大奥記

登録日:2011/09/12 Mon 05:38:03
更新日:2024/02/24 Sat 09:42:09
所要時間:約 6 分で読めます





大奥とは、上様を中心に動く女の園。

女子同士の争いは、時には醜い。

無暗に巻き込まれぬようにな。




『大奥記』とは、2008年6月5日に発売されたプレイステーション2ソフト。
開発元はダフト、発売元はグローバル・A・エンタテインメント。
通称「OOK」


【概要】
主人公・時子を操り、大奥内で起こる事件を解決してゆく。
ゲームは基本的に探偵パートと申し開きパートの2つで進められる。探偵パートで証拠(集めた証拠は札という形で保存される)を探し出し、申し開きパートで集めた札を駆使して相手を論破する。


ストーリーはかなり奥が深く、BGMにも良質なものが多いのだが、システム面・グラフィック・SE等に問題点が非常に多い為、長所を打ち消してしまっている。


【問題点】
(システム面)
  • 探偵パートが面倒。証拠は基本的に人から入手できるのだが、ヒントが薄く殆どが手探り。ノーヒントなのに「○○時以降に話しかけるとフラグ」とか分かるわけがない。
  • 登場人物の数に部屋の数が合っておらず、空き部屋がとんでもなく多い。
  • ロードが長すぎ、かつ頻繁。部屋移動の度に長いロードに悩まされる。
  • 襖、障子が全て自動ドア。また、襖や障子を開いてもその影が一切動かない。
  • 誤字・脱字が非常に多い。「これkら(これから)」が代表的。
  • 文法・言葉づかいにもミスが多い。「デマ」「アリバイ」「お願いしちゃったのです」等。
  • 移動がホバリングに見える。 通称「おドム」。

(グラフィック)
  • どの層をターゲットにしたのかよく分からない人物絵。
  • キャラの表情が一切変わらない。
  • キャラに動きがない。首を振る/おじぎする/ビンタするかのように手を動かす等の簡単な動作だけ。
  • キャラ絵が似通っていて、誰が誰だか分かりにくい。

(その他)
  • 足音がやたらとうるさい。ドスドスドス……。
  • 部屋「長局七」の机に向かって直進→机に当たり判定が無くすり抜ける。
  • SEの幅が狭く、低クオリティ。「シャキーン」「デュクシ」「ドゴーン」等。
  • オプションが「サウンド切り替え」、「BGM・SEの音量変更」のみ。
  • タイトルロゴが『大臭記』に見える。

等の要素が足を引っ張り、結果クソゲーオブザイヤー2008にノミネートされてしまった。(大賞はメジャーWii パーフェクトクローザー)


【主な登場人物】
地味に登場人物が多く、故人やモブキャラも入れれば軽く40人は超える。

  • 時子(cv.瑞沢 渓)
千歳藩藩主・小椋修康(のぶやす)の娘。このゲームの主人公。
数年前、千歳藩は幕府の怒りを蒙ってしまい、廃藩。父・修康は切腹を言い渡されてしまう。
そして今、父の仇である将軍を討つ為、大奥の門を叩く。
父思いで冷静な性格。余りにも冷静過ぎて当事者なのに他人事のように言ってしまう事もしばしば。
また、常人ならざる推理力を持つ。
普通なら委縮してしまうような事をされても迎え撃つ闘争心を失わないメンタルお化けでもある。

  • やえ
役職は「御犬子供」。大奥内では最も下の地位。
ドジっ娘。時子からは「やえちゃん」と呼ばれている。

  • お陽
役職は「御末」。時子の一番初めの同僚であり、最後まで頼れる仲間。
度々有益な情報をくれる良い人。操作説明もこの人。
「偵察してみちゃうのはどうでしょうか?」
「ほーほけきょ、けきょけきょ。ほーほー、うふふふ」

  • おさき
役職は「御末」。堺出身の17歳。
関西弁で喋る。歌舞伎俳優好き。

  • おかな
役職は「御三之間」。良い人。
「大変なことが起きちゃったのです……」

  • おみさ
役職は「御仲居」。料理を担当する。
普段は普通の人だが、とあるパートで急にキャラが崩壊する。「鬼神のような包丁裁き」だそうだ。
「さぁてさてさて! 料理の神が降りてきたわー! ブッ飛ばしていくわよぉー!!」

役職は「御次」。他に比べてやや遅めの登場。良家の生まれ。
最初は「田舎娘だから」という理由で時子のことを嫌っていたが、後に改心。そしてデレ始める。
絵に描いたようなツンデレ。
水風呂シーンの怖さは異常。何故か口調が現代っ子。
「きゅ、急に声かけないでよバカッ! ビックリするじゃないのっ!」

  • お苗
役職は「御小姓」。御台所である綾子の付き人。
声が可愛い。

  • お結々
役職は「御小姓」。お苗と同じ役職。
こっちも声が可愛い。
×おけつけつ ○おゆゆ

  • 森田 帯刀(たてわき)
幕臣。声がかっこいい。
立ち絵がチンポジを直しているようにしか見えない。
大奥に立ち入る事のできる数少ない男性かつ人格者であり時子殿の心強い味方となる。
…のだがとある事情から変態扱いされている。変態なのは濡れ衣であるがこればかりは森田が悪い。
以下ネタバレ
彼が最初に現れたころ、大奥の衣類がいくつか無くなったり、入浴中に覗かれるという事件が発生し、時子がそれを解く事となる
その結果犯人は森田と判明する…が、実はこれは時子を試すための嘘であり、侍女たちとも口裏をあわせていた「テスト」であった
勿論衣類の損失や覗きも無いのであるが、人を試すというのは割と悪質であったり、そもそも嘘とはいえこのようなエロネタを女たちにさせたりという事で上記のあだ名に繋がっている

  • お篠
役職は「御客会釈」。将軍を毒殺しようとした。
権力争いで敗れて以来、将軍家を憎んでいる。

  • 綾子
役職は「御台所」。顔が怖い。一人称は麻呂。
強い権力を持ち、ゲーム内でもトップクラスの位。
プライドが高く良くも悪くもしぶとい物の、意外と潔い一面も持つ。

  • 桃乃
役職は「御中臈」。京都弁で喋る。
将軍との間に子供を成している為、大奥内でもかなりの権力を持つ。

  • 芳松君(よしまつのきみ)
将軍と桃乃の間に生まれた子供であり、将軍世継ぎ。よしまつくんではない。
ボイスデータがありえないほどの棒読み。トキコドノー。

  • 沙月
元「御小姓」、現「中年寄」。後半からの登場。
因みに制作段階では「紗月」であった。

  • 舞子
役職は「御年寄」。大奥の取締役。申し開きの立会人を務めることが多い。
「御年寄」ではあるが別にババァではない。

  • お百合
役職は「上臈御年寄」。後半からの登場。
上記の舞子を上回る権力を持つ。

  • 榊 鴻陽(さかき こうよう)
ハゲ坊主頭の医者。上記の森田と並んで数少ない男性キャラ。
冗談好きではあるが紳士真摯な性格でもあり、女の園に唯一いる男であるが皆から信頼されている。

  • 望春院(ぼうしゅんいん)
将軍の母親であり、ゲーム内最高権力者。ゲームオーバー時のナレーションも務める。
柔和な性格。時子は天女の様と形容している。

※以下ストーリーネタバレにつき未プレイ者は注意。
まあプレイする人がいるかは不明だが。なおシナリオライターは忘春院氏。
また地味にマルチED。真相EDにたどり着く為にはいくつものフラグを立てる必要がある。


……実は本物の芳松君は7~8年前に既に他界しており、このゲームに登場する芳松君は偽物。芳松君の死を隠蔽する為に立てられた替え玉であった。
全ての事件の原因は中年寄である沙月。彼女がまだ御小姓だった頃、幼かった芳松君をあやしている最中、誤って縁側より落としてしまい芳松君は逝去。遺体は井戸に捨てられた。
表沙汰になってしまったら一大事になる為、望春院や舞子らと結託し事実を隠蔽しようとする。
芳松君の正体を知ってしまったお篠や綾子、桃乃を次々と口封じの為殺害。

芳松君の正体は千歳藩子息「銀坊」で、時子の実弟に当たる。
物心がつく前に望春院に誘拐され、秘密漏れを防ぐ為藩は御家断絶の沙汰を受けた。


【余談】
ファミ通レビューで13点という超低得点を叩きだした(最低12点)。
これは伝説のクソゲーデスクリムゾンと同じ点数である。

ドラマ『大奥』のブームに乗ろうとしたが、2年近い発売延期により時代遅れとなってしまった。
一応発売時に『篤姫』が放送されてこそいたが肝心の出来がこれでは……


なお、2008年はクソゲーが非常に多い。
この年のクソゲーは量も質も凄まじく、KOTYではクソゲー七英雄と呼ばれている。詳しくは七英雄(KOTY)へ。

クソゲー扱いされてこそいるが、壮大なストーリーや良質なBGM、女中の可愛らしい言動等、評価出来る点も多い。
特にグッドエンドで流される最後のワンシーン…ひとときだけ生まれた頃の立場に戻るという描写に関しては少なくとも苦行を乗り越えた達成感は感じさせてくれる。
酷評の主な要因であるシステム面やグラフィックを一新したリメイク作を希望する声も少なくない。



とあるやる夫作品にて、本作のプロデューサーが降臨したのだが、その裏話は真面目にやばい内容。
なぜこんなゲームができてしまったのか納得できる話ではある。
……のだが、当時から一部のユーザーから「明らかに事実とは違う点が多すぎるのではないか?」と突っ込みを受ける事も多々有った。

それでも「プロデューサーの内部告発」と言う事で持て囃されて、これが真実であるかのように扱われていたが、後にこのプロデューサーも結構ヤバい人物だと言う事が判明。
さらに2019年にはyoutubeのとあるチャンネルの企画で、ダフト社長から「このプロデューサーが実は戦犯であった」と言う告発が行われた。
ユーザーの目からはどちらが真実が不明だが、見える範囲では筋が通っているのは後者である、と言う意見が多い。

リアルの方でも申し開きが起こってしまった、と言う、なんとも凄まじいエピソードである。

追記すべきか、修正すべきか……

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最終更新:2024年02月24日 09:42