ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko3490 ゆっくりの黙示録 2幕
最終更新:
ankoss
-
view
『ゆっくりの黙示録 2幕』 34KB
観察 考証 パロディ 日常模様 戦闘 家族崩壊 同族殺し 駆除 番い 野良ゆ 赤ゆ 自然界 都会 加工場 現代 独自設定 完結編。内部の注意書きをお読みください
観察 考証 パロディ 日常模様 戦闘 家族崩壊 同族殺し 駆除 番い 野良ゆ 赤ゆ 自然界 都会 加工場 現代 独自設定 完結編。内部の注意書きをお読みください
☆作者は絶対あきです。
☆ゆっくりの黙示録 1幕の続きです。完結編(二つだけなら前編と後篇にすればよかった)。
☆前回と設定が変わっているかもしれません(理由づけはしましたが補完しきれてないかも)。
☆一部人死に表現あり!人間いじめあり!!注意!!!
☆ゆっくりの黙示録 1幕の続きです。完結編(二つだけなら前編と後篇にすればよかった)。
☆前回と設定が変わっているかもしれません(理由づけはしましたが補完しきれてないかも)。
☆一部人死に表現あり!人間いじめあり!!注意!!!
<突然変異>
未だにゆっくりの悲鳴や銃声が鳴り響く森。
「ゆぎぃ……」
真っ赤な液体に覆われたGまりさが河原にいた。
駆除の始まる前にこの河原にいたので遠くから聞こえる音にそこまで興味を示さないようだ。
「ぎぎぎ……」
その目に映るのは川の反射する光。
そしてその中で『動き回る』魚。
「ゆぎぃぃぃ……」
Gに感染していても、水の中に入ると危険ということは餡子に刻み込まれているためその場にとどまっている。
しかし……内から湧き出てくる『ゆっくりできないものをせいっさい!する』という感情を抑えきれなくなりつつある。
「ゆぎぃっ!ゆぎいい!!ゆぎいいいいいいいい!!」
その声に驚いた魚がピュッと加速する。
ついにGまりさもそれにつられ動いた。
「ゆぎいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
そのまま川の中に飛び込む。
「っ!ゆっ!ぎぎぃっ!ゆ……」
バシャバシャと水音をたてて暴れていたが―――やがて静かになった。
「ゆぎぃ……」
真っ赤な液体に覆われたGまりさが河原にいた。
駆除の始まる前にこの河原にいたので遠くから聞こえる音にそこまで興味を示さないようだ。
「ぎぎぎ……」
その目に映るのは川の反射する光。
そしてその中で『動き回る』魚。
「ゆぎぃぃぃ……」
Gに感染していても、水の中に入ると危険ということは餡子に刻み込まれているためその場にとどまっている。
しかし……内から湧き出てくる『ゆっくりできないものをせいっさい!する』という感情を抑えきれなくなりつつある。
「ゆぎぃっ!ゆぎいい!!ゆぎいいいいいいいい!!」
その声に驚いた魚がピュッと加速する。
ついにGまりさもそれにつられ動いた。
「ゆぎいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
そのまま川の中に飛び込む。
「っ!ゆっ!ぎぎぃっ!ゆ……」
バシャバシャと水音をたてて暴れていたが―――やがて静かになった。
餡子は溶かされ、Y因子も消えてなくなるだろう。
無論、水の中にはY因子など存在しない。
Y因子のないところでG-56は生きてゆけない。
だがウイルスとはそんな弱いものではない。
確かに単体では増えることができないが、他のモノの中に入り、情報を乗っ取り増殖する。
そしてその為に己を作り変えることができる。
生きられないのならば生きられるようになればいい。
G-56は変異しようとしていた。
自身の遺伝情報の中に必要最低限のY因子を取り込み、ゆっくりの体外や甘味物の外でも生存できるようになった。
そして水の流れの中で再びゆっくりと出会うのを待つことにした。
川の流れは山の間を通り、田舎の村を通り抜け、地方の境界を超え、町の間を流れる大きな流れになった。
無論、水の中にはY因子など存在しない。
Y因子のないところでG-56は生きてゆけない。
だがウイルスとはそんな弱いものではない。
確かに単体では増えることができないが、他のモノの中に入り、情報を乗っ取り増殖する。
そしてその為に己を作り変えることができる。
生きられないのならば生きられるようになればいい。
G-56は変異しようとしていた。
自身の遺伝情報の中に必要最低限のY因子を取り込み、ゆっくりの体外や甘味物の外でも生存できるようになった。
そして水の流れの中で再びゆっくりと出会うのを待つことにした。
川の流れは山の間を通り、田舎の村を通り抜け、地方の境界を超え、町の間を流れる大きな流れになった。
その川の河川敷。
道路の陸橋の下にいくつかの段ボールがあった。
「ゆーん!ゆゆ~ん!」
「おきゃあしゃんのおうちゃはゆっきゅりできりゅね!」
「ゆゆ~ん!ゆっきゅりゆっきゅり!」
「とかいはなありすのとかいはなおちびちゃんたち!きょうはごはんになるおはなをとるわよ!」
「ゆっきゅりりきゃいしちゃわ!」
「こうやっておぼうしにのるのぜ!おちびたちもやってみるのぜ!」
「ゆゆ~!!こわいよおおおお!」
「はじめはゆっくりでいいのぜ!あわてなくていいのぜ!」
「ゆっくりするよ~……」
「ちーんぽ~……」
子供とゆっくりするもの、生きるための知恵を教えるもの、水の上に乗る方法を教えるもの、番とゆっくりするもの……それぞれのゆっくりが思い思いにゆっくりしていた。
ここは陸橋下の目立たない場所に造られたゆっくり達の群れ。
ダンボールを立てて作った巣が何個もあった。
「ゆ!!」
赤れいむと親れいむが川べりに向かって跳ねていく。
「きゃわいいれいみゅはおみじゅしゃんをのみゅよ!!」
「おちびちゃん!ゆっくりきをつけてね!」
赤れいむは川べりの草の中をごそごそとあさる。
「ゆ!しゅとりょーしゃんでちゅーちゅーしゅりゅよ!!」
川べりには何本かの『ストロー』が置いてあった。
群れの大人がどこからか持ってきたもので、これを使えば安全に水を吸えるのだ。
「ゆん!さすがれいむのおちびちゃんだよ!てんっさいだね!」
「ゆゆ~ん!かしきょくっちぇごみぇんねぇ~」
ストローを川につけ水を吸う。
「ちゅーちゅー」
「ゆ~。まりさものどがかわいたよ!」
「ぱちぇもごーくごーくするわっ!」
ストローは何本もあり、他のゆっくり達も川から水を吸っていく。
ストローを使うようになってからは、川に落ちる事故が格段に減ったのは事実である。
「ゆ?れいみゅちーちーしちゃくなっちゃよ!!」
「ゆわわ!おちびちゃん!かわのなかにしーしーしちゃだめだよっ!みんながおみずをのんでるんだよっ!」
「どぼちちぇえええ!?きゃわいいれいみゅがちーちーしゅるんだよおおお!!ぎゃまんできにゃいよ!!ちーちーしゅ、ゆびゅぼっ!!」
同じく水を飲んでいたまりさに吹っ飛ばされる赤れいむ。
ふっとばされつつしーしーを草原にまき散らしている。
当然赤れいむ自身にもしーしーはこびりつく。
「ゆぴぃぃぃ!きちゃにゃいぃぃぃ!!これちょっちぇええええぇぇぇ!」
「れいむのおぢびぢゃんがあああああああああ!!?」
「あぶなかったよ……」
「むきゅう。あのれいむのあかちゃんはもっときょういくしないといけないわね……」
この町のゆっくりは人間を恐れ、自ら人間に近づくこともなかった。
町中で暮らすゆっくりもいるが、人目を避け、人間の機嫌を損ねる行為をそれぞれの群れで固く禁じていた。
なので駆除などの脅威に晒されることはなかった。
野良のゆっくりであったとしても、飼いゆっくりとはまた違ったゆっくりを享受していた。
「ゆん!じゃあまりさとおちびたちはまちのおうちにかえるのぜ!」
「またあそぼうねまりさ!」
「ゆゆ~ん!みんなゆっくりしていってね!!」
夕方となり、先ほど川で子ゆっくりの訓練をしていたまりさが引き上げていく。
どうやらこの川辺の群れの一員ではなく、町の中にある群れが本来の居場所らしい。
よく見るとまりさ達と同じように、川辺から町や住宅街の方に離れていくゆっくりが幾らかいる。
その途中、子まりさがあるものを見つけた。
「ゆゆ?おとーさん!おぼうしがながれてくるよっ!」
「ゆう?ほんとなんだぜ」
「おぼうしをながしちゃうなんてゆっくりできないゆっくりだね!」
「そうなのぜ!おちびたちもおぼうしにのるときはぜったいにおぼうしをはなさないようにするんだぜ!」
「「「ゆっくりりかいしたよっ!!」」」
赤い餡子を付着させた黒いお帽子は、そのまま海へと流れて行った……。
道路の陸橋の下にいくつかの段ボールがあった。
「ゆーん!ゆゆ~ん!」
「おきゃあしゃんのおうちゃはゆっきゅりできりゅね!」
「ゆゆ~ん!ゆっきゅりゆっきゅり!」
「とかいはなありすのとかいはなおちびちゃんたち!きょうはごはんになるおはなをとるわよ!」
「ゆっきゅりりきゃいしちゃわ!」
「こうやっておぼうしにのるのぜ!おちびたちもやってみるのぜ!」
「ゆゆ~!!こわいよおおおお!」
「はじめはゆっくりでいいのぜ!あわてなくていいのぜ!」
「ゆっくりするよ~……」
「ちーんぽ~……」
子供とゆっくりするもの、生きるための知恵を教えるもの、水の上に乗る方法を教えるもの、番とゆっくりするもの……それぞれのゆっくりが思い思いにゆっくりしていた。
ここは陸橋下の目立たない場所に造られたゆっくり達の群れ。
ダンボールを立てて作った巣が何個もあった。
「ゆ!!」
赤れいむと親れいむが川べりに向かって跳ねていく。
「きゃわいいれいみゅはおみじゅしゃんをのみゅよ!!」
「おちびちゃん!ゆっくりきをつけてね!」
赤れいむは川べりの草の中をごそごそとあさる。
「ゆ!しゅとりょーしゃんでちゅーちゅーしゅりゅよ!!」
川べりには何本かの『ストロー』が置いてあった。
群れの大人がどこからか持ってきたもので、これを使えば安全に水を吸えるのだ。
「ゆん!さすがれいむのおちびちゃんだよ!てんっさいだね!」
「ゆゆ~ん!かしきょくっちぇごみぇんねぇ~」
ストローを川につけ水を吸う。
「ちゅーちゅー」
「ゆ~。まりさものどがかわいたよ!」
「ぱちぇもごーくごーくするわっ!」
ストローは何本もあり、他のゆっくり達も川から水を吸っていく。
ストローを使うようになってからは、川に落ちる事故が格段に減ったのは事実である。
「ゆ?れいみゅちーちーしちゃくなっちゃよ!!」
「ゆわわ!おちびちゃん!かわのなかにしーしーしちゃだめだよっ!みんながおみずをのんでるんだよっ!」
「どぼちちぇえええ!?きゃわいいれいみゅがちーちーしゅるんだよおおお!!ぎゃまんできにゃいよ!!ちーちーしゅ、ゆびゅぼっ!!」
同じく水を飲んでいたまりさに吹っ飛ばされる赤れいむ。
ふっとばされつつしーしーを草原にまき散らしている。
当然赤れいむ自身にもしーしーはこびりつく。
「ゆぴぃぃぃ!きちゃにゃいぃぃぃ!!これちょっちぇええええぇぇぇ!」
「れいむのおぢびぢゃんがあああああああああ!!?」
「あぶなかったよ……」
「むきゅう。あのれいむのあかちゃんはもっときょういくしないといけないわね……」
この町のゆっくりは人間を恐れ、自ら人間に近づくこともなかった。
町中で暮らすゆっくりもいるが、人目を避け、人間の機嫌を損ねる行為をそれぞれの群れで固く禁じていた。
なので駆除などの脅威に晒されることはなかった。
野良のゆっくりであったとしても、飼いゆっくりとはまた違ったゆっくりを享受していた。
「ゆん!じゃあまりさとおちびたちはまちのおうちにかえるのぜ!」
「またあそぼうねまりさ!」
「ゆゆ~ん!みんなゆっくりしていってね!!」
夕方となり、先ほど川で子ゆっくりの訓練をしていたまりさが引き上げていく。
どうやらこの川辺の群れの一員ではなく、町の中にある群れが本来の居場所らしい。
よく見るとまりさ達と同じように、川辺から町や住宅街の方に離れていくゆっくりが幾らかいる。
その途中、子まりさがあるものを見つけた。
「ゆゆ?おとーさん!おぼうしがながれてくるよっ!」
「ゆう?ほんとなんだぜ」
「おぼうしをながしちゃうなんてゆっくりできないゆっくりだね!」
「そうなのぜ!おちびたちもおぼうしにのるときはぜったいにおぼうしをはなさないようにするんだぜ!」
「「「ゆっくりりかいしたよっ!!」」」
赤い餡子を付着させた黒いお帽子は、そのまま海へと流れて行った……。
その夜。
「ゆぅーん!!ぽんぽんがいちゃいよおおおおお!!」
「ゆゆゆ!おちびちゃん!!ゆっくりなおってね!ぺーろ!ぺーろ!」
「いちゃいよおおおおお!!」
川の水を飲んだ赤れいむが腹痛を訴えていた。
ゆっくりの腹痛といえば『ゆ下痢』を連想するが、この赤ゆっくりはうんうんを大量に漏らしたりなどはしていない。
しんぐるまざーのれいむは必死に赤れいむをぺーろぺーろしているが、そんなことをして痛みが治まるわけでもない。
「ゆゆぅ~ぱちゅりーはやくきてよおおお……」
「むきゅ!またせたわねっ!」
このダンボールコミュの長であるぱちゅりーがやってきた。
「おそいよぱちゅりいいいいいい!!れいむのおちびちゃんがいたいいたいなんだよおおおおおおおおお!!」
「むきゅう……ごめんなさい……でもほかのゆっくりもなんにんかおなかがいたいみたいなのよ……」
「そんなのしらないよ!はやくおちびちゃんをみてねっ!!」
何よりも我が子が大事なれいむはぱちゅりーに赤れいむの診察を急かす。
「むきゅーそれじゃ……おちびちゃん?おなかがいたいのね?」
「いぢゃいいいいいい!!ばぢゅりぃはきゃわいいれいみゅをはやきゅたしゅげりょおおおおおおお!!」
汗だか涎だかわからない体液を全身から垂らしつつ喚く赤れいむ。
それを見てぱちゅりーは顔をしかめたが、我慢して診察を続ける。
「むきゅん。れいむよくきいてね……おなかがいたいのはわかるけど……はっきりいってなおすほうほうはないわ」
「ゆうううううううううう!?ふじゃけるにゃあああああああ!!」
「ど、どういうことなのぱちゅりー!?」
「げんいんがわからないのよ。むれのはんぶんいじょうのゆっくりがおなじじょうたいなの。でも、なにかとくべつなことをしたわけでもないの。げんいんがわからなかったらなおしようがないわ」
確かにれいむのダンボールハウスの外からも、同じような苦しむ声が聞こえる。
ぱちゅりーの言うことももっともであるが、れいむ親子にはからしてはたまったもんではない。
「いぢゃい!いぢゃい!いぢゃいいいいい!!ゆぴいいいいいい!!」
「おあぢゅりいいいい!!なんどがじでえええええ!」
「むきゅう……にんげんさんがもってるおれんじじゅーすさんがあれば……」
ぱちゅりーが呟く。
うわさに聞く、どんな怪我や病気でさえも治してしまう『おれんじじゅーす』。
だがそれを持っているのは人間のみ。
この町のゆっくりは人間と関わるのを避けることで生き延びてきた。
なので人間におれんじじゅーすを分けてもらうなどということは考え付かなかった。
「おれんじじゅーすさん!?おれんじじゅーすさんがあればおちびちゃんはたすかるんだねっ!!」
ダンボールハウスの出口へと向かうれいむ。
「むきゅ!?れいむ!?どこにいくの!!」
「きまってるよ!にんげんさんにたのんでおれんじじゅーすさんをもらってくるよっ!」
その言葉にぱちゅりーは色をなくす。
「むっきゅううう!?なにをいってるのれいむ!!にんげんさんにかかわってはだめよっ!!おきてをわすれたの!?」
「そんなのしったこっちゃないよ!!れいむはおちびちゃんのほうがだいじだよっ!!むのうなぱちゅりーはゆっくりしねっ!!」
「むぎゅううう!!どぼじでぞんなごどいうのおおおおお!?」
れいむの暴言とぱちゅりーの悲鳴がダンボール内に響く。
「ゆびいいいいいいいいい!!」
「「ゆっ?」」
突然、一際甲高い赤れいむの悲鳴が上がる。
二匹は動きを止め赤れいむを見た。
「ゆげひっ!ゆげっ!ゆびぃっ!!」
赤れいむは舌を千切れんばかりに突き上げ、口の端がわずかに千切れるほど大口を開き、目を出目金のようにギロッとむき出していた。
「ゆひっ!!」
「むきゅう!?」
思わず恐怖する二匹。
「ゆびびびびびっ!ゆびいいいいいいい!!」
赤れいむはガクガクガクと体を痙攣させ、奇声を発する。
「おぢびぢゃんんんんんん!!ゆっぐりじでえええええ!ゆっぐりぃ!ゆっぐりいいいいいい!!」
たまらずれいむは赤れいむに近寄り、もみあげで赤れいむを抑えつけようとする。
「ゆぎっ!!」
しかしなおも暴れ続ける赤れいむ。
「む、むきゅう!?」
ぱちゅりーは見ていた。
暴れる赤れいむの目が、だんだんと真っ赤に染まっていくのを―――。
「ゆゆゆ!おちびちゃん!!ゆっくりなおってね!ぺーろ!ぺーろ!」
「いちゃいよおおおおお!!」
川の水を飲んだ赤れいむが腹痛を訴えていた。
ゆっくりの腹痛といえば『ゆ下痢』を連想するが、この赤ゆっくりはうんうんを大量に漏らしたりなどはしていない。
しんぐるまざーのれいむは必死に赤れいむをぺーろぺーろしているが、そんなことをして痛みが治まるわけでもない。
「ゆゆぅ~ぱちゅりーはやくきてよおおお……」
「むきゅ!またせたわねっ!」
このダンボールコミュの長であるぱちゅりーがやってきた。
「おそいよぱちゅりいいいいいい!!れいむのおちびちゃんがいたいいたいなんだよおおおおおおおおお!!」
「むきゅう……ごめんなさい……でもほかのゆっくりもなんにんかおなかがいたいみたいなのよ……」
「そんなのしらないよ!はやくおちびちゃんをみてねっ!!」
何よりも我が子が大事なれいむはぱちゅりーに赤れいむの診察を急かす。
「むきゅーそれじゃ……おちびちゃん?おなかがいたいのね?」
「いぢゃいいいいいい!!ばぢゅりぃはきゃわいいれいみゅをはやきゅたしゅげりょおおおおおおお!!」
汗だか涎だかわからない体液を全身から垂らしつつ喚く赤れいむ。
それを見てぱちゅりーは顔をしかめたが、我慢して診察を続ける。
「むきゅん。れいむよくきいてね……おなかがいたいのはわかるけど……はっきりいってなおすほうほうはないわ」
「ゆうううううううううう!?ふじゃけるにゃあああああああ!!」
「ど、どういうことなのぱちゅりー!?」
「げんいんがわからないのよ。むれのはんぶんいじょうのゆっくりがおなじじょうたいなの。でも、なにかとくべつなことをしたわけでもないの。げんいんがわからなかったらなおしようがないわ」
確かにれいむのダンボールハウスの外からも、同じような苦しむ声が聞こえる。
ぱちゅりーの言うことももっともであるが、れいむ親子にはからしてはたまったもんではない。
「いぢゃい!いぢゃい!いぢゃいいいいい!!ゆぴいいいいいい!!」
「おあぢゅりいいいい!!なんどがじでえええええ!」
「むきゅう……にんげんさんがもってるおれんじじゅーすさんがあれば……」
ぱちゅりーが呟く。
うわさに聞く、どんな怪我や病気でさえも治してしまう『おれんじじゅーす』。
だがそれを持っているのは人間のみ。
この町のゆっくりは人間と関わるのを避けることで生き延びてきた。
なので人間におれんじじゅーすを分けてもらうなどということは考え付かなかった。
「おれんじじゅーすさん!?おれんじじゅーすさんがあればおちびちゃんはたすかるんだねっ!!」
ダンボールハウスの出口へと向かうれいむ。
「むきゅ!?れいむ!?どこにいくの!!」
「きまってるよ!にんげんさんにたのんでおれんじじゅーすさんをもらってくるよっ!」
その言葉にぱちゅりーは色をなくす。
「むっきゅううう!?なにをいってるのれいむ!!にんげんさんにかかわってはだめよっ!!おきてをわすれたの!?」
「そんなのしったこっちゃないよ!!れいむはおちびちゃんのほうがだいじだよっ!!むのうなぱちゅりーはゆっくりしねっ!!」
「むぎゅううう!!どぼじでぞんなごどいうのおおおおお!?」
れいむの暴言とぱちゅりーの悲鳴がダンボール内に響く。
「ゆびいいいいいいいいい!!」
「「ゆっ?」」
突然、一際甲高い赤れいむの悲鳴が上がる。
二匹は動きを止め赤れいむを見た。
「ゆげひっ!ゆげっ!ゆびぃっ!!」
赤れいむは舌を千切れんばかりに突き上げ、口の端がわずかに千切れるほど大口を開き、目を出目金のようにギロッとむき出していた。
「ゆひっ!!」
「むきゅう!?」
思わず恐怖する二匹。
「ゆびびびびびっ!ゆびいいいいいいい!!」
赤れいむはガクガクガクと体を痙攣させ、奇声を発する。
「おぢびぢゃんんんんんん!!ゆっぐりじでえええええ!ゆっぐりぃ!ゆっぐりいいいいいい!!」
たまらずれいむは赤れいむに近寄り、もみあげで赤れいむを抑えつけようとする。
「ゆぎっ!!」
しかしなおも暴れ続ける赤れいむ。
「む、むきゅう!?」
ぱちゅりーは見ていた。
暴れる赤れいむの目が、だんだんと真っ赤に染まっていくのを―――。
その頃、他のゆっくり家族にも同じことが起こっていた。
「ま、まりざああああああああ!!」
「おちょうしゃんんん!!」
「ゆっきゅりしちぇええええ!!」
「ゆがああああああああああああ!!」
路地裏のダンボールハウスを破壊し、子まりさを踏みつぶした親まりさは赤れいむと同じように大暴れしていた。
あの時、川で子ゆっくりに水乗りを教えていたまりさだった。
他のゆっくり達もこの騒ぎに目を覚まし、まりさ達家族を遠目に見ている。
あの時川辺にいて、川の水に触れたゆっくりたちは、自分の所属する群れに帰ってから激しい痛みに襲われていた。
森の中にいたGまりさから溶け出たGは川を汚染し、その川の水を取り込んだゆっくりが感染したのだ。
餡子や甘味系の中でしか生きられないと思われていた『G-56』が突然変異を起こし、それ以外の場所でも自身を休眠状態にすることによって生存可能になった。
そして再びゆっくりの中に入ると活動を再開させるのだ。
今までは感染した瞬間に狂暴性を発現していたGだが、変異によって即効性が緩和されたのか、わずかに時間を置くようになった。
Gを保菌したゆっくりが各群れにまで帰ってしまい、群れの仲間にすーりすーりなどを行うことによりGの拡散を手助けしてしまったのだ。
さらには、いままで感染後に死んでいた赤ゆっくりが発症するようになった。
加えて感染ゆっくりは激しい痛みを受けることとなった。
これはゆっくりの体内にあるZがGの浸食を何とか防衛しようとする為のようだ。
何故その過程で痛みが生じるかはわかっていないが、人間が風邪をひくと熱が出ると同じものと思われている。
「ま、まりざああああああああ!!」
「おちょうしゃんんん!!」
「ゆっきゅりしちぇええええ!!」
「ゆがああああああああああああ!!」
路地裏のダンボールハウスを破壊し、子まりさを踏みつぶした親まりさは赤れいむと同じように大暴れしていた。
あの時、川で子ゆっくりに水乗りを教えていたまりさだった。
他のゆっくり達もこの騒ぎに目を覚まし、まりさ達家族を遠目に見ている。
あの時川辺にいて、川の水に触れたゆっくりたちは、自分の所属する群れに帰ってから激しい痛みに襲われていた。
森の中にいたGまりさから溶け出たGは川を汚染し、その川の水を取り込んだゆっくりが感染したのだ。
餡子や甘味系の中でしか生きられないと思われていた『G-56』が突然変異を起こし、それ以外の場所でも自身を休眠状態にすることによって生存可能になった。
そして再びゆっくりの中に入ると活動を再開させるのだ。
今までは感染した瞬間に狂暴性を発現していたGだが、変異によって即効性が緩和されたのか、わずかに時間を置くようになった。
Gを保菌したゆっくりが各群れにまで帰ってしまい、群れの仲間にすーりすーりなどを行うことによりGの拡散を手助けしてしまったのだ。
さらには、いままで感染後に死んでいた赤ゆっくりが発症するようになった。
加えて感染ゆっくりは激しい痛みを受けることとなった。
これはゆっくりの体内にあるZがGの浸食を何とか防衛しようとする為のようだ。
何故その過程で痛みが生じるかはわかっていないが、人間が風邪をひくと熱が出ると同じものと思われている。
「「「「「ゆっぎいいいいいいいいいいいいい!!」」」」」
Gによって完全に浸食されたゆっくりはやがて他のゆっくりを襲い始めた。
赤れいむは親れいむに襲い掛かったが、激高した親れいむは赤れいむを踏みつぶした。
だが、赤れいむの餡子が体に付着した結果、激しい痛みと共に自身もGゆっくりになった。
逃げ出した長ぱちゅりーは、他のGゆっくりに襲われ同じくGゆっくりとなった。
路地裏の親まりさは家族に襲い掛かり、皆仲良くGゆっくりとなり群れの皆にも襲い掛かった。
何とか逃げ出したゆっくり達も、まりさの振りまく赤い体液に触れており、逃げた先でGゆっくりとなり他のゆっくりを襲い始める。
こうして『G』は森から放たれ街を浸食し始めた―――
赤れいむは親れいむに襲い掛かったが、激高した親れいむは赤れいむを踏みつぶした。
だが、赤れいむの餡子が体に付着した結果、激しい痛みと共に自身もGゆっくりになった。
逃げ出した長ぱちゅりーは、他のGゆっくりに襲われ同じくGゆっくりとなった。
路地裏の親まりさは家族に襲い掛かり、皆仲良くGゆっくりとなり群れの皆にも襲い掛かった。
何とか逃げ出したゆっくり達も、まりさの振りまく赤い体液に触れており、逃げた先でGゆっくりとなり他のゆっくりを襲い始める。
こうして『G』は森から放たれ街を浸食し始めた―――
<感染拡大>
夜が明ける。
だがゆっくりに希望の光はもはや訪れない。
「ゆひっ!ゆひいぃっ!!ゆひいいいい!!」
「まっでね!まりざ!!までええぇぇえええ!!」
「れいむこっちなんだぜ!!ゆっぐりじないでにげるんだぜっ!!」
れいむとまりさは必死に逃げていた。
「も、もうだめだよ!れいぶゆっぐりずるよっ!ゆっぐ『ゆぎげぎゃあああああ』ゆひっ!?」
ぜはーぜはーと息をつくれいむの背後から迫る狂暴な叫び声。
狭い路地裏。
二匹の背後から迫る赤いゆっくり。
『G-56』に感染したGゆっくりだ。
「や、やだああああ!!れいぶあんなのになりだぐないよおおおお!!ゆっぐりぃ!!ゆっぐりいいいいい!!」
再び跳ねだすれいむ。
二匹が居た群れは全滅した。
長も、ご近所ゆっくりも、両親も全部あの赤いゆっくりになった。
激しい痛みを訴えた後、他のゆっくりに襲い掛かり始めた。
そして意味不明な叫び声をあげる。
ゆっくりできない。
とてつもなくゆっくりできない。
たまたま『とある事情』で群れを離れていた二匹は難を逃れたが、それはゆっくりできない逃避行の始まりであった。
「ゆっぎゅうううぅぅぅううう!!」
「ゆゆっ!?」
横道からG赤ゆっくりが一匹姿を現した。
他のGゆっくりと同じく、赤く染まった目でれいむを睨みつけている。
「じゃまをずるなあああああ!!」
れいむはおさげでG赤ゆっくりを跳ね飛ばした。
「びぎぃいいいい」
G赤ゆっくりはれいむの後方へとコロコロ転がっていく。
「びゅぎぃぃぃ『ブチッ』びぃ!!」
そしてれいむを追ってきた他の成体Gゆっくりに踏みつぶされた。
勿論Gゆっくり達はそんなこと意にかえさない。
ひたすら血走った目でれいむを追ってくる。
「ゆひいぃぃぃぃ!!」
れいむはその様子を見てさらに逃げ始める。
「れいぶっ!!こっちなんだぜ!!」
「ゆ”っ!?」
まりさがわずかに開いた扉の隙間からおさげを振っている。
れいむは急いでそこに飛び込む。
「しめるんだぜ!」
「ゆううううう!!」
れいむが扉の中に駆け込み、二匹は内側から扉に体当たりをかます。
扉はガチャリという音をたてて閉じた。
「「ゆひいいいいい……」」
ドンドン!ドン!と外から体当たりの音が聞こえていたが、やがて聞こえなくなった。
「ゆ、ゆっくりできる……?」
「ゆうううう……」
建物の中は真っ暗だったが追手は諦めたようで静寂が訪れる。
そこは廃ビルの裏に置かれた倉庫であり、使われなくなって久しようだ。
「どぼじでごんなごどにぃ……」
「ゆっぐりじだいよお……」
昨日までのゆっくりはどこに行ってしまったのか。
自分たちは何も悪いことはしてない。
なんでこんな目に合うのか。
あのゆっくりなんなのか。
あんなゆっくりしていないものいはなりたくない。
様々な想いが二匹の餡子の中を駆け巡った。
だが、二匹には希望があった。
「れいむ……おなかのあかちゃんたちはだいじょうぶなのかだぜ?」
「ゆ……だいじょうぶだよ……れいむのおなかのなかでゆっくりしてるよ……」
昨夜の『とある事情』とはすっきりーのことである。
実は二匹、まだ正式に番になっておらずお互いの親の許可も得ていない。
夜にこっそり会って逢引しているうちにすっきりーに発展、そのままにんっしん!したのだ。
ゆっくりお得意の『おちびちゃんはゆっくりできる』の概成事実で番になろうと思っていたが、Gの感染拡大により全てはがらりと変わってしまったのだった。
なお、群れでは植物性のにんっしん!は禁止されているため、れいむは胎生にんっしん!をしていた。
妊娠していてもれいむがここまで逃げてこれたのは、おちびちゃんへの母性やまりさへの愛ゆえだろう。
「まりさぁこれからどうするのぉ……」
「ゆぅ……ゆっくりかんがえるよ……れいむもかんがえてね」
「ゆゆぅ……わからないよぉ」
真っ暗の中で二匹寄り添って考える。
しかし突然すぎるこの異常事態にゆっくりの神経が付いていけるわけもない。
人間だってそうだろう。
「ゆぅ……すー……すーやすーや」
「ゆぴぴ……すー」
二匹はいつしか眠ってしまっていた。
だがゆっくりに希望の光はもはや訪れない。
「ゆひっ!ゆひいぃっ!!ゆひいいいい!!」
「まっでね!まりざ!!までええぇぇえええ!!」
「れいむこっちなんだぜ!!ゆっぐりじないでにげるんだぜっ!!」
れいむとまりさは必死に逃げていた。
「も、もうだめだよ!れいぶゆっぐりずるよっ!ゆっぐ『ゆぎげぎゃあああああ』ゆひっ!?」
ぜはーぜはーと息をつくれいむの背後から迫る狂暴な叫び声。
狭い路地裏。
二匹の背後から迫る赤いゆっくり。
『G-56』に感染したGゆっくりだ。
「や、やだああああ!!れいぶあんなのになりだぐないよおおおお!!ゆっぐりぃ!!ゆっぐりいいいいい!!」
再び跳ねだすれいむ。
二匹が居た群れは全滅した。
長も、ご近所ゆっくりも、両親も全部あの赤いゆっくりになった。
激しい痛みを訴えた後、他のゆっくりに襲い掛かり始めた。
そして意味不明な叫び声をあげる。
ゆっくりできない。
とてつもなくゆっくりできない。
たまたま『とある事情』で群れを離れていた二匹は難を逃れたが、それはゆっくりできない逃避行の始まりであった。
「ゆっぎゅうううぅぅぅううう!!」
「ゆゆっ!?」
横道からG赤ゆっくりが一匹姿を現した。
他のGゆっくりと同じく、赤く染まった目でれいむを睨みつけている。
「じゃまをずるなあああああ!!」
れいむはおさげでG赤ゆっくりを跳ね飛ばした。
「びぎぃいいいい」
G赤ゆっくりはれいむの後方へとコロコロ転がっていく。
「びゅぎぃぃぃ『ブチッ』びぃ!!」
そしてれいむを追ってきた他の成体Gゆっくりに踏みつぶされた。
勿論Gゆっくり達はそんなこと意にかえさない。
ひたすら血走った目でれいむを追ってくる。
「ゆひいぃぃぃぃ!!」
れいむはその様子を見てさらに逃げ始める。
「れいぶっ!!こっちなんだぜ!!」
「ゆ”っ!?」
まりさがわずかに開いた扉の隙間からおさげを振っている。
れいむは急いでそこに飛び込む。
「しめるんだぜ!」
「ゆううううう!!」
れいむが扉の中に駆け込み、二匹は内側から扉に体当たりをかます。
扉はガチャリという音をたてて閉じた。
「「ゆひいいいいい……」」
ドンドン!ドン!と外から体当たりの音が聞こえていたが、やがて聞こえなくなった。
「ゆ、ゆっくりできる……?」
「ゆうううう……」
建物の中は真っ暗だったが追手は諦めたようで静寂が訪れる。
そこは廃ビルの裏に置かれた倉庫であり、使われなくなって久しようだ。
「どぼじでごんなごどにぃ……」
「ゆっぐりじだいよお……」
昨日までのゆっくりはどこに行ってしまったのか。
自分たちは何も悪いことはしてない。
なんでこんな目に合うのか。
あのゆっくりなんなのか。
あんなゆっくりしていないものいはなりたくない。
様々な想いが二匹の餡子の中を駆け巡った。
だが、二匹には希望があった。
「れいむ……おなかのあかちゃんたちはだいじょうぶなのかだぜ?」
「ゆ……だいじょうぶだよ……れいむのおなかのなかでゆっくりしてるよ……」
昨夜の『とある事情』とはすっきりーのことである。
実は二匹、まだ正式に番になっておらずお互いの親の許可も得ていない。
夜にこっそり会って逢引しているうちにすっきりーに発展、そのままにんっしん!したのだ。
ゆっくりお得意の『おちびちゃんはゆっくりできる』の概成事実で番になろうと思っていたが、Gの感染拡大により全てはがらりと変わってしまったのだった。
なお、群れでは植物性のにんっしん!は禁止されているため、れいむは胎生にんっしん!をしていた。
妊娠していてもれいむがここまで逃げてこれたのは、おちびちゃんへの母性やまりさへの愛ゆえだろう。
「まりさぁこれからどうするのぉ……」
「ゆぅ……ゆっくりかんがえるよ……れいむもかんがえてね」
「ゆゆぅ……わからないよぉ」
真っ暗の中で二匹寄り添って考える。
しかし突然すぎるこの異常事態にゆっくりの神経が付いていけるわけもない。
人間だってそうだろう。
「ゆぅ……すー……すーやすーや」
「ゆぴぴ……すー」
二匹はいつしか眠ってしまっていた。
どのくらい眠っていたのか。
「すーやすーや……ゆ?」
れいむはふと目を覚ました。
「ゆゆっ?なんだかおなかがむずむずするよっ!」
「ゆーん……?どうしたのぜれいむ?」
れいむの声にまりさも目を覚ました。
「まりさ!なんだかおなかさんがむずむずするんだよ!」
「ゆゆ?おなかさんが?……ゆっ!もしかして……おちびがうまれうんじゃないのかだぜ!?」
「ゆー!?」
胎生にんっしん!の場合生まれるまでは一週間ほどかかるものだ。
それが一日も経っていないのに生まれるとはありえない。
「ゆー!あかちゃんがうまれるの!?れいむおかあさんだね!!ゆっくりできるよ!!」
「そうだぜ!れいむとまりさのおちびちゃんがこのぜつっぼう!てきなじょうきょうをてらすきぼうのひかりになるんだぜ!」
しかし、昨日から極限にゆっくりできない状況を味わってきた二匹にはそんな疑問をもつ余裕はなかった。
「ゆ~んゆゆ~ん♪おちびちゃん!ゆっくりしないでゆっくりとうまれてきてね!みんなでゆっくりしようね!」
「きっとゆっくりしたおちびなのぜ!ゆっくりしないでゆっくりうまれてきてね!!」
かなり矛盾したことを言う二匹。
今は少しでもどんな形でもいいからゆっくりが欲しい。
おちびちゃんはゆっくりできる。
これでゆっくりできないことともおさらば。
これからはまたゆっくりできる―――
「すーやすーや……ゆ?」
れいむはふと目を覚ました。
「ゆゆっ?なんだかおなかがむずむずするよっ!」
「ゆーん……?どうしたのぜれいむ?」
れいむの声にまりさも目を覚ました。
「まりさ!なんだかおなかさんがむずむずするんだよ!」
「ゆゆ?おなかさんが?……ゆっ!もしかして……おちびがうまれうんじゃないのかだぜ!?」
「ゆー!?」
胎生にんっしん!の場合生まれるまでは一週間ほどかかるものだ。
それが一日も経っていないのに生まれるとはありえない。
「ゆー!あかちゃんがうまれるの!?れいむおかあさんだね!!ゆっくりできるよ!!」
「そうだぜ!れいむとまりさのおちびちゃんがこのぜつっぼう!てきなじょうきょうをてらすきぼうのひかりになるんだぜ!」
しかし、昨日から極限にゆっくりできない状況を味わってきた二匹にはそんな疑問をもつ余裕はなかった。
「ゆ~んゆゆ~ん♪おちびちゃん!ゆっくりしないでゆっくりとうまれてきてね!みんなでゆっくりしようね!」
「きっとゆっくりしたおちびなのぜ!ゆっくりしないでゆっくりうまれてきてね!!」
かなり矛盾したことを言う二匹。
今は少しでもどんな形でもいいからゆっくりが欲しい。
おちびちゃんはゆっくりできる。
これでゆっくりできないことともおさらば。
これからはまたゆっくりできる―――
なわけない。
ゆっくりにはもう、希望の光は訪れない。
ゆっくりにはもう、希望の光は訪れない。
「ゆっ!?」
「れいむ?うまれるのかだぜ?!いままりさがじゅんびするの『ゆ”……ゆぎいいいいいいいいい!!!』ゆ!?」
突然れいむが叫びだした。
苦痛に顔をゆがめ、周りを転げ始める。
「れ、れいむどうしたのかだぜ!?ゆっくりしていってね!ゆっくりしてね!!!」
「い、いだいいいいいいい!!お”も”に”お”な”がざんがいだい”い”い”い”い”い”ぃぃぃ!!」
思わずれいむから離れるまりさ。
れいむはしっちゃかめっちゃかに転げまわる。
「ゆぎいいいいいI!!いだいぃぃぃぃぃぃいいい!!やべでえええええええ!!れいむのおながざんをがまないでええええええええええええええ!!」
「ゆゆぅ!?」
れいむは何を言っているのだろうか?
おなかを噛む?
何が?
「ゆ……ゆぅぅぅ?……ゆい!!れ、れいむ!それはきっとおちびがうまれるしょうこなのぜ!!ゆっくりしてね!!」
そういえば自分の親も兄弟を生むときに苦しんでいた。
れいむもそれで苦しんでいるのだとまりさは思った。
「ゆがああああぁぁぁぁぁ!!ぢがぶううううううう!!やべぼぐぞがぎどぼおおおお!!れいむのおなががらででいげえええええ!!!」
これ以上ない醜い顔でおなかの中のおちびに呪詛を吐くれいむ。
するとれいむの産道が収縮した。
「ゆ?まさかおち『ブシャア!』ゆぅ!?」
出てきたのはれいむの餡子だった。
その中に黒い帽子が見える。
「お、おちびなのかだぜ……?ゆっくりし……『ゆっびゅぁぁぁぁぁぁ!!』!!」
れいむの餡子の中に埋もれて出てきたモノ……それはGに感染した赤まりさだった。
先ほどれいむが吹き飛ばしたG赤ゆっくりのGがれいむの中に入り、それがおなかの中にいた赤ゆっくりをいち早く蝕んだのだ。
帽子や体の上半分はすでに赤ゆっくりとしての形を形成しているが、下半分はまだ未完成な状態でれいむの餡子と同化しており、おさげは中途半端で小麦粉の皮もあちこちがデロリと垂れ下がっていた。
普通ならばこの状態で赤ゆっくりが意識を持つことはない。
「ぴぎゅぅぅぅ!!」
しかしそれは動いていた。
それはまるで地獄の底の炎の中から、体を炎で焼かれる亡者が天への助けを求めてうごめく様のようだ。
「ゆびっ!ゆびっ!ゆびっゆびびびぃぃぃぃぃ!!」
「……ぁ……ゆぁ……」
自分の子供の姿に恐怖し、後ずさりながらおそろしーしーを垂れ流す親まりさ。
「あああああああああああああああああああ」
れいむは引き続き叫び声を上げ続ける。
「じねえぇぇぇぇ!!れいむをたべるぐぞぢびはじねええええええ!!ゆっ!まりざあああああ!ごろぜえええええええ!!ぐぞぢびどもをごろぜえええええええええ!!」
「ゆあ……」
普段では考えられないようなれいむの暴言と、目の前で踊り狂う自分のおちび。
親まりさ思考は完全に停止していた。
「ぶぁりざああああああ!!なにじでるうううう!!ごのぐぞどれいいいいいい!!ばやぐごろぜえええええ!!でいぶがゆっぐりでぎないだろうがあああ!!」
おちびへの母性(笑)まりさへの愛(爆笑)などは消え去り、暴言を吐きまくるれいむ。
「ゆがっ!!あ……あ……あああああああああああああ!!」
れいむの体がビクンと跳ねた。
「ゆ……も……ゆっぐ……」
『もっとゆっくりしたかった』の断末魔を言えない死に方。
これは中枢餡を破壊された時の死に方だ。
れいむはぱたりと動かなくなった。
「れ、れいむ……?」
と、れいむのまむまむが動いた。
「ゆぎゅぅぅぅぅ!!」
れいむの目玉の一部が盛り上がり、体外へと転がり落ちる。
「ぴっぴゅうううううぅぅ!!」
赤まりさがまむまむから、赤れいむが目玉から産声を上げた。
れいむの体から這い出て床へと落ちる。
先ほどのまりさと同じく、体は形成が未完全で崩れかかっているが、それを意に介することなく叫び声をあげる。
「ゅ……?ゅ……ゆぅ……?」
親まりさは変わらず立ち尽くすばかり。
「ゆぴっちいぃぃぃぃぃ!!」
「ぴぎゅぉぉぉぉぉ!!」
「ゆんびぃぃぃぃぃ!!」
三匹が親まりさに気づいた。
Gゆっくりの本質に基づき、母れいむをそうしたように、親まりさをせいっさい!しようとする。
が、不完全な体はその場から動かくことができず奇声を上げるだけである。
「……」
「ぴぃぃぃぃぃ!!」
(おちょーしゃんゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!!)
かつて思い描いていた、ゆっくりできる我が子の姿はそこになく。
「ぎびぃびびびびびぃぃぃぃ!!」
(おちょうしゃんはきゃっこいいのじぇ!!)
将来気築くつもりだったゆっくりした家庭は存在する前に壊れ。
「ゆ”じぃぃぃぃぃ!!」
(おちょうしゃん!ちあわせだよ!!)
愛しのれいむもゆっくりできないものとなってしまった。
全てのゆっくりを否定された親まりさは……
「ゆ~?おちびちゃん~?とてもゆっくりしてるのぜ~?おとーさんとすーるすーりするのぜ~?」
狂った。
まりさは現実から逃げて妄想の世界へと旅立った。
奇声を上げる我が子に近寄りすーりすーりしようとする。
「おちびちゃん~?おとーさんがすーりすーりしてあげるのぜ~?ゆっくりするの『ブチャ』ゆぴ?』
G赤ゆっくりの餡子が親まりさの顔に付着する。
狂ってしまった親まりさは気が付かなかった。
いつの間にか扉があいて、そこから一人の人間が入ってきていたことに。
人間の足がおちびを潰してもまりさは柔らかな笑みを浮かべている。
「ゆゆぅ~ん?おちびちゃんがいなくなったのぜ~?ゆっくり?ゆっくりぃ~?ゆ~おちびちゃんのあんこさん。ゆっくりおちびちゃんにもどるんだぜぇ?」
「狂ゆんか?。全くどうなってるんだ?」
「ゆゆ~ん?ゆゆ~ん?れいむぅ~どうしたんだぜぇ~?ゆっくりしてるの『ズボッ』ゆぶっ」
男は手に持っていた棒を親まりさに突き刺した。
それはゆっくりの中枢餡に餡子を突き刺すための棒であり、若干だが辛み成分も塗られている。
「ゆっ……ゆぎぃ!?ゆぎいぃぃぃぃぃ!!ゆぎゅぎょごぼぼlばdヵにhcないまお;j」
親まりさは意味不明な言葉を吐き、致死量の餡子をぶちまけ死んだ。
「あーあ、またやっちまった……」
中枢餡を突けば周りを汚すことなく処分できるが、外してしまうと辛み成分の影響で周りに餡子をまき散らしてしまうのだ。
「にしても……この赤ゆっくりも足りないゆっくり?にしては随分と変わってるな……」
「ゆぎっ(ブチュ)」
「ゆぼび(ブチャ)」
男は残りのG赤ゆっくりも踏みつぶし、すでに死んでいた親れいむ共々回収袋に詰め込んだ。
倉庫の外は赤いシミが所々についていた。
しかしGゆっくりの姿はなく静かなものだった。
「ふむ……通報にあった『赤いゆっくり』なんていないなあ……この赤いのが関係してるのか?とりあえず掃除だけしとくか」
男はモップと箒を使いその場の清掃を始めた。
「れいむ?うまれるのかだぜ?!いままりさがじゅんびするの『ゆ”……ゆぎいいいいいいいいい!!!』ゆ!?」
突然れいむが叫びだした。
苦痛に顔をゆがめ、周りを転げ始める。
「れ、れいむどうしたのかだぜ!?ゆっくりしていってね!ゆっくりしてね!!!」
「い、いだいいいいいいい!!お”も”に”お”な”がざんがいだい”い”い”い”い”い”ぃぃぃ!!」
思わずれいむから離れるまりさ。
れいむはしっちゃかめっちゃかに転げまわる。
「ゆぎいいいいいI!!いだいぃぃぃぃぃぃいいい!!やべでえええええええ!!れいむのおながざんをがまないでええええええええええええええ!!」
「ゆゆぅ!?」
れいむは何を言っているのだろうか?
おなかを噛む?
何が?
「ゆ……ゆぅぅぅ?……ゆい!!れ、れいむ!それはきっとおちびがうまれるしょうこなのぜ!!ゆっくりしてね!!」
そういえば自分の親も兄弟を生むときに苦しんでいた。
れいむもそれで苦しんでいるのだとまりさは思った。
「ゆがああああぁぁぁぁぁ!!ぢがぶううううううう!!やべぼぐぞがぎどぼおおおお!!れいむのおなががらででいげえええええ!!!」
これ以上ない醜い顔でおなかの中のおちびに呪詛を吐くれいむ。
するとれいむの産道が収縮した。
「ゆ?まさかおち『ブシャア!』ゆぅ!?」
出てきたのはれいむの餡子だった。
その中に黒い帽子が見える。
「お、おちびなのかだぜ……?ゆっくりし……『ゆっびゅぁぁぁぁぁぁ!!』!!」
れいむの餡子の中に埋もれて出てきたモノ……それはGに感染した赤まりさだった。
先ほどれいむが吹き飛ばしたG赤ゆっくりのGがれいむの中に入り、それがおなかの中にいた赤ゆっくりをいち早く蝕んだのだ。
帽子や体の上半分はすでに赤ゆっくりとしての形を形成しているが、下半分はまだ未完成な状態でれいむの餡子と同化しており、おさげは中途半端で小麦粉の皮もあちこちがデロリと垂れ下がっていた。
普通ならばこの状態で赤ゆっくりが意識を持つことはない。
「ぴぎゅぅぅぅ!!」
しかしそれは動いていた。
それはまるで地獄の底の炎の中から、体を炎で焼かれる亡者が天への助けを求めてうごめく様のようだ。
「ゆびっ!ゆびっ!ゆびっゆびびびぃぃぃぃぃ!!」
「……ぁ……ゆぁ……」
自分の子供の姿に恐怖し、後ずさりながらおそろしーしーを垂れ流す親まりさ。
「あああああああああああああああああああ」
れいむは引き続き叫び声を上げ続ける。
「じねえぇぇぇぇ!!れいむをたべるぐぞぢびはじねええええええ!!ゆっ!まりざあああああ!ごろぜえええええええ!!ぐぞぢびどもをごろぜえええええええええ!!」
「ゆあ……」
普段では考えられないようなれいむの暴言と、目の前で踊り狂う自分のおちび。
親まりさ思考は完全に停止していた。
「ぶぁりざああああああ!!なにじでるうううう!!ごのぐぞどれいいいいいい!!ばやぐごろぜえええええ!!でいぶがゆっぐりでぎないだろうがあああ!!」
おちびへの母性(笑)まりさへの愛(爆笑)などは消え去り、暴言を吐きまくるれいむ。
「ゆがっ!!あ……あ……あああああああああああああ!!」
れいむの体がビクンと跳ねた。
「ゆ……も……ゆっぐ……」
『もっとゆっくりしたかった』の断末魔を言えない死に方。
これは中枢餡を破壊された時の死に方だ。
れいむはぱたりと動かなくなった。
「れ、れいむ……?」
と、れいむのまむまむが動いた。
「ゆぎゅぅぅぅぅ!!」
れいむの目玉の一部が盛り上がり、体外へと転がり落ちる。
「ぴっぴゅうううううぅぅ!!」
赤まりさがまむまむから、赤れいむが目玉から産声を上げた。
れいむの体から這い出て床へと落ちる。
先ほどのまりさと同じく、体は形成が未完全で崩れかかっているが、それを意に介することなく叫び声をあげる。
「ゅ……?ゅ……ゆぅ……?」
親まりさは変わらず立ち尽くすばかり。
「ゆぴっちいぃぃぃぃぃ!!」
「ぴぎゅぉぉぉぉぉ!!」
「ゆんびぃぃぃぃぃ!!」
三匹が親まりさに気づいた。
Gゆっくりの本質に基づき、母れいむをそうしたように、親まりさをせいっさい!しようとする。
が、不完全な体はその場から動かくことができず奇声を上げるだけである。
「……」
「ぴぃぃぃぃぃ!!」
(おちょーしゃんゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!!)
かつて思い描いていた、ゆっくりできる我が子の姿はそこになく。
「ぎびぃびびびびびぃぃぃぃ!!」
(おちょうしゃんはきゃっこいいのじぇ!!)
将来気築くつもりだったゆっくりした家庭は存在する前に壊れ。
「ゆ”じぃぃぃぃぃ!!」
(おちょうしゃん!ちあわせだよ!!)
愛しのれいむもゆっくりできないものとなってしまった。
全てのゆっくりを否定された親まりさは……
「ゆ~?おちびちゃん~?とてもゆっくりしてるのぜ~?おとーさんとすーるすーりするのぜ~?」
狂った。
まりさは現実から逃げて妄想の世界へと旅立った。
奇声を上げる我が子に近寄りすーりすーりしようとする。
「おちびちゃん~?おとーさんがすーりすーりしてあげるのぜ~?ゆっくりするの『ブチャ』ゆぴ?』
G赤ゆっくりの餡子が親まりさの顔に付着する。
狂ってしまった親まりさは気が付かなかった。
いつの間にか扉があいて、そこから一人の人間が入ってきていたことに。
人間の足がおちびを潰してもまりさは柔らかな笑みを浮かべている。
「ゆゆぅ~ん?おちびちゃんがいなくなったのぜ~?ゆっくり?ゆっくりぃ~?ゆ~おちびちゃんのあんこさん。ゆっくりおちびちゃんにもどるんだぜぇ?」
「狂ゆんか?。全くどうなってるんだ?」
「ゆゆ~ん?ゆゆ~ん?れいむぅ~どうしたんだぜぇ~?ゆっくりしてるの『ズボッ』ゆぶっ」
男は手に持っていた棒を親まりさに突き刺した。
それはゆっくりの中枢餡に餡子を突き刺すための棒であり、若干だが辛み成分も塗られている。
「ゆっ……ゆぎぃ!?ゆぎいぃぃぃぃぃ!!ゆぎゅぎょごぼぼlばdヵにhcないまお;j」
親まりさは意味不明な言葉を吐き、致死量の餡子をぶちまけ死んだ。
「あーあ、またやっちまった……」
中枢餡を突けば周りを汚すことなく処分できるが、外してしまうと辛み成分の影響で周りに餡子をまき散らしてしまうのだ。
「にしても……この赤ゆっくりも足りないゆっくり?にしては随分と変わってるな……」
「ゆぎっ(ブチュ)」
「ゆぼび(ブチャ)」
男は残りのG赤ゆっくりも踏みつぶし、すでに死んでいた親れいむ共々回収袋に詰め込んだ。
倉庫の外は赤いシミが所々についていた。
しかしGゆっくりの姿はなく静かなものだった。
「ふむ……通報にあった『赤いゆっくり』なんていないなあ……この赤いのが関係してるのか?とりあえず掃除だけしとくか」
男はモップと箒を使いその場の清掃を始めた。
やっと掃除が終わり、回収車に戻った男は、回収したゆっくりを袋ごと回収車に放り込んだ。
「あー……駆除は俺の仕事じゃねよ……」
車の中でコーラを飲みつつ愚痴る。
事のきっかけは今朝から加工所駆除課の電話が鳴りっぱなしということからだ。
『変な赤いゆっくりが居る』
『ゆっくり達が何かからか逃げている』
『ゆっくりが騒がしい』
『ゆっくりがうるさい』
『ゆっくりがうざい』
『ゆっくり氏ね』
駆除課のメンバーは他県の山の中で発生した『奇病』に感染したゆっくりを駆除するために出払ってしまっていた。
なので本来は加工所加工課の筈の男がこうして駆除に駆り出されたというわけだ。
駆除課のメンバーならばさっきの棒で一突き中枢餡を破壊でき、ゆっくりに餡子を吐き出させず最小限の汚れだけで駆除することができるらしいが、男は慣れていないため余計な仕事が増えてしまっているのだ。
一息ついている男の元に、会社からの電話が鳴った。
「はい。はい、この辺りは終わりました。……はいっ。わかりました」
ピッと電話を切る。
「帰社命令か」
とりあえず落ち着いたということで本来の仕事に戻るようにとの連絡だった。
「あーでも……今日の仕事がおわったわけじゃねーんだよなぁ……」
男は憂鬱な気分で回収車を加工所へと走らせた。
「にしても赤いゆっくりねぇ。他県のアレ関係してるのかな?」
確かに今までおとなしかった野良のゆっくりが騒いでいる。
通報にもあったように『赤いゆっくりになりたくない』というようなことを言っていた。
が、駆除の為に現地を訪れるも、そのような赤いゆっくりは確認できないのだ。
代わりに赤い餡子やシミがあるだけ……。
「アレは人や他のゆっくりを襲うっていうけど、町の中じゃ人間が襲われた話はないしやっぱり違うのかな?」
なので臨時で駆除している人間の間では、またゆっくり特有の『思い込み』がなんか起こしているということになっていた。
「あー……駆除は俺の仕事じゃねよ……」
車の中でコーラを飲みつつ愚痴る。
事のきっかけは今朝から加工所駆除課の電話が鳴りっぱなしということからだ。
『変な赤いゆっくりが居る』
『ゆっくり達が何かからか逃げている』
『ゆっくりが騒がしい』
『ゆっくりがうるさい』
『ゆっくりがうざい』
『ゆっくり氏ね』
駆除課のメンバーは他県の山の中で発生した『奇病』に感染したゆっくりを駆除するために出払ってしまっていた。
なので本来は加工所加工課の筈の男がこうして駆除に駆り出されたというわけだ。
駆除課のメンバーならばさっきの棒で一突き中枢餡を破壊でき、ゆっくりに餡子を吐き出させず最小限の汚れだけで駆除することができるらしいが、男は慣れていないため余計な仕事が増えてしまっているのだ。
一息ついている男の元に、会社からの電話が鳴った。
「はい。はい、この辺りは終わりました。……はいっ。わかりました」
ピッと電話を切る。
「帰社命令か」
とりあえず落ち着いたということで本来の仕事に戻るようにとの連絡だった。
「あーでも……今日の仕事がおわったわけじゃねーんだよなぁ……」
男は憂鬱な気分で回収車を加工所へと走らせた。
「にしても赤いゆっくりねぇ。他県のアレ関係してるのかな?」
確かに今までおとなしかった野良のゆっくりが騒いでいる。
通報にもあったように『赤いゆっくりになりたくない』というようなことを言っていた。
が、駆除の為に現地を訪れるも、そのような赤いゆっくりは確認できないのだ。
代わりに赤い餡子やシミがあるだけ……。
「アレは人や他のゆっくりを襲うっていうけど、町の中じゃ人間が襲われた話はないしやっぱり違うのかな?」
なので臨時で駆除している人間の間では、またゆっくり特有の『思い込み』がなんか起こしているということになっていた。
……Gゆっくりが人を襲わない。
野良のGゆっくり達は餡子に刻み込まれたこと―――『人間への恐怖』があった。
ゆっくりは基本人間がゆっくりしていない存在と思い、普段から見下しているのでせいっさい!しようと襲い掛かった。
だが街で暮らす野良ゆっくり達の、長い野良生活によって餡子に刻み込まれた人間への恐怖はGになっても消えなかった。
人の目に触れやすい日中は建物の影などの闇にひそみ、ゆっくりのみを襲いGゆっくりを増やす。
野良のGゆっくり達は餡子に刻み込まれたこと―――『人間への恐怖』があった。
ゆっくりは基本人間がゆっくりしていない存在と思い、普段から見下しているのでせいっさい!しようと襲い掛かった。
だが街で暮らす野良ゆっくり達の、長い野良生活によって餡子に刻み込まれた人間への恐怖はGになっても消えなかった。
人の目に触れやすい日中は建物の影などの闇にひそみ、ゆっくりのみを襲いGゆっくりを増やす。
『増やす』
【ウイルスは単体では増殖できず、他の生物に感染して初めて増殖可能となる】
ここへ来てGゆっくりに関して新たな説が生まれる。
Gゆっくりは『ゆっくり』を忘れたわけではない。
ゆっくりすること=『増殖』へと変わったのではないか?
G-56はゆっくりの行動理念を書き換え、ゆっくりというナマモノを別のものに変えてしまったのではないか?
それは増殖する為に必要なことを理解しており、増殖にとって最も邪魔となる人間を避けるようになったのではないか?
感染した街ゆが人間への恐怖を持っていることも、行動制御の容易さにつながった。
これらはあくまで想像でしかないが……どちらにしろ、人間は視線に入らないものに興味を示しにくい。
そして過去の事例にわずかな差があると、それを同じことと考えず同じ間違いを繰り返しやすい。
ここへ来てGゆっくりに関して新たな説が生まれる。
Gゆっくりは『ゆっくり』を忘れたわけではない。
ゆっくりすること=『増殖』へと変わったのではないか?
G-56はゆっくりの行動理念を書き換え、ゆっくりというナマモノを別のものに変えてしまったのではないか?
それは増殖する為に必要なことを理解しており、増殖にとって最も邪魔となる人間を避けるようになったのではないか?
感染した街ゆが人間への恐怖を持っていることも、行動制御の容易さにつながった。
これらはあくまで想像でしかないが……どちらにしろ、人間は視線に入らないものに興味を示しにくい。
そして過去の事例にわずかな差があると、それを同じことと考えず同じ間違いを繰り返しやすい。
Gは放たれた。
<ゆっくりの黙示録>
回収車は加工所へと到着した。
回収した野良ゆっくりは生死を問わず『あるもの』へと加工される。
まず回集めてきたゆっくり達を特定の場所に降ろす。
そしてゆっくりを袋から取り出し、お飾りだけを外し巨大なミキサーの中にぶち込む。
ゆっくり達はそこでぐちゃぐちゃになるまでかき回される。
オレンジジュースでさらにどろどろの状態となり、最終的には加工所内で『生産ゆっくり』として飼育されているゆっくり達にチューブを伝って供給される。
その餌を注入された生産ゆっくりはさらに良質の赤ゆっくり、つまり甘味を生産し続けるわけだ。
なお赤ゆっくりを成長させ、お飾り、髪の毛、歯、目玉を商品に加工する工程もある。
ゆっくりは余すところなくさまざま商品に加工されることとなるのだ。
しかし野良や野生は衛生的に問題もあるし、お飾りの傷や汚れも多く、何を食べてるかわかったモノではない。
なので商品化加工には向いておらず、『生産ゆっくりの餌』という形でしか使われない。
飾りを外すのも、死臭が餌に移ると生産ゆっくりが長持ちしないからである。
飾りはそのまま焼却処分される。
そんな感じで野良ゆっくりは加工される。
回収した野良ゆっくりは生死を問わず『あるもの』へと加工される。
まず回集めてきたゆっくり達を特定の場所に降ろす。
そしてゆっくりを袋から取り出し、お飾りだけを外し巨大なミキサーの中にぶち込む。
ゆっくり達はそこでぐちゃぐちゃになるまでかき回される。
オレンジジュースでさらにどろどろの状態となり、最終的には加工所内で『生産ゆっくり』として飼育されているゆっくり達にチューブを伝って供給される。
その餌を注入された生産ゆっくりはさらに良質の赤ゆっくり、つまり甘味を生産し続けるわけだ。
なお赤ゆっくりを成長させ、お飾り、髪の毛、歯、目玉を商品に加工する工程もある。
ゆっくりは余すところなくさまざま商品に加工されることとなるのだ。
しかし野良や野生は衛生的に問題もあるし、お飾りの傷や汚れも多く、何を食べてるかわかったモノではない。
なので商品化加工には向いておらず、『生産ゆっくりの餌』という形でしか使われない。
飾りを外すのも、死臭が餌に移ると生産ゆっくりが長持ちしないからである。
飾りはそのまま焼却処分される。
そんな感じで野良ゆっくりは加工される。
―――その中にはあの野良一家も含まれていた。
袋から鍋の中に投下された親子はそのまま他の餡子の一部となった。
そしてそれは生産ゆっくりに注入される。
そこから生まれた赤ゆっくりは様々な商品になる。
そしてそれは生産ゆっくりに注入される。
そこから生まれた赤ゆっくりは様々な商品になる。
その中に『ペットゆっくり用ゆっくりふーど』があった。
数千匹の赤ゆっくりをひき潰し、固形化してゆっくりふーどとするのだ。
作られたゆっくりふーどは分けられ、袋詰めされ、発送される。
行き先は全国のゆっくりペットショップ、そして一部がゆっくりんぴーすの施設へと横流しされる。
作られたゆっくりふーどは分けられ、袋詰めされ、発送される。
行き先は全国のゆっくりペットショップ、そして一部がゆっくりんぴーすの施設へと横流しされる。
そしてペットショップから各家庭のペットゆっくりへ。
「ゆ!おにいさんいつもごはんさんをありがとう!ゆっくりいただきます!」
金バッチをつけたれいむがゆっくりふーどを食べる。
「ゆ!おにいさんいつもごはんさんをありがとう!ゆっくりいただきます!」
金バッチをつけたれいむがゆっくりふーどを食べる。
例の保護区から保護されたゆっくり達も、ゆっくりんぴーすから支給されたゆっくりふーどを食べる。
「みんな!人間さんがごはんをくれるよ!ゆっくりお礼を言おうね!」
「にんげんさんありがとう!」
(ゆへへ。にんげんにへつらうむのうなどすなんだぜ!いつかまりさがおうになるのぜ!)
(どれいのにんげんがありすにつくすのなんてあたりまえでしょ!いなかもののどすね!)
ドスと共に、保護された野生のゆっくりもゆっくりふーどを食べる。
「みんな!人間さんがごはんをくれるよ!ゆっくりお礼を言おうね!」
「にんげんさんありがとう!」
(ゆへへ。にんげんにへつらうむのうなどすなんだぜ!いつかまりさがおうになるのぜ!)
(どれいのにんげんがありすにつくすのなんてあたりまえでしょ!いなかもののどすね!)
ドスと共に、保護された野生のゆっくりもゆっくりふーどを食べる。
ゆっくりふーどだけではない。
都市部の野良の主食は人間の出すゴミだ。
「これはあまあまなんだよぉぉぉ!」
「ちーんぽ!!」
「むきゅ!よくやったはちぇん!!むれのかんぶはちぇんよ!」
他の甘味に加工されたソレを、人間が捨てたゴミの中から漁るゆっくりもいる。
都市部の野良の主食は人間の出すゴミだ。
「これはあまあまなんだよぉぉぉ!」
「ちーんぽ!!」
「むきゅ!よくやったはちぇん!!むれのかんぶはちぇんよ!」
他の甘味に加工されたソレを、人間が捨てたゴミの中から漁るゆっくりもいる。
……そして、本当の黙示録が始まった。
「ど、どうしたんだれいむ!なにがあったんだ!!」
「ゆぎっ!!ゆぎぃ!!ゆげぎゃああああああああああ!!」
「ゆぎっ!!ゆぎぃ!!ゆげぎゃああああああああああ!!」
「逃げた!?ゆっくり達が!?」
「はい!!保護していた1000匹以上のゆっくりが全部!ドスも含めて……!」
「大、変だ……!!」
「はい!!保護していた1000匹以上のゆっくりが全部!ドスも含めて……!」
「大、変だ……!!」
「わがあああぁぁぁぁ!!ゆあがああああああ!!」
「ぢんぼおおおおおおお!!!」
「むげっ!!むぎゅげげげええええええ!!」
「ぢんぼおおおおおおお!!!」
「むげっ!!むぎゅげげげええええええ!!」
ゆっくりふーどやその他のモノを食べてから二週間ほどのちに発症し、気づいた時には遅かった。
基本種、希少種の分け隔てなく、全体の9割に上るペットゆっくりが感染した。
保護区のゆっくり達は深い山の中に逃げ出し、Gをそこら中にばらまき始めた。
さらにGー56は、ゆっくりに触れた他の動物の毛や排せつ物にまで潜むようになり、特に鳥類への潜伏に適応したG-56はその勢力をさらに拡大し始めた。
都市部の野良の間にも蔓延し、街の至る所で赤いシミが見られるようになった。
この事態に、加工所とゆっくりんぴーすは政府と共同して対応に乗り出し、全国一斉駆除キャンペーンを開始。
都市部に潜む赤いゆっくりを回収した人間に報酬を出すこととした。
金が絡むと人間はとたんやる気を出す。
都市部に潜むGゆっくりは見る間に駆除されていった。
野生のGゆっくりには駆除課が出動していたが、効率化を考え、音のするところに集まるという習性を利用して、一か所に集めて一網打尽にする駆除が行われた。
同時に飼いゆっくり向けのワクチンが開発され、一部生き残っていた飼いゆっくりはなんとか生存することができた。
野良や野生は無事な個体でもそのまま処分された。
世間にはあくまで『奇病』と認識されていたため、加工所やゆっくりんぴーすの対応は高く評価された。
基本種、希少種の分け隔てなく、全体の9割に上るペットゆっくりが感染した。
保護区のゆっくり達は深い山の中に逃げ出し、Gをそこら中にばらまき始めた。
さらにGー56は、ゆっくりに触れた他の動物の毛や排せつ物にまで潜むようになり、特に鳥類への潜伏に適応したG-56はその勢力をさらに拡大し始めた。
都市部の野良の間にも蔓延し、街の至る所で赤いシミが見られるようになった。
この事態に、加工所とゆっくりんぴーすは政府と共同して対応に乗り出し、全国一斉駆除キャンペーンを開始。
都市部に潜む赤いゆっくりを回収した人間に報酬を出すこととした。
金が絡むと人間はとたんやる気を出す。
都市部に潜むGゆっくりは見る間に駆除されていった。
野生のGゆっくりには駆除課が出動していたが、効率化を考え、音のするところに集まるという習性を利用して、一か所に集めて一網打尽にする駆除が行われた。
同時に飼いゆっくり向けのワクチンが開発され、一部生き残っていた飼いゆっくりはなんとか生存することができた。
野良や野生は無事な個体でもそのまま処分された。
世間にはあくまで『奇病』と認識されていたため、加工所やゆっくりんぴーすの対応は高く評価された。
あるモノが公表されるまでは。
<フタバTVに送られてきたカセットテープ>
『今回の件はどういうことだ?本来なら別の日に別の保護区でするんじゃなかったのか?』
問い詰めるような様子。
声の主は「加工所社長・鬼伊三四朗」であった。
『申し訳ない。一部の過激派が先走りまして』
いささかも申し訳なさがなく、全く抑揚がない声。
それに答えたのは「ゆっくりんぴーす会長・愛出太陽」だった。
『まあ、実行犯は今ごろ海のゆっくり達とゆっくりしてますよ』
後日、異なる場所で三つの人間の水死体が上がったという。
『しかしまあひどいもんだ。未発見だった希少種の群れも被害を受けた』
『誠に申し訳ありません。ですが「G」の力は素晴らしい。【注文】以上の力でしたね』
三四朗の方は感情を露わにしているが、太陽の方はその様子が全くない。
『研究員が優秀だからな。しかし駆除の手筈は整っているが予想外の出費だ』
『仕方がないでしょう。あくまで今回の【奇病】は自然発生したものとしておかないといけませんから。それよりもサンプルは?』
コトンという音。
何かが机の上に置かれたようだ。
『これが……』
『G-57。今回の件を参考に改良した。潜伏期間を長くし、より多くのゆっくりに広まるようになってる。勿論ワクチンも開発済みだ』
『素晴らしい』
『その前にそちらも例のモノを』
『はい。これがこちらで管理している、全国の希少種プランテーションです』
『これだけの希少種の群れをよく……よし、いいだろう』
『ありがとうございます』
『しかしだ。なんでゆっくりんぴーすのあんたがそんなモノを?』
『……真のゆっくりの為の社会を作るためですよ』
『?』
『野良や野生は実に醜い。ゆっくりのイメージを損なう最たるものだ。そこで野良や野生のゆっくりをもはや「違うモノ」にしてしまえば、人はゆっくりとアレが違うんだとわかってくれる。それによって本当の善良であるゆっくりが人間と共に共存し、ゆっくりする社会が作れる。素晴らしいと思いませんかね?』
『……』
『勿論ワクチンの接種や、性格改善薬の利益もそちらに回しますよ。それでいいでしょう?』
『ああ』
『では私はこれで。保護区での駆除が終わったらまた会いましょう』
『わかった』
どうやら目出太陽の方が出て行ったようだ。
『馬鹿馬鹿しい……。まあいい。利益が出る間は泳がせておいてやるか』
ライターの火をつける音。
『ふー……ゆっくりとの共存ねえ……俺やお前みたいなのが居る限り、そんな日は永遠にこないな……』
ガサゴソとこすれあう音がして、三四朗の声がより大きく聞こえた。
自嘲気味に笑う声とプツッという音がしてテープは終了した。
問い詰めるような様子。
声の主は「加工所社長・鬼伊三四朗」であった。
『申し訳ない。一部の過激派が先走りまして』
いささかも申し訳なさがなく、全く抑揚がない声。
それに答えたのは「ゆっくりんぴーす会長・愛出太陽」だった。
『まあ、実行犯は今ごろ海のゆっくり達とゆっくりしてますよ』
後日、異なる場所で三つの人間の水死体が上がったという。
『しかしまあひどいもんだ。未発見だった希少種の群れも被害を受けた』
『誠に申し訳ありません。ですが「G」の力は素晴らしい。【注文】以上の力でしたね』
三四朗の方は感情を露わにしているが、太陽の方はその様子が全くない。
『研究員が優秀だからな。しかし駆除の手筈は整っているが予想外の出費だ』
『仕方がないでしょう。あくまで今回の【奇病】は自然発生したものとしておかないといけませんから。それよりもサンプルは?』
コトンという音。
何かが机の上に置かれたようだ。
『これが……』
『G-57。今回の件を参考に改良した。潜伏期間を長くし、より多くのゆっくりに広まるようになってる。勿論ワクチンも開発済みだ』
『素晴らしい』
『その前にそちらも例のモノを』
『はい。これがこちらで管理している、全国の希少種プランテーションです』
『これだけの希少種の群れをよく……よし、いいだろう』
『ありがとうございます』
『しかしだ。なんでゆっくりんぴーすのあんたがそんなモノを?』
『……真のゆっくりの為の社会を作るためですよ』
『?』
『野良や野生は実に醜い。ゆっくりのイメージを損なう最たるものだ。そこで野良や野生のゆっくりをもはや「違うモノ」にしてしまえば、人はゆっくりとアレが違うんだとわかってくれる。それによって本当の善良であるゆっくりが人間と共に共存し、ゆっくりする社会が作れる。素晴らしいと思いませんかね?』
『……』
『勿論ワクチンの接種や、性格改善薬の利益もそちらに回しますよ。それでいいでしょう?』
『ああ』
『では私はこれで。保護区での駆除が終わったらまた会いましょう』
『わかった』
どうやら目出太陽の方が出て行ったようだ。
『馬鹿馬鹿しい……。まあいい。利益が出る間は泳がせておいてやるか』
ライターの火をつける音。
『ふー……ゆっくりとの共存ねえ……俺やお前みたいなのが居る限り、そんな日は永遠にこないな……』
ガサゴソとこすれあう音がして、三四朗の声がより大きく聞こえた。
自嘲気味に笑う声とプツッという音がしてテープは終了した。
テープのラベルに書かれた日付は○月□日。
例の保護区一斉駆除の前夜がだった。
例の保護区一斉駆除の前夜がだった。
<エピローグ1:ゆっくりと人間>
『○×新聞 □月△日 Gが与えた波紋』
フタバTVに寄稿されたカセットテープは世間に衝撃を与えた。
G事態はワクチンの開発や、徹底的なゆっくりの処分によって鎮静化に向かっている。
しかし、ゆっくりんぴーすと加工所は責任と賠償を追及され、その評価は地の底に落ちた。
二つの組織の代表や幹部たちは事実を当初から把握していたとみられ、すでに『Gゆっくり被害者連合』から数十億の賠償金を請求され裁判中だ。
組織自体ももはやなく、ゆっくりんぴーすは解体、会員たちも憑き物が落ちたかのようにゆっくりを手放し、無事だったペットゆっくりも処分された。
代表であった愛出太陽は、計画の首謀者として他の共犯幹部と共に訴えられている。
だが当の本人に悪びれた様子はない。
フタバTVに寄稿されたカセットテープは世間に衝撃を与えた。
G事態はワクチンの開発や、徹底的なゆっくりの処分によって鎮静化に向かっている。
しかし、ゆっくりんぴーすと加工所は責任と賠償を追及され、その評価は地の底に落ちた。
二つの組織の代表や幹部たちは事実を当初から把握していたとみられ、すでに『Gゆっくり被害者連合』から数十億の賠償金を請求され裁判中だ。
組織自体ももはやなく、ゆっくりんぴーすは解体、会員たちも憑き物が落ちたかのようにゆっくりを手放し、無事だったペットゆっくりも処分された。
代表であった愛出太陽は、計画の首謀者として他の共犯幹部と共に訴えられている。
だが当の本人に悪びれた様子はない。
『私はただ、真のゆっくりだけの社会を築こうとしただけだ。
みなさんお判りでしょう? ゆっくりと人間。綺麗事だけでは共存なんてできない。人間が選別し、導いてやらなければゆっくりは真にゆっくりできないのです。
それを拒絶する野良や野生のゆっくりは異端であり、その関係にとって害悪でしかない。だから拭い去ろうとしたのに。
わかっているでしょう? あなた方が言う善良なゆっくりとは……人にとって都合のいいゆっくりでしかないと。
私はそれは実現してあげようとしただけだ。全てのゆっくりが人間に従順で、逆らわず、何のすれ違いもないゆっくりできる社会を
どうして認めないのですか? こうでもしなければ、ゆっくりと真に分かり合うことなんてできるはずないのに……』
みなさんお判りでしょう? ゆっくりと人間。綺麗事だけでは共存なんてできない。人間が選別し、導いてやらなければゆっくりは真にゆっくりできないのです。
それを拒絶する野良や野生のゆっくりは異端であり、その関係にとって害悪でしかない。だから拭い去ろうとしたのに。
わかっているでしょう? あなた方が言う善良なゆっくりとは……人にとって都合のいいゆっくりでしかないと。
私はそれは実現してあげようとしただけだ。全てのゆっくりが人間に従順で、逆らわず、何のすれ違いもないゆっくりできる社会を
どうして認めないのですか? こうでもしなければ、ゆっくりと真に分かり合うことなんてできるはずないのに……』
全国の加工所は閉鎖となった。
ゆっくりを原料とする商品、ゆっくりは全て回収・処分され、加工所の株価は大暴落し、事実上の崩壊となった。
社長である鬼伊三四朗は山中で首を吊っているのを発見された。
遺書があり、今回の件への謝罪と、財産は全て職を失った加工所職員たちにという内容だった。
しかし賠償金はその額をはるかに上回っており、それを補てんする為に使われてしまうだろう。
ゆっくりを原料とする商品、ゆっくりは全て回収・処分され、加工所の株価は大暴落し、事実上の崩壊となった。
社長である鬼伊三四朗は山中で首を吊っているのを発見された。
遺書があり、今回の件への謝罪と、財産は全て職を失った加工所職員たちにという内容だった。
しかし賠償金はその額をはるかに上回っており、それを補てんする為に使われてしまうだろう。
今回の事件は、狂った思想家の暴走と片付けるにはあまりに大きすぎだ。
今回はゆっくりがその元凶となったが、それはそのまま人間に置き換えることができる。
過去に何人もの指導者や宗教家が選民思想を掲げ、それによって人を支配しようとした。
人が人を支配しようとしてこれに害を及ぼした。
同じ人間同士でさえ分かり合えないのに、全く違うゆっくりとどうして分かり合うことなどできるだろうか?
他の『モノ』へ願望や欲望をぶつける前に、私たちは周りにいる同じ『ヒト』に目を向け、分かり合う努力をするべきではないだろうか。
今回の事件によって、人々の間に大きな溝が生まれ、今もなお広がりつつある。
人同士の絆が、ゆっくりという『モノ』によって別たれることがあっては決してならない。
責任追及や真実を求めるのも大切だが、根本的な『ヒト』としての在り方を我々は見失ってはならないのだ。
記者:双葉一郎
今回はゆっくりがその元凶となったが、それはそのまま人間に置き換えることができる。
過去に何人もの指導者や宗教家が選民思想を掲げ、それによって人を支配しようとした。
人が人を支配しようとしてこれに害を及ぼした。
同じ人間同士でさえ分かり合えないのに、全く違うゆっくりとどうして分かり合うことなどできるだろうか?
他の『モノ』へ願望や欲望をぶつける前に、私たちは周りにいる同じ『ヒト』に目を向け、分かり合う努力をするべきではないだろうか。
今回の事件によって、人々の間に大きな溝が生まれ、今もなお広がりつつある。
人同士の絆が、ゆっくりという『モノ』によって別たれることがあっては決してならない。
責任追及や真実を求めるのも大切だが、根本的な『ヒト』としての在り方を我々は見失ってはならないのだ。
記者:双葉一郎
<エピローグ2:28か月後>
全国規模で行われた駆除や処分によってGの鎮静化宣言がなされた。
人々の間からゆっくりは消え、野山に数十年前と同じ沈黙が戻った。
「ゆーん。おさんぽはきもちいいのぜ~」
一匹のまりさが森の中をぴょんぴょんと跳ねている。
居なくなったはずのゆっくりはまた、人知れず山の中に現れ始めた。
まさしく『勝手に生えてくる』ようだ。
「ここはいつもはこないばしょなのぜ!たんけんするのぜ!!……ゆゆ?あなさんがあるのぜ?」
いつもは来ない場所への探検をしているようで、そこで不自然に開いた穴を見つけた。
「ゆっくりしていってね!!」
穴の中に呼びかけるまりさ。
「……ゆっくりしていってね……」
か細く帰ってくる声。
「ゆ!だれかいるのぜ?まりさはまりさなのぜ!」
「れいむはれいむだよ……」
どうやられいむがこの穴の中に住んでいるようだ。
「ゆー!れいむ!おそとはいいてんきなのぜ!いっしょにおそとでゆっくりするのぜ!!」
一緒にゆっくりしようと誘うまりさ。
「……だめだよ……れいむはまりさといっしょにゆっくりできないよ……」
返ってくるのは悲しそうな拒絶の声。
「ゆがーん!!どぼじでぞんなごどいうの!?いっじょにゆっぐりじようよおおお!!」
「……」
まりさの叫びに心動かされたのか、穴の中からゆっくりと出てくるれいむ。
「ゆゆっ!れいむ!いっしょに、ゆっく……り……?」
穴の中から出てきたれいむは……顔の四分の一がかけており、目玉の一個が失われた状態だった。
れいむはあの『投薬れいむ』だった。
「まりさ……どう?れいむといっしょにいてゆっくりできる……?できないよね?こんなゆっくりしてないゆっくりだものね」
「ゆゆ……」
投薬れいむはトラックが落ちた際、奇跡的に一命を取り留めたのだ。
「もうこないでね。れいむはもうひとりでゆっくりする『ゆっくりできるのぜ!!』……ゆ?」
そして目を覚まし、失った餡子をあたりに落ちているゆっくり(お飾りが外れていたためゆっくりと気づかなかった)を食べ補ったのだ。
「たしかにれいむはゆっくりできないおかおかもしれないのぜ……でもまりさはきにしないのぜ!!まりさはれいむとゆっくりしたいのぜ!!」
「まりさ……」
その後Gが保護区に蔓延し、一匹で穴の中に隠れていたのだ。
「れいむ!いっしょにゆっくりしていってね!!」
「まりさ……!」
れいむはあの最初のGまりさに噛まれていた。
それでもGになっていないのは、れいむに投薬されたZ-5647がGー56を抑えていたのだ。
「れいむ!すーりすーりするのぜ」
「まりさ……れいむは……れいむは……ずっと、だれかと……」
「ゆぅ~れいむ。すーりすーり……」
「すーりすーり……」
人々の間からゆっくりは消え、野山に数十年前と同じ沈黙が戻った。
「ゆーん。おさんぽはきもちいいのぜ~」
一匹のまりさが森の中をぴょんぴょんと跳ねている。
居なくなったはずのゆっくりはまた、人知れず山の中に現れ始めた。
まさしく『勝手に生えてくる』ようだ。
「ここはいつもはこないばしょなのぜ!たんけんするのぜ!!……ゆゆ?あなさんがあるのぜ?」
いつもは来ない場所への探検をしているようで、そこで不自然に開いた穴を見つけた。
「ゆっくりしていってね!!」
穴の中に呼びかけるまりさ。
「……ゆっくりしていってね……」
か細く帰ってくる声。
「ゆ!だれかいるのぜ?まりさはまりさなのぜ!」
「れいむはれいむだよ……」
どうやられいむがこの穴の中に住んでいるようだ。
「ゆー!れいむ!おそとはいいてんきなのぜ!いっしょにおそとでゆっくりするのぜ!!」
一緒にゆっくりしようと誘うまりさ。
「……だめだよ……れいむはまりさといっしょにゆっくりできないよ……」
返ってくるのは悲しそうな拒絶の声。
「ゆがーん!!どぼじでぞんなごどいうの!?いっじょにゆっぐりじようよおおお!!」
「……」
まりさの叫びに心動かされたのか、穴の中からゆっくりと出てくるれいむ。
「ゆゆっ!れいむ!いっしょに、ゆっく……り……?」
穴の中から出てきたれいむは……顔の四分の一がかけており、目玉の一個が失われた状態だった。
れいむはあの『投薬れいむ』だった。
「まりさ……どう?れいむといっしょにいてゆっくりできる……?できないよね?こんなゆっくりしてないゆっくりだものね」
「ゆゆ……」
投薬れいむはトラックが落ちた際、奇跡的に一命を取り留めたのだ。
「もうこないでね。れいむはもうひとりでゆっくりする『ゆっくりできるのぜ!!』……ゆ?」
そして目を覚まし、失った餡子をあたりに落ちているゆっくり(お飾りが外れていたためゆっくりと気づかなかった)を食べ補ったのだ。
「たしかにれいむはゆっくりできないおかおかもしれないのぜ……でもまりさはきにしないのぜ!!まりさはれいむとゆっくりしたいのぜ!!」
「まりさ……」
その後Gが保護区に蔓延し、一匹で穴の中に隠れていたのだ。
「れいむ!いっしょにゆっくりしていってね!!」
「まりさ……!」
れいむはあの最初のGまりさに噛まれていた。
それでもGになっていないのは、れいむに投薬されたZ-5647がGー56を抑えていたのだ。
「れいむ!すーりすーりするのぜ」
「まりさ……れいむは……れいむは……ずっと、だれかと……」
「ゆぅ~れいむ。すーりすーり……」
「すーりすーり……」
つまり抑えられているだけであって、G-56はれいむの中でしっかりと存在していた。
「すーりすーり……ゆぐっ……じあわぜ……じあわ……ゆ?まりさ……?」
水の中に入り、突然変異する前のGが―――
「ゆぎいいいいいいIぃぃぃぃ!!ばりざあああああ!?」
「ゆがああああああああああああああああああああああああ!!」
―――END―――
最後までお付き合いくださりありがとうございました。
自分が書くゆ虐は『ゆっくり個々』への虐待ではなく『ゆっくり種全体』への虐待を描きたい傾向があるようです。
個々のゆっくりがゆっくりできないのもいいのですが、それはつまり、他の場所でゆっくりしているゆっくりがいるわけで……
『ゆっくりは種全体としてゆっくりしていない』のが似合っていると思っているのです。
これからも『種全体』として苦しむゆっくりを書いていきたいと思います。
ただ、個々の細かい表現が疎かになる感じですが……そこは課題です。
最後に当SSを書く際にパク……もとい参考にしたものを自分の感想掲示板に書いておきます。
ご興味がありましたら、感想や意見と同時にご覧になってみてください。
では、ありがとうございました。
自分が書くゆ虐は『ゆっくり個々』への虐待ではなく『ゆっくり種全体』への虐待を描きたい傾向があるようです。
個々のゆっくりがゆっくりできないのもいいのですが、それはつまり、他の場所でゆっくりしているゆっくりがいるわけで……
『ゆっくりは種全体としてゆっくりしていない』のが似合っていると思っているのです。
これからも『種全体』として苦しむゆっくりを書いていきたいと思います。
ただ、個々の細かい表現が疎かになる感じですが……そこは課題です。
最後に当SSを書く際にパク……もとい参考にしたものを自分の感想掲示板に書いておきます。
ご興味がありましたら、感想や意見と同時にご覧になってみてください。
では、ありがとうございました。