ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko0320 ゆっくりテラリウム
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ankoss
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※観察系? あんまり虐待してません
※愛でと言われても文句は言えない話なので、そういうのがお嫌いな方にはオススメできません
それでも良い方のみ、以下にお進みください
※愛でと言われても文句は言えない話なので、そういうのがお嫌いな方にはオススメできません
それでも良い方のみ、以下にお進みください
その日、僕はとても嬉しかった。随分前から欲しがっていたものが、ようやく手に入ったからだ。
顔がにやけるのを止めることもできず、僕はこれから手に入れた物を使って何をしようか、どうしようか。
考えながら帰路についていた、そんなときだ――
顔がにやけるのを止めることもできず、僕はこれから手に入れた物を使って何をしようか、どうしようか。
考えながら帰路についていた、そんなときだ――
- ゆっくりテラリウム -
「よし――」
必要なものを全て揃え、僕は声に出して気合を入れ直した。
テラリウムというものをご存知だろうか。
水槽や瓶の中に、種々の植物、或いは小動物を入れて、狭い空間の中に独立した生態系を作って鑑賞する、というものだ。
これを水草や水生生物でやればアクアリウムと呼び、水と陸、両方の環境を用意したものはアクアテラリウムと呼んだりもする。
また、アントクアリウムというものもある。
これは食べられるゼリーで満たされた小型のケースにアリを放し、アリ達が営巣する様子を鑑賞するというものだ。
この発想を、ご存知不可思議饅頭生物、ゆっくりにも適用して、ゆっくりクアリウムなんていうものも作られた。
当然、アリのものより随分と大型になってしまうが。
逆に動けなくしたゆっくりの身体をアリの巣にさせてしまうという、逆に発想をしたゆっくりクアリウムもあったりする。
いずれもゆっくりに関するありとあらゆる商品を取り扱う加工場からお手軽なキットが出ていて、とても人気だ。
反面、テラリウムやアクアリウムをゆっくりに適用する、というのはあまり行われていない。
というのも、普通の動植物と違って、ゆっくりという生物は通常の生態系にとっては異端もいいところだからだ。
食べ物があればあるだけ食べてしまい、排泄するのは砂糖水と古くなった餡子。
というか食べたものが全て餡子に変換されるという時点で、いや、饅頭が喋って動くという時点で、食物連鎖どころか物理法則さえぶっちぎりで無視しているわけで。
そんなマトモじゃない生物を、『閉じた生態系』を作ることを目的としたテラリウムに入れるのはとても難しいのだ。
勿論、ゆっくり用に環境を用意してやれば不可能じゃない。要はゆっくりが消費する物と排出する物を、自然の自浄作用が飲み込めればいいのである。
だが、それだとどうしても大掛かりなものになってしまう。
少し大袈裟かもしれないけど、一滴の洗剤を自然に影響がないレベルまで薄めるのに、何十、何百リットルもの水が必要になるのに似ている。
ゆっくりでテラリウムを作るのは、一部の好事家にしかできない限られた趣味なのだ。
……というのが、二、三年くらい前までの話。今は大分、事情が違ってきている。
僕みたいなごく普通の一般人でも、簡単なものならゆっくりテラリウムを作れるようになったのだ。
今回準備したものは以下の通り。
ゴムパッキンが付いた密閉できる大きめのガラス瓶。
薄めの吸水シート。
ボウルいっぱいの餡子。
松の木のミニチュア。
撥水シートで作った直径3cmのクッション。
ちょっと特別な種類のコケのシート。
注射器と薬液。
そして、まだ蔓にぶら下がった生まれる前の赤れいむだ。
なんでテラリウムなのに土がないのかとか、餡子が必要なのかとか、そういうのは作りながら説明していく。
早速、テラリウム作成に取り掛かっていこう。
ガラス瓶はあらかじめ消毒しておく。これがテラリウムの容器になる。
今回用意したのは大体二リットルくらい入るもので、口径もそこそこ大きめだ。
そのガラス瓶の底に吸水シートを敷き、その上から、空気が入らないよう注意しながら餡子を詰めていく。
餡子の量は、大体ガラス瓶の半分くらいまでを満たした。本来ならここまで必要でもないのだけど、今回はちょっと事情があるのだ。
さて、餡子の表面を平らに均したら、そこに瓶と同じ直径に切り取ったコケのシートを敷いていく。
このコケが今回のテラリウムの肝だ。
このコケは、ゆっくりの死体の上でも積極的に繁茂できるコケで、一年ほど前に発見された新種だ。
普通のコケ同様、水と日光でも十分生育できるが、同時に糖分をエネルギーにすることができるという。
ゆっくりに合わせて進化したコケなのか、はたまた昔から存在していたのかは分からないが、いずれにせよゆっくりを食物連鎖の中に組み込み直す役割をしていると言える。
これでこのコケを使う理由がお分かりいただけただろうと思う。
このコケなら、ゆっくりのしーしーもうんうんも悪影響を与えることなく吸収できてしまうのだ。
普通のコケ同様過剰な水分を吸い取り、一定の潤いを保ってくれるので、ゆっくりテラリウムを作る上での必需品だ。
大変な人気商品でずっと品薄状態だったのを、ようやく今日、手に入れることができたわけだ。
表面がコケの緑一色になったところに、松の木のミニチュアを突き刺す。これは根元が空洞になっていて、巣の役割を果たすものだ。
その空洞部分には、眠るゆっくりがコケから過剰に水分を吸い取ってしまわないようにクッションを敷いておく。
これで環境は整った。
最後に、このテラリウムの主役とも言える、ゆっくりの準備だ。
砂糖水につけていた蔓から、僕はまだ目も開かない赤れいむをもぎ取り、薬液を充填した注射器を突き刺した。
「ゆぎゅっ」
手の中で小さく呻き、赤れいむの顔が苦しそうに歪む。
僕が注射したのは成長抑制剤だ。これで、テラリウムで過ごすれいむが成長することはない。
本来ならこういった場合、改良されたゆっくりである『まめゆっくり』というものを使うことが多い。
最大でも直径4cm程度にしかならず、それでいて通常のゆっくりと同じ機能を備えた品種だ。
最初は僕もそれを使おうと思っていたのだが、それもまた、ちょっとした事情というヤツだ。
それに、赤ゆっくりだからこその利点もある。頭の中身も成長しないので、余計なことを考えないでくれる。狭い空間に文句を漏らすこともない。
行動原理は極めて単純。食べて遊んで食べて寝る、なんとも本能に忠実な生き方をしてくれる。
……おっと、そろそろ赤れいむが目覚めそうだ。
僕はコケの地面の上にそっと赤れいむを置くと、きっちりと蓋を閉め、直射日光の当たらない窓辺に置いた。
はてさて、上手くいくだろうか。
必要なものを全て揃え、僕は声に出して気合を入れ直した。
テラリウムというものをご存知だろうか。
水槽や瓶の中に、種々の植物、或いは小動物を入れて、狭い空間の中に独立した生態系を作って鑑賞する、というものだ。
これを水草や水生生物でやればアクアリウムと呼び、水と陸、両方の環境を用意したものはアクアテラリウムと呼んだりもする。
また、アントクアリウムというものもある。
これは食べられるゼリーで満たされた小型のケースにアリを放し、アリ達が営巣する様子を鑑賞するというものだ。
この発想を、ご存知不可思議饅頭生物、ゆっくりにも適用して、ゆっくりクアリウムなんていうものも作られた。
当然、アリのものより随分と大型になってしまうが。
逆に動けなくしたゆっくりの身体をアリの巣にさせてしまうという、逆に発想をしたゆっくりクアリウムもあったりする。
いずれもゆっくりに関するありとあらゆる商品を取り扱う加工場からお手軽なキットが出ていて、とても人気だ。
反面、テラリウムやアクアリウムをゆっくりに適用する、というのはあまり行われていない。
というのも、普通の動植物と違って、ゆっくりという生物は通常の生態系にとっては異端もいいところだからだ。
食べ物があればあるだけ食べてしまい、排泄するのは砂糖水と古くなった餡子。
というか食べたものが全て餡子に変換されるという時点で、いや、饅頭が喋って動くという時点で、食物連鎖どころか物理法則さえぶっちぎりで無視しているわけで。
そんなマトモじゃない生物を、『閉じた生態系』を作ることを目的としたテラリウムに入れるのはとても難しいのだ。
勿論、ゆっくり用に環境を用意してやれば不可能じゃない。要はゆっくりが消費する物と排出する物を、自然の自浄作用が飲み込めればいいのである。
だが、それだとどうしても大掛かりなものになってしまう。
少し大袈裟かもしれないけど、一滴の洗剤を自然に影響がないレベルまで薄めるのに、何十、何百リットルもの水が必要になるのに似ている。
ゆっくりでテラリウムを作るのは、一部の好事家にしかできない限られた趣味なのだ。
……というのが、二、三年くらい前までの話。今は大分、事情が違ってきている。
僕みたいなごく普通の一般人でも、簡単なものならゆっくりテラリウムを作れるようになったのだ。
今回準備したものは以下の通り。
ゴムパッキンが付いた密閉できる大きめのガラス瓶。
薄めの吸水シート。
ボウルいっぱいの餡子。
松の木のミニチュア。
撥水シートで作った直径3cmのクッション。
ちょっと特別な種類のコケのシート。
注射器と薬液。
そして、まだ蔓にぶら下がった生まれる前の赤れいむだ。
なんでテラリウムなのに土がないのかとか、餡子が必要なのかとか、そういうのは作りながら説明していく。
早速、テラリウム作成に取り掛かっていこう。
ガラス瓶はあらかじめ消毒しておく。これがテラリウムの容器になる。
今回用意したのは大体二リットルくらい入るもので、口径もそこそこ大きめだ。
そのガラス瓶の底に吸水シートを敷き、その上から、空気が入らないよう注意しながら餡子を詰めていく。
餡子の量は、大体ガラス瓶の半分くらいまでを満たした。本来ならここまで必要でもないのだけど、今回はちょっと事情があるのだ。
さて、餡子の表面を平らに均したら、そこに瓶と同じ直径に切り取ったコケのシートを敷いていく。
このコケが今回のテラリウムの肝だ。
このコケは、ゆっくりの死体の上でも積極的に繁茂できるコケで、一年ほど前に発見された新種だ。
普通のコケ同様、水と日光でも十分生育できるが、同時に糖分をエネルギーにすることができるという。
ゆっくりに合わせて進化したコケなのか、はたまた昔から存在していたのかは分からないが、いずれにせよゆっくりを食物連鎖の中に組み込み直す役割をしていると言える。
これでこのコケを使う理由がお分かりいただけただろうと思う。
このコケなら、ゆっくりのしーしーもうんうんも悪影響を与えることなく吸収できてしまうのだ。
普通のコケ同様過剰な水分を吸い取り、一定の潤いを保ってくれるので、ゆっくりテラリウムを作る上での必需品だ。
大変な人気商品でずっと品薄状態だったのを、ようやく今日、手に入れることができたわけだ。
表面がコケの緑一色になったところに、松の木のミニチュアを突き刺す。これは根元が空洞になっていて、巣の役割を果たすものだ。
その空洞部分には、眠るゆっくりがコケから過剰に水分を吸い取ってしまわないようにクッションを敷いておく。
これで環境は整った。
最後に、このテラリウムの主役とも言える、ゆっくりの準備だ。
砂糖水につけていた蔓から、僕はまだ目も開かない赤れいむをもぎ取り、薬液を充填した注射器を突き刺した。
「ゆぎゅっ」
手の中で小さく呻き、赤れいむの顔が苦しそうに歪む。
僕が注射したのは成長抑制剤だ。これで、テラリウムで過ごすれいむが成長することはない。
本来ならこういった場合、改良されたゆっくりである『まめゆっくり』というものを使うことが多い。
最大でも直径4cm程度にしかならず、それでいて通常のゆっくりと同じ機能を備えた品種だ。
最初は僕もそれを使おうと思っていたのだが、それもまた、ちょっとした事情というヤツだ。
それに、赤ゆっくりだからこその利点もある。頭の中身も成長しないので、余計なことを考えないでくれる。狭い空間に文句を漏らすこともない。
行動原理は極めて単純。食べて遊んで食べて寝る、なんとも本能に忠実な生き方をしてくれる。
……おっと、そろそろ赤れいむが目覚めそうだ。
僕はコケの地面の上にそっと赤れいむを置くと、きっちりと蓋を閉め、直射日光の当たらない窓辺に置いた。
はてさて、上手くいくだろうか。
ゆっくりれいむは目を覚ました。
「ゆ……ゆ……ゆっきゅりしちぇいっちぇね!」
満面の笑顔で、餡子に刻まれた生誕の挨拶をする。
だが、どこからも返事はない。
「ゆ?」
右を見ても、左を見ても、広がるのは黄緑色の地面ばかりで誰もいない。
「ゆ!? ゆゆっ!?」
母親も父親も、姉妹達もいなかった。本当に誰もいなかった。
「ゆぇぇぇん!! おかーしゃんもおとーしゃんもどこにゃのぉぉぉぉ!!??」
泣き叫びながら跳ね回るが、自分の声が空虚に響くばかりで、どこからも誰も姿を現してくれない。
「いじわりゅしにゃいででてきちぇねぇぇぇ!! れーみゅここにいりゅよぉぉぉ!! おかーしゃん、おかーしゃぁぁぁん!!」
一頻り泣き喚いたところで、れいむは動きを止めた。諦めたのではなく、体力が尽きたのだ。生まれてからまだ何も食べてないのだから当然だ。
「ゆぐっ、ゆぐぅ、おにゃかすいたよぉぉ……」
しかしここには、蔓を食べさせてくれる母親はいない。このままだとれいむは餓えるだけだ。
だが視線を落とした先の地面は、なんだかゆっくりできそうなふかふかの緑色だ。
「ゆぅぅ、このふかふかしゃんをたべちぇみるよ……」
半ば仕方なくといった感じで、れいむはふかふかさんを口に含んだ。
「むーちゃ、むーちゃ……ゆゆぅっ! ち、ちあわちぇ~!」
れいむの顔が太陽のように明るくなった。ふかふかさんは思いのほか食べやすく、また美味しかった。
「……ゆぅぅ」
だが、『しあわせー』を分かち合う家族はいない。それがれいむには寂しかった。
それを紛らわすように、れいむはお腹一杯になるまでふかふかさんを食べた。
するとどうだろう。食べているうちに、不思議と寂しい気持ちはなくなっていった。
お腹が膨れてきたせいもあるのだろうが、何故だかこのふかふかさんは、とてもゆっくりできる味がしたのだ。
あっという間に、周りの苔は薄くなってしまった。
「ゆふぅー、もうたべりぇにゃいよ。……ゆゆっ! しーしーしちゃくなってきちゃよ! しーしーしゅるよ!」
本能に忠実に、れいむは食後のしーしーを満喫する。それからしばらく寝転んでいたが、ふと、辺りが暗くなり始めていることに気づいた。
「ゆぅぅ……にゃんだかゆっきゅりできにゃいよ……ゆっきゅりいどうしゅるよ」
餡子に刻まれた記憶だろうか、『夜になるとゆっくりできない』ということをれいむは理解しているようだ。
右往左往しながら移動していると、ふと、一本の木が目に入った。根元が空洞になっていて、ちょうどれいむが入れそうな大きさだ。
「ゆゆっ! だれもいにゃいみたいだから、ここをれいみゅのおうちにするよ!」
頭から空洞に突っ込んで、尻を振りながら振り向いて、恒例のおうち宣言をする。
「ここはれーみゅのおうちだよ! ゆっきゅりしちぇいっちぇね!」
しかしやはり、答えてくれる者はいないのだ。
「……ゆぅぅ、どうしちぇだれもいにゃいのぉぉ……」
寂しさを募らせるが、そうしたところで事態が解決するわけでもない。れいむは終始ぐずりながら、やがて眠りに落ちた。
「ゆ……ゆ……ゆっきゅりしちぇいっちぇね!」
満面の笑顔で、餡子に刻まれた生誕の挨拶をする。
だが、どこからも返事はない。
「ゆ?」
右を見ても、左を見ても、広がるのは黄緑色の地面ばかりで誰もいない。
「ゆ!? ゆゆっ!?」
母親も父親も、姉妹達もいなかった。本当に誰もいなかった。
「ゆぇぇぇん!! おかーしゃんもおとーしゃんもどこにゃのぉぉぉぉ!!??」
泣き叫びながら跳ね回るが、自分の声が空虚に響くばかりで、どこからも誰も姿を現してくれない。
「いじわりゅしにゃいででてきちぇねぇぇぇ!! れーみゅここにいりゅよぉぉぉ!! おかーしゃん、おかーしゃぁぁぁん!!」
一頻り泣き喚いたところで、れいむは動きを止めた。諦めたのではなく、体力が尽きたのだ。生まれてからまだ何も食べてないのだから当然だ。
「ゆぐっ、ゆぐぅ、おにゃかすいたよぉぉ……」
しかしここには、蔓を食べさせてくれる母親はいない。このままだとれいむは餓えるだけだ。
だが視線を落とした先の地面は、なんだかゆっくりできそうなふかふかの緑色だ。
「ゆぅぅ、このふかふかしゃんをたべちぇみるよ……」
半ば仕方なくといった感じで、れいむはふかふかさんを口に含んだ。
「むーちゃ、むーちゃ……ゆゆぅっ! ち、ちあわちぇ~!」
れいむの顔が太陽のように明るくなった。ふかふかさんは思いのほか食べやすく、また美味しかった。
「……ゆぅぅ」
だが、『しあわせー』を分かち合う家族はいない。それがれいむには寂しかった。
それを紛らわすように、れいむはお腹一杯になるまでふかふかさんを食べた。
するとどうだろう。食べているうちに、不思議と寂しい気持ちはなくなっていった。
お腹が膨れてきたせいもあるのだろうが、何故だかこのふかふかさんは、とてもゆっくりできる味がしたのだ。
あっという間に、周りの苔は薄くなってしまった。
「ゆふぅー、もうたべりぇにゃいよ。……ゆゆっ! しーしーしちゃくなってきちゃよ! しーしーしゅるよ!」
本能に忠実に、れいむは食後のしーしーを満喫する。それからしばらく寝転んでいたが、ふと、辺りが暗くなり始めていることに気づいた。
「ゆぅぅ……にゃんだかゆっきゅりできにゃいよ……ゆっきゅりいどうしゅるよ」
餡子に刻まれた記憶だろうか、『夜になるとゆっくりできない』ということをれいむは理解しているようだ。
右往左往しながら移動していると、ふと、一本の木が目に入った。根元が空洞になっていて、ちょうどれいむが入れそうな大きさだ。
「ゆゆっ! だれもいにゃいみたいだから、ここをれいみゅのおうちにするよ!」
頭から空洞に突っ込んで、尻を振りながら振り向いて、恒例のおうち宣言をする。
「ここはれーみゅのおうちだよ! ゆっきゅりしちぇいっちぇね!」
しかしやはり、答えてくれる者はいないのだ。
「……ゆぅぅ、どうしちぇだれもいにゃいのぉぉ……」
寂しさを募らせるが、そうしたところで事態が解決するわけでもない。れいむは終始ぐずりながら、やがて眠りに落ちた。
翌朝。
「ゆ……ゆっきゅしりちぇいっちぇね!」
朝の光に照らされ、れいむは目を覚ました。
挨拶に答えてくれるものは、案の定誰もいない。れいむはしばらく落ち込んでいたが、やがておうちを出ると、そこらに生えている苔を適当に食べ始めた。
「ふかふかしゃんはとちぇもゆっきゅりできりゅよ!」
むーしゃむーしゃしている間、れいむは幸せだった。いいや、食べ終わってふかふかさんの上を転がっていても幸せだった。
「ゆっゆーん、ゆぅ~♪ ゆふ~ん♪」
歌を歌いながら、れいむはとてもゆっくりしていた。
「ゆふん! おなかいっぱいになっちゃからうんうんしちゃくなってきちゃよ! うんうんしゅるよ! ゆぅぅ~、ちゅっきり~☆」
と、れいむは自分が食べた跡地にたっぷりうんうんを出した。
満足げなれいむだったが、ふと我に返って前を見ると、そこには今しがた自分が出したばかりのうんうんが盛られている。
「ゆぅぅ! うんうんはゆっきゅりできにゃいよ! ゆっきゅりにぎぇりゅよ!」
慌てて別の場所に移動するれいむ。うんうんが視界に入らなくなったところで、安心してれいむはお昼寝を始めた。
「ゆ……ゆっきゅしりちぇいっちぇね!」
朝の光に照らされ、れいむは目を覚ました。
挨拶に答えてくれるものは、案の定誰もいない。れいむはしばらく落ち込んでいたが、やがておうちを出ると、そこらに生えている苔を適当に食べ始めた。
「ふかふかしゃんはとちぇもゆっきゅりできりゅよ!」
むーしゃむーしゃしている間、れいむは幸せだった。いいや、食べ終わってふかふかさんの上を転がっていても幸せだった。
「ゆっゆーん、ゆぅ~♪ ゆふ~ん♪」
歌を歌いながら、れいむはとてもゆっくりしていた。
「ゆふん! おなかいっぱいになっちゃからうんうんしちゃくなってきちゃよ! うんうんしゅるよ! ゆぅぅ~、ちゅっきり~☆」
と、れいむは自分が食べた跡地にたっぷりうんうんを出した。
満足げなれいむだったが、ふと我に返って前を見ると、そこには今しがた自分が出したばかりのうんうんが盛られている。
「ゆぅぅ! うんうんはゆっきゅりできにゃいよ! ゆっきゅりにぎぇりゅよ!」
慌てて別の場所に移動するれいむ。うんうんが視界に入らなくなったところで、安心してれいむはお昼寝を始めた。
そんな感じで、れいむはお腹がすいたらふかふかさんを食べ、食べ終わったらうんうんをして、あとは遊ぶかお昼寝をした。
暗くなってきたらおうちに帰り、眠り、次の朝を待つだけだ。
三日もすると寂しげな表情を見せることもなくなり、いつもゆっくりした表情でいた。
そこかしこで出したはずのうんうんは、何故かいつの間にかなくなっている。もっとも、れいむはどこで自分がうんうんしたかなど覚えてはいないが。
「ゆ~ん♪ れーみゅはとちぇもゆっきゅりできちぇりゅよ! ちあわちぇ~♪」
れいむは幸せだった。
ふかふかさんは柔らかくてとてもゆっくりできるし、とてもおいしい。
寂しくなんかなかった。一人で遊んだり、お歌を歌ったりするだけで、とてもゆっくりできる。
れいむは、この世の何のしがらみに悩まされることもない、世界一幸せなゆっくりだった。
暗くなってきたらおうちに帰り、眠り、次の朝を待つだけだ。
三日もすると寂しげな表情を見せることもなくなり、いつもゆっくりした表情でいた。
そこかしこで出したはずのうんうんは、何故かいつの間にかなくなっている。もっとも、れいむはどこで自分がうんうんしたかなど覚えてはいないが。
「ゆ~ん♪ れーみゅはとちぇもゆっきゅりできちぇりゅよ! ちあわちぇ~♪」
れいむは幸せだった。
ふかふかさんは柔らかくてとてもゆっくりできるし、とてもおいしい。
寂しくなんかなかった。一人で遊んだり、お歌を歌ったりするだけで、とてもゆっくりできる。
れいむは、この世の何のしがらみに悩まされることもない、世界一幸せなゆっくりだった。
「ふむふむ、上手く行ってるな」
ゆっくりテラリウムを作って一週間後、僕は満足して頷いた。
結果は、大成功だと言っていい。
れいむはコケを食料として生活し、コケはれいむの排泄物を栄養に食べられた部分を修復する。
れいむが適度なダメージを与えることでコケが異常に繁茂することを防ぎ、れいむは成長しないので、食べる量は常に一定だ。
テラリウム内の生態系は、れいむとコケの間で完全に循環していた。
また、一週間をすぎてもれいむに何の異常行動も見られないのは、僕の試みが功を奏したのだと思う。
ゆっくりはストレスに弱い。
本当なら赤ゆっくり一匹でこんな状況に置いていたら、親を求めて夜泣きをしたりして、だんだん衰弱していってしまう。
衰弱して動きが鈍くなってくると、ここぞとばかりにコケが生きたゆっくりの上にも生え始める。
そうなるともうお終いだ。ゆっくりはそのうち死んでしまい、その死体もコケに飲み込まれてしまう。
だがテラリウムの中のれいむは、寂しがっていたのは最初だけで、今はいつも楽しそうだ。コケとおうち以外、何もない場所なのに。
「……本能的に悟っているのかな。それとも、母の愛ってやつかな?
どうだろう、れいむ」
と僕は、お昼寝をする赤れいむ――ではなく、その下、ガラスから透けて見える餡子に向けて呟いていた。
ゆっくりテラリウムを作って一週間後、僕は満足して頷いた。
結果は、大成功だと言っていい。
れいむはコケを食料として生活し、コケはれいむの排泄物を栄養に食べられた部分を修復する。
れいむが適度なダメージを与えることでコケが異常に繁茂することを防ぎ、れいむは成長しないので、食べる量は常に一定だ。
テラリウム内の生態系は、れいむとコケの間で完全に循環していた。
また、一週間をすぎてもれいむに何の異常行動も見られないのは、僕の試みが功を奏したのだと思う。
ゆっくりはストレスに弱い。
本当なら赤ゆっくり一匹でこんな状況に置いていたら、親を求めて夜泣きをしたりして、だんだん衰弱していってしまう。
衰弱して動きが鈍くなってくると、ここぞとばかりにコケが生きたゆっくりの上にも生え始める。
そうなるともうお終いだ。ゆっくりはそのうち死んでしまい、その死体もコケに飲み込まれてしまう。
だがテラリウムの中のれいむは、寂しがっていたのは最初だけで、今はいつも楽しそうだ。コケとおうち以外、何もない場所なのに。
「……本能的に悟っているのかな。それとも、母の愛ってやつかな?
どうだろう、れいむ」
と僕は、お昼寝をする赤れいむ――ではなく、その下、ガラスから透けて見える餡子に向けて呟いていた。
それは僕が、遂に念願のコケシートを手に入れ、足取りも軽く家路についていたそのときのことだ。
「お……おにー、ざん」
ふと、道の脇の茂みから、ゆっくりの声が聞こえた。
思わず足を止めると、そこにいたのは成体のゆっくりれいむだった。
だがその姿は見るも無残なものだ。片目は潰れていて歯は何本もかけている。破けた頬からは、餡子が漏れ出していた。
れいむの頭からは、植物型妊娠をしたときの蔓が生えていた。しかし、そこに実っているのはたった一匹の赤れいむだけ。
他にも何匹か実っていた痕跡はあるが、どれも引きちぎられたようにしてなくなっていた。
「お、おねがい、じばす。れ、れいむの……れいむの、おちびちゃんを、どうかゆっぐりさせてくださいぃ……」
息も絶え絶えに、それでもれいむは身を乗り出して懇願してきた。
「れ、れいぶは、どうなっでもいいでずがら……しんでも、いいでずがらぁ……
あがぢゃんだげは、どうかっ、だずげでぐだざいぃ……! おねがいしまずぅぅぅ……!」
バッチがついていないし、傷ついていない箇所も薄汚れていて、どう見ても野良ゆっくりだったが、その割には礼儀ができていた。
顔面をずりずりとアスファルトに擦りつけながら、僕に全身全霊でお願いしてきた。
その姿に心打たれた、というわけではないが、れいむを見ていて、僕は良いアイディアを思いついたのだ。
僕は腰を落として、れいむに顔を上げさせ、訊いた。
「うーん、本当にれいむには何でもしていいんだね? おちびちゃんをゆっくりさせるなら」
「いいでずっ! でいぶ、なんでもじまずがら、どうかおぢびぢゃんだげばぁぁぁぁ!」
「あーあー分かったから。それ以上泣くと餡子漏れて死んじゃうよ。落ち着いてね、れいむ。
まあ、そこまで言うなら分かったよ。でも本当にゆっくりさせてあげられるかは分からないよ。努力はするけど」
「ぞれでも、いいでず……! おぢびちゃんがずごじでもゆっぐりでぎるがもじれないなら!
ありがどうございばずっ、ありがどうございばずぅぅ……!」
またも地面に顔を擦りつけながら、とうとうれいむは気を失った。というより、人間で言えばもう死の間際の昏睡状態だ。
このれいむは、あとはゆっくりと生命活動を停止していくだけだ。
僕はそのれいむを抱きかかえ、急ぎ足で再び歩き出した。
「お……おにー、ざん」
ふと、道の脇の茂みから、ゆっくりの声が聞こえた。
思わず足を止めると、そこにいたのは成体のゆっくりれいむだった。
だがその姿は見るも無残なものだ。片目は潰れていて歯は何本もかけている。破けた頬からは、餡子が漏れ出していた。
れいむの頭からは、植物型妊娠をしたときの蔓が生えていた。しかし、そこに実っているのはたった一匹の赤れいむだけ。
他にも何匹か実っていた痕跡はあるが、どれも引きちぎられたようにしてなくなっていた。
「お、おねがい、じばす。れ、れいむの……れいむの、おちびちゃんを、どうかゆっぐりさせてくださいぃ……」
息も絶え絶えに、それでもれいむは身を乗り出して懇願してきた。
「れ、れいぶは、どうなっでもいいでずがら……しんでも、いいでずがらぁ……
あがぢゃんだげは、どうかっ、だずげでぐだざいぃ……! おねがいしまずぅぅぅ……!」
バッチがついていないし、傷ついていない箇所も薄汚れていて、どう見ても野良ゆっくりだったが、その割には礼儀ができていた。
顔面をずりずりとアスファルトに擦りつけながら、僕に全身全霊でお願いしてきた。
その姿に心打たれた、というわけではないが、れいむを見ていて、僕は良いアイディアを思いついたのだ。
僕は腰を落として、れいむに顔を上げさせ、訊いた。
「うーん、本当にれいむには何でもしていいんだね? おちびちゃんをゆっくりさせるなら」
「いいでずっ! でいぶ、なんでもじまずがら、どうかおぢびぢゃんだげばぁぁぁぁ!」
「あーあー分かったから。それ以上泣くと餡子漏れて死んじゃうよ。落ち着いてね、れいむ。
まあ、そこまで言うなら分かったよ。でも本当にゆっくりさせてあげられるかは分からないよ。努力はするけど」
「ぞれでも、いいでず……! おぢびちゃんがずごじでもゆっぐりでぎるがもじれないなら!
ありがどうございばずっ、ありがどうございばずぅぅ……!」
またも地面に顔を擦りつけながら、とうとうれいむは気を失った。というより、人間で言えばもう死の間際の昏睡状態だ。
このれいむは、あとはゆっくりと生命活動を停止していくだけだ。
僕はそのれいむを抱きかかえ、急ぎ足で再び歩き出した。
もうご理解いただけたと思うが、テラリウムの土台になっている餡子は、母れいむの餡子。
それも中枢餡とその周りを、丸ごと切り出したものだ。
母れいむの中枢餡がまだ生きているのかは分からない。切り出す時点で既に反応がなくなっていたからだ。
だがその上で暮らす赤れいむが、全く寂しげな様子を見せないところを見るに、本能的に理解しているのかもしれなかった。
赤ゆっくりにとって最大の幸福とは、親と一緒にいることだ。
あの赤れいむは、母れいむという大地の上に生きている。ならば、寂しがるはずなどない。
これならば、このゆっくりテラリウムはかなり長いこと保ってくれるだろう。僕も思う存分楽しめるというものだ。
苔が水分を失ったり、赤れいむが病気になったりする可能性などはあるが、それさえ気をつけてやれば大丈夫だ。
「思う存分、ゆっくりしていってね」
聞こえていないだろうが、幸せそうな赤れいむに、僕は微笑みかけた。
「さて、あとは……」
それも中枢餡とその周りを、丸ごと切り出したものだ。
母れいむの中枢餡がまだ生きているのかは分からない。切り出す時点で既に反応がなくなっていたからだ。
だがその上で暮らす赤れいむが、全く寂しげな様子を見せないところを見るに、本能的に理解しているのかもしれなかった。
赤ゆっくりにとって最大の幸福とは、親と一緒にいることだ。
あの赤れいむは、母れいむという大地の上に生きている。ならば、寂しがるはずなどない。
これならば、このゆっくりテラリウムはかなり長いこと保ってくれるだろう。僕も思う存分楽しめるというものだ。
苔が水分を失ったり、赤れいむが病気になったりする可能性などはあるが、それさえ気をつけてやれば大丈夫だ。
「思う存分、ゆっくりしていってね」
聞こえていないだろうが、幸せそうな赤れいむに、僕は微笑みかけた。
「さて、あとは……」
僕は縁側から外に出ると、軒下に置かれた、青いビニールシートの被さった木箱をそっと覗いた。
中で、もぞもぞと動く影がある。しなびた帽子を被ったそれは、ゆっくりまりさの子供だ。
子まりさは這うようにして移動すると、部屋の隅にあるふかふかした何かに近づいていった。
「むーしゃ……むーしゃ……するよ……」
そう独り呟いて、子まりさは食事を始める。
子まりさが食べているのは、赤れいむと同じ、あのコケだ。
「うんうん……するよ……」
食事が終わると、子まりさは別の隅に向かい、うんうんをする。
それをしばらく眺めたあと、子まりさはさっきまで食事していた場所に向かい、コケを少しだけ引き剥がすと、それを食べるでもなく運び始めた。
そしてそのコケを、先ほど排泄したうんうんの上に慎重に乗せる。
「ゆっくり……ねるよ……」
呟いて、子まりさはおうちに帰っていく。
子まりさのおうちは――成体まりさの帽子だった。
中で、もぞもぞと動く影がある。しなびた帽子を被ったそれは、ゆっくりまりさの子供だ。
子まりさは這うようにして移動すると、部屋の隅にあるふかふかした何かに近づいていった。
「むーしゃ……むーしゃ……するよ……」
そう独り呟いて、子まりさは食事を始める。
子まりさが食べているのは、赤れいむと同じ、あのコケだ。
「うんうん……するよ……」
食事が終わると、子まりさは別の隅に向かい、うんうんをする。
それをしばらく眺めたあと、子まりさはさっきまで食事していた場所に向かい、コケを少しだけ引き剥がすと、それを食べるでもなく運び始めた。
そしてそのコケを、先ほど排泄したうんうんの上に慎重に乗せる。
「ゆっくり……ねるよ……」
呟いて、子まりさはおうちに帰っていく。
子まりさのおうちは――成体まりさの帽子だった。
あれはゆっくりテラリウムを完成させてから、三十分くらい経った時のことだ。
「ゆっへっへ、おいくずれいむ! そこにいるのはわかってるんだぜ! はやくでてくるんだぜ!」
にわかに、庭先が騒がしくなった。もう声を聞くだけでも分かる。どこぞのゲスまりさだろう。
仕方なしに出て行くと、そこでは薄汚いまりさがでっぷりとした下顎を張って、傲慢な口調でまくし立ててきた。
「おいじじい! さっさとれいむをだすんだぜ! おまえがかくまっているのはこのまりささまにはおみとおしなんだぜ!」
「なんだじぇ!」
成体まりさの隣には、子まりさと赤まりさの中間くらいのまりさがいた。
大きさの割りに赤ちゃん言葉が抜けてないあたり、胎生妊娠で産まれたのだろうか。
「さっさとだせといってるんだぜくそじじい! あんなくずをかくまうならおまえもどうざいなんだぜ!」
「なんだじぇ!」
「このまりささまのまえで、くずをかばうようなげすにんげんさんは、さっさとしぬがいいんだぜ!」
「いいんだじぇ!」
「でもまあまりささまはかんだいなんだぜ! あまあまさんをたくさんもってきたらゆるしてやらないこともないんだぜ?」
「だじぇー?」
「おっと、でもれいむはだしてもらうんだぜ! じじいはあのくずれいむがどんだけひどいゆっくりかしらないんだぜ!」
「だじぇ!」
「あのくずれいむ、せっかくまりささまがすっきりしてやったのに、いやがったんだぜ!
せかいでいちばんのびゆっくりであるまりささまのすっきりあいてになるえいよにあずかったくせに!」
「くしぇに!」
「しかもまりささまのきょかなくかってににんっしんっするとか……
あのくず、こどもをにんちさせてまりささまからさくしゅするつもりとは、とんださぎゆっくりなのぜ!」
「なのじぇ!」
「だからまりささまじきじきにせいさいしてやろうとしたのに、にげだしやがったんだぜ! おうじょうぎわのわるいやつなんだぜ!」
「だじぇ!」
「ほーら、これであたまのわるいくそじじいも、れいむがどんだけくずかわかったんだぜ! わかったらさっさとだし」
と、そこまで喋らせたところで潰した。いやもう、どうしようもなかった。いろんな意味で。
「お、おとーしゃぁぁぁぁんん!!??」
泣き叫ぶ子まりさも潰して、生ゴミとして処分しても良かったが、ここで僕はふと思いついた。
子まりさを捕まえて、親まりさの死体と、中枢餡を取り出したれいむの死体と一緒に箱に入れてあげた。
「はいはい、お前らが探してたれいむってこれだろ。もう抜け殻だけど、くれてやるよ」
「ゆびゃぁぁぁぁぁぁぁあ!!!???」
死体を死体と認識する程度の知能はあったらしい。凄い勢いで泣き叫んだ。
僕は箱の中に、ゆっくりテラリウムを作ったときにあまったコケのシートの切れ端を入れると、上からビニールシートをかぶせて放置した。
「ゆっへっへ、おいくずれいむ! そこにいるのはわかってるんだぜ! はやくでてくるんだぜ!」
にわかに、庭先が騒がしくなった。もう声を聞くだけでも分かる。どこぞのゲスまりさだろう。
仕方なしに出て行くと、そこでは薄汚いまりさがでっぷりとした下顎を張って、傲慢な口調でまくし立ててきた。
「おいじじい! さっさとれいむをだすんだぜ! おまえがかくまっているのはこのまりささまにはおみとおしなんだぜ!」
「なんだじぇ!」
成体まりさの隣には、子まりさと赤まりさの中間くらいのまりさがいた。
大きさの割りに赤ちゃん言葉が抜けてないあたり、胎生妊娠で産まれたのだろうか。
「さっさとだせといってるんだぜくそじじい! あんなくずをかくまうならおまえもどうざいなんだぜ!」
「なんだじぇ!」
「このまりささまのまえで、くずをかばうようなげすにんげんさんは、さっさとしぬがいいんだぜ!」
「いいんだじぇ!」
「でもまあまりささまはかんだいなんだぜ! あまあまさんをたくさんもってきたらゆるしてやらないこともないんだぜ?」
「だじぇー?」
「おっと、でもれいむはだしてもらうんだぜ! じじいはあのくずれいむがどんだけひどいゆっくりかしらないんだぜ!」
「だじぇ!」
「あのくずれいむ、せっかくまりささまがすっきりしてやったのに、いやがったんだぜ!
せかいでいちばんのびゆっくりであるまりささまのすっきりあいてになるえいよにあずかったくせに!」
「くしぇに!」
「しかもまりささまのきょかなくかってににんっしんっするとか……
あのくず、こどもをにんちさせてまりささまからさくしゅするつもりとは、とんださぎゆっくりなのぜ!」
「なのじぇ!」
「だからまりささまじきじきにせいさいしてやろうとしたのに、にげだしやがったんだぜ! おうじょうぎわのわるいやつなんだぜ!」
「だじぇ!」
「ほーら、これであたまのわるいくそじじいも、れいむがどんだけくずかわかったんだぜ! わかったらさっさとだし」
と、そこまで喋らせたところで潰した。いやもう、どうしようもなかった。いろんな意味で。
「お、おとーしゃぁぁぁぁんん!!??」
泣き叫ぶ子まりさも潰して、生ゴミとして処分しても良かったが、ここで僕はふと思いついた。
子まりさを捕まえて、親まりさの死体と、中枢餡を取り出したれいむの死体と一緒に箱に入れてあげた。
「はいはい、お前らが探してたれいむってこれだろ。もう抜け殻だけど、くれてやるよ」
「ゆびゃぁぁぁぁぁぁぁあ!!!???」
死体を死体と認識する程度の知能はあったらしい。凄い勢いで泣き叫んだ。
僕は箱の中に、ゆっくりテラリウムを作ったときにあまったコケのシートの切れ端を入れると、上からビニールシートをかぶせて放置した。
その結果が、さっきの子まりさというわけだ。
あの子まりさは、まりさやれいむの死体をそのまま食うのではなく、その上に繁茂したコケを食べることで命を永らえることを選んだらしい。
しかも自分のうんうんにコケを植えることで、擬似的ながら栽培活動を行っている。ゆっくりにしては画期的な思い付きだ。
あまり期待はしていなかったけれど、これも一つのテラリウムと言えるかもしれない。
ただ違うのは、こちらにははっきりと生態系の終末が見えているということ。
子まりさには成長抑制剤を投与していない。成長に伴って食事の量は増え、いずれコケの繁茂が追いつかなくなってくるだろう。
そうなれば、あとは飢え死を待つばかりだ。
或いは、それより先に子まりさが衰弱して、生きながらにコケに覆い尽くされるかもしれない。
いずれにせよ最後には、この箱の中はコケで満たされる。わざわざ買い足す必要がなくて僕には嬉しい限りだ。
「そうなったら、今度はもう少し大きなテラリウムを作ってみようか。ちゃんとしたまめゆっくりも買って……
それとも赤ゆっくりばかりたくさん用意するのもいいかな? 悩むなぁ……」
今後の楽しみに思いを馳せながら、僕は赤れいむのいる家の中に戻っていった。
あの子まりさは、まりさやれいむの死体をそのまま食うのではなく、その上に繁茂したコケを食べることで命を永らえることを選んだらしい。
しかも自分のうんうんにコケを植えることで、擬似的ながら栽培活動を行っている。ゆっくりにしては画期的な思い付きだ。
あまり期待はしていなかったけれど、これも一つのテラリウムと言えるかもしれない。
ただ違うのは、こちらにははっきりと生態系の終末が見えているということ。
子まりさには成長抑制剤を投与していない。成長に伴って食事の量は増え、いずれコケの繁茂が追いつかなくなってくるだろう。
そうなれば、あとは飢え死を待つばかりだ。
或いは、それより先に子まりさが衰弱して、生きながらにコケに覆い尽くされるかもしれない。
いずれにせよ最後には、この箱の中はコケで満たされる。わざわざ買い足す必要がなくて僕には嬉しい限りだ。
「そうなったら、今度はもう少し大きなテラリウムを作ってみようか。ちゃんとしたまめゆっくりも買って……
それとも赤ゆっくりばかりたくさん用意するのもいいかな? 悩むなぁ……」
今後の楽しみに思いを馳せながら、僕は赤れいむのいる家の中に戻っていった。
* あとがき
願望を形にしました。
小さいゆっくりならぜひとも飼ってみたいです。
小さいゆっくりならぜひとも飼ってみたいです。
dgz
挿絵:嘆きあき