ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko0702 迷作劇場
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ankoss
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・小話を四本収録した子ネタ集
各作品のお話の長さと温度差は激しいと思います
全て独立したお話でそれぞれの関連性はありません
・作品ごとのタイトル横にぺにまむうんしーの注意書きがある場合
駄目な方は回避をしてください
・いつも以上に補足部分が多めになっています
※ひとつめ『 異常を感じたら病院へ 』
畳敷きの部屋の中、
テレビから照射されたバックライトが青年とれいむを明るく照らす。
『あなたのゆっくり。大丈夫ですか?』
オドロオドロしい音楽とナレーションで見ている者達に不安を与える番組構成。
それに魅入られたかのように興味を示す青年とれいむ。
『生活の中でこんなことはありませんか?』
女性がゆっくりを抱っこしながらキスをした。
普段行っている愛情表現。
その数日後、女性が夜に洗面台の鏡を覗くと小さな黒い染みが右頬に浮き出ている。
美容のためにビタミン剤を飲んでその日は就寝。
そして次の日、女性は仕事場で倒れた。
そのまま緊急入院。
2ヶ月もの長期治療となってしまった……。
「……」
「ゆ?」
俺は足元のれいむを見る。
れいむはなんだか解らない顔をしていた。
思い当たる事がある俺にとっては人事ではない。
『ゆっくり達にこのような事がありませんでしたか?』
ある日の午後。
Aさんが飼っているまりさが傷を負ってしまいます。
直ぐに小麦粉を塗って治療をして安心するAさん。
夜は何時も通りにまりさと一緒に就寝しました。
数日後。
Aさんは激しい頭痛に襲われます。
フラフラとして立ってるのも億劫な状態。
病院にいきましたが、診断結果は原因不明。
医者にも解らない未知の病。
Aさんも入院をして闘病生活を余儀なくされました……。
「……」
「ゆ? ゆ!? やめてねっ! れいむをぐいぐいおさないでねっ!?」
俺はれいむを足で押す。
なるべく遠くへと離すためだ。
それ以上、絶対こっちに近づくな!
『……原因はゆっくり達にあったのです』
最初のケースの飼いゆっくりも怪我をして治療された後がありました。
その際に刺さったのは汚れた鋭利な突起物。
汚い画鋲が足に食い込んでいたのです。
Aさんの事例で原因になった物は食材を切っていた小さな刃物。
不注意で刃物を落として飼いゆに刺さり、体の内部まで傷つけてしまったのです。
でも、それぞれの飼い主はゆっくり達の回復力が強いのは知っていました。
適切な対処で最善な治療。
傷口もあっという間に塞がり、ゆっくり専用病院に行く事はありませんでした。
しかし、ゆっくり達には思いもよらない変化が待っていました。
ゆっくり達の体中では悪性の菌が繁殖していたのです。
それがキス等の過剰な接触で飼い主にうつり、体調の異常を引き起こしたのです。
「……!」
「やめてねっ! おねがいだからやめてねっ! れいむなにもわるいことしてないのに!?」
俺はゴミ箱にれいむを捨てた。
ゴミ箱の入り口が狭くてれいむの腹付近から奥に入らない。
更に力を込めて押し込んでいく。
『ですが、ご安心ください。さまざまな対処法がありますが……』
まずは、熱湯消毒。
外皮の洗浄方法は…、
その言葉を聞いた青年はれいむをゴミ箱から引っ張り出した。
「お風呂に入ろう。よかったなれいむ。湯加減はどうだい?」
「あづづづっ゛!? あつすぎるよ! もうすこしぬるめにしてねっ!?」
タライにれいむを入れて熱湯をかける。
何時もよりかは、ほんの少々熱めのお湯だ。
そう。ほんの少しだけ。
次は粗塩の散布。
外皮だけではなく中身も対象。
それに……、
「中もかよ!? 面倒くさいな」
「ゆおうっ! すんごくしみるよおおおっ! だめええええええっ゛!?」
外皮にパラパラと塩を振っただけでこの痛がりよう。
当然だよな。
先程の熱湯シャワーで外皮が剥けてる箇所もあるし。
青年はその後もテレビで紹介された対処方法を実行していった。
「…こんな所かな?」
「……どぼじで……どぼじでごんなごどずるのおっ?……」
俺の目の前には消毒が完了したれいむの姿が。
頭の黒髪はボロボロ。
飾りのリボンは真っ白に漂白。
眼球を取り出し、洗ってから元に戻した。
雑に洗浄したからシクシクと痛むのかもしれない。
ずーっと、れいむは泣きっぱなしだ。
中身の餡子にも塩と砂糖を混ぜたし、歯も一本残らず全部抜いた。
ぺにとまむも火で炙って作業完了。
これでパーフェクトれいむの誕生だ!
青年はれいむを見ながら満足そうに頷いている。
しかし、その耳に残酷な言葉が聞こえてきた。
『……などの処置は、全くもって無意味なので、絶対に行わないでください』
「……え゛?」
青年の動きが止まる。
その前には変わり果てたれいむの姿。
そして、先程までの情熱と興奮が冷めた青年は指定ゴミ袋を取り出した。
「やめてねおにいさん! かわいいれいむになにをするきなの?
がさがささんをちかづけないでねっ! いやだっ! はいりたくないよっ!?
うわあああああああああああああああああっ゛!!!?? 」
青年は目の前のクリーチャーをゴミ袋に放り込み袋の入り口を硬く結んだ。
そのままゴミ袋を台所の隅へと放り投げる。
「あーあ~っ…やっちまった……。明日新しいの買いにいくか」
テレビの画面を見ながら悲しそうに呟く青年。
繭を寄せて深く溜息を付く。
次の日、青年は新商品の『抗菌れいむ』を購入。
この番組はこの商品を売り出す為の布石だった。
……との噂もあったとかないとか。
『ちなみに今では薬がありますので簡単に治ります。体の異常を感じたら病院へと行きましょう』
そのナレーシションに合わせて、
入院していた人がが笑顔で退院するシーンを最後に番組は終了した。
・ゆっくりの体内で菌が繁殖するお話
かなり大げさに書いています
※ふたつめ『 そろもんおうのゆびわ 』・ぺにセリフとうんしー有り
お姉さんが飼いゆと触れあいコミュニケーションを取っている。
スキンシップや優しい言葉。
正しい教育をする為には何よりも欠かせない事だ。
「ちーんぽ!」
「お水さんが飲みたいのね。持ってきてあげる」
「まらまら!」
「頭を撫でて欲しいの。ふふっ。みょんは甘えんぼさんね」
みょんの頭を優しく撫でるお姉さん。
笑顔でうっとりと目を瞑っているみょん。
甘いゆっくりとした雰囲気が周囲を包む。
「……どういうことなの?」
その状況を見つめる金髪のゆっくり。
先程、この家に連れてこられた新入りだ。
「あら? ありすゴメンね。紹介するわ。私の可愛いみょんよ」
「ちーんぽ!」
ありすは細目でみょんを見つめている。
心の中で、『下品な言葉は都会派じゃないわ……』と、思いながら。
「ちぽちぽ!」
「みょんの挨拶はゆっくり出来るわ~」
お姉さんはみょんにメロメロだった。
みょんをその胸に抱き上げて、ベタ褒めしながら頬をすり合わせる。
「…………」
その状況をありすは黙って冷たい視線で見続けた。
このありすはペットショップから買われて来たゆっくりだ。
最初は高値で売られていたのだが、売れ残って価値がどんどん下がっていった。
プライドを持って懸命に耐えていたありすだったが、体が大きくなるにつれて不安が増してきた。
そして、赤ゆの時期が終わったゆっくりなどの買い手は中々つかず、虐待用の購入としては少々お高い。
『処分品……』と、店員がボソリと言う度に、ありすは飛び跳ねて怯えていた。
ありすの目の前には、特価品と処分品の棚が見える。
『あそこには絶対に行きたく無い!』とありすは思い、プライドを捨てて客に媚びるように懇願し始める。
後日、このお姉さんがありすを購入し、念願の飼いゆとなったのだった。
「……まあいいわ。ありすにとかいはなおしょくじをよういしてね」
溜息混じりにありすが呟く。
しかし、お姉さんは動かない。
「ゆゆ? ありすのびせいがきこえないの! とかいはじゃ……」
"パシーンッ!!"
部屋に鳴り響くのは平手の音。
ありすの左頬が掌状に赤く染まった。
瞳に涙の粒が溜まっていく。
「ありすのびはだになんてことするのっ!? とかいはじゃ……」
泣き出したありすが又もお姉さんの平手を受けた。
乾いた音が再度響き渡る。
それはありすが喋らなくなるまで続いた。
「ゆ……ゆぶっ゛! ゆぶうううううううううううっ゛!?」
両頬をパンパンに腫らしたありす。
見た目はかなり滑稽な部類に入るのだが、
お姉さんは笑わず、ありすと同じ様に悲しみの涙を流していた。
「ありす! なんでそんな言葉を口にするのっ!?」
涙をポロポロ流しながら叫ぶお姉さん。
「ゆぐうっ゛?」
頬が腫れて満足に体が動かせなくなったありすが上目使いでお姉さんを見上げる。
「そう……解ってくれたのね。お姉さん嬉しいわ。」
ありすはこの状況を把握しきれていない。
だが、一つだけ理解した事がある。
それは喋ると平手が飛んでくると言う事だけ。
ありすは口から言葉を出す事が出来ない。
「ありす。これからは汚い言葉を喋っちゃ駄目よ?」
お姉さんが片手でありすの為に用意された専用食器を持ち上げる。
そして、その中へ乾燥したフードをザラザラと入れていく。
「お姉さんは、ゆっくりの考えている事が手にとるように解る、飼い主さんなんだから!」
ありすにご飯が入った食器を突き出しながらそう断言した。
部屋の一室。
ありすはベットの上で目を覚ます。
「…ゆ?……ゆっくりおきるわっ!!」
叫びながら体を起した。
しかし、ありすはその後、怯えながら周囲に体を振り始める。
上下左右を確認したありすは、心から安心したかの様な重い溜息を吐き出した。
「あれ? ありす起きたの。おはよう」
髪の毛を逆立てありすは盛大に跳ね上がる。
狙いすましたかの様なタイミングで声を掛けられたありす。
ビックリしすぎてしーしーが漏れてしまった。
「うわーっ。大変大変!」
パタパタとスリッパを鳴らしタオルを取って来たお姉さん。
ありすの濡れたベットと体を丁寧に拭き始める。
「ゆっ……ゆっくりーっ!」
「そう。気持ちいいのねー。」
ありすは怯えながら震えた声で会話を行った。
寝起きの叫びは聞かれてはいなかったらしい。
ありすは今度こそ本当に安心できた溜息を漏らす。
「ゆ~っ…」
「そうなんだ。はいありす。うんうんさんしようね」
目を見開き驚きを露にするありす。
だが、お姉さんはニコニコと微笑みながらありすをトイレに連れて行った。
「新しく交換したシートで一杯うんうんさんしてね。あーりす」
綺麗なトイレシートの上でありすは困惑していた。
朝ゴハンを食べずにうんうんを出せと?
一体何を考えているの?
この飼い主は都会派じゃないわ!
そう思いながらありすは微動だにしない。
「あれ? ありすどうしたの? まさか……お姉さん間違えちゃったの!?」
悲痛な叫び声を上げるお姉さん。
それを見たありすは覚悟を決めて両目を見開いた。
「ゆ…おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ゛!!!?? 」
ありすの根性が、今、試される。
大いなる力があにゃるに集中して頑強な封印を強制解錠。
魂が込められた懇親の作品がシート上に盛り上がった。
ありすはガツガツと朝食を食らう。
体から無理矢理に捻り出したありすは、完全に限界に達していた。
何故ならば予定以上の作品が体の外に出てしまったからだ。
後少し食事を取るのが遅かったならば危なかった。
まさに空きっ腹の体内にご飯を詰め込んでいくありす。
「むーしゃむーしゃ! とかいはなおあじだわーっ!!」
歓喜の声を上げるありす。
当然、強めの平手が飛んでくる。
お姉さんの躾は厳しい。
「ゆっくりーっ!?」
片頬を腫らしたありすがお姉さんに訴える。
叩かれた文句を言っているの訳ではない。
ありすは、『ご飯さんが足りないからお代わりが欲しい!』と、伝えている。
「解ったわ。あーりす。遠慮せずに沢山飲んでね」
「ゆっ? ……おうっふ!?」
"ドンッ!!"と、置かれた丼にはお水が満載に入れてあった。
水面に出来た小さな波がチャプチャプと左右に揺れる。
ありすは目の前に聳え立つ大盛りの強敵を見ながら、
『どう間違えばこうなるのか!?』と、思いつつ目を見開いていた。
体を震わせながら佇むありす。
微動だにしないありすに向かいお姉さんは言葉を掛ける。
「まさか……お姉さん間違えちゃった……の?」
その心から悲しそうな言葉を。
何故かありすは胸が締め付けられる思いで耐えられなくなった。
もう、ありすのする行動は一つしかない。
気合を入れて息を吸い込み、強敵の"DONBURI"に向かっていく。
「ゆおおおおおおおおおおおおおおおっ゛!?」
グビグビとお水を喉を通していくありす。
満載に入っていた丼の水かさがどんどん減っていく。
ありすのお腹はパンパンに膨れていった。
「いっぱい飲んでね! あーりす!!」
嬉しそうに微笑むお姉さんはとても幸せそうだった。
「ゆー、おえっぷ!」
廊下をそろそろと歩くありす。
先程トイレで大量のしーしーをしたらしいのだが、完全に水分を排出しなかったらしい。
過剰摂取したお水が自分の中身と濃厚に交じり合っていたので、あのまま出し続けたらそのままご臨終だった。
ナイスな判断をしたありすだったが、
ちょっとでも衝撃を受けると危険な描写になるのは変わっていない。
ありすの体調状況は前と何も変わらず、体の中ではレッドシグナルの警告が煩く鳴り響く。
「あのかいぬしはなにをかんがえているのかしら?」
ブツブツと子声で呟く。
ゆっくりとは程遠い環境に身を置くありす。
文句の一つでも出るというものだ。
「あーりす! こんな所でなにしてるの?」
又もビビらさせたありすは飛び上がる。
今回は漏らさずに"キュッ!"と、蛇口を締め上げた。
「ゆ、ゆっくり~!」
適当に言葉を吐くありす。
その間にあんよは危険区域から離脱する為に走り出す準備をしていた。
「へ~。そうなんだ! 解った!」
「ゆんゆん!」
ありすが適当に相槌を交し駆け出そうとした瞬間、
お姉さんの手がありすの肌を掴み、廊下の中央に引き寄せていく。
「いっぱい遊んであげるね!」
猫じゃらしの様な物を取り出して左右に振り出すお姉さん。
ありすは、"ぷら~ん、ぷら~ん"と、揺れる柔らかい素材を見ながらフリーズしていた。
この体調で遊べとっ!?
お腹からゴロゴロ鳴らしながら震えるありす。
臨界点は近い。
「まさか……お姉さん……間違えちゃったの?」
そのお決まりのフレーズを耳にしたありす。
「いったらあああああああああああっ!? とかいはないきざまみとけやああああああっ゛!!」
ありすは覚悟を決めて突進していく。
左右に激しく揺れる獲物に全力で立ち向かうありす。
何度かダブダブのお腹を廊下に打ちつけた後、
押さえ切れない奔流がありすの体内から込みあがってくる。
「んぐっほおっ゛!? (ビクンビクンッ!!)」
直後、汚い華が廊下に咲き乱れた。
突然の惨事が展開された為、
ありすのお喋りに対するお姉さんからのお仕置きはお流れとなった。
「ゆっくりお休みしてね。ありす」
お姉さんが、そっと毛布をありすの上に乗せる。
治療されたありすは何とか一命を取り留めた。
今はベットから降りる体力さえも残っていない。
「……ゆはぁ~っ」
今が一番ゆっくりできるよ。
そう思いながらもぞもぞと寝返りを打つありす。
ひと時の安息をじっくりと味わう。
「ぺーにす!」
床に伏せるありすの耳に声が届く。
それは先住者のみょんが出した言葉だった。
みょんの前にはご飯さんがある。
ありすがこんなに大変な目にあってるのに、あいつはご飯さんを一杯食べてるのねっ!
みょんは都会派じゃないわっ!?
怨念を込めた眼差しでみょんを見つめるありす。
視線の先に居るみょんに穴が開きそうだ。
「ちーんぽ!」
「そう。一杯食べてね。みょーん」
しかし、ありすは何かがおかしい事に気付いた。
「びっくまらぺにーす!?」
「これだけじゃ足りないの。解ったわ追加してあげるね」
みょんの前にはお皿が一つと丼が一つ。
どちらも溢れんばかりのフードが盛り上がっている。
「まぐなむ!?」
「嬉しいのね。気にしなくていいのよ。だって可愛いみょんの為なんだから」
涙目のみょんと笑顔のお姉さん。
これは何処かで見た光景だとありすは感じていた。
「……食べてくれないの?……まさか……お姉さん間違えちゃった?」
聞きなれたその言葉。
みょんの顔に決意が灯る。
自分もあんな顔をしていたのだろうか?
凛々しいみょんを見ながらありすはそう思った。
みょんが口の中にフードを詰め込み始める。
まるで親の敵でも食らうかのような鬼の形相で。
それを見ているお姉さんは笑顔だった。
とても嬉しそうな表情。とても幸せな微笑みをしていた。
大きなゲップをしながらその場に倒れるみょん。
辛くも丼のご飯を完食し、お腹が大きく膨れていた。
そして、みょんのあにゃるから大きな塊が床に漏れ出す。
「あ~っ! こんな所でしちゃ駄目だっていつも言ってるのに~。も~っ。
この癖だけは治らないな~。どうしてなんだろ?」
慌ててみょんをトイレへと運ぶお姉さん。
その際、みょんの目線がありすに向けられた。
ほんの少しの僅かな時間。
たった一瞬視線が交りあっただけだったが、ありすとみょんは分かり合えた。
後日、全快したありすとみょん向かい合う。
互いは静かに歩みより、熱い抱擁をかわした。
瞳から溢れ落ちるのは感激の涙。
この戦場で出会った友を胸に抱きながらありすとみょんは泣いていた。
どちらかと言えば、みょんの方が強く感動している。
なにせ、やっと出会えた戦友なのだから。
みょんはもう一人ではないのだ。
「ゆっくりーっ!」
「ちーんぽ!」
互いに誓いの言葉を交す。
これからも共に戦い続けると。
あのお姉さんにはなんとなく逆らえないのならば、もう覚悟を決めるしかないのだ。
「みょーん、あーりす。お風呂に入りたいのね。直ぐに準備するから待っててね」
台所に置いた洗面器の中に、熱々の熱湯が注がれていく。
あそこにみょんとありすは放り込まれるらしい。
「ゆっ、おおおおおおおおおおおおおおおおおっ゛!?」
「ちちちち、んぽおおおおおおおおおおおおおっ゛!?」
恐怖に震えて立ちすくむ二人の兵士。
体を動かさず声を上げないゆっくり達に、お姉さんから声が掛けられる。
そう、ありす達を切なくさせるあの言葉を。
ありすとみょんは湯気がアホみたいに立ち昇る熱湯風呂の中へと果敢に飛び込んでいく。
直後、勇敢な兵士の甲高い悲鳴が部屋中に響いた。
・意思疎通のお話
通じ合えたのはみょんとありすだけ
・お姉さんは虐待してるという意思とゆっくりの訴えを理解できる能力はありません
無意識にゆっくり達が逆らえなくなる様な雰囲気を作り出す才能があります
自分はとても良い飼い主だと自画自賛しながらありす達の世話をしています
※みっつめ『 連鎖ばくあん 』
天井にカメラが取り付けられた白壁の室内。
その部屋の中心でれいむとまりさが怯えていた。
れいむの頭から伸びる茎には、数体の赤ゆが垂れ下がっている。
「ゆ~ん…」
「ゆゆ~ん……」
れいむとまりさは頬を合わせて体を擦り合わせる。
少しでもゆっくり気分を味わうために。
れいむ達の体の後ろにあるのは重厚な箱状の機械。
"ヴゥーン!"という低い駆動音を上げながら青いランプを点灯させていた。
白い部屋の隅は黒い餡子で汚れている。
その上には小さな帽子とリボンが無数に散らばっていた。
「ゆ!? あかちゃんうまれるよっ!」
「ゆゆゆっ!? ゆっくりうまれてねっ!」
れいむから生えた茎から赤ゆが地面へと産まれ落ちていく。
定番のご挨拶を済ましてから緑色の茎を齧り出す赤ゆ達。
「ゆぴぇぴぇっ!? こりぇにぎゃいよっ゛!」
「まじゅいいいっ゛!?」
「じぇんじぇんゆっくちできにゃいよっ゛!?」
「ちあわちぇ~ちたいにょにいいいっ゛!?」
口々にそう言いながら別のご飯を要求する赤ゆ達。
「ゆ~ん……これしかないいんだよ。がまんしてたべてねっ!」
れいむはそう諭すが赤ゆ達は泣きながら拒絶する。
「ゆゆっ!? にゃにかあみゃあみゃのにおいがしゅるよっ!」
泣いていた一体の赤ゆが匂いに気付き白い床を移動していく。
「だめだよっ? そっちはだめだよっ゛!? あかちゃんたちもどってきてねっ!?」
「ぴゅ~ん、だっ!! きゃわゆいれぇいむをゆっくちしゃしぇてきゅれない、
くじゅおやのいうきょとはききゃにゃいよっ!!」
他の赤ゆ達も小さく頷き、甘い匂いがしてくる部屋の隅へ向かっていく。
親れいむは泣き喚くだけ。
親まりさも動く事が出来ない。
下手に近づくと巻き込まれてしまうからと。
言葉で止まらなかった赤ゆ達は、念願の甘い餡子にたどり着く。
赤ゆは目をキラキラさせた後、餡子を食べる為に大きくお口を開けた。
その時、親達の後ろで光っていた青いランプが赤く変わる。
色が変わった瞬間に、赤ゆ達の体は内側から弾けとんだ。
『『 うわああああああああああああああああああっ!!!?? 』』
一体残らず砕けた赤ゆの親達は涙を流しながら絶叫した。
「ぼうやだっ!? れいぶぼうあがじゃんうびだぐないよおおおっ゛!!」
「だべだよれいぶぅっ゛!? まりざだじが、ばくっはつっ! ざぜられじゃうよおおおっ゛!!」
"子供を作らなければ爆発するのはお前達だ"
と、言われていたれいむ達は脅しに屈するしかなかった。
だが、そんな泣き喚くれいむの餡子脳に閃めく一つの名案。
もみあげを前後に振りながら満面の笑顔で叫んだ。
「ゆゆ!? そうだよ! じょうぶなあかちゃんをうめばいいんだよっ!」
「ゆゆゆっ!? れいむはてんさいだねっ! とってもゆっくりできるよ!!」
爆発に耐えられる丈夫な赤ちゃんを作る為、
"胎生にんっしんっ!"を、選択したれいむ達。
れいむ達は浮かんだ名案に安心して、久しぶりの充実した"すっきりー!"を堪能した。
「ゆぎぎぎぎぎぎっ!?」
「がんばって!? れいむがんばってねっ!」
月日はあっという間に流れて出産の日を迎えた。
れいむは腹に力を入れて、丈夫な赤ゆを捻り出す。
「うばれるよっ!? れいむのかわいいあか……ゆおっふっ!? (スポーン!) 」
「ゆわあ~っ!? まりさにのあかちゃん、とってもゆっくりしているよおおおっ゛!!」
空に打ち出されて飛んでいく赤まりさ。
それを見ながらゆっくりしている親まりさ。
そして、部屋の隅まで飛んでいった赤まりさは、空中で黒い霧を上げながら爆散した。
『『 ええええええええええええっ゛!? 』』
苦労して胎内で育てた赤ちゃんがゆっくりしてしまう。
その言いようのない喪失感を、れいむはモロに受けていた。
でも、悲しみの最中にも産道が痛んで開き始める。
次の赤ゆが少しずつ顔を出して今にも飛び出しそうだ。
「まじざあああっ!? つぎのあがぢゃんがででくるよっ!!」
「れいぶっだいじょうぶだよ! まりさがゆっくりうけとめるよおおおっ゛!!」
まりさも最初の赤ゆがはじけ飛んで辛い気持ちはれいむと同じだった。
ずっと今まで丈夫な赤ゆが誕生するのを楽しみに待っていたのだから。
『何が何でも受け止めてやる!』の思いを胸に、
まりさはれいむの前で仁王立ちをして赤ゆの射出を待つ。
「うばでゆふふうううっ゛!?」
「ゆおおおおおおっ!! ぶふぉっ゛!? げぶううううううっ゛!!」
弾丸の様な赤ゆの衝撃を体に受けてまりさが吹っ飛ぶ。
赤ゆはまりさの体内までめり込んでいた。
「あがあああっ!? ゆがああああああああああっ゛!!」
異物が体内を暴れる激痛に悶絶する親まりさ。
赤ゆの体はぶつかった衝撃で半壊の状態だった。
親に懸命に助けを求める行動が親まりさを苦しめる。
「まじざあああっ!? だれがまじざをだずげでええええええっ゛!!」
"ゆがゆが!"と、苦しむまりさを見たれいむは周囲に助けを求めた。
その時、斜め上方に向けていた産道の出口がまりさに向けられてしまう。
体を倒した事による圧が腹にかかり、三体目の赤ゆがムリムリと顔を出す。
「ゆっくちうみゃれぇりゅよっ!」
赤ゆの口から声が漏れた。
もう直ぐ産まれる発射の合図。
その照準は苦しむまりさにロックオン。
「あ…ゆあ……」
お腹がキリキリと痛みながら広がっていく。
でも、このまま赤ちゃん産まれたら…どうなるの?
目の前にはまりさがいるんだよ。
だから、だから……、
「あがぢゃんうばれじゃだべえええええええええっ゛!!
ゆぐぅああああっ! ままのいうことがわからないのっ!?
ゆっくりできないあがぢゃんはつぶれろおおおおおおっ゛!!! 」
れいむは赤ゆに圧力をかけて潰そうと試みる。
しかし、全てが遅すぎた。
潰れずに産まれた赤ゆが弾丸となってまりさの元へ飛んでいく。
弾丸が激突したまりさの体はくの字に折れ曲がり、そのまま部屋の端へと転がっていった。
「…あ……まじざ…?」
警告の赤いランプが点灯し、まりさの体から火花が漏れる。
れいむの瞳が、まりさが爆発する瞬間を、スローモーションでとらえた。
内部にめりこんだ赤ゆから稲光の様な閃光が空中に二つ走った後、
まりさの両目と口、あにゃるなどの穴という穴から、外部に向かって光が直線に放射された。
その後外皮が盛り上がり、まりさの体は弾ける様に、バラバラに砕けちった。
赤ゆとは比較にならない強力な爆風と灼熱がれいむを襲う。
「うっ…うわああああああああああああっ゛!?」
産道から餡子をボタボタと床に漏らした部分に飛んできた火種が降り注ぐ。
その後バチバチと激しく火花が飛び散ちり、れいむの体が"カッ!!"と、光り出す。
結局、れいむはまりさに駆け寄る事も出来ず、そのまま大爆発した。
部屋に火薬の匂いが立ち込める。
れいむが爆発した後、機械は役目を終えたかのように、
駆動音が小さく消えていき、機械のランプは無色になった。
・ゆっくりが爆発するお話
緑色の茎は導火線として使えます
・土木用発破代わりを目指しての研究開発
機械の有効範囲を外れたゆっくり達の特殊な構造を持つ自前の改造餡子が容赦なく爆発
親の改造餡子を継承して出来る赤ゆも爆弾になる設定です
※よっつめ『 まりしゃしゃまのゆっくちぷりぇいちゅ 』
「みゅーちゃみゅーちゃ! ちあわちぇーっ!!」
美味しそうにご飯を頬張り幸せを表現している一体の赤まりさ。
「おいちーよ! さしゅが、まりしゃしゃまにょごひょはんしゃんなんだじぇっ!!」
赤まりさ専用の食器に盛られているご飯は、実際にかなり美味しい部類に入る。
フードランクとしては上級クラス。
飼いゆに与えるのは躊躇う位の値札が商品側面に付いていた。
それを遠慮なく食べる赤まりさ。
口元に食べカスを付けながらご飯を味わい続ける。
"ドンッ!"
「ゆっ? みゅぐみゅぐ」
租借しながら辺りを見渡す赤まりさ。
暫くキョロキョロ周囲を見渡した後、気のせいだったと食事を再開する。
"ドンドンドンッ!!"
「ゆ!?」
激しい打撃音。
反射的に音のした方向に振り返る赤まりさ。
「むしするなんてゆっくりできないよっ!」
「かわいいれいむをむしするなんて、いったいなにさまなのっ!?」
「ばきゃなまりしゃなんだね! げりゃげりゃげりゃっ!!!」
そこには窓のガラスにベッタリと張り付く野良家族が居た。
窓ガラスをバシバシと叩き続ける親まりさ。
激しく不快な騒音が室内に響く。
「ゆ~? ゆうぅ……」
その音に怯えている赤まりさ。
後ずさりながら恐怖に怯えた表情をしていた。
「ゆぷぷぷ! まりさのかんろくにびっくりしてるよ!!」
「かわいいれいむはやさしいから、ゆっくりあんしんしてもいいよっ!」
「まりしゃはくじゅにゃんだね! ばーきゃばーきゃ!!」
「たべてるごはんさんをちょうだいね! たくさんでいいよっ!!」
「あたたかいおへやにいれてねっ! ここはれいむたちのゆっくりぷれいすにするよっ!!」
「りぇいみゅたちに、ゆきゅちかんしゃしちぇねっ!」
怯える赤まりさを見て調子に乗り出した野良まりさ家族。
ガラスを煩く叩きながら思うがままの欲望を口にする。
「ゆーっ。ゆうううっ゛!!」
ご飯が入っている食器を動かす事は無理だと判断した為、
赤まりさは小さいお口にご飯をいっぱい詰め込んで家族の近くへと足を運ぶ。
「そうだよ! すなおにしたがってねっ!! おまえはみどころがあるよ!!」
「れいむのどれいさんにしてあげるよ! ゆっくりかんしゃしてねっ!」
「あちょで、れぇいみゅのおちりしゃんを、ぺーりょぺーりょしてきりぇいにしてにぇっ!!」
散々喚いた後、美味しいご飯を食べられる期待に胸を弾ませ、
『 わーくわーく!! 』と、微笑む野良家族。
「ゆぺえっ!」
赤まりさは家族の前に含んでいたご飯を吐き出す。
床に敷かれた絨毯の上に小さな山が出来た。
「ゆっくりたべるよっ! はやくここをあけてねっ!?
「これだけじゃたりないよっ!? ゆっくりせずにもっともってきてねっ!!」
「あにょあみゃあみゃは、きゃわいいりぇいみゅがたべりゅよっ!」
美味しそうなご飯を見てまりさ親子はヒートアップ。
窓ガラスを一層激しく揺らしながら暴れだす。
「あれはまりさがたべるんだよっ!?」
「れいむのあまあまさんなんだよっ! ばかなのっ! しぬのっ!?」
「くじゅおやはゆっくちじぇきにゃいよっ! ぴゅんぴゅん!!」
興奮しすぎて不毛な争いを始めるまりさ達。
取っ組みあいの喧嘩に発展する直前、
野良ゆっくり家族は信じられない光景を目撃した。
「みゅーちゃみゅーちゃ! ちあわちぇえええええええええっ!!」
暴れる野良家族のガラス向こう側では、赤まりさが自分で運んできたご飯を美味しそうに頬張るその姿。
それを視界に入れた野良家族は争いを忘れ、呆気とられたアホみたいな顔で赤まりさを見ていた。
「ゆ~んっ!! みゅふふ~んっ!!
おきゅちのにゃかじぇ、ゆっくちとちょろけるあみゃあみゃが、ちゃまりゃないんだじぇ~っ!!」
「……!」
「……!?」
「……!!!?? 」
野良まりさ親子は、赤まりさの感想を聞きながら、涎をダラダラと垂らし放心状態。
「…はっ!? それはまりさのあまあまでしょおおおおおおおっ゛!?」
家族の中で一番早く我に帰った親まりさが吼える。
「れいむのあまあまたべるなんて、げすのすることなんだよおおおっ゛!?」
「ちにねぇえええっ! りぇいみゅのあみゃあみゃちゃべる、くじゅまりちゃはちにぇえええっ゛!!」
それに続いてれいむと赤れいむも声を上げた。
汚れた丸い体を窓ガラスに押し付け、
赤まりさの足元に残ったご飯を何とか食べようとしている。
「ぺりょ~ん! ぎょっくん!」
『『 うわああああああっ゛!? あまあまがああああああああっ゛!! 』』
残らず平らげた赤まりさは食べカスが付いた口元を自慢のお舌で猫の様に舐め上げる。
当然、まりさ達は大暴れだ。
「げすにはゆっくりせいさいしてやるよおおおおおおっ!!」
「あげろおおおっ! ここをあげろおおおおおおっ゛!?」
「ちゅぶちてやるよおおおっ゛! れぇいみゅはちゅよいんだよっ!!」
窓ガラスをぶち破って中に侵入しようとしているまりさ達。
それを見た赤まりさは微笑を浮かべる。
その後、目を瞑り口元を歪ませながら大声を上げた。
「ゆぇえええええええええんっ! きょわいよおおおおおおっ!!」
部屋の扉を開けてお兄さんが赤まりさの元に駆けつけた。
泣き喚く赤まりさ。
窓ガラスの向こう側には汚い野良家族。
駆けつけてきたお兄さんは状況を赤まりさに尋ねている。
「あにょねっ! まりしゃがあみゃあみゃしゃんをたべちぇたりゃにぇっ!!
"じゅるじゅるりっ!! うましょうなまりしゃだじぇっ! りぇいみゅたちのみょにょになれっ!!"
しょういいにゃがら、きゃわゆいまりしゃを、いやらちいひちょみでみちぇいちゃにょっ!!」
泣きながらお兄さんの胸に飛び込んでいく赤まりさ。
青くなっていくまりさ家族。
「いいがかりはゆっくりやめてねっ!?」
「そうだよっ! れいむたちはむじつだよっ!?」
「うちょちゅきはゆっくちちんでねっ!!」
慌てて弁解するまりさ達だったが、そんな事をしている状況では無い。
直ぐにそこから逃げるべきだった。
しかし、目の前で"自分"のご飯を食われた悔しさと、言われようの無い罪を晴らしたい気持ち。
それが野良家族の今後を最悪な方向へと導く。
「やめてねっ! やめてっ!! やめろおおおおおおおおおっ゛!?」
「うわあああっ!? かしこくてかわいいさいごのあかちゃんがあああああああああっ゛!!」
あっという間にお兄さんに捕まったまりさ家族。
最初は家に入れたと喜んでいたが、まりさとれいむは直ぐに絶望を味わった。
お兄さんに赤れいむをあっさり握り潰されたのだ。
まりさとれいむはお兄さんに握られた残骸に向かって声を張り上げる。
しかし、赤れいむはもうずっとゆっくりしていた。
答える声が発せられる可能性は無い。
「じねぇえええっ゛!! あがじゃんごろじは……ゆゆゆっ! れいむうっ!?」
「じねぇえええっ゛!! ゆ……ゆゆゆっ!? おそらをとんでるみたいっ!!」
深めのダンボールに入ったまりさが困惑していた。
一緒に文句を言っていたツガイのれいむが飛んでいったのだ。
「れいむとんでるよっ! おそらはゆっくりできるよっ!」
「なんでれいぶはゆっくりしでるのっ!? そんなごどいわだいでねっ゛!!」
「れいむはかわいいからおーるおっけーなんだよっ! あかちゃんはまたうむからもんだいないよっ!」
「ゆゆゆっ!? れいむはまりさをうらぎるのっ!」
「れいむはおにいさんにみそめられたんだねっ! れいむはかわいくてごめんねっ!」
「うがああああああっ゛!? まりさをうらぎるげすれいぶはじねええええええっ゛!!」
可愛い可愛いと強調するれいむにまりさが吼える。
れいむはお空を揺れながらまりさを見下していた。
これから幸運なゆん生が訪れると信じて。
「ゆんゆ~♪ ……ぶぼおっ!?」
しかし、訪れたのは体がバラバラに砕けたかの様な激痛の嵐。
先程までまりさをお空から見下ろしていたれいむ。
今は地面に体を伏せながらまりさを下から見上げている。
「…ま、まじざあっ゛……れいぶをだずげでねぇっ……」
口から悲痛な声を漏らしながらまりさに助けを求めるれいむ。
「じねっ! げすなれいぶはゆっぐりじねええええええっ゛!?」
「ゆぶっ!? やべでねっ! れいぶづぶれじゃうよっ!? げぶううううううっ゛!」
怒りの形相をしながらツガイのれいむを踏み潰していくまりさ。
れいむは息も絶え絶えに"やめて!"と、叫び続ける。
れいむの口から大きな塊が飛び出した。
吐き出される度にれいむの声が小さくなっていく。
まりさのお尻に敷かれたれいむは、肌色の体を真っ黒に変えてずっとゆっくりした。
「これはせいさいなんだよっ! まりさは……ただしいことをしたんだぜっ!」
息荒く言い訳の様な言葉を叫ぶまりさ。
その顔は笑顔だ。
ゲスを制裁した正義のゆっくりだと、まりさは自分を評価していた。
「ゆへへへっ! まりさはつよいんだよっ!」
まりさは笑いながられいむの残骸を踏み続ける。
自分はこんなに最強だ誇示するように。
自分を裏切ったれいむは許さないと言うように。
笑顔で涙を大量に流しながら踏み続けていた。
そんなまりさに金属の棒が勢いよく振り下ろされた後、
まりさの視界は一瞬のうちに漆黒に染まり、そのまま二度と目を開ける事は無かった。
金属バットの先からボタボタと餡子が落ちる。
お兄さんの前にはダンボールに入った潰れた野良まりさ家族。
「きょわきゃったよ~っ! おにいしゃ~ん!」
お兄さんの足元に赤まりさが擦り寄る。
体をブルブルと震わし涙を流していた。
その赤まりさに優しく声をかけたお兄さん。
そして、赤まりさはお兄さんに、
このゲスの片付けをするから向こうに移動して欲しいと懇願される。
赤まりさは違う部屋へと移動し、柔らかな毛布の中に体を沈めた。
「ゆっふっふっ! ちょろいおにいしゃんなんだじぇっ!」
毛布の中で赤まりさが呟く。
「あにょおにいしゃんは、まりちゃのひきちゃてやきゅにぴっちゃりだよっ!」
目を瞑りながらお兄さんの評価を口にしている赤まりさ。
その後もグダグダと悪口を言い続け、そのまま眠りについた。
幸せな赤まりさの寝顔。
ここはお兄さんという召使い付きのゆっくりプレイス。
これからもこの生活が続くと赤まりさは思っていた。
先程の部屋に不快な音が響き渡る
お兄さんは、潰れた野良まりさ家族の残骸に指を突き入れて、何かを穿り出している。
黒く光る塊を眺めた後、お兄さんはビンの中にその小玉を落とした。
順調に育っていく赤まりさ。
赤ちゃん言葉が抜け、赤まりさの体は子まりさの大きさを超えていた。
成体になる日はそう遠くは無い。
「ゆゆゆっ! こんなやすものは、まりささまのおくちにあわないんだぜっ!?
ゆっくりせずにあたらしいのをよういしろおおおっ!!」
まりさは専用の食器をひっくり返しながら怒鳴る。
我侭し放題で育ったまりさはゲスの極みにあった。
「ゆん? なにかもんくでもあるの?
まりささまをゆっくりさせることが、むのうなおまえのやくめでしょ!?
それができないなら、おまえはどれいいかだね! ゆっくりそのばでどげざしてね!!」
口端を吊り上げるまりさ。
その後、散らばったご飯に目掛け、口から吐き出した唾の塊を飛ばす。
ネットリとした唾液が安くは無い半生フードに絡みつく。
しかし、お兄さんは怒る事はしなかった。
何故かカレンダーの方だけを見続けている。
「まりささまをむしするのは、じゅうっざいっ! なんだよっ!?
おまえのはんけつはしけいっ! しけいがいやならあまあまもってこいっ!!
さんびょういないにもってきてね!! いーちっにーいっ!
……おそおおおいっ゛!? さっさとうごけえええええええええっ゛!!! 」
無視を続けるお兄さんにまりさがキレた。
酷いゲス口調でお兄さんをなじる。
「……今日が最終日か。やっぱりゆっくりの成長は早いよなー」
一言呟いたお兄さんはまりさを掴む。
何時もの様に両手で包む持ち方はせずに、片手で鷲掴みをしてまりさを浮かす。
「ゆゆゆ!? おそらはとんでるみたいっ?」
まりさは困惑しながらお空を飛んでいく。
そのまますり鉢の中へと入れられたまりさ。
すり鉢の内側にある無数の溝がまりさの体に触れる。
まりさは体を走るムズムズとした感覚に、『ゆゆゆ!』と声を漏らしながら震えた。
「まりさ。これは何でしょう?」
震えるまりさにお兄さんの声が掛かる。
左手にはビンが握られていた。
その中には黒い粒が入っている。
「ゆゆゆ? あまあまさんだねっ!? はやくよこせええええええっ!」
「はい正解でーす。沢山あげるね」
お兄さんは楽しそうにコルク栓を摘みながら声を上げた。
「これはね。今までのゲスから取り出した中枢餡だよ。
まりさは覚えているだろ? 家に侵入してきたゲスや玄関に訪問してきたゲス達を。
ああ。そういえば、"生き別れのおチビちゃんにゆっくり会えたよっ!!"
とかほざいたアホ一家もいたっけな。あれは流石に声を出して笑ってしまった」
"クククッ"と、思い出し笑いをするお兄さん。
開封の為に引っ張っていたコルク栓が音を立ててビンから外れた。
腐敗臭を交えた甘い香りが周辺に広がる。
「俺が近所の公園から連れて来た、お前のお母さん代わりのゲスれいむ。
お前のお友達だと言って買い与えた、安売りのんっほーありす。
お嫁さん候補として貰って来た、数字も理解出来ない馬鹿ぱちゅりー」
すり鉢の中に腐った匂いがする中枢餡がボトボトと入れられる。
まりさは鼻が曲がるような悪臭に悶絶した。
「全部お前は拒絶したろ? でも予定通りなんだよねー。
ゲスはゲスに惹かれる事はないんだ。
与えた奴は全部ゲスだったから、お前が受け入れる可能性は限りなく低い。
そして、当然邪魔に感じるわけだ。
同属嫌悪にも似た感情で異物を排除しようとする。
その度にお前は偽りの怪我で泣き、言われもしなかった蔑みの声を俺に報告してきたよな?」
お兄さんはすりこぎを手に持って、
まりさの隣に転がっていた中枢餡を一つ潰す。
「その度にお前、……まりさを優先的に贔屓した。
相手の言葉など聞かず潰し続けた。
嘘泣きしながら優越感に浸っていたまりさに俺が気付かないとでも思ったのか?
哀れだな。まりさ。本当に哀れだ」
二つ目の中枢餡を潰す。
飛び散った餡子がまりさの頬に付着した。
「これらは、そんな哀れでゆっくり出来ないまりさが無実の罪で殺してきたゲス達の中枢餡。
嘘をついたまりさを呪い、無実の罪を叫び続けたにも関わらず、俺に潰される悔しさ。
その際の、"もっとゆっくりしたかった"の未練が極限まで詰まった怨念の塊。」
三つ目の中枢餡を潰した時、
弾けた大き目の欠片がまりさの口の中へと飛び込んだ。
まりさは苦しそうに咳き込む。
「食べちゃったのか? 怨念の塊を。
聞こえるだろ? "苦しいよっ!" 助けてよっ!" ゆっくりさせてよっ!" ……」
涙目で眼球を世話しなく泳がせるまりさ。
周囲の黒い塊に完全に怯えていた。
「"まりさ! お前だけは絶対許さないよっ!!" ……って」
「ゆわああああああああああああああああああああああああっ゛!!!?? 」
すり鉢の中で暴れるまりさ。
這い出そうとするが、お兄さんに邪魔されて向け出す事が出来ない。
「だじでえええっ゛!! おでがいだがらごごがらだじでえええええええっ゛!?」
すり鉢に入っていた中枢餡の粒がまりさに潰され、
粘る糸を引きながらまりさの体に纏わり付いていく。
体に絡む細い糸は怨念の一種だとまりさは考えていた。
絡みつくネバネバは動いても切れることは無く、更に粘りを増して全身にまとわりつく。
すり鉢の中で恐怖に怯えるまりさ。
しかし、それはお兄さんが仕込んだ納豆の粘り、悪臭の原因は別の食品の腐敗臭だった。
中枢餡に混じったお兄さんの様々な嘘。
まりさはそんなカラクリがあるとは知る訳も無く、
すり鉢の中で叫びながら助けを求めていた。
お兄さんはすりこぎでまりさの体をグルグルと回転させる。
「ゆぼぇええええええっ゛!? ぐざいよおおおっ゛! ぼうやだあああああああああっ゛!!」
潰したりはしない。
満遍なく怨念を体中にまぶしていく。
白かった歯も、お歯黒を塗ったかのように真っ黒だ。
まりさの大切なお帽子は元々黒いが、
とてもゆっくりなどは出来ない異臭がこびり付いてしまった。
悪臭と恐怖で気が遠くなっていくまりさ。
「ゆっ!? ゆゆゆゆゆゆっ゛!」
お兄さんはすり鉢の中にジュースを入れた。
砂糖をたっぷり含んだ炭酸水だ。
「ゆゆゆっ! からだがぴりぴりするよっ!
ゆっくりできないいいいいいいいいいいいいっ゛!?」
まりさの体の半分まで炭酸水が注がれた。
炭酸の刺激を受けて気を失う事が出来ない。
常時、強制的な覚醒を強いられていた。
「やだよっ! もうやだあああっ!! ゆっぐりじだいよおおおっ!?
ごはんざんをむーじゃむーじゃじだいっ! べっとざんでずーやずーやじだいいいっ゛!!
ごべんなざいっ!! まりざあやばりまずがらゆるじでぐだざいいいいいいっ゛!!!?? 」
必死でまりさは助けと許しをお兄さんに願う。
これからは絶対良い子になるのだと反省しながら。
足がふやけて体が黒く染まってきたまりさ。
もう前の綺麗だった面影は無くなっていた。
「お前はもう用済みなんだよね。新しいの買うからゆっくりせずに苦しんでね」
まりさに与えられたのは冷たい言葉。
絶望を言葉にしようとしたまりさは大きな口を開ける。
そのタイミングでお兄さんは手に持ったビンを逆さまにし、
内容物をまりさへと大量に投下した。
「まだまだあるぞ? お前はこんなにいっぱいのゲスを陥れたんだ!
怨念をじっくり味わってね!!」
声を上げようとしたまりさの口の中に、今度こそ直に怨念が飛び込んだ。
まりさはゆっくり出来ない味覚と、無実の罪で始末してきたゲス達の顔が思い浮かぶ感覚を同時に味わう。
その場で自分の中身を噴水の様に噴出した。
それでも、豊富な栄養を摂取する生活をしてきた丈夫なまりさは、死ぬ事が出来ない。
それに加えて炭酸の刺激に中枢餡が溶け出した糖分。
先程吐いた中身もまりさの体に時間をかけて還元されていく。
「うぐぅぶぇえええあああああああああああああああああっ゛!?」
周囲を漂う黒い怨念に怯えながら、
出口の無い地獄の苦しみをまりさは味わい続ける。
…それから三日経ってもまだまりさはすり鉢の中で蠢いていた。
相変わらず、すり鉢の内部はとても臭い。
異臭もゆっくり達の絶命要素にはなるのだが、
お兄さんが定期的に補給していく栄養が死にたいまりさの邪魔をする。
「ゆ…あああああっ! ああああああああああっ゛!?」
体中の外皮はとろけてベロベロに捲れている。
口を閉める役割を持った皮の部分は大きく剥がれた。
目の周辺の皮も無く、瞳を瞑る事も出来ない。
新しく注がれた元気の良い炭酸の粒が餡子剥き出しになった敏感な部分に刺激を与える。
まりさのぼやけた頭の中を覚醒へと導く。
「ゆびゅばびゅぶぼっ゛!? ゆぼっあっ゛ぼおおおおおおおおおっ゛!!! 」
新鮮な激痛を受けてまりさは大きく絶叫した。
「まだまだイケるな……」
そう呟いたお兄さんは止めを刺さず、
すり鉢の底にフィットしているまりさを眺めていた。
数日たったある日の午後。
まりさ専用と書かれた餌皿でご飯を食べる赤まりさ。
汚らしく食べた後、部屋を小さく探索してから大声を上げた。
「ゆっくち! ゆっくち! きょきょはまりしゃのゆっくちぷれいちゅにちゅるよっ!!」
お家に来てから歴代最短記録でのプレイス宣言。
お兄さんはこの赤まりさに素晴らしいゲスの素質があると喜びながら、
甘くて美味しいショートケーキを赤まりさに与えた。
本日から最低なゲス赤まりさ育成を主にした、
"期間限定"のゆっくりプレイス生活がまた始まる。
・ゲス同士は互いに合い入れないという設定のお話
逆設定もカオスになりそう
・無実のゲス
なにか心にしこりが残る表現
・「駄目だよ?」に続く子ネタ集第二弾
前回の小ネタ集は複数の小話を一本の長編にしてみたのですが
所々中途半端に謎が残ってしまいまさにこれは駄目だよ状態
・今回は六本位の小話を一本に統合せずに無理なく調整
結果最後のお話だけ異様にネタが集中して長くなりました
過去作
ふたば系ゆっくりいじめ 572 ぎゃんぶらー
ふたば系ゆっくりいじめ 507 火の用心
ふたば系ゆっくりいじめ 500 駄目だよ?
ふたば系ゆっくりいじめ 458 ドゲスー
ふたば系ゆっくりいじめ 449 希少種の価値 2
ふたば系ゆっくりいじめ 448 希少種の価値 1,5
ふたば系ゆっくりいじめ 443 希少種の価値
ふたば系ゆっくりいじめ 398 ゆっくり達を必殺技で葬る物語
ふたば系ゆっくりいじめ 382 穴だらけの計画とその代償
・他、4点
各作品のお話の長さと温度差は激しいと思います
全て独立したお話でそれぞれの関連性はありません
・作品ごとのタイトル横にぺにまむうんしーの注意書きがある場合
駄目な方は回避をしてください
・いつも以上に補足部分が多めになっています
※ひとつめ『 異常を感じたら病院へ 』
畳敷きの部屋の中、
テレビから照射されたバックライトが青年とれいむを明るく照らす。
『あなたのゆっくり。大丈夫ですか?』
オドロオドロしい音楽とナレーションで見ている者達に不安を与える番組構成。
それに魅入られたかのように興味を示す青年とれいむ。
『生活の中でこんなことはありませんか?』
女性がゆっくりを抱っこしながらキスをした。
普段行っている愛情表現。
その数日後、女性が夜に洗面台の鏡を覗くと小さな黒い染みが右頬に浮き出ている。
美容のためにビタミン剤を飲んでその日は就寝。
そして次の日、女性は仕事場で倒れた。
そのまま緊急入院。
2ヶ月もの長期治療となってしまった……。
「……」
「ゆ?」
俺は足元のれいむを見る。
れいむはなんだか解らない顔をしていた。
思い当たる事がある俺にとっては人事ではない。
『ゆっくり達にこのような事がありませんでしたか?』
ある日の午後。
Aさんが飼っているまりさが傷を負ってしまいます。
直ぐに小麦粉を塗って治療をして安心するAさん。
夜は何時も通りにまりさと一緒に就寝しました。
数日後。
Aさんは激しい頭痛に襲われます。
フラフラとして立ってるのも億劫な状態。
病院にいきましたが、診断結果は原因不明。
医者にも解らない未知の病。
Aさんも入院をして闘病生活を余儀なくされました……。
「……」
「ゆ? ゆ!? やめてねっ! れいむをぐいぐいおさないでねっ!?」
俺はれいむを足で押す。
なるべく遠くへと離すためだ。
それ以上、絶対こっちに近づくな!
『……原因はゆっくり達にあったのです』
最初のケースの飼いゆっくりも怪我をして治療された後がありました。
その際に刺さったのは汚れた鋭利な突起物。
汚い画鋲が足に食い込んでいたのです。
Aさんの事例で原因になった物は食材を切っていた小さな刃物。
不注意で刃物を落として飼いゆに刺さり、体の内部まで傷つけてしまったのです。
でも、それぞれの飼い主はゆっくり達の回復力が強いのは知っていました。
適切な対処で最善な治療。
傷口もあっという間に塞がり、ゆっくり専用病院に行く事はありませんでした。
しかし、ゆっくり達には思いもよらない変化が待っていました。
ゆっくり達の体中では悪性の菌が繁殖していたのです。
それがキス等の過剰な接触で飼い主にうつり、体調の異常を引き起こしたのです。
「……!」
「やめてねっ! おねがいだからやめてねっ! れいむなにもわるいことしてないのに!?」
俺はゴミ箱にれいむを捨てた。
ゴミ箱の入り口が狭くてれいむの腹付近から奥に入らない。
更に力を込めて押し込んでいく。
『ですが、ご安心ください。さまざまな対処法がありますが……』
まずは、熱湯消毒。
外皮の洗浄方法は…、
その言葉を聞いた青年はれいむをゴミ箱から引っ張り出した。
「お風呂に入ろう。よかったなれいむ。湯加減はどうだい?」
「あづづづっ゛!? あつすぎるよ! もうすこしぬるめにしてねっ!?」
タライにれいむを入れて熱湯をかける。
何時もよりかは、ほんの少々熱めのお湯だ。
そう。ほんの少しだけ。
次は粗塩の散布。
外皮だけではなく中身も対象。
それに……、
「中もかよ!? 面倒くさいな」
「ゆおうっ! すんごくしみるよおおおっ! だめええええええっ゛!?」
外皮にパラパラと塩を振っただけでこの痛がりよう。
当然だよな。
先程の熱湯シャワーで外皮が剥けてる箇所もあるし。
青年はその後もテレビで紹介された対処方法を実行していった。
「…こんな所かな?」
「……どぼじで……どぼじでごんなごどずるのおっ?……」
俺の目の前には消毒が完了したれいむの姿が。
頭の黒髪はボロボロ。
飾りのリボンは真っ白に漂白。
眼球を取り出し、洗ってから元に戻した。
雑に洗浄したからシクシクと痛むのかもしれない。
ずーっと、れいむは泣きっぱなしだ。
中身の餡子にも塩と砂糖を混ぜたし、歯も一本残らず全部抜いた。
ぺにとまむも火で炙って作業完了。
これでパーフェクトれいむの誕生だ!
青年はれいむを見ながら満足そうに頷いている。
しかし、その耳に残酷な言葉が聞こえてきた。
『……などの処置は、全くもって無意味なので、絶対に行わないでください』
「……え゛?」
青年の動きが止まる。
その前には変わり果てたれいむの姿。
そして、先程までの情熱と興奮が冷めた青年は指定ゴミ袋を取り出した。
「やめてねおにいさん! かわいいれいむになにをするきなの?
がさがささんをちかづけないでねっ! いやだっ! はいりたくないよっ!?
うわあああああああああああああああああっ゛!!!?? 」
青年は目の前のクリーチャーをゴミ袋に放り込み袋の入り口を硬く結んだ。
そのままゴミ袋を台所の隅へと放り投げる。
「あーあ~っ…やっちまった……。明日新しいの買いにいくか」
テレビの画面を見ながら悲しそうに呟く青年。
繭を寄せて深く溜息を付く。
次の日、青年は新商品の『抗菌れいむ』を購入。
この番組はこの商品を売り出す為の布石だった。
……との噂もあったとかないとか。
『ちなみに今では薬がありますので簡単に治ります。体の異常を感じたら病院へと行きましょう』
そのナレーシションに合わせて、
入院していた人がが笑顔で退院するシーンを最後に番組は終了した。
・ゆっくりの体内で菌が繁殖するお話
かなり大げさに書いています
※ふたつめ『 そろもんおうのゆびわ 』・ぺにセリフとうんしー有り
お姉さんが飼いゆと触れあいコミュニケーションを取っている。
スキンシップや優しい言葉。
正しい教育をする為には何よりも欠かせない事だ。
「ちーんぽ!」
「お水さんが飲みたいのね。持ってきてあげる」
「まらまら!」
「頭を撫でて欲しいの。ふふっ。みょんは甘えんぼさんね」
みょんの頭を優しく撫でるお姉さん。
笑顔でうっとりと目を瞑っているみょん。
甘いゆっくりとした雰囲気が周囲を包む。
「……どういうことなの?」
その状況を見つめる金髪のゆっくり。
先程、この家に連れてこられた新入りだ。
「あら? ありすゴメンね。紹介するわ。私の可愛いみょんよ」
「ちーんぽ!」
ありすは細目でみょんを見つめている。
心の中で、『下品な言葉は都会派じゃないわ……』と、思いながら。
「ちぽちぽ!」
「みょんの挨拶はゆっくり出来るわ~」
お姉さんはみょんにメロメロだった。
みょんをその胸に抱き上げて、ベタ褒めしながら頬をすり合わせる。
「…………」
その状況をありすは黙って冷たい視線で見続けた。
このありすはペットショップから買われて来たゆっくりだ。
最初は高値で売られていたのだが、売れ残って価値がどんどん下がっていった。
プライドを持って懸命に耐えていたありすだったが、体が大きくなるにつれて不安が増してきた。
そして、赤ゆの時期が終わったゆっくりなどの買い手は中々つかず、虐待用の購入としては少々お高い。
『処分品……』と、店員がボソリと言う度に、ありすは飛び跳ねて怯えていた。
ありすの目の前には、特価品と処分品の棚が見える。
『あそこには絶対に行きたく無い!』とありすは思い、プライドを捨てて客に媚びるように懇願し始める。
後日、このお姉さんがありすを購入し、念願の飼いゆとなったのだった。
「……まあいいわ。ありすにとかいはなおしょくじをよういしてね」
溜息混じりにありすが呟く。
しかし、お姉さんは動かない。
「ゆゆ? ありすのびせいがきこえないの! とかいはじゃ……」
"パシーンッ!!"
部屋に鳴り響くのは平手の音。
ありすの左頬が掌状に赤く染まった。
瞳に涙の粒が溜まっていく。
「ありすのびはだになんてことするのっ!? とかいはじゃ……」
泣き出したありすが又もお姉さんの平手を受けた。
乾いた音が再度響き渡る。
それはありすが喋らなくなるまで続いた。
「ゆ……ゆぶっ゛! ゆぶうううううううううううっ゛!?」
両頬をパンパンに腫らしたありす。
見た目はかなり滑稽な部類に入るのだが、
お姉さんは笑わず、ありすと同じ様に悲しみの涙を流していた。
「ありす! なんでそんな言葉を口にするのっ!?」
涙をポロポロ流しながら叫ぶお姉さん。
「ゆぐうっ゛?」
頬が腫れて満足に体が動かせなくなったありすが上目使いでお姉さんを見上げる。
「そう……解ってくれたのね。お姉さん嬉しいわ。」
ありすはこの状況を把握しきれていない。
だが、一つだけ理解した事がある。
それは喋ると平手が飛んでくると言う事だけ。
ありすは口から言葉を出す事が出来ない。
「ありす。これからは汚い言葉を喋っちゃ駄目よ?」
お姉さんが片手でありすの為に用意された専用食器を持ち上げる。
そして、その中へ乾燥したフードをザラザラと入れていく。
「お姉さんは、ゆっくりの考えている事が手にとるように解る、飼い主さんなんだから!」
ありすにご飯が入った食器を突き出しながらそう断言した。
部屋の一室。
ありすはベットの上で目を覚ます。
「…ゆ?……ゆっくりおきるわっ!!」
叫びながら体を起した。
しかし、ありすはその後、怯えながら周囲に体を振り始める。
上下左右を確認したありすは、心から安心したかの様な重い溜息を吐き出した。
「あれ? ありす起きたの。おはよう」
髪の毛を逆立てありすは盛大に跳ね上がる。
狙いすましたかの様なタイミングで声を掛けられたありす。
ビックリしすぎてしーしーが漏れてしまった。
「うわーっ。大変大変!」
パタパタとスリッパを鳴らしタオルを取って来たお姉さん。
ありすの濡れたベットと体を丁寧に拭き始める。
「ゆっ……ゆっくりーっ!」
「そう。気持ちいいのねー。」
ありすは怯えながら震えた声で会話を行った。
寝起きの叫びは聞かれてはいなかったらしい。
ありすは今度こそ本当に安心できた溜息を漏らす。
「ゆ~っ…」
「そうなんだ。はいありす。うんうんさんしようね」
目を見開き驚きを露にするありす。
だが、お姉さんはニコニコと微笑みながらありすをトイレに連れて行った。
「新しく交換したシートで一杯うんうんさんしてね。あーりす」
綺麗なトイレシートの上でありすは困惑していた。
朝ゴハンを食べずにうんうんを出せと?
一体何を考えているの?
この飼い主は都会派じゃないわ!
そう思いながらありすは微動だにしない。
「あれ? ありすどうしたの? まさか……お姉さん間違えちゃったの!?」
悲痛な叫び声を上げるお姉さん。
それを見たありすは覚悟を決めて両目を見開いた。
「ゆ…おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ゛!!!?? 」
ありすの根性が、今、試される。
大いなる力があにゃるに集中して頑強な封印を強制解錠。
魂が込められた懇親の作品がシート上に盛り上がった。
ありすはガツガツと朝食を食らう。
体から無理矢理に捻り出したありすは、完全に限界に達していた。
何故ならば予定以上の作品が体の外に出てしまったからだ。
後少し食事を取るのが遅かったならば危なかった。
まさに空きっ腹の体内にご飯を詰め込んでいくありす。
「むーしゃむーしゃ! とかいはなおあじだわーっ!!」
歓喜の声を上げるありす。
当然、強めの平手が飛んでくる。
お姉さんの躾は厳しい。
「ゆっくりーっ!?」
片頬を腫らしたありすがお姉さんに訴える。
叩かれた文句を言っているの訳ではない。
ありすは、『ご飯さんが足りないからお代わりが欲しい!』と、伝えている。
「解ったわ。あーりす。遠慮せずに沢山飲んでね」
「ゆっ? ……おうっふ!?」
"ドンッ!!"と、置かれた丼にはお水が満載に入れてあった。
水面に出来た小さな波がチャプチャプと左右に揺れる。
ありすは目の前に聳え立つ大盛りの強敵を見ながら、
『どう間違えばこうなるのか!?』と、思いつつ目を見開いていた。
体を震わせながら佇むありす。
微動だにしないありすに向かいお姉さんは言葉を掛ける。
「まさか……お姉さん間違えちゃった……の?」
その心から悲しそうな言葉を。
何故かありすは胸が締め付けられる思いで耐えられなくなった。
もう、ありすのする行動は一つしかない。
気合を入れて息を吸い込み、強敵の"DONBURI"に向かっていく。
「ゆおおおおおおおおおおおおおおおっ゛!?」
グビグビとお水を喉を通していくありす。
満載に入っていた丼の水かさがどんどん減っていく。
ありすのお腹はパンパンに膨れていった。
「いっぱい飲んでね! あーりす!!」
嬉しそうに微笑むお姉さんはとても幸せそうだった。
「ゆー、おえっぷ!」
廊下をそろそろと歩くありす。
先程トイレで大量のしーしーをしたらしいのだが、完全に水分を排出しなかったらしい。
過剰摂取したお水が自分の中身と濃厚に交じり合っていたので、あのまま出し続けたらそのままご臨終だった。
ナイスな判断をしたありすだったが、
ちょっとでも衝撃を受けると危険な描写になるのは変わっていない。
ありすの体調状況は前と何も変わらず、体の中ではレッドシグナルの警告が煩く鳴り響く。
「あのかいぬしはなにをかんがえているのかしら?」
ブツブツと子声で呟く。
ゆっくりとは程遠い環境に身を置くありす。
文句の一つでも出るというものだ。
「あーりす! こんな所でなにしてるの?」
又もビビらさせたありすは飛び上がる。
今回は漏らさずに"キュッ!"と、蛇口を締め上げた。
「ゆ、ゆっくり~!」
適当に言葉を吐くありす。
その間にあんよは危険区域から離脱する為に走り出す準備をしていた。
「へ~。そうなんだ! 解った!」
「ゆんゆん!」
ありすが適当に相槌を交し駆け出そうとした瞬間、
お姉さんの手がありすの肌を掴み、廊下の中央に引き寄せていく。
「いっぱい遊んであげるね!」
猫じゃらしの様な物を取り出して左右に振り出すお姉さん。
ありすは、"ぷら~ん、ぷら~ん"と、揺れる柔らかい素材を見ながらフリーズしていた。
この体調で遊べとっ!?
お腹からゴロゴロ鳴らしながら震えるありす。
臨界点は近い。
「まさか……お姉さん……間違えちゃったの?」
そのお決まりのフレーズを耳にしたありす。
「いったらあああああああああああっ!? とかいはないきざまみとけやああああああっ゛!!」
ありすは覚悟を決めて突進していく。
左右に激しく揺れる獲物に全力で立ち向かうありす。
何度かダブダブのお腹を廊下に打ちつけた後、
押さえ切れない奔流がありすの体内から込みあがってくる。
「んぐっほおっ゛!? (ビクンビクンッ!!)」
直後、汚い華が廊下に咲き乱れた。
突然の惨事が展開された為、
ありすのお喋りに対するお姉さんからのお仕置きはお流れとなった。
「ゆっくりお休みしてね。ありす」
お姉さんが、そっと毛布をありすの上に乗せる。
治療されたありすは何とか一命を取り留めた。
今はベットから降りる体力さえも残っていない。
「……ゆはぁ~っ」
今が一番ゆっくりできるよ。
そう思いながらもぞもぞと寝返りを打つありす。
ひと時の安息をじっくりと味わう。
「ぺーにす!」
床に伏せるありすの耳に声が届く。
それは先住者のみょんが出した言葉だった。
みょんの前にはご飯さんがある。
ありすがこんなに大変な目にあってるのに、あいつはご飯さんを一杯食べてるのねっ!
みょんは都会派じゃないわっ!?
怨念を込めた眼差しでみょんを見つめるありす。
視線の先に居るみょんに穴が開きそうだ。
「ちーんぽ!」
「そう。一杯食べてね。みょーん」
しかし、ありすは何かがおかしい事に気付いた。
「びっくまらぺにーす!?」
「これだけじゃ足りないの。解ったわ追加してあげるね」
みょんの前にはお皿が一つと丼が一つ。
どちらも溢れんばかりのフードが盛り上がっている。
「まぐなむ!?」
「嬉しいのね。気にしなくていいのよ。だって可愛いみょんの為なんだから」
涙目のみょんと笑顔のお姉さん。
これは何処かで見た光景だとありすは感じていた。
「……食べてくれないの?……まさか……お姉さん間違えちゃった?」
聞きなれたその言葉。
みょんの顔に決意が灯る。
自分もあんな顔をしていたのだろうか?
凛々しいみょんを見ながらありすはそう思った。
みょんが口の中にフードを詰め込み始める。
まるで親の敵でも食らうかのような鬼の形相で。
それを見ているお姉さんは笑顔だった。
とても嬉しそうな表情。とても幸せな微笑みをしていた。
大きなゲップをしながらその場に倒れるみょん。
辛くも丼のご飯を完食し、お腹が大きく膨れていた。
そして、みょんのあにゃるから大きな塊が床に漏れ出す。
「あ~っ! こんな所でしちゃ駄目だっていつも言ってるのに~。も~っ。
この癖だけは治らないな~。どうしてなんだろ?」
慌ててみょんをトイレへと運ぶお姉さん。
その際、みょんの目線がありすに向けられた。
ほんの少しの僅かな時間。
たった一瞬視線が交りあっただけだったが、ありすとみょんは分かり合えた。
後日、全快したありすとみょん向かい合う。
互いは静かに歩みより、熱い抱擁をかわした。
瞳から溢れ落ちるのは感激の涙。
この戦場で出会った友を胸に抱きながらありすとみょんは泣いていた。
どちらかと言えば、みょんの方が強く感動している。
なにせ、やっと出会えた戦友なのだから。
みょんはもう一人ではないのだ。
「ゆっくりーっ!」
「ちーんぽ!」
互いに誓いの言葉を交す。
これからも共に戦い続けると。
あのお姉さんにはなんとなく逆らえないのならば、もう覚悟を決めるしかないのだ。
「みょーん、あーりす。お風呂に入りたいのね。直ぐに準備するから待っててね」
台所に置いた洗面器の中に、熱々の熱湯が注がれていく。
あそこにみょんとありすは放り込まれるらしい。
「ゆっ、おおおおおおおおおおおおおおおおおっ゛!?」
「ちちちち、んぽおおおおおおおおおおおおおっ゛!?」
恐怖に震えて立ちすくむ二人の兵士。
体を動かさず声を上げないゆっくり達に、お姉さんから声が掛けられる。
そう、ありす達を切なくさせるあの言葉を。
ありすとみょんは湯気がアホみたいに立ち昇る熱湯風呂の中へと果敢に飛び込んでいく。
直後、勇敢な兵士の甲高い悲鳴が部屋中に響いた。
・意思疎通のお話
通じ合えたのはみょんとありすだけ
・お姉さんは虐待してるという意思とゆっくりの訴えを理解できる能力はありません
無意識にゆっくり達が逆らえなくなる様な雰囲気を作り出す才能があります
自分はとても良い飼い主だと自画自賛しながらありす達の世話をしています
※みっつめ『 連鎖ばくあん 』
天井にカメラが取り付けられた白壁の室内。
その部屋の中心でれいむとまりさが怯えていた。
れいむの頭から伸びる茎には、数体の赤ゆが垂れ下がっている。
「ゆ~ん…」
「ゆゆ~ん……」
れいむとまりさは頬を合わせて体を擦り合わせる。
少しでもゆっくり気分を味わうために。
れいむ達の体の後ろにあるのは重厚な箱状の機械。
"ヴゥーン!"という低い駆動音を上げながら青いランプを点灯させていた。
白い部屋の隅は黒い餡子で汚れている。
その上には小さな帽子とリボンが無数に散らばっていた。
「ゆ!? あかちゃんうまれるよっ!」
「ゆゆゆっ!? ゆっくりうまれてねっ!」
れいむから生えた茎から赤ゆが地面へと産まれ落ちていく。
定番のご挨拶を済ましてから緑色の茎を齧り出す赤ゆ達。
「ゆぴぇぴぇっ!? こりぇにぎゃいよっ゛!」
「まじゅいいいっ゛!?」
「じぇんじぇんゆっくちできにゃいよっ゛!?」
「ちあわちぇ~ちたいにょにいいいっ゛!?」
口々にそう言いながら別のご飯を要求する赤ゆ達。
「ゆ~ん……これしかないいんだよ。がまんしてたべてねっ!」
れいむはそう諭すが赤ゆ達は泣きながら拒絶する。
「ゆゆっ!? にゃにかあみゃあみゃのにおいがしゅるよっ!」
泣いていた一体の赤ゆが匂いに気付き白い床を移動していく。
「だめだよっ? そっちはだめだよっ゛!? あかちゃんたちもどってきてねっ!?」
「ぴゅ~ん、だっ!! きゃわゆいれぇいむをゆっくちしゃしぇてきゅれない、
くじゅおやのいうきょとはききゃにゃいよっ!!」
他の赤ゆ達も小さく頷き、甘い匂いがしてくる部屋の隅へ向かっていく。
親れいむは泣き喚くだけ。
親まりさも動く事が出来ない。
下手に近づくと巻き込まれてしまうからと。
言葉で止まらなかった赤ゆ達は、念願の甘い餡子にたどり着く。
赤ゆは目をキラキラさせた後、餡子を食べる為に大きくお口を開けた。
その時、親達の後ろで光っていた青いランプが赤く変わる。
色が変わった瞬間に、赤ゆ達の体は内側から弾けとんだ。
『『 うわああああああああああああああああああっ!!!?? 』』
一体残らず砕けた赤ゆの親達は涙を流しながら絶叫した。
「ぼうやだっ!? れいぶぼうあがじゃんうびだぐないよおおおっ゛!!」
「だべだよれいぶぅっ゛!? まりざだじが、ばくっはつっ! ざぜられじゃうよおおおっ゛!!」
"子供を作らなければ爆発するのはお前達だ"
と、言われていたれいむ達は脅しに屈するしかなかった。
だが、そんな泣き喚くれいむの餡子脳に閃めく一つの名案。
もみあげを前後に振りながら満面の笑顔で叫んだ。
「ゆゆ!? そうだよ! じょうぶなあかちゃんをうめばいいんだよっ!」
「ゆゆゆっ!? れいむはてんさいだねっ! とってもゆっくりできるよ!!」
爆発に耐えられる丈夫な赤ちゃんを作る為、
"胎生にんっしんっ!"を、選択したれいむ達。
れいむ達は浮かんだ名案に安心して、久しぶりの充実した"すっきりー!"を堪能した。
「ゆぎぎぎぎぎぎっ!?」
「がんばって!? れいむがんばってねっ!」
月日はあっという間に流れて出産の日を迎えた。
れいむは腹に力を入れて、丈夫な赤ゆを捻り出す。
「うばれるよっ!? れいむのかわいいあか……ゆおっふっ!? (スポーン!) 」
「ゆわあ~っ!? まりさにのあかちゃん、とってもゆっくりしているよおおおっ゛!!」
空に打ち出されて飛んでいく赤まりさ。
それを見ながらゆっくりしている親まりさ。
そして、部屋の隅まで飛んでいった赤まりさは、空中で黒い霧を上げながら爆散した。
『『 ええええええええええええっ゛!? 』』
苦労して胎内で育てた赤ちゃんがゆっくりしてしまう。
その言いようのない喪失感を、れいむはモロに受けていた。
でも、悲しみの最中にも産道が痛んで開き始める。
次の赤ゆが少しずつ顔を出して今にも飛び出しそうだ。
「まじざあああっ!? つぎのあがぢゃんがででくるよっ!!」
「れいぶっだいじょうぶだよ! まりさがゆっくりうけとめるよおおおっ゛!!」
まりさも最初の赤ゆがはじけ飛んで辛い気持ちはれいむと同じだった。
ずっと今まで丈夫な赤ゆが誕生するのを楽しみに待っていたのだから。
『何が何でも受け止めてやる!』の思いを胸に、
まりさはれいむの前で仁王立ちをして赤ゆの射出を待つ。
「うばでゆふふうううっ゛!?」
「ゆおおおおおおっ!! ぶふぉっ゛!? げぶううううううっ゛!!」
弾丸の様な赤ゆの衝撃を体に受けてまりさが吹っ飛ぶ。
赤ゆはまりさの体内までめり込んでいた。
「あがあああっ!? ゆがああああああああああっ゛!!」
異物が体内を暴れる激痛に悶絶する親まりさ。
赤ゆの体はぶつかった衝撃で半壊の状態だった。
親に懸命に助けを求める行動が親まりさを苦しめる。
「まじざあああっ!? だれがまじざをだずげでええええええっ゛!!」
"ゆがゆが!"と、苦しむまりさを見たれいむは周囲に助けを求めた。
その時、斜め上方に向けていた産道の出口がまりさに向けられてしまう。
体を倒した事による圧が腹にかかり、三体目の赤ゆがムリムリと顔を出す。
「ゆっくちうみゃれぇりゅよっ!」
赤ゆの口から声が漏れた。
もう直ぐ産まれる発射の合図。
その照準は苦しむまりさにロックオン。
「あ…ゆあ……」
お腹がキリキリと痛みながら広がっていく。
でも、このまま赤ちゃん産まれたら…どうなるの?
目の前にはまりさがいるんだよ。
だから、だから……、
「あがぢゃんうばれじゃだべえええええええええっ゛!!
ゆぐぅああああっ! ままのいうことがわからないのっ!?
ゆっくりできないあがぢゃんはつぶれろおおおおおおっ゛!!! 」
れいむは赤ゆに圧力をかけて潰そうと試みる。
しかし、全てが遅すぎた。
潰れずに産まれた赤ゆが弾丸となってまりさの元へ飛んでいく。
弾丸が激突したまりさの体はくの字に折れ曲がり、そのまま部屋の端へと転がっていった。
「…あ……まじざ…?」
警告の赤いランプが点灯し、まりさの体から火花が漏れる。
れいむの瞳が、まりさが爆発する瞬間を、スローモーションでとらえた。
内部にめりこんだ赤ゆから稲光の様な閃光が空中に二つ走った後、
まりさの両目と口、あにゃるなどの穴という穴から、外部に向かって光が直線に放射された。
その後外皮が盛り上がり、まりさの体は弾ける様に、バラバラに砕けちった。
赤ゆとは比較にならない強力な爆風と灼熱がれいむを襲う。
「うっ…うわああああああああああああっ゛!?」
産道から餡子をボタボタと床に漏らした部分に飛んできた火種が降り注ぐ。
その後バチバチと激しく火花が飛び散ちり、れいむの体が"カッ!!"と、光り出す。
結局、れいむはまりさに駆け寄る事も出来ず、そのまま大爆発した。
部屋に火薬の匂いが立ち込める。
れいむが爆発した後、機械は役目を終えたかのように、
駆動音が小さく消えていき、機械のランプは無色になった。
・ゆっくりが爆発するお話
緑色の茎は導火線として使えます
・土木用発破代わりを目指しての研究開発
機械の有効範囲を外れたゆっくり達の特殊な構造を持つ自前の改造餡子が容赦なく爆発
親の改造餡子を継承して出来る赤ゆも爆弾になる設定です
※よっつめ『 まりしゃしゃまのゆっくちぷりぇいちゅ 』
「みゅーちゃみゅーちゃ! ちあわちぇーっ!!」
美味しそうにご飯を頬張り幸せを表現している一体の赤まりさ。
「おいちーよ! さしゅが、まりしゃしゃまにょごひょはんしゃんなんだじぇっ!!」
赤まりさ専用の食器に盛られているご飯は、実際にかなり美味しい部類に入る。
フードランクとしては上級クラス。
飼いゆに与えるのは躊躇う位の値札が商品側面に付いていた。
それを遠慮なく食べる赤まりさ。
口元に食べカスを付けながらご飯を味わい続ける。
"ドンッ!"
「ゆっ? みゅぐみゅぐ」
租借しながら辺りを見渡す赤まりさ。
暫くキョロキョロ周囲を見渡した後、気のせいだったと食事を再開する。
"ドンドンドンッ!!"
「ゆ!?」
激しい打撃音。
反射的に音のした方向に振り返る赤まりさ。
「むしするなんてゆっくりできないよっ!」
「かわいいれいむをむしするなんて、いったいなにさまなのっ!?」
「ばきゃなまりしゃなんだね! げりゃげりゃげりゃっ!!!」
そこには窓のガラスにベッタリと張り付く野良家族が居た。
窓ガラスをバシバシと叩き続ける親まりさ。
激しく不快な騒音が室内に響く。
「ゆ~? ゆうぅ……」
その音に怯えている赤まりさ。
後ずさりながら恐怖に怯えた表情をしていた。
「ゆぷぷぷ! まりさのかんろくにびっくりしてるよ!!」
「かわいいれいむはやさしいから、ゆっくりあんしんしてもいいよっ!」
「まりしゃはくじゅにゃんだね! ばーきゃばーきゃ!!」
「たべてるごはんさんをちょうだいね! たくさんでいいよっ!!」
「あたたかいおへやにいれてねっ! ここはれいむたちのゆっくりぷれいすにするよっ!!」
「りぇいみゅたちに、ゆきゅちかんしゃしちぇねっ!」
怯える赤まりさを見て調子に乗り出した野良まりさ家族。
ガラスを煩く叩きながら思うがままの欲望を口にする。
「ゆーっ。ゆうううっ゛!!」
ご飯が入っている食器を動かす事は無理だと判断した為、
赤まりさは小さいお口にご飯をいっぱい詰め込んで家族の近くへと足を運ぶ。
「そうだよ! すなおにしたがってねっ!! おまえはみどころがあるよ!!」
「れいむのどれいさんにしてあげるよ! ゆっくりかんしゃしてねっ!」
「あちょで、れぇいみゅのおちりしゃんを、ぺーりょぺーりょしてきりぇいにしてにぇっ!!」
散々喚いた後、美味しいご飯を食べられる期待に胸を弾ませ、
『 わーくわーく!! 』と、微笑む野良家族。
「ゆぺえっ!」
赤まりさは家族の前に含んでいたご飯を吐き出す。
床に敷かれた絨毯の上に小さな山が出来た。
「ゆっくりたべるよっ! はやくここをあけてねっ!?
「これだけじゃたりないよっ!? ゆっくりせずにもっともってきてねっ!!」
「あにょあみゃあみゃは、きゃわいいりぇいみゅがたべりゅよっ!」
美味しそうなご飯を見てまりさ親子はヒートアップ。
窓ガラスを一層激しく揺らしながら暴れだす。
「あれはまりさがたべるんだよっ!?」
「れいむのあまあまさんなんだよっ! ばかなのっ! しぬのっ!?」
「くじゅおやはゆっくちじぇきにゃいよっ! ぴゅんぴゅん!!」
興奮しすぎて不毛な争いを始めるまりさ達。
取っ組みあいの喧嘩に発展する直前、
野良ゆっくり家族は信じられない光景を目撃した。
「みゅーちゃみゅーちゃ! ちあわちぇえええええええええっ!!」
暴れる野良家族のガラス向こう側では、赤まりさが自分で運んできたご飯を美味しそうに頬張るその姿。
それを視界に入れた野良家族は争いを忘れ、呆気とられたアホみたいな顔で赤まりさを見ていた。
「ゆ~んっ!! みゅふふ~んっ!!
おきゅちのにゃかじぇ、ゆっくちとちょろけるあみゃあみゃが、ちゃまりゃないんだじぇ~っ!!」
「……!」
「……!?」
「……!!!?? 」
野良まりさ親子は、赤まりさの感想を聞きながら、涎をダラダラと垂らし放心状態。
「…はっ!? それはまりさのあまあまでしょおおおおおおおっ゛!?」
家族の中で一番早く我に帰った親まりさが吼える。
「れいむのあまあまたべるなんて、げすのすることなんだよおおおっ゛!?」
「ちにねぇえええっ! りぇいみゅのあみゃあみゃちゃべる、くじゅまりちゃはちにぇえええっ゛!!」
それに続いてれいむと赤れいむも声を上げた。
汚れた丸い体を窓ガラスに押し付け、
赤まりさの足元に残ったご飯を何とか食べようとしている。
「ぺりょ~ん! ぎょっくん!」
『『 うわああああああっ゛!? あまあまがああああああああっ゛!! 』』
残らず平らげた赤まりさは食べカスが付いた口元を自慢のお舌で猫の様に舐め上げる。
当然、まりさ達は大暴れだ。
「げすにはゆっくりせいさいしてやるよおおおおおおっ!!」
「あげろおおおっ! ここをあげろおおおおおおっ゛!?」
「ちゅぶちてやるよおおおっ゛! れぇいみゅはちゅよいんだよっ!!」
窓ガラスをぶち破って中に侵入しようとしているまりさ達。
それを見た赤まりさは微笑を浮かべる。
その後、目を瞑り口元を歪ませながら大声を上げた。
「ゆぇえええええええええんっ! きょわいよおおおおおおっ!!」
部屋の扉を開けてお兄さんが赤まりさの元に駆けつけた。
泣き喚く赤まりさ。
窓ガラスの向こう側には汚い野良家族。
駆けつけてきたお兄さんは状況を赤まりさに尋ねている。
「あにょねっ! まりしゃがあみゃあみゃしゃんをたべちぇたりゃにぇっ!!
"じゅるじゅるりっ!! うましょうなまりしゃだじぇっ! りぇいみゅたちのみょにょになれっ!!"
しょういいにゃがら、きゃわゆいまりしゃを、いやらちいひちょみでみちぇいちゃにょっ!!」
泣きながらお兄さんの胸に飛び込んでいく赤まりさ。
青くなっていくまりさ家族。
「いいがかりはゆっくりやめてねっ!?」
「そうだよっ! れいむたちはむじつだよっ!?」
「うちょちゅきはゆっくちちんでねっ!!」
慌てて弁解するまりさ達だったが、そんな事をしている状況では無い。
直ぐにそこから逃げるべきだった。
しかし、目の前で"自分"のご飯を食われた悔しさと、言われようの無い罪を晴らしたい気持ち。
それが野良家族の今後を最悪な方向へと導く。
「やめてねっ! やめてっ!! やめろおおおおおおおおおっ゛!?」
「うわあああっ!? かしこくてかわいいさいごのあかちゃんがあああああああああっ゛!!」
あっという間にお兄さんに捕まったまりさ家族。
最初は家に入れたと喜んでいたが、まりさとれいむは直ぐに絶望を味わった。
お兄さんに赤れいむをあっさり握り潰されたのだ。
まりさとれいむはお兄さんに握られた残骸に向かって声を張り上げる。
しかし、赤れいむはもうずっとゆっくりしていた。
答える声が発せられる可能性は無い。
「じねぇえええっ゛!! あがじゃんごろじは……ゆゆゆっ! れいむうっ!?」
「じねぇえええっ゛!! ゆ……ゆゆゆっ!? おそらをとんでるみたいっ!!」
深めのダンボールに入ったまりさが困惑していた。
一緒に文句を言っていたツガイのれいむが飛んでいったのだ。
「れいむとんでるよっ! おそらはゆっくりできるよっ!」
「なんでれいぶはゆっくりしでるのっ!? そんなごどいわだいでねっ゛!!」
「れいむはかわいいからおーるおっけーなんだよっ! あかちゃんはまたうむからもんだいないよっ!」
「ゆゆゆっ!? れいむはまりさをうらぎるのっ!」
「れいむはおにいさんにみそめられたんだねっ! れいむはかわいくてごめんねっ!」
「うがああああああっ゛!? まりさをうらぎるげすれいぶはじねええええええっ゛!!」
可愛い可愛いと強調するれいむにまりさが吼える。
れいむはお空を揺れながらまりさを見下していた。
これから幸運なゆん生が訪れると信じて。
「ゆんゆ~♪ ……ぶぼおっ!?」
しかし、訪れたのは体がバラバラに砕けたかの様な激痛の嵐。
先程までまりさをお空から見下ろしていたれいむ。
今は地面に体を伏せながらまりさを下から見上げている。
「…ま、まじざあっ゛……れいぶをだずげでねぇっ……」
口から悲痛な声を漏らしながらまりさに助けを求めるれいむ。
「じねっ! げすなれいぶはゆっぐりじねええええええっ゛!?」
「ゆぶっ!? やべでねっ! れいぶづぶれじゃうよっ!? げぶううううううっ゛!」
怒りの形相をしながらツガイのれいむを踏み潰していくまりさ。
れいむは息も絶え絶えに"やめて!"と、叫び続ける。
れいむの口から大きな塊が飛び出した。
吐き出される度にれいむの声が小さくなっていく。
まりさのお尻に敷かれたれいむは、肌色の体を真っ黒に変えてずっとゆっくりした。
「これはせいさいなんだよっ! まりさは……ただしいことをしたんだぜっ!」
息荒く言い訳の様な言葉を叫ぶまりさ。
その顔は笑顔だ。
ゲスを制裁した正義のゆっくりだと、まりさは自分を評価していた。
「ゆへへへっ! まりさはつよいんだよっ!」
まりさは笑いながられいむの残骸を踏み続ける。
自分はこんなに最強だ誇示するように。
自分を裏切ったれいむは許さないと言うように。
笑顔で涙を大量に流しながら踏み続けていた。
そんなまりさに金属の棒が勢いよく振り下ろされた後、
まりさの視界は一瞬のうちに漆黒に染まり、そのまま二度と目を開ける事は無かった。
金属バットの先からボタボタと餡子が落ちる。
お兄さんの前にはダンボールに入った潰れた野良まりさ家族。
「きょわきゃったよ~っ! おにいしゃ~ん!」
お兄さんの足元に赤まりさが擦り寄る。
体をブルブルと震わし涙を流していた。
その赤まりさに優しく声をかけたお兄さん。
そして、赤まりさはお兄さんに、
このゲスの片付けをするから向こうに移動して欲しいと懇願される。
赤まりさは違う部屋へと移動し、柔らかな毛布の中に体を沈めた。
「ゆっふっふっ! ちょろいおにいしゃんなんだじぇっ!」
毛布の中で赤まりさが呟く。
「あにょおにいしゃんは、まりちゃのひきちゃてやきゅにぴっちゃりだよっ!」
目を瞑りながらお兄さんの評価を口にしている赤まりさ。
その後もグダグダと悪口を言い続け、そのまま眠りについた。
幸せな赤まりさの寝顔。
ここはお兄さんという召使い付きのゆっくりプレイス。
これからもこの生活が続くと赤まりさは思っていた。
先程の部屋に不快な音が響き渡る
お兄さんは、潰れた野良まりさ家族の残骸に指を突き入れて、何かを穿り出している。
黒く光る塊を眺めた後、お兄さんはビンの中にその小玉を落とした。
順調に育っていく赤まりさ。
赤ちゃん言葉が抜け、赤まりさの体は子まりさの大きさを超えていた。
成体になる日はそう遠くは無い。
「ゆゆゆっ! こんなやすものは、まりささまのおくちにあわないんだぜっ!?
ゆっくりせずにあたらしいのをよういしろおおおっ!!」
まりさは専用の食器をひっくり返しながら怒鳴る。
我侭し放題で育ったまりさはゲスの極みにあった。
「ゆん? なにかもんくでもあるの?
まりささまをゆっくりさせることが、むのうなおまえのやくめでしょ!?
それができないなら、おまえはどれいいかだね! ゆっくりそのばでどげざしてね!!」
口端を吊り上げるまりさ。
その後、散らばったご飯に目掛け、口から吐き出した唾の塊を飛ばす。
ネットリとした唾液が安くは無い半生フードに絡みつく。
しかし、お兄さんは怒る事はしなかった。
何故かカレンダーの方だけを見続けている。
「まりささまをむしするのは、じゅうっざいっ! なんだよっ!?
おまえのはんけつはしけいっ! しけいがいやならあまあまもってこいっ!!
さんびょういないにもってきてね!! いーちっにーいっ!
……おそおおおいっ゛!? さっさとうごけえええええええええっ゛!!! 」
無視を続けるお兄さんにまりさがキレた。
酷いゲス口調でお兄さんをなじる。
「……今日が最終日か。やっぱりゆっくりの成長は早いよなー」
一言呟いたお兄さんはまりさを掴む。
何時もの様に両手で包む持ち方はせずに、片手で鷲掴みをしてまりさを浮かす。
「ゆゆゆ!? おそらはとんでるみたいっ?」
まりさは困惑しながらお空を飛んでいく。
そのまますり鉢の中へと入れられたまりさ。
すり鉢の内側にある無数の溝がまりさの体に触れる。
まりさは体を走るムズムズとした感覚に、『ゆゆゆ!』と声を漏らしながら震えた。
「まりさ。これは何でしょう?」
震えるまりさにお兄さんの声が掛かる。
左手にはビンが握られていた。
その中には黒い粒が入っている。
「ゆゆゆ? あまあまさんだねっ!? はやくよこせええええええっ!」
「はい正解でーす。沢山あげるね」
お兄さんは楽しそうにコルク栓を摘みながら声を上げた。
「これはね。今までのゲスから取り出した中枢餡だよ。
まりさは覚えているだろ? 家に侵入してきたゲスや玄関に訪問してきたゲス達を。
ああ。そういえば、"生き別れのおチビちゃんにゆっくり会えたよっ!!"
とかほざいたアホ一家もいたっけな。あれは流石に声を出して笑ってしまった」
"クククッ"と、思い出し笑いをするお兄さん。
開封の為に引っ張っていたコルク栓が音を立ててビンから外れた。
腐敗臭を交えた甘い香りが周辺に広がる。
「俺が近所の公園から連れて来た、お前のお母さん代わりのゲスれいむ。
お前のお友達だと言って買い与えた、安売りのんっほーありす。
お嫁さん候補として貰って来た、数字も理解出来ない馬鹿ぱちゅりー」
すり鉢の中に腐った匂いがする中枢餡がボトボトと入れられる。
まりさは鼻が曲がるような悪臭に悶絶した。
「全部お前は拒絶したろ? でも予定通りなんだよねー。
ゲスはゲスに惹かれる事はないんだ。
与えた奴は全部ゲスだったから、お前が受け入れる可能性は限りなく低い。
そして、当然邪魔に感じるわけだ。
同属嫌悪にも似た感情で異物を排除しようとする。
その度にお前は偽りの怪我で泣き、言われもしなかった蔑みの声を俺に報告してきたよな?」
お兄さんはすりこぎを手に持って、
まりさの隣に転がっていた中枢餡を一つ潰す。
「その度にお前、……まりさを優先的に贔屓した。
相手の言葉など聞かず潰し続けた。
嘘泣きしながら優越感に浸っていたまりさに俺が気付かないとでも思ったのか?
哀れだな。まりさ。本当に哀れだ」
二つ目の中枢餡を潰す。
飛び散った餡子がまりさの頬に付着した。
「これらは、そんな哀れでゆっくり出来ないまりさが無実の罪で殺してきたゲス達の中枢餡。
嘘をついたまりさを呪い、無実の罪を叫び続けたにも関わらず、俺に潰される悔しさ。
その際の、"もっとゆっくりしたかった"の未練が極限まで詰まった怨念の塊。」
三つ目の中枢餡を潰した時、
弾けた大き目の欠片がまりさの口の中へと飛び込んだ。
まりさは苦しそうに咳き込む。
「食べちゃったのか? 怨念の塊を。
聞こえるだろ? "苦しいよっ!" 助けてよっ!" ゆっくりさせてよっ!" ……」
涙目で眼球を世話しなく泳がせるまりさ。
周囲の黒い塊に完全に怯えていた。
「"まりさ! お前だけは絶対許さないよっ!!" ……って」
「ゆわああああああああああああああああああああああああっ゛!!!?? 」
すり鉢の中で暴れるまりさ。
這い出そうとするが、お兄さんに邪魔されて向け出す事が出来ない。
「だじでえええっ゛!! おでがいだがらごごがらだじでえええええええっ゛!?」
すり鉢に入っていた中枢餡の粒がまりさに潰され、
粘る糸を引きながらまりさの体に纏わり付いていく。
体に絡む細い糸は怨念の一種だとまりさは考えていた。
絡みつくネバネバは動いても切れることは無く、更に粘りを増して全身にまとわりつく。
すり鉢の中で恐怖に怯えるまりさ。
しかし、それはお兄さんが仕込んだ納豆の粘り、悪臭の原因は別の食品の腐敗臭だった。
中枢餡に混じったお兄さんの様々な嘘。
まりさはそんなカラクリがあるとは知る訳も無く、
すり鉢の中で叫びながら助けを求めていた。
お兄さんはすりこぎでまりさの体をグルグルと回転させる。
「ゆぼぇええええええっ゛!? ぐざいよおおおっ゛! ぼうやだあああああああああっ゛!!」
潰したりはしない。
満遍なく怨念を体中にまぶしていく。
白かった歯も、お歯黒を塗ったかのように真っ黒だ。
まりさの大切なお帽子は元々黒いが、
とてもゆっくりなどは出来ない異臭がこびり付いてしまった。
悪臭と恐怖で気が遠くなっていくまりさ。
「ゆっ!? ゆゆゆゆゆゆっ゛!」
お兄さんはすり鉢の中にジュースを入れた。
砂糖をたっぷり含んだ炭酸水だ。
「ゆゆゆっ! からだがぴりぴりするよっ!
ゆっくりできないいいいいいいいいいいいいっ゛!?」
まりさの体の半分まで炭酸水が注がれた。
炭酸の刺激を受けて気を失う事が出来ない。
常時、強制的な覚醒を強いられていた。
「やだよっ! もうやだあああっ!! ゆっぐりじだいよおおおっ!?
ごはんざんをむーじゃむーじゃじだいっ! べっとざんでずーやずーやじだいいいっ゛!!
ごべんなざいっ!! まりざあやばりまずがらゆるじでぐだざいいいいいいっ゛!!!?? 」
必死でまりさは助けと許しをお兄さんに願う。
これからは絶対良い子になるのだと反省しながら。
足がふやけて体が黒く染まってきたまりさ。
もう前の綺麗だった面影は無くなっていた。
「お前はもう用済みなんだよね。新しいの買うからゆっくりせずに苦しんでね」
まりさに与えられたのは冷たい言葉。
絶望を言葉にしようとしたまりさは大きな口を開ける。
そのタイミングでお兄さんは手に持ったビンを逆さまにし、
内容物をまりさへと大量に投下した。
「まだまだあるぞ? お前はこんなにいっぱいのゲスを陥れたんだ!
怨念をじっくり味わってね!!」
声を上げようとしたまりさの口の中に、今度こそ直に怨念が飛び込んだ。
まりさはゆっくり出来ない味覚と、無実の罪で始末してきたゲス達の顔が思い浮かぶ感覚を同時に味わう。
その場で自分の中身を噴水の様に噴出した。
それでも、豊富な栄養を摂取する生活をしてきた丈夫なまりさは、死ぬ事が出来ない。
それに加えて炭酸の刺激に中枢餡が溶け出した糖分。
先程吐いた中身もまりさの体に時間をかけて還元されていく。
「うぐぅぶぇえええあああああああああああああああああっ゛!?」
周囲を漂う黒い怨念に怯えながら、
出口の無い地獄の苦しみをまりさは味わい続ける。
…それから三日経ってもまだまりさはすり鉢の中で蠢いていた。
相変わらず、すり鉢の内部はとても臭い。
異臭もゆっくり達の絶命要素にはなるのだが、
お兄さんが定期的に補給していく栄養が死にたいまりさの邪魔をする。
「ゆ…あああああっ! ああああああああああっ゛!?」
体中の外皮はとろけてベロベロに捲れている。
口を閉める役割を持った皮の部分は大きく剥がれた。
目の周辺の皮も無く、瞳を瞑る事も出来ない。
新しく注がれた元気の良い炭酸の粒が餡子剥き出しになった敏感な部分に刺激を与える。
まりさのぼやけた頭の中を覚醒へと導く。
「ゆびゅばびゅぶぼっ゛!? ゆぼっあっ゛ぼおおおおおおおおおっ゛!!! 」
新鮮な激痛を受けてまりさは大きく絶叫した。
「まだまだイケるな……」
そう呟いたお兄さんは止めを刺さず、
すり鉢の底にフィットしているまりさを眺めていた。
数日たったある日の午後。
まりさ専用と書かれた餌皿でご飯を食べる赤まりさ。
汚らしく食べた後、部屋を小さく探索してから大声を上げた。
「ゆっくち! ゆっくち! きょきょはまりしゃのゆっくちぷれいちゅにちゅるよっ!!」
お家に来てから歴代最短記録でのプレイス宣言。
お兄さんはこの赤まりさに素晴らしいゲスの素質があると喜びながら、
甘くて美味しいショートケーキを赤まりさに与えた。
本日から最低なゲス赤まりさ育成を主にした、
"期間限定"のゆっくりプレイス生活がまた始まる。
・ゲス同士は互いに合い入れないという設定のお話
逆設定もカオスになりそう
・無実のゲス
なにか心にしこりが残る表現
・「駄目だよ?」に続く子ネタ集第二弾
前回の小ネタ集は複数の小話を一本の長編にしてみたのですが
所々中途半端に謎が残ってしまいまさにこれは駄目だよ状態
・今回は六本位の小話を一本に統合せずに無理なく調整
結果最後のお話だけ異様にネタが集中して長くなりました
過去作
ふたば系ゆっくりいじめ 572 ぎゃんぶらー
ふたば系ゆっくりいじめ 507 火の用心
ふたば系ゆっくりいじめ 500 駄目だよ?
ふたば系ゆっくりいじめ 458 ドゲスー
ふたば系ゆっくりいじめ 449 希少種の価値 2
ふたば系ゆっくりいじめ 448 希少種の価値 1,5
ふたば系ゆっくりいじめ 443 希少種の価値
ふたば系ゆっくりいじめ 398 ゆっくり達を必殺技で葬る物語
ふたば系ゆっくりいじめ 382 穴だらけの計画とその代償
・他、4点