ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko0679 ゆっくりに関係する怖い話序幕
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ankoss
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タイトル:事の発端
作者名:蛇足あき
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「と言う訳で頼むぞ。斉藤」
「はい?」
部室に入るなり、部長は俺にそう言った
「なんだ、聞いてなかったのか?」
「聞いてないも何も、俺は今来たばかりですよ」
「なら、察しろ」
エスパーになれというのか
「とにかく、キチンと説明してください」
「ああ、わかったわかった。まったく、二度手間だな」
二度手間も何も、俺はまだ説明されていないのに
「今年の新入部員確保の為に、1つ号外を出そうと考えたんだ」
俺の所属して居る部活は新聞部
まあ新聞部と言っても、部員の大半は三年生で、二年生は俺1人だ
このままじゃあ来年は廃部が決定してしまう
その為に、部長がそんな企画を持ち上げたというらしい
「号外…ですか?」
号外と言っても、去年も定期的に新聞を作った記憶が無い
学園祭やら甲子園やらの、何かのイベントに合わせた位だ
いつもの新聞となんら変わらない
「ああ。それも今年の新入生が、今後の学校生活で役立てそうな記事のある号外をな」
新入生が役立てそうな記事……
「どんな記事ですか?」
この高校の歴史とかだろうか?はたまた教師の略歴とか……
「怖い話だよ」
「……学校の七不思議ですか」
役に立つのだろうか?
まあ、新入生が知っておく知識と、新聞としての価値を考えると悪くは無い
学校に馴染むと言う意味でも、上級生と共通の話題を持つにはうってつけだ
教師の話題とか、なんらかの部活の紹介とかよりは、偏見を持たずにすみそうだ
「しかしうちの高校、碌な七不思議なんてないですよ」
やれ地下から聞こえる声とか、関わってはいけない木が生えて居るとか、存在しない地下に行くエレベー
ターとか、早朝に来てはいけない、夜に残ってはいけない場所とか……
特集に組んだところで、それほど記事に書けそうに無い
「馬鹿だな。誰がこの学校の七不思議を書けといった」
「?」
怖い話と新入部員とくれば、普通は七不思議じゃないのか?
「ゆっくりに関係する七つの怖い話だ」
「なんでやねん!!!」
ズビシ!
「いきなりツッコミ入れるなよ」
「ツッコミますよ!新入生の役立つ話と、ゆっくりがどう関係するんですか!?!」
それもゆっくりの怖い話を七つもなんて……
あんな直に死んで、弱っちい、存在する価値すらない生物の怖い話なんて、何一つ知らない
どう考えても、怖い話なんてなさそうなのに
「何言ってるんだ。ゆっくりなんて、この年頃なら誰だって興味があるぞ」
「そりゃそうかもしれませんけどね、それでも役立つとは思いませんよ」
「知っておいて損する知識はないぞ?」
部長の座右の銘だ
とにかくこの人は、貪欲に知識を求めて居る
ぶっちゃけこんな高校にこずに、違う進学校に行けばいいんじゃないかと思う位に
「対処法なり、少し危険な話なり、最後にこの高校でのゆっくりの扱いを書けば、いらん衝突も起きなく
なるだろう。愛で派と駆除派と虐待派にな」
「そりゃそうかもしれませんけど……何も怖い話じゃなくても……」
「それは純粋に俺が知りたいだけだ」
「アンタの都合かい!!」
ズビシ!!
部長は、かなりの虐待派として、この高校では知られている
以前、無謀にも侵入してきたゆっくりを、1匹残らず、授業中だと言うのにわざわざ出向いて、悲惨な目
に合わせたのだ
成績が優秀でないなら、問題児以外の何者でもなかっただろう
正直、ゆっくり虐待部なんてのがあったら、名誉部長になっていたかも知れない
「実は去年、そういった話を纏めた特集号を作りたかったんだが、色々と問題があってな……今日まで延
ばしてしまった」
「ああ、受験ですか」
「それは今から。いざ7人に話を聞こうにも、忙しくて俺じゃあ纏められん」
「それで俺が代わりに纏めろと」
「そういう事だ。次期部長として、それ位は経験しておけ」
どういう経験なんだろうか……
しかし、7人に話を聞くと言う事は、自分から何か調べるわけじゃない分、楽に作れるかもしれない
それにその7人……
部長も、ただ適当に選んだわけではあるまい。きっと、次期部長として関わっておけと思って選んだのだ
ろう
「それで、その7人は誰なんですか?」
「プライバシーの問題で、名前を明かせられない」
「うおい!」
「俺の意見じゃないさ。話をしてくれる人が、訳有りでそうしてくれって頼んだんだからな」
「それじゃあ聞く事が出来ないじゃないですか」
どうしろと言うのだ
「その辺りの手は打っておいた。一週間後の放課後に旧校舎の3階の教室に行けばいい」
「え?」
旧校舎の3階の教室……
早朝と夜に居たらいけない部屋じゃないか……
「どうした?なんか不都合でもあるのか?」
「いや……それって学校の七不思議の…」
「デマだ」
「は?」
「居てはいけない教室だろう?アレは七不思議の中で唯一の判明している嘘話だ」
「??」
部長の話は良く分からない
七不思議の嘘話?いや、他のも本当で有ってほしくは無いが……
どういう意味で言っているのだろう
「七不思議の絶対の約束……というか共通認識は、7番目の話を知ってはいけないだ」
「はあ」
「そこで作られたのが、その話。七不思議を面白がって作られた、8番目の話だ」
「??」
「理解が遅いぞ」
そんな事言われても……今ので理解しろと言うほうがおかしい
「本来の7番目の話の代わりに、嘘の8番目の話を広める。そうする事で、この高校じゃあ、七不思議全
てを知っていても、何の被害も無いんだ」
「実際には、『七不思議全てを知ってない』と言う事になるからですか?」
「そういう事だ。誰もが知っているのは6番目まで。8番目の話が7番目として知られて居るからな」
「そんなんでいいんですか……」
それはそれで、何か微妙におかしい気がする……
言葉遊びというか、苦しい言い逃れと言った感じだ
「結果的に7番目を知らないからな。少なくとも、今までソレで被害をこうむった人間は居ないらしい」
そもそも他の高校とでも被害が出たのだろうか……
「とにかく、そういう事だからその部屋は安全だ。一応、その説明は参加者にもしてある」
「要するに、逃げるなって事ですか」
「そうだ。来週、彼等から話を聞いて来てくれ」
「はぁ……分かりましたよ」
まあどちらにしろ、回避する事はできないし、来年には部長確定だろうし
ちょっとした部長の頼み位、聞いておいても変な事にならないだろう
来週、その号外を作る為に部長が話を聞こうとした7人から話を聞く
それだけだ
「頼むぞ」
「はい、部長……そういえば」
「ん?」
「部長は本当の7番目の話を知って居るんですか?」
「ああ」
事も無げに、部長は頷いた
「……ええ?!」
「知っておいて損する知識は無い」
「そうじゃなくて……」
今さっき、7番目の話は知ってはいけないって言ってたじゃないか……
それなのに知っておくなんて……
「どうせお前も知りたいんだろう?」
「いや……遠慮します」
「大丈夫。害はないさ。そうじゃなかったら、俺がこうして話もできん」
それはそうだが……
「本当の7番目の話はな、この高校に
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
一週間後の放課後……
「ここか……」
約束の教室に、俺は来た
いくら今まで知っていた知識が嘘だったとしても、この場所は怖い
なんていうか……禍々しいのだ
教室の内部が真っ暗で見えない……まだ誰も居ないのだろうか?
まあ、呼びつけたのは部長だから、遅れる事があるのも問題だが……
「とにかく、入ろう」
ここまで来たら、腹をくくるしかない
話を聞く為のテープレコーダーはある。電池もテープも人数の倍は用意した。話を纏める為の手帳もだ
忘れ物は無い。トイレにも行った
さあ、入ろう
ガチャ!!
「……」
鍵が閉まっていた
「ゆっくり決意した結果がこれだよ!」
部長……開けておくとか、鍵を渡すとか、方法あるだろうに……
仕方ない、とりあえず鍵を借りに行かないと……
どこだったっけ?鍵があるのは確か新校舎…いや、旧校舎のだから
カチ
「?!」
扉の鍵の部分が音を立てる
「……」
ガラガラガラ……
今度は問題なく開いた
「もう、誰か居るのか……?」
教室を覗いて見る
教室は一方に仕切りが立てられていて、窓には黒いカーテンが下げられていた
正面の黒板には『注意事項』と書かれている
『注意事項
全ての人は、用意された仮面とローブを着けて下さい
それまで声を出してはいけません
着け終わったら仕切りをノックして下さい』
「……」
机の上に、これまた典型的な三日月の笑顔を浮かべた仮面と、すっぽりと体を覆うローブがある
プライバシー保護って、これの事か……
しかしそれでも声はどうするんだろう……
というか、これ俺も着けるのか……
なんかやばい事、頼まれたなあ……
他に選択肢も無いし、とりあえずその2つを着けた
もし教師か誰かが入ってきたら、悲鳴を上げて逃げるだろう
その辺りは大丈夫なのか……
カチ
「?!」
入ってきた扉に、鍵がかけられた
「そういや旧校舎って、遠隔操作で鍵を操作できたっけ……」
悪戯に使われるから、新校舎を建て直すという、金の無駄遣いな結果になったが……
ん?
「この声……」
思わず呟いた
声が変わっている……仮面に変声機でも付けられているようだ
あの憎たらしい、ゆっくりの声で再生されている
ゆっくりで怖い話をするからって、ゆっくりの声で喋るなんて……
部長もなかなか、訳分からん趣向が好きなようだ
まあ、人目に見つかる心配はなさそうだし……
コンコン
仕切りをノックする。準備は万全だ
ガラガラガラ……
仕切りが動いていく
「……」
仕切りの向こう側、本来の教室の半分には、今の俺と同じ格好をした7人の人物が居た
彼等が部長が頼んだ、ゆっくりに関わる怖い話をしてくれる人達のようだ
「?」
仕切りの向こう側の黒板にも、注意事項が書かれていた
『注意事項
話す順番は任意です
話し終えた人は、直に立ち去ってもいい。最後まで聞いてもいい
ただし、誰かと共に帰ってはいけない
仕切りの向こうでローブと仮面を脱いだらノックをしてください
鍵を開けます
その後、外に出たら廊下のガラスをノックして、退出した事を知らせる事』
なるほど。出る時も誰かが分からないようにしてあるって事か
部屋に残るのも任意というのは、何らかの事情がある人が居るのか
それとも他の話を聞いて、恐怖を覚えないようにか……
「貴方が聞き手ね」
誰かがそう喋った
仮面と変声機の性で、誰かは分からない
「人数も8人……役者は揃ったって所だな」
しかしこうもゆっくりの声で喋られると、違和感がして仕方ない
人によってはムカつくだろう
「誰から語る?」
「時間は有るから私は最後でも構わないよ」
「俺もそう急いでは居ないさ」
「聞き手に決めてもらうのは?」
「賛成」
「同感」
「異議無し」
「決まりだな」
どうやらこの状況で、語り手を選べと言う事になったらしい
しかしどうやって選べと言うのか……何の判断材料も無いぞ
「私の意見は?」
「なんだ、最初に喋りたいのか?」
「いや、ただ無視したのが癇に障っただけ」
「狭い心だな。ゆっくりみたいだ」
「なんですって…!」
「喧嘩は止めてください。そうですね……最初は貴方にお願いします」
下手に喧嘩を起こしたくない俺は、さっさと指名する事にした
「ん?俺か?」
1人が自らを指さしながら、そう言った
「はい」
俺は頷く
別に理由があるわけではなく、ただ近いから選んだだけ
「そうか……じゃ、最初に相応しい話かは知らないけど……語らせてもらいます」
「その前に、聞き手を席に座らせてもいいんじゃないか?」
「そうだね。立ちっぱなしで聞かせるのもなんだろう」
それもそうだ
今集まって居る人も、各々、座っていたり立っていたりと自由なのだから
語るのが何分かかるかは知らないけど、それまで立ちっぱなしなのも辛いだろう
「座る場所は?」
「円形がいいと思うんだけど」
「語る人を中心にさせたら?」
「いいね。それらしい」
「聞き手君も中央に。向い合わせるのがいいと思う」
「そうだな」
「じゃ、移動するか」
各々、用意された椅子を持って、提案された順に座る
6人が囲み、1人が俺と対峙する
「語っていいか?」
「ちょっと待ってください」
テープレコーダーを録音開始にセットする
メモとシャーペンを手に取り、準備は万全だ
「準備が整いました。では、お願いします」
「ああ。じゃあ、語ります……」
そうして、ゆっくりに関係する7つの怖い話、最初の話が語られた
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「俺が語るのは、この高校の七不思議『地下から響く悲鳴』の真実だ」
第1話 『埋められたゆっくり達』へと続く……
作者名:蛇足あき
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「と言う訳で頼むぞ。斉藤」
「はい?」
部室に入るなり、部長は俺にそう言った
「なんだ、聞いてなかったのか?」
「聞いてないも何も、俺は今来たばかりですよ」
「なら、察しろ」
エスパーになれというのか
「とにかく、キチンと説明してください」
「ああ、わかったわかった。まったく、二度手間だな」
二度手間も何も、俺はまだ説明されていないのに
「今年の新入部員確保の為に、1つ号外を出そうと考えたんだ」
俺の所属して居る部活は新聞部
まあ新聞部と言っても、部員の大半は三年生で、二年生は俺1人だ
このままじゃあ来年は廃部が決定してしまう
その為に、部長がそんな企画を持ち上げたというらしい
「号外…ですか?」
号外と言っても、去年も定期的に新聞を作った記憶が無い
学園祭やら甲子園やらの、何かのイベントに合わせた位だ
いつもの新聞となんら変わらない
「ああ。それも今年の新入生が、今後の学校生活で役立てそうな記事のある号外をな」
新入生が役立てそうな記事……
「どんな記事ですか?」
この高校の歴史とかだろうか?はたまた教師の略歴とか……
「怖い話だよ」
「……学校の七不思議ですか」
役に立つのだろうか?
まあ、新入生が知っておく知識と、新聞としての価値を考えると悪くは無い
学校に馴染むと言う意味でも、上級生と共通の話題を持つにはうってつけだ
教師の話題とか、なんらかの部活の紹介とかよりは、偏見を持たずにすみそうだ
「しかしうちの高校、碌な七不思議なんてないですよ」
やれ地下から聞こえる声とか、関わってはいけない木が生えて居るとか、存在しない地下に行くエレベー
ターとか、早朝に来てはいけない、夜に残ってはいけない場所とか……
特集に組んだところで、それほど記事に書けそうに無い
「馬鹿だな。誰がこの学校の七不思議を書けといった」
「?」
怖い話と新入部員とくれば、普通は七不思議じゃないのか?
「ゆっくりに関係する七つの怖い話だ」
「なんでやねん!!!」
ズビシ!
「いきなりツッコミ入れるなよ」
「ツッコミますよ!新入生の役立つ話と、ゆっくりがどう関係するんですか!?!」
それもゆっくりの怖い話を七つもなんて……
あんな直に死んで、弱っちい、存在する価値すらない生物の怖い話なんて、何一つ知らない
どう考えても、怖い話なんてなさそうなのに
「何言ってるんだ。ゆっくりなんて、この年頃なら誰だって興味があるぞ」
「そりゃそうかもしれませんけどね、それでも役立つとは思いませんよ」
「知っておいて損する知識はないぞ?」
部長の座右の銘だ
とにかくこの人は、貪欲に知識を求めて居る
ぶっちゃけこんな高校にこずに、違う進学校に行けばいいんじゃないかと思う位に
「対処法なり、少し危険な話なり、最後にこの高校でのゆっくりの扱いを書けば、いらん衝突も起きなく
なるだろう。愛で派と駆除派と虐待派にな」
「そりゃそうかもしれませんけど……何も怖い話じゃなくても……」
「それは純粋に俺が知りたいだけだ」
「アンタの都合かい!!」
ズビシ!!
部長は、かなりの虐待派として、この高校では知られている
以前、無謀にも侵入してきたゆっくりを、1匹残らず、授業中だと言うのにわざわざ出向いて、悲惨な目
に合わせたのだ
成績が優秀でないなら、問題児以外の何者でもなかっただろう
正直、ゆっくり虐待部なんてのがあったら、名誉部長になっていたかも知れない
「実は去年、そういった話を纏めた特集号を作りたかったんだが、色々と問題があってな……今日まで延
ばしてしまった」
「ああ、受験ですか」
「それは今から。いざ7人に話を聞こうにも、忙しくて俺じゃあ纏められん」
「それで俺が代わりに纏めろと」
「そういう事だ。次期部長として、それ位は経験しておけ」
どういう経験なんだろうか……
しかし、7人に話を聞くと言う事は、自分から何か調べるわけじゃない分、楽に作れるかもしれない
それにその7人……
部長も、ただ適当に選んだわけではあるまい。きっと、次期部長として関わっておけと思って選んだのだ
ろう
「それで、その7人は誰なんですか?」
「プライバシーの問題で、名前を明かせられない」
「うおい!」
「俺の意見じゃないさ。話をしてくれる人が、訳有りでそうしてくれって頼んだんだからな」
「それじゃあ聞く事が出来ないじゃないですか」
どうしろと言うのだ
「その辺りの手は打っておいた。一週間後の放課後に旧校舎の3階の教室に行けばいい」
「え?」
旧校舎の3階の教室……
早朝と夜に居たらいけない部屋じゃないか……
「どうした?なんか不都合でもあるのか?」
「いや……それって学校の七不思議の…」
「デマだ」
「は?」
「居てはいけない教室だろう?アレは七不思議の中で唯一の判明している嘘話だ」
「??」
部長の話は良く分からない
七不思議の嘘話?いや、他のも本当で有ってほしくは無いが……
どういう意味で言っているのだろう
「七不思議の絶対の約束……というか共通認識は、7番目の話を知ってはいけないだ」
「はあ」
「そこで作られたのが、その話。七不思議を面白がって作られた、8番目の話だ」
「??」
「理解が遅いぞ」
そんな事言われても……今ので理解しろと言うほうがおかしい
「本来の7番目の話の代わりに、嘘の8番目の話を広める。そうする事で、この高校じゃあ、七不思議全
てを知っていても、何の被害も無いんだ」
「実際には、『七不思議全てを知ってない』と言う事になるからですか?」
「そういう事だ。誰もが知っているのは6番目まで。8番目の話が7番目として知られて居るからな」
「そんなんでいいんですか……」
それはそれで、何か微妙におかしい気がする……
言葉遊びというか、苦しい言い逃れと言った感じだ
「結果的に7番目を知らないからな。少なくとも、今までソレで被害をこうむった人間は居ないらしい」
そもそも他の高校とでも被害が出たのだろうか……
「とにかく、そういう事だからその部屋は安全だ。一応、その説明は参加者にもしてある」
「要するに、逃げるなって事ですか」
「そうだ。来週、彼等から話を聞いて来てくれ」
「はぁ……分かりましたよ」
まあどちらにしろ、回避する事はできないし、来年には部長確定だろうし
ちょっとした部長の頼み位、聞いておいても変な事にならないだろう
来週、その号外を作る為に部長が話を聞こうとした7人から話を聞く
それだけだ
「頼むぞ」
「はい、部長……そういえば」
「ん?」
「部長は本当の7番目の話を知って居るんですか?」
「ああ」
事も無げに、部長は頷いた
「……ええ?!」
「知っておいて損する知識は無い」
「そうじゃなくて……」
今さっき、7番目の話は知ってはいけないって言ってたじゃないか……
それなのに知っておくなんて……
「どうせお前も知りたいんだろう?」
「いや……遠慮します」
「大丈夫。害はないさ。そうじゃなかったら、俺がこうして話もできん」
それはそうだが……
「本当の7番目の話はな、この高校に
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
一週間後の放課後……
「ここか……」
約束の教室に、俺は来た
いくら今まで知っていた知識が嘘だったとしても、この場所は怖い
なんていうか……禍々しいのだ
教室の内部が真っ暗で見えない……まだ誰も居ないのだろうか?
まあ、呼びつけたのは部長だから、遅れる事があるのも問題だが……
「とにかく、入ろう」
ここまで来たら、腹をくくるしかない
話を聞く為のテープレコーダーはある。電池もテープも人数の倍は用意した。話を纏める為の手帳もだ
忘れ物は無い。トイレにも行った
さあ、入ろう
ガチャ!!
「……」
鍵が閉まっていた
「ゆっくり決意した結果がこれだよ!」
部長……開けておくとか、鍵を渡すとか、方法あるだろうに……
仕方ない、とりあえず鍵を借りに行かないと……
どこだったっけ?鍵があるのは確か新校舎…いや、旧校舎のだから
カチ
「?!」
扉の鍵の部分が音を立てる
「……」
ガラガラガラ……
今度は問題なく開いた
「もう、誰か居るのか……?」
教室を覗いて見る
教室は一方に仕切りが立てられていて、窓には黒いカーテンが下げられていた
正面の黒板には『注意事項』と書かれている
『注意事項
全ての人は、用意された仮面とローブを着けて下さい
それまで声を出してはいけません
着け終わったら仕切りをノックして下さい』
「……」
机の上に、これまた典型的な三日月の笑顔を浮かべた仮面と、すっぽりと体を覆うローブがある
プライバシー保護って、これの事か……
しかしそれでも声はどうするんだろう……
というか、これ俺も着けるのか……
なんかやばい事、頼まれたなあ……
他に選択肢も無いし、とりあえずその2つを着けた
もし教師か誰かが入ってきたら、悲鳴を上げて逃げるだろう
その辺りは大丈夫なのか……
カチ
「?!」
入ってきた扉に、鍵がかけられた
「そういや旧校舎って、遠隔操作で鍵を操作できたっけ……」
悪戯に使われるから、新校舎を建て直すという、金の無駄遣いな結果になったが……
ん?
「この声……」
思わず呟いた
声が変わっている……仮面に変声機でも付けられているようだ
あの憎たらしい、ゆっくりの声で再生されている
ゆっくりで怖い話をするからって、ゆっくりの声で喋るなんて……
部長もなかなか、訳分からん趣向が好きなようだ
まあ、人目に見つかる心配はなさそうだし……
コンコン
仕切りをノックする。準備は万全だ
ガラガラガラ……
仕切りが動いていく
「……」
仕切りの向こう側、本来の教室の半分には、今の俺と同じ格好をした7人の人物が居た
彼等が部長が頼んだ、ゆっくりに関わる怖い話をしてくれる人達のようだ
「?」
仕切りの向こう側の黒板にも、注意事項が書かれていた
『注意事項
話す順番は任意です
話し終えた人は、直に立ち去ってもいい。最後まで聞いてもいい
ただし、誰かと共に帰ってはいけない
仕切りの向こうでローブと仮面を脱いだらノックをしてください
鍵を開けます
その後、外に出たら廊下のガラスをノックして、退出した事を知らせる事』
なるほど。出る時も誰かが分からないようにしてあるって事か
部屋に残るのも任意というのは、何らかの事情がある人が居るのか
それとも他の話を聞いて、恐怖を覚えないようにか……
「貴方が聞き手ね」
誰かがそう喋った
仮面と変声機の性で、誰かは分からない
「人数も8人……役者は揃ったって所だな」
しかしこうもゆっくりの声で喋られると、違和感がして仕方ない
人によってはムカつくだろう
「誰から語る?」
「時間は有るから私は最後でも構わないよ」
「俺もそう急いでは居ないさ」
「聞き手に決めてもらうのは?」
「賛成」
「同感」
「異議無し」
「決まりだな」
どうやらこの状況で、語り手を選べと言う事になったらしい
しかしどうやって選べと言うのか……何の判断材料も無いぞ
「私の意見は?」
「なんだ、最初に喋りたいのか?」
「いや、ただ無視したのが癇に障っただけ」
「狭い心だな。ゆっくりみたいだ」
「なんですって…!」
「喧嘩は止めてください。そうですね……最初は貴方にお願いします」
下手に喧嘩を起こしたくない俺は、さっさと指名する事にした
「ん?俺か?」
1人が自らを指さしながら、そう言った
「はい」
俺は頷く
別に理由があるわけではなく、ただ近いから選んだだけ
「そうか……じゃ、最初に相応しい話かは知らないけど……語らせてもらいます」
「その前に、聞き手を席に座らせてもいいんじゃないか?」
「そうだね。立ちっぱなしで聞かせるのもなんだろう」
それもそうだ
今集まって居る人も、各々、座っていたり立っていたりと自由なのだから
語るのが何分かかるかは知らないけど、それまで立ちっぱなしなのも辛いだろう
「座る場所は?」
「円形がいいと思うんだけど」
「語る人を中心にさせたら?」
「いいね。それらしい」
「聞き手君も中央に。向い合わせるのがいいと思う」
「そうだな」
「じゃ、移動するか」
各々、用意された椅子を持って、提案された順に座る
6人が囲み、1人が俺と対峙する
「語っていいか?」
「ちょっと待ってください」
テープレコーダーを録音開始にセットする
メモとシャーペンを手に取り、準備は万全だ
「準備が整いました。では、お願いします」
「ああ。じゃあ、語ります……」
そうして、ゆっくりに関係する7つの怖い話、最初の話が語られた
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「俺が語るのは、この高校の七不思議『地下から響く悲鳴』の真実だ」
第1話 『埋められたゆっくり達』へと続く……