ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko4420 心無い天使
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ankoss
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『心無い天使』 13KB
虐待 観察 群れ 失礼します
虐待 観察 群れ 失礼します
チートあきです。
「ゆー……」
大きな木の根元で、一匹のまりさがぐったりしていた。痩せたまりさである。
既に日は暮れ始めている。普通のゆっくりなら、日没前には家に帰るものだ。日が暮れ
ると視界が悪くなり、まともに移動できなくなるからだ。
既に日は暮れ始めている。普通のゆっくりなら、日没前には家に帰るものだ。日が暮れ
ると視界が悪くなり、まともに移動できなくなるからだ。
「おうちかえりたくないのぜ……。でもかえらないと、またおこられるのぜ……」
お家のある方向に、光の消えた瞳を向ける。
家にいるのはでいぶと、増長したおちびたち。まりさは奴隷として家族にコキ使われて
いた。必死に狩りをしても成果はほとんど奪われ、少ないとか無能とか文句を言われる。
おちびも母でいぶに影響され、まりさを奴隷として見るようになっていた。
典型的な駄目まりさである。
そこに、影が差した。
家にいるのはでいぶと、増長したおちびたち。まりさは奴隷として家族にコキ使われて
いた。必死に狩りをしても成果はほとんど奪われ、少ないとか無能とか文句を言われる。
おちびも母でいぶに影響され、まりさを奴隷として見るようになっていた。
典型的な駄目まりさである。
そこに、影が差した。
「辛そうだね、まりさ。ゆっくりしたいかい?」
「ゆ?」
「ゆ?」
まりさが見上げた先に、一人の人間が立ってた。
翌日の朝。
斜面に掘られた巣穴の中で、子ゆっくりが騒いでいた。
斜面に掘られた巣穴の中で、子ゆっくりが騒いでいた。
「おかーしゃん、おなかしゅいたー」
「ごはんまだなのじぇー?」
「ゆぎぎ……。あのくそどれいいっ! いつまでまたせるつもりなのっ! でいぶだちはお
なかぺーこぺーこなんだよ! どこであそんでるの! はやくかえってこいっ! かえった
らせいっさっいしてやるよ!」
「ごはんまだなのじぇー?」
「ゆぎぎ……。あのくそどれいいっ! いつまでまたせるつもりなのっ! でいぶだちはお
なかぺーこぺーこなんだよ! どこであそんでるの! はやくかえってこいっ! かえった
らせいっさっいしてやるよ!」
額に青筋を浮かべ、でいぶが歯軋りをしている。
昨日狩りに行ったまりさが返って来ない。そのため、でいぶとおちびは何も食べずに一
晩過ごすはめになっていた。帰ってきたまりさにどんな制裁をするか、歯を軋らせながら
でいぶは考えていた。
昨日狩りに行ったまりさが返って来ない。そのため、でいぶとおちびは何も食べずに一
晩過ごすはめになっていた。帰ってきたまりさにどんな制裁をするか、歯を軋らせながら
でいぶは考えていた。
「れいむっ!」
お家の前に現われたありす。
「すぐきて。まりさが、たいへんなことになってるわ!」
「ゆ?」
「ゆ?」
ありすの口から出た言葉に、でいぶが目を点にした。
「………」
大きな木の根元で目を閉じているまりさ。
まるで眠っているような姿だが、命は感じられない。
まるで眠っているような姿だが、命は感じられない。
「どぼじでばりざがじんでるのおお!?」
まりさの死体を見て、でいぶは悲鳴を上げていた。
「これがら、でいぶはどうずればいいのおお!?」
狩り役であるまりさが死んだということは、今後はれいむが狩りをすることとなる。当たり
前だが、サボりまくっていたでいぶに、狩りをする力も技術も残っていない。
前だが、サボりまくっていたでいぶに、狩りをする力も技術も残っていない。
「おちついて、れいむ」
「おちつくみょん」
「おちつくみょん」
ありすとみょんが、騒ぐでいぶを連れて行く。
「ゆぅ……」
長れいむは神妙な面持ちでまりさの死体を見つめていた。奇妙な死体だった。どこにも
外傷ははなく、病死でもない。それなりの年齢であるため、れいむは今まで色々な死を見
てきた。だが、このまりさは今まで見た死体とは明らかに違う。
外傷ははなく、病死でもない。それなりの年齢であるため、れいむは今まで色々な死を見
てきた。だが、このまりさは今まで見た死体とは明らかに違う。
「ねえ、ちぇん」
「おかしいんだねー。わかるよー」
「おかしいんだねー。わかるよー」
隣にいる幹部ちぇんが答える。
「まりさ……ものすごくゆっくりしてるんだねー。わからないよー?」
まりさは口元に淡い笑みを浮かべ、静かに目を閉じて木に寄り掛かっていた。その姿
は非常にゆっくりしていた。生まれる時を待つ実ゆっくりのような無邪気さと暖かさ。屍臭
さえもない。まるでお昼寝をしているような顔だった。
だが、死んでいる。
は非常にゆっくりしていた。生まれる時を待つ実ゆっくりのような無邪気さと暖かさ。屍臭
さえもない。まるでお昼寝をしているような顔だった。
だが、死んでいる。
「なんなんだろう?」
長れいむは訝しげにもみあげを動かした。
「いたい……わ……」
お家の中で、一匹のありすが苦しんでいた。灌木の陰に草と枝を組み上げたお家。そ
の身体は緑や白のカビに蝕まれている。
の身体は緑や白のカビに蝕まれている。
「くるしい……」
呻くが、痛みは消えない。
野生や野良のゆっくりがカビに蝕まれたら、助かる可能性は低い。栄養状態がよかっ
たり治療のできるゆっくりがいれば助かるが、大抵はそのまま衰弱死である。
野生や野良のゆっくりがカビに蝕まれたら、助かる可能性は低い。栄養状態がよかっ
たり治療のできるゆっくりがいれば助かるが、大抵はそのまま衰弱死である。
「カビか。治療しないと数日中に死ぬね」
「にんげん……?」
「にんげん……?」
不意に声をかけられ、ありすはお家の外を見た。
人間が屈んでありすを見下ろしている。
人間が屈んでありすを見下ろしている。
「なあ、ありす。そんなに苦しいならゆっくりしてみないかい?」
そう言ってポケットに手を入れた。
「ゆぁ、まただよ……」
お家の中で息絶えたありすを見つめ、長れいむは息を吐いた。
咥えていた草が地面に落ちる。ササの若芽、ドクダミ、ヨモギ、オオバコなど。薬となる
草だった。カビに侵されたゆっくりが出た場合は、薬草を大量に食べさせる。それがこの
群れの治療法だった。効果はそれなりにある。
薬草を運ぶのは長の仕事だ。体力があるため、カビが移る可能性も低い。
咥えていた草が地面に落ちる。ササの若芽、ドクダミ、ヨモギ、オオバコなど。薬となる
草だった。カビに侵されたゆっくりが出た場合は、薬草を大量に食べさせる。それがこの
群れの治療法だった。効果はそれなりにある。
薬草を運ぶのは長の仕事だ。体力があるため、カビが移る可能性も低い。
「なんで」
だが、それは無意味だった。
ありすはお家の中で永遠にゆっくりしていた。
ありすはお家の中で永遠にゆっくりしていた。
「なんで、そんなにゆっくりしてるの……?」
先日のまりさ同様、れいむが羨ましくなるほどのゆっくりした表情で。
「むきゅ、ぁ……」
ぱちゅりーの呻き声。
「そこでなにしてるみょん!」
それを聞き、みょんははくろーけんを咥えて飛び出していた。細い笹の枝である。剣と
いよりは槍であり、硬い竹で先端も尖っているため、結構強い。
地面に伏したぱちゅりーとそれを見下ろす人間。
いよりは槍であり、硬い竹で先端も尖っているため、結構強い。
地面に伏したぱちゅりーとそれを見下ろす人間。
「………」
人間は無言でみょんに目を向ける。
そのまま何も言わずその場を立ち去った。
緊張を解かぬままみょんはぱちゅりーへと近付く。
そのまま何も言わずその場を立ち去った。
緊張を解かぬままみょんはぱちゅりーへと近付く。
「ぱ、ぱちゅりー……!」
ぱちゅりーは既に息絶えていた。
とてもゆっくりした表情で。
とてもゆっくりした表情で。
「つまり、これはわるいにんげんのしわざってことだね」
長れいむを中心に集まった幹部ゆっくりたち。
最近立て続けに起こっている変死事件。みょんの目撃により、その原因がようやく分か
った。人間が何らかの方法を使って、群れのゆっくりを殺している。
ちぇんが不安げに尻尾を動かした。
最近立て続けに起こっている変死事件。みょんの目撃により、その原因がようやく分か
った。人間が何らかの方法を使って、群れのゆっくりを殺している。
ちぇんが不安げに尻尾を動かした。
「でも、わからないよー。みんなすっごくゆっくりしたかおでしんでるんだねー。いったいな
にをどうしてるだろうねー……? わからないよー……」
にをどうしてるだろうねー……? わからないよー……」
殺されたゆっくりは今のところ三匹。その全員がこの上なくゆっくりした表情で息絶えて
いた。あり得ない事である。事故や病気などで死んだゆっくりは、皆苦悶の表情を浮かべ
ていた。ゆっくりした顔で死ぬことはない。
れいむは毅然と答える。
いた。あり得ない事である。事故や病気などで死んだゆっくりは、皆苦悶の表情を浮かべ
ていた。ゆっくりした顔で死ぬことはない。
れいむは毅然と答える。
「にんげんは、れいむたちがしらないちからもわざも、たくさんもってるんだよ。だから、れ
いむたちにはけんとうもつかないころしかたもできるんだよ。わからないことをむりにかん
がえてもしかたないんだよ」
いむたちにはけんとうもつかないころしかたもできるんだよ。わからないことをむりにかん
がえてもしかたないんだよ」
分からない事を考えても無意味。分かる事だけを全力で考える。
無難な選択だった。
無難な選択だった。
「とにかく、『きんきゅうじたい』をせんげんするよ……!」
れいむは幹部たちを見回し、そう言った。
「おい、くしょ……にんげ……」
森の中を歩く人間の前に、子まりさが立ちはだかった。泥だらけになって窶れた顔をし
ている。帽子も髪もぼろぼろだった。餓死一歩手前という有様である。
その横には子れいむが二匹。こちらも子まりさ同様ぼろぼろだった。
ている。帽子も髪もぼろぼろだった。餓死一歩手前という有様である。
その横には子れいむが二匹。こちらも子まりさ同様ぼろぼろだった。
「れいみゅたちは……おなか、ぺーこ……ぺー……こ、なんだよ……」
「なにか、たべられる……もの、ちょうだいね」
「なにか、たべられる……もの、ちょうだいね」
一番最初に犠牲となったまりさのおちびである。片親となった一家には一応群れからご
飯の支援がなされていた。しかし、そのご飯はでいぶがほぼ独り占めしてしまい、おちび
には文字通り食いカスしか行っていない。
人間はその場に屈み込み、
飯の支援がなされていた。しかし、そのご飯はでいぶがほぼ独り占めしてしまい、おちび
には文字通り食いカスしか行っていない。
人間はその場に屈み込み、
「あまあまでよければ、あげるよ?」
獣道の真ん中で息絶えている子ゆっくりが三匹。
皆ぼろぼろのまま、ゆっくりした顔を見せていた。
皆ぼろぼろのまま、ゆっくりした顔を見せていた。
「どぼじででいぶのおぢびぢゃんだぢがじんでるのおお!?」
それを発見した親でいぶがぐねぐねしながら悲鳴を上げていた。遠巻きに眺める他の
ゆっくりに構わず、死んだ子ゆっくりに叫んでいる。
ゆっくりに構わず、死んだ子ゆっくりに叫んでいる。
「おぢびぢゃんがじんじゃっだら、もうしえんさんがもらえないでじょおお!? これがら、
でいぶはどうやっでいぎでいげばいいのおお!?」
でいぶはどうやっでいぎでいげばいいのおお!?」
支援が無くなり、でいぶは自分だけで生きていかなければならない。
それに同情するゆっくりはいなかった。
それに同情するゆっくりはいなかった。
日も傾いた夕方。
「わからないよー……」
ちぇんは木の下でため息を付いていた。
現在犠牲者は確認できているだけで十二匹。もしかしたらもっと多いかもしれない。人
間によって殺された群れの仲間。皆非常にゆっくりした顔で死んでいた。苦しんだ顔をし
ていないのは、幸いなのかもしれない。
現在犠牲者は確認できているだけで十二匹。もしかしたらもっと多いかもしれない。人
間によって殺された群れの仲間。皆非常にゆっくりした顔で死んでいた。苦しんだ顔をし
ていないのは、幸いなのかもしれない。
「これじゃ、むれがぜんめつしちゃうよ……。それはいやなんだねー」
本気で殺しにかかってくる人間に対し、ゆっくりは無力だ。自然環境はなんとなーくゆっ
くりを生き延びさせてくれるが、人間にはそんな甘さなどない。ちぇんは十分にその事実
を理解している。
全滅が先か、人間が飽きるのが先か。
くりを生き延びさせてくれるが、人間にはそんな甘さなどない。ちぇんは十分にその事実
を理解している。
全滅が先か、人間が飽きるのが先か。
「わからないよぉ……」
「辛そうにしてるね、ちぇん」
「!」
「辛そうにしてるね、ちぇん」
「!」
ちぇんはその場を跳び退り、声の主に向き直った。
「にんげんっ!」
人間がいた。距離は三メートルほど。
目を見開き、口元から牙を覗かせ、猫耳と尻尾を立てて威嚇する。ぷくーとは違う、本
気の威嚇だった。この威嚇を向けられたゆっくりは、大抵その場で失神する。
しかし、人間には通じない。
目を見開き、口元から牙を覗かせ、猫耳と尻尾を立てて威嚇する。ぷくーとは違う、本
気の威嚇だった。この威嚇を向けられたゆっくりは、大抵その場で失神する。
しかし、人間には通じない。
「まあまあ、そう殺気立たないでよ。僕は別に君たちに危害を加えたいわけじゃない。毎
日辛そうに生きてるから、少しゆっくりを分けてあげたいんだよ」
「うそつきはゆっくりできないんだよー!」
日辛そうに生きてるから、少しゆっくりを分けてあげたいんだよ」
「うそつきはゆっくりできないんだよー!」
ちぇんの言葉に、人間はポケットから小さな何かを取り出した。
「嘘じゃないって。ほら」
「!」
「!」
人間が取り出したものを、ちぇんは凝視する。
紙に包まれた何か。人間が包み紙を取ると、出てきたのは小さな四角だった。石ころほ
どの大きさで淡い黄色。砂を固めたようにも見える。
だが、ちぇんは本能的にそれが何であるかを悟った。
お菓子。
紙に包まれた何か。人間が包み紙を取ると、出てきたのは小さな四角だった。石ころほ
どの大きさで淡い黄色。砂を固めたようにも見える。
だが、ちぇんは本能的にそれが何であるかを悟った。
お菓子。
「な、な、なんだか、すごく……ゆっくりでき……」
尻尾が萎れ、耳が垂れていく。殺気がはぎ取られていく。
人間が取り出したお菓子は、ゆっくりしていた。ゆっくりとしているとしか表現できないほ
どに、とにかくゆっくりしていた。食べたら凄くゆっくりできるだろう。
人間が取り出したお菓子は、ゆっくりしていた。ゆっくりとしているとしか表現できないほ
どに、とにかくゆっくりしていた。食べたら凄くゆっくりできるだろう。
「君も疲れてるようだから、これ食べてゆっくりしてね」
ちぇんの前に屈み、人間がお菓子を差し出してくる。
「だ、だめなんだよー。わかって、ねー。たべちゃ、だめなんだ……」
涎と涙を流しながら、ちぇんは必死に抵抗していた。うねうねと尻尾が動く。
今まで犠牲となったゆっくりたちは、皆このお菓子を食べたのだ。このお菓子を食べた
ら死んでしまう。そう分かっていても誘惑に逆らえない。目の前に差し出されたゆっくりの
塊に、身体が意志や思考と無関係に動いてしまう。
動いていた二本の尻尾が、糸が切れたように地面に垂れる。
今まで犠牲となったゆっくりたちは、皆このお菓子を食べたのだ。このお菓子を食べた
ら死んでしまう。そう分かっていても誘惑に逆らえない。目の前に差し出されたゆっくりの
塊に、身体が意志や思考と無関係に動いてしまう。
動いていた二本の尻尾が、糸が切れたように地面に垂れる。
「ごめんねー……」
ぱく。
ちぇんはお菓子を口に入れた。
「ゆわぁぁ……ぁ……」
「ちぇぇぇんッっ!」
「ちぇぇぇんッっ!」
ほんの数秒遅れて長れいむがその場に駆け付けた。
牽制するように人間を睨み付けてから、すぐさまちぇんを見る。
牽制するように人間を睨み付けてから、すぐさまちぇんを見る。
「れい、む……」
「!?」
「!?」
振り向いてきたちぇんと目が合い、れいむは息を呑んだ。わけがわからない。理解不能
な状況に、心の奥底から恐怖が浮かんでくる。
ちぇんはゆっくりしていた。この上なくゆっくりしていた。
な状況に、心の奥底から恐怖が浮かんでくる。
ちぇんはゆっくりしていた。この上なくゆっくりしていた。
「ちぇんは、もうじゅうぶん……ゆっくりしたんだよー……」
辞世の言葉を残し、息絶える。
今まで起こっていた怪死がれいむの目の前で起こった。ちぇんが物凄くゆっくりして、死
んだ。実物を目にしてもその意味が理解できない。
分かる事はひとつ。
今まで起こっていた怪死がれいむの目の前で起こった。ちぇんが物凄くゆっくりして、死
んだ。実物を目にしてもその意味が理解できない。
分かる事はひとつ。
「おまえはっ! ちぇんになにをした!」
れいむは人間を睨み付けた。
「うん? 心外だなぁ。僕は何も酷いことなんかしてないよ。ただ、疲れているようだった
から、あまあまを食べさせただけだよ」
「あまあま? どくなんでしょう!?」
から、あまあまを食べさせただけだよ」
「あまあま? どくなんでしょう!?」
れいむの言葉に、しかし人間は首を振って。
「毒じゃないよ。普通のあまあまだよ。そうだ。君にもひとつあげよう」
淡い黄色いお菓子を取り出す。
「ゆ!? そ、それは……」
れいむはそのお菓子を見つめた。ゆっくりしたお菓子。それを食べてはいけない。直感
がそう告げているのに、既に意識はお菓子に奪われている。
人間がれいむの前にお菓子を差し出した。
がそう告げているのに、既に意識はお菓子に奪われている。
人間がれいむの前にお菓子を差し出した。
「これはお砂糖を固めたお菓子だよ。ただ使ってるお砂糖が特別なんだ。最高級の和三
盆。いうなれば日本で一番美味しいお砂糖だよ。毒なんて入ってないよ。食べたら何も
かも忘れられるくらい美味しいよ」
「や、やめて……ね……れいむは、たべたく……な」
盆。いうなれば日本で一番美味しいお砂糖だよ。毒なんて入ってないよ。食べたら何も
かも忘れられるくらい美味しいよ」
「や、やめて……ね……れいむは、たべたく……な」
必死に抵抗するものの、身体が勝手にお菓子を食べようとしている。あんよが勝手に
動き人間に近付いていった。さらに勝手に口が開いてしまう。
動き人間に近付いていった。さらに勝手に口が開いてしまう。
「さあ、めしあがれ」
その口に、お菓子が入れられた。
口が閉じ、れいむはお菓子を噛む。
口が閉じ、れいむはお菓子を噛む。
「ゆ……」
その瞬間、何かが壊れた。
ほのかで濃く深い甘味。それが口の中に、身体中に染み込んでいく。
ほのかで濃く深い甘味。それが口の中に、身体中に染み込んでいく。
「わぁ……ぁ……」
れいむは、ただゆっくりした。
思考も意識も粉々に砕けていく。
群れのことも、人間のことも、目の前で死んだちぇんのことも、長である意地も。自分が
何をしなければならないのか、今まで何をしていたのか。そもそも自分がなんなのか。全
てが溢れるゆっくりの中に消えていった。
どこまでも深いゆっくり。れいむの意識はそこに堕ちていく。
思考も意識も粉々に砕けていく。
群れのことも、人間のことも、目の前で死んだちぇんのことも、長である意地も。自分が
何をしなければならないのか、今まで何をしていたのか。そもそも自分がなんなのか。全
てが溢れるゆっくりの中に消えていった。
どこまでも深いゆっくり。れいむの意識はそこに堕ちていく。
「みんな……れいむは、もうじゅうぶんゆっくりした……よ……」
そして、れいむは永遠にゆっくりした。
「おい、くそにんげんっ!」
「ん?」
「ん?」
一匹のでいぶが人間の前に飛び出した。
太っているのか痩せているのか分からない、だらしない体躯である。今までは夫やお
ちびに寄生して生きていたが、それを失い群れからの支援も無くなり死にかけていた。
太っているのか痩せているのか分からない、だらしない体躯である。今までは夫やお
ちびに寄生して生きていたが、それを失い群れからの支援も無くなり死にかけていた。
「でいぶはしんぐるまざーだったんだよ! かわいいおちびちゃんもしんじゃって、てんが
いこどくなんだよ。かわいそうでしょ! だから、あまあまよこせー!」
「んー」
いこどくなんだよ。かわいそうでしょ! だから、あまあまよこせー!」
「んー」
少し考えてから、人間はポケットから包み紙を取り出した。中身は入っていない。持っ
てきた砂糖菓子は全部他のゆっくりに食べさせてしまった。
てきた砂糖菓子は全部他のゆっくりに食べさせてしまった。
「口開けて」
「さっさとしてね!」
「さっさとしてね!」
大きく口を開けるでいぶに。
人間は折り畳んだ包み紙を開けて、縦に振った。
紙にくっついていた砂糖の粉が、でいぶの口に落ちる。
ほんの僅かでもそれは最高の砂糖だった。下に触れた瞬間に溶け、でいぶの全身に
理解の及ばぬゆっくりを染み込ませていく。
人間は折り畳んだ包み紙を開けて、縦に振った。
紙にくっついていた砂糖の粉が、でいぶの口に落ちる。
ほんの僅かでもそれは最高の砂糖だった。下に触れた瞬間に溶け、でいぶの全身に
理解の及ばぬゆっくりを染み込ませていく。
「ゆわぁぁ……じ、じ、じあばぜ……」
だらしなく涎を垂らしながら、でいぶは意識を失った。
「ゆ?」
顔に当たる日の光にでいぶは目を覚ました。
「きょうもあさひさんが、でいぶのめざめをしゅくふくする……よ……?」
寝言を口にしながら、周囲を眺める。
眉間にしわを寄せた。
眉間にしわを寄せた。
「なにこれ? なんか、せかいが……くすんでるよ……」
白い朝日、青い空、白い雲、緑の草。
目に映る光景全てが色褪せていた。元々世界の色合いなど気にしていなかったが、そ
れでもはっきりとわかるほどに世界が劣化している。昨日まで色の付いていた世界が、
灰色になってしまったかのように。
目に映る光景全てが色褪せていた。元々世界の色合いなど気にしていなかったが、そ
れでもはっきりとわかるほどに世界が劣化している。昨日まで色の付いていた世界が、
灰色になってしまったかのように。
「ゆゆっ。あまあまさんはっけんっ!」
でいぶの目に地面に置かれたあまあまが映った。
紙の上に置かれたチョコレートとクッキー。
迷わず齧り付く。
紙の上に置かれたチョコレートとクッキー。
迷わず齧り付く。
「むーしゃむーしゃ! ………。いまいちー」
しかし、その表情に喜びはない。
昨日人間に貰ったあまあまに比べれば、土と変わりなかった。
昨日人間に貰ったあまあまに比べれば、土と変わりなかった。
「ゆ?」
違和感を覚えてでいぶは周囲を見回す。
記憶に刻み込まれたゆっくり。ほんの欠片だけだが、和三盆菓子はでいぶに最高のゆ
っくりを味合わせていた。結果、でいぶのゆっくりの基準が極限まで振り切れていた。あ
のゆっくりに比べれば何もかもが泥や石に等しい。
記憶に刻み込まれたゆっくり。ほんの欠片だけだが、和三盆菓子はでいぶに最高のゆ
っくりを味合わせていた。結果、でいぶのゆっくりの基準が極限まで振り切れていた。あ
のゆっくりに比べれば何もかもが泥や石に等しい。
「ゆぐ……」
でいぶは歯を食い縛る。
思考や論理ではなく、本能的に漠然と。
自分が二度とゆっくりを味わうことができないと、でいぶは感じていた。お姫様のような
扱いを受けても、最高のご馳走を口にしても、何をしても絶対に無理。昨日感じたゆっくり
には遠く届かない。
思考や論理ではなく、本能的に漠然と。
自分が二度とゆっくりを味わうことができないと、でいぶは感じていた。お姫様のような
扱いを受けても、最高のご馳走を口にしても、何をしても絶対に無理。昨日感じたゆっくり
には遠く届かない。
「ゆがあああっ! だれが、でいぶをゆっぐりざぜろおお……お……!」
しかし、でいぶのその言葉を聞く者はいなかった。
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anko4377 勝手に生えてくる
anko4373 ものもらい
anko4360 ゆっくりさせてね
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anko4341 予防接種
anko4338 超伝道をもげ!
以下省略
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anko4338 超伝道をもげ!
以下省略