武装色の覇気(ONE PIECE)

登録日:2021/11/09 Tue 19:12:44
更新日:2024/03/13 Wed 09:53:56
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悪魔の実の能力者に対して
弱点をつく事を除いては
この“武装色”の覇気が
この世で唯一の手段であるという事…!!

ほぼ無敵にすら感じる
自然系(ロギア)”の能力者の流動する体も
“実体”としてとらえる事ができる…!!!


武装色(ぶそうしょく)覇気(はき)漫画ONE PIECE』に登場する、見聞色の覇気覇王色の覇気に並ぶ「覇気」の一種。

●目次

【概要】

使用者の「気合」で見えない鎧を纏うイメージを持つことにより「攻撃力」「防御力」を飛躍的に向上させることができる。
また、悪魔の実の能力の実体を捉えることができるようになる。
基本的に「覇気を使える」というとこの覇気を指すことが多い。

覇気による強化量は使用者の練度によるが、鍛え上げることでそれほど筋肉質に見えない細身の女性であっても、拳で鋼鉄に穴を開けることすら可能にする。
防御面での効果も高く、「炎」「雷撃」といったいくら筋肉を鍛えようとも防げ無い攻撃であっても耐えることが可能になる。

直接肉体に纏わせる以外に、刀剣や弓矢をはじめとする武器にも纏わせることも可能。
木の弓矢でも岩に突き刺さる程の威力になる。

修得者は戦闘だと主に、覇気を纏った箇所が硬質し、黒く変色する『「武装色」硬化』を使用する。

悪魔の実への対抗手段

弱点を突いたり海楼石を利用する*1以外では悪魔の実の能力に対抗しうる唯一の手段であり、自然系や一部超人系の能力者の実体にも触れることが可能となることにより、自然系の流動する肉体や超人系の特異体質にも攻撃を通せる。

逆に自然系等の能力者も覇気が相手を上回っていれば(または「見聞色の覇気」で予知できれば)、覇気を相殺もしくは回避してダメージを「軽減」「無効化」できるようだ。
頂上戦争では、青キジ黄猿赤犬・クロコダイルに対しても、白ひげ海賊団隊長やドフラミンゴらの多数の覇気使いの攻撃が有効打にならなかったが、一方でジョズや白ひげの一撃などからはダメージを受けてしまっている場合もあった。
他にもジーザス・バージェスの攻撃をサボが受け流している。
ポートガス・D・エース自身、ティーチの「ヤミヤミの実」による攻撃を受けた際にはティーチからわざわざ「殴られるなんて久しぶりだろう」と皮肉を言われている。
ルフィ自身も、通常時はドフラミンゴの攻撃でダメージは避けられないが、武装色を全身にまとった「ギア4」ならばドフラミンゴの覇気を纏った蹴りを逆に弾き飛ばしている。

覇気同士のぶつかり合いは単純にその力量に加算され、「過剰な覇気」ならば一部の能力の影響を無効化できる。
例えばヴェルゴは全身覇気コートで「オペオペの実」の空間支配能力による切断を強引に防ごうとしたが、トラファルガー・ローが全力で覇気を乗せた斬撃に巻き込まれた際には両断されている。一方、カイドウやリンリンはローの能力による瞬間移動といった一部の影響を阻止した*2
ロー自身も、シクシクの実の能力を覇気を全開にすることで無効化している。

このように、強力な覇気を纏うことにより悪魔の実の能力を防ぐこともできる・・・が、これについては不明な点が多く、完璧に防げると明言された能力は少ない
達人級の使い手であっても相手の未知の能力に警戒する場面があるため、どんな能力でも防げるというわけではなさそうではある。
逆に、相手に触れた瞬間に無力化するというトンデモナイ能力者がいるにもかかわらず海賊王候補に数えられていないあたり、覇気で防げる能力は意外と多いのかもしれない。


◆重要性

戦闘における武装色の重要性は、海賊王ロジャーやその右腕レイリーも能力者ではなかったことが証左している。

純粋に肉体の強化される動物系こそ、悪魔の実3種の中でも”迫撃”において最強」と発言した人もいたが、この覇気の判明により、その発言の説得力が増したと言える。
実際、四皇カイドウ率いる「百獣海賊団」には動物系の能力者が多く所属している。

マーガレットらが所属するアマゾン・リリーの九蛇海賊団が恐れられているのも、鍛錬が必要なこの覇気を末端のメンバーまで全員習得しているため。

戦闘面において非常に強力な能力ではあるが、意識が少しでも逸れると途端に纏った覇気は消滅してしまうため、かなりの集中力を要する。
同時に強力な覇気であればあるほど、無論使用者の力量も関係あるが、大きく体力を消耗するため長時間持続することは出来ず、一定時間覇気が一切使用できない(例としてギア4を限界まで使用したルフィの場合は10分ほど)状況になる諸刃の刃でもある。

【派生】

◆「武装色」硬化

武装色の最も基本的な使用形態は覇気を纏った箇所が硬質し、黒く変色する『「武装色」硬化』。
また、一部の実力者は全身を武装色で硬質化することが出来る。
この変色は新世界編から登場するようになった描写だが、ワノ国編で「レイリーがケイミーの首輪を外したシーン」が回想された際にはレイリーの腕が新たに変色して描かれている。

一方、「マリンフォード頂上戦争」やワノ国編939話の回想シーンなどでは黒色に変化した描写がなかったこともあり、この変色が覇気を使えない常人にも見えるものなのかは不明。
映画版では「黒腕のゼファー」という二つ名のついた人物はいるが、その他に原作にて硬化の外見についての言及はされたことがない。

ルフィのギア4バウンドマンについては、アニメ版の深澤監督がONE PIECE.COMでのインタビューで「体の模様には秘密の設定があるらしい」と明かしている。
ちなみにギア4では原作者との相談のうえで、『「武装色」硬化』は「赤みがかった黒色」にされており、のちに原作にも輸入されている*3

ルフィやカイドウやヤマト、うるティ、カイドウを刺した赤鞘九人男、皆を守るため死に物狂いで全力を出したコビーらは、黒いスパークのようなものを発生させている。

黒刀

武器を『武装硬化』した場合も同様に黒く変色し、刀剣の場合は所謂「黒刀」と同様の見た目となる。
黒刀の一振り「秋水」についてワノ国編で登場した牛鬼丸が「リューマの歴戦にて“成った”刀」と語っている他、刀鍛冶の天狗山飛徹曰く「黒刀と成れば『業物』といった“位列”も上がる」と述べているため、黒刀の成り立ちそのものに「武装色の覇気」が関わっている模様。
少なくとも「秋水」のように完全に黒刀となったものは常人でも視認可能な様子。

ただ、作中トップクラスの実力者である
は常時「黒刀」ではなく、「黒刀」が「刀」限定の現象なのか、四皇クラスでも中々なしえない現象なのかは現状不明。

◆流桜/内部破壊の覇気(仮称)


外に大きくまとう「流桜」……
つまり「覇気」

それは…“見えない鎧”のように防御し
攻撃にも転じる強力な力!!

だが…もう一段上になると…
まとった覇気は敵の内部に到達し
内側から破壊する

より大きな力となる!!


流桜(りゅうおう)とは、正確にはワノ国における「武装色の覇気」の名称。
ただし、ワノ国における覇気は位置づけも異なり、「流桜」はその名称通り「流れる」を意味する言葉。

主に体を伝ってにまとわせて「斬りたいときは鉄をも斬り、斬りたくないときは紙も斬れない」刀にするもの。
なので厳密には「流桜」=「武装色の覇気」全般であって、下記の技術だけを指している言葉ではない
現時点においては他に個別の名称はなく、劇中でもカイドウが自分にダメージを与える攻撃に対して「こいつらもおでんの流桜を!!?」と言っていたこともあるのでこの記事の項目名では便宜上「流桜」と仮称する。
このことを知っているファンからは別の呼称として「内部破壊の覇気」と呼ばれることもある他、アニメ版1016話ではゾロが「内部破壊の覇気」とキラー達に説明した。

覇気を使う際、「力む」のではなく、不必要な場所の覇気を拳や武器に「流す」イメージのもとで使うことで、『「武装色」硬化』の更に上位に位置する技能たる覇気の鎧となる。
修得は覇気に対する認識・知識も重要なこともあってか、作中ではシャーロット・カタクリビッグ・マム海賊団幹部ですら会得していない技術。

覇気を必要な場所に「流す」ことで、体の外に大きく覇気をまとい「見えない鎧」となって敵の攻撃を触れることなく防御し、さらに攻撃に転ずれば、敵の内部からも破壊するより大きな力となる。
はたから見ると、衝撃波で敵を弾くような様子となる。


覇気が本格登場したシャボンディ諸島編で、海軍科学部隊(当時)の戦桃丸が見せた「足空独行(アシガラドッコイ)」や、シルバーズ・レイリーが、人魚ケイミーにとりつけられた外すと爆破する首輪を内部ごと強引に破壊したり、ルスカイナ島でルフィの修行をはじめる際にゾウを触れることなく弾いたりした技はこの形態。

覇気に長けている九蛇海賊団・ゴルゴン三姉妹のマリーゴールドもおそらく会得している技術で、「ゴムゴムのスタンプ」を弾いてみせた(ルフィも『はね返った』とリアクションしている)。
防御する際わざわざ掲げるようにして手のひらで弾いていること(通常の武装色ならピンポイントで硬化すればいいし物理的には非効率な形である)、硬くなるだけの通常の武装色ではなく明確に「弾いて」いるあたりが根拠。
ただし高等技術なのは間違いないとして「使えれば世界最強クラスのパワーを発揮できる」ような代物ではないようで、動きを読む見聞色でもそれ以上のスピードに翻弄され対応しきれなかったように、威力の上がった「JETバズーカ」は相殺しきれず、直撃こそまぬがれたものの得物は折れ衝撃で上体が吹っ飛んでしまった。
ルフィもぶっつけ本番の覚えたてでマムの攻撃を食らったにしてはだいぶ軽傷に済んだものの似たような結果に終わっており、やはり通常の武装色と同様、一定以上のレベルとなるには地力が必要不可欠な模様。


ルフィはカイドウとの戦いの後に、レイリーが使用していたこの技術を思い出してカイドウ打倒のために修得を試み、ヒョウ五郎の協力で会得した。
レイリーがこれについて説明もしなかった理由は不明、ルフィなら何も教えずとも自力習得出来ると考えていたのだろうか。

余談だが上記の「斬りたい時は~」の理論はアラバスタ編にてゾロの回想でコウシロウが語っており、この時にゾロが悟った「鉄の呼吸」の極意も「流桜の応用なのでは?」と推察するファンもいる。

◆覇王色をまとう

覇王色の覇気」を会得した者のうち、更に一握りの強者のみが、「流桜」「弾く覇気」と同じように「覇王色の覇気」を纏える。

この領域に至れば、側から見ても「触れてない激突」が行えるほどとなる。

詳細は覇王色の覇気を参照。


【武装色を得意とする人物】



【余談】

◆「武装色の覇気」の登場

「武装色の覇気」の存在が判明(登場)し始めたのはシャボンディ諸島編のシルバーズ・レイリーあたりから。
愛ある拳は防ぐすべなし」という人は45巻で本格登場

「武装色の覇気」については登場が遅かったこともあり、長期連載特有の「後付け」扱いされることも多いが、それには一部疑問が残る。
というのも、初めて登場した“無敵の”自然系能力者は、ローグタウン編のスモーカーのモクモクの実
「モクモクの実」自体明確な弱点は登場しておらず辛うじて「メラメラの実」の炎で相殺に留まる程度で、覇気の登場まで弱点以外で対処できなかった自然系能力者の登場が非常に早い。

空島編の頃には、ゴロゴロの実の能力者“神”エネルが登場したが、本編のルフィ及び43巻SBSの作者尾田栄一郎によって「地上に降りたエネルなら5億ベリー以上の懸賞金がかかるだろうが、青海にはエネル以上の強者がいるため彼では天下は取れない」と断言されている。
ちなみに、空島編〜スリラーバーク編の頃の読者間では「ミホークやシャンクスや白ひげのような強者設定のキャラは、神・エネルに勝てるのか」というのがよく上がる疑問・話題ではあり、作者がこの頃から
  • 自然系悪魔の実能力者より強いキャラ
  • 雷速といった自然系に対応できるキャラ
の設定は用意済みなのは当然といえる。

実際問題として、覇気のような設定がなければ「強い能力、強い自然系=単純に最強」というつまらない構図となってしまい、「世界最強の剣士」の登場も東の海編だったこと、サー・クロコダイル自身の経歴も踏まえると、自然系能力者が決して無敵ではないこと、つまり覇気の構想自体は早期からされていたと思われ、覇気の設定が明確にされていない段階でサー・クロコダイルやエネルと言った弱点のある自然系能力者が登場したのは、絶望感の演出及び「弱点をつけば格上の敵でも倒せる」という点を強調したかったためと思われる。

ただし、「武装色」硬化による変色自体が登場したのは新世界編から(そのためこの変色がHUNTER×HUNTERの念能力のように、覇気を使えない常人に見えるものなのかは不明)。
これは覇気を使用していることを分かりやすくするための表現・かつ『ドラゴンボール』等における気のオーラ的な表現との差別化を図りたかったというメタ的な事情かもしれない(偉大なる航路編終盤のレイリーが使用した時の説明では一度だけオーラ的な表現を用いたこともあった)。


ちなみに偉大なる航路編で登場した元新世界進出者で、ルフィと対峙した敵は、
  • 覇気関係なしに、ルフィに有効な「斬撃」「刺突」を扱う(サー・クロコダイル金獅子のシキ
  • 触れれば問答無用でミイラに&奥の手は猛毒の刃(サー・クロコダイル)→2度完勝するが、弱点を突かれまくり3戦目は相討ちに
  • 遠距離戦では大地や水を自在に操り、接近戦では飛ぶ斬撃(金獅子のシキ)→最も苦手とする雷吹き荒れる暴風雨の中で雷の効かないルフィと対峙し、ルフィに雷が効かないことを知らなかったことが敗因に
といった形で本人は不利かつ覇気の使用未使用自体は実はかなりわかりづらくされている(暴走状態で放った「砕けろ!!!」パンチがルフィに効かなかった人もいるが)


新世界編以降は四皇との衝突がメインとなり、その中で出会う海賊達はもはや当たり前のように覇気を使いこなしている。
ときには「能力にかまけていない、高い練度を身につけた強豪」であることを強調するために、悪魔の実の能力以上に覇気の強さが前面に押し出されることもある。

◆「武装色の覇気」と海楼石と「ヤミヤミの実

「武装色の覇気」の登場によって、一見さんから「ヤミヤミの実」は無用の長物かつデメリットだらけと誤解されることがあるが実際はかなり異なる。

「武装色の覇気」はあくまで、“能力者の実体に触れられるようになるもので能力そのものは封じられるわけではない”。
海楼石の項目にも書かれているが、例えばバギーはバラバラになっても死なないという防御性能を悪魔の実で与えられている。
つまり実体からしてバラバラなので斬撃は効かない。
前述したように、相手が自分以上の覇気使いならば必ずしも有効打にはならず、結局は土俵に立てるか否か、自力の差そのものは能力の弱点を突かない限りは覆しがたい。
ルフィに至っては覇気を使えなかった頃でも、ゴルゴン姉妹に対しギア2による身体能力強化で勝利していたり、「ガスガスの実」の能力者であるシーザー・クラウンは覇気使いに対し、純粋な能力行使で勝利している。
覇気でのみ能力を防げる描写がなされたのは、非常に特異な能力を持つ「オペオペの実」程度。

また、能力そのものを封じられる*4海楼石にしても、“当たらなければ意味がない”。
映画『ONE PIECE FILM Z』では、ゼファー先生がおそらく海軍の試作品である海楼石の弾丸を使用しているが、その本人によれば「能力にかまけていない新世界の海賊相手にはこんな弾丸は当たらない」とのこと。
海楼石が貴重であることを踏まえても、刀剣といった武器としてあまり量産されず拘束用の網や手錠程度なのは、加工が難しいことに加えて単純に武装だけでは基礎戦闘力のすさまじい相手には当たらず、通用しないためと思われる。
実際、一海賊であるカポネ・ベッジは海楼石製のを一つ所持しており、下手に武器を量産しても海賊に奪われ、却って海軍所属の能力者を危険にさらす結果につながりかねない。

ヤミヤミの実」の能力は「攻撃までも引き寄せてダメージを余計に負ってしまう」弱点こそあるが、
  • 海楼石の弱点である、「当たらなければ意味がない」
  • 覇気の弱点である、「能力そのものは封じられない」
を克服しており、
  • どんなに基礎戦闘力が高く素早い能力者だろうと問答無用で自分の方に引き寄せることが出来る
  • 触れれば問答無用で能力を封じられる
という唯一無二の長所を持っている。
加えてマーシャル・D・ティーチは、引き寄せ中に攻撃されるとダメージを受けやすい弱点への対処として、遠距離攻撃も可能な“超人系最強の攻撃力”を誇る「グラグラの実」の能力をいずれ白ひげから奪い入手することも最初から計算に入れていた模様。
ゲーム版では「相手を引き寄せながら天地を揺らす衝撃波を叩き込む技」も披露している。


追記・修正は「武装色」硬化した指先でお願いします。

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最終更新:2024年03月13日 09:53

*1 詳細は項目にゆずるが、覇気の使い手同士の戦闘ではほぼ役に立たないと言っていい。

*2 全て防げたわけではなく、体内攻撃や“覚醒”には大ダメージを受けている。

*3 原作79巻表紙と89巻表紙を比較すると、色が変わっていることが分かる。

*4 ただアーロン戦のルフィを見るに、影響下では能力が自発的に使えなくなるだけだと思われる。まぁブルックが海に落ちて完全に能力が封じられたら死んじゃうからね。