受け取りに来た親に払ってしまった場合、使用者は労働者である子にもう一度支払い直す義務がある。
アメリカでは、現在の日本円で10億円以上にもなる子役の収入を全て親に使い込まれたスター子役がいたため、
法律で「子役の収入のうち一定額は子役の口座に積み立て」を義務付ける法律がある。*10

ただし、児童芸能人の場合親も子にそれなりに投資している場合が多く、レッスン料などのある程度の投資分を子の収入から回収するという程度ならば虐待とは言えず、どこまでを禁じるべきかは難しい。

また、片親が亡くなった際に残されたもう片親がローンなどの返済を放置したため、子に山の様な借金の返済義務が相続されてしまうケースもある。
速やかに相続放棄などのきちんとした法的手続きを取れば、子への一方的な請求から守ることは可能なのだが、親も社会生活能力に乏しく、端から相続があることを考えもしていないケースが多い。
親からの相談がなければ弁護士などの専門家も介入することができず、子への請求書が届いた後では手遅れになっているという訳である。

●過干渉

児童(子供)も1人の人間。自分の意思を持って行動したいはずである。
そこで、親が子に他の人に迷惑が掛かる事等を制限して、子に正常な判断能力や社会適合能力を養わせなければならない。
だが、行き過ぎた制限は虐待に他ならない。「厳し過ぎる教育・家庭内規則を強要する」などして、子を親の思い通りに行動させる事が過干渉である。

マスメディアなどでよく言われる「教育虐待」はこれの一種に該当する典型と言える。
例えば児童に社会的な能力を身に付けろと言いつつそのツールとなる遊び道具や同年代内で流行物・情報に対し触れる事すら許さない矛盾行動を強いたり
教師など家庭外の「他の大人」の言う事に対し「あんなものは戯言だ」「あんな連中の言う事などこの家では何の意味もない」といった過剰な罵倒や否定を行ったり、
児童の意思を全く尊重しないで塾やスポーツなどの習い事を強いる、交友関係に一々口を挟む、親が所謂名門校のみを進学先として強制し、四六時中勉強させると言った行動なども該当する。
これ等は直接虐待行為を行うのが家庭教師など別な人間であっても彼等に伝える要望内容の時点でその状態であれば親の側の虐待行為と言える。
こうした教育虐待は、親が自身の行動を「正しいことだ」と信じ込んでしまっている場合が多く、例え公的機関が介入したとしても親が考えを改めることは困難という厄介な問題がある。

過干渉の問題点は虐待内容が所謂「エリート養成ノウハウ」そのものだったり伝統職業の伝承等の為の特殊な家庭内規則の適用だったりするので
当然止めさせた場合対象は(少なくとも本来誰かが思い描いていた)「エリート」としての人生コースから外れたり伝統職業などの場合その伝統技能が失伝してしまう事等のリスクがある。
伝統継承の訓練の場合、時代が変化したが為に現在では違法なのであって、過去では立派に認められた内容だったので、その辺の折り合いも難しい。
また同じような干渉を行った結果、児童自身がその干渉をよかったと考え、成功している親の例もしばしば紹介される。
その為周囲が見て見ぬ振りをしたり伝統文化的な損失を恐れて虐待行為を肯定してしまうケースが少なくない。
キチンと専門知識や他者との交流によって相互監視されている場合はまだマシと言えなくもないがそういった物を齧った程度の専門性の無い親*11が児童に無理強いした場合、
児童の側は徒に疲弊消耗する上に親は結果の出ない原因を児童の側に求め暴力やネグレクトなどを行う為増々児童はダメージを負う悪循環に苛まれる。


●過保護

これは上記の例とは逆に一切叱咤などをせず、児童の欲しがるままに好きなものばかり与え、とにかく甘やかしてしまうケース。
児童自身は思い通りになるため苦しむことはない。
親としても児童にそれほど愚図られたりしないので願ったりかなったりに思える。
だが、きちんとした躾を受けなかった児童がまともに育つだろうか。
思い通りにいかないストレスに対する忍耐力・自分で考える力そのものが欠如し就学や勤労に対する意欲を失う、仮に就いたとしても全くついていけずニート化する可能性がある。
また、好きなものばかりの偏った食事で肥満体となりやすいため若くして生活習慣病の重症者となってしまう。
他にも、子供を過保護に思うあまり、先述した過干渉をしてしまうこともある。そのためこのパターンの場合「厳しいのは親からの愛」と思い込んで、また過干渉を繰り返す、悪循環に陥ることもある。
児童の将来の可能性を塞ぐという意味ではこちらも虐待と言える。

学校で上手く現実と向き合い矯正できればよいが、学校だけでは限界もあり、あまり期待はできないばかりか、
中には学校側に対して理不尽な要求*12を行う、所謂モンスターペアレントと化する親もいるため、
上手く指導するどころか担当教諭が精神を病んでノイローゼになってしまうなどのケースも起こっており、中々根深い問題になっている。

フィクションではこういう育ち方をしたキャラは単なる「本人の怠慢」扱いされ、高確率で悪役にされやすい傾向にあるが、
見方を変えればこれも虐待の一種であり、彼等は親の虐待の被害者と言える。

またこれに類似した物として「児童に一切人間の暗部恥部に触れさせずお花畑な子供時代を送らせる」という物もある。
此方は一見、理想的な子育て状況の様に見えるが、こういった状態で育った子供は世の中に悪意を持った存在がいる事を知らず疑わない状態になってしまう為、
過激で聞こえだけは良い文言を聞かせる宗教団体や過激思想集団・マルチ商法などにとっては絶好のカモ。
なまじ悪意に触れた事が無い為本人は善意善行と思い込んで他者に迷惑をかける独善を押し付ける者になってしまったり本人自身が
宗教団体のイカサマ教義や思想集団の無意味なノルマ達成などで心身をすり減らし虐待状態になってしまう事もある。


無戸籍児童

親が、子が生まれた事を役所に届けず、子を公的保護の目から届かなくさせてしまう。
親の側にもDVをする相手から逃げたいなどの事情がある場合も多いのだが、
ただでさえ片親で子育てが難しい中、公的支援まで閉ざされる児童の立場は非常に厳しくなる。
特に未婚の母の場合、「婚前交渉をするふしだらな母親が悪い」という母親への非難もあるため、ますます母親は閉じこもりがちになってしまう。
詳細はリンク先を参照。


●搾取子&愛玩子

簡単に言うなら兄弟姉妹の間で、子供を差別して育てる
年齢や性別に応じた対応の結果として兄弟姉妹間で対応を変えることは悪いわけではないが、明らかに愛情の有無からして違うのが明白な場合である。
搾取子はサンドバッグと呼称されることもあり、親のストレスのはけ口にされる役割の子供のことを指す。あらゆる欲求を様々な理由で我慢させられる、家事を無理矢理させられるのは序の口で、酷い時には暴力・暴言など上記の虐待を常に受ける。どれだけ努力しようと善行を重ねようと、それを評価されることは一切無い。
一方で愛玩子とは可愛がられ、自慢したり見せびらかしたりするための存在であり、欲しいものは何でも与えられ、どんなに悪いことをしても努力を怠っても怒られることもない。

誰にでもアニメ・漫画・ゲーム問わず「お気に入りのキャラにはとことん入れ込むが、それ以外には無関心」といった経験はあると思われるが、それを子育てにほぼそっくりそのまま当て込めているのである。

基本的に誰が搾取子・愛玩子になるかは親にもよるが、兄弟姉妹誰であろうと何人も当てはまる場合もある。
いずれにせよそんな差別を是とする家庭環境で子供がまともに育つはずもなく、搾取子・愛玩子共に洗脳状態になり、中にはその状態が当然と感じてしまう者も。

愛を与えられずに育つ搾取子の中には洗脳に気付くなどして絶縁し独り立ちする者もいるだろうが、大抵は自己肯定感の低い卑屈な性格に育ってしまいがち。
そして愛玩子も甘やかされすぎた結果、自立のできない我が儘なろくでなしになってしまうだろう。


●ヤングケアラー

児童が、本来大人の担うべき弟妹や祖父母、障害のある家族などの監護・介護*13を担当する「ヤングケアラー」となっているケース。

介護を児童の年齢に見合った水準で手伝わせるだけならば問題はない。
だが、ヤングケアラーの場合、介護が忙しすぎて宿題や予習に手が回らず、要介護者の体調悪化などで休まざるをえないケースまで出てくる。部活修学旅行も介護のために参加できなくなり、学業の遅れが生じて進路に制約が生じたり、友人関係の形成に大きな支障を来すことになる。
中には、ヤングケアラーが監護していた弟や妹に手を上げて児童虐待の加害者になってしまうと言う事態も報告されている。

家族の側も、家族構成員が少なかったり、仕事で稼がないと食い扶持もないので介護には手が回せなかったりで児童相手でも介護を手伝わせないと物理的に介護が成り立たないケースもあり、公的機関の支援なしに対応するのが非常に難しい。
ところが、
  • 「行政に十分なサービスの仕組みがない」
  • 「サービスの仕組みがあっても児童や家族の側が行政に助けを求めない」
  • 「行政が学校経由などで事態に気づいて支援を受けることを勧めるが、「恥ずかしい」「児童を児相に取られてしまう」等と考えた家族が拒否してしまう

など、支援には何重もの壁が立ちはだかっている。
「家族なんだから介護くらい当たり前」と言う認識は、社会一般の人々も持っている場合も少なくないし、児童が助けを求めないのもそれが原因であるケースも少なくない。
だが、介護されている側が知的な障害を起こし、精一杯監護しても感謝どころか罵倒され、それが何年続くか分からないような状況を想像できるだろうか?
本来介護とは(相手の状態や程度にもよるが)人体の適切な扱い方や繊細な接し方などの多くの専門的な知識、そして介助のため相手の身体を支え誘導する高い肉体能力が相対的に求められる高度な行為であり、介護職では入社時に各種資格を必須としているくらいである。
大の大人ですら、監護・介護の負担に耐えかねてノイローゼやうつ病を起こし、介護殺人や無理心中を図ってしまうことが問題になっている。それを満足な知識も筋力も無い児童にさせていると言えば、どれだけ危険な状態か察することもできるだろう。
未熟な介護による事故で双方の命に拘る事態になりうることも十分ありえるし、何より児童の健全な育成の阻害の言い訳になってはいけない。
共倒れになってしまう前に、躊躇なく行政や周囲の人間などに助けや知識を求め、専門の人にお願いするなりするべきである。


●宗教二世

児童の親が、カルト宗教に依存してしまっているケース。

親にも信仰の自由があり、社会生活や家庭生活を脅かさないレベルで宗教を信じているだけならば特に問題はない。
ところが、カルト宗教は、親を通じて児童にも実質的に入信やイベントへの参加を強制することがしょっちゅう。
児童自身がカルト信者になってしまう場合はもちろん、カルトへの参加を拒否する児童に対して圧力をかけ続けてしまう行為が問題になっている。
明らかに非合理的な『教義』を信仰し、「信仰に基づいて」学校教育や医療を受けさせないなどの行為も問題となっている。

宗教に限らず、疑似科学陰謀論、スピリチュアル、インチキ健康法等に過剰に傾倒する親もこれに近い問題だと言えるだろう。
  • 医師の治療や予防接種を陰謀論を理由に拒否する。
  • ヴィーガンやマクロビオティックを過剰に信奉して子にもその食生活を押しつける。*14アメリカでは、ヴィーガンで子を餓死させた親に終身刑が言い渡されたケースもある。
  • とにかく「自然がいい」という主張から医者を敵視し、子が体調を崩しても医者に連れて行かない(通称:自然派ママ)。頼るのは同じ仲間のSNSの民間療法だが、もちろん全く効果が無い。

特定の思想に過度に依存する人物を目覚めさせる効果的な方法はなく、家族はおろか、学校や児童相談所の干渉も役に立ちにくい。
場合によってはかえって公的機関を敵視し、思想仲間にのみ依存してそこに児童が囲い込まれることもある。

両親ともはまっているケースはもちろん、はまっているのが片親のみの場合でも、信仰にはまりすぎたり両親の対立の溝により家庭が崩壊するケースも少なくない。
カルトによる洗脳や過激思想への依存から目覚めさせることは、公的機関の力をもってしても容易ではないのである。

化物語戦場ヶ原ひたぎは母親が悪徳宗教にはまってしまった宗教二世である(父親はまとも)。


虐待を受けると児童はどうなるのか

何かしらの形で虐待を受けると、当然ながら子供(児童)は悪影響を被ることになる。

暴力を受けた児童には叩いた痕や傷、痣が体に残っている。中には暴力を振るったと分からないように腹部など目立ち難い部分を集中して攻撃する親もいた。
放置された児童の場合は栄養が十分に摂取できず同年齢の平均的な子供と比べ心身の発達が遅れることがある。
頭部の攻撃によって脳や神経系へのダメージがあった場合は知的の発達に遅れが生じることがある。
過干渉によって酷使された児童の場合早期に病気に罹って虚弱化したり、心身の成長に歪な物が見られたりもする。
また完全に解明されたわけではないが母体にいる状態で母体がDV等で虐待を受けた場合でも児童の側がストレスを蓄積した状態で生まれ、悪影響を被る場合もある。
これらの特徴があるからと言って虐待されていると判断するのは早計であるが*15、児童に何らかの悪影響を与えることは間違いない。

また、虐待を受けた経験はトラウマとなることがほとんどで、年月を経ても精神に甚大な影響を及ぼす。
精神病の症状として現れるほか、深い劣等感や無力感などを持ち続けることも。
「厳しくしつけられるという事は、自分はダメな人間なんだ」という児童の側の劣等感が「助けを求める」という選択肢を奪ってしまう場合もある。
所謂「アダルトチルドレン」*16も幼少期の虐待などによるトラウマを持った人であり、多くは当時の劣等感や無力感から自分の行動・判断に自信が持てない、
常に他人の承諾や称賛を必要としてしまう、必要以上に自己犠牲的になるなど、生きづらさを持った人間に成長してしまう。

また、児童は大人とのかかわりの中で人間関係の構築を学ぶため、周囲の人間と良好な関係の作り方を知らずに成長する恐れがある。
「周囲の人間」とは自分の子も含まれ、後述のように自分の子を虐待するという悪循環を生みかねない。
更に、虐待された子は攻撃的な性格になることも少なくなく、他人に対していじめや傷害などを起こす子供になってしまうこともある。
親がしている暴力行為を悪いことと思わず、「躾」同様に理由があるなら他人に行っても良いと認識してしまうからだ。
子供たちが非行に走るのも児童虐待が遠因となっていることが多い。
家庭に居場所が無い少年達がいつしか暴走族、半グレのような悪い仲間たちとの付き合いを「居場所」にし、そこから暴力団などに取り込まれるという形で、泥沼にはまってしまうこともある。
しかし気を付けて欲しいのは、上記の特徴が当てはまらない子もいるという事だ。
一見普通のいい子だが、実は虐待を受けている子もいたり、虐待を受けた児童がそのまま大人になって初めて気づくというケースも沢山ある。
これは児童にとって両親が当たり前の存在だからである。
こういった子の場合友達や先生などに指摘されてようやくその子とその家族が気付く事も多く、両親もそういった意識もなく愛故に一時的にそういう態度を取っていたこともある。



そこの貴方、画面の前のキミ、虐待を受けていませんか?



貴方は「当たり前」とは何か?と問われた時、どう答えるだろうか?
この問いは非常に難しいが、不正解はわかるだろう。「出会い頭にキスをする」「魔法が使える」等だ。
しかし挨拶としてキスをする文化の国もあるし、二次元の人々にとって(作品によるが)魔法も当たり前なものという設定だろう。「当たり前」は周囲の環境次第で簡単に変わるのだ。
SCP Foundationをよく知っているアニオタならミーム汚染を思い出すかもしれない。つまりそういう事である。


虐待をする親の問題


色々読んで、多分多くのアニヲタが胸糞悪くなったであろう。
「そう言うヤツは生きてる価値なんざ無いんじゃい!」
という意見があるのも分かる。

だが、虐待した親を叩くだけなら誰でも出来るし、それで解決するなら児童虐待はこんなに根深い問題にはならない。



虐待した親は多くの場合、自分の親から虐待を受けていたことがままある。過干渉の項目にもあるが「昔は虐待ではなく合法な躾け行為だった」内容も多々あるのだ。

つまり

虐待されているのを自分のせいにして、親に対しての感情を抑え込む

成長して自分が親になる

自分は愛情のある育て方をしようと思っても子供が言うこと聞かず(これ自体は子育てをすれば誰もが経験すること)

しかし自分が原因だと自身を責める

押し殺していた感情が児童に向けて爆発してしまう

その子供も、親を責めずに自分を責める


というような負の連鎖が出来上がるのである。もちろん他の連鎖反応式もある。

これを止める為には、周りが気づいて止めてあげる事が必要になってくる。

CMなんかでも言っているが、間違っているかもしれなくても児童相談所に電話してほしい。
児童相談所も人手不足や制度不備で十分動けないことはあるが、それでも救われる児童は少なくない。
虐待のあった家庭の近所に住む人の多くは、気づいてあげられなかったことを後悔している。
当の親も、自分の行動が悪いことである事が分かっているのに虐待を止められず、警察に相談すれば逮捕されてしまいかねず、誰にも相談できないまま泥沼にはまっている事もある。
そんなときに児童相談所から差し伸べられる手が希望の光になることは少なくないのだ。

こうなった原因の多くは、近所付き合いの無さである。
電話一本で救える可能性があります。子供も親も。

また幾つかの虐待の原因の中には「実は親の方が脳などに疾病を患っており始終過負荷が掛かった状態の為堪える事自体が不可能だった」ケースもある。
この場合は明確に加害者側の身体状況の方が原因のため、家庭の側だけの努力ではどうにもならない。
そういった親の疾病を取り除く医療の目や医療を受け易くする経済・社会面の支援も重要*17と言う事である。

周囲の対応

児童虐待は、児童自身から助けを求めることが難しく、周囲の気づく視点が大切である。

後悔してからでは遅いんです。もう一度言うが、間違っているかもしれなくても児童相談所に電話してほしい。

虐待の相談対応は、決して簡単ではない。
それどころか、周囲の対応のまずさが、虐待された児童にとどめを刺してしまう場合もある。
児童が助けを求めてきても、その場で虐待の物証などなかなか出せるものではない。
児童の証言しか根拠がないと、「児童虐待なんてあり得ない」「ただの親子ゲンカだろう」という先入観から
「ぶたれるようなことをしたきみが悪い」
「親はきみを愛しているのだからそんなことをするはずがない」
と、児童を突き放してしまうケースがあるが、これは絶対にやってはいけない最悪の対応である。
「助けを求めても意味がない」「むしろ自分が悪いことにされてしまう」ことを理解させられた児童は、誰にも助けを求められないまま、取り返しのつかない事態になってしまうのである。

確かに、児童の言い分にも何か間違っている点がある可能性は否定できない。
専門の相談員や警察官ならともかく、近所の一般人や親戚が児童から話を持ちかけられて、適確に対応しろ、と言うのも厳しい話だ。
けれども、虐待の相談を受けたなら、まずは児童の言うことを否定せずに聞くこと。
児童が間違ったことを言っていたとしても、それを非難したり説教したりするのは、相談を持ちかけられた周囲の仕事ではない。
安易な決めつけは、虐待の共犯になることを肝に銘じて欲しい。

虐待の兆候


以下のような特徴があれば、児童が虐待を受けている可能性がある。

児童の様子

  • 叩いた痕や痣があったり、目立つ傷に治療を受けている様子がない。特に痕や痣をやたら隠そうとする子供は危険。
  • 年齢と比べて明らかに体が小さい。またはやせ細っている。
  • 逆にあまりにも太っている(食事こそさせてもらえているが、ろくな栄養管理がされていない可能性が高い)。
  • 冬にTシャツ1枚だったりするなど、季節に合わない服を着ている。
  • 服や身体が見るからに不潔。体臭が酷かったり、一見して分かるほど口の中が虫歯だらけになっていることも。
  • 鼻風邪や虫歯治療などが施されていない(青っ洟の垂れ流しなどは戦後初頭の摂取栄養が低い頃に頻発していたものなので平成や令和以降の今にも拘らず「戦後初期の様な生活水準である」という事)。
  • 夜中に親や信頼できる大人が付き添わない状態で外にいる。
  • 怒鳴り声や泣き声が毎晩のように聞こえる。
  • 家に帰ること自体を嫌がる。
  • 普通の児童が明らかに学校に行っている時間帯に公園などにいることがしょっちゅう。
  • 親などの大人に対してやたらと萎縮した態度を見せる。
  • 嘘をつくことを繰り返す(自分の身を守ったり、気を引くために嘘をつかなければならない状態になっている可能性がある)。
  • 単におとなしいというレベルではないほどに表情などの反応が乏しく、無反応・無表情が多い。逆に、何に対しても落ち着きがない。
  • やたらと友達の家に遊びに来て、食事などをねだる(食事すらさせてもらえていない可能性がある)が、自分の家には行かせたがらなかったり自分の家より他人の家の方が寛げている。
  • 非行や犯罪行為に手を染める(飲酒、喫煙、万引き、いじめ*18、暴力、動物虐待、その他問題行動)。
  • 明らかに年齢と合わない性的な言動の多発。
  • 前項に近いが明らかに時代錯誤な価値観内容の言動が多い(女性蔑視、優生選民思想、カースト的な下位身分への侮辱罵倒語など)。

親の様子

  • それとない忠告や子育ての話題にヒステリックな反応をする。
  • 子供の話題の話をしている際、よく聞いてみると子供の良い部分を自分の手柄の様に宣い、悪い部分を配偶者か子供本人の個性に押し付けている。
  • 他人を叱り付ける、暴力に物を言わす話題を好み、始終他者の落ち度や悪さのあら捜しに没頭している(嗜虐依存の現れ)
  • スポーツ観戦などをしている際、選手の健闘を称えたり褒める事をほとんどせず、ミスや落ち度ばかりを探し選手や監督などを侮辱罵倒して憂さ晴らしする事ばかりに没頭している。
  • 人の見ている前で乱暴な叱り方をしたり、時には暴力をふるう(見ていない所でもダメだが、見ている前でやっている場合悪いとすら思っていない可能性が高く危険性が高い)。
  • 子供の見ている前で末端店員や窓口応対職員などに対し横柄不遜な態度を取り、決してへりくだらない(子供を含めた「目下の人間に対する基本思想」がそのまま出る)。
  • 先天性疾患や内臓系の持病を持った他者に対し「先祖が何か罰当たりな事をした」、「ああいう医者の手に係るのはそもそも早死にすべき出来の悪い穀潰し」などと言って本人や入院通院治療行為などを侮辱罵倒する(優生淘汰思想的な差別思考の現れ、大抵子供にも向けられる)。
  • 自身の学歴や境遇に対して強烈なコンプレックスや過剰な誇りを抱いており、自身や他者(配偶者含む)に対して学歴・職業差別発言を頻繁に行う。
  • 児童を家に一人にして夜中の帰宅や朝帰りがしょっちゅう。あるいは、ギャンブルなどにふけっている。
  • 兄弟姉妹間で露骨な差別、取り分け大人に都合の良い価値観を満たす者を贔屓し、本来の年齢相応だったり個性的な行動をする者を蔑み虐げる対応を採る。
  • 児童芸能人などに対し大人に都合の良い、特に親の栄光心や経済的な都合を満たす部分ばかり評価し、年齢相応の部分を嫌悪する。
  • SNSなどで児童の話題を出す時に児童を貶してばかりいる。*19
  • 親自身がもう片親から暴力やハラスメント、DVを受けている(得てして子にも矛先が向けられる。行為を見せるだけでも虐待に成り得る)。
  • 他所の家庭的だったり子供に親身な親や教育者の対応を見て「子供が付け上がる」、「ガキに舐められてるだけ」といった罵倒や愚弄する態度を取る(「子供は屈服させる目下の者」という思想の現れ)。
  • スポーツなどを自分で教える際に自己流かつプロの大人用インストラクトなどを無理に押し付け年齢に合った教育法を行わない、あるいはそれ等のプロの児童向け指導者の指摘などに対し攻撃的になり侮辱や罵倒を行う。
  • 過度の飲酒や喫煙(子供が真似する恐れがある、親の体調悪化による育児放棄、受動喫煙が子供にも悪影響を与える恐れがある、泥酔して暴れるなど)。
  • 家がゴミ屋敷になっていたり、電気ガス水道が止まっている。
  • 時代錯誤な価値観に憧憬を見出す発言をしている(父系家族を至上とする、女性を蔑視する、西部開拓初期等の様な人付き合いに乏しく武装自衛が必要な世界・家族状態を愛好する等)。



行政による保護の問題点


上記のような事態を見て、「行政が児童を預かればいいんじゃないの?」という疑問を抱く人は多かろう。
確かに、虐待する親から児童を取り上げて国の養護施設で面倒を見る制度はある。


だが、現状虐待された児童を軒並みそれによって救うというのは、あまり現実的ではない意見だと言わざるを得ない。

というのも、様々な虐待を受けて心に傷が付き、個別の配慮が必要な児童を集団で管理するのは非常に難しい。
そして、引き取る養護施設の児童は、虐待を受けていた児童だけではない。
非行少年もいたり、親の死亡や重病など、誰かに落ち度がある訳でもないのに入所せざるを得なくなった児童もおり、多かれ少なかれ生じている児童の心の傷に対し、必要なケアの種類はバラバラだ。

これに対して、養護施設および職員の人的・経済リソースはかなりカツカツ。
時には十人以上にもなる児童ひとりひとりにしっかり向き合い、惜しみ無い愛情を注ぎ、彼らなりに考える最善の保護環境を提供することは物理的に不可能なのが実情。
養護施設の手前である一時預かり所は子供が集中し易く、更にリソースが切迫している。

自治体によって差異があり、全ての施設がこんな状態ではないことは留意頂きたいが、ただでさえオーバーワークな職員の負担を減らすためひたすら事故などが起こらないよう機械的・或いは懲罰的に管理統制するだけの施設も残念ながら存在する。

「児童同士私語も目を合わせるのも禁止」
「携帯電話を持っていても使用禁止、外部の友達とも話せない」
「ルール違反にグランドを何周もさせる*20
「『同室の児童と談笑していたから』と言う理由で、窓すら無い二畳間の懲罰部屋に軟禁」
「真冬に二時間正座させたまま反省文を書かせる」
「それまで問題なく通えていた学校にも通えない」
「施設によっては私物はパンツ一枚持ち込めない」
「進学校で優秀な成績を収めていた中学生に小学校低学年向けの計算問題を解かせる」

なんて事例が報告されている。
もちろん
「一緒の施設には非行少年も入っている。彼らとつるんで非行を学んでは困る」
「ルール違反を許して増長されると管理が難しくなる。要保護児童には中学生以上もいて、職員より体力があることも珍しくなく、管理に従わない児童は職員を危険にさらしかねない」
「学校に通わせようにも、虐待親が登校中を狙って子を奪還しかねなかったり*21、距離がありすぎて危険。と言って送迎の人手はない。」*22
「児童の年齢や成績に応じた教材なんてとても準備できないし、教えられる先生役も準備できない」
「不公平と思われたら児童が言うことを聞かなくなるので、「携帯など私物のない児童」「学校に通えない児童」など、環境の悪い児童に合わせて全員に我慢させざるを得ない」

という養護施設側のやむにやまれぬ事情はある。
だが、養護施設側の事情がいくらあっても児童の側からは関係のない話で、これでは養護施設で余計にグれてしまったとしても無理はない。
面積的な制約もあるので、「私物はランドセル一個分しか許可されず、親の形見も強制的に捨てさせられた」という事情がトラウマだったと語る施設出身の凶悪犯も居た。

養護施設とは少々違うが、
「頼れる親戚のいない親が1か月入院する必要が生じてしまい、止む無く施設に我が子を預けたら、入院前は元気だった我が子はPTSDを患って不登校になってしまった」
といった事例も複数報告されており、2021年現在訴訟が施行中である。

こうした養護施設の保護環境の劣悪さに耐えかねて「虐待をする親でもいいから家に帰りたい」と訴えたり、「親とうまくやっていけない自分が悪いの」と自分を責める児童すらいるほどだ。
引きはがされた親がショックで更生すればよいが、これ幸いと施設に児童を押し付けてしまうことさえある。

また、児童を親と復縁させないでずっと施設で暮らしてもらう、と言うのも現実には問題が大きい。
施設で暮らしていれば、進学にも制約が大きくなる。
高校や大学への進学には親の経済力が重要という現状は厳然として存在している。奨学金も決して簡単に得られるものではないし、得られたところで返さなければならなかったり、そもそも保証人(大概は親)がいないと借りられない奨学金も多い。
給付型奨学金もなくはないが、虐待トラブルで心に傷がついて学業も遅れがちな児童が、優秀さが求められる給付型奨学金を得るのは困難を極める。
就職するにしても、進学せず施設育ちの児童が暮らしを営めるような仕事に就職するのは厳しいと言わざるを得ない。親がいないため、身元保証人すら簡単に立てられないのだから。

親と絶縁させてずっと施設で暮らさせる、ということは、児童をこうした将来の大きな負担に晒す危険性が大きい。
親が更生するならば、上記のような問題は発生しにくく、施設で暮らすよりは児童にとってずっと良い。

そう考えると、「保護することは児童にとって良いことだ」と簡単に決めつけられない場合が多く、児童相談所も安易に「親と永続的に切り離す」という決断に踏み切れないのだ。

このような前提条件を考えると、施設に入れる方が児童の利益と簡単に言えないため、施設に入れるのは最終手段になりがちである。


また、児童相談所ができることについて「保護されるような児童が脱走したら不安だ」「子どもを連れ帰る親が押しかけて住民に危害を加えるのでは」「治安が悪化して地価が下がるのではないか」という住民からの反対運動も起きている。
反対運動を起こした住民側が炎上し、児童相談所も最終的には無事に設置されたケースもあるが、反対運動の激しさに設置が断念されたケースもある。
もちろん、設置に際して別に反対運動も何もなく、スムーズに設置できているケースもある。しかし、こうした反対運動が広がれば、設備の拡充だって難しくなるのだ。

一般市民としても虐待親に怒りを表明するだけではなく、児童の保護に理解を示し、予算を割き、保護に協力していく姿勢を出していかなければ救える児童も救えないのである。

虐待は誰がするのか?


日本で虐待が一番多いのは母親。児童といる時間が最も長いのが最大の原因だろう。
その9割近くが旦那がいない(シングルマザー)、旦那が育児に無関心or育児に割けるリソースを失っている状態であり、
日本の育児は女の仕事と全て母親に放り投げてしまっているのが原因とされる。

育児によって心の余裕や社会性がなくなる為、母子だけの閉ざされた環境が続きストレスが溜まる。
そのストレスから狂暴性を持ってしまうのは動物的な本能なので母親を責めるのは本当は間違い。

一番いいのは育児が大変だから、他人に迷惑になるから等と家に閉じ込まらず様々な場所へ行って孤立しないようにすること。
夫や両方の家族、周り近所が少しずつ手を貸すことにより母親に余裕が出て虐待数は減る。
虐待で最悪な場合死を迎えるケースも少なくないが、こちらは食事すら与えない育児放棄(ネグレクト)や体罰が原因で、
自分なら大丈夫だからと大人に対する力加減で暴力を振るったり、自分ならそんなに食事しなくても平気だった等成人基準で考えて行動してしまうケースが多い。
昔はよかったと同じ心理で記憶の誇張や改ざんが原因となっている。
そもそも根本的な話、人間は群れで生活する様に進化してきた生き物なので、「夫婦二人のみで子供を育てる」事自体が無茶なのである。
生まれて数時間で歩けるようになる獣、例えばなんかとは、生物としての在り方が全く異なるのだ。

公私問わず受けられるだけのサポートはありったけ受けよう。それは決して恥ではない。
サポートを受けることや、いわゆる「未婚の母」を攻撃する言説…そうした攻撃を見た母親は問題を抱え込みやすくなり、結果として最悪の事態を生じさせてしまうのだ。
家庭の実情を理解せず、安い正義感で母親を攻撃する言葉は、まぎれもなく虐待の原因である。

上にあるが虐待数が1番多いのは母親だが虐待死させるのが1番多いのは父親。

男性は比較的、力が強く為子供への力加減ができないケースや自分が産んでいるという意識が低い事から自分の子供としての意識の欠落が多く、
それ故家族ではなく邪魔物・厄介者等として扱ってしまう。そしてこちらも動物本能が原因で自分の群れに新入りが入った事への不満等から当たってしまう。

これを防ぐには父親に親子であると認識させる為子供と遊んだり、食事をさせる等行うのがいいがそれでも認識できない者は多い。
性的虐待も父親の方が多く、日本でも1番多い性的虐待者は父親が断トツで次が兄、その次が弟・姉・母、そして他者である。
日本では性的虐待を受ける女児は多く、小学校卒業までに7割の女児が何かしらの性的虐待を受けている(痴漢も性的虐待に入る)。

その2割が虐待や事件によって亡くなっているので女児の場合は性的虐待が原因で亡くなるケースが1番多い(成長してからの自殺含める)。

家族は子供に性的虐待を行う事すら考えつかない為発見が遅く、子供も幼いと性的虐待を虐待と知らない為誰にも言わず手遅れになる。
子供だから忘れるだろう、ちょっと悪戯しただけ、少し興味があった等と軽く考えているケースが多い。
子供の記憶力は大人より優れている事もあるので一生残る心の傷になる。
幼い子供には男女関係なく大人の成熟した性器を見せるのもトラウマになる為、これも立派な性的虐待だったりする。

男児の性的虐待は小学校卒業までに3割ほどだが、虐待を行うので一番多いのは兄。
様々なアダルト知識を弟に見せたりしているケース。
これの一部には「兄弟姉妹を同じ部屋で住まわせる」のが原因である場合があり、年上の側が思春期などに入りどうしても性的関心が発生し、
下の血縁者に性的行為・いたずらを行ってしまうという部分がある。
部屋を個室にすれば危険は減るが、貧乏な賃貸や社宅アパート、古い家屋で暮らしている場合は子供と大人の部屋すら分けられないケースも多く、危険を避けることは難しい。



児童虐待と冤罪

児童虐待の中でも、特に乳幼児に対するものは、児童がケガをするなどして運び込まれた病院などの通報により発覚することが多い。
しかし、児童自身に虐待された意識がなく、親が虐待を否認すれば、虐待の証拠は児童自身のケガの様子しかない場合も多い。
児童は親にはしばしば予想もつかない行動をし、僅かな衝突やうっかりミスが重大なケガに繋がる事故も起きやすいため、事故で負ったケガなのか虐待で発生したケガなのか区別するのが非常に難しい。

こうなると虐待の有無の判断は医師の専門的な鑑定に頼らざるを得ない。
だが検察や児童相談所が依頼すべき医師が何科か正確に理解できておらず、脳の障害について脳神経外科でなく小児科医に、腕の骨折について整形外科でなく内科医に判断させるということも起きてしまっている。

更に、こうした鑑定を任される医師は児童虐待防止運動に関与している医者が多く、逆に言えば児童虐待の防止に過度の正義感を持っており、中立性が疑われたり、刑事裁判の一大鉄則である「疑わしきは罰せず」を理解しないまま虐待と決めつけるようなケースも出ている。
実際彼らの鑑定を根拠に虐待と断定したところ、裁判で本物の専門家が出てきて虐待という鑑定が言い負かされ、結果として裁判所が「虐待と断定する医師の鑑定は信用できない」と判断して無罪となるという事例が近時度々報道されるようになってきた。

児童虐待の疑いがかかれば、親はたとえ全く虐待などしていなくとも、何年もの間、傷害や時には殺人などの疑いをかけられて裁判に臨まなければならなくなる。一度実刑を言い渡されながら高裁で逆転無罪となった事例さえある。
そこまでいかなくとも、長期間にわたって子と引き離される親の例はしばしばある。
かといって、児童虐待が弱者を標的にする許しがたい犯罪であることや、放置していれば児童の命にかかわることも事実であり、児童相談所や裁判所は本当に虐待があったのかどうかにしばしば頭を抱えている。



虐待を受けた場合は

虐待を受けると、「虐待を受けたことは恥ずかしい」「怖くて言えない」「自分が悪いのでは」といった思考に陥りがちです。
しかし、虐待はどこまでいっても卑劣な犯罪であり、あなたは全く悪くないのです。もし虐待を受けている場合、速やかに189への通報を強くお勧めします(通告は法律で定められた国民の義務です)。
また、「仕返しが怖い」という方は、児童相談所に直接駆け込んで状況を説明し、帰りたくないという意志をしっかり示すことが重要です。たとえ追い返されても何度でもやってください。
あなたが健やかに生活できることを祈っています。
以上、被虐待児の高校生からのアドバイスでした。


「父親である事は権利ではない。
…神の恵みだ」

「子供達を殴る方がクズだ!」

「親の躾はできないが、この子はなんとしても守ってやりたい」

「子供の為なら、死んでもいいっ!そういうのが親なんだよっ!!」




神に詫びろ…!!腐れ外道が!!!

追記・修正は虐待を許さない方がお願いします。

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最終更新:2024年03月25日 21:13

*1 法律の定義では18歳未満。

*2 包丁をおもちゃにして遊んでいた児童から乱暴に包丁を取り上げるような場合など。

*3 逆に叱責を行えない状態だとストレスや離脱症状が生じる

*4 親も、悪意を持って放置していると言うよりは「寝ているから起こすのも可哀想だし、ごく短時間だからいいだろう」程度の軽い感覚で放置し、離れた先で時間を食われたりど忘れを起こしたりで悲惨な結果になっているケースも多い。

*5 親が赤ん坊の成長記録のために撮る場合などは除く。

*6 都道府県といった地方条例レベルでは児童虐待に経済的虐待を含めているケースもある

*7 ついでに言うと奨学金の需給条件には「親が一定以上の年収をもらっている」というのが含まれているものが大半なので、こういうことをする親は「それなりの収入がありながら、子供に借金させてまで自分の贅沢を優先する」という救えない親であるケースがほとんど

*8 まともな父親の元で育たなかったせいか年の離れた男に度々引っかかっており、歳上の男に引っかかって喫煙を覚えて事務所を首になったり、最初の結婚でDV男に引っかかっている

*9 使い込み目的を黙って銀行から払戻を受けると親は「銀行に対する」詐欺罪や窃盗罪になる場合がある。これに対して、子供から直接お金を巻き上げた場合は親族相盗例という法律の規定によって処罰することができない。

*10 その子役の名前を取って「クーガン法」と呼ばれる。

*11 特に干渉の原動力が自身の低学歴に起因する強烈な学歴コンプレックスで、高度な教育に対する知識を全く持っておらず、児童に悪影響しか与えない稚拙な自己流のスパルタ管理教育法を実行する親など

*12 子供が運動会を休んでしまったからもう一度開催しろ等

*13 変わった形としては、児童が通訳を任されているケースもある。親が外国出身者の場合日本語が得意ではないため、日本語で育った児童の方が日本語が上手になり、通訳を任されるのだが通訳のためにつきっきりを求められてしまうのである。

*14 ヴィーガン食は成人が適切な栄養管理をして続ける分には問題になりにくいが、様々な栄養素を摂取する必要のある子供には非推奨となっている

*15 傷や痣は虐待ではなく、転倒などの事故で持ったものかもしれないし、知的障害や発達障害などは先天的に持って生まれることが多い。このような場合は親に罪を着せるのは間違いである。

*16 字面から勘違いされやすいが、「子供のような大人」を示す単語ではない。

*17 今でも「医療機関に係るのは恥」「医者に縋る様な身体の持ち主は欠陥人間」などと言ってのける人すら居るので意外と重要な問題である

*18 逆にいじめられるケースもある。

*19 最近親のSNSの記録が子供のプライバシーを害し、いじめや犯罪の標的を見つけさせる危険があることが問題になってきている。このため、SNSで子供のことを話題に出さないことは立派な考え方である。

*20 学校でやれば体罰。

*21 実際、児童相談所に怒鳴り込みをかけるなど、過度に攻撃的だったりや法律を軽視するタイプの親も少なくなく、こうした親への対応も児童相談所の悩みのタネである。

*22 学校での期末試験や遠足のようなイベントだけ送迎しているという施設もある。