ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko1317 売れるゆっくりを開発せよ!! まりさつむり量産計画Ⅰ
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ankoss
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『売れるゆっくりを開発せよ!! まりさつむり量産計画Ⅰ』
『売れるゆっくりを開発せよ!! プロローグ』の続きです
「では…これで会議を終わります」
加工所の会議室にて社長も同席した会議が終わった。
「俺が担当するのは…若干楽な方かな」
会議の内容は"売れるゆっくりを開発せよ"というものだった。最近ちょっとしたペットゆっくりブームなのだ。
だがブームというのはすぐに去ってしまうもの。特に単純な構造で、動く饅頭に過ぎないゆっくりに関するブームなどあっという間だろう。
一般的に消費者というのはより良いものよりもより新しいものに惹かれやすいという。高い品質の製品が生き残るとは限らないのだ。
ペットゆっくりブームを少しでも長く続かせ利益を得るためには新しいゆっくりを定期的に投入することが一番の方法である。
余談だが最近新興企業であったセルス商会が新たに"未熟児ゆっくり"なるものを開発、販売した。
売れ行きは順調であり赤ゆっくりよりも虐待のし甲斐があると一部の虐待鬼意山が鞍替えをしてしまった。
最早新ゆっくり開発競争は始まっているのだ。加工所も早急に手を打つべきである。
「期待しているよ。頑張ってくれたまえ」
社長はそう言って会議室を後にした。
「ゆっくりだったらなんでも出来ちゃいそうだが…上手くいくもんかね?」
「さぁ?下手したら目指していたものと違うゆっくりが出来上がりそうだがな」
「俺はどうもあんなものをペットにする奴の気が知れないよ…」
今回このプロジェクトを任されたリーダーが3人。つまり3種類の新ゆっくりを開発するのだ。
「つむりは一応売ってるよな」
「"量産計画"っていうくらいだからな。こっちは"開発計画"になってやがる…」
「そう簡単に言うなよ。ありゃ奇跡の生き物だからな」
「つむり班が一番早く実現しそうだな」
「成功したらこっち手伝ってよ。色々考えてるんだがどうしたものか…見当がつかん」
1つ目のプロジェクトは"まりさつむりを量産計画"である。実はまりさつむりはペットショップで既に販売されているのだ。
だが流通している数は極めて少ない。全国で1年に50匹に届かないのだ。しかし数に反してその人気は凄まじい。
ペットショップで販売される際は抽選形式を取っている。数百人くらいが応募し当選は1人だけ。値段は10万円ジャストと高値だ。
ペットショップで販売されているゆっくりで最低ランクは銅ゆっくりの数百円。銀ゆっくりで数千円。最高ランク金ゆっくりで数万円だ。
値段だけ見てもまりさつむりがどれだけ高価なゆっくりであるかが分かる。そもそもまりさつむりとはどんなゆっくりなのだろうか。
まりさつむり、まりさの名が冠されているように基はまりさ種だ。まりさ種と言えば金髪に黒い帽子を被った腕白で小生意気なゆっくりだ。
ゆっくりの代名詞でもある。このまりさつむりも金髪だが帽子の代わりに貝殻を被っている。貝殻を取れば普通のまりさと全く同じだ。
本来はまりさ種の亜種らしい。亜種、というとあまり良いイメージがわかない。事実まりさつむりは悪魔の子として殺される群れもある。
大抵の群れでは物凄くゆっくりした存在としてアイドル的な扱いを受けるらしい。だがそれが続くのは群れが裕福なときだけだ。
群れが貧しくなれば全く相手にされない。自分が生きていくことで精一杯で他のゆっくりに構ってる暇がないのだ。
しかしまりさつむりはその頃にはちやほやされたり与えられることが当たり前だと思ってるゲスなゆっくりになっている。
結果周りから疎んじられ迫害される。野良ではまりさつむりが天寿を全うすることはほとんど無いという。
ではなぜそんなまりさつむりが人気なのだろうか。1つは珍しさである。希少価値が高いということだ。もう1つはその大きさにある。
実はまりさつむり、大人になっても小さいままなのだ。大きめの成体まりさつむりで通常の子ゆっくりサイズだ。
通常のまりさ種の飾りである帽子は本体の成長とともに大きくなる。帽子は小麦粉で出来ており饅頭である本体と共に成長していくのだ。
一方まりさつむりの飾りである貝殻は小麦粉ではなく本物の貝殻なのだ。質量も貝殻そのものだ。
貝殻の主成分はカルシウムだがゆっくりがカルシウムを作り出すとは考えられない。つまり飾りの貝殻を成長させることが困難なのだ。
ゆっくりの命の次に大切な飾りが成長しなければ本体が成長しにくいと考えられている。
また飾りの大きさが変わらないのであれば本体が成長してしまうと貝殻を被ることが出来なくなってしまう。
ヤドカリのように自分の大きさに合った貝殻と交換するようなことはしない。生まれたときに被っている貝殻を生涯被り続けるのだ。
ちなみにまりさつむりは胎生型妊娠でないと生まれない。植物型妊娠で茎から貝殻が実るなんて奇妙奇天烈極まりない。
さて、小さいということは飼い主にとってメリットだ。まず餌は少量でいい。場所も小さくて済む。
しかもまりさつむりは帽子よりもずっと重い貝殻を被っているためあまり動けないのだ。動き回って家のものを壊すことも無い。
加工所名物透明な箱の中にいれておけば充分。外に出せなどとは言わない。動かないから体力も無い。
結果まりさつむりは内気で大人しいゆっくりとなる。…はずなのだが基がまりさ種であるため甘やかし過ぎるとゲスになる。
飼い方を間違えなければ大人しく、ペットとしては理想的である。
加工所の会議室にて社長も同席した会議が終わった。
「俺が担当するのは…若干楽な方かな」
会議の内容は"売れるゆっくりを開発せよ"というものだった。最近ちょっとしたペットゆっくりブームなのだ。
だがブームというのはすぐに去ってしまうもの。特に単純な構造で、動く饅頭に過ぎないゆっくりに関するブームなどあっという間だろう。
一般的に消費者というのはより良いものよりもより新しいものに惹かれやすいという。高い品質の製品が生き残るとは限らないのだ。
ペットゆっくりブームを少しでも長く続かせ利益を得るためには新しいゆっくりを定期的に投入することが一番の方法である。
余談だが最近新興企業であったセルス商会が新たに"未熟児ゆっくり"なるものを開発、販売した。
売れ行きは順調であり赤ゆっくりよりも虐待のし甲斐があると一部の虐待鬼意山が鞍替えをしてしまった。
最早新ゆっくり開発競争は始まっているのだ。加工所も早急に手を打つべきである。
「期待しているよ。頑張ってくれたまえ」
社長はそう言って会議室を後にした。
「ゆっくりだったらなんでも出来ちゃいそうだが…上手くいくもんかね?」
「さぁ?下手したら目指していたものと違うゆっくりが出来上がりそうだがな」
「俺はどうもあんなものをペットにする奴の気が知れないよ…」
今回このプロジェクトを任されたリーダーが3人。つまり3種類の新ゆっくりを開発するのだ。
「つむりは一応売ってるよな」
「"量産計画"っていうくらいだからな。こっちは"開発計画"になってやがる…」
「そう簡単に言うなよ。ありゃ奇跡の生き物だからな」
「つむり班が一番早く実現しそうだな」
「成功したらこっち手伝ってよ。色々考えてるんだがどうしたものか…見当がつかん」
1つ目のプロジェクトは"まりさつむりを量産計画"である。実はまりさつむりはペットショップで既に販売されているのだ。
だが流通している数は極めて少ない。全国で1年に50匹に届かないのだ。しかし数に反してその人気は凄まじい。
ペットショップで販売される際は抽選形式を取っている。数百人くらいが応募し当選は1人だけ。値段は10万円ジャストと高値だ。
ペットショップで販売されているゆっくりで最低ランクは銅ゆっくりの数百円。銀ゆっくりで数千円。最高ランク金ゆっくりで数万円だ。
値段だけ見てもまりさつむりがどれだけ高価なゆっくりであるかが分かる。そもそもまりさつむりとはどんなゆっくりなのだろうか。
まりさつむり、まりさの名が冠されているように基はまりさ種だ。まりさ種と言えば金髪に黒い帽子を被った腕白で小生意気なゆっくりだ。
ゆっくりの代名詞でもある。このまりさつむりも金髪だが帽子の代わりに貝殻を被っている。貝殻を取れば普通のまりさと全く同じだ。
本来はまりさ種の亜種らしい。亜種、というとあまり良いイメージがわかない。事実まりさつむりは悪魔の子として殺される群れもある。
大抵の群れでは物凄くゆっくりした存在としてアイドル的な扱いを受けるらしい。だがそれが続くのは群れが裕福なときだけだ。
群れが貧しくなれば全く相手にされない。自分が生きていくことで精一杯で他のゆっくりに構ってる暇がないのだ。
しかしまりさつむりはその頃にはちやほやされたり与えられることが当たり前だと思ってるゲスなゆっくりになっている。
結果周りから疎んじられ迫害される。野良ではまりさつむりが天寿を全うすることはほとんど無いという。
ではなぜそんなまりさつむりが人気なのだろうか。1つは珍しさである。希少価値が高いということだ。もう1つはその大きさにある。
実はまりさつむり、大人になっても小さいままなのだ。大きめの成体まりさつむりで通常の子ゆっくりサイズだ。
通常のまりさ種の飾りである帽子は本体の成長とともに大きくなる。帽子は小麦粉で出来ており饅頭である本体と共に成長していくのだ。
一方まりさつむりの飾りである貝殻は小麦粉ではなく本物の貝殻なのだ。質量も貝殻そのものだ。
貝殻の主成分はカルシウムだがゆっくりがカルシウムを作り出すとは考えられない。つまり飾りの貝殻を成長させることが困難なのだ。
ゆっくりの命の次に大切な飾りが成長しなければ本体が成長しにくいと考えられている。
また飾りの大きさが変わらないのであれば本体が成長してしまうと貝殻を被ることが出来なくなってしまう。
ヤドカリのように自分の大きさに合った貝殻と交換するようなことはしない。生まれたときに被っている貝殻を生涯被り続けるのだ。
ちなみにまりさつむりは胎生型妊娠でないと生まれない。植物型妊娠で茎から貝殻が実るなんて奇妙奇天烈極まりない。
さて、小さいということは飼い主にとってメリットだ。まず餌は少量でいい。場所も小さくて済む。
しかもまりさつむりは帽子よりもずっと重い貝殻を被っているためあまり動けないのだ。動き回って家のものを壊すことも無い。
加工所名物透明な箱の中にいれておけば充分。外に出せなどとは言わない。動かないから体力も無い。
結果まりさつむりは内気で大人しいゆっくりとなる。…はずなのだが基がまりさ種であるため甘やかし過ぎるとゲスになる。
飼い方を間違えなければ大人しく、ペットとしては理想的である。
「チーフ、まりさつむりはどうやって生産してるんですか?」
つむり量産計画を任された男性は部下と早速議論していた。
「そうか…。シークレットだったな。じゃあ今から見に行くか」
「今からですか?」
「ああ、地下の"牧場"で作ってるよ。実は俺も…赤つむりを見たことないんだわ」
彼は部下を連れて加工所地下へ向かった。
「どうしてシークレットなんですか?」
「見れば分かるよ」
加工所の地下室に着いた。地下室は薄暗くとても大きかった。
「ゆっくちちていっちぇにぇ!!」
「ありちゅはありちゅよ!ちょきゃいはでしょ!」
「まりちゃはあみゃあみゃがたべちゃいんだじぇ!!」
至る所から赤ゆっくりの声が聞こえる。ここは赤ゆっくりを生産する場所なのだ。だから"牧場"と呼ばれている。
この中で形のいいものを選抜し教育させる。優秀なゆっくりはペットショップで販売されることとなる。
その他は研究用や食料品、虐待用に回される。母体がペットショップで売れ残ったゆっくりであるため赤ゆっくりの程度は高が知れている。
この牧場からペットショップへ行けるのはほんの一握りに過ぎないのだ。
「ここだよ。この部屋の中だ」
関係者以外立ち入り禁止と書かれたドアが開かれた。
「ぼ…ぼうやぢゃあああぁぁ!!!!おうぢがえじでええぇぇ!!!!」
「いづまでうべばいいのおおおぉぉ!!!!!?ぼうあがぢゃんうびだぐないぃ!!!!」
「ゆっぐりさぜでえええぇぇ!!!!ゆっぐりじだいよおおおぉぉ!!!!」
「ゆぁぁぁぁ!!!ばたうばれぢゃっだぁぁぁ!!!」
ゆっくりの悲鳴が聞こえてきた。部屋の中は異様な光景だった。
「何ですか…これ?」
「まりさしかいねぇ…何匹いるんだ?」
部下がざわめいた。部屋の中には成体まりさがずらっと3列に並んでいた。
「1、2、3……20。それが3列で60匹ですか」
「あれ?こいつら固定されてますね」
「この箱は何ですか?……おっと…」
まりさは台の上に乗せられていた。逃げ出せないように金具で固定されている。そしてまりさの下には箱が置いてあった。
「ゆっきゅち!ゆっきゅち!!」
「まりちゃはまりちゃだよ!!」
「おきゃあしゃんはどきょ?しゅりしゅりちたいよ!!」
箱の中には赤まりさがいた。今現在も赤まりさがどんどん誕生している。
「大体分かったでしょ。どうやってまりさつむりを生産しているか」
「ええ。とにかくたくさん産ませてその中から見つけると……。やっぱり精子餡もまりさの…」
「そういうことだ。ほら、見てみな。額が焦げてるだろ?植物型妊娠ができないように燃やしたんだよ」
「確かに外部には発表できませんね。こうやって生まれてきたゆっくりだと知ったら応募者も減るかもしれませんね」
「あの…。つむりは亜種で中々生まれないから流通量が極めて少ないという噂は……」
「噂じゃなくて事実だよ。今ここにいる60匹が何回も何回も赤まりさを生んでその中につむりが何匹いると思う?」
「1ヶ月で…1匹くらいですか?」
「甘いな。1ヶ月に1匹生まれたら超ラッキーだよ。1年ぐらい生まれなかった時もあるしね。この牧場だと1年で3~4匹だな」
「つむり同士で交尾させてもダメなんですか?」
「ダメだったよ。体が小さいし体力も無いし。子供作るほど丈夫じゃないんだ。折角生まれた子も普通のまりさだったし」
「本当に奇跡なんですね」
「饅頭が貝殻作り出すんだぜ。普通に考えればありえない話さ。…もっとも饅頭が動いたり話したりするのもありえない話なんだが」
「ここのまりさはどこから調達したんですか?何か特別な処置がしてあるとか…」
「何もしてないよ。田舎から健康そうなのを集めてきただけだ。売れ残りより野良の方が生んでくれそうな気がしてね」
こうしている間にも赤まりさはどんどん生まれていった。段々赤まりさと親まりさの声が五月蝿くなってきた。
「ゆぎぃっ!!!ゆぎぃぃぃ!!!!う…うばれるぅっ!!!!」
「ぼうゆるじぢぇええぇぇ!!!あがぢゃんうびだぐないいぃ!!!うびだぐないぃ!!!!」
「いやあああぁぁ!!!!!ばりざには…でいぶがいるのにいいぃぃ!!!!!おうぢがえじでよおぉぉ!!!!」
「ゆっくちちていっちぇね!!」
「おにゃかしゅいちゃぁ…なにかたべちゃいよ!!」
「おきゃあしゃんはどきょにいりゅの?まりちゃはおはなちがちたいよ!!」
と、部屋に1人の男性がやってきた。いつもはこの男性がこの部屋でつむりが生まれているかどうか確かめているのだ。
「聞きましたよ。つむりを量産するんですってね」
「他の2つのプロジェクトに比べれば可能性はありそうだがね。どうだい、つむりを生みそうな個体の特徴とかないの?」
「全然無いですよ。最初は細かく観察してたんですが馬鹿馬鹿しくなりましてね。運ですよ。それに賭けるしかない」
「じゃあ箱の中を見てみるか。どう?このプロジェクトが成功するかどうか運試しといこうか」
「縁起でもない。少しでいいですから手伝ってくださいな。帽子被ってるのはこっちの籠の中に入れてください。すぐ処分しますので」
彼らは箱の中に生み出された赤まりさを調べ始めた。
「まりちゃはまりちゃだよ!ゆっくち!」
帽子。
「まりしゃしゃまはおにゃかがしゅいたんだじぇ!!」
帽子。
「お…おきゃあしゃんはどきょなにょ?きゃわいいまりちゃをひちょりにしにゃいでぇ…」
帽子…。帽子帽子帽子帽子帽子…………。やはりまりさつむりには中々お会いできそうに無い。
「え?これって…」
その声に彼らは一斉に反応した。
「まりちゃはまりちゃだよ!ゆっくちちていっちぇね!!」
「うお!!!貝殻被ってやがる!!!」
皆が集まった。
「さ…幸先いいな。もしかしたら…」
「これが…10万もするのか…」
「一人称まりさなのか…。つむりじゃないんだ」
「マジだ…。本物の貝殻だわ…」
皆の視線がまりさつむりに注がれた。
「ゆ?……しょ…しょんなに…みにゃいで…ほちいよ……」
つむりが恥ずかしそうに貝殻を深く被った。
「ちょっと…カワイイわね…」
「運がいいですよ!このプロジェクト絶対成功しますって」
「そうだな!」
彼らは沸いた。その後も調べられたがつむりはこの1匹だけだった。
「じゃあ私はつむりを飼育部屋に持って行きますので…。帽子の方処分してもらえますか?」
「ああ、ミキサーにかければいいんだろ」
「ええ。すぐ戻ってきます」
男性はまりさつむりを持って部屋を出た。
「じゃあ籠持ってきて」
「チーフ、ミキサーって?」
「赤まりさは別のところで生産してるからここのはいらないんだよ。精々ここのまりさの餌になるぐらいなもんさ」
「すり潰して食わせるんですね」
「元に戻してやるって言う意味もあるけどな」
部屋の隅にある大型のミキサー。籠をひっくり返してミキサーの中に赤まりさを入れた。
「や…やべでえええぇぇ!!!あがぢゃんにひどいごどじないでええぇぇ!!!」
「もうだべだぐないぃ!!!だべだぐないよおぉぉ!!!」
「やぢゃああああぁぁ!!!!あがぢゃんゆるじであげでええぇぇ!!!」
「どぼじでぞんなごどずるのぉぉぉ!!!?ゆっぐりでぎるあがぢゃんなのにぃぃぃ!!」
親であるまりさ達が叫んだ。
「ゆ!ころぎゃるよ!!」
「ゆわっ!!…なにちゅるにょ!?」
「ゆぎゅ……きゅりゅしぃんだじぇ…」
「せみゃいよぉ…」
ミキサーの中に赤まりさが詰まった。蓋をしてスイッチを入れた。
「ゆぎぃいい!!!」
「いぢゃいよおぉぉ!!!ゆぎゃあああぁぁ!!!」
「ばりちゃのあんよしゃんぎゃああぁぁ!!!!ゆぎょぎょぎょぉぉぉ!!!」
ミキサーの刃がガリガリと赤まりさを削っていった。
「ゆぎゃっ!!!!ゆぎゃぁぁ!!あんよぎゃああぁぁ!!」
「ゆぎゅっ!!!やびぇぇぇ!!いぢゃいいぃぃ!!!!」
「だじゅぎぇぢぇええぇぇ!!!!おぎゃあじゃああぁぁぁん!!!!おぎゃあじゃあぁん!!!!」
「ゆぎぃぃぃ!!!!やびぇぢぇえ!!!じにぢゃぐにゃい!!じにぢゃぐにゃいぃぃ!!!!」
底の赤まりさからどんどん削られ餡子の海が出来上がっていった。
「やべでえええぇぇ!!!!あがぢゃん!!!!あがぢゃああぁぁん!!!」
「ぎぎだぐないいぃぃ!!!!どめでええぇぇ!!!どめでえええぇぇ!!!」
「ゆるじでええぇぇ!!!!ゆぎゃあああああぁぁぁ!!!!ごろざないでえええぇぇ!!!」
赤まりさの悲鳴を聞きまりさ達が泣き喚いた。もう何度も何度も断末魔を聞かされてきたのだ。しかもその餡子を食べさせられている。
「後は私がやります。何かヒントが浮かんだら嬉しいです。お疲れ様でした」
男性が戻ってきた。チーフは部下を連れ部屋を出て行った。
「よーしお前ら、餌だぞ。一杯食べて一杯赤ちゃん生んでくれよな」
男性はミキサーから取り出した餡子を1匹ずつ食べさせていった。
「いやぁ!!!いやぁぁぁ!!!いらない!!!たべだぐないよぉぉぉ!!!!」
「あまり手をかけさせるなよ。そんなんじゃつむりは生めないぞ」
「ぼうやぢゃぁぁぁぁ!!!おうぢにがえじ……ゆぎょぉぉぉぉぉ!!!」
まりさは餡子を拒絶した。が、男は無理やり口を上下に伸ばし口の中に餡子を詰め込んだ。
「ゆぎぇ……!む…ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!………」
「早く飲めよ。でないと口閉じたまんまだぞ」
餡子を吐き出さないようにまりさの頭と顎を押さえた。ゆっくり程度の力では口を開けることは出来ない。
「ぅぅぅぅぅ!!!……むぅぅぅぅぅぅ!!!!……」
鼻があればそこから息をしたり餡子が飛び出ることもあろうがゆっくりには鼻が無い。このままでは息は出来ないし餡子は外に飛び出ない。
「ぅぅぅ………」
餡子で膨らんでいた頬が元の大きさに戻った。諦めて餡子を飲み込んだのだ。
「はい。美味しかったね。じゃあ妊娠しようね」
男は手を放した。そして今度は注射器を取り出した。
「ぼ…ぼうやべでぇぇぇぇ!!!あがぢゃんほじぐない!!!!にんじんじだぐないぃ!!!」
注射器の中身は市販されているまりさ種の精子餡と妊娠促進剤、そして濃縮したオレンジジュースだ。ゆっくりの胎生型妊娠期間は約2週間と言われている。
薬を使うことで1週間ほどになる。更に過剰な栄養を与えることで赤ゆっくりの成長スピードが速くなり妊娠期間は短縮する。
この方法で10日に2回出産が可能となるのだ。
「ゆぎっ!!!!や…やべ……ゆぎぃぃぃぃ!!!!は…はいっでぐるぅぅぅ!!!!」
注射器がまりさのまむまむに突き刺さりゆっくりと精子餡が注入されていく。全ての精子餡を注ぎ込んでから注射器を抜き取った。
「ゆぁぁぁ!!!!あがぢゃんでぎぢゃっだぁぁ!!!まだにんじんじぢゃっだぁぁ!!うびだぐないのにぃぃ!!!!」
まりさの下腹部が盛り上がった。ゆっくりは簡単に妊娠してしまうのだ。何はともあれおめでとうございます。妊娠1日目です。
「ぼうやぢゃぁぁぁ!!!おうぢがえじでぇぇぇ!!!」
「たべだぐないっでいっでるでじょぉぉぉ!!!!むぐっ!!!……ぅぅぅぅぅぅぅぅ……」
「あがぢゃんほじぐないっでいっでるでじょぉぉ!!!!!いやだ!!!やべでぇぇ!!!うびだぐないぃぃぃ!!!」
残りのまりさ達にも餡子と精子餡が与えられた。唯一今日つむりを生んだまりさは何もされなかった。
「お…おうぢにがえじでよぉぉぉ!!!でいぶぅぅう!!!!でいぶぅぅう!!!!」
つむりを生んだまりさは必死に番であろうれいむの名を叫んでいた。
「いいぞ。お前は返してやるよ」
男性はまりさを固定していた金具を取り外した。
「ゆ!!……ゆ?か…かえして…くれるの?」
「ああ、お前は自由だ。好きなところに行け」
つむりを生むということは奇跡なのだ。奇跡が2度も起きるはずがない。そのためつむりを生んだまりさは解放されることになっている。
貴重なつむりを生んでくれたお礼という面も含まれており、そのためまりさを捕獲した場所や森も1匹ずつ記録されている。
起こらないから奇跡って言うんですってアイスクリームが大好きな女の子が言ってたよ。
起きるから陳腐って言うんですってその女の子にそっくりな子が言ってたよ。
つむり量産計画を任された男性は部下と早速議論していた。
「そうか…。シークレットだったな。じゃあ今から見に行くか」
「今からですか?」
「ああ、地下の"牧場"で作ってるよ。実は俺も…赤つむりを見たことないんだわ」
彼は部下を連れて加工所地下へ向かった。
「どうしてシークレットなんですか?」
「見れば分かるよ」
加工所の地下室に着いた。地下室は薄暗くとても大きかった。
「ゆっくちちていっちぇにぇ!!」
「ありちゅはありちゅよ!ちょきゃいはでしょ!」
「まりちゃはあみゃあみゃがたべちゃいんだじぇ!!」
至る所から赤ゆっくりの声が聞こえる。ここは赤ゆっくりを生産する場所なのだ。だから"牧場"と呼ばれている。
この中で形のいいものを選抜し教育させる。優秀なゆっくりはペットショップで販売されることとなる。
その他は研究用や食料品、虐待用に回される。母体がペットショップで売れ残ったゆっくりであるため赤ゆっくりの程度は高が知れている。
この牧場からペットショップへ行けるのはほんの一握りに過ぎないのだ。
「ここだよ。この部屋の中だ」
関係者以外立ち入り禁止と書かれたドアが開かれた。
「ぼ…ぼうやぢゃあああぁぁ!!!!おうぢがえじでええぇぇ!!!!」
「いづまでうべばいいのおおおぉぉ!!!!!?ぼうあがぢゃんうびだぐないぃ!!!!」
「ゆっぐりさぜでえええぇぇ!!!!ゆっぐりじだいよおおおぉぉ!!!!」
「ゆぁぁぁぁ!!!ばたうばれぢゃっだぁぁぁ!!!」
ゆっくりの悲鳴が聞こえてきた。部屋の中は異様な光景だった。
「何ですか…これ?」
「まりさしかいねぇ…何匹いるんだ?」
部下がざわめいた。部屋の中には成体まりさがずらっと3列に並んでいた。
「1、2、3……20。それが3列で60匹ですか」
「あれ?こいつら固定されてますね」
「この箱は何ですか?……おっと…」
まりさは台の上に乗せられていた。逃げ出せないように金具で固定されている。そしてまりさの下には箱が置いてあった。
「ゆっきゅち!ゆっきゅち!!」
「まりちゃはまりちゃだよ!!」
「おきゃあしゃんはどきょ?しゅりしゅりちたいよ!!」
箱の中には赤まりさがいた。今現在も赤まりさがどんどん誕生している。
「大体分かったでしょ。どうやってまりさつむりを生産しているか」
「ええ。とにかくたくさん産ませてその中から見つけると……。やっぱり精子餡もまりさの…」
「そういうことだ。ほら、見てみな。額が焦げてるだろ?植物型妊娠ができないように燃やしたんだよ」
「確かに外部には発表できませんね。こうやって生まれてきたゆっくりだと知ったら応募者も減るかもしれませんね」
「あの…。つむりは亜種で中々生まれないから流通量が極めて少ないという噂は……」
「噂じゃなくて事実だよ。今ここにいる60匹が何回も何回も赤まりさを生んでその中につむりが何匹いると思う?」
「1ヶ月で…1匹くらいですか?」
「甘いな。1ヶ月に1匹生まれたら超ラッキーだよ。1年ぐらい生まれなかった時もあるしね。この牧場だと1年で3~4匹だな」
「つむり同士で交尾させてもダメなんですか?」
「ダメだったよ。体が小さいし体力も無いし。子供作るほど丈夫じゃないんだ。折角生まれた子も普通のまりさだったし」
「本当に奇跡なんですね」
「饅頭が貝殻作り出すんだぜ。普通に考えればありえない話さ。…もっとも饅頭が動いたり話したりするのもありえない話なんだが」
「ここのまりさはどこから調達したんですか?何か特別な処置がしてあるとか…」
「何もしてないよ。田舎から健康そうなのを集めてきただけだ。売れ残りより野良の方が生んでくれそうな気がしてね」
こうしている間にも赤まりさはどんどん生まれていった。段々赤まりさと親まりさの声が五月蝿くなってきた。
「ゆぎぃっ!!!ゆぎぃぃぃ!!!!う…うばれるぅっ!!!!」
「ぼうゆるじぢぇええぇぇ!!!あがぢゃんうびだぐないいぃ!!!うびだぐないぃ!!!!」
「いやあああぁぁ!!!!!ばりざには…でいぶがいるのにいいぃぃ!!!!!おうぢがえじでよおぉぉ!!!!」
「ゆっくちちていっちぇね!!」
「おにゃかしゅいちゃぁ…なにかたべちゃいよ!!」
「おきゃあしゃんはどきょにいりゅの?まりちゃはおはなちがちたいよ!!」
と、部屋に1人の男性がやってきた。いつもはこの男性がこの部屋でつむりが生まれているかどうか確かめているのだ。
「聞きましたよ。つむりを量産するんですってね」
「他の2つのプロジェクトに比べれば可能性はありそうだがね。どうだい、つむりを生みそうな個体の特徴とかないの?」
「全然無いですよ。最初は細かく観察してたんですが馬鹿馬鹿しくなりましてね。運ですよ。それに賭けるしかない」
「じゃあ箱の中を見てみるか。どう?このプロジェクトが成功するかどうか運試しといこうか」
「縁起でもない。少しでいいですから手伝ってくださいな。帽子被ってるのはこっちの籠の中に入れてください。すぐ処分しますので」
彼らは箱の中に生み出された赤まりさを調べ始めた。
「まりちゃはまりちゃだよ!ゆっくち!」
帽子。
「まりしゃしゃまはおにゃかがしゅいたんだじぇ!!」
帽子。
「お…おきゃあしゃんはどきょなにょ?きゃわいいまりちゃをひちょりにしにゃいでぇ…」
帽子…。帽子帽子帽子帽子帽子…………。やはりまりさつむりには中々お会いできそうに無い。
「え?これって…」
その声に彼らは一斉に反応した。
「まりちゃはまりちゃだよ!ゆっくちちていっちぇね!!」
「うお!!!貝殻被ってやがる!!!」
皆が集まった。
「さ…幸先いいな。もしかしたら…」
「これが…10万もするのか…」
「一人称まりさなのか…。つむりじゃないんだ」
「マジだ…。本物の貝殻だわ…」
皆の視線がまりさつむりに注がれた。
「ゆ?……しょ…しょんなに…みにゃいで…ほちいよ……」
つむりが恥ずかしそうに貝殻を深く被った。
「ちょっと…カワイイわね…」
「運がいいですよ!このプロジェクト絶対成功しますって」
「そうだな!」
彼らは沸いた。その後も調べられたがつむりはこの1匹だけだった。
「じゃあ私はつむりを飼育部屋に持って行きますので…。帽子の方処分してもらえますか?」
「ああ、ミキサーにかければいいんだろ」
「ええ。すぐ戻ってきます」
男性はまりさつむりを持って部屋を出た。
「じゃあ籠持ってきて」
「チーフ、ミキサーって?」
「赤まりさは別のところで生産してるからここのはいらないんだよ。精々ここのまりさの餌になるぐらいなもんさ」
「すり潰して食わせるんですね」
「元に戻してやるって言う意味もあるけどな」
部屋の隅にある大型のミキサー。籠をひっくり返してミキサーの中に赤まりさを入れた。
「や…やべでえええぇぇ!!!あがぢゃんにひどいごどじないでええぇぇ!!!」
「もうだべだぐないぃ!!!だべだぐないよおぉぉ!!!」
「やぢゃああああぁぁ!!!!あがぢゃんゆるじであげでええぇぇ!!!」
「どぼじでぞんなごどずるのぉぉぉ!!!?ゆっぐりでぎるあがぢゃんなのにぃぃぃ!!」
親であるまりさ達が叫んだ。
「ゆ!ころぎゃるよ!!」
「ゆわっ!!…なにちゅるにょ!?」
「ゆぎゅ……きゅりゅしぃんだじぇ…」
「せみゃいよぉ…」
ミキサーの中に赤まりさが詰まった。蓋をしてスイッチを入れた。
「ゆぎぃいい!!!」
「いぢゃいよおぉぉ!!!ゆぎゃあああぁぁ!!!」
「ばりちゃのあんよしゃんぎゃああぁぁ!!!!ゆぎょぎょぎょぉぉぉ!!!」
ミキサーの刃がガリガリと赤まりさを削っていった。
「ゆぎゃっ!!!!ゆぎゃぁぁ!!あんよぎゃああぁぁ!!」
「ゆぎゅっ!!!やびぇぇぇ!!いぢゃいいぃぃ!!!!」
「だじゅぎぇぢぇええぇぇ!!!!おぎゃあじゃああぁぁぁん!!!!おぎゃあじゃあぁん!!!!」
「ゆぎぃぃぃ!!!!やびぇぢぇえ!!!じにぢゃぐにゃい!!じにぢゃぐにゃいぃぃ!!!!」
底の赤まりさからどんどん削られ餡子の海が出来上がっていった。
「やべでえええぇぇ!!!!あがぢゃん!!!!あがぢゃああぁぁん!!!」
「ぎぎだぐないいぃぃ!!!!どめでええぇぇ!!!どめでえええぇぇ!!!」
「ゆるじでええぇぇ!!!!ゆぎゃあああああぁぁぁ!!!!ごろざないでえええぇぇ!!!」
赤まりさの悲鳴を聞きまりさ達が泣き喚いた。もう何度も何度も断末魔を聞かされてきたのだ。しかもその餡子を食べさせられている。
「後は私がやります。何かヒントが浮かんだら嬉しいです。お疲れ様でした」
男性が戻ってきた。チーフは部下を連れ部屋を出て行った。
「よーしお前ら、餌だぞ。一杯食べて一杯赤ちゃん生んでくれよな」
男性はミキサーから取り出した餡子を1匹ずつ食べさせていった。
「いやぁ!!!いやぁぁぁ!!!いらない!!!たべだぐないよぉぉぉ!!!!」
「あまり手をかけさせるなよ。そんなんじゃつむりは生めないぞ」
「ぼうやぢゃぁぁぁぁ!!!おうぢにがえじ……ゆぎょぉぉぉぉぉ!!!」
まりさは餡子を拒絶した。が、男は無理やり口を上下に伸ばし口の中に餡子を詰め込んだ。
「ゆぎぇ……!む…ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!………」
「早く飲めよ。でないと口閉じたまんまだぞ」
餡子を吐き出さないようにまりさの頭と顎を押さえた。ゆっくり程度の力では口を開けることは出来ない。
「ぅぅぅぅぅ!!!……むぅぅぅぅぅぅ!!!!……」
鼻があればそこから息をしたり餡子が飛び出ることもあろうがゆっくりには鼻が無い。このままでは息は出来ないし餡子は外に飛び出ない。
「ぅぅぅ………」
餡子で膨らんでいた頬が元の大きさに戻った。諦めて餡子を飲み込んだのだ。
「はい。美味しかったね。じゃあ妊娠しようね」
男は手を放した。そして今度は注射器を取り出した。
「ぼ…ぼうやべでぇぇぇぇ!!!あがぢゃんほじぐない!!!!にんじんじだぐないぃ!!!」
注射器の中身は市販されているまりさ種の精子餡と妊娠促進剤、そして濃縮したオレンジジュースだ。ゆっくりの胎生型妊娠期間は約2週間と言われている。
薬を使うことで1週間ほどになる。更に過剰な栄養を与えることで赤ゆっくりの成長スピードが速くなり妊娠期間は短縮する。
この方法で10日に2回出産が可能となるのだ。
「ゆぎっ!!!!や…やべ……ゆぎぃぃぃぃ!!!!は…はいっでぐるぅぅぅ!!!!」
注射器がまりさのまむまむに突き刺さりゆっくりと精子餡が注入されていく。全ての精子餡を注ぎ込んでから注射器を抜き取った。
「ゆぁぁぁ!!!!あがぢゃんでぎぢゃっだぁぁ!!!まだにんじんじぢゃっだぁぁ!!うびだぐないのにぃぃ!!!!」
まりさの下腹部が盛り上がった。ゆっくりは簡単に妊娠してしまうのだ。何はともあれおめでとうございます。妊娠1日目です。
「ぼうやぢゃぁぁぁ!!!おうぢがえじでぇぇぇ!!!」
「たべだぐないっでいっでるでじょぉぉぉ!!!!むぐっ!!!……ぅぅぅぅぅぅぅぅ……」
「あがぢゃんほじぐないっでいっでるでじょぉぉ!!!!!いやだ!!!やべでぇぇ!!!うびだぐないぃぃぃ!!!」
残りのまりさ達にも餡子と精子餡が与えられた。唯一今日つむりを生んだまりさは何もされなかった。
「お…おうぢにがえじでよぉぉぉ!!!でいぶぅぅう!!!!でいぶぅぅう!!!!」
つむりを生んだまりさは必死に番であろうれいむの名を叫んでいた。
「いいぞ。お前は返してやるよ」
男性はまりさを固定していた金具を取り外した。
「ゆ!!……ゆ?か…かえして…くれるの?」
「ああ、お前は自由だ。好きなところに行け」
つむりを生むということは奇跡なのだ。奇跡が2度も起きるはずがない。そのためつむりを生んだまりさは解放されることになっている。
貴重なつむりを生んでくれたお礼という面も含まれており、そのためまりさを捕獲した場所や森も1匹ずつ記録されている。
起こらないから奇跡って言うんですってアイスクリームが大好きな女の子が言ってたよ。
起きるから陳腐って言うんですってその女の子にそっくりな子が言ってたよ。
「じゃあな。元気で暮らせよ」
まりさはその後田舎に運ばれそこで解放された。勿論そこはまりさが生まれ育った場所だ。
「み…みんなぁぁぁぁ!!!まりざかえっできだよぉぉぉぉ!!!!」
まりさは一目散に森の中へ走っていった。
「ふん……ゆっくりできるものなら…してみろよ」
まりさを運んだ車は走り去っていった。
加工所に戻る前にこのまりさがどうなったか追ってみよう。
「れいむぅぅぅ!!!げんきにしてるよね!!!!ゆっくりしてるよね!!」
まりさは森の中を駆けた。途中2匹のゆっくりに出会った。
「ゆぅぅ!!!!ゆ…ゆっくりしていてね!!!」
久々にゆっくりと遭遇した。嗚呼、生きている間にまたこの挨拶が言えるなんて……。まりさは嬉しかった。
「ゆっくりし………」
「ゆぅ?ま…まりさ?……な…なんだかゆっくりできない……よ??」
2匹の反応は微妙だった。
「ゆ?ゆ?ゆ…ゆっくりしていってね!!?」
まりさはもう1回挨拶した。と、その時だった。
「んほおおおおおぉぉ!!!!!すっきりしたいわぁぁぁぁ!!!!」
「こんなところにかわいいこがいるじゃないぃ!!!!!」
れいぱーありすが数匹やってきた。2匹とまりさは慌てた。
「れ…れいぱぁはゆっぐりでぎないぃぃぃ!!!!」
「いやぁぁぁ!!!!こっぢごないでぇぇぇぇ!!!!!」
「すっぎりはぼういやぁぁぁ!!!ゆっぐぢさぜでぇぇぇ!!!!」
3匹は蜘蛛の子を散らすように逃げていった。特にまりさは必死だった。ようやく妊娠地獄から解放され自由を得たのだから。
「つかわえたわぁぁぁ!!!」
「まりさぁぁぁ!!いっしょにすっきりぃしましょぉぉぉ!!!」
しかしまりさはすぐに捕まってしまった。妊娠出産の繰り返しで体力が落ちていたからだ。
「いやぁぁぁぁ!!!はなじでぇぇぇ!!ぼうやぢゃぁぁぁ!!!だずげでぇぇぇぇ!!!」
まりさは必死にもがいたが数匹のれいぱーありすに組み伏せられ身動きが取れなかった。
「いぐわよぉぉぉぉ!!!」
「やぢゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!にんじんはぼういやだぁぁぁぁ!!!!おうぢにがえじでぇぇぇぇ!!!!」
「まりざっだらつんでr……ゆ?…ゆゆ?」
突然れいぱーありす達の動きが止まった。
「な…なんなのこのこ!!?ぜんっぜんゆっくりしてないわ!!」
「なによ!このいなかもの!!とかいはなれでぃにふさわしくないわね!!」
「いきましょ!!いなかもののあいてなんかしてられないわ!!」
れいぱーありすはどこかへ行ってしまった。
「「「あんないんらんなゆっくりのあいてなんかできないわ!!」」」
まりさは何十回と妊娠出産を繰り返してきた。そのせいでまむまむはガバガバで常に少しぽっかりと開いていた。
しかも胎生型妊娠しかできないようにするために額を焦がされたままで治療すら受けていない。
まりさから漂う何やらゆっくりできないオーラ…というか匂いを他のゆっくりは敏感に感じ取っていたのだろう。
「た…たすかったの?……まりさは…たすかった…んだよね?」
まりさはそのことを知らない。安堵すると再び生まれ育った故郷へ走り出した。
「ゆっ!!ゆっ!!……つ…ついたぁ!!ついたよぉぉ!!!みんなぁぁ!!まりさかえっできだよぉぉぉ!!!!」
まりさは久しぶりに群れに帰ることが出来た。
「とまるんだぜ!!!!」
群れに入った途端まりさは横から体当たりをされた。
「ゆぎゃ!!な…なにするのぉ……」
「おさ!!きたんだぜ!!ゆっくりできないまりさがやってきたんだぜ!!」
群れから数匹のゆっくりがやってきた。中でも一際大きいゆっくりがこう言った。
「このむれはゆっくりできないゆっくりはおことわりだよ!!さっさとでていってね!!」
「そ…そんなぁぁぁ!!!ここはまりさがそだったところだよぉぉ!!!!そんなひどいごどいわないでぇぇぇ!!!」
「うるさいよ!!みんな!!このまりさをおいだすよ!!」
「ゆー!!!」
「さっさとでていってね!!」
「ゆっくりできないまりさはしんでね!!」
先程出会った2匹がここの群れに所属しておりれいぱーありすから逃げた後このまりさの事を話したようだ。
「やべで!!やべでぇぇぇ!!!いじわるじないでぇぇぇ!!!ゆわぁぁぁ!!!れいぶぅ!!れいぶぅぅぅ!!!」
「うるさいよ!!れいむはわたさないよ!!」
「きやすくれいむのなまえをよばないでね!!」
「ゆっくりできないよ!!さっさとどっかにいってね!!!」
「ゆっくりできないまりさのぼうしなんかこうしてやる!!」
まりさは帽子を奪われた。
「か…かえじでぇぇぇ!!!ぞれはまりざのぼうじだよぉぉぉ!!!!がえじで!!がえじでぐだざいぃぃ!!!」
帽子を奪ったゆっくりはもう1匹のゆっくりと帽子のつばを咥え合って帽子をビリビリに破いてしまった。
「ぞんなぁぁぁぁ!!!ばりざの…ばりざのゆっぐりじだぼうじざんがぁぁぁ!!!ゆぎぇっ!!!いだい!!いだいぃぃぃ!!!」
まりさは更に暴行を受けた。そうしてる間にも帽子は更に破かれていった。
「どぼじでぇぇぇ!!!?ばりざ…なにもあるいごどじでないのにぃぃぃ!!!ぼうじざん!!ぼうじざん!!なおっでぇぇぇ!!!」
「まだでていかないんだったらここでえいえんにゆっくりしてもらうよ!!!」
「ゆひぃぃ!!!ごべんなざい!!!ごべんなざい!!」
まりさは群れから追い出されてしまった。ビリビリに破かれたクズ切れを持って逃げていった。
「ぼ…ぼうじざん!!なおっでぇぇ!!ばりざをゆっぐりざぜでぇぇ!!ぺーろ…ぺーろ……ゆぅぅぅ!!なおんないよぉぉ!!!」
まりさは帽子だったクズ切れを舐めていた。
「ゆぅぅぅ!!!ぼうじじゃんがぁぁぁ!!これじゃぼう…ゆっぐりでぎないよぉぉ!!!」
しかし帽子は直らなかった。クズ切れは丸い小麦粉の塊になっただけだった。
「どぼじでぇぇぇ!!!まりざは…ばりざはゆっぐりじだいだげなのにぃぃぃ!!!!」
れいぱーありすだって相手にしてくれない。結局まりさは独り寂しく残りのゆん生を送ることとなった。
つむりを生んで解放されたまりさの末路は大抵こんなものなのだ。
まりさはその後田舎に運ばれそこで解放された。勿論そこはまりさが生まれ育った場所だ。
「み…みんなぁぁぁぁ!!!まりざかえっできだよぉぉぉぉ!!!!」
まりさは一目散に森の中へ走っていった。
「ふん……ゆっくりできるものなら…してみろよ」
まりさを運んだ車は走り去っていった。
加工所に戻る前にこのまりさがどうなったか追ってみよう。
「れいむぅぅぅ!!!げんきにしてるよね!!!!ゆっくりしてるよね!!」
まりさは森の中を駆けた。途中2匹のゆっくりに出会った。
「ゆぅぅ!!!!ゆ…ゆっくりしていてね!!!」
久々にゆっくりと遭遇した。嗚呼、生きている間にまたこの挨拶が言えるなんて……。まりさは嬉しかった。
「ゆっくりし………」
「ゆぅ?ま…まりさ?……な…なんだかゆっくりできない……よ??」
2匹の反応は微妙だった。
「ゆ?ゆ?ゆ…ゆっくりしていってね!!?」
まりさはもう1回挨拶した。と、その時だった。
「んほおおおおおぉぉ!!!!!すっきりしたいわぁぁぁぁ!!!!」
「こんなところにかわいいこがいるじゃないぃ!!!!!」
れいぱーありすが数匹やってきた。2匹とまりさは慌てた。
「れ…れいぱぁはゆっぐりでぎないぃぃぃ!!!!」
「いやぁぁぁ!!!!こっぢごないでぇぇぇぇ!!!!!」
「すっぎりはぼういやぁぁぁ!!!ゆっぐぢさぜでぇぇぇ!!!!」
3匹は蜘蛛の子を散らすように逃げていった。特にまりさは必死だった。ようやく妊娠地獄から解放され自由を得たのだから。
「つかわえたわぁぁぁ!!!」
「まりさぁぁぁ!!いっしょにすっきりぃしましょぉぉぉ!!!」
しかしまりさはすぐに捕まってしまった。妊娠出産の繰り返しで体力が落ちていたからだ。
「いやぁぁぁぁ!!!はなじでぇぇぇ!!ぼうやぢゃぁぁぁ!!!だずげでぇぇぇぇ!!!」
まりさは必死にもがいたが数匹のれいぱーありすに組み伏せられ身動きが取れなかった。
「いぐわよぉぉぉぉ!!!」
「やぢゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!にんじんはぼういやだぁぁぁぁ!!!!おうぢにがえじでぇぇぇぇ!!!!」
「まりざっだらつんでr……ゆ?…ゆゆ?」
突然れいぱーありす達の動きが止まった。
「な…なんなのこのこ!!?ぜんっぜんゆっくりしてないわ!!」
「なによ!このいなかもの!!とかいはなれでぃにふさわしくないわね!!」
「いきましょ!!いなかもののあいてなんかしてられないわ!!」
れいぱーありすはどこかへ行ってしまった。
「「「あんないんらんなゆっくりのあいてなんかできないわ!!」」」
まりさは何十回と妊娠出産を繰り返してきた。そのせいでまむまむはガバガバで常に少しぽっかりと開いていた。
しかも胎生型妊娠しかできないようにするために額を焦がされたままで治療すら受けていない。
まりさから漂う何やらゆっくりできないオーラ…というか匂いを他のゆっくりは敏感に感じ取っていたのだろう。
「た…たすかったの?……まりさは…たすかった…んだよね?」
まりさはそのことを知らない。安堵すると再び生まれ育った故郷へ走り出した。
「ゆっ!!ゆっ!!……つ…ついたぁ!!ついたよぉぉ!!!みんなぁぁ!!まりさかえっできだよぉぉぉ!!!!」
まりさは久しぶりに群れに帰ることが出来た。
「とまるんだぜ!!!!」
群れに入った途端まりさは横から体当たりをされた。
「ゆぎゃ!!な…なにするのぉ……」
「おさ!!きたんだぜ!!ゆっくりできないまりさがやってきたんだぜ!!」
群れから数匹のゆっくりがやってきた。中でも一際大きいゆっくりがこう言った。
「このむれはゆっくりできないゆっくりはおことわりだよ!!さっさとでていってね!!」
「そ…そんなぁぁぁ!!!ここはまりさがそだったところだよぉぉ!!!!そんなひどいごどいわないでぇぇぇ!!!」
「うるさいよ!!みんな!!このまりさをおいだすよ!!」
「ゆー!!!」
「さっさとでていってね!!」
「ゆっくりできないまりさはしんでね!!」
先程出会った2匹がここの群れに所属しておりれいぱーありすから逃げた後このまりさの事を話したようだ。
「やべで!!やべでぇぇぇ!!!いじわるじないでぇぇぇ!!!ゆわぁぁぁ!!!れいぶぅ!!れいぶぅぅぅ!!!」
「うるさいよ!!れいむはわたさないよ!!」
「きやすくれいむのなまえをよばないでね!!」
「ゆっくりできないよ!!さっさとどっかにいってね!!!」
「ゆっくりできないまりさのぼうしなんかこうしてやる!!」
まりさは帽子を奪われた。
「か…かえじでぇぇぇ!!!ぞれはまりざのぼうじだよぉぉぉ!!!!がえじで!!がえじでぐだざいぃぃ!!!」
帽子を奪ったゆっくりはもう1匹のゆっくりと帽子のつばを咥え合って帽子をビリビリに破いてしまった。
「ぞんなぁぁぁぁ!!!ばりざの…ばりざのゆっぐりじだぼうじざんがぁぁぁ!!!ゆぎぇっ!!!いだい!!いだいぃぃぃ!!!」
まりさは更に暴行を受けた。そうしてる間にも帽子は更に破かれていった。
「どぼじでぇぇぇ!!!?ばりざ…なにもあるいごどじでないのにぃぃぃ!!!ぼうじざん!!ぼうじざん!!なおっでぇぇぇ!!!」
「まだでていかないんだったらここでえいえんにゆっくりしてもらうよ!!!」
「ゆひぃぃ!!!ごべんなざい!!!ごべんなざい!!」
まりさは群れから追い出されてしまった。ビリビリに破かれたクズ切れを持って逃げていった。
「ぼ…ぼうじざん!!なおっでぇぇ!!ばりざをゆっぐりざぜでぇぇ!!ぺーろ…ぺーろ……ゆぅぅぅ!!なおんないよぉぉ!!!」
まりさは帽子だったクズ切れを舐めていた。
「ゆぅぅぅ!!!ぼうじじゃんがぁぁぁ!!これじゃぼう…ゆっぐりでぎないよぉぉ!!!」
しかし帽子は直らなかった。クズ切れは丸い小麦粉の塊になっただけだった。
「どぼじでぇぇぇ!!!まりざは…ばりざはゆっぐりじだいだげなのにぃぃぃ!!!!」
れいぱーありすだって相手にしてくれない。結局まりさは独り寂しく残りのゆん生を送ることとなった。
つむりを生んで解放されたまりさの末路は大抵こんなものなのだ。
「……寝てるか?」
「大丈夫です。寝てますよ…」
場面を加工所に移そう。現在の時間は午後9時。この時間になればほとんどのゆっくりは眠りについている。
加工所地下の牧場もこの時間は静かだ。電気も薄暗く時々当直の職員が見回りに来るだけだ。
「明るくしたけど…起きないのか?」
「起きませんね。…じゃあさっさと済ませちゃいましょう」
2人の職員が牧場の1室へ入った。この部屋では植物型妊娠で赤ゆっくりを製造しているのだ。
「「「「「「…………………」」」」」」
「「「「「「ゅぅ………ゅ……」」」」」」
部屋には頭から茎を生やしたゆっくりが大量にいた。まだ飾りの無いものからもう生まれてもいいものまで多くの赤ゆっくりが実っている。
部屋を少し明るくしたがどのゆっくりも目を覚まさなかった。
「…………」
「…………」
2人はうなずき合い1匹ずつ赤ゆっくりを吟味し始めた。
さて、まりさつむり量産計画についてだ。奇跡的にまりさつむりを発見した後彼らは議論を重ねた。
その結果ゆっくりの思い込みを利用することになった。具体的に言うと"自分はまりさつむりである"と思い込ませて子を産ませるのだ。
まずまだ目を開けていない赤まりさを採取する。帽子を見たことが無い赤まりさが必要なのだ。
この場合植物型妊娠で生まれた個体が望ましい。動物型妊娠で生まれた個体は胎内で既に目が開いており多少の知恵があるからである。
次に赤まりさが目を開く前に帽子を取り上げてフェイクの貝殻を被せるのだ。後はそのまま育て適度な大きさになったところで産む機械にする。
"まりさつむり同士で妊娠するのだから生まれてくる子供は当然貝殻を被っている"と思い込んでいるはずだ。
しかしまりさつむり同士の妊娠だからといって必ずしもつむりが生まれてくるとは限らないことはチーフの言葉通り既に実験で分かっている。
それでもまりさ同士の妊娠に比べればまりさつむりが生まれる確率は遥かに上がるだろう。そう予測したのだ。
「…………」
「…………」
2人は適度な大きさに育った赤まりさを1匹ずつ採取した。起こさないように慎重に茎を切っていく。
「…ゅ……ゆ?」
途中あろう事か1匹の赤まりさが職員の手の中で目を覚ましてしまった。
「っ!!!」
「ゆぴゃっ!………」
職員は咄嗟に手に力を込めて赤まりさを潰した。目を開けてもらっては困るのだ。それに大声を出して他のゆっくりが起きてしまうと厄介だ。
「………」
もう1人の職員が"静かに"とジェスチャーした。
「………」
"すまんすまん"とジェスチャーで返した。
何はともあれ予定の数の赤まりさを採取した。後は帽子を取り去りフェイクの貝殻を被せてケースの中に入れておけばいい。
「終わりましたね」
「外見は本物のまりさつむりそのものだよ。こいつらが大きくならないでいてくれたらこれで10万なのに…」
余談だが実際にただのまりさに貝殻を被せた偽物が一時期出回ったことがある。悪質なことに名前も"つむりまりさ"となっていた。
買った当初はまだ気付かれてなかったが月日が経つと本体が成長して貝殻とのバランスが非常におかしくなり詐欺だと発覚したのだ。
勿論企てた阿呆は逮捕されたという。
「そんな美味い話はありませんよ」
「分かってるよ。そんなことより撤収するぞ」
「うまくいけば良いですね」
「ああ」
さっさと仕事を終わらせ彼等は撤収した。
「大丈夫です。寝てますよ…」
場面を加工所に移そう。現在の時間は午後9時。この時間になればほとんどのゆっくりは眠りについている。
加工所地下の牧場もこの時間は静かだ。電気も薄暗く時々当直の職員が見回りに来るだけだ。
「明るくしたけど…起きないのか?」
「起きませんね。…じゃあさっさと済ませちゃいましょう」
2人の職員が牧場の1室へ入った。この部屋では植物型妊娠で赤ゆっくりを製造しているのだ。
「「「「「「…………………」」」」」」
「「「「「「ゅぅ………ゅ……」」」」」」
部屋には頭から茎を生やしたゆっくりが大量にいた。まだ飾りの無いものからもう生まれてもいいものまで多くの赤ゆっくりが実っている。
部屋を少し明るくしたがどのゆっくりも目を覚まさなかった。
「…………」
「…………」
2人はうなずき合い1匹ずつ赤ゆっくりを吟味し始めた。
さて、まりさつむり量産計画についてだ。奇跡的にまりさつむりを発見した後彼らは議論を重ねた。
その結果ゆっくりの思い込みを利用することになった。具体的に言うと"自分はまりさつむりである"と思い込ませて子を産ませるのだ。
まずまだ目を開けていない赤まりさを採取する。帽子を見たことが無い赤まりさが必要なのだ。
この場合植物型妊娠で生まれた個体が望ましい。動物型妊娠で生まれた個体は胎内で既に目が開いており多少の知恵があるからである。
次に赤まりさが目を開く前に帽子を取り上げてフェイクの貝殻を被せるのだ。後はそのまま育て適度な大きさになったところで産む機械にする。
"まりさつむり同士で妊娠するのだから生まれてくる子供は当然貝殻を被っている"と思い込んでいるはずだ。
しかしまりさつむり同士の妊娠だからといって必ずしもつむりが生まれてくるとは限らないことはチーフの言葉通り既に実験で分かっている。
それでもまりさ同士の妊娠に比べればまりさつむりが生まれる確率は遥かに上がるだろう。そう予測したのだ。
「…………」
「…………」
2人は適度な大きさに育った赤まりさを1匹ずつ採取した。起こさないように慎重に茎を切っていく。
「…ゅ……ゆ?」
途中あろう事か1匹の赤まりさが職員の手の中で目を覚ましてしまった。
「っ!!!」
「ゆぴゃっ!………」
職員は咄嗟に手に力を込めて赤まりさを潰した。目を開けてもらっては困るのだ。それに大声を出して他のゆっくりが起きてしまうと厄介だ。
「………」
もう1人の職員が"静かに"とジェスチャーした。
「………」
"すまんすまん"とジェスチャーで返した。
何はともあれ予定の数の赤まりさを採取した。後は帽子を取り去りフェイクの貝殻を被せてケースの中に入れておけばいい。
「終わりましたね」
「外見は本物のまりさつむりそのものだよ。こいつらが大きくならないでいてくれたらこれで10万なのに…」
余談だが実際にただのまりさに貝殻を被せた偽物が一時期出回ったことがある。悪質なことに名前も"つむりまりさ"となっていた。
買った当初はまだ気付かれてなかったが月日が経つと本体が成長して貝殻とのバランスが非常におかしくなり詐欺だと発覚したのだ。
勿論企てた阿呆は逮捕されたという。
「そんな美味い話はありませんよ」
「分かってるよ。そんなことより撤収するぞ」
「うまくいけば良いですね」
「ああ」
さっさと仕事を終わらせ彼等は撤収した。
「どうだ?順調に進んでるかい?」
次の日、チーフはまりさつむり量産計画のプランを社長に報告してから研究室へ赴いた。
「いやぁ…それがですね…」
「え?もう失敗なのか…?」
「はい…。奴らもう気付いてます。見てください」
赤まりさ達は研究用の特製ケースに入れられている。マジックミラーを取り付けているため赤まりさ達は職員の姿を見ることは出来ない。
だが職員達は内部を見ることが出来る。チーフはケースの中を覗いた。
「かえじぢぇぇぇぇぇ!!!まりちゃの…まりちゃのおぼうししゃんかえしちぇぇぇぇ!!!」
「こんなにょゆっくちできにゃいんだじぇ!!ゆっくちちないでおぼうししゃんかえしゅんだじぇ!!」
本能とは恐ろしいものである。赤まりさは既に帽子というものを生まれる前から認識していたのだ。
「やぢゃぁぁぁ!!!こんにゃのやぢゃぁぁぁ!!!ぼうじぃぃ!!!ぼうじぃぃぃ!!!」
「こんにゃへんにゃのかぶりちゃくにゃいよぉぉぉ!!!かえちちぇぇぇぇ!!!」
「おきゃぁしゃぁぁぁん!!!おぼうししゃんとりかえちちぇぇぇぇぇ!!!!」
赤まりさ達は皆貝殻を脱ぎ捨てていた。ケースの中を必死で探し回っているが帽子は無い。
「嘘だろ…。いつどこで認識してたんだよ?」
「これがゆっくりなんですね…」
「その一言で片付けられるから困るよ」
「どうするんですか?」
「やるしかないでしょ…。荒沢さん…こんな状況だけど…やってみてよ」
「やってみます」
マイクの前に女性が座った。いつもは飼育部門で声で赤ゆっくりの母親役を担当しているのだ。
『おちびちゃん!!ゆっくりしていってね!!』
ケースの中に声が響いた。
「ゆ!!?だりぇ?」
『おちびちゃんのお母さんだよ!!ゆっくりしていってね!!』
「「「「ゆ…ゆっきゅりしちぇいってにぇ!!」」」」
「「「「ゆっくちしちぇいってにぇ!!」」」」
赤まりさ達は一斉に挨拶をした。が、すぐに話題は無くなった帽子に移った。
「おきゃあしゃん!!!まりちゃの…まりちゃのゆっくちしちゃぼうししゃんしらにゃい!!?」
「おぼうししゃんがにゃいとゆっくちできにゃいよぉぉぉ!!!」
「かえしちぇぇぇぇ!!!まりちゃの!!まりちゃのゆっくちちたぼうちかえちちぇぇぇぇ!!!」
『何言ってるの?飾りさんはそこにあるじゃない』
「ゆ?こ…こりぇ?」
「ちぎゃうよぉぉぉ!!!こんにゃのゆっくちできにゃいよぉぉぉ!!!」
「まりちゃのおぼうししゃんはもっちょゆっくちしちぇるよぉぉぉ!!!!」
『お…お母さんを困らせないでね!!それがおちびちゃん達の飾りさんだよ!!!』
「ちぎゃうぅぅぅぅ!!!こりぇじゃないよぉぉぉ!!!!」
「おきゃあしゃぁぁぁん!!!!かえちちぇよぉぉぉ!!!!!ぼうししゃんかえしちぇぇぇぇ!!!」
「こんなにょやぢゃぁぁぁ!!!こりぇじゃゆっくちでぎにゃいよぉぉぉ!!!ゆえぇぇぇぇん!!!!」
『お母さんを困らせないでって言ったでしょ!!!言うことを聞かない悪い子はお仕置きだよ!!!!』
ケースの中に人間の腕が伸びてきた。
「ゆぅぅぅ!!!!にゃにかきちゃよぉぉぉ!!!」
「きょわいよぉぉぉ!!!」
「まりちゃにいじわりゅじにゃいぢぇぇぇぇ!!!」
赤まりさ達は突然現れた腕に驚きケースの中を逃げ惑った。腕には赤いリボンが巻かれている。これは人間の腕と認識させないためだ。
ゆっくりというのは飾りでお互いを認識しているのだという。友達も恋人も親も子も基本は飾りで識別しているのだ。
このためか飾り、例えばれいむ種のリボンを付けたりドスまりさの帽子を被ると人間でもゆっくりと認識してしまう。
人間の存在を赤まりさ達から極力排除するために腕にリボンを巻きつけたのだ。
「ゆぴゃっ!!いぢゃい!!!いぢゃいぃぃぃ!!!!」
「こ…こっぢこにゃいぢぇぇぇぇ!!!ゆびゃ!!!い…いぢゃい!!!」
「ゆっくちできにゃいのはやぢゃぁぁぁ!!!ゆぴぃぃぃ!!ぢぐぢぐはやぢゃぁぁぁ!!!」
人間の手には針が握られていた。1匹ずつ針でぶすぶす刺しているのだ。
「にゃんぢぇ……まりしゃの…きゃざりはおぼうぢ……しゃんなにょにぃ…」
「おきゃあしゃぁん……。まりちゃのこちょ…きりゃいにゃの…?」
「いぢゃいよぉ……しゅりしゅりちてよぉ……」
『まだ分からないの!!?おちびちゃんの飾りはそれなんだよ!!!悪い子はゆっくりさせないよ!!』
再び腕が現れた。赤まりさ達はしぶしぶ貝殻に近付いた。
「わ…わきゃっちゃよぉ…」
「こりぇが……まりちゃのかじゃりしゃん…なんだにぇ…」
「ゆ…ゆっくち…できにゃいよぉ……」
『そうだよ!!おちびちゃん!!お似合いだよ!!ゆっくりしてるよ!!』
「ゆ…ゆぅ…」
「しょ…しょうな…にょ?」
「……ちぎゃうよぉ……」
初日から既に暗雲が立ち込めてしまった。
次の日、チーフはまりさつむり量産計画のプランを社長に報告してから研究室へ赴いた。
「いやぁ…それがですね…」
「え?もう失敗なのか…?」
「はい…。奴らもう気付いてます。見てください」
赤まりさ達は研究用の特製ケースに入れられている。マジックミラーを取り付けているため赤まりさ達は職員の姿を見ることは出来ない。
だが職員達は内部を見ることが出来る。チーフはケースの中を覗いた。
「かえじぢぇぇぇぇぇ!!!まりちゃの…まりちゃのおぼうししゃんかえしちぇぇぇぇ!!!」
「こんなにょゆっくちできにゃいんだじぇ!!ゆっくちちないでおぼうししゃんかえしゅんだじぇ!!」
本能とは恐ろしいものである。赤まりさは既に帽子というものを生まれる前から認識していたのだ。
「やぢゃぁぁぁ!!!こんにゃのやぢゃぁぁぁ!!!ぼうじぃぃ!!!ぼうじぃぃぃ!!!」
「こんにゃへんにゃのかぶりちゃくにゃいよぉぉぉ!!!かえちちぇぇぇぇ!!!」
「おきゃぁしゃぁぁぁん!!!おぼうししゃんとりかえちちぇぇぇぇぇ!!!!」
赤まりさ達は皆貝殻を脱ぎ捨てていた。ケースの中を必死で探し回っているが帽子は無い。
「嘘だろ…。いつどこで認識してたんだよ?」
「これがゆっくりなんですね…」
「その一言で片付けられるから困るよ」
「どうするんですか?」
「やるしかないでしょ…。荒沢さん…こんな状況だけど…やってみてよ」
「やってみます」
マイクの前に女性が座った。いつもは飼育部門で声で赤ゆっくりの母親役を担当しているのだ。
『おちびちゃん!!ゆっくりしていってね!!』
ケースの中に声が響いた。
「ゆ!!?だりぇ?」
『おちびちゃんのお母さんだよ!!ゆっくりしていってね!!』
「「「「ゆ…ゆっきゅりしちぇいってにぇ!!」」」」
「「「「ゆっくちしちぇいってにぇ!!」」」」
赤まりさ達は一斉に挨拶をした。が、すぐに話題は無くなった帽子に移った。
「おきゃあしゃん!!!まりちゃの…まりちゃのゆっくちしちゃぼうししゃんしらにゃい!!?」
「おぼうししゃんがにゃいとゆっくちできにゃいよぉぉぉ!!!」
「かえしちぇぇぇぇ!!!まりちゃの!!まりちゃのゆっくちちたぼうちかえちちぇぇぇぇ!!!」
『何言ってるの?飾りさんはそこにあるじゃない』
「ゆ?こ…こりぇ?」
「ちぎゃうよぉぉぉ!!!こんにゃのゆっくちできにゃいよぉぉぉ!!!」
「まりちゃのおぼうししゃんはもっちょゆっくちしちぇるよぉぉぉ!!!!」
『お…お母さんを困らせないでね!!それがおちびちゃん達の飾りさんだよ!!!』
「ちぎゃうぅぅぅぅ!!!こりぇじゃないよぉぉぉ!!!!」
「おきゃあしゃぁぁぁん!!!!かえちちぇよぉぉぉ!!!!!ぼうししゃんかえしちぇぇぇぇ!!!」
「こんなにょやぢゃぁぁぁ!!!こりぇじゃゆっくちでぎにゃいよぉぉぉ!!!ゆえぇぇぇぇん!!!!」
『お母さんを困らせないでって言ったでしょ!!!言うことを聞かない悪い子はお仕置きだよ!!!!』
ケースの中に人間の腕が伸びてきた。
「ゆぅぅぅ!!!!にゃにかきちゃよぉぉぉ!!!」
「きょわいよぉぉぉ!!!」
「まりちゃにいじわりゅじにゃいぢぇぇぇぇ!!!」
赤まりさ達は突然現れた腕に驚きケースの中を逃げ惑った。腕には赤いリボンが巻かれている。これは人間の腕と認識させないためだ。
ゆっくりというのは飾りでお互いを認識しているのだという。友達も恋人も親も子も基本は飾りで識別しているのだ。
このためか飾り、例えばれいむ種のリボンを付けたりドスまりさの帽子を被ると人間でもゆっくりと認識してしまう。
人間の存在を赤まりさ達から極力排除するために腕にリボンを巻きつけたのだ。
「ゆぴゃっ!!いぢゃい!!!いぢゃいぃぃぃ!!!!」
「こ…こっぢこにゃいぢぇぇぇぇ!!!ゆびゃ!!!い…いぢゃい!!!」
「ゆっくちできにゃいのはやぢゃぁぁぁ!!!ゆぴぃぃぃ!!ぢぐぢぐはやぢゃぁぁぁ!!!」
人間の手には針が握られていた。1匹ずつ針でぶすぶす刺しているのだ。
「にゃんぢぇ……まりしゃの…きゃざりはおぼうぢ……しゃんなにょにぃ…」
「おきゃあしゃぁん……。まりちゃのこちょ…きりゃいにゃの…?」
「いぢゃいよぉ……しゅりしゅりちてよぉ……」
『まだ分からないの!!?おちびちゃんの飾りはそれなんだよ!!!悪い子はゆっくりさせないよ!!』
再び腕が現れた。赤まりさ達はしぶしぶ貝殻に近付いた。
「わ…わきゃっちゃよぉ…」
「こりぇが……まりちゃのかじゃりしゃん…なんだにぇ…」
「ゆ…ゆっくち…できにゃいよぉ……」
『そうだよ!!おちびちゃん!!お似合いだよ!!ゆっくりしてるよ!!』
「ゆ…ゆぅ…」
「しょ…しょうな…にょ?」
「……ちぎゃうよぉ……」
初日から既に暗雲が立ち込めてしまった。
次の日になった。
「ぼうちぃぃぃ!!!まりしゃのおぼうぢぃぃ!!!」
「こんにゃのゆっくちできにゃいよぉぉぉ!!!」
「ゆわぁぁぁん!!!かえじぢぇよぉぉぉ!!!」
振り出しに戻ってしまった。
『昨日も言ったでしょ!!!おちびちゃん達の飾りはそれだって!!!お仕置きするよ!!!悪い子はお仕置きだよ!!』
お仕置きすると諦めるのだが暫くすると帽子帽子喚くのだ。
「うぁぁぁ!!無理です!!説得できません!!」
1週間後には荒沢さんが思いっきり匙を投げてしまった。早くも失敗である。
「ダメか…」
「また何か考えないといけませんね…」
職員達はうな垂れてしまった。
「帽子どうします?一応捨てては無いんですが…」
「あの餓鬼共々潰しちゃえよ」
「あの…。いいですか?」
1人の職員が手を上げた。
「どうした?」
「帽子はあるんですよね。でしたらもっと良い方法がありますよ」
「何だ何だ?ちょっと皆静かにしな。おお、続けて続けて」
手を上げた職員に視線が集まった。
「要は"自分がつむりである"ことを思い込ませたいんですよね。でしたら"つむりがとてもゆっくりできる"と思い込ませれば良いんですよ」
「はぁ?」
「どういうこと?」
質問が殺到した。
「つまりですね、"とてもゆっくりしたつむり"と"ゆっくりできないまりさ"の両方を見せ付けてやるんですよ」
「おお!!」
「そうか!!」
「なるほどぉ。考えたな。確かにそれなら初めは貝殻を嫌がっててもそのうち抵抗が無くなるかもしれないな!」
職員達は沸いた。
「じゃああの餓鬼はその"ゆっくりできないまりさ"に仕立てちゃいましょう」
「なぁ…。つむりはどうするんだ?」
「あ……」
「そうだ…つむりがいなきゃ…」
「う~ん…」
「あ、先週生まれたあのつむりはどうなったんですか?」
「確かまだ販売されてなかったはずだが…。ちょっと待って。今から聞いてくるわ」
チーフは飼育部門へ走った。
「どうも。部長さんいる?」
「あ、これはどうも。部長ですか。今呼んできます」
すぐに飼育部門の部長がやってきた。
「どうしました?」
「いや…。実は先週そちらに回されたまりさつむりなんですが…」
「そういえばつむりの量産を計画されてましたね」
「ええ。それで…その…つむりをですね、こちらに回して欲しいんですよ」
「急にそう言われましても…。う~ん…とりあえずどうしてつむりが欲しいのか話せる範囲で教えてくれませんか?」
チーフは熱心に新しい計画の内容を説明した。
「あくまで計画レベルなんですが…」
「なるほど…確かにその計画ならつむりが生まれてくる可能性はありますね」
「どうですか?予算はありますから購入させてくれませんか?多少割高でも…」
「そうですねぇ……まだ販売の目途が立ってないんですよ……。分かりました。売りましょう。その賭けに乗ってみましょう」
「そうですか!ありがとうございます!」
「いつ渡しますか?」
「できれば今すぐにでも」
「今ですか?それは少し早いですよ」
「早い?」
「まりさつむりは周りからちやほやされるので増長しやすいんですよ。基が小生意気なまりさ種ですし。ですから教育期間が長めなんです」
「ゲス化しやすいんですね」
「ええ。ですからもう少しこちらで教育してからでも…」
「いや…。待ってください………。むしろゲス化するくらいでいいかもしれません」
「そうですか。あぁ……そうですね。礼儀正しいつむりよりもゲス化した方が成功しやすそうですね。では持ってきます」
すぐにまりさつむりが籠に入れられて運ばれてきた。
「ゆっくちちていっちぇね!!ちゅむりはちゅむりだよ!!」
「へ?つむり?」
「あぁ。皆でつむりちゃん、つむりちゃんって呼んでたらいつの間にかそう自称するようになったんですよ」
「そうですか。あ、そっちの方がいいですね。分かりやすいですし」
「じゃ、期待してますよ」
チーフはつむりを研究室へ持っていった。
「ぼうちぃぃぃ!!!まりしゃのおぼうぢぃぃ!!!」
「こんにゃのゆっくちできにゃいよぉぉぉ!!!」
「ゆわぁぁぁん!!!かえじぢぇよぉぉぉ!!!」
振り出しに戻ってしまった。
『昨日も言ったでしょ!!!おちびちゃん達の飾りはそれだって!!!お仕置きするよ!!!悪い子はお仕置きだよ!!』
お仕置きすると諦めるのだが暫くすると帽子帽子喚くのだ。
「うぁぁぁ!!無理です!!説得できません!!」
1週間後には荒沢さんが思いっきり匙を投げてしまった。早くも失敗である。
「ダメか…」
「また何か考えないといけませんね…」
職員達はうな垂れてしまった。
「帽子どうします?一応捨てては無いんですが…」
「あの餓鬼共々潰しちゃえよ」
「あの…。いいですか?」
1人の職員が手を上げた。
「どうした?」
「帽子はあるんですよね。でしたらもっと良い方法がありますよ」
「何だ何だ?ちょっと皆静かにしな。おお、続けて続けて」
手を上げた職員に視線が集まった。
「要は"自分がつむりである"ことを思い込ませたいんですよね。でしたら"つむりがとてもゆっくりできる"と思い込ませれば良いんですよ」
「はぁ?」
「どういうこと?」
質問が殺到した。
「つまりですね、"とてもゆっくりしたつむり"と"ゆっくりできないまりさ"の両方を見せ付けてやるんですよ」
「おお!!」
「そうか!!」
「なるほどぉ。考えたな。確かにそれなら初めは貝殻を嫌がっててもそのうち抵抗が無くなるかもしれないな!」
職員達は沸いた。
「じゃああの餓鬼はその"ゆっくりできないまりさ"に仕立てちゃいましょう」
「なぁ…。つむりはどうするんだ?」
「あ……」
「そうだ…つむりがいなきゃ…」
「う~ん…」
「あ、先週生まれたあのつむりはどうなったんですか?」
「確かまだ販売されてなかったはずだが…。ちょっと待って。今から聞いてくるわ」
チーフは飼育部門へ走った。
「どうも。部長さんいる?」
「あ、これはどうも。部長ですか。今呼んできます」
すぐに飼育部門の部長がやってきた。
「どうしました?」
「いや…。実は先週そちらに回されたまりさつむりなんですが…」
「そういえばつむりの量産を計画されてましたね」
「ええ。それで…その…つむりをですね、こちらに回して欲しいんですよ」
「急にそう言われましても…。う~ん…とりあえずどうしてつむりが欲しいのか話せる範囲で教えてくれませんか?」
チーフは熱心に新しい計画の内容を説明した。
「あくまで計画レベルなんですが…」
「なるほど…確かにその計画ならつむりが生まれてくる可能性はありますね」
「どうですか?予算はありますから購入させてくれませんか?多少割高でも…」
「そうですねぇ……まだ販売の目途が立ってないんですよ……。分かりました。売りましょう。その賭けに乗ってみましょう」
「そうですか!ありがとうございます!」
「いつ渡しますか?」
「できれば今すぐにでも」
「今ですか?それは少し早いですよ」
「早い?」
「まりさつむりは周りからちやほやされるので増長しやすいんですよ。基が小生意気なまりさ種ですし。ですから教育期間が長めなんです」
「ゲス化しやすいんですね」
「ええ。ですからもう少しこちらで教育してからでも…」
「いや…。待ってください………。むしろゲス化するくらいでいいかもしれません」
「そうですか。あぁ……そうですね。礼儀正しいつむりよりもゲス化した方が成功しやすそうですね。では持ってきます」
すぐにまりさつむりが籠に入れられて運ばれてきた。
「ゆっくちちていっちぇね!!ちゅむりはちゅむりだよ!!」
「へ?つむり?」
「あぁ。皆でつむりちゃん、つむりちゃんって呼んでたらいつの間にかそう自称するようになったんですよ」
「そうですか。あ、そっちの方がいいですね。分かりやすいですし」
「じゃ、期待してますよ」
チーフはつむりを研究室へ持っていった。
「ゆ?」
「ゆっくち…うまれちゃよ!!」
「ゆっくちちていっちぇね!!まりちゃはまりちゃだよ!」
ケースの中で10数匹の赤まりさが目を覚ました。先週同様赤まりさ達は黒い山高帽子を脱がされ貝殻を被らされていた。
「にゃ…にゃんだきゃゆっくちできにゃいよ!」
「にゃにこりぇぇぇぇぇ!!!!?」
「これまりちゃのおぼうちしゃんじゃにゃいぃぃぃ!!!」
「こんにゃへんにゃぼうちしゃんじゃゆっくちできにゃいよ!!」
次々と貝殻を脱ぎ捨てていった。やはりゆっくりというのは自らの飾りを生まれる以前から認識しているようだ。
「まりしゃのおぼうししゃんどきょぉぉぉ!!!?」
「ゆぇぇぇん!!!いじわりゅしにゃいでぇぇぇ!!!かえちてぇぇぇ!!!」
「あれぎゃにゃいとゆっくちできにゃいぃぃぃ!!!!」
ケースの中を必死に走り回り帽子を探した。しかしケースの中には帽子の欠片すらなかった。
「ゆぇぇぇぇぇん!!!おぼうちぃ!!!!まりちゃのおぼうちぃぃぃ!!!!」
「ゆっくちできにゃいよぉぉぉ!!!!ゆっくちさしぇちぇぇぇぇ!!!」
「ゆっぐ……ゆわぁぁぁぁん!!!かえじぢぇぇぇぇ!!」
赤まりさ達がぴーぴー泣き出した。と同時にケースに光が差し込んだ。
「ゆ!!?」
「にゃ…にゃに?」
「ゆ!!?ゆっくちがいりゅよ!」
先程まで赤まりさ達を囲っていた4つの壁は真っ黒であった。突然そのうちの1つの壁が透明になったのだ。
その透明な壁の向こうにも赤まりさが10数匹いた。
「どびょじでそっぢのまりしゃはおぼうししゃんがありゅのぉぉぉ!!?」
「じゅるい!!じゅるいよぉぉ!!!まりちゃにもおぼうちかえちてよぉぉぉ!!!」
「にゃんでまりしゃはゆっくちちちゃいけにゃいのぉぉ!!!?あっぢのまりちゃはゆっくちしちぇるのにぃぃぃ!!!」
壁の向こうの赤まりさ達はまりさ種本来の飾りである黒い山高帽子を被っていた。当然ケースの中の赤まりさ達は羨望の眼差しを向ける。
「ゆ…?ゆっくち?ゆっくち…できちぇる…の?」
どうやら一部の赤まりさは気付いているようだ。実は壁の向こうの赤まりさ達をよく見るとボロボロなのだ。
大切な帽子は所々が破れ上部が折れているのもいる。
「…ゅ……ゅ…」
「もう……やぢゃぁ……」
「いじゃいよぉ……いじゃいぃ…」
「ゆるじぢぇぇ……」
微かに呻き声も聞こえる。ケースの中の赤まりさ達は騒いでいるせいで聞き取れなかったようだ。
「しょれまりちゃの!!!!まりちゃのおぼうちしゃん!!!かえちちぇぇぇぇ!!!」
壁の向こうの赤まりさ達の帽子はケースの中の赤まりさ達の帽子ではない。が、我慢できなくなったのか壁の前に走り寄り叫び出した。
「しょうだよぉぉぉ!!!かえちちぇぇぇぇ!!!まりちゃもゆっくちちちゃいよぉぉぉ!!」
数匹の赤まりさが壁の前に殺到したところで変化が起こった。
「あぢゅ!!!あぢゅいぃぃぃ!!!」
「やびぇぢぇ!!!もうやぢゃぁぁぁぁ!!!」
「あぢゅいのはゆっくぢでぎにゃいぃぃぃぃ!!!」
「あぢゅい!!!やぢゃぁぁぁ!!!ゆぎぃ!!!じにゅぅぅぅ!!!」
「あんよじゃんがぁぁぁ!!!ぼうゆるじぢぇぇぇぇぇ!!!」
突然壁の向こうの赤まりさ達が悲鳴を上げながら飛び跳ねた。
「あぢゅい!!!あぢゅいぃぃぃぃ!!!」
「だぢゅぎぇぢぇぇぇぇぇ!!!」
「いいごになりゅかりゃぁぁ!!!ゆるじぢぇぇぇぇ!!!」
流石にこの状況を見せ付けられてゆっくりしているとは思えない。ケースの中の赤まりさ達は驚き声を潜めてしまった。
「ど…どうしちゃったにょ?」
「ゆ…ゆっくちちてにゃいよ……」
「きょ…きょわいよぉ……」
「いたしょうだよ……ど…どびょじでぇ……」
一部の赤まりさは生まれて初めて見る惨劇に恐怖でブルブル震えていた。
「ゆひぃぃぃ………ゆひぃぃ…」
「みょ…みょうやじゃぁ……がえじぢぇ…おうぢに…かえじぢぇよぉ…」
「だじゅげぢぇ……おきゃあ…しゃん…だじゅぎぇでぇ……」
熱が引いたのか壁の向こう側の赤まりさ達は飛び跳ねなくなりぐったりとしていた。弱々しい呻き声もケースの中の赤まりさ達には聞こえていた。
「ゆ?あ…ありぇはなんなんだじぇ?」
「うごいちぇるよ…にゃにありぇ?」
ケースの中の赤まりさ達は一斉に斜め上を向いた。壁の向こう側の天井が徐々に徐々に下がってきているのだ。
「ゆひぃ……あぢゅいよぉ……」
「ひりひりすりゅよぉ………ぺぇりょ…ぺぇりょ…しちぇぇ…」
壁の向こうの赤まりさ達はまだ気付いていなかった。が、天井が下がるにつれ1匹1匹とそのことに気付いていった。
「いやぁぁぁぁ!!みょうやべぢぇぇぇぇ!!」
「ちぐちぐはゆっぐりでぎにゃいぃぃぃ!!!」
「いぢゃいのはやぢゃぁぁぁ!!!ゆるじぢぇぇぇぇ!!!」
天井には無数の針が氷柱の如く立っていた。天井と言うよりも尖った針先が赤まりさに向けて徐々に下がってきていると言った方がいい。
「いやぁぁ!!いやぁぁぁ!!いじゃいのはやぢゃぁぁぁ!!」
「だじぢぇぇぇぇ!!!ここかりゃだじぢぇぇぇぇ!!!」
「みゃみゃぁぁ!!!みゃみゃぁぁぁ!!!だじゅげぢぇよぉぉぉ!!だじゅぎぇでぇぇぇ!!!」
赤まりさ達はずりっずりっと這い出した。底部の痛みがまだ残っているらしく満足に動けないようだ。
「ごっぢくりゅなぁぁぁ!!!いぢゃいのはやぢゃぁぁぁ!!!」
「ゆっぐちさしぇぢぇぇぇ!!!ゆっぐぢさしぇでよぉぉぉぉ!!」
針は天井にびっしりと立っていた。つまり赤まりさがどこに逃げようと針は刺さる運命なのだ。
「いぢゃい!!!!いぢゃいよぉぉぉ!!!」
「ゆぴぃ!!ゆぴぃ!!!やびぇで!!やびぇでぇぇ!!!」
「いぢゃい!!ゆぎぃぃぃ!!!!」
「ゆぎゃぁぁぁぁ!!!!」
針は容赦無く赤まりさ達に深々と突き刺さった。
「もうそろそろいいんじゃないか?天井上げてやれ」
「はい」
研究室に3つのケースが隣接して並べられていた。真ん中のケースには貝殻と飾りの無い赤まりさが入れられている。
そしてその隣のケースにはボロボロになった赤まりさが入れられていた。
「天井を上げたら次は水ですね」
「砂糖の方じゃないぞ。まだ治すなよ。塩の方だからな」
「はい。準備OKです」
「よし。入れてやれ。溶かすなよ」
「ゆぅぅ……いぢゃいよぉ……」
「だりぇ…かぁ……ぺぇ…ろ…ぺぇ……ろ…しちぇ…」
「ゆっくち…しちゃい……」
「ゅ…ゅ…」
「ゆ…っぐ……にゃんでぇ……にゃんで…ゆっくち……しちゃ…いけにゃいのぉ……」
天井が元の高さまで戻った。赤まりさ達は全身傷だらけだが皆生きていた。赤ゆっくりでも体内の餡子が無事なら死にはしないのだ。
「ゆ?にゃ…にゃんの…おちょ?」
「ゅ……ゆあぁぁ……お…おみじゅしゃん…」
「と…とけちゃうぅぅ…に…にぎぇるよ…」
赤まりさ達への仕打ちはまだ続く。今度は水が流れてきたのだ。
「やぢゃぁぁ!!ぢにじゃくにゃいぃぃ!!」
「おみじゅしゃんはゆっくぢでぎにゃいぃぃ!!」
「あっぢいっぢぇぇぇ!!とげぢゃうぅぅぅ!!」
元気のある赤まりさはよろよろと逃げ出したが大半はまだ動けずにいた。
「ま…まっぢぇぇぇ!!おいでぎゃないぢぇぇぇ!!」
「いやぢゃぁぁぁ!!まぢゃゆっぐぢぢでにゃいのにぃぃぃ!!だぢゅげぢぇぇぇ!!」
水はあっという間に床一面を覆い全ての赤まりさの足元を飲み込んだ。
「どぎぇぢゃうぅぅ!!とぎぇるぅぅぅぅ!!!!」
「お…おみじゅしゃん!!あっぢいっぢぇね!!あっぢいっぢぇぇぇ!!」
帽子に浮かんで難を逃れるという方法もあるがこの状況で赤まりさ達がそういった行動に移れるわけが無い。
水位はどんどん上がりついに赤まりさの背丈を超えてしまった。
「ゆぎょぼぼっ……ぷひゃぁっ!……いやっ!…だぢゅ…」
「だぢゅぎぇ……がぼっ……ゆひぃっ!……っぷ……」
「やぢゃぁぁ!……ゆぼっ……ゆ……」
もがいていた赤まりさもいたが水位は更に上がり完全に水の中に飲み込まれてしまった。が、水は1分もしないうちに排出された。
「ゆひぃぃぃ……ゆひぃぃ………」
「ゅ……ゅ……」
「…ぅ……ゅ……ゅ…」
水が全て引いたときには息も絶え絶えだ。
「ゆ……ゆぎぃ!!!いぢゃい!!!いぢゃいよぉぉぉ!!!」
「じびりゅぅぅぅ!!!じびりゅぅぅぅぅ!!!!ゆぎゃぁぁぁ!!!」
「かりゃだがいぢゃいぃぃ!!!ゆぎぇぇぇぇ!!!」
「ゆぁぁぁ!!!!いぢゃいよぉぉ!!!じんじゃう!!!じんじゃうぅぅぅ!!!!」
突然赤まりさ達がのた打ち回った。水に何か仕込んであったのだろう。
「ゆぅぅ……にゃに…にゃんにゃのぉ…」
「きょわいよぉ……」
「にゃんでゆっくち…しちゃいきぇないの?……」
「ゆぅぅぅ……」
壁の向こう側での出来事を一部始終見ていた帽子無しの赤まりさ達はすっかり怯えてしまった。
「ゆ?こっちにもゆっくちがいりゅよ?」
堪らずそっぽを向いた赤まりさが叫んだ。
「ゆ?」
「しょっちにも?」
次々に赤まりさは後ろを向いた。今まで見ていた壁の反対側の壁もいつの間にか黒から透明に変わっていたのだ。
「ゆぴぃ……ゆぴぃ……」
その壁の向こう側では貝殻を被った赤ゆっくりがクッションの上ですやすやと眠っていた。
「ゆっくちちてにゃいおぼうししゃんだじぇ」
「へんにゃおぼうちだよ?」
「ゆ?あにょぼうししゃんこりぇにしょっくりだよ?」
実は何からも影響を受けなければまりさつむりの飾りである貝殻はゆっくりからすればそれほどゆっくりできるものではないのだ。
ただ周りが珍しいだのゆっくりできるだの煽るためそう思い込んでしまうのだ。
「ゆ…ゆ~ん。ゆっくちおきりゅよ!ちゅむりはゆっくりおきちゃよ!!」
まりさつむりが目を覚ました。
「ゆっくちちていっちぇね!」
つむりはクッションに顔をうずめて戯れていた。その表情はとてもゆっくりとしたものであった。
「しゅっごい…ゆっくちちてりゅね…」
「にゃんでしょんなにゆっくちできりゅの?」
「いいにゃぁ……」
つむりを眺めていた赤まりさ達は敏感にそれを感じていた。
「あっちは…じぇんじぇんゆっくちちてにゃいよ…」
まりさつむりが見える壁の反対側には全くゆっくり出来ていない赤まりさ。一目瞭然だ。
「しょういえばおにゃかしゅいたね…」
「にゃにかたべちゃいよぉ…」
帽子無しの赤まりさ達は空腹を感じたようだ。
「腹が空いたんだとよ」
「じゃあまずはまりさの方にくれてやれ。砂糖水の方も準備しとけよ」
「こっちですよね。皿に盛らなくていいですか?」
「ああ。つむりの方は皿に盛ってやれ」
傷だらけの赤まりさ達の頭上からぽろぽろと固形の餌が降ってきた。
「ゅ……ゅ……ゆ?」
「にゃにか…おちてきちゃよ…」
「ごはんしゃん?……」
「ゆっくち…だべりゅよ…」
餌から匂いが漂ってきたのか1匹1匹と餌を口にした。
「むーちゃ…むーちゃ……ゅぅ……」
「おいちくにゃいよぉ……」
「むーちゃ……ぱしゃぱしゃしゅるよぉ……」
「ゆわぁぁぁあん!!!あみゃあみゃ!!あみゃあみゃしゃんだべちゃいよぉぉ!!」
「おいちくにゃいよぉぉ!!ゆっくちしちゃいよぉぉ!!」
餌は全く美味しくなかった。連鎖するように赤まりさ達は泣き出した。
「ゆえぇぇぇぇん!!!!ゆびぇぇぇぇん!!!」
「おいちいのたべちゃいよぉぉ!!!」
「ゆわぁぁあぁぁぁん!!ゆわぁ……ゆ…ゆぎゃぁぁぁ!!!」
「いやぁぁぁ!!!ぢくぢぐしゃんはやぢゃぁぁぁぁ!!!」
「ごびぇんなしゃい!!!ごびゃんなしゃい!!!たべましゅ!!たべましゅ!!!」
再び天井が下がってきた。勿論針が立っている。
「うみぇ!!ぢょううみぇぇぇぇ!!!」
「たべぢぇるでじょぉぉ!!!いぢゃいのはやぢゃぁぁぁ!!!!」
「むーぢゃむーぢゃ!!」
一心不乱に餌を飲み込んでいく赤まりさ。だが天井は速度を落とすことなく下がっていく。そして針が赤まりさ達に突き刺さった。
「いぢゃいぃぃ!!!やべぢぇぇぇぇ!!!」
「ゆぎぇぇぇぇ!!!!ゆぎょっ!!ゆぎぃぃ!!!!」
「いぢゃいよぉぉぉ!!!!いぢゃいよぉぉぉ!!!」
未消化の餌を吐きつつ悲鳴を上げる赤まりさ。天井が元の高さへ戻った。
「ゆひぃ……」
「たべまじゅ……たべるかりゃ…いぢゃいのはやべぢぇ……」
「むーぢゃ…むーぢゃ……ふしあ……わしぇ……ゅ…ゅ…っぐ…」
涙を流しながら吐しゃ物と餌を飲み込んでいった。
「のぢょ…かわいちゃよぉ……」
「おみじゅ……おみじゅ……」
「きゃらきゃらだよぉ……にゃにかのみちゃいよぉ…」
全ての餌を食べた後赤まりさ達は飲み物を探した。周りを見回したりうろついたがあるのは先程流れてきた水が床に僅かだけ。
赤まりさ達は床にうずくまって舐めた。
「ぺーりょ…ぺー……ゆぎぃ!!」
「こ…こりぇどくはいっちぇる!……ゆぎぇぇ……」
「ゆひぃ……きゃらいよぉ……のみぇない……」
「ゆ…?にゃんか…おとがしゅるよ…」
「ゆ!!ま…まちゃきちゃぁぁ!!!」
再び水が流されてきた。赤まりさは逃げ惑った。
「やぢゃぁぁぁ!!!しょんなにいらにゃいよぉぉぉ!!!」
「しょんなにのみぇないよぉぉぉ!!!」
「そりぇじゃどげぢゃうぅぅぅ!!!!」
水はあっという間に赤まりさを飲み込んだ。今回も1分もしないうちに水が排出された。
「ゆひぃ……ゆひゃぁ……」
「もうおみじゅしゃんはいりゃにゃいよぉぉ!!!」
水が引いた後赤まりさ自身は気付いていないだろうが傷だらけだった体が若干回復していた。穴が開いていた部分もうっすらと白い皮で塞がれている。
一方のまりさつむりはどうであろうか。
「むーちゃむーちゃ!!おいちぃぃ!!!」
つむりも固形の餌を食べていた。が、見るからにしっとりとして美味しそうだ。きちんと皿に盛られていて飲み水も用意されていた。
「ごーきゅごーきゅ!ちあわしぇぇ!!!!」
ゆっくりしているまりさつむりとゆっくりできていない赤まりさ達。両者を見せ付けられた帽子無しの赤まりさ達はただうな垂れるしかなかった。
「どうにゃってりゅの…?」
「にゃんで…あっちはゆっくちしちぇにゃいの?でみょこっちはゆっくちちてるよ…?」
「わかりゃにゃいよ……」
ケースの中が少しざわついた。
「おし。迷ってる。今なら大丈夫そうだ」
「荒沢さん。お願いしますね」
「任せてください」
荒沢さんがマイクの前に座った。
『つむりちゃん!ゆっくりしていってね!!』
突然の声に帽子の無い赤まりさ達は驚いた。
「ゆ!!にゃに?」
「だりぇ?どきょにいりゅの?」
『お母さんだよ。つむりちゃんのお母さんだよ!』
「おきゃあしゃん!!?おきゃあしゃんなにょ?」
「まっちぇね!!まりしゃはまりしゃだよ!」
「しょうだよ!おきゃあしゃん!!まりちゃはまりちゃだよ!!」
「ちゅむり?ゆ!!あにょこもちゅむりっていってちゃよ!!」
まりさつむりがいる所がパアァッと明るくなった。赤まりさ達はつむりの方向を向いた。
『この子はなんでゆっくり出来てると思う?』
「ゆ?にゃんでにゃの?」
「ゆっくちちてりゅね…でみょなんぢぇ?」
『それはね、この子がつむりちゃんだからなんだよ』
「ちゅむりは…ゆっくちできるにょ?」
『そうだよ』
「ゆぎぃ!!あぢゅい!!!あぢゅいよぉぉ!!!」
「やびぇぢぇ!!!もうやべぢぇよぉぉ!!!」
突然赤まりさ達の後ろから悲鳴が聞こえてきた。赤まりさ達は後ろを振り返った。
『なんであの子達はゆっくりしてないと思う?』
「ゆ?」
「にゃんで?にゃんでにゃの?」
『それはね、あいつらがまりさだからだよ!!クズでのろまでゲスなまりさだからだよ!!』
少し怒ったような、そんな声だった。
「ゆぅぅ……」
「おこりゃないぢぇぇ…」
「まりしゃは……まりしゃは…ゆっくちちちゃいけにゃいの?」
『そうだよ!!まりさなんて最低なゆっくりなんだよ!!殺されないだけでも有難がるんだね!!!』
「しょ…しょんなぁ……」
「ゆっくち……ゆっくち…ちちゃい……」
『でもおちびちゃん達はまりさじゃないよね。つむりちゃんだもんね。だからゆっくりしていいんだよ!』
「ゆ…」
「でみょ…まりちゃは……」
『おちびちゃん達にはとってもゆっくりしたお飾りがあるでしょ』
「こ…こりぇ?」
「まりしゃの……かじゃりしゃんは………」
『ゆぷぷぷ!!!見てよあのまりさ。全然ゆっくりしてない帽子だね!!あんな汚くてゆっくりできない帽子見たことが無いよ!!』
「ゆ……ゅ…ぅ……」
「おぼうししゃん……ゆっくちできにゃいの……」
「しょんなぁ……」
『でも!つむりちゃんの飾りは本当にゆっくりしてるね!!みんなに見せたらすっごいちやほやされるね!!!』
「ちゅむりは…ゆっくちできりゅ……ゆっくちできりゅの?」
「まりしゃは……まりしゃは…ちゅむり?」
「ゆっくちちちゃい………でみょ…まりしゃ…だよ…」
帽子の無い赤まりさ達はつむりとボロボロの赤まりさ達を交互に見ながらオロオロしていた。
「いいぞ。効果が出てる。もう一押しだ」
「荒沢さん、とどめさしちゃおう」
「はい」
彼女は少し息を吸った。
『つむりちゃん!!お腹空いてない?』
「ゆ…しょういえば…」
「おにゃかしゅいちゃぁ……」
「まりしゃもごはんたべちゃいよ!」
『つむりちゃんにはご飯をあげないとね』
赤まりさの頭上から固形の餌が降ってきた。まりさつむりが食べていたのと同じ餌だ。
「お…おいししょうなにおいがしゅるよ!!」
「しゃっしょくたべりゅんだじぇ!」
「いっちゃぢゃきまーしゅ!!」
赤まりさ達が餌に噛り付いたそのときだった。
『ちょっと待ったぁぁ!!!!!!』
「「「「ゆぅぅ!!!?」」」」
突然の怒号に赤まりさ達は驚き固まってしまった。
『何でこんな所にまりさがいるの!!!?つむりちゃんのふりをしてゆっくりしようだなんてとんだゲスだね!!!!』
赤まりさ達の頭上から人間の腕が伸びてきた。前回同様れいむ種の赤いリボンが巻きつけられている。
「にゃに!!にゃんなのぉぉ!!」
「きょわいよぉぉぉ!!!」
急に現れた腕に戸惑う赤まりさ。すぐに1匹の赤まりさが掴まれた。
「お…おしょらをういちぇりゅぅぅぅ!!!…ゆぎゅっ!!!ゆ…ゆぎぃぃぃぃ!!!」
赤まりさを掴む手に力がこもった。赤まりさの顔色が黒くなり苦しそうにしている。
「ぎゅ…ぎゅるじぃぃ……ゆぎぇぇぇぇ……」
残った赤まりさ達は悲鳴を上げた。
「ゆぎゃぁぁぁ!!!ぎょわい!!!ぎょわいよぉぉぉ!!!」
「やぢゃ!!ゆっくちさしぇちぇぇぇぇ!!!」
「いじみぇにゃいでぇぇぇ!!!!ぷ…ぷきゅぅぅぅ!!!」
「ゆびぇぇぇぇえん!!!ゆっぐぢでぎにゃいぃぃぃ!!!」
捕まった赤まりさはケースからいなくなった。そしてそのまま隣の、散々痛めつけられた赤まりさ達がいるケースに落とされた。
「ゆぎぃ!!!!い…いぢゃい……」
続いて赤まりさの目の前にボロボロになった黒い帽子が落とされた。
「きょ…きょきょはど……ゆぅぅぅぅ!!!!」
赤まりさの目に写ったのは先程散々痛めつけられていたボロボロになった赤まりさ達だ。
「ゅ……ゅ……」
「まぢゃ…いぢゃいよぉぉ……」
「しゅり…しゅりちちぇ………」
「ゆ…っくち……ちちゃい……」
弱々しく呻く赤まりさ。今ここに落とされた赤まりさの頭の中では先程目の当たりにした数々の痛々しいシーンが駆け巡っていた。
「い…いやぢゃ!!いやぢゃぁぁぁ!!!きょきょはゆっくちできにゃい!!!ゆっくちできにゃいぃぃぃ!!!」
赤まりさは辺りを走り回った。
「どきょ!!?どきょにゃの!!!?みんにゃどきょいっちゃったのぉぉぉ!!!!?きょわいよぉぉぉ!!!きょわいよぉぉぉ!!」
今赤まりさがいるケースは床がホットプレートだったり天井が落ちてきたり排水口があったりとギミックが満載だ。
更にマジックミラーを利用しているため外の様子は見えず壁に映っているのは自分の姿だけなのだ。
「ま…まりしゃぁ………」
「や…やぢゃ……まりちゃ…あっちいぎぢゃぐにゃいよぉ……」
「どうにゃっぢゃうの……?まりちゃぁ……」
帽子の無い赤まりさ達が最初に目覚めたケースはスピーカーを仕込んだだけの普通のケースであるため外の様子がちゃんと見える。
隣のケースの中で泣きながら右往左往するさっきまで一緒にいた仲間をしっかりと見ることが出来ているのだ。
「どきょぉぉぉ!!!!?みんにゃぁぁぁ!!!!まりちゃぁぁ!!!!まりしゃぁぁぁ!!!へんじじぢぇぇぇぇ!!!」
赤まりさへの返事はすぐだった。
「ゆぎぃ!!!あ…あぢゅ!!!あぢゅい!!!あぢゅいよぉぉぉぉぉ!!!!」
初めて味わう凄まじい熱さに大いに飛び上がった。このケースの先住民であった赤まりさ達も同様に悲鳴を上げながら飛び上がっていた。
「もうやぢゃ!!!やびぇでぇぇぇ!!!!」
「あんよじゃん!!!!あんよじゃん!!!うぎょいぢぇぇぇ!!!いぢゃいよぉぉぉぉ!!!!」
「あぢゅい!!!!だぢゅげでぇぇぇ!!!!」
「ゆぎゃぁぁぁぁぁ!!!!ゆっぐぢぃぃぃぃぃ!!!!!」
既に底部が機能しなくなった赤まりさもいるようで悲鳴を上げながら床にくっついてるのもいる。
「やぢゃ!!!!ゆっぐぢぢちゃい!!!!ちゅむ…ぢゅむりになるがりゃぁぁぁぁ!!!!!」
ケースの中に木霊する阿鼻叫喚に赤まりさはついにまりさ種であることを否定した。
「ぢゅむりになりばぢゅぅぅぅ!!!!やびぇでぇぇぇ!!!あぢゅい!!!!あぢゅいよぉぉぉぉ!!!!」
だが赤まりさに救いの手は来なかった。
「や…やぢゃよぉ……」
「きょわいよぉ……」
「も…もうやぢゃ……きょわいの…みちゃくにゃい……」
ついさっきまで一緒にいた仲間が痛めつけられているのを目の当たりにした赤まりさ達はブルブル震えていた。
『ゆ!!!!まだいるよ!!!まだつむりちゃんのふりをしたまりさがいるよ!!!!制裁してあげるよ!!!!』
再びケースの中に腕が伸びた。赤まりさ達は我に返り逃げ惑った。
「いやぁぁぁ!!!こにゃいでぇぇぇ!!!!」
「こっぢぐりゅにゃぁぁぁ!!!!ぎょわいよぉぉぉぉ!!!!」
「いぢゃいのはやぢゃぁぁぁぁ!!!!あっぢいっぢぇぇぇぇぇ!!!!」
1匹の赤まりさが転がっていた貝殻の中に頭を入れた。隠れたつもりなのだろうか。
「あ、ねぇ。今貝殻に隠れた子を捕まえてくれない?貝殻ごと」
「こいつですか?」
「捕まえても出しちゃダメよ。私に任せて。大丈夫。すぐ分かるから」
「はぁ…?」
『捕まえたよ!!!まりさにゆっくりなんかさせないよ!!!!』
貝殻に隠れていた赤まりさが捕まった。
「いやぁぁぁ!!!はなじぢぇぇぇ!!!はなじぢぇぇぇぇ!!!!やぢゃ!!やぢゃぁ!!!!ゆっぐぢぢぢゃいぃぃ!!!!」
赤まりさ手の中でじたばたして抵抗した。
『ゆ!!!!まりさじゃないよ!!!つむりちゃん!!!つむりちゃんだったね!!!!ごめんね』
急に優しい口調になった。
「ちゅ…ちゅむり…?まりちゃは…ちゅむりにゃの……?」
赤まりさは手の中で恐る恐る声を出した。
『そうだよ!だってつむりちゃんはとってもゆっくりできる飾りを持っているじゃない!まりさはゆっくりできる飾りは持ってないんだよ!!』
赤まりさはそっと床に降ろされた。そして貝殻を頭に被された。
「ゆ…ゆっくちできりゅ……」
「きゃざりしゃん?」
「ゆ!!!」
まず1匹の赤まりさが気付いた。それに連鎖するかのように他の赤まりさも次々と気付いていった。
「まりしゃはちゅむりだよ!!!」
「まりちゃはつみゅりだよ!!!」
「ちゅむりだよ!!!ちゅむりはゆっくちできりゅよ!!」
赤まりさ達は次々と貝殻を頭に被っていった。
「ゆぅぅぅぅ!!!まりちゃも!!!まりちゃもぉぉぉぉ!!!!」
最後の1匹が遅れて貝殻に飛び付いた。
『見つけたよ!!!!つむりちゃんのふりをするゲスなまりさを見つけたよ!!!!』
貝殻を被る前に赤まりさは捕まってしまった。
「どびょじでぇぇぇ!!!!まりちゃは…ぢゅぶりだよぉぉぉぉ!!!」
『やっぱりまりさだね!!!そんな嘘をつくゲスなゆっくりはまりさだね!!!!制裁するよ!!!!』
「ゆぎゅ…ぎゅ……ぎゅ…ぇ……く…きゅ…りゅ……ぎぇぇぇ」
手の中で赤まりさがもがき苦しんだ。
『制裁なんかじゃ生温いよ!!!ゆっくりしないで死んでね!!!!』
「ゆぎゅっ………ぎぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ…………」
手に更に力が加わり赤まりさは口から大量の餡子を吐き出した。
「ゅぅぅぅぅぅ…………」
「ちゅ…ちゅむり……ちゅむりだよぉ……」
「まりちゃじゃ…ないよぉ……」
残りの赤まりさ達は貝殻を深々と被り息を潜めていた。
『みんな!!!もう大丈夫だよ!!!!悪いまりさはお母さんがやっつけたよ!!!!』
赤まりさ達は貝殻から恐る恐る目を出した。
「ゆ!!!」
「にゃ…にゃにこりぇ……」
「ち…ちんでりゅ?ちんじゃっだの…?」
赤まりさ達の目の前には中身も目玉も無い、皮だけになった赤まりさと餡子の塊が転がっていた。
『さあみんな!!!!邪魔者はいなくなったよ!!たっくさんご飯を食べようね!!!!!』
「ゆ……ゆぅ……」
「ゆぅぅぅ………」
急に優しい口調に戻ったところで赤まりさ達の恐怖が拭えた訳ではない。
『あれ?何でご飯食べないの?つむりちゃんはとってもいいゆっくりなんだけどなぁ…』
「は…はいぃぃぃ!!!」
「たべまじゅ!!たべりゅよぉぉ!!!」
「ちゅぶりだもん!!ちゅぶりだよぉぉ!!!」
流石の赤まりさでもここで逆らったらどうなるかが分かっているようだ。我先にと餌を食べ始めた。
「良くやってくれたよ。いいところで機転がきいたね」
「今のは効きましたよ。大成功じゃないですか」
「うふふ。ありがとうございます」
「死骸の方はどうします?」
「当分そのままにしとけ。まりさ種がどういう扱いを受けるのか、身近で分からせてあげる為にね」
まずは第一関門である"まりさはゆっくりできない"と"まりさつむりはゆっくりできる"の2つを刷り込ませることに成功した。
あとは赤まりさ達をまりさつむりとして育てていくだけである。便宜上ここからはこの赤まりさ達を偽つむりと呼ぶことにしよう。
「ゆっくち…うまれちゃよ!!」
「ゆっくちちていっちぇね!!まりちゃはまりちゃだよ!」
ケースの中で10数匹の赤まりさが目を覚ました。先週同様赤まりさ達は黒い山高帽子を脱がされ貝殻を被らされていた。
「にゃ…にゃんだきゃゆっくちできにゃいよ!」
「にゃにこりぇぇぇぇぇ!!!!?」
「これまりちゃのおぼうちしゃんじゃにゃいぃぃぃ!!!」
「こんにゃへんにゃぼうちしゃんじゃゆっくちできにゃいよ!!」
次々と貝殻を脱ぎ捨てていった。やはりゆっくりというのは自らの飾りを生まれる以前から認識しているようだ。
「まりしゃのおぼうししゃんどきょぉぉぉ!!!?」
「ゆぇぇぇん!!!いじわりゅしにゃいでぇぇぇ!!!かえちてぇぇぇ!!!」
「あれぎゃにゃいとゆっくちできにゃいぃぃぃ!!!!」
ケースの中を必死に走り回り帽子を探した。しかしケースの中には帽子の欠片すらなかった。
「ゆぇぇぇぇぇん!!!おぼうちぃ!!!!まりちゃのおぼうちぃぃぃ!!!!」
「ゆっくちできにゃいよぉぉぉ!!!!ゆっくちさしぇちぇぇぇぇ!!!」
「ゆっぐ……ゆわぁぁぁぁん!!!かえじぢぇぇぇぇ!!」
赤まりさ達がぴーぴー泣き出した。と同時にケースに光が差し込んだ。
「ゆ!!?」
「にゃ…にゃに?」
「ゆ!!?ゆっくちがいりゅよ!」
先程まで赤まりさ達を囲っていた4つの壁は真っ黒であった。突然そのうちの1つの壁が透明になったのだ。
その透明な壁の向こうにも赤まりさが10数匹いた。
「どびょじでそっぢのまりしゃはおぼうししゃんがありゅのぉぉぉ!!?」
「じゅるい!!じゅるいよぉぉ!!!まりちゃにもおぼうちかえちてよぉぉぉ!!!」
「にゃんでまりしゃはゆっくちちちゃいけにゃいのぉぉ!!!?あっぢのまりちゃはゆっくちしちぇるのにぃぃぃ!!!」
壁の向こうの赤まりさ達はまりさ種本来の飾りである黒い山高帽子を被っていた。当然ケースの中の赤まりさ達は羨望の眼差しを向ける。
「ゆ…?ゆっくち?ゆっくち…できちぇる…の?」
どうやら一部の赤まりさは気付いているようだ。実は壁の向こうの赤まりさ達をよく見るとボロボロなのだ。
大切な帽子は所々が破れ上部が折れているのもいる。
「…ゅ……ゅ…」
「もう……やぢゃぁ……」
「いじゃいよぉ……いじゃいぃ…」
「ゆるじぢぇぇ……」
微かに呻き声も聞こえる。ケースの中の赤まりさ達は騒いでいるせいで聞き取れなかったようだ。
「しょれまりちゃの!!!!まりちゃのおぼうちしゃん!!!かえちちぇぇぇぇ!!!」
壁の向こうの赤まりさ達の帽子はケースの中の赤まりさ達の帽子ではない。が、我慢できなくなったのか壁の前に走り寄り叫び出した。
「しょうだよぉぉぉ!!!かえちちぇぇぇぇ!!!まりちゃもゆっくちちちゃいよぉぉぉ!!」
数匹の赤まりさが壁の前に殺到したところで変化が起こった。
「あぢゅ!!!あぢゅいぃぃぃ!!!」
「やびぇぢぇ!!!もうやぢゃぁぁぁぁ!!!」
「あぢゅいのはゆっくぢでぎにゃいぃぃぃぃ!!!」
「あぢゅい!!!やぢゃぁぁぁ!!!ゆぎぃ!!!じにゅぅぅぅ!!!」
「あんよじゃんがぁぁぁ!!!ぼうゆるじぢぇぇぇぇぇ!!!」
突然壁の向こうの赤まりさ達が悲鳴を上げながら飛び跳ねた。
「あぢゅい!!!あぢゅいぃぃぃぃ!!!」
「だぢゅぎぇぢぇぇぇぇぇ!!!」
「いいごになりゅかりゃぁぁ!!!ゆるじぢぇぇぇぇ!!!」
流石にこの状況を見せ付けられてゆっくりしているとは思えない。ケースの中の赤まりさ達は驚き声を潜めてしまった。
「ど…どうしちゃったにょ?」
「ゆ…ゆっくちちてにゃいよ……」
「きょ…きょわいよぉ……」
「いたしょうだよ……ど…どびょじでぇ……」
一部の赤まりさは生まれて初めて見る惨劇に恐怖でブルブル震えていた。
「ゆひぃぃぃ………ゆひぃぃ…」
「みょ…みょうやじゃぁ……がえじぢぇ…おうぢに…かえじぢぇよぉ…」
「だじゅげぢぇ……おきゃあ…しゃん…だじゅぎぇでぇ……」
熱が引いたのか壁の向こう側の赤まりさ達は飛び跳ねなくなりぐったりとしていた。弱々しい呻き声もケースの中の赤まりさ達には聞こえていた。
「ゆ?あ…ありぇはなんなんだじぇ?」
「うごいちぇるよ…にゃにありぇ?」
ケースの中の赤まりさ達は一斉に斜め上を向いた。壁の向こう側の天井が徐々に徐々に下がってきているのだ。
「ゆひぃ……あぢゅいよぉ……」
「ひりひりすりゅよぉ………ぺぇりょ…ぺぇりょ…しちぇぇ…」
壁の向こうの赤まりさ達はまだ気付いていなかった。が、天井が下がるにつれ1匹1匹とそのことに気付いていった。
「いやぁぁぁぁ!!みょうやべぢぇぇぇぇ!!」
「ちぐちぐはゆっぐりでぎにゃいぃぃぃ!!!」
「いぢゃいのはやぢゃぁぁぁ!!!ゆるじぢぇぇぇぇ!!!」
天井には無数の針が氷柱の如く立っていた。天井と言うよりも尖った針先が赤まりさに向けて徐々に下がってきていると言った方がいい。
「いやぁぁ!!いやぁぁぁ!!いじゃいのはやぢゃぁぁぁ!!」
「だじぢぇぇぇぇ!!!ここかりゃだじぢぇぇぇぇ!!!」
「みゃみゃぁぁ!!!みゃみゃぁぁぁ!!!だじゅげぢぇよぉぉぉ!!だじゅぎぇでぇぇぇ!!!」
赤まりさ達はずりっずりっと這い出した。底部の痛みがまだ残っているらしく満足に動けないようだ。
「ごっぢくりゅなぁぁぁ!!!いぢゃいのはやぢゃぁぁぁ!!!」
「ゆっぐちさしぇぢぇぇぇ!!!ゆっぐぢさしぇでよぉぉぉぉ!!」
針は天井にびっしりと立っていた。つまり赤まりさがどこに逃げようと針は刺さる運命なのだ。
「いぢゃい!!!!いぢゃいよぉぉぉ!!!」
「ゆぴぃ!!ゆぴぃ!!!やびぇで!!やびぇでぇぇ!!!」
「いぢゃい!!ゆぎぃぃぃ!!!!」
「ゆぎゃぁぁぁぁ!!!!」
針は容赦無く赤まりさ達に深々と突き刺さった。
「もうそろそろいいんじゃないか?天井上げてやれ」
「はい」
研究室に3つのケースが隣接して並べられていた。真ん中のケースには貝殻と飾りの無い赤まりさが入れられている。
そしてその隣のケースにはボロボロになった赤まりさが入れられていた。
「天井を上げたら次は水ですね」
「砂糖の方じゃないぞ。まだ治すなよ。塩の方だからな」
「はい。準備OKです」
「よし。入れてやれ。溶かすなよ」
「ゆぅぅ……いぢゃいよぉ……」
「だりぇ…かぁ……ぺぇ…ろ…ぺぇ……ろ…しちぇ…」
「ゆっくち…しちゃい……」
「ゅ…ゅ…」
「ゆ…っぐ……にゃんでぇ……にゃんで…ゆっくち……しちゃ…いけにゃいのぉ……」
天井が元の高さまで戻った。赤まりさ達は全身傷だらけだが皆生きていた。赤ゆっくりでも体内の餡子が無事なら死にはしないのだ。
「ゆ?にゃ…にゃんの…おちょ?」
「ゅ……ゆあぁぁ……お…おみじゅしゃん…」
「と…とけちゃうぅぅ…に…にぎぇるよ…」
赤まりさ達への仕打ちはまだ続く。今度は水が流れてきたのだ。
「やぢゃぁぁ!!ぢにじゃくにゃいぃぃ!!」
「おみじゅしゃんはゆっくぢでぎにゃいぃぃ!!」
「あっぢいっぢぇぇぇ!!とげぢゃうぅぅぅ!!」
元気のある赤まりさはよろよろと逃げ出したが大半はまだ動けずにいた。
「ま…まっぢぇぇぇ!!おいでぎゃないぢぇぇぇ!!」
「いやぢゃぁぁぁ!!まぢゃゆっぐぢぢでにゃいのにぃぃぃ!!だぢゅげぢぇぇぇ!!」
水はあっという間に床一面を覆い全ての赤まりさの足元を飲み込んだ。
「どぎぇぢゃうぅぅ!!とぎぇるぅぅぅぅ!!!!」
「お…おみじゅしゃん!!あっぢいっぢぇね!!あっぢいっぢぇぇぇ!!」
帽子に浮かんで難を逃れるという方法もあるがこの状況で赤まりさ達がそういった行動に移れるわけが無い。
水位はどんどん上がりついに赤まりさの背丈を超えてしまった。
「ゆぎょぼぼっ……ぷひゃぁっ!……いやっ!…だぢゅ…」
「だぢゅぎぇ……がぼっ……ゆひぃっ!……っぷ……」
「やぢゃぁぁ!……ゆぼっ……ゆ……」
もがいていた赤まりさもいたが水位は更に上がり完全に水の中に飲み込まれてしまった。が、水は1分もしないうちに排出された。
「ゆひぃぃぃ……ゆひぃぃ………」
「ゅ……ゅ……」
「…ぅ……ゅ……ゅ…」
水が全て引いたときには息も絶え絶えだ。
「ゆ……ゆぎぃ!!!いぢゃい!!!いぢゃいよぉぉぉ!!!」
「じびりゅぅぅぅ!!!じびりゅぅぅぅぅ!!!!ゆぎゃぁぁぁ!!!」
「かりゃだがいぢゃいぃぃ!!!ゆぎぇぇぇぇ!!!」
「ゆぁぁぁ!!!!いぢゃいよぉぉ!!!じんじゃう!!!じんじゃうぅぅぅ!!!!」
突然赤まりさ達がのた打ち回った。水に何か仕込んであったのだろう。
「ゆぅぅ……にゃに…にゃんにゃのぉ…」
「きょわいよぉ……」
「にゃんでゆっくち…しちゃいきぇないの?……」
「ゆぅぅぅ……」
壁の向こう側での出来事を一部始終見ていた帽子無しの赤まりさ達はすっかり怯えてしまった。
「ゆ?こっちにもゆっくちがいりゅよ?」
堪らずそっぽを向いた赤まりさが叫んだ。
「ゆ?」
「しょっちにも?」
次々に赤まりさは後ろを向いた。今まで見ていた壁の反対側の壁もいつの間にか黒から透明に変わっていたのだ。
「ゆぴぃ……ゆぴぃ……」
その壁の向こう側では貝殻を被った赤ゆっくりがクッションの上ですやすやと眠っていた。
「ゆっくちちてにゃいおぼうししゃんだじぇ」
「へんにゃおぼうちだよ?」
「ゆ?あにょぼうししゃんこりぇにしょっくりだよ?」
実は何からも影響を受けなければまりさつむりの飾りである貝殻はゆっくりからすればそれほどゆっくりできるものではないのだ。
ただ周りが珍しいだのゆっくりできるだの煽るためそう思い込んでしまうのだ。
「ゆ…ゆ~ん。ゆっくちおきりゅよ!ちゅむりはゆっくりおきちゃよ!!」
まりさつむりが目を覚ました。
「ゆっくちちていっちぇね!」
つむりはクッションに顔をうずめて戯れていた。その表情はとてもゆっくりとしたものであった。
「しゅっごい…ゆっくちちてりゅね…」
「にゃんでしょんなにゆっくちできりゅの?」
「いいにゃぁ……」
つむりを眺めていた赤まりさ達は敏感にそれを感じていた。
「あっちは…じぇんじぇんゆっくちちてにゃいよ…」
まりさつむりが見える壁の反対側には全くゆっくり出来ていない赤まりさ。一目瞭然だ。
「しょういえばおにゃかしゅいたね…」
「にゃにかたべちゃいよぉ…」
帽子無しの赤まりさ達は空腹を感じたようだ。
「腹が空いたんだとよ」
「じゃあまずはまりさの方にくれてやれ。砂糖水の方も準備しとけよ」
「こっちですよね。皿に盛らなくていいですか?」
「ああ。つむりの方は皿に盛ってやれ」
傷だらけの赤まりさ達の頭上からぽろぽろと固形の餌が降ってきた。
「ゅ……ゅ……ゆ?」
「にゃにか…おちてきちゃよ…」
「ごはんしゃん?……」
「ゆっくち…だべりゅよ…」
餌から匂いが漂ってきたのか1匹1匹と餌を口にした。
「むーちゃ…むーちゃ……ゅぅ……」
「おいちくにゃいよぉ……」
「むーちゃ……ぱしゃぱしゃしゅるよぉ……」
「ゆわぁぁぁあん!!!あみゃあみゃ!!あみゃあみゃしゃんだべちゃいよぉぉ!!」
「おいちくにゃいよぉぉ!!ゆっくちしちゃいよぉぉ!!」
餌は全く美味しくなかった。連鎖するように赤まりさ達は泣き出した。
「ゆえぇぇぇぇん!!!!ゆびぇぇぇぇん!!!」
「おいちいのたべちゃいよぉぉ!!!」
「ゆわぁぁあぁぁぁん!!ゆわぁ……ゆ…ゆぎゃぁぁぁ!!!」
「いやぁぁぁ!!!ぢくぢぐしゃんはやぢゃぁぁぁぁ!!!」
「ごびぇんなしゃい!!!ごびゃんなしゃい!!!たべましゅ!!たべましゅ!!!」
再び天井が下がってきた。勿論針が立っている。
「うみぇ!!ぢょううみぇぇぇぇ!!!」
「たべぢぇるでじょぉぉ!!!いぢゃいのはやぢゃぁぁぁ!!!!」
「むーぢゃむーぢゃ!!」
一心不乱に餌を飲み込んでいく赤まりさ。だが天井は速度を落とすことなく下がっていく。そして針が赤まりさ達に突き刺さった。
「いぢゃいぃぃ!!!やべぢぇぇぇぇ!!!」
「ゆぎぇぇぇぇ!!!!ゆぎょっ!!ゆぎぃぃ!!!!」
「いぢゃいよぉぉぉ!!!!いぢゃいよぉぉぉ!!!」
未消化の餌を吐きつつ悲鳴を上げる赤まりさ。天井が元の高さへ戻った。
「ゆひぃ……」
「たべまじゅ……たべるかりゃ…いぢゃいのはやべぢぇ……」
「むーぢゃ…むーぢゃ……ふしあ……わしぇ……ゅ…ゅ…っぐ…」
涙を流しながら吐しゃ物と餌を飲み込んでいった。
「のぢょ…かわいちゃよぉ……」
「おみじゅ……おみじゅ……」
「きゃらきゃらだよぉ……にゃにかのみちゃいよぉ…」
全ての餌を食べた後赤まりさ達は飲み物を探した。周りを見回したりうろついたがあるのは先程流れてきた水が床に僅かだけ。
赤まりさ達は床にうずくまって舐めた。
「ぺーりょ…ぺー……ゆぎぃ!!」
「こ…こりぇどくはいっちぇる!……ゆぎぇぇ……」
「ゆひぃ……きゃらいよぉ……のみぇない……」
「ゆ…?にゃんか…おとがしゅるよ…」
「ゆ!!ま…まちゃきちゃぁぁ!!!」
再び水が流されてきた。赤まりさは逃げ惑った。
「やぢゃぁぁぁ!!!しょんなにいらにゃいよぉぉぉ!!!」
「しょんなにのみぇないよぉぉぉ!!!」
「そりぇじゃどげぢゃうぅぅぅ!!!!」
水はあっという間に赤まりさを飲み込んだ。今回も1分もしないうちに水が排出された。
「ゆひぃ……ゆひゃぁ……」
「もうおみじゅしゃんはいりゃにゃいよぉぉ!!!」
水が引いた後赤まりさ自身は気付いていないだろうが傷だらけだった体が若干回復していた。穴が開いていた部分もうっすらと白い皮で塞がれている。
一方のまりさつむりはどうであろうか。
「むーちゃむーちゃ!!おいちぃぃ!!!」
つむりも固形の餌を食べていた。が、見るからにしっとりとして美味しそうだ。きちんと皿に盛られていて飲み水も用意されていた。
「ごーきゅごーきゅ!ちあわしぇぇ!!!!」
ゆっくりしているまりさつむりとゆっくりできていない赤まりさ達。両者を見せ付けられた帽子無しの赤まりさ達はただうな垂れるしかなかった。
「どうにゃってりゅの…?」
「にゃんで…あっちはゆっくちしちぇにゃいの?でみょこっちはゆっくちちてるよ…?」
「わかりゃにゃいよ……」
ケースの中が少しざわついた。
「おし。迷ってる。今なら大丈夫そうだ」
「荒沢さん。お願いしますね」
「任せてください」
荒沢さんがマイクの前に座った。
『つむりちゃん!ゆっくりしていってね!!』
突然の声に帽子の無い赤まりさ達は驚いた。
「ゆ!!にゃに?」
「だりぇ?どきょにいりゅの?」
『お母さんだよ。つむりちゃんのお母さんだよ!』
「おきゃあしゃん!!?おきゃあしゃんなにょ?」
「まっちぇね!!まりしゃはまりしゃだよ!」
「しょうだよ!おきゃあしゃん!!まりちゃはまりちゃだよ!!」
「ちゅむり?ゆ!!あにょこもちゅむりっていってちゃよ!!」
まりさつむりがいる所がパアァッと明るくなった。赤まりさ達はつむりの方向を向いた。
『この子はなんでゆっくり出来てると思う?』
「ゆ?にゃんでにゃの?」
「ゆっくちちてりゅね…でみょなんぢぇ?」
『それはね、この子がつむりちゃんだからなんだよ』
「ちゅむりは…ゆっくちできるにょ?」
『そうだよ』
「ゆぎぃ!!あぢゅい!!!あぢゅいよぉぉ!!!」
「やびぇぢぇ!!!もうやべぢぇよぉぉ!!!」
突然赤まりさ達の後ろから悲鳴が聞こえてきた。赤まりさ達は後ろを振り返った。
『なんであの子達はゆっくりしてないと思う?』
「ゆ?」
「にゃんで?にゃんでにゃの?」
『それはね、あいつらがまりさだからだよ!!クズでのろまでゲスなまりさだからだよ!!』
少し怒ったような、そんな声だった。
「ゆぅぅ……」
「おこりゃないぢぇぇ…」
「まりしゃは……まりしゃは…ゆっくちちちゃいけにゃいの?」
『そうだよ!!まりさなんて最低なゆっくりなんだよ!!殺されないだけでも有難がるんだね!!!』
「しょ…しょんなぁ……」
「ゆっくち……ゆっくち…ちちゃい……」
『でもおちびちゃん達はまりさじゃないよね。つむりちゃんだもんね。だからゆっくりしていいんだよ!』
「ゆ…」
「でみょ…まりちゃは……」
『おちびちゃん達にはとってもゆっくりしたお飾りがあるでしょ』
「こ…こりぇ?」
「まりしゃの……かじゃりしゃんは………」
『ゆぷぷぷ!!!見てよあのまりさ。全然ゆっくりしてない帽子だね!!あんな汚くてゆっくりできない帽子見たことが無いよ!!』
「ゆ……ゅ…ぅ……」
「おぼうししゃん……ゆっくちできにゃいの……」
「しょんなぁ……」
『でも!つむりちゃんの飾りは本当にゆっくりしてるね!!みんなに見せたらすっごいちやほやされるね!!!』
「ちゅむりは…ゆっくちできりゅ……ゆっくちできりゅの?」
「まりしゃは……まりしゃは…ちゅむり?」
「ゆっくちちちゃい………でみょ…まりしゃ…だよ…」
帽子の無い赤まりさ達はつむりとボロボロの赤まりさ達を交互に見ながらオロオロしていた。
「いいぞ。効果が出てる。もう一押しだ」
「荒沢さん、とどめさしちゃおう」
「はい」
彼女は少し息を吸った。
『つむりちゃん!!お腹空いてない?』
「ゆ…しょういえば…」
「おにゃかしゅいちゃぁ……」
「まりしゃもごはんたべちゃいよ!」
『つむりちゃんにはご飯をあげないとね』
赤まりさの頭上から固形の餌が降ってきた。まりさつむりが食べていたのと同じ餌だ。
「お…おいししょうなにおいがしゅるよ!!」
「しゃっしょくたべりゅんだじぇ!」
「いっちゃぢゃきまーしゅ!!」
赤まりさ達が餌に噛り付いたそのときだった。
『ちょっと待ったぁぁ!!!!!!』
「「「「ゆぅぅ!!!?」」」」
突然の怒号に赤まりさ達は驚き固まってしまった。
『何でこんな所にまりさがいるの!!!?つむりちゃんのふりをしてゆっくりしようだなんてとんだゲスだね!!!!』
赤まりさ達の頭上から人間の腕が伸びてきた。前回同様れいむ種の赤いリボンが巻きつけられている。
「にゃに!!にゃんなのぉぉ!!」
「きょわいよぉぉぉ!!!」
急に現れた腕に戸惑う赤まりさ。すぐに1匹の赤まりさが掴まれた。
「お…おしょらをういちぇりゅぅぅぅ!!!…ゆぎゅっ!!!ゆ…ゆぎぃぃぃぃ!!!」
赤まりさを掴む手に力がこもった。赤まりさの顔色が黒くなり苦しそうにしている。
「ぎゅ…ぎゅるじぃぃ……ゆぎぇぇぇぇ……」
残った赤まりさ達は悲鳴を上げた。
「ゆぎゃぁぁぁ!!!ぎょわい!!!ぎょわいよぉぉぉ!!!」
「やぢゃ!!ゆっくちさしぇちぇぇぇぇ!!!」
「いじみぇにゃいでぇぇぇ!!!!ぷ…ぷきゅぅぅぅ!!!」
「ゆびぇぇぇぇえん!!!ゆっぐぢでぎにゃいぃぃぃ!!!」
捕まった赤まりさはケースからいなくなった。そしてそのまま隣の、散々痛めつけられた赤まりさ達がいるケースに落とされた。
「ゆぎぃ!!!!い…いぢゃい……」
続いて赤まりさの目の前にボロボロになった黒い帽子が落とされた。
「きょ…きょきょはど……ゆぅぅぅぅ!!!!」
赤まりさの目に写ったのは先程散々痛めつけられていたボロボロになった赤まりさ達だ。
「ゅ……ゅ……」
「まぢゃ…いぢゃいよぉぉ……」
「しゅり…しゅりちちぇ………」
「ゆ…っくち……ちちゃい……」
弱々しく呻く赤まりさ。今ここに落とされた赤まりさの頭の中では先程目の当たりにした数々の痛々しいシーンが駆け巡っていた。
「い…いやぢゃ!!いやぢゃぁぁぁ!!!きょきょはゆっくちできにゃい!!!ゆっくちできにゃいぃぃぃ!!!」
赤まりさは辺りを走り回った。
「どきょ!!?どきょにゃの!!!?みんにゃどきょいっちゃったのぉぉぉ!!!!?きょわいよぉぉぉ!!!きょわいよぉぉぉ!!」
今赤まりさがいるケースは床がホットプレートだったり天井が落ちてきたり排水口があったりとギミックが満載だ。
更にマジックミラーを利用しているため外の様子は見えず壁に映っているのは自分の姿だけなのだ。
「ま…まりしゃぁ………」
「や…やぢゃ……まりちゃ…あっちいぎぢゃぐにゃいよぉ……」
「どうにゃっぢゃうの……?まりちゃぁ……」
帽子の無い赤まりさ達が最初に目覚めたケースはスピーカーを仕込んだだけの普通のケースであるため外の様子がちゃんと見える。
隣のケースの中で泣きながら右往左往するさっきまで一緒にいた仲間をしっかりと見ることが出来ているのだ。
「どきょぉぉぉ!!!!?みんにゃぁぁぁ!!!!まりちゃぁぁ!!!!まりしゃぁぁぁ!!!へんじじぢぇぇぇぇ!!!」
赤まりさへの返事はすぐだった。
「ゆぎぃ!!!あ…あぢゅ!!!あぢゅい!!!あぢゅいよぉぉぉぉぉ!!!!」
初めて味わう凄まじい熱さに大いに飛び上がった。このケースの先住民であった赤まりさ達も同様に悲鳴を上げながら飛び上がっていた。
「もうやぢゃ!!!やびぇでぇぇぇ!!!!」
「あんよじゃん!!!!あんよじゃん!!!うぎょいぢぇぇぇ!!!いぢゃいよぉぉぉぉ!!!!」
「あぢゅい!!!!だぢゅげでぇぇぇ!!!!」
「ゆぎゃぁぁぁぁぁ!!!!ゆっぐぢぃぃぃぃぃ!!!!!」
既に底部が機能しなくなった赤まりさもいるようで悲鳴を上げながら床にくっついてるのもいる。
「やぢゃ!!!!ゆっぐぢぢちゃい!!!!ちゅむ…ぢゅむりになるがりゃぁぁぁぁ!!!!!」
ケースの中に木霊する阿鼻叫喚に赤まりさはついにまりさ種であることを否定した。
「ぢゅむりになりばぢゅぅぅぅ!!!!やびぇでぇぇぇ!!!あぢゅい!!!!あぢゅいよぉぉぉぉ!!!!」
だが赤まりさに救いの手は来なかった。
「や…やぢゃよぉ……」
「きょわいよぉ……」
「も…もうやぢゃ……きょわいの…みちゃくにゃい……」
ついさっきまで一緒にいた仲間が痛めつけられているのを目の当たりにした赤まりさ達はブルブル震えていた。
『ゆ!!!!まだいるよ!!!まだつむりちゃんのふりをしたまりさがいるよ!!!!制裁してあげるよ!!!!』
再びケースの中に腕が伸びた。赤まりさ達は我に返り逃げ惑った。
「いやぁぁぁ!!!こにゃいでぇぇぇ!!!!」
「こっぢぐりゅにゃぁぁぁ!!!!ぎょわいよぉぉぉぉ!!!!」
「いぢゃいのはやぢゃぁぁぁぁ!!!!あっぢいっぢぇぇぇぇぇ!!!!」
1匹の赤まりさが転がっていた貝殻の中に頭を入れた。隠れたつもりなのだろうか。
「あ、ねぇ。今貝殻に隠れた子を捕まえてくれない?貝殻ごと」
「こいつですか?」
「捕まえても出しちゃダメよ。私に任せて。大丈夫。すぐ分かるから」
「はぁ…?」
『捕まえたよ!!!まりさにゆっくりなんかさせないよ!!!!』
貝殻に隠れていた赤まりさが捕まった。
「いやぁぁぁ!!!はなじぢぇぇぇ!!!はなじぢぇぇぇぇ!!!!やぢゃ!!やぢゃぁ!!!!ゆっぐぢぢぢゃいぃぃ!!!!」
赤まりさ手の中でじたばたして抵抗した。
『ゆ!!!!まりさじゃないよ!!!つむりちゃん!!!つむりちゃんだったね!!!!ごめんね』
急に優しい口調になった。
「ちゅ…ちゅむり…?まりちゃは…ちゅむりにゃの……?」
赤まりさは手の中で恐る恐る声を出した。
『そうだよ!だってつむりちゃんはとってもゆっくりできる飾りを持っているじゃない!まりさはゆっくりできる飾りは持ってないんだよ!!』
赤まりさはそっと床に降ろされた。そして貝殻を頭に被された。
「ゆ…ゆっくちできりゅ……」
「きゃざりしゃん?」
「ゆ!!!」
まず1匹の赤まりさが気付いた。それに連鎖するかのように他の赤まりさも次々と気付いていった。
「まりしゃはちゅむりだよ!!!」
「まりちゃはつみゅりだよ!!!」
「ちゅむりだよ!!!ちゅむりはゆっくちできりゅよ!!」
赤まりさ達は次々と貝殻を頭に被っていった。
「ゆぅぅぅぅ!!!まりちゃも!!!まりちゃもぉぉぉぉ!!!!」
最後の1匹が遅れて貝殻に飛び付いた。
『見つけたよ!!!!つむりちゃんのふりをするゲスなまりさを見つけたよ!!!!』
貝殻を被る前に赤まりさは捕まってしまった。
「どびょじでぇぇぇ!!!!まりちゃは…ぢゅぶりだよぉぉぉぉ!!!」
『やっぱりまりさだね!!!そんな嘘をつくゲスなゆっくりはまりさだね!!!!制裁するよ!!!!』
「ゆぎゅ…ぎゅ……ぎゅ…ぇ……く…きゅ…りゅ……ぎぇぇぇ」
手の中で赤まりさがもがき苦しんだ。
『制裁なんかじゃ生温いよ!!!ゆっくりしないで死んでね!!!!』
「ゆぎゅっ………ぎぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ…………」
手に更に力が加わり赤まりさは口から大量の餡子を吐き出した。
「ゅぅぅぅぅぅ…………」
「ちゅ…ちゅむり……ちゅむりだよぉ……」
「まりちゃじゃ…ないよぉ……」
残りの赤まりさ達は貝殻を深々と被り息を潜めていた。
『みんな!!!もう大丈夫だよ!!!!悪いまりさはお母さんがやっつけたよ!!!!』
赤まりさ達は貝殻から恐る恐る目を出した。
「ゆ!!!」
「にゃ…にゃにこりぇ……」
「ち…ちんでりゅ?ちんじゃっだの…?」
赤まりさ達の目の前には中身も目玉も無い、皮だけになった赤まりさと餡子の塊が転がっていた。
『さあみんな!!!!邪魔者はいなくなったよ!!たっくさんご飯を食べようね!!!!!』
「ゆ……ゆぅ……」
「ゆぅぅぅ………」
急に優しい口調に戻ったところで赤まりさ達の恐怖が拭えた訳ではない。
『あれ?何でご飯食べないの?つむりちゃんはとってもいいゆっくりなんだけどなぁ…』
「は…はいぃぃぃ!!!」
「たべまじゅ!!たべりゅよぉぉ!!!」
「ちゅぶりだもん!!ちゅぶりだよぉぉ!!!」
流石の赤まりさでもここで逆らったらどうなるかが分かっているようだ。我先にと餌を食べ始めた。
「良くやってくれたよ。いいところで機転がきいたね」
「今のは効きましたよ。大成功じゃないですか」
「うふふ。ありがとうございます」
「死骸の方はどうします?」
「当分そのままにしとけ。まりさ種がどういう扱いを受けるのか、身近で分からせてあげる為にね」
まずは第一関門である"まりさはゆっくりできない"と"まりさつむりはゆっくりできる"の2つを刷り込ませることに成功した。
あとは赤まりさ達をまりさつむりとして育てていくだけである。便宜上ここからはこの赤まりさ達を偽つむりと呼ぶことにしよう。
続く
by エルダーあき
挿絵:キリライターあき