ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko0543 肉まんと出かけよう 前編
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ankoss
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*三作目
*北東ネタを含みます
*ゆっくりのせいで重体に陥る人間がいます
*厨ゆっくり注意
「う~? おでかけ~!? れみぃも行きたい~♪」
外出しようとしたら、我が家の奴隷肉まんが纏わりついてきた。
監禁生活も早一週間になろうというのに、こいつときたら未だに彼我の実力差を理解していないとみえる。
家にいる間は常に俺に付き纏って隙をうかがい、外から帰ってきたときはいつも首元に飛び掛って絞め落とそうとしてくる。
その度に、こいつの大嫌いな頭ワシャワシャの刑や南斗虐指葬(easy)で虐めているというのに、一向に改善する気配がない。
もしかしたら、こいつはマゾなのかもしれない。
「おねがいだどぅ~。れみぃ、お兄さんが住んでるまちのこと知りたいから、えすこーとしてほしいの~」
そういえば、こいつは純粋なこの町生まれの野良肉まんではなかったな。
俺が住んでいるこの「紫町」は、多数の饅頭が生息する自然に囲まれており、時折、野生の饅頭が訪れることがある。
餌がなくなった家族、協定を結びに来るドス、人間の町に根拠不明の憧れを抱く若人など、バリエーションも様々だ。
こいつも、そんな元野生の肉まんであり、うっかり人間の町に迷い込んで帰れなくなったという間抜けな奴だ。
外出する用事もこの肉まん関連なので、ついでにこの町を案内してやるのもいいかもしれない。
「うー☆ やったどぅ! お兄さん好き好きー!!」
褒めたところで、プリンは一個しか買ってやらんぞ、れみりゃよ。
『肉まんと出かけよう 前編』
葉の散ってしまった街路樹が立ち並ぶ大通り。
肉まんが逃げ出さないように、その小っこい手をしっかりと握り締めて、のっしのっしと往来の真ん中を進んで公園へと辿り着いた。
最早、虐SSのお約束だが、この公園には多数の野良饅頭が生息している。
肌を寄せ合い、ゴミを漁って生きることしかできない汚物の集団ではあるが、それ故に生き汚いゲス共が多く、注意が必要な場所でもある。
特に奴隷饅頭にとっては、ゲス饅頭及び、そいつらを消毒に来る火炎放射モヒカンにも注意を払う必要があるので、決して一人で来てはいけない大変危険な場所だ。
「う、う~。こわいとこだどぅ……」
そう説明してやったところ、意外にもすんなりと理解したようだ。
普段も、この聡明さを発揮して、俺に引っ付いてくるのを止めてくれればいいのだがな。
そんな風に思索に耽っていると、これまたお約束なやり取りが聞こえてきた。
「くずめーりんのくせに、にんげんにかわれてるなんて、なまいきなんだぜー!! ゆっくりしないで、そのバッジをよこすんだぜー!!!!」
「れいむたちがめーりんのかわりにゆっくりしてあげるんだから、こうえいにおもってね!! あと、あまあまちょうだいね!!」
「じゃ…じゃお!! じゃ…じゃお~~!!」
はいはい、テンプレご馳走様。
俺が激辛中国饅頭を助けるとでも思ったか?
助けんよ。
「うー? お兄さん、あのもんばん、かいゆっくりだけど、ほっといていいの?」
虐められているのが普通の奴隷饅頭なら助けたであろうな。
虐めを傍観していたのが飼い主にバレたら、訴訟問題になりかねん。
だが、あいつの飼い主は俺の知人であり、あの饅頭自体は相当なゲス饅頭だ。
助ける気にもならんし、助ける必要もない。
「でも、でも、たすけてほしそうにしてるどぅ~。さっきだって
『や…やめてくれ!! た…たのむ!!』
って言ってたどぅ」
ならば益々助ける必要がない。
「ゆっへっへ、そろそろとどめな「じゃおーーん!!(喰ぅらいやがれーーー!!) ぶっ!!」 ゆぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!! がらい!! あづい!! がらい!! あづいーーーーーーーー!!!!!!」
「まじざぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」
止めを刺そうとして隙だらけになっていた黒帽子饅頭は、中国饅頭が吐き出した液体――ラー油をもろに喰らった。
辛味が致死性の劇物に相当する通常種の饅頭にとって、あれはさぞかし辛いであろうな。
そんな苦しみを味わっている黒帽子饅頭を尻目に、中国饅頭は帽子の中からマッチを取り出して点火する。
口だけを用いて壁に擦りつけて点火するなど、何気に器用な奴だ。
何故、マッチを出したか?
この状況でこいつがやりそうなことといえば、これしかなかろう。
「じゃおー!!(ヒャッハー!!)」
「ゆぶぇーーーーーー!! あづーーーッ!! まじざのおぼうじがぁぁぁぁ!! さらさらへあーさんがーーーーー!!!!」
「じゃお? じゃーお? じゃーお!! じゃおーじゃじゃじゃじゃお!!(どうだ? くやしいか? くやしいか!! ヒャーッハッハッハー!!)」
「ゆ、ぎ、ぎ……」
「じゃお、じゃお(燃えろ、燃えろ)!! じゃおじゃおじゃじゃおじゃおーーーー(レイパーのぺにぺによりも醜く焼け爛れろーーーー)!!!!」
ラー油に点火した炎は瞬く間に燃え広がり、あっという間に饅頭の帽子と髪を焼き尽くして、焼き饅頭が出来上がった。
辺りに、饅頭の甘い匂いとラー油の焦げる香ばしい香りが広がっていく。
饅頭の顔面には、悔しさとも苦しみともとれる奇妙な表情が張り付いていた。
もっとも、目も口も焼け爛れて、醜いことに変わりはないが。
それにしても、ガソリン並みによく燃えるラー油だったな。
「じゃおじゃおじゃお、じゃおーーーん!!(ゆっへっへ、ちぇんの兄ぃのとこに持って行く、いい土産ができたぜ!!)
じゃおじゃじゃお!!(出来の悪いお兄さんも喜ぶに違いない!!)
じゃ、じゃおじゃじゃじゃおじゃお(さて、残った貴様にも生き地獄を味わわせてやる)!!」
「ゆー!? やめてね!! れいむはにんぷさんなんだよ!! しんぐ「おい!! めーりん!! 勝手に先に行くなと言っただろう!!」 ゆっ?」
「じゃじゃーーーおじゃおっじゃじゃおじょじょじゃーお!! じゃおじゃおおおうじゃおう!!
(見舞いの品選びに時間をかけすぎるお兄さんが悪いのだろうが!! 本当に愚図な飼い主め!!)」
焼き饅頭が出来上がったところで、ようやく飼い主がやって来た。
その飼い主と口論を始めた中国饅頭を見て、恐怖に引き攣っていた赤リボン饅頭の表情が元のふてぶてしいムカつく顔に戻っていく。
中国饅頭から自分を助けるために、奴隷が来たなどとでも思っているのだろうか?
思っているのだろうな。
「おそいよ!! くそどれい!! さっさとそのくずめーりんをころし「餡子万重拳!!!」 ゆび!! いだいーーーー!!!!」
何事か喚こうとしていた饅頭の両米神に、お兄さんの親指が深々と突き刺さっていた。
「どぼじでごんなごどずるのぉぉぉぉぉ!!!?」
「お前は、俺の可愛いめーりんをクズと言った。生かして帰すとでも思ったのか?」
「じゃ、じゃじゃじゃじゃお!! じゃじょじゃおじゃおじゃおーん!!(な、なに恥ずかしいこと言ってやがる!! 真顔で、んなことを言うんじゃねー!!)」
当然と言えば、当然の帰結か。
奴隷とはいえ人間の庇護下にある饅頭だ。
糞汚い野良如きがクズ呼ばわりして、生きていられるほど甘い世界ではない。
「うるざいー!!! ざっざどごのぎだないゆびを……」
「この指を抜いてから三秒後に、お前は干乾びるまで奇形饅頭とうんうんをひり出し続けて死ぬ」
「やべてぇぇぇぇッ!! ぬかないでーーーーー!!!!!」
すぼっ
「ゆがぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
おもしろい、ならばその3秒、俺が数えてやろう!!
ひとーつ
「ゆぎ!! あがぢゃん!!? どぼじでゆっぐりじでないの!!? おがあざんのながであばれないでね!!!!」
ふたーつ
「ゆぐう!!? う、うばでどぅ!!!?」
みーっつ!!
「ゆぎゃぁぁぁぁぁ!!!! なんなのごれぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
野良饅頭のまむまむからにゅるんと産まれて来たのは、紛うことなき饅頭であった。
飾りも、髪も、目も、口もない。
それらは、外気に触れた瞬間に一瞬だけぶるっと震えて、たちまち動かなくなった。
生まれついての汚物から正真正銘の饅頭へのクラスアップとは、なんとも喜ばしいことではないか。
「うんうんがどまらないーーーーーー!!!! だれがぁぁぁぁ!!! だれかかわいいれいむをだずげでぇぇぇ!!」
母親も、尻から汚物をひり出して喜んでいる。
だが、公共の場で公開スカトロとは感心できん。
我が家の肉まんが真似しないことを祈るばかりだ。
「誰かと思ったら、お前か。久しいな。それと、そっちのれみりゃは、お前の飼いゆっくりか?」
やっと、俺に気づいたな。
気配を絶っていたとはいえ、暗殺拳法の伝承者がこれでは先が思いやられる。
あと、こいつは飼いゆっくりなどでなない。
奴隷饅頭だ。
勘違いするな。
「……そうだったな、お前は、そういう奴だった」
分かればいい。
ペットの饅頭など、奴隷饅頭で十分なのだ。
それにしても、この「秘孔マニアお兄さん」が外出とは珍しい。
普段は、家に篭って人間や饅頭を内側から爆砕する拳法の研究をするか、奴隷饅頭のめーりんと戯れるかのこいつを公園で見かけるとは思わなかった。
「兄者の見舞いだ。この先の病院に入院していてな」
あー、そういえば、こいつの兄、通称『汚物』は宴席で重症を負って病院に担ぎ込まれたのだったな。
確か、マタタビで酔った猫饅頭に秘孔を突かれて、右側頭部が吹き飛んだとか。
「ああ。あの時は、酷かったぞ。素面に戻ったちぇんは『わからないよー!!』と泣き叫んで兄者に謝り、頭が吹き飛んだ兄者は、ちぇんを必死に宥めようとして傷が悪化するという地獄絵図だった」
なんとも、お間抜けな連中だ。
今すぐにでも病室に乗り込んで大いに馬鹿にしてやりたいところだが、今日はこちらも用がある。
見舞いは後日にするとしよう。
別に、兄弟水入らずで話せるように気を遣った訳ではない。
「ん? そうか、それじゃあ、またいつか見舞いにでも行ってやってくれ。焼き饅頭でも持って」
そう言いながら、秘孔マニアは、中国饅頭作の焼き饅頭を回収して、見舞い品であろう果物が入ったバスケットに詰め込んだ。
野良饅頭を人間が食べても平気なのだろうか?
まあ、汚物同士、お似合いではあるが。
ところで
「じゃじゃお!! じゃおじゃじゃおじゃお!!(おいお前!! 俺の名を言ってみろ!!)」
「う~? もんばん!!」
「じゃおじゃおーんじゃおん!? じゃおじゃじゃおじゃお(この帽子の星を見ても誰だかわからねぇのか!? もう一度だけチャンスをやろう)」
「うー☆ ちゅうごくー♪ ちゅうごくー♪」
「う…んうんど…まった……ぁ……」
この饅頭共は、何をしているのだ?
秘孔マニアと別れて、しばらく道なりに進んでいくと、今度は空き地が見えてきた。
放置された建材に、積み上げられた土管三つという昔懐かしの空き地だ。
やはりというかなんというか、ここにも饅頭共はいた。
「あひあほおしえおんあおおおお!!!」
「お前のために狩ってきた饅頭なのぜ! どうだ!? うまそうだろう?」
土管の上で、目だけしか残っていない饅頭を持ってきた金髪饅頭が対面に座っている饅頭にモーションをかけていた。
この金髪饅頭、どこにでもいる野良饅頭とは少々様子が異なる。
野良にしては体に負った傷が少なく、汚れも付着していない。
声も野太く、発音も人間のそれに近い。
しかし、一番目を惹く点といえば、帽子を被っていないことであろう。
野良、野生、奴隷の区別なく、ゆっくりにとっての飾りとは、命の次に重要なものである。
これがなくなっただけで正体不明の焦燥感に駆られ、仲間からは排斥され、ダウ平均株価が低下するという。
ところが、この饅頭の表情はどうだ。
目には力強さが宿り、口元には常に余裕の笑みを湛えている。
これこそが「ゆっくりしている」ということではないだろうか。
そんな変り種饅頭がモーションをかける相手なのだ。
そいつも普通の饅頭ではない。
「ゆっふっふ、ふらん、お前は相変わらず美しいのぜ~♪」
「しね!! ゆっくりしね!!」
被捕食種は、捕食種に対して熱をあげていた。
通常、成立するはずもないカップリングが成立しているのは、ひとえにこの金髪饅頭が強いことに起因している。
直径30cm程度の体で、10m級のドスの体に巨大な穴を穿つような饅頭だ。
そう簡単に食われはしないだろう。
「しね!! ふらんにくわれてゆっくりしね!!」
がぶっ、ちゅーちゅー
「ああああいうおああいうああいえーーーーー!!!!」
金髪饅頭の持ってきたプレゼントがお気に召したのか、餡まんはとてもサディスティックな笑顔で饅頭の中身を啜っている。
その姿に満足したのか、金髪饅頭は饒舌に語りだした。
「女王だ。お前を女王にしてみせるぞ、ふらん!! 全てのゆっくりがお前の前に平伏す!! そうすれば、お前のきもち「ボグシャッ」ゆばぁ!!」
「うー!! まりさ、うるさい!! しね!! しんでだまれ!!!!」
ほお、体重の乗った見事なれーばてぃんだ。
金髪饅頭の頭がへこんでいる。
普通の饅頭なら、即死していてもおかしくなかろう。
「どうやら…ここまでのようなのぜ……。だが、ふらん!! まりさは、お前の拳法ではしなないのぜ!! サラダバー」
テーレッテー
べちゃッ
「ゆべしッ!!」
そう叫ぶと、せっかく拾った命を土管の上から投げ出しやがった。
言いたいことは、色々ある。
拳法じゃねーよとか、土管の上から落ちたくらいじゃ死なねーよとか。
毎回、遭遇する度に同じようなことをしているこいつらの行動様式が変わるとは、到底思えないから言わないが。
「お……お、そこにいる…のは、まりさの同志ではないか……。ゆっく…りしていって…ね。あと、できれば助けてほしいのぜ……」
誰が同志だ、馬鹿饅頭。
この危険な饅頭が駆除されない理由を市の役員は、
『人間に対して比較的友好的な上、悪意を持ったドスなどの危険生物を排除してくれるからだ』
と言っていたが、単に馬鹿すぎて誰も駆除する気にならなかったのではないのだろうかと俺は考えている。
まあ、知らぬ仲でもないので助けてはやるが。
「ゆふー。今度こそ死ぬかと思ったのぜ」
だったら態々、攻撃を受ける必要もあるまい。
こいつほどの身体能力があるなら、楽に避けられるはずだ。
そう言ってやったところ。
「ちっちっち、ふらんの暴力は愛の裏返しなのぜ!! 即ち攻撃を交わすことは、愛を否定すること!! 殉星のゆっくりであるまりさが愛を否定したら、この世は終わりなのぜ!!」
という、すっげームカつく返事が返ってきた。
一瞬、十字陵の漆喰にしてやろうかとも思ったが止めておこう。
今日は用事がある。
決して、ガチバトルをやらかして国家権力の厄介になることを恐れた訳ではない。
ところで
「うー♪ おねたまだー♪ ふらん、おねえたま『で』あそぶー♪ しねー!! ゆっくりしねー!!」
「うわぁぁぁぁ!! ふらんのお顔がこわい、こわいになってるどぅ!!!! お兄ざーん!! だずげでーーーー!!!!」
餡まんの暴力が愛なら、全国の肉まんはとても愛されているのではなかろうか。
そんな考察が頭を過ぎった。
【用語】
南斗虐指葬(easy):
相手の体に指を突き刺すのが本来の技。
easyが付くことで、相手の柔肌を露出させて突っつくというセクハラ奥義に。
あとがき
正直、自分でも分かっているのですよ。「ありがちだな」と。
ただ、自分の読みたいものと書きたいものを書く。
それだけは、いつだって譲っちゃいけないとも思うわけでして……。
あと、漢らしいツンデレは俺の烈海王。
前に書いたやつ
ふたば系ゆっくりいじめ 394 お兄さんと冷めた肉饅
ふたば系ゆっくりいじめ 408 お前もポールさんみたいにしてやろうか!?
*北東ネタを含みます
*ゆっくりのせいで重体に陥る人間がいます
*厨ゆっくり注意
「う~? おでかけ~!? れみぃも行きたい~♪」
外出しようとしたら、我が家の奴隷肉まんが纏わりついてきた。
監禁生活も早一週間になろうというのに、こいつときたら未だに彼我の実力差を理解していないとみえる。
家にいる間は常に俺に付き纏って隙をうかがい、外から帰ってきたときはいつも首元に飛び掛って絞め落とそうとしてくる。
その度に、こいつの大嫌いな頭ワシャワシャの刑や南斗虐指葬(easy)で虐めているというのに、一向に改善する気配がない。
もしかしたら、こいつはマゾなのかもしれない。
「おねがいだどぅ~。れみぃ、お兄さんが住んでるまちのこと知りたいから、えすこーとしてほしいの~」
そういえば、こいつは純粋なこの町生まれの野良肉まんではなかったな。
俺が住んでいるこの「紫町」は、多数の饅頭が生息する自然に囲まれており、時折、野生の饅頭が訪れることがある。
餌がなくなった家族、協定を結びに来るドス、人間の町に根拠不明の憧れを抱く若人など、バリエーションも様々だ。
こいつも、そんな元野生の肉まんであり、うっかり人間の町に迷い込んで帰れなくなったという間抜けな奴だ。
外出する用事もこの肉まん関連なので、ついでにこの町を案内してやるのもいいかもしれない。
「うー☆ やったどぅ! お兄さん好き好きー!!」
褒めたところで、プリンは一個しか買ってやらんぞ、れみりゃよ。
『肉まんと出かけよう 前編』
葉の散ってしまった街路樹が立ち並ぶ大通り。
肉まんが逃げ出さないように、その小っこい手をしっかりと握り締めて、のっしのっしと往来の真ん中を進んで公園へと辿り着いた。
最早、虐SSのお約束だが、この公園には多数の野良饅頭が生息している。
肌を寄せ合い、ゴミを漁って生きることしかできない汚物の集団ではあるが、それ故に生き汚いゲス共が多く、注意が必要な場所でもある。
特に奴隷饅頭にとっては、ゲス饅頭及び、そいつらを消毒に来る火炎放射モヒカンにも注意を払う必要があるので、決して一人で来てはいけない大変危険な場所だ。
「う、う~。こわいとこだどぅ……」
そう説明してやったところ、意外にもすんなりと理解したようだ。
普段も、この聡明さを発揮して、俺に引っ付いてくるのを止めてくれればいいのだがな。
そんな風に思索に耽っていると、これまたお約束なやり取りが聞こえてきた。
「くずめーりんのくせに、にんげんにかわれてるなんて、なまいきなんだぜー!! ゆっくりしないで、そのバッジをよこすんだぜー!!!!」
「れいむたちがめーりんのかわりにゆっくりしてあげるんだから、こうえいにおもってね!! あと、あまあまちょうだいね!!」
「じゃ…じゃお!! じゃ…じゃお~~!!」
はいはい、テンプレご馳走様。
俺が激辛中国饅頭を助けるとでも思ったか?
助けんよ。
「うー? お兄さん、あのもんばん、かいゆっくりだけど、ほっといていいの?」
虐められているのが普通の奴隷饅頭なら助けたであろうな。
虐めを傍観していたのが飼い主にバレたら、訴訟問題になりかねん。
だが、あいつの飼い主は俺の知人であり、あの饅頭自体は相当なゲス饅頭だ。
助ける気にもならんし、助ける必要もない。
「でも、でも、たすけてほしそうにしてるどぅ~。さっきだって
『や…やめてくれ!! た…たのむ!!』
って言ってたどぅ」
ならば益々助ける必要がない。
「ゆっへっへ、そろそろとどめな「じゃおーーん!!(喰ぅらいやがれーーー!!) ぶっ!!」 ゆぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!! がらい!! あづい!! がらい!! あづいーーーーーーーー!!!!!!」
「まじざぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」
止めを刺そうとして隙だらけになっていた黒帽子饅頭は、中国饅頭が吐き出した液体――ラー油をもろに喰らった。
辛味が致死性の劇物に相当する通常種の饅頭にとって、あれはさぞかし辛いであろうな。
そんな苦しみを味わっている黒帽子饅頭を尻目に、中国饅頭は帽子の中からマッチを取り出して点火する。
口だけを用いて壁に擦りつけて点火するなど、何気に器用な奴だ。
何故、マッチを出したか?
この状況でこいつがやりそうなことといえば、これしかなかろう。
「じゃおー!!(ヒャッハー!!)」
「ゆぶぇーーーーーー!! あづーーーッ!! まじざのおぼうじがぁぁぁぁ!! さらさらへあーさんがーーーーー!!!!」
「じゃお? じゃーお? じゃーお!! じゃおーじゃじゃじゃじゃお!!(どうだ? くやしいか? くやしいか!! ヒャーッハッハッハー!!)」
「ゆ、ぎ、ぎ……」
「じゃお、じゃお(燃えろ、燃えろ)!! じゃおじゃおじゃじゃおじゃおーーーー(レイパーのぺにぺによりも醜く焼け爛れろーーーー)!!!!」
ラー油に点火した炎は瞬く間に燃え広がり、あっという間に饅頭の帽子と髪を焼き尽くして、焼き饅頭が出来上がった。
辺りに、饅頭の甘い匂いとラー油の焦げる香ばしい香りが広がっていく。
饅頭の顔面には、悔しさとも苦しみともとれる奇妙な表情が張り付いていた。
もっとも、目も口も焼け爛れて、醜いことに変わりはないが。
それにしても、ガソリン並みによく燃えるラー油だったな。
「じゃおじゃおじゃお、じゃおーーーん!!(ゆっへっへ、ちぇんの兄ぃのとこに持って行く、いい土産ができたぜ!!)
じゃおじゃじゃお!!(出来の悪いお兄さんも喜ぶに違いない!!)
じゃ、じゃおじゃじゃじゃおじゃお(さて、残った貴様にも生き地獄を味わわせてやる)!!」
「ゆー!? やめてね!! れいむはにんぷさんなんだよ!! しんぐ「おい!! めーりん!! 勝手に先に行くなと言っただろう!!」 ゆっ?」
「じゃじゃーーーおじゃおっじゃじゃおじょじょじゃーお!! じゃおじゃおおおうじゃおう!!
(見舞いの品選びに時間をかけすぎるお兄さんが悪いのだろうが!! 本当に愚図な飼い主め!!)」
焼き饅頭が出来上がったところで、ようやく飼い主がやって来た。
その飼い主と口論を始めた中国饅頭を見て、恐怖に引き攣っていた赤リボン饅頭の表情が元のふてぶてしいムカつく顔に戻っていく。
中国饅頭から自分を助けるために、奴隷が来たなどとでも思っているのだろうか?
思っているのだろうな。
「おそいよ!! くそどれい!! さっさとそのくずめーりんをころし「餡子万重拳!!!」 ゆび!! いだいーーーー!!!!」
何事か喚こうとしていた饅頭の両米神に、お兄さんの親指が深々と突き刺さっていた。
「どぼじでごんなごどずるのぉぉぉぉぉ!!!?」
「お前は、俺の可愛いめーりんをクズと言った。生かして帰すとでも思ったのか?」
「じゃ、じゃじゃじゃじゃお!! じゃじょじゃおじゃおじゃおーん!!(な、なに恥ずかしいこと言ってやがる!! 真顔で、んなことを言うんじゃねー!!)」
当然と言えば、当然の帰結か。
奴隷とはいえ人間の庇護下にある饅頭だ。
糞汚い野良如きがクズ呼ばわりして、生きていられるほど甘い世界ではない。
「うるざいー!!! ざっざどごのぎだないゆびを……」
「この指を抜いてから三秒後に、お前は干乾びるまで奇形饅頭とうんうんをひり出し続けて死ぬ」
「やべてぇぇぇぇッ!! ぬかないでーーーーー!!!!!」
すぼっ
「ゆがぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
おもしろい、ならばその3秒、俺が数えてやろう!!
ひとーつ
「ゆぎ!! あがぢゃん!!? どぼじでゆっぐりじでないの!!? おがあざんのながであばれないでね!!!!」
ふたーつ
「ゆぐう!!? う、うばでどぅ!!!?」
みーっつ!!
「ゆぎゃぁぁぁぁぁ!!!! なんなのごれぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
野良饅頭のまむまむからにゅるんと産まれて来たのは、紛うことなき饅頭であった。
飾りも、髪も、目も、口もない。
それらは、外気に触れた瞬間に一瞬だけぶるっと震えて、たちまち動かなくなった。
生まれついての汚物から正真正銘の饅頭へのクラスアップとは、なんとも喜ばしいことではないか。
「うんうんがどまらないーーーーーー!!!! だれがぁぁぁぁ!!! だれかかわいいれいむをだずげでぇぇぇ!!」
母親も、尻から汚物をひり出して喜んでいる。
だが、公共の場で公開スカトロとは感心できん。
我が家の肉まんが真似しないことを祈るばかりだ。
「誰かと思ったら、お前か。久しいな。それと、そっちのれみりゃは、お前の飼いゆっくりか?」
やっと、俺に気づいたな。
気配を絶っていたとはいえ、暗殺拳法の伝承者がこれでは先が思いやられる。
あと、こいつは飼いゆっくりなどでなない。
奴隷饅頭だ。
勘違いするな。
「……そうだったな、お前は、そういう奴だった」
分かればいい。
ペットの饅頭など、奴隷饅頭で十分なのだ。
それにしても、この「秘孔マニアお兄さん」が外出とは珍しい。
普段は、家に篭って人間や饅頭を内側から爆砕する拳法の研究をするか、奴隷饅頭のめーりんと戯れるかのこいつを公園で見かけるとは思わなかった。
「兄者の見舞いだ。この先の病院に入院していてな」
あー、そういえば、こいつの兄、通称『汚物』は宴席で重症を負って病院に担ぎ込まれたのだったな。
確か、マタタビで酔った猫饅頭に秘孔を突かれて、右側頭部が吹き飛んだとか。
「ああ。あの時は、酷かったぞ。素面に戻ったちぇんは『わからないよー!!』と泣き叫んで兄者に謝り、頭が吹き飛んだ兄者は、ちぇんを必死に宥めようとして傷が悪化するという地獄絵図だった」
なんとも、お間抜けな連中だ。
今すぐにでも病室に乗り込んで大いに馬鹿にしてやりたいところだが、今日はこちらも用がある。
見舞いは後日にするとしよう。
別に、兄弟水入らずで話せるように気を遣った訳ではない。
「ん? そうか、それじゃあ、またいつか見舞いにでも行ってやってくれ。焼き饅頭でも持って」
そう言いながら、秘孔マニアは、中国饅頭作の焼き饅頭を回収して、見舞い品であろう果物が入ったバスケットに詰め込んだ。
野良饅頭を人間が食べても平気なのだろうか?
まあ、汚物同士、お似合いではあるが。
ところで
「じゃじゃお!! じゃおじゃじゃおじゃお!!(おいお前!! 俺の名を言ってみろ!!)」
「う~? もんばん!!」
「じゃおじゃおーんじゃおん!? じゃおじゃじゃおじゃお(この帽子の星を見ても誰だかわからねぇのか!? もう一度だけチャンスをやろう)」
「うー☆ ちゅうごくー♪ ちゅうごくー♪」
「う…んうんど…まった……ぁ……」
この饅頭共は、何をしているのだ?
秘孔マニアと別れて、しばらく道なりに進んでいくと、今度は空き地が見えてきた。
放置された建材に、積み上げられた土管三つという昔懐かしの空き地だ。
やはりというかなんというか、ここにも饅頭共はいた。
「あひあほおしえおんあおおおお!!!」
「お前のために狩ってきた饅頭なのぜ! どうだ!? うまそうだろう?」
土管の上で、目だけしか残っていない饅頭を持ってきた金髪饅頭が対面に座っている饅頭にモーションをかけていた。
この金髪饅頭、どこにでもいる野良饅頭とは少々様子が異なる。
野良にしては体に負った傷が少なく、汚れも付着していない。
声も野太く、発音も人間のそれに近い。
しかし、一番目を惹く点といえば、帽子を被っていないことであろう。
野良、野生、奴隷の区別なく、ゆっくりにとっての飾りとは、命の次に重要なものである。
これがなくなっただけで正体不明の焦燥感に駆られ、仲間からは排斥され、ダウ平均株価が低下するという。
ところが、この饅頭の表情はどうだ。
目には力強さが宿り、口元には常に余裕の笑みを湛えている。
これこそが「ゆっくりしている」ということではないだろうか。
そんな変り種饅頭がモーションをかける相手なのだ。
そいつも普通の饅頭ではない。
「ゆっふっふ、ふらん、お前は相変わらず美しいのぜ~♪」
「しね!! ゆっくりしね!!」
被捕食種は、捕食種に対して熱をあげていた。
通常、成立するはずもないカップリングが成立しているのは、ひとえにこの金髪饅頭が強いことに起因している。
直径30cm程度の体で、10m級のドスの体に巨大な穴を穿つような饅頭だ。
そう簡単に食われはしないだろう。
「しね!! ふらんにくわれてゆっくりしね!!」
がぶっ、ちゅーちゅー
「ああああいうおああいうああいえーーーーー!!!!」
金髪饅頭の持ってきたプレゼントがお気に召したのか、餡まんはとてもサディスティックな笑顔で饅頭の中身を啜っている。
その姿に満足したのか、金髪饅頭は饒舌に語りだした。
「女王だ。お前を女王にしてみせるぞ、ふらん!! 全てのゆっくりがお前の前に平伏す!! そうすれば、お前のきもち「ボグシャッ」ゆばぁ!!」
「うー!! まりさ、うるさい!! しね!! しんでだまれ!!!!」
ほお、体重の乗った見事なれーばてぃんだ。
金髪饅頭の頭がへこんでいる。
普通の饅頭なら、即死していてもおかしくなかろう。
「どうやら…ここまでのようなのぜ……。だが、ふらん!! まりさは、お前の拳法ではしなないのぜ!! サラダバー」
テーレッテー
べちゃッ
「ゆべしッ!!」
そう叫ぶと、せっかく拾った命を土管の上から投げ出しやがった。
言いたいことは、色々ある。
拳法じゃねーよとか、土管の上から落ちたくらいじゃ死なねーよとか。
毎回、遭遇する度に同じようなことをしているこいつらの行動様式が変わるとは、到底思えないから言わないが。
「お……お、そこにいる…のは、まりさの同志ではないか……。ゆっく…りしていって…ね。あと、できれば助けてほしいのぜ……」
誰が同志だ、馬鹿饅頭。
この危険な饅頭が駆除されない理由を市の役員は、
『人間に対して比較的友好的な上、悪意を持ったドスなどの危険生物を排除してくれるからだ』
と言っていたが、単に馬鹿すぎて誰も駆除する気にならなかったのではないのだろうかと俺は考えている。
まあ、知らぬ仲でもないので助けてはやるが。
「ゆふー。今度こそ死ぬかと思ったのぜ」
だったら態々、攻撃を受ける必要もあるまい。
こいつほどの身体能力があるなら、楽に避けられるはずだ。
そう言ってやったところ。
「ちっちっち、ふらんの暴力は愛の裏返しなのぜ!! 即ち攻撃を交わすことは、愛を否定すること!! 殉星のゆっくりであるまりさが愛を否定したら、この世は終わりなのぜ!!」
という、すっげームカつく返事が返ってきた。
一瞬、十字陵の漆喰にしてやろうかとも思ったが止めておこう。
今日は用事がある。
決して、ガチバトルをやらかして国家権力の厄介になることを恐れた訳ではない。
ところで
「うー♪ おねたまだー♪ ふらん、おねえたま『で』あそぶー♪ しねー!! ゆっくりしねー!!」
「うわぁぁぁぁ!! ふらんのお顔がこわい、こわいになってるどぅ!!!! お兄ざーん!! だずげでーーーー!!!!」
餡まんの暴力が愛なら、全国の肉まんはとても愛されているのではなかろうか。
そんな考察が頭を過ぎった。
【用語】
南斗虐指葬(easy):
相手の体に指を突き刺すのが本来の技。
easyが付くことで、相手の柔肌を露出させて突っつくというセクハラ奥義に。
あとがき
正直、自分でも分かっているのですよ。「ありがちだな」と。
ただ、自分の読みたいものと書きたいものを書く。
それだけは、いつだって譲っちゃいけないとも思うわけでして……。
あと、漢らしいツンデレは俺の烈海王。
前に書いたやつ
ふたば系ゆっくりいじめ 394 お兄さんと冷めた肉饅
ふたば系ゆっくりいじめ 408 お前もポールさんみたいにしてやろうか!?