カードの種類(TCG)

登録日:2020/01/20 Mon 00:14:38
更新日:2023/08/24 Thu 00:20:02
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●目次

概要


トレーディングカードゲーム(TCG)デジタルカードゲーム(DCG)はカードごとにできること、使えるタイミングなどが種類分けされている。
世界初のTCG「マジック:ザ・ギャザリング」では当初7種類*1のカード・タイプが定義されており、後発のTCGもこれに倣ったものが多い。
途中からカードの種類を増やしたTCGもあり、それらの新たなカードは既存のカードのサポートを受けられない、その逆に既存の除去が効かないといった特性を持つことになる。

大半のTCG/DCGで採用されている種類

以下はTCG/DCGで採用されているカードの種類を大まかに分類したもの。

プレイヤーや同種のカードと戦闘を行うカード

カード名称:クリーチャー(MtG、デュエル・マスターズ)、モンスター(遊戯王OCG)、ユニット(ヴァンガード)、スピリット/アルティメット(バトルスピリッツ)等

TCG/DCGの主役とも言えるカード群。俗称は「ユニット」「生物」。
これらのカードで相手プレイヤーを攻撃し、そのライフを削りきることが勝利条件となっていることが多い。
また同種のカード同士で戦闘を行えるようにもなっており、そのぶつかり合いが昨今のTCGでは一番の醍醐味に据える傾向にある。
TCG以外のカードゲームの多くは机の上でプレイヤー同士がカードを出し合う地味な絵面にしかならないのだが、このユニットの戦闘を前面に押し出すことで絵面が派手になり、今ではプレイヤーの新規参入への意欲を引き出すことに大きく貢献している。

MtGではクリーチャーは主役の一つでしかなかったのだが、遊戯王OCGの頃からTCGでは開始当初からこれらのカードを主役としてデザインするようになっていった。
詳細はビートダウン(TCG)にて。

使いきりのサポートカード

名称:インスタント/ソーサリー(MtG)、通常魔法/通常罠(遊戯王OCG)、呪文(デュエル・マスターズ)、マジック(バトルスピリッツ)等

ドローソース、コンバットトリック、除去など、アドバンテージを稼ぐ、または戦闘を補助したりする効果を持つ。単に「使い切り」、「使い捨て」などと俗称される。
TCGによっては自分のターンにしか使えないものといつでも使えるものを区別していたり、ルール上相手ターンに使用するカードがない、ともすれば全く行動できないTCGもある。

場に残り続け、場にある間効果が継続するカード

名称:アーティファクト/エンチャント(MtG)、永続魔法/フィールド魔法/永続罠/装備魔法(遊戯王OCG)、城/クロスギア/ドラグハート・ウェポン/ドラグハート・フォートレス/フィールド/オーラ(デュエル・マスターズ)、ネクサス(バトルスピリッツ)等

場には残り続けるが基本的に戦闘を行わず、他のカードを補助したり継続的にドローなどのアドバンテージをもたらすカード群。俗に「置物」とも。

戦闘を行えないため、場にあるそれを除去するためにはそのカード種専用の除去をデッキに採用する必要がある。
相手がそのカードを使っていなければその除去カードが邪魔になってしまうため、これらのカードがどの程度採用されているかを見極めるのがデッキ構築では重要となる。

使用コストを捻出するためのカード

名称:土地(MtG)、エネルギー(ポケモンカード)等

TCGによってはコスト管理をカードによって行っているものがあり、そのコストのための専用カードをカード種として定義したもの。
詳細はコスト(TCG)で。

複数の種類を複合しているカード

MtGには黎明期から「アーティファクト・クリーチャー」というアーティファクトでもクリーチャーでもあるカードが登場していた。
そのどちらであるということは即ちアーティファクトとしての特徴である「無色であること」とクリーチャーとしての「パワー/タフネスを持ち戦闘を行える」という性質を併せ持っていることである。
二つのカード・タイプどちらも持つことにより幅広いサポートを受けられる一方、どちらの除去も受けてしまうというメリットデメリットの両方を持つことになる。*2
また、一時的にクリーチャーにもなる土地、通称「ミシュラランド」は余った土地を効率よく利用できる、土地であるため除去が利きにくいといったメリットがある。
こちらはカード・タイプとして複数が印刷されているのではなく、カード効果としてもう一方のタイプを追加するようになっている。
後発のTCGではこのミシュラランドのようにカード効果で複数種類を定義しているカードが多く、例としては遊戯王OCGの「罠モンスター」が挙げられる。

このカード効果部分で別のカード種としても扱う効果を定義するという流れは長年続いていたのだが、これに変化をもたらしたのがデュエル・マスターズ。
両面のカードの表と裏で別種のカードとなることで、状況に応じてどちらか一方になるカードを導入したのである。
これは後にMtGにも輸入される

その後遊戯王OCGは「ペンデュラムモンスター」を実装。
1枚のカードにそれぞれ別のカード種として扱うときの効果を記載したテキスト枠を2つを持つという非常に斬新なレイアウトを持っている。


この他、遊戯王OCGには「手札誘発」という手札から使いきりで使用する効果群のカードが初期から存在している。
これはモンスターの能力であるため複合カードの括りには入らないが、魔法/罠のような即時性をモンスター自体に持たせるという意味で2種類の役割をモンスターカードに与えているといえる。
だがインフレによりこの能力が強力になった結果、魔法や罠といったカードよりも使い勝手が良くなってしまい、特に罠カードの役割を喰ってしまうようになる

そしてこの遊戯王OCGが手札誘発環境になったころにバトルスピリッツが「マジックカードとしても扱うスピリット」を実装。
これ自体はあまりパッとしなかったが、コスト枠を別に設けるというレイアウトを発明し「アクセル」として完成、更に派生効果として「チェンジ」も登場する。
(これらの効果は遊戯王の手札誘発と同じ分類、即ちスピリットの派生効果であり複合カードではない。)

その後の流れでデュエル・マスターズが使いきりの呪文部分を別のテキスト枠で表現し同居させた「ツインパクト」を実装した。
このツインパクトはMtGに存在するクリーチャーまたはソーサリーやインスタント2種類が1枚のカードに収まった「反転カード」や「分割カード」を、それぞれから1つずつ出してよりダイナミックなビジュアルへと発展させたかのようなレイアウトを持っている。
後にMtGは「当事者カード」と総称されるカード群を実装し、クリーチャーに出来事であるソーサリーかインスタントが付属して1枚のカードとなっているという点でこの「ツインパクト」を彷彿とさせるが、こちらはイラストが1種類だけであり、カードの見た目的には上述の「ペンデュラムモンスター」に近い。

このように使いきりのサポートカードの役割を、状況に応じて使い分けられることで手札事故を防げる利便性の高いモンスター/クリーチャーに兼任させるという風潮が現在TCGで流行的なカードデザインとなっている。


各TCG/DCGにおける事情

Magic the Gathering

元祖TCG。カードの種類は「カード・タイプ」と呼ぶ。
現在定義されているものは土地、クリーチャー、エンチャント、アーティファクト、インスタント、ソーサリー、部族、プレインズウォーカー、ダンジョン、バトルオオアゴザウルス、商人の巻物の10種類と他TCGに比べ多め。インスタントが瞬速・ソーサリーとならなかったりしたせい
第6版でのルール整備以降は長らく6種類だったのだが後に部族、プレインズウォーカーが追加され、「フォーゴトンレルム探訪」ではデッキ外で用いるが固有のカードタイプを持つダンジョン、「機械兵団の進軍」ではさらにバトルが登場した。
また、計略などカジュアル変種ルールにのみ用いられるカード・タイプも存在する。

このうち戦場に残る(≒ソーサリーでもインスタントでもない)カードを「パーマネント・カード」と呼ぶ*3
また、土地以外のカードをプレイするには呪文として「唱える」必要がある。
前述の「当事者カード」が出る前の複合カードは「パーマネント同士の複合」か「非パーマネント同士の複合」しか存在していなかった。

また、「部族」は今後新たに刷られることはないだろうと言われてしまっている。
そもそも部族はそれ単体でカードタイプ定義ができず、他のカードに付則するタイプ、そのくせ特殊タイプ(総合ルール上では基本、氷雪、伝説の、ワールド、持続のみ)とも違うという少々変わった立ち位置。
そのため、挙動が直感的ではなくデザインもしにくかった、とコラムで釈明している。


遊戯王OCG

モンスター、魔法、罠の3種類。
魔法と罠は場に残る/残らないではなく使用タイミングで区分を行っている。
そのためカード種を細分化するために魔法は通常、速攻、永続、儀式、装備、フィールドの6種、罠カードも通常、永続、カウンターの3種に細分化されている。
現在これらはカード種別の横のアイコンで見分けることができるが、それ以前は区別することが難しく、とりわけ通常罠と永続罠の区別はほとんど不可能であった。
そのため初期の通常罠カードには場に残らないことを示すために「はさみ撃ちを破壊する」(はさみ撃ち)「「硫酸のたまった落とし穴」を生け贄に捧げる」(硫酸のたまった落とし穴)というような使用後自身を墓地へ送るテキストがわざわざ記述されている。
また、当時存在した魔法カードで場に残るものは装備魔法があったが「○○モンスターの攻撃力・守備力は××アップ。」という非常に曖昧な記述しか書かれておらず、場に残ることが読み取れない。
そのため、強欲な壺(遊戯王)にも「強欲な壺を破壊する」というテキストが書かれているが、魔法カードでこの記述を持つのはこれだけである。


デュエル・マスターズ

MtGの弟分のTCG。
展開開始からしばらくは単なるクリーチャーと呪文しか存在していなかったが転生編からクロスギアが登場し、その後シリーズを重ねる毎にじわじわカードタイプが新設されている。
現在のカードタイプはメインデッキに入るものがクリーチャー、呪文、クロスギア、城、フィールド、オーラ、Artifact*4タマシードの8種類。
デッキ外に用意されるカード専用タイプとしてサイキック、ドラグハートGRクリーチャーの3種類。
ゲーム開始時にバトルゾーンに用意されるカード専用タイプとして鼓動、最終禁断フィールド、儀、星雲の4種類の合計13種類とTCGでもぶっちぎりで種類が多い。
更に特定のカード効果によりゲーム中に新たに封印というカードタイプが付与される事もある。
驚くことに これでもかなり大雑把な分類 であり、単独で存在する事のできないセルやコアなんてのもあるしメインデッキのクリーチャーなんかは進化クリーチャーやエグザイル・クリーチャー等と更に細分化させる事もでき、サイキックやドラグハートも複数種類があるが、あまりにも多くなりすぎるのでここでは割愛する。

長らくデュエマではパーマネントとして残る存在がクリーチャーしか存在していなかった関係で除去効果は主にクリーチャーを指定しているものが多く、その他のカードタイプへの除去は難しかった。
それ故に永続的に効果を発揮し続けるドラグハート・フォートレスやフィールドは除去されにくく、厄介なカードとして認識されていた時期が長い。
現在では全てのカードタイプにコストが設定*5されている点を活かしてコストを指定し、指定された数値以下のコストを持つカード全般を除去するカードが増えている。

長々と書いたがかなり特殊な挙動を利用するデッキを使わない限りはクリーチャーと呪文とそれ以外、ぐらいな認識で構わない。
カードタイプは異なるもののゲーム上の挙動はほぼ同じ、というカードも多いし。


バトルスピリッツ

スピリット、マジック、ネクサス、ブレイヴ、アルティメット、契約スピリット、契約アルティメットの7種類。
このうちブレイヴとアルティメット、契約○○は後から追加したカード種で、特にアルティメットは「基本のスピリットと同じ役割を持ちながら別種のカード」という他TCGでもなかなか見られない追加の仕方をしている。
このアルティメット導入にあたって特に効果を受ける/受けないの範囲で大きな混乱をユーザーにもたらした反省か、
後に同種だが別の挙動をするカード(異魔神、創界神など)は既存種の派生として作るようになった。


カードファイト・ヴァンガード!!

なんとカード種類が1種類しかないというTCG。
全てのカードが「ユニットになるカード」でありカード種別を定義する言葉がない。
そもそものコンセプトがカード種別を一本化することでルールの合理化を目指したものとされている。

……というのも昔の話。
Vシリーズに移行後は次々とユニット以外の種類のカードが追加され「マーカー」「トークン」「オーダー」が追加されるに至っている。
「マーカー」と「トークン」は従来のTCGと同じようなものでデッキ外に用意され「オーダー」はデッキに入れる使い捨てサポートカードである。
ゲームシステムの都合上ライド事故が見えるため「オーダー」カードをあまり多く入れることができなかったが
Dシリーズからはライド用カードをあらかじめデッキから分別する「ライドデッキ」システムが追加されたため「オーダー」が本格的に多様化する模様。


Z/X

公式分類のゼクス、イベント、プレイヤー、ゼクス エクストラ、ゼクス オーバーブースト、シフト、マーカーの7種類にトークンを加えた8種類。
初期はプレイヤーまでの3種類だったが地味に(フォロー先の)MtGと同数まで増えていた。
カード左上に種類が書かれているので見分け方は簡単。

このうちメインのデッキに属するカードはゼクス、イベント、プレイヤーの3種類。
さらに厳密な意味でデッキを構築するのはゼクスとイベントで、プレイヤーは目印としてゲーム開始時からスクエアに置かれている。

ゼクス エクストラ、ゼクス オーバーブースト、シフトの3種類はデュナミスというエクストラデッキに置かれる。
自分のデュナミスはゲーム中いつでも中身の確認ができるが、カードをプレイするためにはそれぞれに設けられた条件を満たす必要がある。
そしてこの3種類は基本的にゼクスと同じ扱いであるため、戦闘用のユニットとして登場し同じように破壊や除去される。
そしてスクエアを離れた場合は表向きにデュナミスに置きなおし、以後表向きのデュナミスはそのゲーム中プレイできない。

マーカーは一部のカードの状況を表示するものと、カードのコストとして蓄えておくものの二種類がある。
前者はカード名が追加された場合やゲーム中に一度しか使えない『ゼクステンド・ドライブ!』の使用を明示化するものなため、必ず使わなければならないという制約はなく置き場所も決まっていない。

トークンは一部カードの能力によって生成され、スクエアではゼクスとして機能するがスクエアを離れるとルール上はゲームから消失する。

ゲーム上での挙動だけでみれば現在でもゼクス、イベント、プレイヤー、マーカーの4種類に大別できる。

shadowverse

フォロワー、スペル、アミュレットの3種類。
区分としては場に出て攻撃を行うユニットがフォロワー、効果を発揮して墓地に行く使い切りのカードがスペル、場に残って様々な挙動をする置物がアミュレットといったところ。
特にアミュレットは「カウントダウン*6で一定ターンしか場に残らない」、「カウントダウンとラストワード(破壊された時に発動する効果 MtGでいうPIG能力)の合わせ技で数ターン後に効果を発動」、「他のカードのリソースとして使われる」など役割も様々。
また、フォロワーの中にはアクセラレートや結晶化という効果を持つものがあり、本来のコストより低いコストを支払うことで前者は記載の効果のみを持つスペル、後者は記載の効果のみを持つアミュレットとして場に出すという特性を持つ。
これらの効果は使った段階で別のカードとして扱われ、例えば結晶化でアミュレットとして場に出したフォロワーをバウンスすると結晶化で場に出るアミュレットが手札に戻る、とDCGならではの挙動を取る。




「追記・修正」:速攻魔法

「追記・修正」の①②の効果は1ターンに一度、いずれか一つしか発動できない。
①フィールド上に存在する項目1枚を対象として発動できる。その項目に“必要な記述”を追加する。ターン終了時まで、そのカードのカード名は「追記された項目」として扱う。
②フィールド上に存在する、“誤った記述”を持つ項目1枚を対象として発動できる。その記述を新たな記述に書き換える。ターン終了時まで、そのカードのカード名は「修正された項目」として扱う。

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最終更新:2023年08月24日 00:20

*1 土地、クリーチャー、インスタント、ソーサリー、アーティファクト、エンチャント、今は廃止されたインタラプト。

*2 なお、現在のMtGには有色のアーティファクト・クリーチャーも存在しており、無色でない代わりにマナレシオに優れる傾向がある。

*3 戦場に出ている間はカードではないトークンとの兼ね合いもあるため、単に「パーマネント」として扱われる。

*4 現状ではMtGとのコラボカード、「Black lotus」のみが持つタイプ。ぶっちゃけるとゲーム上の挙動はフィールドやオーラなんかの既存のカードタイプとほぼ変わらないし本格的に増える見込みも無い。

*5 カードに書かれていない場合はコスト0として定義される。

*6 自分のターンの度に記載の初期カウントから1ずつ減っていき、0になると破壊される効果。