ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko4470 ハロウィンの夜に
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ankoss
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『ハロウィンの夜に』 10KB
愛で いじめ 小ネタ 希少種 現代 独自設定 お初です。
愛で いじめ 小ネタ 希少種 現代 独自設定 お初です。
注意
- SS書き初心者です
- <激>ぬるいです
- むしろ誰も死にません
- 小ネタです
- 最後の最後で人間とゆっくりがいちゃいちゃします
- ゆっくりたちが無駄にかしこいです
- ここのゆっくりさとりは胴付きをイメージしています
↑お読みくださったらお進みください↓
『ハロウィンの夜に』
「ゆ?おにいさん、なにつくってるの?」
私の家に居ついているゆっくりさとりが背後からそう聞いてきた。
さとりとの会話は楽だ。口を動かさなくてもいいぶん余計な労力を使うことも無い。
「……じゃっく・おー・らんたん?」
――そう。もうすぐハロウィンだからね。
「はろうぃん?」
私の家に居ついているゆっくりさとりが背後からそう聞いてきた。
さとりとの会話は楽だ。口を動かさなくてもいいぶん余計な労力を使うことも無い。
「……じゃっく・おー・らんたん?」
――そう。もうすぐハロウィンだからね。
「はろうぃん?」
私の家に、私以外の人間は現在住んでいない。
両親はそろって、海外の史跡を調査すべく世界中を飛び回っている。
一人の妹はいるが、遠くの大学で勉強するために家を出て行った。
定職に就かずアルバイトで糊口をしのぎながら、私はいつだって暇を持て余していた。
このゆっくりさとりは、私が町をぶらぶらと歩いているときに出会ったゆっくりだ。
いつの間にか私の後ろを歩いていた彼女は、そのまま私の家に住むことになった。
それからは、私とさとりとで、この広い家を使っている。
両親はそろって、海外の史跡を調査すべく世界中を飛び回っている。
一人の妹はいるが、遠くの大学で勉強するために家を出て行った。
定職に就かずアルバイトで糊口をしのぎながら、私はいつだって暇を持て余していた。
このゆっくりさとりは、私が町をぶらぶらと歩いているときに出会ったゆっくりだ。
いつの間にか私の後ろを歩いていた彼女は、そのまま私の家に住むことになった。
それからは、私とさとりとで、この広い家を使っている。
「ゆう、にんげんさんたちのおまつりでつかうものなのね」
――そうだよ。これを作って広場に飾るんだ。
「……それって、そんなにいっぱいひつようなの?」
さとりは私の目の前に広がる数十個ものかぼちゃをじとーっと見つめて呟いた。
――町内会の人がね、町で一番の暇人なんだから全部作ってくれないか……って。
「おにいさん……」
――そうだよ。これを作って広場に飾るんだ。
「……それって、そんなにいっぱいひつようなの?」
さとりは私の目の前に広がる数十個ものかぼちゃをじとーっと見つめて呟いた。
――町内会の人がね、町で一番の暇人なんだから全部作ってくれないか……って。
「おにいさん……」
さとりはじっと私を眺めていた。
その瞳の奥にある感情は、私にもわかるような気がした。
――ああ、憐れんでいるのか。
心を読んでしまったのか、さとりは私からそっと目を逸らした。
――――――
時は進み、10月31日、夜。
その日は子ども達の甲高い声が町をおおっていた。
それは野良ゆっくりたちが居を構える雑木林の中にも十分聞こえるほどのものだった。
その日は子ども達の甲高い声が町をおおっていた。
それは野良ゆっくりたちが居を構える雑木林の中にも十分聞こえるほどのものだった。
この林に住むゆっくりたちは、人間と比較的良好な関係を結んでいた。
町の代表者とそれなりの約束事を交わしているとはいえ、ゆっくりたち自身があまり林から出ないことで人間側に実害が無い、というのが主な要因である。
これは、ここのナマモノたちが妙に賢い個体群であるからかもしれないし、単に外に出て行くという思考が無いからかもしれない。
ただ、協定を結んでいるために食料も少しは配給される。だから林を出ていく必要が無いことは確かなようだ。
天敵である野生動物も、いわゆる捕食種のゆっくりも、ここには見当たらないし、好奇心に従い人間が入ってくることも無い。
この林はゆっくりたちにとって静寂に過ごせる「ゆっくりぷれいす」なのであった。
町の代表者とそれなりの約束事を交わしているとはいえ、ゆっくりたち自身があまり林から出ないことで人間側に実害が無い、というのが主な要因である。
これは、ここのナマモノたちが妙に賢い個体群であるからかもしれないし、単に外に出て行くという思考が無いからかもしれない。
ただ、協定を結んでいるために食料も少しは配給される。だから林を出ていく必要が無いことは確かなようだ。
天敵である野生動物も、いわゆる捕食種のゆっくりも、ここには見当たらないし、好奇心に従い人間が入ってくることも無い。
この林はゆっくりたちにとって静寂に過ごせる「ゆっくりぷれいす」なのであった。
さて、いつもと違った林外の喧騒に、ゆっくりたちは眠るに眠れない。
一部のゆっくりは住みかを飛び出し、無い首を傾げあっていた。
一部のゆっくりは住みかを飛び出し、無い首を傾げあっていた。
「ゆぎぎぎぎ……なんなの!?れいむたちのあんみんをぼうがいしたいの!?」
「きょうはえっとうっのためにたくさんかりをしてつかれてるのに……」
「まったくもってとかいはじゃないわね!」
「にんげんさんたちはなにかぎしきをおこなっているのかしら……?」
「わからないよー」
成体のゆっくりたちは、緊急の井戸端会議を開いてがやがやと揉めていた。
「きょうはえっとうっのためにたくさんかりをしてつかれてるのに……」
「まったくもってとかいはじゃないわね!」
「にんげんさんたちはなにかぎしきをおこなっているのかしら……?」
「わからないよー」
成体のゆっくりたちは、緊急の井戸端会議を開いてがやがやと揉めていた。
「ゆえええん!ゆえええええん!!!」
「うるちゃくてねむれにゃいわ……」
「りぇいむのほうがもっとうるちゃいのじぇ」
「ゆううぅん……ちょかいは……」
「わかりゃないよー」
幼いゆっくりたちは、寝ぼけまなこに住みかの前でゆうゆう呻くものもいれば、我関せずと眠っているものもいた。
「うるちゃくてねむれにゃいわ……」
「りぇいむのほうがもっとうるちゃいのじぇ」
「ゆううぅん……ちょかいは……」
「わかりゃないよー」
幼いゆっくりたちは、寝ぼけまなこに住みかの前でゆうゆう呻くものもいれば、我関せずと眠っているものもいた。
「ゆううう……こうなったら、にんげんさんにこうぎしにいくよ!!」
と、餡子脳の実無し会議に業を煮やした一匹のまりさが高らかに宣言した。
「まりさたちはちゃんとにんげんさんとのやくそくをまもっているよ!
それなのににんげんさんはまりさたちをゆっくりさせないのはふこうへいだよ!」
「そうだよ、まりさのいうとおりだよ!」
「わかるよー!めっちゃわかるよー!」
大多数のゆっくりたちはシュプレヒコールを挙げまりさを支持した。
「む、むきゅ、まりさだめよ!そとはとてもきけんよ!
あれはおそらく『くろみさ』をおこなっているのよ!のろわれたぎしきよ!
いくらまりさでもぎしきのじゃまをしたら……」
群れ一番の物知り(自称)ぱちゅりーはまりさにそう叫んだ。
ぱちゅりーの餡子裡には多数の黒い影にまりさが飲み込まれる情景がよぎる。
しかし、まりさはそれに臆面もせず、「だいじょうぶなのぜ!ちかくのにんげんさんにちょっとおはなしするだけだし、いざとなったらにげだせばいいのぜ!」と返した。
と、餡子脳の実無し会議に業を煮やした一匹のまりさが高らかに宣言した。
「まりさたちはちゃんとにんげんさんとのやくそくをまもっているよ!
それなのににんげんさんはまりさたちをゆっくりさせないのはふこうへいだよ!」
「そうだよ、まりさのいうとおりだよ!」
「わかるよー!めっちゃわかるよー!」
大多数のゆっくりたちはシュプレヒコールを挙げまりさを支持した。
「む、むきゅ、まりさだめよ!そとはとてもきけんよ!
あれはおそらく『くろみさ』をおこなっているのよ!のろわれたぎしきよ!
いくらまりさでもぎしきのじゃまをしたら……」
群れ一番の物知り(自称)ぱちゅりーはまりさにそう叫んだ。
ぱちゅりーの餡子裡には多数の黒い影にまりさが飲み込まれる情景がよぎる。
しかし、まりさはそれに臆面もせず、「だいじょうぶなのぜ!ちかくのにんげんさんにちょっとおはなしするだけだし、いざとなったらにげだせばいいのぜ!」と返した。
傍から見れば、まりさの態度は餡子脳特有の無謀な心意気であるように見える。
が、とにもかくにも安全な林なのである。
まりさを含め、この林に住むほとんどのゆっくりが、自分たちを脅かすものに出会ったことがなかった。
だからこそ、まりさはこのようなことを易々とのたまうことができるし、まわりのゆっくりたちも強く反発することがない。
そうこうしているうちに、まりさは一人でいってくるよとお供もつけず、皆が見守る中、町のほうへと歩を進めた。
が、とにもかくにも安全な林なのである。
まりさを含め、この林に住むほとんどのゆっくりが、自分たちを脅かすものに出会ったことがなかった。
だからこそ、まりさはこのようなことを易々とのたまうことができるし、まわりのゆっくりたちも強く反発することがない。
そうこうしているうちに、まりさは一人でいってくるよとお供もつけず、皆が見守る中、町のほうへと歩を進めた。
「とりっく・おあ・とりーと!!」
「はいはいどうぞ」
町内会主催のハロウィンパーティ。
子どもたちは思い思いの衣装を纏い、夜の帳を駆け回る。
私は道行く子どもたちにトリート……つまりお菓子を配って回っていた。
ジャック・オ・ランタンを作る際に出たかぼちゃの中身で作ったかぼちゃのカップケーキ。
これも町内会の方々に「ついでによろしくー!」と軽い調子で頼まれた仕事だった。
まあ、料理は嫌いではないし家には調理器具が充実していたので、特に問題は無かったのだが。
「はいはいどうぞ」
町内会主催のハロウィンパーティ。
子どもたちは思い思いの衣装を纏い、夜の帳を駆け回る。
私は道行く子どもたちにトリート……つまりお菓子を配って回っていた。
ジャック・オ・ランタンを作る際に出たかぼちゃの中身で作ったかぼちゃのカップケーキ。
これも町内会の方々に「ついでによろしくー!」と軽い調子で頼まれた仕事だった。
まあ、料理は嫌いではないし家には調理器具が充実していたので、特に問題は無かったのだが。
と。
「にんげんさん!!!」
後ろから子どもに似た甲高い声が聞こえた。
声の発生源はとても低い。
これは、ゆっくり?私は振り返って視線を落とした。
そこにいたのはやはりゆっくり、しかもゆっくりまりさであった。
「にんげんさん!まりさたちはうるさくてすーやすー…や、で、でき……な………」
何かに怒っているような口調で叫び始めたまりさが、次第に語調を弱めていく。
見ればその表情も、何やら名状し難いものでも見たかのように色を失っていた。
――ああ。そうか。
「ゆ……ゆ…ゆひっ」
「にんげんさん!!!」
後ろから子どもに似た甲高い声が聞こえた。
声の発生源はとても低い。
これは、ゆっくり?私は振り返って視線を落とした。
そこにいたのはやはりゆっくり、しかもゆっくりまりさであった。
「にんげんさん!まりさたちはうるさくてすーやすー…や、で、でき……な………」
何かに怒っているような口調で叫び始めたまりさが、次第に語調を弱めていく。
見ればその表情も、何やら名状し難いものでも見たかのように色を失っていた。
――ああ。そうか。
「ゆ……ゆ…ゆひっ」
まりさはじいっと私の顔を見ている。
私の、オレンジに染まった顔を。
「……」
まりさは流動性の無い餡子脳をフル回転させてこの事象の処理を試みた。
あの『おからだ』はなんなのだ?
にんげんさんかとおもってこえをかけたけど……。
にんげんさんの『おからだ』はもっとひんじゃくぅな『おからだ』だったはず。
おめめもおっきいし、なによりおくちがすごおくおおきい。
かみのけがないのもすごくおかしい。
……これは、なんだ?
………あれ?そういえばぱちゅりーはなんていってたっけ?
まりさは流動性の無い餡子脳をフル回転させてこの事象の処理を試みた。
あの『おからだ』はなんなのだ?
にんげんさんかとおもってこえをかけたけど……。
にんげんさんの『おからだ』はもっとひんじゃくぅな『おからだ』だったはず。
おめめもおっきいし、なによりおくちがすごおくおおきい。
かみのけがないのもすごくおかしい。
……これは、なんだ?
………あれ?そういえばぱちゅりーはなんていってたっけ?
――あれはおそらく『くろみさ』をおこなっているのよ!のろわれたぎしきよ!
『くろみさ』というものがどういうものかはわからないが、ゆっくりできないものなのだろう。
もしかして、これはその『くろみさ』をしているものなのか?
だとすると……。
もしかして、これはその『くろみさ』をしているものなのか?
だとすると……。
――いくらまりさでもぎしきのじゃまをしたら……
じゃまをしたら……?
じゃまを、したら……?
じゃまを、したら……?
ゆひっ
「ゆ、ゆ、ゆ……」
数分は経っただろうか。フリーズを起こしていたまりさが、激しい動悸(のように見えた)と共に声を発し始めた。
私はその様子をじいっと見ていた。
と、
「……ゆ、ゆわわわああああああああああああ!!!!」
まりさの、子ども達が発している以上に極まった悲鳴が星空に響いた。
「ああああああ!あああああああ!ゆわっゆううううううううああああああああああ!!!!」
どこからそんな声が出るのだろうか。まりさは物凄い叫び声を私に浴びせ続けた。
騒ぎを聞きつけたのか、だんだんと人が集まってきた。
「も、もうおうちかえるうううううう!!!!」
まりさは踵を返し、近くにあった林の方に逃げ帰ろうとしていた。
しかし、その道すがらにもちらほらと人の姿が見えて……。
数分は経っただろうか。フリーズを起こしていたまりさが、激しい動悸(のように見えた)と共に声を発し始めた。
私はその様子をじいっと見ていた。
と、
「……ゆ、ゆわわわああああああああああああ!!!!」
まりさの、子ども達が発している以上に極まった悲鳴が星空に響いた。
「ああああああ!あああああああ!ゆわっゆううううううううああああああああああ!!!!」
どこからそんな声が出るのだろうか。まりさは物凄い叫び声を私に浴びせ続けた。
騒ぎを聞きつけたのか、だんだんと人が集まってきた。
「も、もうおうちかえるうううううう!!!!」
まりさは踵を返し、近くにあった林の方に逃げ帰ろうとしていた。
しかし、その道すがらにもちらほらと人の姿が見えて……。
そう、私と同じように、思い思いに仮装を施した大人や子どもも現れて……。
「どうしたあ!?何かあったのか!?」
「すっごい声が聞こえたけど、どうしたの?」
「あらあら、この闇に乗じて露出魔でも現れたのかしら?」
「すっごい声が聞こえたけど、どうしたの?」
「あらあら、この闇に乗じて露出魔でも現れたのかしら?」
まりさは一心不乱に逃げていた。
生まれて初めて、自分の「生命の危機」を餡子の血筋から感じ取ったからだ。
逃げなければやられるという衝動、このゆっくりできない感覚に支配されたまりさは、安心を得るためにおうちを目がけて駆けだしていた。
すると、次々と自分の進行方向から声が聞こえてきていることに気がついた。
――にんげんさんたちのこえ?もしかしたらたすけてくれるかもしれない!!
まりさは必死だった。『くろみさ』の魔の手からにんげんさんが救ってくれるかもしれない。
助けてほしい、ゆっくりしたい。ゆっくり、ゆっくり!
まりさの奥底にある「ゆっくり」への渇望が、そこにいるであろうにんげんさんにかける言葉を生みだした。
まりさはいつもの視点から大きく顔を上げ、大きいにんげんさんの『おからだ』を見つめようとした。
生まれて初めて、自分の「生命の危機」を餡子の血筋から感じ取ったからだ。
逃げなければやられるという衝動、このゆっくりできない感覚に支配されたまりさは、安心を得るためにおうちを目がけて駆けだしていた。
すると、次々と自分の進行方向から声が聞こえてきていることに気がついた。
――にんげんさんたちのこえ?もしかしたらたすけてくれるかもしれない!!
まりさは必死だった。『くろみさ』の魔の手からにんげんさんが救ってくれるかもしれない。
助けてほしい、ゆっくりしたい。ゆっくり、ゆっくり!
まりさの奥底にある「ゆっくり」への渇望が、そこにいるであろうにんげんさんにかける言葉を生みだした。
まりさはいつもの視点から大きく顔を上げ、大きいにんげんさんの『おからだ』を見つめようとした。
しかし。
その『おからだ』も。
さっきのばけものと同じかたちをしていた。
「 」
ぱちゅりーは、後にこの日をこう振り返った。
「あのとき……まりさのひめいがたしかにきこえてきたときは、
もうこのせかいがえいえんにゆっくりしてしまうのではないかとおもったわ」
「あのとき……まりさのひめいがたしかにきこえてきたときは、
もうこのせかいがえいえんにゆっくりしてしまうのではないかとおもったわ」
――――――
恐怖の夜はお開きとなった。
あの後、まりさは「あすとろんっ!」でもしたかのように固まって、まったく動かなくなった。
その開くに開ききった目と口は、もはや誰もが見ても「恐怖」の表情を象っていると言えた。
私は集まってきた町の人々に事情を説明し、まりさを一時保護することにした。
家に帰り、留守をしていたさとりがまりさの変わりきった様子に驚きつつも、まりさの心が読めるかどうか試してみた。
――どうだ?生きてるか?
「……ええ、まだいきているわ。
ただ、おにいさん、このこのこころは『ぽっかりあな』で、その……こわいわ」
さとりは、どうやら相当なトラウマを読んだみたいだ。心なしか震えているようだ。
つまり、まりさにとって先ほどの出来事がそれほどのことであったということだが。
「……おにいさん、そろそろはずさないの?」
さとりは私の顔を見やり、そう言った。
私は、頭に被っていた「生のかぼちゃ」を外した。
蒸れていた顔の表面に冷たい風が吹いた。が、かぼちゃの匂いはとれそうになかった。
「おにいさん、どうしてかぼちゃさんをかぶってたの?」
さとりは疑問を口にする。
「ほかのにんげんさんは、みんなつくりもののかぼちゃだったのに……」
――だって、本物のほうが迫力が増すだろう?
「……」
さとりは、何も言わずにまりさにタオルケットをかけた。
あの後、まりさは「あすとろんっ!」でもしたかのように固まって、まったく動かなくなった。
その開くに開ききった目と口は、もはや誰もが見ても「恐怖」の表情を象っていると言えた。
私は集まってきた町の人々に事情を説明し、まりさを一時保護することにした。
家に帰り、留守をしていたさとりがまりさの変わりきった様子に驚きつつも、まりさの心が読めるかどうか試してみた。
――どうだ?生きてるか?
「……ええ、まだいきているわ。
ただ、おにいさん、このこのこころは『ぽっかりあな』で、その……こわいわ」
さとりは、どうやら相当なトラウマを読んだみたいだ。心なしか震えているようだ。
つまり、まりさにとって先ほどの出来事がそれほどのことであったということだが。
「……おにいさん、そろそろはずさないの?」
さとりは私の顔を見やり、そう言った。
私は、頭に被っていた「生のかぼちゃ」を外した。
蒸れていた顔の表面に冷たい風が吹いた。が、かぼちゃの匂いはとれそうになかった。
「おにいさん、どうしてかぼちゃさんをかぶってたの?」
さとりは疑問を口にする。
「ほかのにんげんさんは、みんなつくりもののかぼちゃだったのに……」
――だって、本物のほうが迫力が増すだろう?
「……」
さとりは、何も言わずにまりさにタオルケットをかけた。
翌日、お兄さんは林の中に意識を取り戻したまりさを帰しに行きました。
お兄さんは林のゆっくりたちと話し合い、ゆっくりたちに事情を説明しました。
まりさの断末魔とも言える悲鳴を聞いた後、林のゆっくりたちは一目散に住みかへ帰り、眠れない夜を過ごしていたそうです。
まりさは当然のことながら、一部のゆっくりたちにも昨日の夜がトラウマとなっているようです。
その「瑕」はたしかに、深く餡子に刻まれていました。
彼女たちはしばらくの間、不眠症や幻聴に悩まされるのでしょう。
……まあ、しかし、それは置いておきましょう。
私は昨日の夜、お兄さんと二人でまりさの看病をしていた時のことを、改めて餡子裡にかみしめることにしました。
お兄さんは林のゆっくりたちと話し合い、ゆっくりたちに事情を説明しました。
まりさの断末魔とも言える悲鳴を聞いた後、林のゆっくりたちは一目散に住みかへ帰り、眠れない夜を過ごしていたそうです。
まりさは当然のことながら、一部のゆっくりたちにも昨日の夜がトラウマとなっているようです。
その「瑕」はたしかに、深く餡子に刻まれていました。
彼女たちはしばらくの間、不眠症や幻聴に悩まされるのでしょう。
……まあ、しかし、それは置いておきましょう。
私は昨日の夜、お兄さんと二人でまりさの看病をしていた時のことを、改めて餡子裡にかみしめることにしました。
・
・・
・・・
・・
・・・
「おにいさん」
――ん?
「とりっくおあとりーと」
――ああ、そういえば忘れていた。もうケーキ無いんだよ……。
「いいえ、ここにあるわ」
――あっ。
「……ほっぺたのかぼちゃさん、おいしいわ」
――ん?
「とりっくおあとりーと」
――ああ、そういえば忘れていた。もうケーキ無いんだよ……。
「いいえ、ここにあるわ」
――あっ。
「……ほっぺたのかぼちゃさん、おいしいわ」
蛇足
- 「ハロウィーン」「ゆっくり」「さとりかわいいよさとり」から着想を得て書きました
- 拙い文章ですが、読んで下さった皆様、ありがとうございます
- 終盤が蛇足気味なのは、オチの持っていき方に苦心したからです
- 数多の先達のとしあきたちには頭の下がる思いです
- 良くも悪くも、何かコメント頂けたら幸いです