ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko4316 48時間
最終更新:
ankoss
-
view
『48時間』 15KB
観察 ギャグ 不運 飼いゆ 失礼します
観察 ギャグ 不運 飼いゆ 失礼します
チートあきです。
「じゃ、れいむ。良い子でお留守番してるんだぞ」
「はーい」
「はーい」
とあるアパートで、スーツを着込んだ男が玄関のれいむに声を掛けていた。
どこにでもいるような会社員の男と、その飼いゆっくりのれいむである。男はこれから
明後日まで出張だった。れいむはそれまで家で一匹で留守番だ。
どこにでもいるような会社員の男と、その飼いゆっくりのれいむである。男はこれから
明後日まで出張だった。れいむはそれまで家で一匹で留守番だ。
「ご飯は時間が来たら機械から出てくるから、汚さず食べるんだぞ」
「ゆっくりりかいしたよ」
「ゆっくりりかいしたよ」
男の言葉にれいむは元気に答える。
部屋にはゆっくり用の自動給餌機が置いてあった。男が仕事で出掛けている昼は、
この機械から出てくるフードを食べている。いつもはお昼ご飯の一回だけだが、今回
は六回分だった。明後日の朝までである。
部屋にはゆっくり用の自動給餌機が置いてあった。男が仕事で出掛けている昼は、
この機械から出てくるフードを食べている。いつもはお昼ご飯の一回だけだが、今回
は六回分だった。明後日の朝までである。
「いってきます」
「いってらっしゃい」
「いってらっしゃい」
れいむはもみあげを持ち上げ左右に動かした。
応えるように手を振り、男はドアを締める。かちゃりと鍵の閉まる音。
応えるように手を振り、男はドアを締める。かちゃりと鍵の閉まる音。
「おにいさんがかえってくるのはあさってだね。それまでれいむはゆっくりするよ」
れいむは玄関に背を向けた。
ぴょんぴょんと跳ね台所を横切り、男の寝室へと入り、窓際まで移動する。
窓辺に置かれたゆっくり用座布団。そこに着地する。
透明な窓ガラスから狭い庭が見えた。砂利が敷かれまばらに雑草の生えた地面。
その向こうは塀を挟んで道路になっている。日当たりは良い。
ぴょんぴょんと跳ね台所を横切り、男の寝室へと入り、窓際まで移動する。
窓辺に置かれたゆっくり用座布団。そこに着地する。
透明な窓ガラスから狭い庭が見えた。砂利が敷かれまばらに雑草の生えた地面。
その向こうは塀を挟んで道路になっている。日当たりは良い。
「ゆっくりー……」
日の光を浴びながら、れいむはゆっくりと目を閉じた。
腹時計がお昼を伝える。
「ゆっ。そろそろおひるごはんのじかんだね」
ぱちりと目を開け、れいむは座布団から下りた。
部屋を横切り台所へと移り、テーブルの脇に置いてある給餌機の前まで歩いていく。
これはいつもの事なので、目を瞑っていても移動できるだろう。
部屋を横切り台所へと移り、テーブルの脇に置いてある給餌機の前まで歩いていく。
これはいつもの事なので、目を瞑っていても移動できるだろう。
「ごはんさんはゆっくりできるよ」
れいむは給餌機の前に座った。
ミキサーのような機械だった。白く四角い箱の上に、透明な容器が乗せられている。
容器に入れれらたゆっくりフードが、決められた時間ごとに下の受け皿に一定量づつ
出てくる構造だ。容器には1から8までの数字が書かれている。
ミキサーのような機械だった。白く四角い箱の上に、透明な容器が乗せられている。
容器に入れれらたゆっくりフードが、決められた時間ごとに下の受け皿に一定量づつ
出てくる構造だ。容器には1から8までの数字が書かれている。
「ゆぅ……?」
瞬きして、れいむは給餌機を見つめる。
普段はお昼しか食べないので、1の所までしかフードが入っていない。
しかし、今回は6までフードが入っている。
――はずだった。
が、容器はきれいに後ろの風景を見せていた。
つまり。
普段はお昼しか食べないので、1の所までしかフードが入っていない。
しかし、今回は6までフードが入っている。
――はずだった。
が、容器はきれいに後ろの風景を見せていた。
つまり。
「んなぬ!? からぽおおっ!? ちょっとちょっとなんでごはんさん、そこにないのお
おお!? ないってことはれいむ、もうごはんさんたべちゃったの!? いえいえ、れ
いむはまだごはんさんはいっかいもたべてないでしょう!?」
おお!? ないってことはれいむ、もうごはんさんたべちゃったの!? いえいえ、れ
いむはまだごはんさんはいっかいもたべてないでしょう!?」
目を剥いて一度横を向き、改めて給餌機を凝視する。
「れいむびっくらこきすぎてにどみ! ゆっくりけんぽうあのあきのよのゆめのにどみっ!」
いくら見つめても容器は空っぽだ。
れいむは数歩後ろに下がり、そのまま仰向けになった。
れいむは数歩後ろに下がり、そのまま仰向けになった。
「どうしよう……おにいさん、いれわすれだよ……」
うっかり者の飼い主である。今までもゆっくりフードの入れ忘れはあった。一回なの
で食べなくてもさほど問題は無かった。しかし、よりによって二日も部屋を空ける時に
フードの入れ忘れをしてしまった。
で食べなくてもさほど問題は無かった。しかし、よりによって二日も部屋を空ける時に
フードの入れ忘れをしてしまった。
「おにいさんがかえってくるのはあさってのおひるだよ。それまでごはんぬき……」
これから訪れるであろう空腹に、れいむは目を閉じた。
ぴっ。
給餌機の音が聞こえる。
ころっ。
「…………」
れいむは無言で起き上がり皿を見た。
淡い狐色の粒がいくつか皿に乗っている。普段食べている粒状ゆっくりフードだった。
機械の途中に残っていたものが出てきたらしい。普段食べている量よりもはるかに少
ないが、貴重な食料だった。
れいむは皿に近付き、フードを数える。
淡い狐色の粒がいくつか皿に乗っている。普段食べている粒状ゆっくりフードだった。
機械の途中に残っていたものが出てきたらしい。普段食べている量よりもはるかに少
ないが、貴重な食料だった。
れいむは皿に近付き、フードを数える。
「いち、にい、さん……。……じゅうに」
フードは十二粒。
「おにいさんがかえってくるまで、ごはんはろっかいあるから、えっとええと……」
目蓋を下ろし、もみあげでこめかみを押え必死に考えるれいむ。
普段はここまで頭を使うことはないが、緊急事態なので文句は言っていられない。
餡子脳をフル回転させ必要な答えを計算する。
普段はここまで頭を使うことはないが、緊急事態なので文句は言っていられない。
餡子脳をフル回転させ必要な答えを計算する。
「いっかいふたつづつたべればなんとかなるよ!」
目を開き、頷いた。
二個づつ六回に分けて食べれば明後日の朝まで食いつなげる。
だが、れいむは考え直した。
二個づつ六回に分けて食べれば明後日の朝まで食いつなげる。
だが、れいむは考え直した。
「でも、それじゃあとがつらいよ。あんまりおなかがすいていないきょうはたべないで、
あしたとあさってたべると、じゅうにわるよんで……ええとええと……」
あしたとあさってたべると、じゅうにわるよんで……ええとええと……」
しぅぅぅぅ……。
れいむの頭から立ち上る白い湯気。思考力の限界を超える計算を行おうとして、餡
子脳がオーバーヒートを起こしかけている。
勢いよく目を開き、れいむは頭を振った。
子脳がオーバーヒートを起こしかけている。
勢いよく目を開き、れいむは頭を振った。
「ゆあああっ! むずかしいことかんがえるとおなかがすくよ! がまんできなくなった
らすこしづつたべればいいんだよ! ゆっくりりかいしてねっ!」
らすこしづつたべればいいんだよ! ゆっくりりかいしてねっ!」
れいむは給餌機から離れた。
窓辺の座布団まで移動し、勢いよく座布団に飛び乗る。
窓辺の座布団まで移動し、勢いよく座布団に飛び乗る。
「ゆっくりしていれば、おなかはすかないよっ!」
「れいむ、あそびにきたのぜ」
窓の外に現われたまりさ。ベランダのコンクリートを蹴って、窓の外に置いてある木
の台へと飛び乗った。縁側代わりの木の台である。
れいむは目蓋を持ち上げ、窓ガラス越しに挨拶をした。
の台へと飛び乗った。縁側代わりの木の台である。
れいむは目蓋を持ち上げ、窓ガラス越しに挨拶をした。
「まりさ……、ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!」
「ゆっくりしていってね!」
挨拶を返すまりさ。
頭に乗せた帽子には緑と白の地域ゆっくりバッジが付いていた。隣の小さな公園で
地域ゆっくりをしているまりさだった。バッジに付いている星シールはひとつ。一般ゆっ
くりである。ひょんな事で知合い、親交を持っていた。
仕事が終わってから、生け垣の隙間を通ってよく遊びに来る。
頭に乗せた帽子には緑と白の地域ゆっくりバッジが付いていた。隣の小さな公園で
地域ゆっくりをしているまりさだった。バッジに付いている星シールはひとつ。一般ゆっ
くりである。ひょんな事で知合い、親交を持っていた。
仕事が終わってから、生け垣の隙間を通ってよく遊びに来る。
「げんきなさそうなのぜ、れいむ。どうかしたのぜ? びょうきなのぜ?」
まりさがれいむを見つめ、眉を寄せた。
れいむは大きくため息を付き、
れいむは大きくため息を付き、
「うん。じつはかくかくしかじか」
「まるまるうしうしなのぜ……」
「まるまるうしうしなのぜ……」
神妙な面持ちでまりさが頷いた。
「それはさいなんだったのぜ……。でもだいじょうぶなのぜ、れいむ。みっかくらいなに
もたべなくても、ゆっくりはしんだりしないのぜ。まりさもむかしはそんなせいかつしてた
のぜ。あんがいゆっくりってじょうぶなのぜ」
もたべなくても、ゆっくりはしんだりしないのぜ。まりさもむかしはそんなせいかつしてた
のぜ。あんがいゆっくりってじょうぶなのぜ」
元気に告げてくるまりさ。
まりさは元々野良ゆっくりだったらしい。野良の生活は色々大変だとれいむは聞かさ
れていた。室内飼いでほとんど外出しないれいむには、想像も付かない世界である。
野良生活に比べると地域ゆっくりは、随分楽であるらしい。
まりさは元々野良ゆっくりだったらしい。野良の生活は色々大変だとれいむは聞かさ
れていた。室内飼いでほとんど外出しないれいむには、想像も付かない世界である。
野良生活に比べると地域ゆっくりは、随分楽であるらしい。
さておき。れいむはちょっとのーびのーびしつつ、
「それ、なぐさめになってないからね!」
「ゆ~ん」
「ゆ~ん」
まりさは困ったようにお下げで頭を掻く。
ぴこん、とまりさの頭に電球が灯った。
ぴこん、とまりさの頭に電球が灯った。
「そうなのぜ。まりさにいいかんがえがあるのぜ」
「いいかんがえ?」
「それはあしたのおたのしみなのぜ!」
「いいかんがえ?」
「それはあしたのおたのしみなのぜ!」
自信たっぷりに、まりさは答えた。
夜。
「ゆぅ……、ゆぅ……」
男の部屋の隅に置かれたベッドで、れいむは眠っていた。
浅いカゴにタオルを敷いたものだが、れいむにとっては立派なベッドだ。カゴの凹み
具合がれいむの身体にぴったり合っていて、非常にゆっくり眠れる。
窓のカーテンは閉めてある。
浅いカゴにタオルを敷いたものだが、れいむにとっては立派なベッドだ。カゴの凹み
具合がれいむの身体にぴったり合っていて、非常にゆっくり眠れる。
窓のカーテンは閉めてある。
「ゆふふ……」
睡りながら、れいむが小さく笑った。
「ほーられいむ。バケツプリンだぞー。さあ思う存分食べろよ」
飼い主の男が、巨大な皿を持っていた。そこにはれいむと同じくらいの大きさのプリ
ンが盛られていた。茶色い絡めると白いホイップクリームが添えてある。
男がバケツプリンをれいむの前に置いた。
ンが盛られていた。茶色い絡めると白いホイップクリームが添えてある。
男がバケツプリンをれいむの前に置いた。
「あと、クッキーもケーキも、羊羹もあるぞー」
山盛りのクッキー、巨大なケーキ。延べ棒のように山積みにされた棒羊羹。大量の
あまあまがれいむの前に並べられていく。
あまあまがれいむの前に並べられていく。
「ゆわぁああ!」
瞳を輝かせ、れいむは涎を垂らしていた。
ぴこぴこともみあげを動かし、れいむは男を見上げる。
ぴこぴこともみあげを動かし、れいむは男を見上げる。
「おにいさん、いいの? これぜんぶれいむがたべていいの!?」
「いいぞ。良い子に留守番してたご褒美だ」
「いいぞ。良い子に留守番してたご褒美だ」
笑顔で男が答える。
「ゆわ~い。ありがとう、おにいさん! いただきまぁ~す」
れいむは遠慮無くご馳走に飛びついた。
「ゆっ!」
跳ね起きるれいむ。
窓から差し込む明るい日の光。微かに頬を撫でる朝の冷たさ。遠くから車の走る音
や、登校途中の子供の話し声などが聞こえる。
窓から差し込む明るい日の光。微かに頬を撫でる朝の冷たさ。遠くから車の走る音
や、登校途中の子供の話し声などが聞こえる。
「ゆわ~ぁ」
寝起きの微睡みの中で、れいむは欠伸をした。
くー。
お腹が鳴った。
直前に見ていた夢が、一気に思い出される。
直前に見ていた夢が、一気に思い出される。
「どぼじでいいところでめがさめちゃうのおおおおっ! ゆめでもいいからひとくちくらい
たべさせてねえええっ!」
たべさせてねえええっ!」
と、そこで気付く。
「………」
そこは普段使っているベッドではなかった。
台所に置いてある給餌機の前である。寝室の隅に置かれたベッドで眠ったはずなの
だが、何故か起きたのは台所だった。しかも、皿に残っていたはずのゆっくりフードが
ない。十二粒あったフードが一粒も残っていない。
舌で口の中を舐めてみると、微かにゆっくりフードの味が感じられた。
寝ている間に無意識に移動し食べてしまったらしい。
台所に置いてある給餌機の前である。寝室の隅に置かれたベッドで眠ったはずなの
だが、何故か起きたのは台所だった。しかも、皿に残っていたはずのゆっくりフードが
ない。十二粒あったフードが一粒も残っていない。
舌で口の中を舐めてみると、微かにゆっくりフードの味が感じられた。
寝ている間に無意識に移動し食べてしまったらしい。
「せめておきてるときにたべさせてねええええ!」
れいむは泣きながら叫んだ。
ぐー。
くぅー。
くぅー。
二日目の午後。
「おなかすいたよ……」
仰向けになったれいむは、力無く呟いた。
生まれてから半年くらい。れいむはこれほどの空腹を味わった事がなかった。ペット
用として生まれ育ったので、空腹には耐性が無いのだ。
生まれてから半年くらい。れいむはこれほどの空腹を味わった事がなかった。ペット
用として生まれ育ったので、空腹には耐性が無いのだ。
「こういうときは、てれびさんをみてきをまぎらわせるのがいいよ」
仰向けから起き上がり、れいむはテレビの前に移動した。
暇な時はテレビを見ていいと飼い主に言われている。見られるのは飼いゆっくり専用
ゆーちゃんねるだけだが、特に不満は無かった。
れいむはお祓い棒を咥え、リモコンのボタンを押す。
暇な時はテレビを見ていいと飼い主に言われている。見られるのは飼いゆっくり専用
ゆーちゃんねるだけだが、特に不満は無かった。
れいむはお祓い棒を咥え、リモコンのボタンを押す。
ピッ。
『こぼね~♪』
『うー♪』
『うー♪』
テレビから流れるゆゆことれみりゃの声。
「!」
れいむは目を見開き固まった。咥えていたお祓い棒が落ちる。
『ゆゆことれみりゃの捕食種バンザイ!』
続けて流れる楽しそうな女性の声。ゆーちゃんねるの人気番組だ。
画面の右下に再放送の文字。
画面の右下に再放送の文字。
「あああ……」
これから何が起るかを理解し、れいむはただ震えていた。
ぐるめなゆゆことれみりゃが色々なものを食べるというシンプルな内容。フードから草
や木の実、水、さらに土や石まで本当に何でも食べる。しかも非常に美味しそうに食
べるので、見ているとひたすらお腹が空く。そんな番組だ。
ぐるめなゆゆことれみりゃが色々なものを食べるというシンプルな内容。フードから草
や木の実、水、さらに土や石まで本当に何でも食べる。しかも非常に美味しそうに食
べるので、見ているとひたすらお腹が空く。そんな番組だ。
「こんなときにどぼじでそんなばんぐみほうそうするのおお!?」
滝のような涙を流しながら、れいむは悲鳴を上げた。
テレビに映る街の風景。
テレビに映る街の風景。
『こぼね、こぼねー』
『ふだんなにげなくみているみちばたにも、おいしいくささんはえてるみょん』
『ふだんなにげなくみているみちばたにも、おいしいくささんはえてるみょん』
ゆゆこの言葉を翻訳しているみょん。
『うー。うーっ、うー』
『よくみかえるものではよもぎ、せり、のびるなどです。これらはにんげんさんがやそう
としてたべることもありますね』
『よくみかえるものではよもぎ、せり、のびるなどです。これらはにんげんさんがやそう
としてたべることもありますね』
れみりゃの言葉を翻訳しているさくや。
どこにでもあるような街の風景と、道ばたや空き地に生えている雑草が映される。普
通ならただの雑草として見逃している草の中にも、食べられるものは意外と多い。野良
ゆっくりはそういう草を食べる事が多いらしい。
通ならただの雑草として見逃している草の中にも、食べられるものは意外と多い。野良
ゆっくりはそういう草を食べる事が多いらしい。
『こぼね、こぼ~ね~♪』
『うー☆ ううー。うー』
『うー☆ ううー。うー』
道ばたに生えているタンポポを食べる二匹。実に美味しそうな食べっぷりだった。た
だの草だが、ご馳走のように見える。
だの草だが、ご馳走のように見える。
「ゆわぁぁ……」
もみあげで両目を塞ぎながら、塞ぎきれずにれいむはがっちりと画面を見ていた。
「みちゃだめだよ……! みたらゆっくりできないよ……! てれびさんきえてね、ゆっ
くりしないできえてね……」
くりしないできえてね……」
きゅぅぅぅ。
ぐぐぅー。
ぐぐぅー。
お腹が空腹を訴えていた。
ゆゆことれみりゃは本当に美味しそうに草を食べている。それがまるでサラダのよう
に笑顔で草を噛み、咀嚼していた。
ゆゆことれみりゃは本当に美味しそうに草を食べている。それがまるでサラダのよう
に笑顔で草を噛み、咀嚼していた。
「れいむは……てれびさんをけすよ……! だいじょうぶだよ、できるよ……! れい
むにはできるよ、うん……これをおすだけだよ……!」
むにはできるよ、うん……これをおすだけだよ……!」
震えながら、れいむは落ちたお祓い棒を咥える。
その先端をリモコンの電源ボタンに添えた。
その先端をリモコンの電源ボタンに添えた。
『こぼね~』
『う~』
「おすだけなのに、おすだけできえるのに……! どぼじでおぜないのおおお!?」
『う~』
「おすだけなのに、おすだけできえるのに……! どぼじでおぜないのおおお!?」
テレビの画面を凝視したまま、れいむは悲鳴を上げた。
夕方。
公園のまりさが遊びに来た。
公園のまりさが遊びに来た。
「れいむ、ゆっくりしていってね!」
「まりさ……。ゆっくりしていってね……」
「まりさ……。ゆっくりしていってね……」
力の抜けた挨拶を返すれいむ。
窓ガラス越しに向かい合う二匹。
木の台に座ったまりさが、心配そうに眺めてくる。
窓ガラス越しに向かい合う二匹。
木の台に座ったまりさが、心配そうに眺めてくる。
「げんきないのぜ。だいじょうぶなのぜ?」
「あんまり……」
「あんまり……」
ため息混じりにれいむは答えた。
断食二日目。野生や野良のゆっくりに比べ飼いゆっくりはかなり小食であるが、その
分空腹には弱い。少し食べないだけで衰弱してしまう。それでも室内という環境なら一
週間くらいは生きていられるのだが。
断食二日目。野生や野良のゆっくりに比べ飼いゆっくりはかなり小食であるが、その
分空腹には弱い。少し食べないだけで衰弱してしまう。それでも室内という環境なら一
週間くらいは生きていられるのだが。
「ここはまりさにまかせるんだぜ!」
きりっと宣言してから、まりさが頭を動かした。
帽子から取り出した紙箱。
帽子から取り出した紙箱。
「あまあま?」
れいむは瞬きしてそれを見つめる。
紙箱に入った小さなビスケットのようなものが八枚。あまあまビスケット。ゆっくり用
のおやつだ。れいむも時々飼い主から貰って食べている。地域ゆっくりはお給料のゆ
っくりポイントを払いこういうものが買えるらしい。一般ゆっくりは一日2ポイントのお給
料が貰え、あまあまを買うには10ポイント必要とまりさは言っていた。
ちなみに人間が普通に店で買うと、一箱百円である。
紙箱に入った小さなビスケットのようなものが八枚。あまあまビスケット。ゆっくり用
のおやつだ。れいむも時々飼い主から貰って食べている。地域ゆっくりはお給料のゆ
っくりポイントを払いこういうものが買えるらしい。一般ゆっくりは一日2ポイントのお給
料が貰え、あまあまを買うには10ポイント必要とまりさは言っていた。
ちなみに人間が普通に店で買うと、一箱百円である。
まりさはきらりと目を輝かせ、
「いまからこれをまりさが、むーしゃむーしゃするんだぜ。れいむはそれをみてゆっくり
するんだぜ。われながらないすあいでぃあなのぜ!」
「まりさ」
「ゆ……?」
するんだぜ。われながらないすあいでぃあなのぜ!」
「まりさ」
「ゆ……?」
れいむの静かな声に、まりさが動きを止めた。
れいむの全身から立ち上るどす黒いオーラ。れみりゃでも動きを止めるだろう濃い殺
気である。少し下ろされた目蓋と、硬く結ばれた口元。額に浮かぶ怒りの印。れいむの
黒い瞳がまりさを射貫いていた。
れいむの全身から立ち上るどす黒いオーラ。れみりゃでも動きを止めるだろう濃い殺
気である。少し下ろされた目蓋と、硬く結ばれた口元。額に浮かぶ怒りの印。れいむの
黒い瞳がまりさを射貫いていた。
「そこにすわりなさい」
「はいなのぜ……」
「はいなのぜ……」
言われるがままに、まりさはれいむの前に座った。体勢はほとんど変わっていないが、
足に込める力を抜く。少しだけ背が低くなっていた。
足に込める力を抜く。少しだけ背が低くなっていた。
「れいむはいま、すっごくおなかがすいてるんだよ。まりさももともとのらゆっくりだった
んだから、ごはんさんがたべられないつらさはわかるでしょう?」
「わかるのぜ。とってもよくわかるのぜ」
んだから、ごはんさんがたべられないつらさはわかるでしょう?」
「わかるのぜ。とってもよくわかるのぜ」
神妙な面持ちでまりさは頷いた。空腹の辛さはまりさもよく理解している。食事とお家
に困らない地域ゆっくりの生活は本当に幸せだった。
れいむも頷いてから、続ける。
に困らない地域ゆっくりの生活は本当に幸せだった。
れいむも頷いてから、続ける。
「そんなときに、もしめのまえであまあまさんをむーしゃむーしゃするゆっくりがいたらど
うおもう? しかも、むーしゃむーしゃするすがたをしてゆっくりしてねっていわれたらま
りさはどうするの?」
「ゆぅ……。ごはんさんうばってるかもしれないのぜ」
うおもう? しかも、むーしゃむーしゃするすがたをしてゆっくりしてねっていわれたらま
りさはどうするの?」
「ゆぅ……。ごはんさんうばってるかもしれないのぜ」
至極真面目にまりさはそう答えた。
野良ゆっくりにはルールなどない。飢えた同族の前で食事を見せつければご飯を奪
われてもおかしくはない。まりさも飢えた時に目の前で食事を見せつけられたら、相手
に襲いかかっていただろう。食い物の執念は恐ろしいのだ。
瞳に怒りの炎を燃やし、れいむが叫ぶ。
野良ゆっくりにはルールなどない。飢えた同族の前で食事を見せつければご飯を奪
われてもおかしくはない。まりさも飢えた時に目の前で食事を見せつけられたら、相手
に襲いかかっていただろう。食い物の執念は恐ろしいのだ。
瞳に怒りの炎を燃やし、れいむが叫ぶ。
「それをいままりさはれいむにやってるんだよおお!? ゆっくりりかいしてねええ!」
「はっ。うっかりしてたのぜ!」
「はっ。うっかりしてたのぜ!」
ぽんと手を打つようにまりさはお下げを動かした。
「うっかりじゃなああああい!」
餡子の涙を流しそうな勢いでれいむは叫ぶ。
三日目の昼。
「ゆぎぎ……」
れいむは玄関で飼い主が帰ってくるのを待っていた。
「おなかがすいてからだがねじれそうだよ」
呻きながらその場で倒立し足を捻る。もみあげを床に付き、歯を食い縛った。前衛芸
術のような恰好である。そうでもしなければ頭がおかしくなりそうだった。
その空腹もあと少しで終わる。
術のような恰好である。そうでもしなければ頭がおかしくなりそうだった。
その空腹もあと少しで終わる。
「おにいさんはやくかえってきてね……」
何度目か、何十度目かの呟き。
「ゆ」
遠くから聞き慣れた足音が近付いてくる。
アパートの通路を歩く靴の音。
アパートの通路を歩く靴の音。
「ゆわ……あ……」
れいむは瞳を輝かせてドアを見た。一昨日から今日まで、およそ四十八時間に及ぶ
空腹との戦いが流れるように思い出される。辛い戦いだがそれもこれでおしまいだ。
飼い主に言えばご飯は食べられる。それで空腹ともおさらばだ。
れいむの口から涎が、目から涙が溢れる。
空腹との戦いが流れるように思い出される。辛い戦いだがそれもこれでおしまいだ。
飼い主に言えばご飯は食べられる。それで空腹ともおさらばだ。
れいむの口から涎が、目から涙が溢れる。
「ただいま。れいむ、いい子にお留守番してたかー?」
ドアが開き、男が帰ってくる。
スーツ姿の男。見送った時と変わらない姿だ。その視線がれいむに向けられる。
スーツ姿の男。見送った時と変わらない姿だ。その視線がれいむに向けられる。
「……」
「………」
「………」
見つめ合う一匹と一人。
男は目を点にして玄関のれいむを見つめていた。
逆立ち状態で足を捻り、両もみあげを床に付け、目をぎらぎら輝かせながら涙を流し、
口から涎を垂らしている怪物体。男の知っているれいむではない。というか、ゆっくりか
どうかさえ怪しく見える。
男は目を点にして玄関のれいむを見つめていた。
逆立ち状態で足を捻り、両もみあげを床に付け、目をぎらぎら輝かせながら涙を流し、
口から涎を垂らしている怪物体。男の知っているれいむではない。というか、ゆっくりか
どうかさえ怪しく見える。
「すみません。お家間違えました」
静かに言って男はドアを締めた。
「ゆんやああああ! まってえええ! おにいさんっ、まちがってないよ! おにいさん
のおうちはここだよおおお! いやああああ、いかないでええ!」
のおうちはここだよおおお! いやああああ、いかないでええ!」
れいむは泣きながらドアに突進した。
『anko4238 旗の見えるまりさ』と『anko4284 歌うのうかりん』にて挿絵を描いていただき
ありがとうございます。
お礼が遅れてすみませんでした。
ありがとうございます。
お礼が遅れてすみませんでした。
過去SS過去SS
anko4284 歌うのうかりん
anko4270 ゆゆこのグルメ
anko4262 立ち退き命令
anko4252 条件は「ゆっくりしたこと」
anko4248 無限の闇に落ちる
以下略
anko4284 歌うのうかりん
anko4270 ゆゆこのグルメ
anko4262 立ち退き命令
anko4252 条件は「ゆっくりしたこと」
anko4248 無限の闇に落ちる
以下略