ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko2536 おにいさんの生まれた日
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『おにいさんの生まれた日』 20KB
虐待 不運 番い 野良ゆ 赤ゆ ゲス 現代 虐待人間 独自設定 初投稿となります…。
初投稿となります…。様々未熟な点がある事とは思いますが、どうぞゆっくりしていって下さい…。
※注 ・読み易さ優先の為、ゆっくりの言にもある程度漢字を使用していますが、知性を表すものではありません。
・赤ゆっくりの言は、基本拙く書きますが、これもまた読み易さ優先の為、分りにくい場合は直下に漢字変換後の言を併記致します。
・どちらかと言うと、人間にライトが当たっている物語です…。
以上の点を踏まえた上で、宜しくお願い致します…。
「ゆぅ~ん、れいむとまりさのおちびちゃん、とってもゆっくりしているね!」
「本当なんだぜ……!可愛いおちびちゃんはゆっくりしないで生まれてきてね!」
「もう、まりさったらせっかちなんだから…」
「ゆふふ、楽しみなんだぜ~!」
茎にたわわと実った赤ゆ達に向かい、二匹は語りかける。
ゆっくりしていってね、と。
今、二匹は至上の幸せを噛み締めていた。
子育てが上手いと自負し、決して「でいぶ」なるものの片鱗すら見せない、とてもゆっくりしたれいむ。
群れ一番の狩り名手と評判で、あのれみりゃすら撃退したことのある、とてもゆっくりしたまりさ。
季節は春。燕が空を舞い、桜吹雪も華麗に舞っている。無事に冬篭りから抜け出し、食料備蓄の心配も無い。
群れの長は、ここ数代で最高の傑物と誉れの高いぱちゅりー。人間相手の恐ろしさを十分に理解し、辺り十里に、この群れほどに人畜無害なものは無い。
また、加工所の職員が割り入ってくる街中に生息している訳でも無く、山奥深くにひっそりと暮らしている。
この群れ、そして最初の二匹は、艱難辛苦あろうとも天寿を全うし、永遠にゆっくりするその刹那まで、幸せを感じ続けたことであろう。
あの男が現れなければ。
--おにいさんの生まれた日--
「…え、その話、本当なんですか……?」
「…君にはすまないと思っているがね……。これも社命でね……」
俺は思わず耳を疑った。
辞令「右の者は来月付けで、ハクレイ支店への異動を命ずる」
もともと俺は、それ程に出来のいい人間ではなかった。
小中高と普通の公立校を卒業し、可もなく不可もなく二流の大学に入学し、そして何事も無く卒業した。
今の会社、そう、つまりこの「ゆっくり関連商品卸会社」に入社することになったきっかけだって、たまたま早めに内定が出たからに過ぎない。
入社後の業務は非常に難解だった。中でも、ブリーダーからのゆっくり買い付けは、最近流行の金ゲスや、始めは善良固体でも、ある程度の期間を経て精神が肥大化し、
徐々にゲス化していく金ゆっくりの増加などによって、その難度の上昇は、まさには天井知らずだった。
しかし、俺は挫折せず、ここまで無難にこなしてきたつもりだ。お得意のブリーダーだって数人作った。ペットショップからの評判も上々。だが、その矢先にこれだ。
左遷、そんな言葉が脳裏をよぎる。何故だ。俺がいったい何をした……。
「これは仕方の無いことなんだよ……。ゆっくりバブルもはじけてね……。昔のように『入れ食い』状態とはいかないんだよ……。業務の縮小も兼ね、余剰人員の配置換えを行ったのだ……」
課長がそう言った。……何を、何を言っている……?じゃあ、お前が今、居座っている本社課長席は何だ……?部署丸々潰して人員も四割以上が飛ばされているという惨禍で、お前が座っているのはいったい何だ……?
皆知っている。お前がその席を保守する為に、率先して他人を飛ばしていったと。そんなことがあってたまるか……!
俺はそう言ってやりたかった。言いたい。言えばいいさ。だが言えない。会社で働くというのはそういうことだ。
「……はい。荷物は後日、まとめますから……」
俺は、力なく、答えた。
一週間後、俺は大自然の只中にいた。まさにその表現が正しい。
辺り一面の緑。あるものといえば水田に農道、そして山、山、山。
時代から取り残されたかに見えるこの地域に、何故かハクレイ支店は存在した。
社員は俺を含め五名。支店長始め、皆一様にやる気が無い。
「支店長、この新しい案件なのですが……」
「あぁ、それは君のほうで話を通しておいて」
「支店長、先日の取引にて不備が……」
「あぁ、それは君のほうで解決しておいて」
「支店長、ブリーダーのほうから、納期が遅れるとの通達が……」
「あぁ、それは君のほうで処理しておいて」
……何故この支店は存在する。何故皆働かない。
むしろ、率先して仕事を作ろうとしている俺を、あからさまに煙たがっている。……働くとは何だ?仕事とは何だ?
日がな一日、古いデスクトップパソコンで、マインスイーパーをすることが働くことなのか……?
日がな一日、事務所でご丁寧に爪の手入れをすることが仕事なのか……?
分らない、解らない、判らない……!俺が腐っていく……。
そしていつしか、俺もそんな連中の仲間入りを果たしていた。ここは、笑うところだ。
暫くして分かったのだが、この支店はどうもお役所から「下がってきた人」のポストがあるらしい。
なるほど。あの、時たま顔をあらわしては印を押し、ご高説垂れて帰っていくジイさんか。
黙っていても役所のほうから、「地域振興支援金」だの「地域産業活性支援金」だのよく分からない書類が届くのは、そういうカラクリがある訳か……。
世の中どうかしている。だが、それでこの国がまわっているのだ。いいではないか。
いつしか、そんな退廃的な思考が脳内を巡るようになっていた。
九時に出勤し、ファイル一冊程度の書類に必要事項を記入し、支店長に印を貰う。そして十七時にタイムカードを押し、蛙や虫達の合唱を聴きつつ自転車で農道を帰る……。
楽しいなぁ……。人生、初月(イージーモード)だよ。田舎で暮らすには十分な手取り……。安心の福利厚生……。さあ、家に帰って一人で飯を炊き、風呂に入って早く寝よう……。
そんな生活が半年も続いたときのことだった。
「……お疲れ様でした。お先に失礼致します……」
タイムカードを押し、駐輪場へと向かう。今月も残業ナシ。いい会社だなぁ……。
がちゃん、と止め具を降ろし、ゆっくりと走り出す。
季節は晩秋。既に辺り一帯は闇へと包まれていた。静かだ。人の音がしない……。響き渡るは、コオロギ達の合唱曲……。
俺は浮かれていた。そのときだ。突如、農道へと何かが飛び出した。俺は思わず急ブレーキをかける。
ききぃ、ぐしゃっ。
……やってしまった。大きな牛蛙か何かだろうか。自転車に損傷が無ければいいが……。
「ゆわぁああああああああああああああああ!!!!!!!!れいむ、れいむぅううう!ゆっくり、ゆっくりするんだぜぇえええええ!!!!」
「う……、うぅ……。ま、りさ……。れいむは、もう、駄目だよ……。おちび、ちゃん達の、大きくなった……姿が見れなくて……とても、残念、だ、よ……」
「なにいってるのぉおおおおおおお!!!!??れいむぅ!れいむぅう!!ゆっくりしないで帰るんだぜぇええ!!?はやくう!!」
「ま、り……さ……もっと……、ゆっく、り……した…か」がくり。
「ゆぁあああああああああああああああああ!!!!!!!!」
なんだ、こいつらか。俺は無視して駆け出そうとした。すると背後から、
「おい!!くそじじい!!!!待つんだぜぇええ!!!!!!」
仕事で一日中関わってる手前、プライベートな時間までこいつらと付き合う義理はないのだが……何?
あろうことか、このまりさは、俺の方角に向かい、飛び掛ってきたのだ。飛び掛る、と大層なことを言っても、所詮はゆっくり。数十センチほど跳ね上がり、自転車へとぶつかった。
「ゆがぁああああ……!れいむの……、れいむの仇なんだぜぇええええええ!!!!??」
ばしっ、ばし、ぽよん、ばしり。
あまり効果は無いようだ。自転車のフレームは、ミリ単位での変化も見せず、今も鎮座している。
むしろ、果敢に体当たりを仕掛けたまりさ自身が負傷している。顔にはタイヤの紋様が刻まれ、フレームへと当たった衝撃で歯も欠けている。
……おかしいな。何で俺はこんなに冷静なんだ……?一家族の未来を奪ったんだぞ?どうやら、子供もいるらしい。これからどう暮らしていく?
……相変わらずだ。負の感情など、微塵も湧き出てきやしない。むしろ、何か違うものが……。
「うわぁああああああ!!!!しねぇえ!!ゆっくりしねぇええ!!!!」
ぽよん、ばし、ぽよん、ばしり、ずーりずーり、ぱし、ずり、ずりり、ぱしり。
「……ゆ、あぁああ……!ゆっくり、しないで、さっさとぉ……しねぇええ……!」
大丈夫か、こいつ。明らかに弱ってきている。無理もない。あれだけ蛮勇に自転車に当たれば、ゆっくりにとっては十分致命傷となりうる。
それに、ゆっくりと死ぬのか、ゆっくりとしないでさっさと死ぬのか、はっきりしろ。
……足元へと這いずってきた。……まずい。餡子で革靴が湿る。かびる。汚れる。
致し方ない。ばしり。
「……ゆっ……がぁああああああ!!!!??……」ぼちょん。
端の水田へと、蹴り落とした。あぁ、いけない。やはり餡子で汚れてしまった。あのゆっくりは、もう長くは無いだろう。水で溶けるか、虫にたかられるか……。
俺は胸のうちにある、謎めいた感情を解せぬまま、再び静かに走り出した。寝よう。明日になれば、この感情も整理がつく……。
翌日、起床時の俺がまず感じたことは、見事にあの感情は払拭されていない、と言うことだ。……気に留めず、いつも通り出勤し、いつも通り仕事を終え、いつも通りの帰り道を走る。
俺は、何を期待しているのだろう。あ、昨日のゆっくりの屍骸だ。もう殆ど原型を留めていない……。
あのゆっくりの亡骸は、朝とは打って変わり、虫や鳥にたかられ、ついばまれ、醜く散華していた。俺は、黙ってそこを通り過ぎる。何故だ。後ろが気になる。
更に翌日のことである。例の「お下り様」が出社してきた。今週になって初めてか……。
お下り様は若い女性事務員と雑談に興じながら、面白くなさそうに印を押していく。
「いやぁ、ゆっくりというのは、本当にすばらしいものだよ!はっはっは」
お金が貰えるからですかー?あと、若い女の人と話すとき、とてもいい笑顔ですよーっと……。
「私はこれでも愛護派の人間でね。いやぁ可愛くてたまらんよ!いやいや、君もだよ。はっはっは」
ヤーダーブチョウサンッタラアー、だってさ。そういえば、地域振興部長とかいう、謎のポストだったな。
「ゆっくりには権利がある!人間と同じだ。それを虐待しようなどと言う不届きな輩は全く持って許しておけん!」
あぁ、世間で噂になっている、「虐待鬼意惨」って奴か……。ネットの掲示板などで、単語位は聞くが……。
「奴らは人間ではない!彼女らゆっくり達だって尊い命がある。そんなことも理解出来ぬ様な輩どもに、日本国憲法はあまりに贅沢すぎる!」
なぁに言ってんだ。あんた。
「……おい、君。そう、君だよ。君もそうだとは思わんかね?奴らは情と言うものを知らぬ!不届きだとは思わんかね?」
俺に話を振るな。「ええ、仰る通りだと思います。ついでに、刑法も民法ももったいない」なぁんて即興で答える俺。世渡りが上手になったもんだ。はは!
「だろうに、だろうに。たまにはいい事を言うじゃないか。はっはっは」
俺、あんたとは殆ど会話をしていない筈だが……。
状況が一変したのはその僅か数日後のこと。
「おい、貴様!これはいったいどういうつもりだ……!!」
昼休みから戻ると、何やら騒がしい。お下り様が激怒していた。
「……いえ、これはしかし……、その……」
「お前は本当に人間か!?あぁ!そうか、違うのか、違ったのか!それはそれは失礼したもんだな!だが、生憎ここは人間専用の職場でな……!他にもごまんと採用候補がおるんだよ!!」
「……ですが……!私にも妻子というものがありまし「やかましい!」」
支店長の言を強引に断ち切るお下り様。こうまで来ると、清々しいまでのパワハラをかけ、執拗に責め立てる。
「お前如き人間と、ゆっくりの尊いとうとい命を天秤にかけるのが、申し訳の無いことだとは思わんのか!だいたいなんだ!?車に悪戯されたから潰したって!?」
「いえ……!ですから、あれはやむを得ない処置だったとあれほど…!」
「黙れ!だまれだまれ黙れ!誰に向かって意見する!」
お話にならない。鬼の形相とはまさにこのことだろう。
つまり、鬼に圧倒されたじろいでいる支店長の意見をまとめると、こうだ。
昼の買出しに遠出しようと駐車場へ行くと、ゆっくりの親子が愛車のボンネット上にいた。ゆっくり出来るだのゆっくりプレイスにするだの、宝物だのすぃーだのと喚き散らし、子供は跳ね回り、傷が微塵についていた。
挙句の果てには「うんうん」なるものををぶちまけ、新車が台無し。そこでつい、頭にきてその親子を地面へと叩き付けた、ということらしい。
支店長が何か間違ったことをしたのか、又はしていないのかはこの際関係無い。
「お下り様」のお気に召さないのが、問題なのだ。
他の社員は、皆珍しくモニターに向かっている。例の女子社員はと言うと、数世代前の表計算ソフト相手に、テンキーを使い何やら打ち込んでいるようだ。仕事しているねえ。
「……そうだ、この男、この男も先日ゆっくりを虐待しておりました……!」
この男とはつまり、俺のことか。そうだよな。指までさしている。
「貴様……、ワシを騙していたのか……!?」
騙すも何も、最初から何も言っていない。この後の流れは、もはや読めている。
「お前は本当に人間か!?」
「生きていて恥ずかしいと思うことはないのか!?」
「大学まで出て、いったい何を学んできた!?」
「土下座しろ!土下座だ!わかるか!?屑人間!」
まぁこんなところだ。それなりの待遇だったのだが、もはやこ……「お前はだから駄目なのだ」
割り込んできた。
「仕事も出来ず、本社から飛ばされてきた身分。更には無用な仕事を増やそうとし、結果空回りしてワシらが迷惑を被る……!」
は……?
「本来ならば、どうしようも無いお前を、このワシ自らが繋ぎとめてやっておいたものを……!恩を仇で返すか大うつけがぁあ!」
は……?は……?は……?
俺は、おれは、おまえ、お前なんかに恩を受けた覚えは無い。非才ながらも、ここまで食い繋いできたのは、自らの努力の結果だ。
俺は異動された頃を思い出す。
好かれようと、必死になって明るく振舞い、茶坊主からコピーまで、何でも率先してやった。
進んで営業も行い、仕事をつくり、一人で片付けた。
お下り様主催の「親睦を深める会」などと言う事実上の飲み会も喜んで参加した。
仕事が遅れた際は、俺が取引先まで出向き、必死になって頭を下げた。罵声も浴びた。それでも下げ続けた。
俺は、オレは、おれは……!
走馬灯のように不快な記憶が流れていく。濁流の渦中に、俺一人佇んでいるようだ。
あんなこと、こんなこと、色々あった。だが、全ては自分の為会社の為と耐え忍んできた……!
「所詮は、二流の若造か」
……俺の中で、何かが弾けて飛んだ。その先は覚えていない。
記憶がはっきりとした時には、時刻は既に夕刻を指し示していた。
自転車を押しながらいつもの帰路を歩いている。
あぁ、クビに、なったんだな。お下り様に振るった拳が痛む。
ふと前を見据えると、数日前のあの場所、つまり、俺がゆっくりれいむを轢き殺した場所へと辿りついていた。
舗装がされていない剥き出しの道路には、未だにうっすらと染みが残る。
「俺の価値など、所詮はゆっくり以下なのか……?」
虚空に問いかける。
「……ゆっ……ゆっ……ゆっ、ゆっゆっゆ!」
当然、返事は無い。ん……返事が……ある?
日が沈みかけ、橙色に染まった農地を見渡す。
あぁ、あれか。
「……ゆっ、ゆっゆっゆぅう!ひぎぃい!お野菜さんは、れいむにゆっくりむーしゃむしゃされてね……!!」
畑で何やら、れいむが喚いているようだ。
がちゃん。俺は自転車を置いた。その畑へと、静かに近寄る。
「おきゃあしゃんゆっくちしにゃいでしゃっしゃとしちぇね!!」
(お母さんゆっくりしないでさっさとしてね)
「きゃわいいれーみゅはもうおにゃかさんがぺこぺこだよ!!はやくむーちゃむーちゃしゃしぇちぇね!!」
(可愛いれいむはもうお腹さんがペコペコだよ はやくむーしゃむーしゃさせてね)
「ゆぅ~ん!おちびちゃんたちゆっくり待ってね!今このサツマイモさんを取ってるからね!」
「はぁあああ!?ばきゃにゃにょ?しにゅにょ?のろまにゃくじゅおやはゆっくちできにゃいよ!!」
(はぁあああ 馬鹿なの 死ぬの のろまな屑親はゆっくり出来ないよ)
「どぼじでぞんなごどいうのぉお゛お゛お゛お!?もう少しだからね!」
……どうやら、野良ゆっくりが畑を荒らしているらしい。近頃の長も、愚劣なゆっくりの統制に、苦労していることだろう。
どうせ、暇だ。暇人だ。自由人だ。少し、遊んでみるか。
「おい」
俺は、茎と格闘している母れいむに声を投げかけた。
「ゆぅ……!ゆぅ……!……ゆ?人間さんだね!ゆっくりしていってね!」
駄目だこいつ。早く何とかしないと。
人間の恐ろしさをまるで理解していない。おまけに子供はゲス化している。典型的な駄目れいむだ。
「れいむはしんぐるまざーなんだよ!可愛そうなんだよ!じじいはゆっくりしないでさっさとあまあま寄こしてね!!」
テンプレだ。しかも駄目れいむでは飽き足らず、駄目でいぶときた。救いようが無い。
「あまあまは渡せないな。いいか、ここは人間の土地…「はぁああああああ!!?何いってるのぉおおおおおお!!?」」
「じじいはぐずぐずしてないで、さっさとあまあま持ってきてね!今すぐでいいよ!それに、人間さんが勝手に独り占めしてるくせに、調子が良すぎるよ!!」
「しょうだよ!じじいはしゃっしゃっとあみゃあみゃもってきちぇね!!」
(そうだよ じじいはさっさとあまあま持ってきてね)
「きゃわいいれーみゅがおにゃかしゅかしていりゅんだよ!」
(可愛いれいむがお腹空かしているんだよ)
親子揃って、どうしようもない。幸い、俺は虐待鬼意惨などと呼ばれる人種では無い。それに、仮にでもゆっくり業者。ゆっくりのプロだ。……元だが。
ここは何とか、更正への道を模索したい。
「いいか。ゆっくりしないでよく聞くんだぞ。お前達の巣は勝手に生えてくるのか?おちびちゃんは勝手にやってくるのか?……こないだろう?だから、このお野菜さんも人間さんが一生懸命作っているんだ。
わかるな?皆でゆっくりしようじゃないか。な?」
「ゆうぅん……。でも、でもぉ……」
諭し方は知っている。だが、所詮は餡子脳か。しかし、若干でも考えているその姿、上手く育っていれば銀バッチ程度の取得なら出来ていたかも知れないな。
それに…「ひゃぁああああ!!?にゃにいっちぇるにょぉおおおお!?」(はぁああああ 何言ってるのぉおおおお)
「きゃわいいきゃわいいれーみゅがおにゃかしゅかしちぇいりゅんだよ!?しょれがわきゃらにゃいにょ!?ばきゃなにょ?しにゅの!?わきゃっちゃらしゃっしゃっとあみゃあみゃもっちぇこぃいいいい!!」
(可愛い可愛いれいむがお腹空かせているんだよ それが分らないの 馬鹿なの 死ぬの 分ったらさっさとあまあま持って来ぃいいいい)
「もうれーみゅぷきゅーしゅりゅきゃらね!!ぷきゅー!!!!」
(もうれいむぷくーするからね ぷくー)
生来のゲスは手の付けようがない。この業界の常識である。
親から脈々と受け継いだゲス遺伝餡は、もはやどうすることも出来ないのだ。商品価値は限りなくゼロ。
この赤れいむ二匹にご高説を垂れたところで、無駄であろう。
「ゆっ……!おちびちゃん達ゆっくりしてね!ゆぅ……仕方ないね……!おにーさん!今日のところは勘弁してあげるよ!寛大なれいむにゆっくり感謝してね!おちびちゃん達お家に帰ろうね!」
「じじいはしゃっしゃとあみゃあみゃもっちぇこぃいいいい!」「ゆっくじできにゃぃいいいい!」
(じじいはさっさとあまあま持って来ぃいいいい ゆっくり出来ないぃいいいい)
なにやら、赤ゆっくり達が喚き始めたようだ。この、無能な叫びようはまるで屑のようだな。……屑?
記憶が蘇る。否、再生を許可される。俺は再び意識の濁流へと投げ出された。
「しゃっしゃちょしりょぉおおおお!!!!」
「ゆっくちできにゃぃいいいい!!!!」
「きゃわいいきゃわいいれーみゅがおにゃかをしゅかしていりゅんだよぉおおおお!!!!」
「可愛い可愛いゆっくりを虐待するなど、貴様それでも人間か!?」
「おちびちゃん達ゆっくりしてぇええええ!!!!」
「お前達はそんなだから『ゆっくり出来ない』のだ!!ゴミが!屑が!」
「ゆんやぁああああ!!!!」
ずたたたたっ、びゅん、ぐしゃり。
「……ゆ……?」
俺は、無意識のうちに駆け出し、そして、喚き散らす赤ゆっくりを叩き潰していた。
正確無比に、脳天めがけ、一撃二撃。時間にして僅か数秒。ゆっくり達からすれば、数十秒にも等しい時間に行われた瞬妓。
「ゆ……ゆ、ゆっ、ゆがぁああああああああああああああああ!!!!!!??おじびじゃぁああああああああんっ!!!!!!??」
たっぷり三十秒後、ようやく状況を理解した親れいむが、叫ぶ。
「ゆんやぁああああああああ!!!!どぼじでぇえええええええ!!!!??れいむだじ何もじでな゛いよぉおおおおおお!!!!」
全くその通りだ。そう。俺も、支店長も何もしていない。何も、していないのだ。この際、密告の罪は後にしよう。とにかく、俺達は何もしていない。
「じねぇええ……、おちびじゃんを殺じだゲスはさっさとじねぇええええええええ!!!!」
何もしていない。だけど、潰される。ゆっくり如きの為に、権力で、潰される。だから、だから、だから。
……俺も理由無くゆっくりを潰す。人間と言う種族である、といった最悪の権力を行使して。
「黙れ。屑が」
俺はそれだけ言うと、高く振り上げた足を、その、醜い形相めがけ振り下ろした。
ぐしゃり。
「ゆっ……、ゆがぁああああ!!!!いだぃい゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!!!!??」
クリーンヒットした足先に、粘度の高い餡子がまとわりつく。
片目は完全に潰れ、表情皮の半数は抉り取られている。健在の目からは涙を垂れ流し、穴という穴からは液体がこぼれ出していた。
怯え、叫ぶれいむ。その度に、傷口から勢いよく餡子が飛び散る。噴出す。溢れ出す。餡子が、俺の脚にかかる。気にするな。気にしない。そのまま、第三撃を振り下ろす。
ぐしゃあ。「ゆ゛っ」右の側面が。
ぐしゃあ。「ゆ゛」左の側面が。
ぐしゃあ。「ゆ゛っ」まむまむが。
ぐしゃあ。「ゆっ」もう片方の目が。
ぐしゃあ。「ゆ゛ゆっ」後頭部が。
「……ゅ……ゅ……ゆ」
もはや、それはゆっくりなどではなく、餡塊と化していた。
これを、誰がゆっくりなどと思うのだろう?お飾りによる、固体認識機能などといった、難しいお話すらもう通用しない。
あたり一面餡子まみれ。右も。左も。ん……左に、そうか。赤れいむは、二匹居たんだっけな。はははは。
あまりの光景に、言葉を失い気絶していた赤れいむを叩き起こす。殺しては駄目だ。あくまで、叩き起こす程度。
ばし。「ゆ゛っ……」
赤れいむが、静かに目を覚ます。
そうか。いい事を思いついたぞ……。
…………
「しょれで、おきゃあしゃん……は……?」
(それで、お母さん……は……)
「あぁ、ちゃんと居場所を教えてやるよ。俺はいい人間さんだからな。約束は守る。ほら、お前のお家を教えてくれたお礼だ」
そう言って、手の平に載せていた赤れいむを振り返らせる。
すると。
「ゆ゛っ……!!ゆんやぁああああああ!!!!!!!!!ぐぇっ、エ゛レエ゛レエ゛レ」
そのむせ返る死臭と、断片的にではあるが、千切れ舞い落ちた親と姉のお飾りを見付けたショックからなのか、綺麗な断末魔の後に吐餡をし、永遠にゆっくりした。
やはりゆっくりとは思い込みの生き物なのだろう。死臭など、死体を目の当たりにするまではまるで気付いていなかった。大した出来だよ……。
さて、と。
俺は静かに死骸を埋めた。野犬や猛禽の類に嗅ぎ付けられては、この農家も面倒だろう。
あの赤ゆっくりは、確かにこの山を越え、その先にあるハクレイと長が呼んでいたじんじゃさんの裏にゆっくりプレイスがある、と言っていた。
いくらゆっくりとは言え、さすがに帰路ぐらいは覚えているだろう。さもなくば、狩りなどといった本能的な活動は不可能だ。
……そういえば……、あの赤ゆっくりはしきりに「長のぱちゅりーはとてもゆっくりしている」「長はすごいんだよ」などと喚いていた。
今、この場にいないゆっくりの威を借りても、致し方ないというのが、理解出来ていないのだろうか。
しかし、それほどまでに褒め称えられる長のことだ。さぞかしゆっくりした群れなのだろう……。
俺は、翌日早朝、吸い込まれる様に山中へと分け入って行った。
終わり
…初投稿作品は以上となります……。
様々突込みどころはあるでしょうが、何卒ご容赦下さい……。
一人の真人間が、虐待鬼意惨へと成り果てるまでのお話でした……。
虐待 不運 番い 野良ゆ 赤ゆ ゲス 現代 虐待人間 独自設定 初投稿となります…。
初投稿となります…。様々未熟な点がある事とは思いますが、どうぞゆっくりしていって下さい…。
※注 ・読み易さ優先の為、ゆっくりの言にもある程度漢字を使用していますが、知性を表すものではありません。
・赤ゆっくりの言は、基本拙く書きますが、これもまた読み易さ優先の為、分りにくい場合は直下に漢字変換後の言を併記致します。
・どちらかと言うと、人間にライトが当たっている物語です…。
以上の点を踏まえた上で、宜しくお願い致します…。
「ゆぅ~ん、れいむとまりさのおちびちゃん、とってもゆっくりしているね!」
「本当なんだぜ……!可愛いおちびちゃんはゆっくりしないで生まれてきてね!」
「もう、まりさったらせっかちなんだから…」
「ゆふふ、楽しみなんだぜ~!」
茎にたわわと実った赤ゆ達に向かい、二匹は語りかける。
ゆっくりしていってね、と。
今、二匹は至上の幸せを噛み締めていた。
子育てが上手いと自負し、決して「でいぶ」なるものの片鱗すら見せない、とてもゆっくりしたれいむ。
群れ一番の狩り名手と評判で、あのれみりゃすら撃退したことのある、とてもゆっくりしたまりさ。
季節は春。燕が空を舞い、桜吹雪も華麗に舞っている。無事に冬篭りから抜け出し、食料備蓄の心配も無い。
群れの長は、ここ数代で最高の傑物と誉れの高いぱちゅりー。人間相手の恐ろしさを十分に理解し、辺り十里に、この群れほどに人畜無害なものは無い。
また、加工所の職員が割り入ってくる街中に生息している訳でも無く、山奥深くにひっそりと暮らしている。
この群れ、そして最初の二匹は、艱難辛苦あろうとも天寿を全うし、永遠にゆっくりするその刹那まで、幸せを感じ続けたことであろう。
あの男が現れなければ。
--おにいさんの生まれた日--
「…え、その話、本当なんですか……?」
「…君にはすまないと思っているがね……。これも社命でね……」
俺は思わず耳を疑った。
辞令「右の者は来月付けで、ハクレイ支店への異動を命ずる」
もともと俺は、それ程に出来のいい人間ではなかった。
小中高と普通の公立校を卒業し、可もなく不可もなく二流の大学に入学し、そして何事も無く卒業した。
今の会社、そう、つまりこの「ゆっくり関連商品卸会社」に入社することになったきっかけだって、たまたま早めに内定が出たからに過ぎない。
入社後の業務は非常に難解だった。中でも、ブリーダーからのゆっくり買い付けは、最近流行の金ゲスや、始めは善良固体でも、ある程度の期間を経て精神が肥大化し、
徐々にゲス化していく金ゆっくりの増加などによって、その難度の上昇は、まさには天井知らずだった。
しかし、俺は挫折せず、ここまで無難にこなしてきたつもりだ。お得意のブリーダーだって数人作った。ペットショップからの評判も上々。だが、その矢先にこれだ。
左遷、そんな言葉が脳裏をよぎる。何故だ。俺がいったい何をした……。
「これは仕方の無いことなんだよ……。ゆっくりバブルもはじけてね……。昔のように『入れ食い』状態とはいかないんだよ……。業務の縮小も兼ね、余剰人員の配置換えを行ったのだ……」
課長がそう言った。……何を、何を言っている……?じゃあ、お前が今、居座っている本社課長席は何だ……?部署丸々潰して人員も四割以上が飛ばされているという惨禍で、お前が座っているのはいったい何だ……?
皆知っている。お前がその席を保守する為に、率先して他人を飛ばしていったと。そんなことがあってたまるか……!
俺はそう言ってやりたかった。言いたい。言えばいいさ。だが言えない。会社で働くというのはそういうことだ。
「……はい。荷物は後日、まとめますから……」
俺は、力なく、答えた。
一週間後、俺は大自然の只中にいた。まさにその表現が正しい。
辺り一面の緑。あるものといえば水田に農道、そして山、山、山。
時代から取り残されたかに見えるこの地域に、何故かハクレイ支店は存在した。
社員は俺を含め五名。支店長始め、皆一様にやる気が無い。
「支店長、この新しい案件なのですが……」
「あぁ、それは君のほうで話を通しておいて」
「支店長、先日の取引にて不備が……」
「あぁ、それは君のほうで解決しておいて」
「支店長、ブリーダーのほうから、納期が遅れるとの通達が……」
「あぁ、それは君のほうで処理しておいて」
……何故この支店は存在する。何故皆働かない。
むしろ、率先して仕事を作ろうとしている俺を、あからさまに煙たがっている。……働くとは何だ?仕事とは何だ?
日がな一日、古いデスクトップパソコンで、マインスイーパーをすることが働くことなのか……?
日がな一日、事務所でご丁寧に爪の手入れをすることが仕事なのか……?
分らない、解らない、判らない……!俺が腐っていく……。
そしていつしか、俺もそんな連中の仲間入りを果たしていた。ここは、笑うところだ。
暫くして分かったのだが、この支店はどうもお役所から「下がってきた人」のポストがあるらしい。
なるほど。あの、時たま顔をあらわしては印を押し、ご高説垂れて帰っていくジイさんか。
黙っていても役所のほうから、「地域振興支援金」だの「地域産業活性支援金」だのよく分からない書類が届くのは、そういうカラクリがある訳か……。
世の中どうかしている。だが、それでこの国がまわっているのだ。いいではないか。
いつしか、そんな退廃的な思考が脳内を巡るようになっていた。
九時に出勤し、ファイル一冊程度の書類に必要事項を記入し、支店長に印を貰う。そして十七時にタイムカードを押し、蛙や虫達の合唱を聴きつつ自転車で農道を帰る……。
楽しいなぁ……。人生、初月(イージーモード)だよ。田舎で暮らすには十分な手取り……。安心の福利厚生……。さあ、家に帰って一人で飯を炊き、風呂に入って早く寝よう……。
そんな生活が半年も続いたときのことだった。
「……お疲れ様でした。お先に失礼致します……」
タイムカードを押し、駐輪場へと向かう。今月も残業ナシ。いい会社だなぁ……。
がちゃん、と止め具を降ろし、ゆっくりと走り出す。
季節は晩秋。既に辺り一帯は闇へと包まれていた。静かだ。人の音がしない……。響き渡るは、コオロギ達の合唱曲……。
俺は浮かれていた。そのときだ。突如、農道へと何かが飛び出した。俺は思わず急ブレーキをかける。
ききぃ、ぐしゃっ。
……やってしまった。大きな牛蛙か何かだろうか。自転車に損傷が無ければいいが……。
「ゆわぁああああああああああああああああ!!!!!!!!れいむ、れいむぅううう!ゆっくり、ゆっくりするんだぜぇえええええ!!!!」
「う……、うぅ……。ま、りさ……。れいむは、もう、駄目だよ……。おちび、ちゃん達の、大きくなった……姿が見れなくて……とても、残念、だ、よ……」
「なにいってるのぉおおおおおおお!!!!??れいむぅ!れいむぅう!!ゆっくりしないで帰るんだぜぇええ!!?はやくう!!」
「ま、り……さ……もっと……、ゆっく、り……した…か」がくり。
「ゆぁあああああああああああああああああ!!!!!!!!」
なんだ、こいつらか。俺は無視して駆け出そうとした。すると背後から、
「おい!!くそじじい!!!!待つんだぜぇええ!!!!!!」
仕事で一日中関わってる手前、プライベートな時間までこいつらと付き合う義理はないのだが……何?
あろうことか、このまりさは、俺の方角に向かい、飛び掛ってきたのだ。飛び掛る、と大層なことを言っても、所詮はゆっくり。数十センチほど跳ね上がり、自転車へとぶつかった。
「ゆがぁああああ……!れいむの……、れいむの仇なんだぜぇええええええ!!!!??」
ばしっ、ばし、ぽよん、ばしり。
あまり効果は無いようだ。自転車のフレームは、ミリ単位での変化も見せず、今も鎮座している。
むしろ、果敢に体当たりを仕掛けたまりさ自身が負傷している。顔にはタイヤの紋様が刻まれ、フレームへと当たった衝撃で歯も欠けている。
……おかしいな。何で俺はこんなに冷静なんだ……?一家族の未来を奪ったんだぞ?どうやら、子供もいるらしい。これからどう暮らしていく?
……相変わらずだ。負の感情など、微塵も湧き出てきやしない。むしろ、何か違うものが……。
「うわぁああああああ!!!!しねぇえ!!ゆっくりしねぇええ!!!!」
ぽよん、ばし、ぽよん、ばしり、ずーりずーり、ぱし、ずり、ずりり、ぱしり。
「……ゆ、あぁああ……!ゆっくり、しないで、さっさとぉ……しねぇええ……!」
大丈夫か、こいつ。明らかに弱ってきている。無理もない。あれだけ蛮勇に自転車に当たれば、ゆっくりにとっては十分致命傷となりうる。
それに、ゆっくりと死ぬのか、ゆっくりとしないでさっさと死ぬのか、はっきりしろ。
……足元へと這いずってきた。……まずい。餡子で革靴が湿る。かびる。汚れる。
致し方ない。ばしり。
「……ゆっ……がぁああああああ!!!!??……」ぼちょん。
端の水田へと、蹴り落とした。あぁ、いけない。やはり餡子で汚れてしまった。あのゆっくりは、もう長くは無いだろう。水で溶けるか、虫にたかられるか……。
俺は胸のうちにある、謎めいた感情を解せぬまま、再び静かに走り出した。寝よう。明日になれば、この感情も整理がつく……。
翌日、起床時の俺がまず感じたことは、見事にあの感情は払拭されていない、と言うことだ。……気に留めず、いつも通り出勤し、いつも通り仕事を終え、いつも通りの帰り道を走る。
俺は、何を期待しているのだろう。あ、昨日のゆっくりの屍骸だ。もう殆ど原型を留めていない……。
あのゆっくりの亡骸は、朝とは打って変わり、虫や鳥にたかられ、ついばまれ、醜く散華していた。俺は、黙ってそこを通り過ぎる。何故だ。後ろが気になる。
更に翌日のことである。例の「お下り様」が出社してきた。今週になって初めてか……。
お下り様は若い女性事務員と雑談に興じながら、面白くなさそうに印を押していく。
「いやぁ、ゆっくりというのは、本当にすばらしいものだよ!はっはっは」
お金が貰えるからですかー?あと、若い女の人と話すとき、とてもいい笑顔ですよーっと……。
「私はこれでも愛護派の人間でね。いやぁ可愛くてたまらんよ!いやいや、君もだよ。はっはっは」
ヤーダーブチョウサンッタラアー、だってさ。そういえば、地域振興部長とかいう、謎のポストだったな。
「ゆっくりには権利がある!人間と同じだ。それを虐待しようなどと言う不届きな輩は全く持って許しておけん!」
あぁ、世間で噂になっている、「虐待鬼意惨」って奴か……。ネットの掲示板などで、単語位は聞くが……。
「奴らは人間ではない!彼女らゆっくり達だって尊い命がある。そんなことも理解出来ぬ様な輩どもに、日本国憲法はあまりに贅沢すぎる!」
なぁに言ってんだ。あんた。
「……おい、君。そう、君だよ。君もそうだとは思わんかね?奴らは情と言うものを知らぬ!不届きだとは思わんかね?」
俺に話を振るな。「ええ、仰る通りだと思います。ついでに、刑法も民法ももったいない」なぁんて即興で答える俺。世渡りが上手になったもんだ。はは!
「だろうに、だろうに。たまにはいい事を言うじゃないか。はっはっは」
俺、あんたとは殆ど会話をしていない筈だが……。
状況が一変したのはその僅か数日後のこと。
「おい、貴様!これはいったいどういうつもりだ……!!」
昼休みから戻ると、何やら騒がしい。お下り様が激怒していた。
「……いえ、これはしかし……、その……」
「お前は本当に人間か!?あぁ!そうか、違うのか、違ったのか!それはそれは失礼したもんだな!だが、生憎ここは人間専用の職場でな……!他にもごまんと採用候補がおるんだよ!!」
「……ですが……!私にも妻子というものがありまし「やかましい!」」
支店長の言を強引に断ち切るお下り様。こうまで来ると、清々しいまでのパワハラをかけ、執拗に責め立てる。
「お前如き人間と、ゆっくりの尊いとうとい命を天秤にかけるのが、申し訳の無いことだとは思わんのか!だいたいなんだ!?車に悪戯されたから潰したって!?」
「いえ……!ですから、あれはやむを得ない処置だったとあれほど…!」
「黙れ!だまれだまれ黙れ!誰に向かって意見する!」
お話にならない。鬼の形相とはまさにこのことだろう。
つまり、鬼に圧倒されたじろいでいる支店長の意見をまとめると、こうだ。
昼の買出しに遠出しようと駐車場へ行くと、ゆっくりの親子が愛車のボンネット上にいた。ゆっくり出来るだのゆっくりプレイスにするだの、宝物だのすぃーだのと喚き散らし、子供は跳ね回り、傷が微塵についていた。
挙句の果てには「うんうん」なるものををぶちまけ、新車が台無し。そこでつい、頭にきてその親子を地面へと叩き付けた、ということらしい。
支店長が何か間違ったことをしたのか、又はしていないのかはこの際関係無い。
「お下り様」のお気に召さないのが、問題なのだ。
他の社員は、皆珍しくモニターに向かっている。例の女子社員はと言うと、数世代前の表計算ソフト相手に、テンキーを使い何やら打ち込んでいるようだ。仕事しているねえ。
「……そうだ、この男、この男も先日ゆっくりを虐待しておりました……!」
この男とはつまり、俺のことか。そうだよな。指までさしている。
「貴様……、ワシを騙していたのか……!?」
騙すも何も、最初から何も言っていない。この後の流れは、もはや読めている。
「お前は本当に人間か!?」
「生きていて恥ずかしいと思うことはないのか!?」
「大学まで出て、いったい何を学んできた!?」
「土下座しろ!土下座だ!わかるか!?屑人間!」
まぁこんなところだ。それなりの待遇だったのだが、もはやこ……「お前はだから駄目なのだ」
割り込んできた。
「仕事も出来ず、本社から飛ばされてきた身分。更には無用な仕事を増やそうとし、結果空回りしてワシらが迷惑を被る……!」
は……?
「本来ならば、どうしようも無いお前を、このワシ自らが繋ぎとめてやっておいたものを……!恩を仇で返すか大うつけがぁあ!」
は……?は……?は……?
俺は、おれは、おまえ、お前なんかに恩を受けた覚えは無い。非才ながらも、ここまで食い繋いできたのは、自らの努力の結果だ。
俺は異動された頃を思い出す。
好かれようと、必死になって明るく振舞い、茶坊主からコピーまで、何でも率先してやった。
進んで営業も行い、仕事をつくり、一人で片付けた。
お下り様主催の「親睦を深める会」などと言う事実上の飲み会も喜んで参加した。
仕事が遅れた際は、俺が取引先まで出向き、必死になって頭を下げた。罵声も浴びた。それでも下げ続けた。
俺は、オレは、おれは……!
走馬灯のように不快な記憶が流れていく。濁流の渦中に、俺一人佇んでいるようだ。
あんなこと、こんなこと、色々あった。だが、全ては自分の為会社の為と耐え忍んできた……!
「所詮は、二流の若造か」
……俺の中で、何かが弾けて飛んだ。その先は覚えていない。
記憶がはっきりとした時には、時刻は既に夕刻を指し示していた。
自転車を押しながらいつもの帰路を歩いている。
あぁ、クビに、なったんだな。お下り様に振るった拳が痛む。
ふと前を見据えると、数日前のあの場所、つまり、俺がゆっくりれいむを轢き殺した場所へと辿りついていた。
舗装がされていない剥き出しの道路には、未だにうっすらと染みが残る。
「俺の価値など、所詮はゆっくり以下なのか……?」
虚空に問いかける。
「……ゆっ……ゆっ……ゆっ、ゆっゆっゆ!」
当然、返事は無い。ん……返事が……ある?
日が沈みかけ、橙色に染まった農地を見渡す。
あぁ、あれか。
「……ゆっ、ゆっゆっゆぅう!ひぎぃい!お野菜さんは、れいむにゆっくりむーしゃむしゃされてね……!!」
畑で何やら、れいむが喚いているようだ。
がちゃん。俺は自転車を置いた。その畑へと、静かに近寄る。
「おきゃあしゃんゆっくちしにゃいでしゃっしゃとしちぇね!!」
(お母さんゆっくりしないでさっさとしてね)
「きゃわいいれーみゅはもうおにゃかさんがぺこぺこだよ!!はやくむーちゃむーちゃしゃしぇちぇね!!」
(可愛いれいむはもうお腹さんがペコペコだよ はやくむーしゃむーしゃさせてね)
「ゆぅ~ん!おちびちゃんたちゆっくり待ってね!今このサツマイモさんを取ってるからね!」
「はぁあああ!?ばきゃにゃにょ?しにゅにょ?のろまにゃくじゅおやはゆっくちできにゃいよ!!」
(はぁあああ 馬鹿なの 死ぬの のろまな屑親はゆっくり出来ないよ)
「どぼじでぞんなごどいうのぉお゛お゛お゛お!?もう少しだからね!」
……どうやら、野良ゆっくりが畑を荒らしているらしい。近頃の長も、愚劣なゆっくりの統制に、苦労していることだろう。
どうせ、暇だ。暇人だ。自由人だ。少し、遊んでみるか。
「おい」
俺は、茎と格闘している母れいむに声を投げかけた。
「ゆぅ……!ゆぅ……!……ゆ?人間さんだね!ゆっくりしていってね!」
駄目だこいつ。早く何とかしないと。
人間の恐ろしさをまるで理解していない。おまけに子供はゲス化している。典型的な駄目れいむだ。
「れいむはしんぐるまざーなんだよ!可愛そうなんだよ!じじいはゆっくりしないでさっさとあまあま寄こしてね!!」
テンプレだ。しかも駄目れいむでは飽き足らず、駄目でいぶときた。救いようが無い。
「あまあまは渡せないな。いいか、ここは人間の土地…「はぁああああああ!!?何いってるのぉおおおおおお!!?」」
「じじいはぐずぐずしてないで、さっさとあまあま持ってきてね!今すぐでいいよ!それに、人間さんが勝手に独り占めしてるくせに、調子が良すぎるよ!!」
「しょうだよ!じじいはしゃっしゃっとあみゃあみゃもってきちぇね!!」
(そうだよ じじいはさっさとあまあま持ってきてね)
「きゃわいいれーみゅがおにゃかしゅかしていりゅんだよ!」
(可愛いれいむがお腹空かしているんだよ)
親子揃って、どうしようもない。幸い、俺は虐待鬼意惨などと呼ばれる人種では無い。それに、仮にでもゆっくり業者。ゆっくりのプロだ。……元だが。
ここは何とか、更正への道を模索したい。
「いいか。ゆっくりしないでよく聞くんだぞ。お前達の巣は勝手に生えてくるのか?おちびちゃんは勝手にやってくるのか?……こないだろう?だから、このお野菜さんも人間さんが一生懸命作っているんだ。
わかるな?皆でゆっくりしようじゃないか。な?」
「ゆうぅん……。でも、でもぉ……」
諭し方は知っている。だが、所詮は餡子脳か。しかし、若干でも考えているその姿、上手く育っていれば銀バッチ程度の取得なら出来ていたかも知れないな。
それに…「ひゃぁああああ!!?にゃにいっちぇるにょぉおおおお!?」(はぁああああ 何言ってるのぉおおおお)
「きゃわいいきゃわいいれーみゅがおにゃかしゅかしちぇいりゅんだよ!?しょれがわきゃらにゃいにょ!?ばきゃなにょ?しにゅの!?わきゃっちゃらしゃっしゃっとあみゃあみゃもっちぇこぃいいいい!!」
(可愛い可愛いれいむがお腹空かせているんだよ それが分らないの 馬鹿なの 死ぬの 分ったらさっさとあまあま持って来ぃいいいい)
「もうれーみゅぷきゅーしゅりゅきゃらね!!ぷきゅー!!!!」
(もうれいむぷくーするからね ぷくー)
生来のゲスは手の付けようがない。この業界の常識である。
親から脈々と受け継いだゲス遺伝餡は、もはやどうすることも出来ないのだ。商品価値は限りなくゼロ。
この赤れいむ二匹にご高説を垂れたところで、無駄であろう。
「ゆっ……!おちびちゃん達ゆっくりしてね!ゆぅ……仕方ないね……!おにーさん!今日のところは勘弁してあげるよ!寛大なれいむにゆっくり感謝してね!おちびちゃん達お家に帰ろうね!」
「じじいはしゃっしゃとあみゃあみゃもっちぇこぃいいいい!」「ゆっくじできにゃぃいいいい!」
(じじいはさっさとあまあま持って来ぃいいいい ゆっくり出来ないぃいいいい)
なにやら、赤ゆっくり達が喚き始めたようだ。この、無能な叫びようはまるで屑のようだな。……屑?
記憶が蘇る。否、再生を許可される。俺は再び意識の濁流へと投げ出された。
「しゃっしゃちょしりょぉおおおお!!!!」
「ゆっくちできにゃぃいいいい!!!!」
「きゃわいいきゃわいいれーみゅがおにゃかをしゅかしていりゅんだよぉおおおお!!!!」
「可愛い可愛いゆっくりを虐待するなど、貴様それでも人間か!?」
「おちびちゃん達ゆっくりしてぇええええ!!!!」
「お前達はそんなだから『ゆっくり出来ない』のだ!!ゴミが!屑が!」
「ゆんやぁああああ!!!!」
ずたたたたっ、びゅん、ぐしゃり。
「……ゆ……?」
俺は、無意識のうちに駆け出し、そして、喚き散らす赤ゆっくりを叩き潰していた。
正確無比に、脳天めがけ、一撃二撃。時間にして僅か数秒。ゆっくり達からすれば、数十秒にも等しい時間に行われた瞬妓。
「ゆ……ゆ、ゆっ、ゆがぁああああああああああああああああ!!!!!!??おじびじゃぁああああああああんっ!!!!!!??」
たっぷり三十秒後、ようやく状況を理解した親れいむが、叫ぶ。
「ゆんやぁああああああああ!!!!どぼじでぇえええええええ!!!!??れいむだじ何もじでな゛いよぉおおおおおお!!!!」
全くその通りだ。そう。俺も、支店長も何もしていない。何も、していないのだ。この際、密告の罪は後にしよう。とにかく、俺達は何もしていない。
「じねぇええ……、おちびじゃんを殺じだゲスはさっさとじねぇええええええええ!!!!」
何もしていない。だけど、潰される。ゆっくり如きの為に、権力で、潰される。だから、だから、だから。
……俺も理由無くゆっくりを潰す。人間と言う種族である、といった最悪の権力を行使して。
「黙れ。屑が」
俺はそれだけ言うと、高く振り上げた足を、その、醜い形相めがけ振り下ろした。
ぐしゃり。
「ゆっ……、ゆがぁああああ!!!!いだぃい゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!!!!??」
クリーンヒットした足先に、粘度の高い餡子がまとわりつく。
片目は完全に潰れ、表情皮の半数は抉り取られている。健在の目からは涙を垂れ流し、穴という穴からは液体がこぼれ出していた。
怯え、叫ぶれいむ。その度に、傷口から勢いよく餡子が飛び散る。噴出す。溢れ出す。餡子が、俺の脚にかかる。気にするな。気にしない。そのまま、第三撃を振り下ろす。
ぐしゃあ。「ゆ゛っ」右の側面が。
ぐしゃあ。「ゆ゛」左の側面が。
ぐしゃあ。「ゆ゛っ」まむまむが。
ぐしゃあ。「ゆっ」もう片方の目が。
ぐしゃあ。「ゆ゛ゆっ」後頭部が。
「……ゅ……ゅ……ゆ」
もはや、それはゆっくりなどではなく、餡塊と化していた。
これを、誰がゆっくりなどと思うのだろう?お飾りによる、固体認識機能などといった、難しいお話すらもう通用しない。
あたり一面餡子まみれ。右も。左も。ん……左に、そうか。赤れいむは、二匹居たんだっけな。はははは。
あまりの光景に、言葉を失い気絶していた赤れいむを叩き起こす。殺しては駄目だ。あくまで、叩き起こす程度。
ばし。「ゆ゛っ……」
赤れいむが、静かに目を覚ます。
そうか。いい事を思いついたぞ……。
…………
「しょれで、おきゃあしゃん……は……?」
(それで、お母さん……は……)
「あぁ、ちゃんと居場所を教えてやるよ。俺はいい人間さんだからな。約束は守る。ほら、お前のお家を教えてくれたお礼だ」
そう言って、手の平に載せていた赤れいむを振り返らせる。
すると。
「ゆ゛っ……!!ゆんやぁああああああ!!!!!!!!!ぐぇっ、エ゛レエ゛レエ゛レ」
そのむせ返る死臭と、断片的にではあるが、千切れ舞い落ちた親と姉のお飾りを見付けたショックからなのか、綺麗な断末魔の後に吐餡をし、永遠にゆっくりした。
やはりゆっくりとは思い込みの生き物なのだろう。死臭など、死体を目の当たりにするまではまるで気付いていなかった。大した出来だよ……。
さて、と。
俺は静かに死骸を埋めた。野犬や猛禽の類に嗅ぎ付けられては、この農家も面倒だろう。
あの赤ゆっくりは、確かにこの山を越え、その先にあるハクレイと長が呼んでいたじんじゃさんの裏にゆっくりプレイスがある、と言っていた。
いくらゆっくりとは言え、さすがに帰路ぐらいは覚えているだろう。さもなくば、狩りなどといった本能的な活動は不可能だ。
……そういえば……、あの赤ゆっくりはしきりに「長のぱちゅりーはとてもゆっくりしている」「長はすごいんだよ」などと喚いていた。
今、この場にいないゆっくりの威を借りても、致し方ないというのが、理解出来ていないのだろうか。
しかし、それほどまでに褒め称えられる長のことだ。さぞかしゆっくりした群れなのだろう……。
俺は、翌日早朝、吸い込まれる様に山中へと分け入って行った。
終わり
…初投稿作品は以上となります……。
様々突込みどころはあるでしょうが、何卒ご容赦下さい……。
一人の真人間が、虐待鬼意惨へと成り果てるまでのお話でした……。