ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko4062 愛とチョコとお返しと
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ankoss
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『愛とチョコとお返しと』 41KB
制裁 自業自得 虐殺 家族崩壊 同族殺し 駆除 群れ 野良ゆ ゲス 現代 少し早いがバレンタインはかくも有害なのだ…という話 気ままあき
ゆっくりは人間並に……いやもしかしたら人間以上に強欲な生き物である。
特に「ゆっくりできる」ものには非常に貪欲であり、なんでもかんでも自分のものにしたがる。
ゆっくりできるものは脊髄反射的になんでも欲しがるのだ。
ごはん、あまあま、おうち……そして
今日……2月14日は全国のリア充は残らず爆発しろと、非リア充が一勢に呪いの藁人形にクギを打ち付ける日。
その名も聖バレンタインデー。かくいう俺も非リア充のひとりだ。
そんなカワイソーな俺が散歩がてらに公園に寄って、ベンチで一服していたら……
いきなり十数匹ほどの野良ゆっくりがわらわらと湧いて出てきて、俺はあっというまに絡まれた。
「おでがいじまずぅぅぅっ!どうかばりざをたずげでぐだざいぃぃぃぃぃっ!」
「ちぇんはちょこれーとさんがどうじてもいるんだよー!わがっでねぇぇぇぇっ!?」
「みょんからもおねがいするんだみょん!このとおりどげざするみょんっっ!だがらっ!だがらぁぁぁぁっ!」
「ごのどおりでず!ごのどおりでずぅぅぅぅっ!まりざにもちょこれーどざんをくだざぃぃぃぃぃっ!」
どいつもこいつも目を血走らせ、涙をちょちょぎらせて必死に俺にチョコレートをくれと懇願してきやがる。
普通野良ゆに絡まれたら潰してゴミ箱が常道なのだが。
俺は何故かこいつらの様子が気になったので理由を聞いてみることにした。
「なんでチョコレートなんか欲しがるんだお前ら。腹がすいたのか?それともガキが死にかけているのか?」
「ちがいまずぅぅぅぅっ!ばりざのあいっをしめすために、どうしてもちょこれーどざんがひつようなんでずぅぅぅっ!」
「は?あ、愛……?」
「ちょこれーとさんがてにはいらないと、みょんはりこんっのききなんだみょん!」
「あいのためなんだよー!ちょこれーどさんがひつようなんだよぉぉぉぉ!わがれよぉぉぉぉっ!」
「だがらおでがいじまず!ちょこれーどざんをくだざいぃぃぃっ!」
「いますぐでいいがらねー!むしろいまずぐよこじてねー!わがっでねぇぇぇぇぇっ!?」
「じじいぃぃぃっ!はやぐちょごれーどざんをよこせぇぇぇぇっ!はやぐっ!はやぐじろぉぉぉぉぉっ!」
ドンッ!
なんかヒステリー気味に騒いでばかりでちっとも話が分からない。
ので俺はわざと勢いよく地面を踏んで大きな音を立てた。思わずビクッと静かになる野良ゆっくりども。
俺はそんな野良連中を冷めた視線でゆっくり見渡すと命令した。
「順序立ててゆっくり説明しろ。俺に分かるようにな」
「……ゆ、ゆっくりりかいしたよ……」
一番大きな声でぎゃーぎゃー騒いでいたまりさの説明によるとこうだ。
数日前この公園の群れの長である自称賢者なぱちゅりーが公園に落ちていた魔道書(スーパーのチラシ)
を解読して、ある大変な事実を知ってしまったんだそうだ。
「む、むきゅ……!そ、そういうことだったのね……っ!ぱちゅはたいへんなひみつっをしってしまったわ!」
「ゆゆっ!どういうことなのぱちゅりー!れいむにもわかるようにゆっくりせつめいっしてね!」
「むきゅっよくききなさい。このまどうしょにはこうかかれているわ……もうすぐばれんたいんでーだってね!」
「ゆっ?ばれんたいんさん……て、なに?」
「むきゅきゅ!かしこいけんじゃなぱちゅが、おろかなぐみんのれいむたちにゆっくりせつめいっしてあげるわ!
いい?ばれんたいんさんというのはね……」
「「「「「そ……それはゆっくりできるよっっ!」」」」」
こうして長ぱちゅりーがバレンタインチョコ特売のチラシの内容を自慢気に群れのゆっくるどもに話したことで、
迷惑にもバレンタインの話は瞬く間に群れ中に広まったんだそうだ。
かくいうまりさもその日、公園の仕事を終えておうちに帰ってたとたんいきなり番のれいむからこう言われたんだと。
「まりさ!もうすぐばれんたいんさんだよ!だかられいむにちょこれーとさんをちょうだいね!いっぱいでいいよっ!」
「ゆうっ?ち、ちょこれーとさん……?いきなりなんなのぜ?ばれんたいんさんって……」
「おさがおしえてくれたんだよ!ばれんたいんさんっていうのはね、いつもいっしょーけんめーこそだてにかじを
しているかわいいれいむに、まりさがかんしゃのしるしとしてちょこれーとさんをあげるひなんだよ!」
「ゆううううっ!?」
本来バレンタインデーとは、女性が意中の男性に親愛の情を込めたチョコレートを贈るという風習だ。
しかしゆっくりは雌雄同体だから男も女もない。男であり同時に女であるが、まあどちらかといえば全ゆんメスである。
メスがメスにチョコレートをたかるというのも変な話であるが……まあ最近は逆チョコというのもあるし。
ゆっくりの場合まりさやちぇん、みょんが父親役をする場合が多いので
どちらかといえば女房役のれいむやありすが旦那役のまりさ等にチョコレートを上げるにが普通なはず。
そこを自分の都合のいいように捻じ曲げて自分がチョコレートを貰うべきとさりげなく捏造しているあたり
さすがにでいぶである。汚い、実に汚い。
「ゆゆっ……そんなこといわれても、ちょこれーとさんなんてのらのまりさにはとてもみつけられないのぜ?」
「なにいっでるのぉぉぉぉっ!?にんげんさんのきまりでそうなってるんだよぉぉぉぉぉっ!?
だがらまりざはちょこれーとさんをれいぶにあげなきゃだめでしょぉぉぉぉぉっ!?」
「で、でも……」
「ばりざはでいぶをあいしてないっていうのぉぉぉぉぉっ!?」
「ゆ、ゆゆっ!?そ、そんなことないのぜ!でいぶなにをいって…」
「ちょこれーとさんをくれないってことはあいしてないってことでしょぉぉぉっ!ばかなの!しぬのぉぉぉぉっ!?」
「れ、れいぶおちつくのぜ!おちついてゆっくり…」
「あいしているんなら、そのあかしっとしてばれんたいんにちょこれーとさんをちょうだいねぇぇぇぇっ!?
くれないってことはばりざがでいぶをあいしていないっでいう、たしかなしょうこっだよっ!
それならでいぶにもかんがえがあるよ!りこんっするよ!そのばあいまりさがぜんぶわるいんだから
おちびちゃんもおうちもでいぶがいしゃりょうっとしてぜんぶもらうよ!まりさはそくざにでていっでねぇぇぇぇっ!」
「ゆ……ゆゆゆゆゆっっ!??」
野良ゆっくりにとって一生に一度食せるかどうかの至高の美味、チョコレートを調達するのは至難の業である。
同じ野良ゆであるれいむにもその辺りの事情は理解できていそうなものだが、
その思慮はチョコレートが食べられるかも……という強烈な誘惑の前にきれいに消し飛んだ。
さらにでいぶやシングルマザー特有の「相手が全部悪い自分はかわいそう」の悪癖が顔を出して暴論へと向かう。
対するまりさにしてみればたまったもんじゃない。
無理なものはどうやったって無理に決まっている。チョコレートなど野良には金輪際手に入らない。
しかしその無理を愛してないからだ、という屁理屈で批難されると一方的にまりさが悪者にされてしまう。
押しが異常に強いでいぶにそう言いきられたらまりさには反論しようがない。
頭が悪くて具体的な反論が思いつかないというのもあるが、結局は声が大きい方が押し切ってしまうからだ。
まりさはようやく絶望して途方に暮れた。だがそれはまりさの家庭だけの話に止まらなかったのだ。
「わ、わがらないよぉぉぉぉっ!?」
「みょぉぉぉぉぉぉんっ!?」
「どぼじてぞんなごとをいうのぉぉぉぉぉっ!」
群れのあちこちから聞こえる悲痛な叫び声の数々。
番を愛しているのならチョコレートをよこせという暴論は群れ全体に広まっていく。
次の日からまりさ達は群れのどこにいてもまさに針のむしろだった。
「ゆゆ~ん♪ばれんたいんさんまであとみっかだね!まりさ、ちょこれーとさんのじゅんびはできてるよね!?」
「ゆうっ!?も、もちろん……なのぜ」
「まりさはかわいいれいむをもちろんあいしてるよね?」
「もちろん……なのぜ…」
「だったらちょこさんをたくさんっよういしておいてね!やまもりでいいよっ!」
「わかった……のぜ……」
それからというものの毎日毎日、れいむの口から出るのはバレンタインの事とチョコレートの催促だけ。
いやそれは群れのそれぞれの家庭の番もみんな同じであった。
まりさ達にとって生きた心地のしないゆっくりできない日々が続く……
もちろんチョコレートの準備なんかできてるわけない。
まりさ達は狩りをしながら必死にチョコが落ちてないか探してはいるものの成果はもちろんゼロ。
このままではバレンタインデーは、まりさ達にとってゆん生最悪の破滅の日になってしまうだろう。
無能の烙印を押され、罵倒され、暴力を振るわれ、離婚させられて、子供は全部取られる。
いやもしかしたら離婚だけは回避できるかもしれない。
だがその後に待っているのは番に奴隷として死ぬまでこき使われる地獄の日々だ。
自分が奴隷に転落させられる格好の口実をゲス気質な番どもに与えてしまうことになる。
もうここまで追い詰められたら手段を選んでなんかいられない。
追い詰められたまりさ達は人間に物乞いするという、群れの掟を破る暴挙に打って出たのであった。
「……というわけなんでずぅぅぅっ!きょうがそのばれんたいんさんでしょぉぉぉぉっ!?
ちょこれーとさんをあげないと、みんなのかていがめちゃくちゃになっちゃうんでずぅぅぅぅうっ!」
「だがらちょこれーどざんをちょうだいねぇぇぇっ!いますぐでいいがらぁぁぁぁっ!」
「ちょごれーどざんがないとちゃんがこまるんだよぉぉぉっ!わがっでね!ゆっぐりじないでわがっでねぇぇぇっ!?」
く…………くっっっだらねえ……!真面目に聞いて損した。
こいつらの言う愛=チョコという物欲的な短絡思考もいい加減アレだが……根本的に思い違いしてねえか?
だってそうだろ?なんなんだこいつらは。クリスマスの時も正月の時もそうだったが
ゆっくりできそうだと知ったとたん、毎度毎度人間の文化や風習に都合よく便乗しようとしやがる。
考えてもみろ、犬に正月があるか?猫に盆があるか?ネズミに節分がゴキブリにクリスマスという文化があるか?
ねえ!これらは全部人間だけの文化でありイベントだ!野良饅頭にバレンタインもへったくれもねえ!
それなのに、ゆっくりどもはさも自分も恩恵にあずかれて当然といわんばかりにいつもいつもすり寄ってきやがる。
自分の力でチョコひとつ購入できないくせにいい加減にしろってんだよまったく……!
当然こんな奴らの頼みなど聞いてやる義理はない。
前々からここの野良ゆどもにはうんざりさせられていたからだ。食いモン要求するゲスなんか日常茶飯事だし、
そのたびに善良ぽい野良ゆが出てきて平謝りに謝っていやがったがゲスの数はだんだん増えているようだ。
それでも今まで見逃してやってたがもう限界だ。ならばいっそここで全部潰してやるか………むっ!?
「どうしたのぜぇぇぇ!はやくちょこれーとさんをよこすのぜぇぇぇっ!」
「ちょこれーどざんがほしいってさっぎがらいっでるみょん!さっさとだせみょぉぉぉぉぉんっ!」」
「わがれよぉ!わがれよぉぉぉぉっ!わがっでぐれよぉぉぉぉぉぉっ!ちぇんはごまっでるんだよぉぉぉぉっ!」
「……っ!………っ!!」
その時……圧倒的閃き……!
それほどの閃光……光が俺の脳を刺す……っ!
閃く……っ!ゲス殺し……!ゲスゆを殺すゲス的奇手……!奇手……!ゲス的奇手……っ!
「どぼじてだまっでるのぉぉぉぉっ!?ちぇんはちょごれーとさんがひつようっていっでるでしょぉぉぉぉっ!?」
「ゆがああああっ!ごうなっだらせいさいっじでやるぅぅぅぅっ!」
「もういいみょん!みょんのはぐろーげんをぐらえだみょぉぉぉぉぉんっ!!」
「……いいだろう。チョコレートをくれてやるよ……お前たちにな」
「いまざらなにいっでるんだよー!ぞんなのいまざら……ゆゆっ!?」
俺はそう言うなり買い物袋の中からさっき買った、お徳用の一口チョコがたくさん入った袋を取り出した。
だいたい40個ぐらいあるから一匹につき数個づつ渡しても充分足りるだろう。
「ゆゆゆううううっ!あれはちょごれーどさんっ!ちょこれーとざんだぁぁぁぁっ!」
「あばあば!あばあばぁぁぁぁっ!」
「いいか今からあわれなお前らにチョコを恵んでやる。それと耳寄りな情報も教えてやろう」
「な、なんなのぜ!?はやくおしえるんだぜっ!それとあまあまをはやくよこすんだぜっ!」
「まあそうせかすな。いいかお前らはバレンタインというものを少し誤解している」
「ゆっ?ご、ごかい?」
「バレンタインってのはチョコをあげてハイおしまいじゃないんだよ。いいか……」
「「「「「そ……それはゆっくりできるよっっっ!?」」」」」
「ゆっくり理解したか?理解したんなら今から渡すチョコレートを自分達でつまみ食いなんかするんじゃないぞ
しっかりと強欲な番に全部渡してやれ……お前らの愛とやらと共にな」
「ゆっくりりかいしたよっっっ!」
「よしじゃあチョコをくれてやるから並べ。一匹4個づつだからな」
「ゆっくりならぶんだぜ!」
「よかったよー!これでちぇんもゆっくりできるよー!」
「はなしのわかるにんげんさんでほんとうによかったみょん!」
そして俺は野良どもに一口チョコを残らずくれてやった。
どうせ特売の一口チョコだ、それほど惜しい物でもない。
野良どもはそれぞれ大事そうに帽子の中や頭の上にチョコを乗せると
上機嫌でそれぞれのおうちがあると思われる方向へと思い思いに跳ねていった。
ちっ、やはり野良は野良か。恵んでやったというのにありがとうという礼のひとつすら言いやしねえ。
まあいい。さて……後は事の成り行きを見守るだけだ……
「ゆっくりただいまなのぜっ!」
「ゆゆっ!おとーしゃんおきゃえりなしゃい!」
「ゆっくちちていっちぇにぇ!」
「ゆんっまりさおそいよ!こんなおそくまでなにをしていたのっ!」
公園の一角……にあるダンボール箱のおうち。そこは先ほどの野良まりさとその家族の住処である。
上機嫌で帰宅したまりさに子供達はゆっくりとした挨拶で出迎え、番のれいむはゆっくりしてない態度で出迎えた。
普段のまりさだったらそんなれいむの態度に顔をしかめる所であるが今日は違う。
「ゆっ?なににやにやしてるの!きもちわるいからそのかおをやめてね!」
「ゆぷぷ……!そんなことをいっていいのかぜ?れいむ、なにかわすれちゃいないのかぜ?」
「はあ?ずのうめいせきっなれいむがものわすれなんてするわけないでしょ!?ばかなの?しぬの?」
「やっぱりわすれてるのぜ!まりさのれいむのくせにおつむはからきしなのぜ!」
「なんだとぉぉぉぉぉっ!ごのくそばりざぁぁぁっ!もういっぺんいっでみろぉぉぉぉぉっ!」
「ゆゆゆっ?お、おきゃあしゃんゆっくち!ゆっくちちていっちぇにぇ!?」
「ゆふんっ!まあこれくらいにしておくのぜ。きょうはなんのひかぜ?れいむがまりさにさんざんいってたひなのぜ?」
「きょう?きょうはばれんたいんでーさんにきまって………ゆゆっ!?も、もしかして……っ!」
「そのとおりなのぜ!まりさはれいむをあいしているあかしさんをもってきたんだぜっ!」
「ゆううううううっ!?」
「れいむ!はっぴーばれんたいんさん、めりーとぅーゆーなのぜ!」
なんか色々なものが入りまじった変なセリフを吐きながら、
まりさはおさげを使って帽子の中から先ほど乞食をして恵んでもらった一口チョコを取り出した。
チョコを見た瞬間に家族の顔色がすぐさま変わる。世界が変わる。
「ゆゆゆゆぅぅぅぅっ!ちょ、ちょこれーとさんだよぉぉぉぉっ!?」
「ゆわぁぁ~~!あみゃあみゃ!あみゃあみゃぁぁぁぁっ!」
「どうなのぜ?まりさがくろうしててにいれた、れいむへのばれんたいんちょこさんなのぜっ!」
「ゆぅぅぅぅっ!で、でかしたよまりさ!そのちょこさんをちょうだいね!いますぐれいむにぜんぶよこしてね!」
「……そのまえにききたいのぜ。これでまりさがれいむをあいしているとみとめてくれるのぜ?」
「ぞんなごとはどうでもいいでしょぉぉぉぉっ!はやぐあまあまよこせぇぇぇぇっ!」
「こたえるのぜ!こたえなきゃこのちょこさんはれいむにはあげられないのぜ!」
「ゆぐっ!?……み、みどめるよ!まりさはれいぶをあいしてるよ!さすがれいぶのまりさだよ!だがらはやぐぅぅぅっ!」
「……ゆっくりききとどけたのぜ。じゃあれいむ、どうぞおたべなさいなのぜ!」
そう言うとまりさは惜しげもなく一口チョコを全部、番であるれいむの方へとおさげを使って押しやった。
そのれいむはと言うと、もみあげを激しく上下に振りつつ
大量のよだれとうれし涙とうれしーしーを垂れ流して眼前のチョコを前に異常に興奮している。
そんな訳であるからチョコを差し出されたとたん、わき目も振らずすぐさま喰らいついた。
「がーつがーつ!う、うっめ!ちょこれーとさんめっちゃうめっ!これまじぱねえ!」
「ゆんやああああっ!どぼじてあみゃあみゃしゃんをおかあしゃんだけでたべちゃうにょぉぉぉぉっ!?」
「れいみゅも!れいみゅもあみゃあみゃしゃんをむーしゃむーしゃちたいにょにぃぃぃぃっ!」
「やめるんだぜおちびたち!あのちょこさんはれいむへのあいをこめた、まりさのぷれぜんとさんなのぜ!
だかられいむがぜんぶたべちゃうのはとうぜんっなんだぜ!」
「で、でみょ!でみょぉぉぉぉっ!」
「ゆえぇぇぇぇん!ゆえぇぇぇぇんっ!」
「むーじゃむーじゃ!れいむしあわせすぎてごめんね!かわいくでごめんねっ!やっべこれめっちゃうめぇ!まじぱねぇ!
あばあばっ!あばあばすんげぇうんめぇぇぇぇぇっ!へ、へ、へ………へぶんじょうたいっ!」
汚いケツをもりんもりんしながら一心不乱にチョコを貪り食うれいむ。
その様子を見て泣き叫ぶ子ゆっくり達。もはや母親も糞もあったものではない。
そこにはただ甘い物に貪欲という純粋なるゆっくりの本性だけがあった。
そしてまりさは何を考えているのか、そんな家族の様子を見て不快感を示すわけでもなくゆっくりと微笑んでいる。
「ゆゆっ!これだけじゃたりないよ!まりさもっとちょこれーとざんをもってきてねぇぇぇっ!
たくさんっでいいからねぇぇぇぇっ!?」
「ざんねんながらそれでおわりなのぜ。おかわりはないのぜ」
「……ちっ!まったくやくにたたないまりさだよ!でもあまあまをれいむにけんじょうっしたことはほめてあげるよ!
このちょうしでこれからもかわいいれいむをゆっくりさせてねっ!」
「はあ?なにをいってるのぜ?こんどはまりさがれいむにゆっくりさせてもらうばんっなのぜ!」
「……ゆっ?」
そうれいむに言い放つと、まりさはいまだに泣きじゃくっている子ゆっくりの方を向いて話し始めた。
「れいむ、そしておちびもよーくきくのぜ。きょうまりさはにんげんさんからきいたのぜ!
ばれんたいんさんはこれでおわりじゃないのぜ!いっかげつごにほわいとでーさんというものがあるんだぜ!」
「ゆ……?ほ、ほわいとでーしゃん……ってにゃに?」
「ばれんたいんでちょこをもらったゆっくりが、ちょこをあげたゆっくりにあまあまをおかえしするひなのぜ!」
「ゆっ……!?」
「しかも!ほわいとでーさんでおかえしするそうばは、ばれんたいんさんであげたちょこのさんばいっなのぜ!」
「おちょうしゃん、しょれって……」
「そうなのぜ!れいむおかあさんが、ほわいとでーさんにまりさがいまあげたちょこの
さんばいのあまあまさんをおかえししてくれるのぜ!」
「おかえしちたられいみゅもあみゃあみゃたべれりゅ?」
「もちろんだぜ!い~っぱいのあまあまをかぞくみんなでむーしゃむーしゃしてゆっくりするんだぜ!」
「ゆわああああ!しょれはゆっくちできるんだじぇぇぇぇっ!」
まりさはそう子ゆっくりらに説明すると、あまりの急展開にフリーズしたままのれいむに向かって振り向いた。
そして満面の笑顔でれいむに要求する。かつてれいむがまりさにそうしたように。
「れいむ、ほわいとでーさんをたのしみにしているのぜ!たくさんのあまあまをゆっくりおかえししてね!」
「まりちゃにあみゃあみゃをたべしゃせてにぇ!」
「ゆっくちしゃせてにぇ!おきゃあしゃんっ!」
「な、な、な、な…………なにぞれぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
それからというものの公園の群れは来るべきホワイトデーへの話題で持ちきりになった。
バレンタインで番から「愛しているのならばチョコをよこせ」と無理難題を追いつけられたゆっくりの数は相当なもの。
一匹二匹が言ってることならば数の暴力で黙らせたり、しらをきることもできようが……
群れの約半数がことある事にホワイトデーの話題を口にするものだから言論封殺なんてとてもできる状態ではなかった。
「ゆゆ~~ん!ほわいとでーさんがまちどおしいよ!」
「ほわいとちょこさん、ましゅまろさん、くっきーさん、きゃんでぃさん……どのあまあまで
おかえしされるかとてもたのしみなんだねー!」
「みょんはつがいのぱちゅりーにあいをしめしたんだから、さんばいがえしっはとうぜんっだみょん!」
「そうなのぜ!こんどはまりさたちがゆっくりさせてもらうばんなのぜ!」
そしてそんなホワイトデーに浮かれる群れのゆっくり達を心底嫌そうな目で見ている連中もいる。
言うまでもなくバレンタインで番にチョコを要求して、見事せしめたはいいが三倍返しを要求された番どもである。
その内訳は長を含めたぱちゅりー種とありす種……しかしその大部分はやはりれいむ種だ。
「ゆううう……さんばいがえしなんて、とてもむりだよぉ……」
「とかいはなあいにみかえりをもとめるなんてゆっくりしてないわ……」
「おさっ!ほわいとでーさんなんてほんとうにあるの?あんなのまりさたちのうそなんじゃないのっ!?」
「そうだよ!うそにきまってるよ!」
「ほわいとでーさんなんて、いかにもいなかものがおもいつきそうなへたなうそだわ!」
「むきゅぅぅぅ……ほわいとでーさんなんて、ぱちゅがかいどくっしたまどうしょにはかいてなかったわ。
でもまりさたちは、ちょこれーとさんをもらったにんげんさんからきいたというし……
もしかしたら……そのにんげんさんがうそをついてて、まりさたちはだまされているのかもしれないわ」
「ゆゆっ!それじゃやっぱりほわいとでーさんなんてうそだったんだね!」
「でも、もしかしたらほんとうかもしれないわ」
「ゆうううううっ!どっちなのぉぉぉぉっ!?」
「そうね……ならべつのにんげんさんにきいてたしかめてみましょう!そうすればはっきりするはずだわ!」
幸いこの公園には野良ゆっくりに敵意を持たない人間もよく来る。
怒らせないように頭を下げればホワイトデーの存在が本当か嘘かぐらいは教えてくれるはずだ。
長ぱちゅりーはそう思って公園に来た人間たちを観察して慎重に吟味していく……
やがてぱちゅりーはベンチに座って携帯をいじっているOL風の女性に目を付けた。
いかにも無害そうで質問に答えてくれるはずだと判断した長ぱちゅりーは慎重に話しかけてみることにした。
「え、ホワイトデー?もちろんお返し貰ったわよ。去年あげたのはたかが数百円の義理チョコだったんだけどねー
なーんか私に気があるのか異様に喜ばれちゃってねえー。
やっすいホワイトチョコあたりでお返しかと思ってたんだけど……見えるこの腕時計。ロレックスの特注品なの!
去年のホワイトデーはこんなすごい物もらっちゃった!あいつ私に気があるのかしら?
嬉しかったけどこれって三倍返しどころか万倍返しはされたんじゃないかしらねー。
ホワイトデーってほんと便利でいいわー……て、どうしたのあなた。なんか知らないけど顔がまっ青よ?」
目論見どおり確かにその女性はホワイトデーについて教えてくれた。
だが上機嫌で腕時計を見せびらかして自分語りをするOLと裏腹に、
長ぱちゅりーの顔はどんどん青ざめていく。ホワイトデーは確かに実在した。それも想像を遥かに越える代物であった。
「……ほわいとでーさんはほんとうにあるらしいわ。さんばいがえしっいじょうがふつうだって……むきゅ」
「ぞんなあああああああああっ!」
「ゆっぐじでぎないぃぃぃぃぃっ!」
「とかいばじゃないわぁぁぁぁっ!?」
「どぼじでぞんなごというのぉぉぉぉぉっ!?」
「うぞをいうぱちゅりーはゆっぐじじねぇぇぇぇぇっ!」
「ゆっぐりでぎないぃぃぃっ!ゆっくじざぜでぇぇぇぇぇっ!」
「ゆあ~~~~~んっ!なぁ~~にがゆっくりできないのぜぇぇぇぇぇっ!?」
「「「「「ゆうううううっ!?」」」」」
ホワイトデーは実在する!その相場は三倍から無限大と聞かされて嘆き喚くチョコを貰った組。
その泣き声を聞きつけてやってきたのは、チョコを要求された組のまりさ達である。
みんなどことなく人相がゲスっぽく歪んで見えるのは気のせいだろうか……
「なにがゆっくりできないのぜっ?まりさたちはすでにれいむたちをゆっくりさせてあげたのぜぇぇぇぇっ!?」
「そうだよー!さきにあいしてるならちょこれーとさんをよこせなんて、むちゃいいだしたのはそっちなんだよー!」
「ちょこさんをもらったいじょうは、そのおかえしするのがとうぜんっだみょん!」
「で、でぼ……!でぼごんなのやりすぎ…」
「ゆふん!ならべつにむりにおかえししてくれなくてもいいのぜ?」
「ゆっ!おかえししなくていいんだね!れいむがかわいいからゆるしてくれたんだよね!れいむかわいくてご」
「おかえししないってことは、まりさたちをあいしてないっていうたしかなしょうこなのぜ!
それならまりさにもかんがえがあるのぜ!りこんっだぜ!そのばあいれいむたちががぜんぶわるいんだから、
おちびもおうちも、まりさたちがいしゃりょうっとしてぜんぶもらうのぜ!
れいぶたちはそくざにでていくんだぜぇぇぇっ!」
「な、なにぞれぇぇぇぇっ!?」
「ぞれとごれとはかんげいないでしょぉぉぉぉぉっ!?」
「はああああああああっ!?おまえたちがさいしょにまりさたちにいったことばなのぜぇぇぇぇっ!?
まりさたちにあいのあかしとしてちょこれーとさんをようきゅうっしたくせに、
じぶんのばんになったらはいやだなんで、それこそふざけるんじゃないのぜぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
「ゆ、ゆぐぅぅぅぅっ!」
そう返されるとさすがに押しの強さに定評があるでいぶといえど反論できない。
もともと自分達が言い出したことなのだ。人間の決まりなんだから愛してるならチョコレートをよこせと。
ホワイトデーにお返しできなければ愛がないと見なされゲス扱いされて強制離婚、すべてを失ってしまう。
そんな事は自分を少しでもよく見せたいゲスどもにとって、とても耐えられない事だ。
「ゆ……ゆっ!れいむいいことをおもいついたよ!ほわいとでーさんのおかえしは、れいむのゆっくりできるおうたを
きかせてあげることでおかえしするよ!れいむあたまよくてごめんね!」
「そ、それならありすはとかいはなあい…いえこーでぃねーとでおかえしするわ!」
「むきゅ、ぱちゅはけんじゃなちえをぐみんのあなたたちにさずけることで…」
「ゆっくりぜんぶおことわりするみょん」
「そんなのみとめるわけないでしょー!ばかなのー?しぬのー?」
「「「「「どぼじでぞんなごというのぉぉぉぉぉっ!?」」」」」
「ばれんたいんさんのときに、まりさたちはおなじことをいったのぜ!ちょこれーとさんはむりだから
せめてなまごみさんでかんべんしてくれって!でもれいむたちはだんこきょひっしたのぜ!」
「ちょこれーとさんじゃなきゃぜったいにいやだっていったんだねー!おもいだしてねー!」
「みょんのおちびちゃんたちもほわいとでーさんのあまあまをたのしみにしているみょん!
だからおかえしはあまあまいがいみとめないみょん!」
「「「「「ぞ、ぞんなぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」」」」
長ぱちゅりーにありす、そしてでいぶ達はようやく絶望した。
そして嫌でも思い知らされた……自分達がいつのまにか追い詰められ詰み状態に陥っている事に。
そしてそれ以来、公園の群れの話題は完全にホワイトデーの話だけになった。
と、同時にお返しを迫られている番どもにとって群れは針のむしろ状態になった。
それは、もっともゆっくりできる地であるはずのおうちにいる時であっても変わらないのだ。
「おとうしゃん!ほわいとでーしゃんたのしみだにぇ!」
「まりちゃね!ましゅまろしゃんやほわいとちょこしゃんを、おなかぽんぽんになるまで
い~~ぴゃいむーしゃむーしゃしゅるのじぇ!」
「ゆふふっ……あんしんっするのぜ!ぼせいあふれるれいむおかあさんが、まりさにい~ぱいおかえししてくれるのぜ!
おかえしをもらったらもちろんおちびたちにも、い~っぱいわけてあげるのぜ!」
「ゆわーい!ゆっくりできりゅにぇえ!」
「おきゃあしゃん、はやくおかえしちてね!いっぱいでいいよ!」
「ゆ、ゆぎぎぎぎぎぎぎぎぃぃぃぃぃぃ………!」
まりさは別に狙って番にいやがらせしてるわけではないだろう。
ゲスな番と違って夫役の連中はほとんどが家族思いのゆっくりなのだ。
それに子供にもあまあまを分けてあげると言えば、子供は当然そっちになびく。
子供にチョコを分け与えるなどまったく考えずに貪り食ったツケが回ってきたといえようか。
おうちの中ですらもはやゆっくりできる状況ではなくなっていった。
「れいむ、おかえしのじゅんびはできてるのぜ?ほわいとでーさんはもうすぐなのぜ?」
「おきゃあしゃん、はやくあみゃあみゃをとっちぇきてにぇ!」
「まりしゃもうまちきれないのじぇ!あみゃあみゃ!あみゃあみゃ!」
「うるざぁぁぁぁぁいっ!しんぱいじなぐでもあまあまはちゃんとどっでぐるよ!
まいにちまいにちさいそくじないでよね!がわいいれいぶがゆっぐじでぎないでしょぉぉぉぉぉぉっ!?」
「おおっこわいこわい。でもきたいしているのぜ!かわいいれいむはあいするまりさたちをゆっくりさせてね!」
「させちぇにぇえ!(×2)」
「ゆ、ゆ、ゆがあああああああああああああああっっっっ!」
ゲスの思考回路は「自分だけがゆっくりできればそれでいい」である。
番も子供も所詮は自分がゆっくりする為の道具にすぎない。ゆえに当然そこに愛などない。
愛などチョコレートという極上のあまあまを番に献上させる為の方便程度の認識しかないのだ。
夫や子供にゆっくりさせてね!と当然のことを言われただけでキレかかっているいのがいい証拠といえる。
だがれいむ種は(自称)母性愛にあふれるゆっくりである。そしてその無駄に高いプライドが今試されている。
本当にそこに愛があるのならホワイトデーで沢山お返しできるはず……と
愛している(つもり)の番に突きつけられている。
だからもうここまできたら意地の問題だ。
どんな手段を使ってでも大量のあまあまを手に入れて己の愛情を示さなくてはならない。
あんなチンケな量のチョコレートよりも、もっと大量のあまあまを持ってきて愛を示せば……
ホワイトデーさえ乗り切りればまた立場が逆転するはずだという打算もある。
大量のあまあまを突きつけてお返しすれば逆にそれを事あるごとに使って恩を着せられる。
まりさに子供たちは以後、完全にれいむの奴隷となり死ぬまでこき使える……という意地汚い打算。
だが世の中はそうそうゲスの思い通りにはならない。
野良ゆっくりにホワイトチョコレートだの、マシュマロだの、クッキーだのを入手する手段など基本的にないのだ。
となれば自然とそれらを手に入れる為には、かつてのまりさ達のように手段など選んでいられないわけで……
ホワイトデーが近付くにつれ、チョコを貰った番どもは次第に発狂していった。
「ちょござん!ぐっぎーざん!ゆっぐりじないででてきでねぇぇぇぇっ!?」
「どぼじでどごにもあばあばがないのぉぉぉぉぉっ!?ごんなのとかいばじゃないわぁぁぁぁっ!」
「さかなのほねさんじゃだめなのよぉぉぉぉっ!おでがいだからあまあまざんでてきてちょうだいぃぃぃぃっ!」
必死こいて公園のゴミ箱やゴミ集積所を漁る者……
「おいぐそじじいぃぃぃぃっ!あまあまもっでるだろぉぉぉぉっ!ぞれをれいぶによごぜぇぇぇぇぇっ!」
「けんじゃなぱちゅがこまってるのよぉぉぉぉっ!あまあまをけんじょうっじなざいぃぃぃっ!」
「がわいいでいぶがごまっでるんだぞぉぉぉっ!はやぐじろぉぉぉぉぉっ!」
公園に来た人間を恐喝する者……
「ゆっぐりのひー!まっだりのひー!おうだをうだっであげだんだからあばあばおいてっでねぇぇぇぇぇっ!?」
「ゆがあああっ!ただぎきはゆるざないぃぃぃぃぃっ!せいさいっずるよぉぉぉぉぉっ!」
おうたを歌ってあまあまを貰おうとする者……
「ね、ねえみんな……にんげんさんにちかづくのはむれのおきてできんじられてるのよ?だ、だからそれいいじょうは…」
「うるざいよ!やくにだだないおさはだまっででねぇぇぇぇっ!」
「ありずはいまりこんっのききなのよ!おきでがいまざらなんだっでいうのぉぉぉぉっ!?」
「だいたいおざがばれんだいんざんなんて、へんなごとをれいぶたちにおしえたがら
こんなごとになっだんだろぉぉぉぉっ!」
「やぐにだだないおさはひっごんでろぉぉぉぉっ!」
「ゆがあああああっ!あばあばっ!あばあばはどごにあるんだぁぁぁぁぁっ!?」
「む、むきゅぅぅぅぅぅ……」
トチ狂った群れのゲスどもにはもう掟などなんの抑止力にもならない。
掟破りを制裁しようにも現在群れがまっ二つに割れてしまい、とても制裁できる人員が確保できないのだ。
片方はあまあま探しに狂い、片方はお返しに胸膨らませつつ静観している。
どちらも長ぱちゅりーの言うことなど聞きそうにない。
しかもそもそもの原因は長ぱちゅりーが得意げになって群れのゆっくり達に余計な知恵をつけたからだ。
この流れを作ったのは他でもない長ぱちゅりーである。ならば何も言えない。言う資格はない。
群れにおける長の発言力は完全に地に落ちた。
「うわっ……なんなんだこいつら?」
「この公園の野良ゆっくりは人間に迷惑をかけないって聞いたのに……幻滅」
「ちっ、これじゃおちおち昼飯も食えやしねえな。もういいや他所で食おっと」
「もう公園に子供を連れて遊びにこれないわね……ふう」
「までぇぇぇぇぇっ!くそにんげんにげるなぁぁぁっ!あばあばおいでいげぇぇぇぇぇっ!」
「ゆっぐじざぜろっていっでるでしょぉぉぉぉぉぉっ!?ばかなのっ!じぬのぉぉぉぉぉっ!?」
「ゆっぐじ!ゆっぐじぃぃぃぃぃっ!」
そして公園は野良ゆっくりによる無法地帯と化す。
群れの掟で禁忌となっているゴミ箱や公園を荒らさない、人間に物乞いしない、おうたを歌わない等はすべて破られた。
お返しを待ってる連中は止めるどころかそんな番どもの必死な姿を見てニヤニヤしている。
善良ぶっていてもそこはやはりゆっくり。他者を見下してゆっくりするという行為に優越感を感じているのだろう。
刻々と迫るホワイトデー。かつて自分達がやられたように露骨にお返しのあまあまをせびる夫役連中。
自分の安いプライドを守らんが為に、必死にお返しのあまあまを調達しようとするその番連中。
群れが大変な事になっているというのに何もできずに唖然と見守るだけの長ぱちゅりー。
次第に公園に訪れる人間は激減していった。
そして……遂に3月14日。ホワイトデーがやってきた。
「きょうはたいぼうっのほわいとでーさんなのぜっ!」
「あまあまをい~っぱいむーしゃむーしゃできるんだねー!わかるよー!」
「れいみゅもむーちゃむーちゃしゅるよ!」
「おきゃあしゃん!はやくおかえしちてにぇ!はやきゅ!はやきゅぅぅぅ!」
「もうまちきれないんだみょん!そろそろあまあまぱーてぃーをはじめようみょん!」
「「「「「ゆ、ゆぅぅぅぅ……」」」」」
この日、群れの広場にこの群れのゆっくりすべてが集合していた。
いっそ群れ全ゆんで盛大にホワイトデーに、あまあまパーティーをやろうと誰かが言い出した為にこうなった。
現在この広場にいる野良ゆっくりは大きく分けて二種類いる。
ホワイトデーのお返しに浮かれまくってるゆっくり達……に対して顔色が優れないゆっくり達。
そしてもはやすべてを諦めて状況を見守っている長ぱちゅりー。
もはや明白だ。この番連中の顔色を見ればもうこれは……
あまあまの用意ができたのかなど、もう議論の余地などなく明白。
タイムアウト……!猶予の時は過ぎ去った。後は好む好まざるにかかわらず……審判の時……!
「さあ!いよいよおたのしみっのおかえしたいむなのぜ!さっそくおかえしのあまあまをちょうだいね!なのぜ!」
「ちょうだいにぇえ!」
「おかえしはほわいとちょこさんかなー?くっきーさんなのかなー?」
「はやくだすみょん!すぐでいいんだみょん!」
「あみゃあみゃ!あみゃあみゃ!」
待ってましたとばかりにあまあまの催促を始めるまりさ達。
お返しのおこぼれを期待している子ゆっくり達もすかさず便乗して母親に催促する。
しかし番連中はその催促に答えない。動くこともない。
しばらく不気味な沈黙を守り……やがて…
「ゆゆ~~っ?なんのおはなし?ほわいとでーさんってなんのこと?」
「……ゆっ?」
「おかえしってなんのことかしら?とかいはなありすにはさっぱりわからないわっ?」
「いきなりわけのわからないことをいうなんて、まりさたちはほんとゆっくりしてないね!」
「さっさときょうのおしごとにいきなさいよ!」
「お、おちびちゃんもへんなこといってちゃだめよ!りっぱなけんじゃになれないわ!むきゅっ」
「…………なっ!?」
なんと、れいむ達はお返しのあまあまを渡すわけではなく。
かといって懸命の謝罪をするわけでもなく。
ホワイトデーなど知らないと完全にすっとぼけてシラをきる作戦にうって出た。
いかにも現実から目を背けるのが得意なゆっくりらしい作戦ではある。
が……やはりそんな事で都合よくとぼけて済ませられるほど現実は甘くはない。
れいむ達のすっとぼけに最初まりさ達は頭がまっ白になり唖然となった。
だが時間の経過とともにだんだん思考が追いついてくる。
ある感情とともに……誠意なき態度に覚えるのは激しい怒りだけである。
まりさ達の怒りはすぐに爆発した。
「はあああああああああっ!?ふ、ふざけるんじゃないのぜぇぇぇぇっ!」
「いまさら、しらないふりなんてつうじるわけないだろぉぉぉぉっ!わがらないよぉぉぉぉぉっ!」
「ゆ、ゆゆっ?な、なにをそんなにこうふんっしてるの?いきなりおこりだすなんてまりさはばかなの?し…」
「ゆがああああああっ!おばえがじねぇぇぇぇぇっ!」
「ゆべしっ!?」
激高したまりさが、あくまでもすっとぼけようとしたれいむに向かって体当たりをした。ふっとぶれいむ。
食い物の恨みは恐ろしい。それもさんざん期待させられた末に裏切られたとなればその恨みは倍増どころではない。
だが……それでも。それでももしれいむ達が誠実に平謝りに謝ればまだ許してもらえたかもしれない。
その可能性は確かにあった。だが不誠実にすっとぼけて済まそうとした時点でその芽も完全に消えた。
ならば後に残されたのはもう制裁しかない。制裁という名の暴力の嵐しかない。
「ふざげるなっ!ふざげるなぁぁぁぁっ!」
「ゆべっ!や、やべ……やべでぇぇぇぇっ!たいあたりざんはゆっぐじでぎないぃぃぃぃぃっ!」
「きょうはほわいどでーさんだろぉぉぉっ!あばあばのをおかえしずるひだろぉぉぉぉっ!?
すっとぼけるんじゃないんだぜぇぇぇぇっ!」
「じ、じらない!ほわいとでーざんなんでれいぶじらっ!じらないよぉぉぉぉっ!」
「ゆがああああっ!まだいうがぁぁぁぁぁっ!ごのぐぞでいぶがぁぁぁぁぁっ!」
「や、やめなさいこのいなかものっ!せいさいっなんてとかいはじゃないわっ!」
「だっだらおかえしをよこすみょん!あまあま!あまあまをいますぐよこすんだみょぉぉぉんっ!」
「そ、そんなこといわれても……」
「だっだらせいさいっじでやるよぉぉぉぉっ!くいもののうらみだよぉぉぉぉっ!わがれよぉぉぉぉぉっ!」
「ゆぼぉぉぉっ!?……ぞ、ぞんなごといわれだっで!あばあばなんてどごにもながったんだよぉぉぉっ!」
「おかえしじたぐでもできないんだがら、じがたないでじょぉぉぉぉっ!?」
「ふざげるなよぉぉぉっ!いまざらそんないいわけでゆるせるわげないだろぉぉぉぉっ!」
「せいさいっだぁぁぁぁっ!ごのげすどもがぁぁぁぁぁっ!みんなえいえんにゆっぐりざぜてやるぅぅぅぅぅぅっ!!」
案の定たちまち広場は盛大な処刑場と化した。
食い物の恨みによる怒りはまりさ達に勢いと力を与える。
いくら押しの強いでいぶやありすといえどさすがにその勢いには勝てないだろう。
その証拠にそこらかしこで次々とれいむやありす、ぱちゅりーがなんの抵抗もできずに潰されていく。
そうだ、本当はまりさ達だってバレンタインの時にチョコレートを食べたかったのだ。
それをゆっくりにとしては驚異的なほどの忍耐……我慢をして番にチョコを全部あげたのは、
ホワイトデーまで耐えさすればもっともっとたくさんのあまあまを食べれるという慰めと希望があればこそ。
ゆえにその反動からくる怒りは恐ろしい。食い物の恨みは本当に恐ろしい。
「じねっ!じねっ!じねぇぇぇぇぇっ!」
「あ、あばあばなんかあげなぐっだって、れいぶのあいはうみよりもふかいんだよぉぉぉっ!?
どぼじでそれがわがらないのぉぉぉぉっ!?」
「うるざぁぁぁぁぁいっ!あいじでるならちょこれーどさんをよこせといったおばえが、
どうじていまさらぞんなごとをいえるんだぁぁぁぁっ!」
「ぞ、ぞれは……!う、うるざいよぉぉぉっ!ごちゃごちゃいわずにまりざはれいぶをゆっくじざぜ……ゆべえっ!?」
「じねっ!ごろずっ!ごろずっ!ごろずぅぅぅぅぅっ!」
「や、やべ……ゆぶぅぅぅっ!れいぶのうえで……ぴょんぴょんじな……ゆびぃっ!?も、もっとゆっぐじ…」
「ちね!ちねぇぇぇっ!」
「きゃわいいれいみゅにあみゃあみゃをくれにゃい、くずおかあしゃんはいますぐちんでにぇえ!」
「や、やべでぇぇぇ……おがあざんはちぇんにやられで、もううごげないんだよぉぉぉ……?」
「うるさいよくず!きゃわいいまりちゃがゆっくちせいさいっちてやるから、かんしゃしゅるんだじぇ!」
「おまえがちんだらそのかおにれいみゅのうんうんをかけてあげるよ!ゆっくちかんしゃちてにぇえ!」
「「げらげらげらっ!」」
「ど、どぼじてぇぇぇ……?どぼじてごんなごとにぃぃぃぃぃ………!」
大人のゆっくりに既に制裁され、虫の息のれいむが自分の子供達に体当たりされている。
子ゆっくりとて食い物の恨みは変わらない。その恨みは殺意に変わり実の母親といえど容赦はない。
このれいむは我が子にトドメを刺されて死んだ。いかにもゲスらしい最後である。
「む、むきゅぅぅぅぅ……な、なんなのこれ?なんなのこれ………!?」
長ぱちゅりーは目の前で起きている地獄絵図をガタガタ震えて見てるだけしかできなかった。
止めに入るなどとてもできない。もしそんな事をしたら長ぱちゅりーも制裁の対象にされてすぐに殺されるだろう。
だが止めに入らなくても制裁されるのは早いか遅いかの問題でしかない。
気がつけば怒りにまかせたまりさ達は番どもをすべて殺し終わっていたからだ。
そのまりさ達の目が一勢に最後に残った長ぱちゅりーに向けられる。そうまだ制裁は終わっていない。
こうなったすべての元凶がまだ残っているではないか……
「おさぁぁぁ……あとはおばえだけなのぜぇぇぇぇっ!」
「む、むきゅぅぅぅぅぅっ!?」
「わがるよー……おささえよけいなごとをいわなければ、こんなことにはならながっだんだねー!」
「ゆひひひひっ!でいぶも!れいぱーも!もりけんも!みんなみんなまりざたちがせいさいっじだのぜぇぇぇっ!
つぎのおさはまりざがなってやるからあんしんっしてじんでねぇぇぇぇっ!」
「むきゅぅぅぅ……!エ、エレエレエレ……」
もはやみんな狂っていた。何が正しかったのか何が間違っていたのかなどもはやどうでもいい。
期待、失望、怒り、悲しみ、ありとあらゆる負の感情に焼かれた群れのゆっくり達は
もはや完全に正常な判断を失っていた。あるのはやり場のない憤り……狂気しかなかった。
あまりの恐怖に思わず生クリームを吐いてしまう長ぱちゅりー。
そしてそんな死にかけ長ぱちゅりーを制裁せんとまりさが飛びかった。と、その時……
「げすぱちゅりーはゆっくりじねぇぇぇぇ!……ゆべろぉ!?」
「はいはい。ゆっくりゆっくり」
「む、むぎゅぅぅぅぅぅっ!?」
狂ったまりさがあっさりと潰された。
後ろから人間の足で。全力で踏み潰された。それはあまりにもあっけない最後であった。
長ぱちゅりーと残りのゆっくり達は、思いもかけない事態に思わず声がした方向を振り向く。
そして見た。何人もの人間がそこにいることを……その人間達は普段よく見かける公園利用者などではない。
彼らは野良ゆっくり達がよく知っている種類の人間だった。
そしてできる事なら一生関わり合いになりたくない人間だった。
そう……この作業着を着た人間たち、それはつまり……
「「「「「か、かこうじょだぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」」」」」
「おい残りはここにいる奴らだけのようだ。さっさと全部潰して片付けるぞー」
「ういーす」
「ど、どぼじてぇぇぇっ!?どぼじてがごうじょがごごにいるのぉぉぉぉぉっ!」
「どうしてってお前……そりゃ一勢駆除だからここにいるに決まってるだろ」
「ゆ、ゆげえええええええっ!?」
「あまり無駄な時間はかけたくないんだ。だからさっさと死んでくれ、な?」
「ゆぶべぇっ!?」
またしても長ぱちゅりーの前で虐殺が行われていた。
まったく抵抗できない残った群れのゆっくり達をいとも簡単に潰し、死体をゴミ袋に入れていく。
それだけではない、他の加工所職員の手によって群れのおうちも壊され次々と破棄されていく。
ある日、なんの前触れもなく、無慈悲に、群れのゆっくり全ゆんの命と財産が残らず奪われていく……
これが一勢駆除。野良ゆっくりがもっとも恐れる最悪の事態である。
「ど、どぼじで!?どぼじでみょんたちがくじょっされなければいげないんだみょんっっっ!?」
「わがらないっ!わがらないよぉぉぉぉぉっ!ちぇんたちはしずがにぐらじでいただげなのにぃぃぃぃっ!」
「れいみゅ、にゃにもわるいことちてにゃいよぉぉぉぉぉっ!」
「む、むきゅ……に、にんげんざん?どうして……どうしてごんなことひどいごとずるの……?」
理不尽。一方的に殺され奪われていく野良ゆっくり達にとってはあまりに理不尽すぎるこの仕打ち。
せめて死にゆく理由ぐらいは知りたい。なんで殺されるか分からないまま死ぬなんてゆっくりできない。
そういう思いがつい口からでた「どうして」。
しかしこんな野良ゆっくりの質問など職員は普通は答えない。
普通は無視するのが当たり前だが……駆除班のリーダーらしき男が珍しくその問いに答えた。
「どうしてって?静かに暮らしていただけ?……平気で嘘つくなよ。公園に来た人間にさんざん迷惑かけてきたくせに」
「ゆううううっ!?」
「公園利用者から苦情が山ほどきているんだよ。人間に対して乞食をする、暴言を吐く、ゴミを漁る、
これだけさんざんやっといてなにも悪いことしてないなんてよく言えるな」
「ち……ちがうっ!ぞれはでいぶたちがかってにやったごとなんだぜ!まりさたちは…」
「止める義務があるだろ。群れのゆっくりが人間の対してバカやらかそうとしたら群れ全員で止める義務がよ」
「あ……あああああっ!」
番の連中が人間に対して迷惑をかけている事はもちろんみんな知っていた。
だがまりさ達にその行為を止めようという気は毛頭なかった。
おうちで普段偉そうにしているでいぶ達があまあまを手に入れようと必死こいてる姿を見るのはゆっくりできたからだ。
そのゆっくりが、その優越感が群れの掟を今の今まで完全に忘れてさせてた。
それにかつて自分達もチョコレートを手に入れる為に掟破りの乞食をした事もあったので、
それで自分達にお返しする為のあまあまが手に入るんならいいじゃないかと、なおさら止める気が起こらなかった。
「人間に迷惑をかける野良ゆの群れはこの公園に必要ない。人間に迷惑さえかけずにきちんと仕事をしていれば
ここに住むことを黙認してやるという約束だっただろ」
「ゆ……ゆあ、ああああ……ご、ごべんなざいぃぃぃ……ゆっくじ!ゆっぐじはんせいっじまじだぁぁぁぁ」
「もうにんげんざんにめいわくがげまぜん!おきてもまもりまず!だがらっ!だがらくじょっ!くじょだげはっ!」
「ダメだね。この公園に住みたいという野良は他にも沢山いるんだ、ゲスばかりで掟も守れない群れはここで消えてもらう」
「ぞ、ぞんなあああああああああっ!」
「これでとりあえず説明責任は果したからな。じゃあお前ら面倒がないように潔く死んでくれ」
「や、やだっ!じにだぐないっ!じにだぐないよぉぉぉぉっ!」
「ゆんやああああっ!どぼじでごんなごとにぃぃぃぃぃぃっ!?」
「もっどゆっぐりじだがっだぁぁぁぁぁぁっ!」
「あばあばっ!あばあばっ!あばあばぁぁぁぁぁぁっ!」
「ごんなのっでないよぉぉぉぉぉっ!おがえじでゆっぐりでぎるはずだったのにぃぃぃぃぃっ!」
「む、むきゅぅぅぅぅっ!エレエレエレ………!も、もっど……ゆっくり…」
その後は坦々と作業である。
加工所職員はゆっくりどもの言葉にもう耳を傾けなかった。
ただ潰して捨てる、それだけである。30分後にはその公園にゆっくりが住んでいたという痕跡はすべて消えた。
「うーし、んじゃ徹収すんぞー」
「それにしても先輩、今回は楽に終わってよかったっスね」
「まったくだ。駆除しようとしたらいきなり群れ全体で盛大な同士討ちを始めたからなあ」
「しばらく様子を見て生き残った連中だけを潰せばよかったですしね」
「だな。しかしこの群れもなにをトチ狂ったのか……お返しとかわけのわからん事をほざいてたが」
「ゆっくりの言うことに意味なんて求めちゃダメっスよ。どうせたいした意味なんてないんだから」
「……そうだな」
加工所駆除班はあっという間にすべての作業を終えて帰っていく。
こうして公園の群れはあっけなく完全に消滅した……
だがそのうちどこからか野良ゆっくりが現れて、住みつき、また群れを作るだろう。
それでまた元通りだ何も問題はない。
……とまあこのように人間の文化であるバレンタインもホワイトデーも野良ゆっくりには過ぎた代物である。
この群れのゆっくり達は最後までそれが分からなかった。
だから滅んだ……自業自得としか言いようのないあまあま狂想曲の果てに。
ゆえに野良ゆっくりは長生きがしたければバレンタインなど知る必要はない。
身分不相応にチョコレートなど欲しがってはいけないのである。
そうバレンタインなどというロクでもないイベントはこのようにかくも有害なのだ。
いっそ滅びてしまえばばいいのに……
制裁 自業自得 虐殺 家族崩壊 同族殺し 駆除 群れ 野良ゆ ゲス 現代 少し早いがバレンタインはかくも有害なのだ…という話 気ままあき
ゆっくりは人間並に……いやもしかしたら人間以上に強欲な生き物である。
特に「ゆっくりできる」ものには非常に貪欲であり、なんでもかんでも自分のものにしたがる。
ゆっくりできるものは脊髄反射的になんでも欲しがるのだ。
ごはん、あまあま、おうち……そして
今日……2月14日は全国のリア充は残らず爆発しろと、非リア充が一勢に呪いの藁人形にクギを打ち付ける日。
その名も聖バレンタインデー。かくいう俺も非リア充のひとりだ。
そんなカワイソーな俺が散歩がてらに公園に寄って、ベンチで一服していたら……
いきなり十数匹ほどの野良ゆっくりがわらわらと湧いて出てきて、俺はあっというまに絡まれた。
「おでがいじまずぅぅぅっ!どうかばりざをたずげでぐだざいぃぃぃぃぃっ!」
「ちぇんはちょこれーとさんがどうじてもいるんだよー!わがっでねぇぇぇぇっ!?」
「みょんからもおねがいするんだみょん!このとおりどげざするみょんっっ!だがらっ!だがらぁぁぁぁっ!」
「ごのどおりでず!ごのどおりでずぅぅぅぅっ!まりざにもちょこれーどざんをくだざぃぃぃぃぃっ!」
どいつもこいつも目を血走らせ、涙をちょちょぎらせて必死に俺にチョコレートをくれと懇願してきやがる。
普通野良ゆに絡まれたら潰してゴミ箱が常道なのだが。
俺は何故かこいつらの様子が気になったので理由を聞いてみることにした。
「なんでチョコレートなんか欲しがるんだお前ら。腹がすいたのか?それともガキが死にかけているのか?」
「ちがいまずぅぅぅぅっ!ばりざのあいっをしめすために、どうしてもちょこれーどざんがひつようなんでずぅぅぅっ!」
「は?あ、愛……?」
「ちょこれーとさんがてにはいらないと、みょんはりこんっのききなんだみょん!」
「あいのためなんだよー!ちょこれーどさんがひつようなんだよぉぉぉぉ!わがれよぉぉぉぉっ!」
「だがらおでがいじまず!ちょこれーどざんをくだざいぃぃぃっ!」
「いますぐでいいがらねー!むしろいまずぐよこじてねー!わがっでねぇぇぇぇぇっ!?」
「じじいぃぃぃっ!はやぐちょごれーどざんをよこせぇぇぇぇっ!はやぐっ!はやぐじろぉぉぉぉぉっ!」
ドンッ!
なんかヒステリー気味に騒いでばかりでちっとも話が分からない。
ので俺はわざと勢いよく地面を踏んで大きな音を立てた。思わずビクッと静かになる野良ゆっくりども。
俺はそんな野良連中を冷めた視線でゆっくり見渡すと命令した。
「順序立ててゆっくり説明しろ。俺に分かるようにな」
「……ゆ、ゆっくりりかいしたよ……」
一番大きな声でぎゃーぎゃー騒いでいたまりさの説明によるとこうだ。
数日前この公園の群れの長である自称賢者なぱちゅりーが公園に落ちていた魔道書(スーパーのチラシ)
を解読して、ある大変な事実を知ってしまったんだそうだ。
「む、むきゅ……!そ、そういうことだったのね……っ!ぱちゅはたいへんなひみつっをしってしまったわ!」
「ゆゆっ!どういうことなのぱちゅりー!れいむにもわかるようにゆっくりせつめいっしてね!」
「むきゅっよくききなさい。このまどうしょにはこうかかれているわ……もうすぐばれんたいんでーだってね!」
「ゆっ?ばれんたいんさん……て、なに?」
「むきゅきゅ!かしこいけんじゃなぱちゅが、おろかなぐみんのれいむたちにゆっくりせつめいっしてあげるわ!
いい?ばれんたいんさんというのはね……」
「「「「「そ……それはゆっくりできるよっっ!」」」」」
こうして長ぱちゅりーがバレンタインチョコ特売のチラシの内容を自慢気に群れのゆっくるどもに話したことで、
迷惑にもバレンタインの話は瞬く間に群れ中に広まったんだそうだ。
かくいうまりさもその日、公園の仕事を終えておうちに帰ってたとたんいきなり番のれいむからこう言われたんだと。
「まりさ!もうすぐばれんたいんさんだよ!だかられいむにちょこれーとさんをちょうだいね!いっぱいでいいよっ!」
「ゆうっ?ち、ちょこれーとさん……?いきなりなんなのぜ?ばれんたいんさんって……」
「おさがおしえてくれたんだよ!ばれんたいんさんっていうのはね、いつもいっしょーけんめーこそだてにかじを
しているかわいいれいむに、まりさがかんしゃのしるしとしてちょこれーとさんをあげるひなんだよ!」
「ゆううううっ!?」
本来バレンタインデーとは、女性が意中の男性に親愛の情を込めたチョコレートを贈るという風習だ。
しかしゆっくりは雌雄同体だから男も女もない。男であり同時に女であるが、まあどちらかといえば全ゆんメスである。
メスがメスにチョコレートをたかるというのも変な話であるが……まあ最近は逆チョコというのもあるし。
ゆっくりの場合まりさやちぇん、みょんが父親役をする場合が多いので
どちらかといえば女房役のれいむやありすが旦那役のまりさ等にチョコレートを上げるにが普通なはず。
そこを自分の都合のいいように捻じ曲げて自分がチョコレートを貰うべきとさりげなく捏造しているあたり
さすがにでいぶである。汚い、実に汚い。
「ゆゆっ……そんなこといわれても、ちょこれーとさんなんてのらのまりさにはとてもみつけられないのぜ?」
「なにいっでるのぉぉぉぉっ!?にんげんさんのきまりでそうなってるんだよぉぉぉぉぉっ!?
だがらまりざはちょこれーとさんをれいぶにあげなきゃだめでしょぉぉぉぉぉっ!?」
「で、でも……」
「ばりざはでいぶをあいしてないっていうのぉぉぉぉぉっ!?」
「ゆ、ゆゆっ!?そ、そんなことないのぜ!でいぶなにをいって…」
「ちょこれーとさんをくれないってことはあいしてないってことでしょぉぉぉっ!ばかなの!しぬのぉぉぉぉっ!?」
「れ、れいぶおちつくのぜ!おちついてゆっくり…」
「あいしているんなら、そのあかしっとしてばれんたいんにちょこれーとさんをちょうだいねぇぇぇぇっ!?
くれないってことはばりざがでいぶをあいしていないっでいう、たしかなしょうこっだよっ!
それならでいぶにもかんがえがあるよ!りこんっするよ!そのばあいまりさがぜんぶわるいんだから
おちびちゃんもおうちもでいぶがいしゃりょうっとしてぜんぶもらうよ!まりさはそくざにでていっでねぇぇぇぇっ!」
「ゆ……ゆゆゆゆゆっっ!??」
野良ゆっくりにとって一生に一度食せるかどうかの至高の美味、チョコレートを調達するのは至難の業である。
同じ野良ゆであるれいむにもその辺りの事情は理解できていそうなものだが、
その思慮はチョコレートが食べられるかも……という強烈な誘惑の前にきれいに消し飛んだ。
さらにでいぶやシングルマザー特有の「相手が全部悪い自分はかわいそう」の悪癖が顔を出して暴論へと向かう。
対するまりさにしてみればたまったもんじゃない。
無理なものはどうやったって無理に決まっている。チョコレートなど野良には金輪際手に入らない。
しかしその無理を愛してないからだ、という屁理屈で批難されると一方的にまりさが悪者にされてしまう。
押しが異常に強いでいぶにそう言いきられたらまりさには反論しようがない。
頭が悪くて具体的な反論が思いつかないというのもあるが、結局は声が大きい方が押し切ってしまうからだ。
まりさはようやく絶望して途方に暮れた。だがそれはまりさの家庭だけの話に止まらなかったのだ。
「わ、わがらないよぉぉぉぉっ!?」
「みょぉぉぉぉぉぉんっ!?」
「どぼじてぞんなごとをいうのぉぉぉぉぉっ!」
群れのあちこちから聞こえる悲痛な叫び声の数々。
番を愛しているのならチョコレートをよこせという暴論は群れ全体に広まっていく。
次の日からまりさ達は群れのどこにいてもまさに針のむしろだった。
「ゆゆ~ん♪ばれんたいんさんまであとみっかだね!まりさ、ちょこれーとさんのじゅんびはできてるよね!?」
「ゆうっ!?も、もちろん……なのぜ」
「まりさはかわいいれいむをもちろんあいしてるよね?」
「もちろん……なのぜ…」
「だったらちょこさんをたくさんっよういしておいてね!やまもりでいいよっ!」
「わかった……のぜ……」
それからというものの毎日毎日、れいむの口から出るのはバレンタインの事とチョコレートの催促だけ。
いやそれは群れのそれぞれの家庭の番もみんな同じであった。
まりさ達にとって生きた心地のしないゆっくりできない日々が続く……
もちろんチョコレートの準備なんかできてるわけない。
まりさ達は狩りをしながら必死にチョコが落ちてないか探してはいるものの成果はもちろんゼロ。
このままではバレンタインデーは、まりさ達にとってゆん生最悪の破滅の日になってしまうだろう。
無能の烙印を押され、罵倒され、暴力を振るわれ、離婚させられて、子供は全部取られる。
いやもしかしたら離婚だけは回避できるかもしれない。
だがその後に待っているのは番に奴隷として死ぬまでこき使われる地獄の日々だ。
自分が奴隷に転落させられる格好の口実をゲス気質な番どもに与えてしまうことになる。
もうここまで追い詰められたら手段を選んでなんかいられない。
追い詰められたまりさ達は人間に物乞いするという、群れの掟を破る暴挙に打って出たのであった。
「……というわけなんでずぅぅぅっ!きょうがそのばれんたいんさんでしょぉぉぉぉっ!?
ちょこれーとさんをあげないと、みんなのかていがめちゃくちゃになっちゃうんでずぅぅぅぅうっ!」
「だがらちょこれーどざんをちょうだいねぇぇぇっ!いますぐでいいがらぁぁぁぁっ!」
「ちょごれーどざんがないとちゃんがこまるんだよぉぉぉっ!わがっでね!ゆっぐりじないでわがっでねぇぇぇっ!?」
く…………くっっっだらねえ……!真面目に聞いて損した。
こいつらの言う愛=チョコという物欲的な短絡思考もいい加減アレだが……根本的に思い違いしてねえか?
だってそうだろ?なんなんだこいつらは。クリスマスの時も正月の時もそうだったが
ゆっくりできそうだと知ったとたん、毎度毎度人間の文化や風習に都合よく便乗しようとしやがる。
考えてもみろ、犬に正月があるか?猫に盆があるか?ネズミに節分がゴキブリにクリスマスという文化があるか?
ねえ!これらは全部人間だけの文化でありイベントだ!野良饅頭にバレンタインもへったくれもねえ!
それなのに、ゆっくりどもはさも自分も恩恵にあずかれて当然といわんばかりにいつもいつもすり寄ってきやがる。
自分の力でチョコひとつ購入できないくせにいい加減にしろってんだよまったく……!
当然こんな奴らの頼みなど聞いてやる義理はない。
前々からここの野良ゆどもにはうんざりさせられていたからだ。食いモン要求するゲスなんか日常茶飯事だし、
そのたびに善良ぽい野良ゆが出てきて平謝りに謝っていやがったがゲスの数はだんだん増えているようだ。
それでも今まで見逃してやってたがもう限界だ。ならばいっそここで全部潰してやるか………むっ!?
「どうしたのぜぇぇぇ!はやくちょこれーとさんをよこすのぜぇぇぇっ!」
「ちょこれーどざんがほしいってさっぎがらいっでるみょん!さっさとだせみょぉぉぉぉぉんっ!」」
「わがれよぉ!わがれよぉぉぉぉっ!わがっでぐれよぉぉぉぉぉぉっ!ちぇんはごまっでるんだよぉぉぉぉっ!」
「……っ!………っ!!」
その時……圧倒的閃き……!
それほどの閃光……光が俺の脳を刺す……っ!
閃く……っ!ゲス殺し……!ゲスゆを殺すゲス的奇手……!奇手……!ゲス的奇手……っ!
「どぼじてだまっでるのぉぉぉぉっ!?ちぇんはちょごれーとさんがひつようっていっでるでしょぉぉぉぉっ!?」
「ゆがああああっ!ごうなっだらせいさいっじでやるぅぅぅぅっ!」
「もういいみょん!みょんのはぐろーげんをぐらえだみょぉぉぉぉぉんっ!!」
「……いいだろう。チョコレートをくれてやるよ……お前たちにな」
「いまざらなにいっでるんだよー!ぞんなのいまざら……ゆゆっ!?」
俺はそう言うなり買い物袋の中からさっき買った、お徳用の一口チョコがたくさん入った袋を取り出した。
だいたい40個ぐらいあるから一匹につき数個づつ渡しても充分足りるだろう。
「ゆゆゆううううっ!あれはちょごれーどさんっ!ちょこれーとざんだぁぁぁぁっ!」
「あばあば!あばあばぁぁぁぁっ!」
「いいか今からあわれなお前らにチョコを恵んでやる。それと耳寄りな情報も教えてやろう」
「な、なんなのぜ!?はやくおしえるんだぜっ!それとあまあまをはやくよこすんだぜっ!」
「まあそうせかすな。いいかお前らはバレンタインというものを少し誤解している」
「ゆっ?ご、ごかい?」
「バレンタインってのはチョコをあげてハイおしまいじゃないんだよ。いいか……」
「「「「「そ……それはゆっくりできるよっっっ!?」」」」」
「ゆっくり理解したか?理解したんなら今から渡すチョコレートを自分達でつまみ食いなんかするんじゃないぞ
しっかりと強欲な番に全部渡してやれ……お前らの愛とやらと共にな」
「ゆっくりりかいしたよっっっ!」
「よしじゃあチョコをくれてやるから並べ。一匹4個づつだからな」
「ゆっくりならぶんだぜ!」
「よかったよー!これでちぇんもゆっくりできるよー!」
「はなしのわかるにんげんさんでほんとうによかったみょん!」
そして俺は野良どもに一口チョコを残らずくれてやった。
どうせ特売の一口チョコだ、それほど惜しい物でもない。
野良どもはそれぞれ大事そうに帽子の中や頭の上にチョコを乗せると
上機嫌でそれぞれのおうちがあると思われる方向へと思い思いに跳ねていった。
ちっ、やはり野良は野良か。恵んでやったというのにありがとうという礼のひとつすら言いやしねえ。
まあいい。さて……後は事の成り行きを見守るだけだ……
「ゆっくりただいまなのぜっ!」
「ゆゆっ!おとーしゃんおきゃえりなしゃい!」
「ゆっくちちていっちぇにぇ!」
「ゆんっまりさおそいよ!こんなおそくまでなにをしていたのっ!」
公園の一角……にあるダンボール箱のおうち。そこは先ほどの野良まりさとその家族の住処である。
上機嫌で帰宅したまりさに子供達はゆっくりとした挨拶で出迎え、番のれいむはゆっくりしてない態度で出迎えた。
普段のまりさだったらそんなれいむの態度に顔をしかめる所であるが今日は違う。
「ゆっ?なににやにやしてるの!きもちわるいからそのかおをやめてね!」
「ゆぷぷ……!そんなことをいっていいのかぜ?れいむ、なにかわすれちゃいないのかぜ?」
「はあ?ずのうめいせきっなれいむがものわすれなんてするわけないでしょ!?ばかなの?しぬの?」
「やっぱりわすれてるのぜ!まりさのれいむのくせにおつむはからきしなのぜ!」
「なんだとぉぉぉぉぉっ!ごのくそばりざぁぁぁっ!もういっぺんいっでみろぉぉぉぉぉっ!」
「ゆゆゆっ?お、おきゃあしゃんゆっくち!ゆっくちちていっちぇにぇ!?」
「ゆふんっ!まあこれくらいにしておくのぜ。きょうはなんのひかぜ?れいむがまりさにさんざんいってたひなのぜ?」
「きょう?きょうはばれんたいんでーさんにきまって………ゆゆっ!?も、もしかして……っ!」
「そのとおりなのぜ!まりさはれいむをあいしているあかしさんをもってきたんだぜっ!」
「ゆううううううっ!?」
「れいむ!はっぴーばれんたいんさん、めりーとぅーゆーなのぜ!」
なんか色々なものが入りまじった変なセリフを吐きながら、
まりさはおさげを使って帽子の中から先ほど乞食をして恵んでもらった一口チョコを取り出した。
チョコを見た瞬間に家族の顔色がすぐさま変わる。世界が変わる。
「ゆゆゆゆぅぅぅぅっ!ちょ、ちょこれーとさんだよぉぉぉぉっ!?」
「ゆわぁぁ~~!あみゃあみゃ!あみゃあみゃぁぁぁぁっ!」
「どうなのぜ?まりさがくろうしててにいれた、れいむへのばれんたいんちょこさんなのぜっ!」
「ゆぅぅぅぅっ!で、でかしたよまりさ!そのちょこさんをちょうだいね!いますぐれいむにぜんぶよこしてね!」
「……そのまえにききたいのぜ。これでまりさがれいむをあいしているとみとめてくれるのぜ?」
「ぞんなごとはどうでもいいでしょぉぉぉぉっ!はやぐあまあまよこせぇぇぇぇっ!」
「こたえるのぜ!こたえなきゃこのちょこさんはれいむにはあげられないのぜ!」
「ゆぐっ!?……み、みどめるよ!まりさはれいぶをあいしてるよ!さすがれいぶのまりさだよ!だがらはやぐぅぅぅっ!」
「……ゆっくりききとどけたのぜ。じゃあれいむ、どうぞおたべなさいなのぜ!」
そう言うとまりさは惜しげもなく一口チョコを全部、番であるれいむの方へとおさげを使って押しやった。
そのれいむはと言うと、もみあげを激しく上下に振りつつ
大量のよだれとうれし涙とうれしーしーを垂れ流して眼前のチョコを前に異常に興奮している。
そんな訳であるからチョコを差し出されたとたん、わき目も振らずすぐさま喰らいついた。
「がーつがーつ!う、うっめ!ちょこれーとさんめっちゃうめっ!これまじぱねえ!」
「ゆんやああああっ!どぼじてあみゃあみゃしゃんをおかあしゃんだけでたべちゃうにょぉぉぉぉっ!?」
「れいみゅも!れいみゅもあみゃあみゃしゃんをむーしゃむーしゃちたいにょにぃぃぃぃっ!」
「やめるんだぜおちびたち!あのちょこさんはれいむへのあいをこめた、まりさのぷれぜんとさんなのぜ!
だかられいむがぜんぶたべちゃうのはとうぜんっなんだぜ!」
「で、でみょ!でみょぉぉぉぉっ!」
「ゆえぇぇぇぇん!ゆえぇぇぇぇんっ!」
「むーじゃむーじゃ!れいむしあわせすぎてごめんね!かわいくでごめんねっ!やっべこれめっちゃうめぇ!まじぱねぇ!
あばあばっ!あばあばすんげぇうんめぇぇぇぇぇっ!へ、へ、へ………へぶんじょうたいっ!」
汚いケツをもりんもりんしながら一心不乱にチョコを貪り食うれいむ。
その様子を見て泣き叫ぶ子ゆっくり達。もはや母親も糞もあったものではない。
そこにはただ甘い物に貪欲という純粋なるゆっくりの本性だけがあった。
そしてまりさは何を考えているのか、そんな家族の様子を見て不快感を示すわけでもなくゆっくりと微笑んでいる。
「ゆゆっ!これだけじゃたりないよ!まりさもっとちょこれーとざんをもってきてねぇぇぇっ!
たくさんっでいいからねぇぇぇぇっ!?」
「ざんねんながらそれでおわりなのぜ。おかわりはないのぜ」
「……ちっ!まったくやくにたたないまりさだよ!でもあまあまをれいむにけんじょうっしたことはほめてあげるよ!
このちょうしでこれからもかわいいれいむをゆっくりさせてねっ!」
「はあ?なにをいってるのぜ?こんどはまりさがれいむにゆっくりさせてもらうばんっなのぜ!」
「……ゆっ?」
そうれいむに言い放つと、まりさはいまだに泣きじゃくっている子ゆっくりの方を向いて話し始めた。
「れいむ、そしておちびもよーくきくのぜ。きょうまりさはにんげんさんからきいたのぜ!
ばれんたいんさんはこれでおわりじゃないのぜ!いっかげつごにほわいとでーさんというものがあるんだぜ!」
「ゆ……?ほ、ほわいとでーしゃん……ってにゃに?」
「ばれんたいんでちょこをもらったゆっくりが、ちょこをあげたゆっくりにあまあまをおかえしするひなのぜ!」
「ゆっ……!?」
「しかも!ほわいとでーさんでおかえしするそうばは、ばれんたいんさんであげたちょこのさんばいっなのぜ!」
「おちょうしゃん、しょれって……」
「そうなのぜ!れいむおかあさんが、ほわいとでーさんにまりさがいまあげたちょこの
さんばいのあまあまさんをおかえししてくれるのぜ!」
「おかえしちたられいみゅもあみゃあみゃたべれりゅ?」
「もちろんだぜ!い~っぱいのあまあまをかぞくみんなでむーしゃむーしゃしてゆっくりするんだぜ!」
「ゆわああああ!しょれはゆっくちできるんだじぇぇぇぇっ!」
まりさはそう子ゆっくりらに説明すると、あまりの急展開にフリーズしたままのれいむに向かって振り向いた。
そして満面の笑顔でれいむに要求する。かつてれいむがまりさにそうしたように。
「れいむ、ほわいとでーさんをたのしみにしているのぜ!たくさんのあまあまをゆっくりおかえししてね!」
「まりちゃにあみゃあみゃをたべしゃせてにぇ!」
「ゆっくちしゃせてにぇ!おきゃあしゃんっ!」
「な、な、な、な…………なにぞれぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
それからというものの公園の群れは来るべきホワイトデーへの話題で持ちきりになった。
バレンタインで番から「愛しているのならばチョコをよこせ」と無理難題を追いつけられたゆっくりの数は相当なもの。
一匹二匹が言ってることならば数の暴力で黙らせたり、しらをきることもできようが……
群れの約半数がことある事にホワイトデーの話題を口にするものだから言論封殺なんてとてもできる状態ではなかった。
「ゆゆ~~ん!ほわいとでーさんがまちどおしいよ!」
「ほわいとちょこさん、ましゅまろさん、くっきーさん、きゃんでぃさん……どのあまあまで
おかえしされるかとてもたのしみなんだねー!」
「みょんはつがいのぱちゅりーにあいをしめしたんだから、さんばいがえしっはとうぜんっだみょん!」
「そうなのぜ!こんどはまりさたちがゆっくりさせてもらうばんなのぜ!」
そしてそんなホワイトデーに浮かれる群れのゆっくり達を心底嫌そうな目で見ている連中もいる。
言うまでもなくバレンタインで番にチョコを要求して、見事せしめたはいいが三倍返しを要求された番どもである。
その内訳は長を含めたぱちゅりー種とありす種……しかしその大部分はやはりれいむ種だ。
「ゆううう……さんばいがえしなんて、とてもむりだよぉ……」
「とかいはなあいにみかえりをもとめるなんてゆっくりしてないわ……」
「おさっ!ほわいとでーさんなんてほんとうにあるの?あんなのまりさたちのうそなんじゃないのっ!?」
「そうだよ!うそにきまってるよ!」
「ほわいとでーさんなんて、いかにもいなかものがおもいつきそうなへたなうそだわ!」
「むきゅぅぅぅ……ほわいとでーさんなんて、ぱちゅがかいどくっしたまどうしょにはかいてなかったわ。
でもまりさたちは、ちょこれーとさんをもらったにんげんさんからきいたというし……
もしかしたら……そのにんげんさんがうそをついてて、まりさたちはだまされているのかもしれないわ」
「ゆゆっ!それじゃやっぱりほわいとでーさんなんてうそだったんだね!」
「でも、もしかしたらほんとうかもしれないわ」
「ゆうううううっ!どっちなのぉぉぉぉっ!?」
「そうね……ならべつのにんげんさんにきいてたしかめてみましょう!そうすればはっきりするはずだわ!」
幸いこの公園には野良ゆっくりに敵意を持たない人間もよく来る。
怒らせないように頭を下げればホワイトデーの存在が本当か嘘かぐらいは教えてくれるはずだ。
長ぱちゅりーはそう思って公園に来た人間たちを観察して慎重に吟味していく……
やがてぱちゅりーはベンチに座って携帯をいじっているOL風の女性に目を付けた。
いかにも無害そうで質問に答えてくれるはずだと判断した長ぱちゅりーは慎重に話しかけてみることにした。
「え、ホワイトデー?もちろんお返し貰ったわよ。去年あげたのはたかが数百円の義理チョコだったんだけどねー
なーんか私に気があるのか異様に喜ばれちゃってねえー。
やっすいホワイトチョコあたりでお返しかと思ってたんだけど……見えるこの腕時計。ロレックスの特注品なの!
去年のホワイトデーはこんなすごい物もらっちゃった!あいつ私に気があるのかしら?
嬉しかったけどこれって三倍返しどころか万倍返しはされたんじゃないかしらねー。
ホワイトデーってほんと便利でいいわー……て、どうしたのあなた。なんか知らないけど顔がまっ青よ?」
目論見どおり確かにその女性はホワイトデーについて教えてくれた。
だが上機嫌で腕時計を見せびらかして自分語りをするOLと裏腹に、
長ぱちゅりーの顔はどんどん青ざめていく。ホワイトデーは確かに実在した。それも想像を遥かに越える代物であった。
「……ほわいとでーさんはほんとうにあるらしいわ。さんばいがえしっいじょうがふつうだって……むきゅ」
「ぞんなあああああああああっ!」
「ゆっぐじでぎないぃぃぃぃぃっ!」
「とかいばじゃないわぁぁぁぁっ!?」
「どぼじでぞんなごというのぉぉぉぉぉっ!?」
「うぞをいうぱちゅりーはゆっぐじじねぇぇぇぇぇっ!」
「ゆっぐりでぎないぃぃぃっ!ゆっくじざぜでぇぇぇぇぇっ!」
「ゆあ~~~~~んっ!なぁ~~にがゆっくりできないのぜぇぇぇぇぇっ!?」
「「「「「ゆうううううっ!?」」」」」
ホワイトデーは実在する!その相場は三倍から無限大と聞かされて嘆き喚くチョコを貰った組。
その泣き声を聞きつけてやってきたのは、チョコを要求された組のまりさ達である。
みんなどことなく人相がゲスっぽく歪んで見えるのは気のせいだろうか……
「なにがゆっくりできないのぜっ?まりさたちはすでにれいむたちをゆっくりさせてあげたのぜぇぇぇぇっ!?」
「そうだよー!さきにあいしてるならちょこれーとさんをよこせなんて、むちゃいいだしたのはそっちなんだよー!」
「ちょこさんをもらったいじょうは、そのおかえしするのがとうぜんっだみょん!」
「で、でぼ……!でぼごんなのやりすぎ…」
「ゆふん!ならべつにむりにおかえししてくれなくてもいいのぜ?」
「ゆっ!おかえししなくていいんだね!れいむがかわいいからゆるしてくれたんだよね!れいむかわいくてご」
「おかえししないってことは、まりさたちをあいしてないっていうたしかなしょうこなのぜ!
それならまりさにもかんがえがあるのぜ!りこんっだぜ!そのばあいれいむたちががぜんぶわるいんだから、
おちびもおうちも、まりさたちがいしゃりょうっとしてぜんぶもらうのぜ!
れいぶたちはそくざにでていくんだぜぇぇぇっ!」
「な、なにぞれぇぇぇぇっ!?」
「ぞれとごれとはかんげいないでしょぉぉぉぉぉっ!?」
「はああああああああっ!?おまえたちがさいしょにまりさたちにいったことばなのぜぇぇぇぇっ!?
まりさたちにあいのあかしとしてちょこれーとさんをようきゅうっしたくせに、
じぶんのばんになったらはいやだなんで、それこそふざけるんじゃないのぜぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
「ゆ、ゆぐぅぅぅぅっ!」
そう返されるとさすがに押しの強さに定評があるでいぶといえど反論できない。
もともと自分達が言い出したことなのだ。人間の決まりなんだから愛してるならチョコレートをよこせと。
ホワイトデーにお返しできなければ愛がないと見なされゲス扱いされて強制離婚、すべてを失ってしまう。
そんな事は自分を少しでもよく見せたいゲスどもにとって、とても耐えられない事だ。
「ゆ……ゆっ!れいむいいことをおもいついたよ!ほわいとでーさんのおかえしは、れいむのゆっくりできるおうたを
きかせてあげることでおかえしするよ!れいむあたまよくてごめんね!」
「そ、それならありすはとかいはなあい…いえこーでぃねーとでおかえしするわ!」
「むきゅ、ぱちゅはけんじゃなちえをぐみんのあなたたちにさずけることで…」
「ゆっくりぜんぶおことわりするみょん」
「そんなのみとめるわけないでしょー!ばかなのー?しぬのー?」
「「「「「どぼじでぞんなごというのぉぉぉぉぉっ!?」」」」」
「ばれんたいんさんのときに、まりさたちはおなじことをいったのぜ!ちょこれーとさんはむりだから
せめてなまごみさんでかんべんしてくれって!でもれいむたちはだんこきょひっしたのぜ!」
「ちょこれーとさんじゃなきゃぜったいにいやだっていったんだねー!おもいだしてねー!」
「みょんのおちびちゃんたちもほわいとでーさんのあまあまをたのしみにしているみょん!
だからおかえしはあまあまいがいみとめないみょん!」
「「「「「ぞ、ぞんなぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」」」」
長ぱちゅりーにありす、そしてでいぶ達はようやく絶望した。
そして嫌でも思い知らされた……自分達がいつのまにか追い詰められ詰み状態に陥っている事に。
そしてそれ以来、公園の群れの話題は完全にホワイトデーの話だけになった。
と、同時にお返しを迫られている番どもにとって群れは針のむしろ状態になった。
それは、もっともゆっくりできる地であるはずのおうちにいる時であっても変わらないのだ。
「おとうしゃん!ほわいとでーしゃんたのしみだにぇ!」
「まりちゃね!ましゅまろしゃんやほわいとちょこしゃんを、おなかぽんぽんになるまで
い~~ぴゃいむーしゃむーしゃしゅるのじぇ!」
「ゆふふっ……あんしんっするのぜ!ぼせいあふれるれいむおかあさんが、まりさにい~ぱいおかえししてくれるのぜ!
おかえしをもらったらもちろんおちびたちにも、い~っぱいわけてあげるのぜ!」
「ゆわーい!ゆっくりできりゅにぇえ!」
「おきゃあしゃん、はやくおかえしちてね!いっぱいでいいよ!」
「ゆ、ゆぎぎぎぎぎぎぎぎぃぃぃぃぃぃ………!」
まりさは別に狙って番にいやがらせしてるわけではないだろう。
ゲスな番と違って夫役の連中はほとんどが家族思いのゆっくりなのだ。
それに子供にもあまあまを分けてあげると言えば、子供は当然そっちになびく。
子供にチョコを分け与えるなどまったく考えずに貪り食ったツケが回ってきたといえようか。
おうちの中ですらもはやゆっくりできる状況ではなくなっていった。
「れいむ、おかえしのじゅんびはできてるのぜ?ほわいとでーさんはもうすぐなのぜ?」
「おきゃあしゃん、はやくあみゃあみゃをとっちぇきてにぇ!」
「まりしゃもうまちきれないのじぇ!あみゃあみゃ!あみゃあみゃ!」
「うるざぁぁぁぁぁいっ!しんぱいじなぐでもあまあまはちゃんとどっでぐるよ!
まいにちまいにちさいそくじないでよね!がわいいれいぶがゆっぐじでぎないでしょぉぉぉぉぉぉっ!?」
「おおっこわいこわい。でもきたいしているのぜ!かわいいれいむはあいするまりさたちをゆっくりさせてね!」
「させちぇにぇえ!(×2)」
「ゆ、ゆ、ゆがあああああああああああああああっっっっ!」
ゲスの思考回路は「自分だけがゆっくりできればそれでいい」である。
番も子供も所詮は自分がゆっくりする為の道具にすぎない。ゆえに当然そこに愛などない。
愛などチョコレートという極上のあまあまを番に献上させる為の方便程度の認識しかないのだ。
夫や子供にゆっくりさせてね!と当然のことを言われただけでキレかかっているいのがいい証拠といえる。
だがれいむ種は(自称)母性愛にあふれるゆっくりである。そしてその無駄に高いプライドが今試されている。
本当にそこに愛があるのならホワイトデーで沢山お返しできるはず……と
愛している(つもり)の番に突きつけられている。
だからもうここまできたら意地の問題だ。
どんな手段を使ってでも大量のあまあまを手に入れて己の愛情を示さなくてはならない。
あんなチンケな量のチョコレートよりも、もっと大量のあまあまを持ってきて愛を示せば……
ホワイトデーさえ乗り切りればまた立場が逆転するはずだという打算もある。
大量のあまあまを突きつけてお返しすれば逆にそれを事あるごとに使って恩を着せられる。
まりさに子供たちは以後、完全にれいむの奴隷となり死ぬまでこき使える……という意地汚い打算。
だが世の中はそうそうゲスの思い通りにはならない。
野良ゆっくりにホワイトチョコレートだの、マシュマロだの、クッキーだのを入手する手段など基本的にないのだ。
となれば自然とそれらを手に入れる為には、かつてのまりさ達のように手段など選んでいられないわけで……
ホワイトデーが近付くにつれ、チョコを貰った番どもは次第に発狂していった。
「ちょござん!ぐっぎーざん!ゆっぐりじないででてきでねぇぇぇぇっ!?」
「どぼじでどごにもあばあばがないのぉぉぉぉぉっ!?ごんなのとかいばじゃないわぁぁぁぁっ!」
「さかなのほねさんじゃだめなのよぉぉぉぉっ!おでがいだからあまあまざんでてきてちょうだいぃぃぃぃっ!」
必死こいて公園のゴミ箱やゴミ集積所を漁る者……
「おいぐそじじいぃぃぃぃっ!あまあまもっでるだろぉぉぉぉっ!ぞれをれいぶによごぜぇぇぇぇぇっ!」
「けんじゃなぱちゅがこまってるのよぉぉぉぉっ!あまあまをけんじょうっじなざいぃぃぃっ!」
「がわいいでいぶがごまっでるんだぞぉぉぉっ!はやぐじろぉぉぉぉぉっ!」
公園に来た人間を恐喝する者……
「ゆっぐりのひー!まっだりのひー!おうだをうだっであげだんだからあばあばおいてっでねぇぇぇぇぇっ!?」
「ゆがあああっ!ただぎきはゆるざないぃぃぃぃぃっ!せいさいっずるよぉぉぉぉぉっ!」
おうたを歌ってあまあまを貰おうとする者……
「ね、ねえみんな……にんげんさんにちかづくのはむれのおきてできんじられてるのよ?だ、だからそれいいじょうは…」
「うるざいよ!やくにだだないおさはだまっででねぇぇぇぇっ!」
「ありずはいまりこんっのききなのよ!おきでがいまざらなんだっでいうのぉぉぉぉっ!?」
「だいたいおざがばれんだいんざんなんて、へんなごとをれいぶたちにおしえたがら
こんなごとになっだんだろぉぉぉぉっ!」
「やぐにだだないおさはひっごんでろぉぉぉぉっ!」
「ゆがあああああっ!あばあばっ!あばあばはどごにあるんだぁぁぁぁぁっ!?」
「む、むきゅぅぅぅぅぅ……」
トチ狂った群れのゲスどもにはもう掟などなんの抑止力にもならない。
掟破りを制裁しようにも現在群れがまっ二つに割れてしまい、とても制裁できる人員が確保できないのだ。
片方はあまあま探しに狂い、片方はお返しに胸膨らませつつ静観している。
どちらも長ぱちゅりーの言うことなど聞きそうにない。
しかもそもそもの原因は長ぱちゅりーが得意げになって群れのゆっくり達に余計な知恵をつけたからだ。
この流れを作ったのは他でもない長ぱちゅりーである。ならば何も言えない。言う資格はない。
群れにおける長の発言力は完全に地に落ちた。
「うわっ……なんなんだこいつら?」
「この公園の野良ゆっくりは人間に迷惑をかけないって聞いたのに……幻滅」
「ちっ、これじゃおちおち昼飯も食えやしねえな。もういいや他所で食おっと」
「もう公園に子供を連れて遊びにこれないわね……ふう」
「までぇぇぇぇぇっ!くそにんげんにげるなぁぁぁっ!あばあばおいでいげぇぇぇぇぇっ!」
「ゆっぐじざぜろっていっでるでしょぉぉぉぉぉぉっ!?ばかなのっ!じぬのぉぉぉぉぉっ!?」
「ゆっぐじ!ゆっぐじぃぃぃぃぃっ!」
そして公園は野良ゆっくりによる無法地帯と化す。
群れの掟で禁忌となっているゴミ箱や公園を荒らさない、人間に物乞いしない、おうたを歌わない等はすべて破られた。
お返しを待ってる連中は止めるどころかそんな番どもの必死な姿を見てニヤニヤしている。
善良ぶっていてもそこはやはりゆっくり。他者を見下してゆっくりするという行為に優越感を感じているのだろう。
刻々と迫るホワイトデー。かつて自分達がやられたように露骨にお返しのあまあまをせびる夫役連中。
自分の安いプライドを守らんが為に、必死にお返しのあまあまを調達しようとするその番連中。
群れが大変な事になっているというのに何もできずに唖然と見守るだけの長ぱちゅりー。
次第に公園に訪れる人間は激減していった。
そして……遂に3月14日。ホワイトデーがやってきた。
「きょうはたいぼうっのほわいとでーさんなのぜっ!」
「あまあまをい~っぱいむーしゃむーしゃできるんだねー!わかるよー!」
「れいみゅもむーちゃむーちゃしゅるよ!」
「おきゃあしゃん!はやくおかえしちてにぇ!はやきゅ!はやきゅぅぅぅ!」
「もうまちきれないんだみょん!そろそろあまあまぱーてぃーをはじめようみょん!」
「「「「「ゆ、ゆぅぅぅぅ……」」」」」
この日、群れの広場にこの群れのゆっくりすべてが集合していた。
いっそ群れ全ゆんで盛大にホワイトデーに、あまあまパーティーをやろうと誰かが言い出した為にこうなった。
現在この広場にいる野良ゆっくりは大きく分けて二種類いる。
ホワイトデーのお返しに浮かれまくってるゆっくり達……に対して顔色が優れないゆっくり達。
そしてもはやすべてを諦めて状況を見守っている長ぱちゅりー。
もはや明白だ。この番連中の顔色を見ればもうこれは……
あまあまの用意ができたのかなど、もう議論の余地などなく明白。
タイムアウト……!猶予の時は過ぎ去った。後は好む好まざるにかかわらず……審判の時……!
「さあ!いよいよおたのしみっのおかえしたいむなのぜ!さっそくおかえしのあまあまをちょうだいね!なのぜ!」
「ちょうだいにぇえ!」
「おかえしはほわいとちょこさんかなー?くっきーさんなのかなー?」
「はやくだすみょん!すぐでいいんだみょん!」
「あみゃあみゃ!あみゃあみゃ!」
待ってましたとばかりにあまあまの催促を始めるまりさ達。
お返しのおこぼれを期待している子ゆっくり達もすかさず便乗して母親に催促する。
しかし番連中はその催促に答えない。動くこともない。
しばらく不気味な沈黙を守り……やがて…
「ゆゆ~~っ?なんのおはなし?ほわいとでーさんってなんのこと?」
「……ゆっ?」
「おかえしってなんのことかしら?とかいはなありすにはさっぱりわからないわっ?」
「いきなりわけのわからないことをいうなんて、まりさたちはほんとゆっくりしてないね!」
「さっさときょうのおしごとにいきなさいよ!」
「お、おちびちゃんもへんなこといってちゃだめよ!りっぱなけんじゃになれないわ!むきゅっ」
「…………なっ!?」
なんと、れいむ達はお返しのあまあまを渡すわけではなく。
かといって懸命の謝罪をするわけでもなく。
ホワイトデーなど知らないと完全にすっとぼけてシラをきる作戦にうって出た。
いかにも現実から目を背けるのが得意なゆっくりらしい作戦ではある。
が……やはりそんな事で都合よくとぼけて済ませられるほど現実は甘くはない。
れいむ達のすっとぼけに最初まりさ達は頭がまっ白になり唖然となった。
だが時間の経過とともにだんだん思考が追いついてくる。
ある感情とともに……誠意なき態度に覚えるのは激しい怒りだけである。
まりさ達の怒りはすぐに爆発した。
「はあああああああああっ!?ふ、ふざけるんじゃないのぜぇぇぇぇっ!」
「いまさら、しらないふりなんてつうじるわけないだろぉぉぉぉっ!わがらないよぉぉぉぉぉっ!」
「ゆ、ゆゆっ?な、なにをそんなにこうふんっしてるの?いきなりおこりだすなんてまりさはばかなの?し…」
「ゆがああああああっ!おばえがじねぇぇぇぇぇっ!」
「ゆべしっ!?」
激高したまりさが、あくまでもすっとぼけようとしたれいむに向かって体当たりをした。ふっとぶれいむ。
食い物の恨みは恐ろしい。それもさんざん期待させられた末に裏切られたとなればその恨みは倍増どころではない。
だが……それでも。それでももしれいむ達が誠実に平謝りに謝ればまだ許してもらえたかもしれない。
その可能性は確かにあった。だが不誠実にすっとぼけて済まそうとした時点でその芽も完全に消えた。
ならば後に残されたのはもう制裁しかない。制裁という名の暴力の嵐しかない。
「ふざげるなっ!ふざげるなぁぁぁぁっ!」
「ゆべっ!や、やべ……やべでぇぇぇぇっ!たいあたりざんはゆっぐじでぎないぃぃぃぃぃっ!」
「きょうはほわいどでーさんだろぉぉぉっ!あばあばのをおかえしずるひだろぉぉぉぉっ!?
すっとぼけるんじゃないんだぜぇぇぇぇっ!」
「じ、じらない!ほわいとでーざんなんでれいぶじらっ!じらないよぉぉぉぉっ!」
「ゆがああああっ!まだいうがぁぁぁぁぁっ!ごのぐぞでいぶがぁぁぁぁぁっ!」
「や、やめなさいこのいなかものっ!せいさいっなんてとかいはじゃないわっ!」
「だっだらおかえしをよこすみょん!あまあま!あまあまをいますぐよこすんだみょぉぉぉんっ!」
「そ、そんなこといわれても……」
「だっだらせいさいっじでやるよぉぉぉぉっ!くいもののうらみだよぉぉぉぉっ!わがれよぉぉぉぉぉっ!」
「ゆぼぉぉぉっ!?……ぞ、ぞんなごといわれだっで!あばあばなんてどごにもながったんだよぉぉぉっ!」
「おかえしじたぐでもできないんだがら、じがたないでじょぉぉぉぉっ!?」
「ふざげるなよぉぉぉっ!いまざらそんないいわけでゆるせるわげないだろぉぉぉぉっ!」
「せいさいっだぁぁぁぁっ!ごのげすどもがぁぁぁぁぁっ!みんなえいえんにゆっぐりざぜてやるぅぅぅぅぅぅっ!!」
案の定たちまち広場は盛大な処刑場と化した。
食い物の恨みによる怒りはまりさ達に勢いと力を与える。
いくら押しの強いでいぶやありすといえどさすがにその勢いには勝てないだろう。
その証拠にそこらかしこで次々とれいむやありす、ぱちゅりーがなんの抵抗もできずに潰されていく。
そうだ、本当はまりさ達だってバレンタインの時にチョコレートを食べたかったのだ。
それをゆっくりにとしては驚異的なほどの忍耐……我慢をして番にチョコを全部あげたのは、
ホワイトデーまで耐えさすればもっともっとたくさんのあまあまを食べれるという慰めと希望があればこそ。
ゆえにその反動からくる怒りは恐ろしい。食い物の恨みは本当に恐ろしい。
「じねっ!じねっ!じねぇぇぇぇぇっ!」
「あ、あばあばなんかあげなぐっだって、れいぶのあいはうみよりもふかいんだよぉぉぉっ!?
どぼじでそれがわがらないのぉぉぉぉっ!?」
「うるざぁぁぁぁぁいっ!あいじでるならちょこれーどさんをよこせといったおばえが、
どうじていまさらぞんなごとをいえるんだぁぁぁぁっ!」
「ぞ、ぞれは……!う、うるざいよぉぉぉっ!ごちゃごちゃいわずにまりざはれいぶをゆっくじざぜ……ゆべえっ!?」
「じねっ!ごろずっ!ごろずっ!ごろずぅぅぅぅぅっ!」
「や、やべ……ゆぶぅぅぅっ!れいぶのうえで……ぴょんぴょんじな……ゆびぃっ!?も、もっとゆっぐじ…」
「ちね!ちねぇぇぇっ!」
「きゃわいいれいみゅにあみゃあみゃをくれにゃい、くずおかあしゃんはいますぐちんでにぇえ!」
「や、やべでぇぇぇ……おがあざんはちぇんにやられで、もううごげないんだよぉぉぉ……?」
「うるさいよくず!きゃわいいまりちゃがゆっくちせいさいっちてやるから、かんしゃしゅるんだじぇ!」
「おまえがちんだらそのかおにれいみゅのうんうんをかけてあげるよ!ゆっくちかんしゃちてにぇえ!」
「「げらげらげらっ!」」
「ど、どぼじてぇぇぇ……?どぼじてごんなごとにぃぃぃぃぃ………!」
大人のゆっくりに既に制裁され、虫の息のれいむが自分の子供達に体当たりされている。
子ゆっくりとて食い物の恨みは変わらない。その恨みは殺意に変わり実の母親といえど容赦はない。
このれいむは我が子にトドメを刺されて死んだ。いかにもゲスらしい最後である。
「む、むきゅぅぅぅぅ……な、なんなのこれ?なんなのこれ………!?」
長ぱちゅりーは目の前で起きている地獄絵図をガタガタ震えて見てるだけしかできなかった。
止めに入るなどとてもできない。もしそんな事をしたら長ぱちゅりーも制裁の対象にされてすぐに殺されるだろう。
だが止めに入らなくても制裁されるのは早いか遅いかの問題でしかない。
気がつけば怒りにまかせたまりさ達は番どもをすべて殺し終わっていたからだ。
そのまりさ達の目が一勢に最後に残った長ぱちゅりーに向けられる。そうまだ制裁は終わっていない。
こうなったすべての元凶がまだ残っているではないか……
「おさぁぁぁ……あとはおばえだけなのぜぇぇぇぇっ!」
「む、むきゅぅぅぅぅぅっ!?」
「わがるよー……おささえよけいなごとをいわなければ、こんなことにはならながっだんだねー!」
「ゆひひひひっ!でいぶも!れいぱーも!もりけんも!みんなみんなまりざたちがせいさいっじだのぜぇぇぇっ!
つぎのおさはまりざがなってやるからあんしんっしてじんでねぇぇぇぇっ!」
「むきゅぅぅぅ……!エ、エレエレエレ……」
もはやみんな狂っていた。何が正しかったのか何が間違っていたのかなどもはやどうでもいい。
期待、失望、怒り、悲しみ、ありとあらゆる負の感情に焼かれた群れのゆっくり達は
もはや完全に正常な判断を失っていた。あるのはやり場のない憤り……狂気しかなかった。
あまりの恐怖に思わず生クリームを吐いてしまう長ぱちゅりー。
そしてそんな死にかけ長ぱちゅりーを制裁せんとまりさが飛びかった。と、その時……
「げすぱちゅりーはゆっくりじねぇぇぇぇ!……ゆべろぉ!?」
「はいはい。ゆっくりゆっくり」
「む、むぎゅぅぅぅぅぅっ!?」
狂ったまりさがあっさりと潰された。
後ろから人間の足で。全力で踏み潰された。それはあまりにもあっけない最後であった。
長ぱちゅりーと残りのゆっくり達は、思いもかけない事態に思わず声がした方向を振り向く。
そして見た。何人もの人間がそこにいることを……その人間達は普段よく見かける公園利用者などではない。
彼らは野良ゆっくり達がよく知っている種類の人間だった。
そしてできる事なら一生関わり合いになりたくない人間だった。
そう……この作業着を着た人間たち、それはつまり……
「「「「「か、かこうじょだぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」」」」」
「おい残りはここにいる奴らだけのようだ。さっさと全部潰して片付けるぞー」
「ういーす」
「ど、どぼじてぇぇぇっ!?どぼじてがごうじょがごごにいるのぉぉぉぉぉっ!」
「どうしてってお前……そりゃ一勢駆除だからここにいるに決まってるだろ」
「ゆ、ゆげえええええええっ!?」
「あまり無駄な時間はかけたくないんだ。だからさっさと死んでくれ、な?」
「ゆぶべぇっ!?」
またしても長ぱちゅりーの前で虐殺が行われていた。
まったく抵抗できない残った群れのゆっくり達をいとも簡単に潰し、死体をゴミ袋に入れていく。
それだけではない、他の加工所職員の手によって群れのおうちも壊され次々と破棄されていく。
ある日、なんの前触れもなく、無慈悲に、群れのゆっくり全ゆんの命と財産が残らず奪われていく……
これが一勢駆除。野良ゆっくりがもっとも恐れる最悪の事態である。
「ど、どぼじで!?どぼじでみょんたちがくじょっされなければいげないんだみょんっっっ!?」
「わがらないっ!わがらないよぉぉぉぉぉっ!ちぇんたちはしずがにぐらじでいただげなのにぃぃぃぃっ!」
「れいみゅ、にゃにもわるいことちてにゃいよぉぉぉぉぉっ!」
「む、むきゅ……に、にんげんざん?どうして……どうしてごんなことひどいごとずるの……?」
理不尽。一方的に殺され奪われていく野良ゆっくり達にとってはあまりに理不尽すぎるこの仕打ち。
せめて死にゆく理由ぐらいは知りたい。なんで殺されるか分からないまま死ぬなんてゆっくりできない。
そういう思いがつい口からでた「どうして」。
しかしこんな野良ゆっくりの質問など職員は普通は答えない。
普通は無視するのが当たり前だが……駆除班のリーダーらしき男が珍しくその問いに答えた。
「どうしてって?静かに暮らしていただけ?……平気で嘘つくなよ。公園に来た人間にさんざん迷惑かけてきたくせに」
「ゆううううっ!?」
「公園利用者から苦情が山ほどきているんだよ。人間に対して乞食をする、暴言を吐く、ゴミを漁る、
これだけさんざんやっといてなにも悪いことしてないなんてよく言えるな」
「ち……ちがうっ!ぞれはでいぶたちがかってにやったごとなんだぜ!まりさたちは…」
「止める義務があるだろ。群れのゆっくりが人間の対してバカやらかそうとしたら群れ全員で止める義務がよ」
「あ……あああああっ!」
番の連中が人間に対して迷惑をかけている事はもちろんみんな知っていた。
だがまりさ達にその行為を止めようという気は毛頭なかった。
おうちで普段偉そうにしているでいぶ達があまあまを手に入れようと必死こいてる姿を見るのはゆっくりできたからだ。
そのゆっくりが、その優越感が群れの掟を今の今まで完全に忘れてさせてた。
それにかつて自分達もチョコレートを手に入れる為に掟破りの乞食をした事もあったので、
それで自分達にお返しする為のあまあまが手に入るんならいいじゃないかと、なおさら止める気が起こらなかった。
「人間に迷惑をかける野良ゆの群れはこの公園に必要ない。人間に迷惑さえかけずにきちんと仕事をしていれば
ここに住むことを黙認してやるという約束だっただろ」
「ゆ……ゆあ、ああああ……ご、ごべんなざいぃぃぃ……ゆっくじ!ゆっぐじはんせいっじまじだぁぁぁぁ」
「もうにんげんざんにめいわくがげまぜん!おきてもまもりまず!だがらっ!だがらくじょっ!くじょだげはっ!」
「ダメだね。この公園に住みたいという野良は他にも沢山いるんだ、ゲスばかりで掟も守れない群れはここで消えてもらう」
「ぞ、ぞんなあああああああああっ!」
「これでとりあえず説明責任は果したからな。じゃあお前ら面倒がないように潔く死んでくれ」
「や、やだっ!じにだぐないっ!じにだぐないよぉぉぉぉっ!」
「ゆんやああああっ!どぼじでごんなごとにぃぃぃぃぃぃっ!?」
「もっどゆっぐりじだがっだぁぁぁぁぁぁっ!」
「あばあばっ!あばあばっ!あばあばぁぁぁぁぁぁっ!」
「ごんなのっでないよぉぉぉぉぉっ!おがえじでゆっぐりでぎるはずだったのにぃぃぃぃぃっ!」
「む、むきゅぅぅぅぅっ!エレエレエレ………!も、もっど……ゆっくり…」
その後は坦々と作業である。
加工所職員はゆっくりどもの言葉にもう耳を傾けなかった。
ただ潰して捨てる、それだけである。30分後にはその公園にゆっくりが住んでいたという痕跡はすべて消えた。
「うーし、んじゃ徹収すんぞー」
「それにしても先輩、今回は楽に終わってよかったっスね」
「まったくだ。駆除しようとしたらいきなり群れ全体で盛大な同士討ちを始めたからなあ」
「しばらく様子を見て生き残った連中だけを潰せばよかったですしね」
「だな。しかしこの群れもなにをトチ狂ったのか……お返しとかわけのわからん事をほざいてたが」
「ゆっくりの言うことに意味なんて求めちゃダメっスよ。どうせたいした意味なんてないんだから」
「……そうだな」
加工所駆除班はあっという間にすべての作業を終えて帰っていく。
こうして公園の群れはあっけなく完全に消滅した……
だがそのうちどこからか野良ゆっくりが現れて、住みつき、また群れを作るだろう。
それでまた元通りだ何も問題はない。
……とまあこのように人間の文化であるバレンタインもホワイトデーも野良ゆっくりには過ぎた代物である。
この群れのゆっくり達は最後までそれが分からなかった。
だから滅んだ……自業自得としか言いようのないあまあま狂想曲の果てに。
ゆえに野良ゆっくりは長生きがしたければバレンタインなど知る必要はない。
身分不相応にチョコレートなど欲しがってはいけないのである。
そうバレンタインなどというロクでもないイベントはこのようにかくも有害なのだ。
いっそ滅びてしまえばばいいのに……