ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko0991 とある廃公園にて
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ankoss
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『とある廃公園にて』
町を見渡せる小高い丘の上には小さな公園があった。
滑り台に鉄棒、シーソーにブランコ、砂場といった最低限の遊具があるだけの寂れた公園だ。
休日の昼間だというのに人の姿は無い。
長い石段を上らなければ来れないうえに遊具が少ない。
おまけに丘の下に大きな公園があるおかげで人が来ることなどほとんど無かった。
言ってしまえば廃公園である。
しかしそんな廃公園も全てに見捨てられたわけではなかった。
公園の敷地内を駆けまわる元気な影一つ。
遠くから見ればバレーボールがひとりでに跳ねているようにも見える。
しかしその正体はゆっくりだった。
「ゆっくりしていってね!!!」
そのゆっくりは元気にそう叫ぶと、大きく跳ね上がって砂場にダイブする。
「ゆっくりしていってね!!!」
足(底部)を軽く砂に埋めながら再び楽しげな鳴き声をあげた。
周りには誰もいないので返事は無い。
しかし彼女はしばらく返事を待ち、しばらくすると諦めたのか別の遊具へと向かっていった。
ここは彼女、ゆっくりれいむの遊び場。
そしてれいむにとって最高のゆっくりぷれいすだった。
町で生まれ育ったれいむは親離れと同時に町を出た。
町での生活が嫌だったわけではないし、町から出たいから出た訳でもない。
単純に町の騒がしさが嫌いで、一人暮らしするためのおうちを探す中、騒音を避けるうちにこの公園まで辿り着いたのである。
ここにある遊具はれいむが子供の頃、遊んだことのあるものだ。
家族やご近所と一緒に広い公園へ出かけて遊んだのだ。
あの時は人間さんや他の姉妹が遊んでいる間は待たなければならなかったが今は一匹なので待つこともなく好きなだけ遊べる。
公園に着いてから今日で三日目。
れいむは食事と寝るとき以外はずっと遊具で遊んでいた。
滑り台で何度も砂浜に向かって滑り、
シーソーは板の上を左右交互に跳ねて遊び、
ブランコは上に乗ってユラユラと揺れるのを楽しみ、
砂場では転げまわったり山を作って楽しんだ。
ちなみに鉄棒で遊ぶことだけは無い。
これはただ単純にれいむが鉄棒を遊具だと認識していないだけだったりする。
しかし不思議である。
これだけゆっくり出来る場所なのに他のゆっくりがいないなんて。
れいむも疑問らしく、今日になってから公園の入り口をしきりに気にしていた。
やはり一人で遊び続けるには限度があるらしく、同じゆっくりの仲間が来るのを期待しているようだ。
石段を登らなければならないこの場所にゆっくりが現れることは稀である。
大抵は途中で諦めて帰ってしまうのだ。
それでも中にはこのれいむのように石段を登り切り、この場所を住処としたゆっくりも何匹がいた。
しかしそのゆっくり達はもういない。
理由は大まかに二つだ。
一つは一匹で遊ぶのが飽きてこの公園を出て行った。
れいむも数日すれば一匹で遊ぶのに飽きて公園を出ていくだろう。
しかしそれは運が良かった時の話である。
れいむは運が悪かった。
公園の入口に人影一つ。
学ランを着た男で近所の学生だ。
ニヤけた顔をしてれいむをじっと見つめていた。
この公園のゆっくりが消えるもう一つの理由は「この男と出会うこと」なのだ。
「ゆゆっ!」
男に気付いたれいむは嬉しそうに近付いていく。
やはり一人で遊ぶのは寂しかったのだろう。
「ゆっくりしていってね!!!」
男の足元でれいむは男の顔を見上げて元気に挨拶した。
れいむは経験上、大きい人間さんはあまり一緒に遊んでくれないと知っていた。
でも今のれいむにはそれでもよかった。
遊んでくれなくても話をするだけでもいい。
挨拶を返してくれるだけでもれいむの心は満たされた、はずだった。
ワクワク顔で待つれいむに返ってきたのは返事ではなく理不尽な暴力だった。
男の靴の爪先がれいむの顔面、人間で言うと鼻の辺りにめり込んだ。
次にはもうれいむは放物線を描いて数m吹き飛ばされていた。
「ゆ? ???」
れいむは自らの身に何が起きたのか理解できなかった。
吹き飛ばされた先で起き上がり状況を頭の中で整理しようとする。
しかし無理だった。
「ゆ゛っ!! んぎゅ…あ゛…ゆ゛あ゛ぁぁぁ……っ!!!」
それよりも先に全身が強い痛みがれいむの意識を支配した。
顔面を勢いよく蹴られた衝撃が全身に伝わり、ズキズキと鈍い痛みがれいむを苦しめる。
直接蹴られた箇所などは特に痛みがひどく、外傷もあった。
ゆっくりに鼻は無いが、れいむの顔の中心の皮は破れて餡子が流れ出て、まるで鼻血を出しているかのようだった。
「いだい! ゆ、ゆっぐりできないぃ!!」
れいむは痛みに悶え苦しみながら泣き叫ぶ。
男は苦しむれいむへとニタニタ笑みを浮かべて近付いていく。
れいむは男が自分に近づいてくることに気が付いてはいた。
だが激しい痛みが邪魔してれいむは逃げるどころか起き上がることすら出来なかった。
男はれいむの傍まで来ると片足を振り上げ、今度はれいむを踏み付けた。
一気に踏み潰すのではなく、じわじわと押し潰すようにしてれいむを苦しめる。
「や、やめでっ…
ぐるじ…ぐるじぃよ…ゆっぐぢ、じでよぉぉ」
バレーボールほどの大きさのれいむは右頬を踏まれて身体を凹型にひしゃげながら助けを請うた。
男は聞く耳を持たず、踏み付ける足をグリグリと捻ってれいむから更なる悲鳴を捻りだす。
「あぎゅ、ゆぎいいぃぃぃ!!
やめでやめでやめでぇぇぇ!! いだいいだいぃぃっ!!」
丈夫で摩擦力もある靴の底でぐりぐりされ、れいむの肌はぐちゃぐちゃに破れてしまっていた。
それでも男は執拗にれいむを踏み付けて傷口を更に荒らしていく。
れいむは最初に蹴られたときとは打って変わった鋭い突き抜けるような痛みに襲われていた。
踏み付けられている頬が外から滅茶苦茶に削られているのだ。
その痛みはまさに地獄の苦しみだ。
この男から逃げようとしても男の足はれいむにとっては非常に重く、身動きなんて取れなかった。
あまりの痛みに身体をビクンビクンと痙攣するのが限界だった。もっともそれはれいむの意思とは無関係だが。
しばらくすると男はれいむから足を離した。
れいむは意識が朦朧とする中、自分の身が軽くなったかのように感じた。
数秒経ってようやく自らを踏み付けていた男の足が無くなったんだと気が付いた。
れいむは身体を震わせながら力弱く横向きから仰向けに倒れて男を見上げた。
仰向けになったことでれいむの穴だらけの右頬が横向きになり、そこから餡子がドロリと流れ出た。
破れたのが頬で、皮が割合薄かったので出餡はさほどでもないが重症であることには違いない。
痛みだって消えたわけじゃなく、今でもれいむの精神を痛みで灼いている。
だがれいむは男を見上げ、弱弱しくゆっくりとした口調で話しかけた。
「ど、どうしてごんなごどずるの…?
おはなししたかっただけなのに…ゆぐ」
対する男は右手の親指と人差し指を顎につけて何やら思案していた。
れいむの話を聞いて考え込む、ということでは無く、次はどう虐めてやろうかと考えていた。
だがれいむは前者であると思い込み、話を続ける。
「もういだいのいやだよぉ。
いたいのゆっくりできない!
ゆっくりしようよ! ゆっくりしていってよぉぉぉ!!」
れいむは必死に力を振り絞り、男に対して「ゆっくりして」と呼びかけた。
とにかくゆっくりして欲しい。
ゆっくりすれば暴力を振るおうだなんて思わない。
種族が違っても通じ合えるはずだ。
痛みと恐怖で意識が纏まらない中、れいむはそう信じて男にゆっくりして欲しいと願った。
だがそれはゆっくりの理屈。
人間に、ましてやこの男に通用するはずも無かった。
男はそもそもれいむの今の話をちゃんと聞いてすらいない。
ただ「うるさいな」ぐらいにしか思っていない。
だが男はれいむの願いを受け入れた。
しかしれいむの意図とは180度ズレた形で。
男はれいむのもみあげを握って持ち上げる。
れいむは髪の付け根が痛かったが、一方で安堵を感じていた。
「人間さんがゆっくりしてくれたんだ」と思ったのだ。
人間からすれば理解に苦しむ思考だが、ゆっくり特有のポジティブな思考である。
その認識はあながち間違ってはいない。
男は間違いなくゆっくりしようとしていた。
しかしそれはれいむが最も望まず、最も理解できない方法で。
「ゆ、ゆっくりしていってね…!!」
誤解だというのに理解してくれたと喜ぶれいむだったが、
次の瞬間にはれいむの体は更に持ち上がった。
男がれいむを大きく振りかぶったのだ。
(おそらをとんでるみたい)
れいむはそんな事を口走ろうとしたが、それは叶わなかった。
男はれいむを思い切り鉄棒に叩きつけたからだ。
「ん゛……っ!!!」
れいむの意識は衝撃の瞬間、真っ白になった。
もみあげは千切れ、れいむは鉄棒にぶつかった反動で数十cmは飛び上がった。
そして餡子を辺りに撒き散らしながらボテッと地面に落ちた。
地面に落ちたれいむは僅かに震えるばかりでもう声も上げなかった。
バレーボールほどの大きさだったれいむの体はもう萎びて縮んでいた。
鉄棒にぶつかった時に後頭部は大きく裂け、大部分の餡子がれいむの傍に散らばっていた。
もはや生命活動を停止するのは時間の問題だった。
れいむは最後の僅かな意識で思う。
何でこうなったのか。
さっきまで楽しく遊んでたのに何でだろうと
全く分からなかった。
(れいむ、しぬのかな。
いやだよぉ。しにたくないよ…
ゆっくりしたいよぉ…)
でも体はもう動かない。
体力云々ではなく、物理的にもう動けない。
死ぬ間際になると楽しかった思い出が一斉に頭に浮かぶ。
家族と過ごした日々。
友達や姉妹と遊んだ日々。
どれも楽しくてゆっくり出来た。
この公園を見付けた時の感動も思い出す。。
全ての遊具を一人占めにして遊んだのも楽しかった。
そして最後。
(ゆ゛、あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ……!!!)
最後は自らをこんな目にあわせた男の顔が浮かんできた。
その男はれいむにじわじわと歩み寄ってくる。
それはれいむにとってこの上ない恐怖だった。
(こないでね!
こっちごないでね!!
だずけで! おがーざん!! だずげで!!
じにだくない!! れいむゆっぐりじたい!!)
そして男のつま先がれいむの眼前まで迫った直後、
れいむの意識は完全に闇に沈んだ。
同時に、実際のれいむも男によって蹴り上げられた。
微動だにしなくなったれいむの亡骸は砂場に落ちてそのまま動かなくなった。
男はそれで満足したのか大きく伸びをして公園を去って行った。
れいむを殺したこの男はゆっくり虐待を趣味にする男だった。
そしてこの公園は男が「狩り場」と称する場所の一つ。
人の気が無く、ゆっくりの住みつきやすい場所を不定期に巡回し、見付けたゆっくりを痛めつけていた。
れいむは本当に運が悪かった。
この公園を見付けていなければ。
もっと早くこの公園に飽きていれば。
男がもう数日巡回してこなければ。
こんな無惨な死に方をせずに済んだ。
結局れいむは男に見付かり、何が何だか分からないままに殺された。
終
---以前に描いた作品---
ふたば系ゆっくりいじめ 570 俺の癒し系ペット
---後書き---
一作目の感想、思いのほか多くて嬉しかったです。
ありがとうございました。
二作目として書いた作品が停滞気味なので
気晴らしで書いたあっさり風味の短編でした。
思っていたよりも長くなっちゃいました。
町を見渡せる小高い丘の上には小さな公園があった。
滑り台に鉄棒、シーソーにブランコ、砂場といった最低限の遊具があるだけの寂れた公園だ。
休日の昼間だというのに人の姿は無い。
長い石段を上らなければ来れないうえに遊具が少ない。
おまけに丘の下に大きな公園があるおかげで人が来ることなどほとんど無かった。
言ってしまえば廃公園である。
しかしそんな廃公園も全てに見捨てられたわけではなかった。
公園の敷地内を駆けまわる元気な影一つ。
遠くから見ればバレーボールがひとりでに跳ねているようにも見える。
しかしその正体はゆっくりだった。
「ゆっくりしていってね!!!」
そのゆっくりは元気にそう叫ぶと、大きく跳ね上がって砂場にダイブする。
「ゆっくりしていってね!!!」
足(底部)を軽く砂に埋めながら再び楽しげな鳴き声をあげた。
周りには誰もいないので返事は無い。
しかし彼女はしばらく返事を待ち、しばらくすると諦めたのか別の遊具へと向かっていった。
ここは彼女、ゆっくりれいむの遊び場。
そしてれいむにとって最高のゆっくりぷれいすだった。
町で生まれ育ったれいむは親離れと同時に町を出た。
町での生活が嫌だったわけではないし、町から出たいから出た訳でもない。
単純に町の騒がしさが嫌いで、一人暮らしするためのおうちを探す中、騒音を避けるうちにこの公園まで辿り着いたのである。
ここにある遊具はれいむが子供の頃、遊んだことのあるものだ。
家族やご近所と一緒に広い公園へ出かけて遊んだのだ。
あの時は人間さんや他の姉妹が遊んでいる間は待たなければならなかったが今は一匹なので待つこともなく好きなだけ遊べる。
公園に着いてから今日で三日目。
れいむは食事と寝るとき以外はずっと遊具で遊んでいた。
滑り台で何度も砂浜に向かって滑り、
シーソーは板の上を左右交互に跳ねて遊び、
ブランコは上に乗ってユラユラと揺れるのを楽しみ、
砂場では転げまわったり山を作って楽しんだ。
ちなみに鉄棒で遊ぶことだけは無い。
これはただ単純にれいむが鉄棒を遊具だと認識していないだけだったりする。
しかし不思議である。
これだけゆっくり出来る場所なのに他のゆっくりがいないなんて。
れいむも疑問らしく、今日になってから公園の入り口をしきりに気にしていた。
やはり一人で遊び続けるには限度があるらしく、同じゆっくりの仲間が来るのを期待しているようだ。
石段を登らなければならないこの場所にゆっくりが現れることは稀である。
大抵は途中で諦めて帰ってしまうのだ。
それでも中にはこのれいむのように石段を登り切り、この場所を住処としたゆっくりも何匹がいた。
しかしそのゆっくり達はもういない。
理由は大まかに二つだ。
一つは一匹で遊ぶのが飽きてこの公園を出て行った。
れいむも数日すれば一匹で遊ぶのに飽きて公園を出ていくだろう。
しかしそれは運が良かった時の話である。
れいむは運が悪かった。
公園の入口に人影一つ。
学ランを着た男で近所の学生だ。
ニヤけた顔をしてれいむをじっと見つめていた。
この公園のゆっくりが消えるもう一つの理由は「この男と出会うこと」なのだ。
「ゆゆっ!」
男に気付いたれいむは嬉しそうに近付いていく。
やはり一人で遊ぶのは寂しかったのだろう。
「ゆっくりしていってね!!!」
男の足元でれいむは男の顔を見上げて元気に挨拶した。
れいむは経験上、大きい人間さんはあまり一緒に遊んでくれないと知っていた。
でも今のれいむにはそれでもよかった。
遊んでくれなくても話をするだけでもいい。
挨拶を返してくれるだけでもれいむの心は満たされた、はずだった。
ワクワク顔で待つれいむに返ってきたのは返事ではなく理不尽な暴力だった。
男の靴の爪先がれいむの顔面、人間で言うと鼻の辺りにめり込んだ。
次にはもうれいむは放物線を描いて数m吹き飛ばされていた。
「ゆ? ???」
れいむは自らの身に何が起きたのか理解できなかった。
吹き飛ばされた先で起き上がり状況を頭の中で整理しようとする。
しかし無理だった。
「ゆ゛っ!! んぎゅ…あ゛…ゆ゛あ゛ぁぁぁ……っ!!!」
それよりも先に全身が強い痛みがれいむの意識を支配した。
顔面を勢いよく蹴られた衝撃が全身に伝わり、ズキズキと鈍い痛みがれいむを苦しめる。
直接蹴られた箇所などは特に痛みがひどく、外傷もあった。
ゆっくりに鼻は無いが、れいむの顔の中心の皮は破れて餡子が流れ出て、まるで鼻血を出しているかのようだった。
「いだい! ゆ、ゆっぐりできないぃ!!」
れいむは痛みに悶え苦しみながら泣き叫ぶ。
男は苦しむれいむへとニタニタ笑みを浮かべて近付いていく。
れいむは男が自分に近づいてくることに気が付いてはいた。
だが激しい痛みが邪魔してれいむは逃げるどころか起き上がることすら出来なかった。
男はれいむの傍まで来ると片足を振り上げ、今度はれいむを踏み付けた。
一気に踏み潰すのではなく、じわじわと押し潰すようにしてれいむを苦しめる。
「や、やめでっ…
ぐるじ…ぐるじぃよ…ゆっぐぢ、じでよぉぉ」
バレーボールほどの大きさのれいむは右頬を踏まれて身体を凹型にひしゃげながら助けを請うた。
男は聞く耳を持たず、踏み付ける足をグリグリと捻ってれいむから更なる悲鳴を捻りだす。
「あぎゅ、ゆぎいいぃぃぃ!!
やめでやめでやめでぇぇぇ!! いだいいだいぃぃっ!!」
丈夫で摩擦力もある靴の底でぐりぐりされ、れいむの肌はぐちゃぐちゃに破れてしまっていた。
それでも男は執拗にれいむを踏み付けて傷口を更に荒らしていく。
れいむは最初に蹴られたときとは打って変わった鋭い突き抜けるような痛みに襲われていた。
踏み付けられている頬が外から滅茶苦茶に削られているのだ。
その痛みはまさに地獄の苦しみだ。
この男から逃げようとしても男の足はれいむにとっては非常に重く、身動きなんて取れなかった。
あまりの痛みに身体をビクンビクンと痙攣するのが限界だった。もっともそれはれいむの意思とは無関係だが。
しばらくすると男はれいむから足を離した。
れいむは意識が朦朧とする中、自分の身が軽くなったかのように感じた。
数秒経ってようやく自らを踏み付けていた男の足が無くなったんだと気が付いた。
れいむは身体を震わせながら力弱く横向きから仰向けに倒れて男を見上げた。
仰向けになったことでれいむの穴だらけの右頬が横向きになり、そこから餡子がドロリと流れ出た。
破れたのが頬で、皮が割合薄かったので出餡はさほどでもないが重症であることには違いない。
痛みだって消えたわけじゃなく、今でもれいむの精神を痛みで灼いている。
だがれいむは男を見上げ、弱弱しくゆっくりとした口調で話しかけた。
「ど、どうしてごんなごどずるの…?
おはなししたかっただけなのに…ゆぐ」
対する男は右手の親指と人差し指を顎につけて何やら思案していた。
れいむの話を聞いて考え込む、ということでは無く、次はどう虐めてやろうかと考えていた。
だがれいむは前者であると思い込み、話を続ける。
「もういだいのいやだよぉ。
いたいのゆっくりできない!
ゆっくりしようよ! ゆっくりしていってよぉぉぉ!!」
れいむは必死に力を振り絞り、男に対して「ゆっくりして」と呼びかけた。
とにかくゆっくりして欲しい。
ゆっくりすれば暴力を振るおうだなんて思わない。
種族が違っても通じ合えるはずだ。
痛みと恐怖で意識が纏まらない中、れいむはそう信じて男にゆっくりして欲しいと願った。
だがそれはゆっくりの理屈。
人間に、ましてやこの男に通用するはずも無かった。
男はそもそもれいむの今の話をちゃんと聞いてすらいない。
ただ「うるさいな」ぐらいにしか思っていない。
だが男はれいむの願いを受け入れた。
しかしれいむの意図とは180度ズレた形で。
男はれいむのもみあげを握って持ち上げる。
れいむは髪の付け根が痛かったが、一方で安堵を感じていた。
「人間さんがゆっくりしてくれたんだ」と思ったのだ。
人間からすれば理解に苦しむ思考だが、ゆっくり特有のポジティブな思考である。
その認識はあながち間違ってはいない。
男は間違いなくゆっくりしようとしていた。
しかしそれはれいむが最も望まず、最も理解できない方法で。
「ゆ、ゆっくりしていってね…!!」
誤解だというのに理解してくれたと喜ぶれいむだったが、
次の瞬間にはれいむの体は更に持ち上がった。
男がれいむを大きく振りかぶったのだ。
(おそらをとんでるみたい)
れいむはそんな事を口走ろうとしたが、それは叶わなかった。
男はれいむを思い切り鉄棒に叩きつけたからだ。
「ん゛……っ!!!」
れいむの意識は衝撃の瞬間、真っ白になった。
もみあげは千切れ、れいむは鉄棒にぶつかった反動で数十cmは飛び上がった。
そして餡子を辺りに撒き散らしながらボテッと地面に落ちた。
地面に落ちたれいむは僅かに震えるばかりでもう声も上げなかった。
バレーボールほどの大きさだったれいむの体はもう萎びて縮んでいた。
鉄棒にぶつかった時に後頭部は大きく裂け、大部分の餡子がれいむの傍に散らばっていた。
もはや生命活動を停止するのは時間の問題だった。
れいむは最後の僅かな意識で思う。
何でこうなったのか。
さっきまで楽しく遊んでたのに何でだろうと
全く分からなかった。
(れいむ、しぬのかな。
いやだよぉ。しにたくないよ…
ゆっくりしたいよぉ…)
でも体はもう動かない。
体力云々ではなく、物理的にもう動けない。
死ぬ間際になると楽しかった思い出が一斉に頭に浮かぶ。
家族と過ごした日々。
友達や姉妹と遊んだ日々。
どれも楽しくてゆっくり出来た。
この公園を見付けた時の感動も思い出す。。
全ての遊具を一人占めにして遊んだのも楽しかった。
そして最後。
(ゆ゛、あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ……!!!)
最後は自らをこんな目にあわせた男の顔が浮かんできた。
その男はれいむにじわじわと歩み寄ってくる。
それはれいむにとってこの上ない恐怖だった。
(こないでね!
こっちごないでね!!
だずけで! おがーざん!! だずげで!!
じにだくない!! れいむゆっぐりじたい!!)
そして男のつま先がれいむの眼前まで迫った直後、
れいむの意識は完全に闇に沈んだ。
同時に、実際のれいむも男によって蹴り上げられた。
微動だにしなくなったれいむの亡骸は砂場に落ちてそのまま動かなくなった。
男はそれで満足したのか大きく伸びをして公園を去って行った。
れいむを殺したこの男はゆっくり虐待を趣味にする男だった。
そしてこの公園は男が「狩り場」と称する場所の一つ。
人の気が無く、ゆっくりの住みつきやすい場所を不定期に巡回し、見付けたゆっくりを痛めつけていた。
れいむは本当に運が悪かった。
この公園を見付けていなければ。
もっと早くこの公園に飽きていれば。
男がもう数日巡回してこなければ。
こんな無惨な死に方をせずに済んだ。
結局れいむは男に見付かり、何が何だか分からないままに殺された。
終
---以前に描いた作品---
ふたば系ゆっくりいじめ 570 俺の癒し系ペット
---後書き---
一作目の感想、思いのほか多くて嬉しかったです。
ありがとうございました。
二作目として書いた作品が停滞気味なので
気晴らしで書いたあっさり風味の短編でした。
思っていたよりも長くなっちゃいました。