ふたば系ゆっくりいじめSS@ WIKIミラー
anko1879 飼い(仮)ゆっくり 子れいむ
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ankoss
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『飼い(仮)ゆっくり 子れいむ』
とある男は小規模な会社の社員である。
社員は少ないながらも、その関係は割と密であり、不景気の中、険悪な雰囲気は感じられない会社だった。
そんな会社に、一匹のゆっくりが来たのは、何時の頃だったか、男は覚えていない、あまりゆっくりは好きではないからだ。
同じ仕事場を共有する社長が、一匹の拳ほどの大きさの子れいむを連れてきたのだ。
「ゆっくりしていってね!」
全体的に薄汚れたその姿。
世の中を舐めた不遜なその表情、世界が自分の為にまわってるとでも勘違いしていそうなふてぶてしい顔。
何処からどう見ても、善良な個体には見えなかった。
「そこでゆっくりを拾ってしまったんだが、どうしよう?」
人の良い社長には、その事を読み取れなかったようだ。
そして中年が小首をかしげてそう問う様は、流石にないと社員一丸となって思ったわけで。
とりあえず、社員の誰かが一時的に飼うことになってしまったわけだ。
流石に一度拾ってきたのに、また元に戻すは不味かろうと社長の言うことだった。
社長は奥さんが重度のゆっくり嫌いで家では飼えない。
他の社員も似たようなモノだったり、アパート住まいであったり、既に番にゆっくりを飼っていたり。
そこで男に白羽の矢が立ってしまった。
男の両親は既におらず、その家と幾ばくかの財産を残していってしまった。
家住まいだし、一人暮らしだし、いいだろ? と言われ、NOと言えない日本人の彼はうなずくしかなかった。
断りきれない男のせいもあったがそこで断わって、仕事をさらに滞らせるのも悪かったし、どうせ一時的なものだろうと高をくくったせいでもあった。
社長は子れいむを野良だった汚れを落とすと、退社際の男に手渡した。
そこから、男と子れいむの生活が始まった。
子れいむが、男の家で一番初めにやったこと、それは。
「ゆゆ、ゆっくりできるおうちだね! ここはれいむのゆっくりぷれいすにするよ!」
お家宣言である。
いきなり拾われて一般の知識すらない野良の子れいむがした、餡子脳に刻まれた馬鹿な行為の一つだった。
言われた、男は苛立った。
彼の両親が残した少ない財産の一つをいきなり自分のモノ扱いされたのだ。
「れいむ、ここは俺の家だ」
「なにいってるの! れいむがおうちせんげんしたんだよ! れいむのおうちだよ!」
「……」
子れいむは当然のことだと得意げに言う。
ここは男が折れることにした。
所詮は、喋る饅頭の戯言、気にした方が負けだと。
ゆっくりについてはからっきし、どうすればいいかわからない。
とりあえず、男は子れいむを居間に置くと、コンビニまで行って夕食でも買いに行くことにした。
全食を全部買って済ませるわけではないが、訳の分からないモノを押し付けれた精神的疲労でその日は何もしたくなかったのだ。
夕食を購入し、子れいむ用にゆっくりフードなるモノを買った男が居間に入って最初に目に入ったモノは。
散らかされた部屋だった。
ゴミ箱はひっくり返り、中身が散らばり。
ボックスティッシュは全て抜き取られ、部屋の隅に固まり、置いておいた雑誌は全て破られ、まとめておいた小物は部屋に散乱していた。
子れいむだったゆえに、テーブルの上の物は手をつけられていなかったが、それでもかなりのモノが散らかされていた。
男は一瞬思考を停止させるたが、すぐに相手が誰か判断した。
「れいむ!」
家じゅうに響き渡る怒声に、隅に固められたティッシュの中から子れいむが出てきた。
「なにおにいさん、れいむはいま、すーやすーやしてたんだよ、おおきなこえさんはゆっくりできないよ! ぷんぷん!」
正に寝言を吐きながら、子れいむは不機嫌さを隠さず男に言う。
わざとやってるとしか思えないほど子れいむは、巧みに男の神経を逆なでした。
「……お前がこれをやったのか?」
「ゆゆ?」
子れいむは散らかった部屋を見て、どのことを言っているのか分からないように体を少し傾けた。
「お前がこの部屋を散らかしたのか?」
「ちらかしてなんかないよ! れいむがゆっくりぷれいすをこーでぃねいとしたんだよ!」
眉をキリッとさせ、さもいい仕事をしたと言いたげな表情を浮かべる子れいむ。
ゆっくりはゆっくりプレイスを作ると称して、部屋をゴミ部屋に模様替えする、匠の劇的ビフォア―アフターだ。
ゆっくりの悪癖の一つで早々に矯正した方が習性の一つである。
ゆっくりの理解不能の行動に男は、頭を掻き毟る。
これ以上言っても無駄だが、何かやらねば気が済まなかった。
たとえそれが、自傷行為にであったとしても。
何とか気持ちを落ち着かせ、夕食が入ったビニール袋を置くと、男は部屋の掃除かかった。
「ゆゆ! なにしてるの! れいむのゆっくりぷれいすだよ!」
男の足元で子れいむがそう喚くが、男は無視した。
「ゆあぁぁぁぁ! れいむがつくったとってもゆっくりできる、おといれさんがぁぁぁぁぁ!」
泣きながら子れいむはピョンピョンと跳びはねる、追いかけながらできる精一杯の抗議なのだろう。
まとめておいた古新聞紙が乱雑に置かれた場所を片付け。
「ゆぅぅぅぅぅ! れいむのとってもゆっくりできるべっとさんがぁぁぁぁぁぁぁ!!」
座布団の上に置かれたティッシュを捨てた。
その後も掃除しているといろいろと騒いでいたが、ついに何も言わなくなった。
ようやく黙ったかと、思い黙々と掃除を続け、ようやくすべて終わり、夕食へ視線を向けた。
「たべものさんのにおいがするよ! れいむにゆっくりたべられてね!」
そこには、夕食が入ったビニール袋に頭を突っ込んで尻を振っている饅頭の姿が。
男の頭に一気に血が上り、子れいむが入ったビニール袋を潰す勢いで踏み付けようとする。
「このッ……」
足を振りあげ、潰そうとおろした瞬間、会社の面々の顔を浮かぶ。
あの様子では他の人はともかく、社長は子れいむの様子を聞きに来るだろう、そう考えが出て。
踏みつぶす瞬間に何とか軌道をそらし、ビニール袋の端を潰すにとどまった。
れいむの尻はまだ機嫌良く振られているので潰してはいないだろう。
その体勢のまま、息を整えようとすると、子れいむが喜色に富んだ声を出してきた。
「ゆゆ! なんだかゆっくりできるたべものさんだよ! む~ちゃむ~ちゃ、しああああわわわわわあわわせぇぇぇえっぇぇぇ!」
どうやら男の夕食を踏み抜いてしまったようで、こぼれた中身を子れいむが食べてしまったようだ。
野良として生きてきた子れいむだ、人間のゴミではない食べ物を初めて口にし、喜びをあらわにしている。
あまりのおいしさに子ゆっくりまで成長したくせに、うれしーしーすら漏らしている。
ビニール袋から放射線状に液体が流れる。
「あっ、くそ、コイツなんか漏らしたな!」
ビニール袋から子れいむを摘み出し、中を覗いてみると踏みつぶされた弁当と、そこから飛び出た子れいむの食いかけのオカズがあった。
砂糖水のしーしーすらかかっており、踏んだだけならともかく、心情的に口にしたくない物になってしまった。
子れいむは子れいむで、せっかく食べていた御馳走をいきなり取り上げられ、ご立腹の様子だ。
「いきなりなにするの! れいむのすーぱーむーしゃむーしゃたいむがはじまるのに、かってにとらないでね!」
「……」
「なにだまってるの! れいむおこるよ! ぷくー!」
子れいむの一連の行動のせいで青筋が浮かぶほど血圧が上がる男。
男の怒気に全く気付かず、自分の不機嫌さをアピールするべく子れいむはぷくーを敢行した。
ゆっくりは他のモノの感情を読むのが致命的に鈍い部分がある、ましてや、まだ経験の少ない子ゆっくり、さらに目先の事にとらわれて全く何も考えていない状態だ。
気付く可能性など次元が逆転しても存在しないだろう。
その無駄なぷくーは男を委縮させるどころか更に血圧を上げ、男の額はメロンの様に青筋が浮かんでいる。
もはや男の眼に、一片の迷いもなく子れいむを潰すとしか考えていない。
ゆらりと男が動き出し、手を子れいむに伸ばす。
子れいむはそろそろぷくーが疲れてきたのか顔が赤くなり力を込める為か両目をギュッと瞑り、プルプルと震えだしている。
今にも叫び出しそうなほど男の呼吸は荒くなる。
子れいむに手がかかるその瞬間。
ブルルルルル
携帯電話のバイブの音が響いた。
その音に気付き、男は我に帰る。
子れいむを忌々しそうに見て、携帯電話を持つとその場を後にした。
その場に居ると、子れいむがうるさいだろうと判断したのだ。
子れいむは気付かずぷくーを維持している。
「ぷ、ぷ、ぷひゅるるる~、ゆゆ! にんげんさんがいないよ! れいむのぷくーにおそれをなしたんだね! つよくってごめんね!」
限界が来てようやくぷくーを解除すると、目の前には男の姿は無く。
子れいむは、男が逃げたと認識した。
「ゆゆ~ん、つよいれいむにたべものさんをかえしてね! たくさんでいいよ!」
しかし、男は帰ってこない。
自信満々に胸を反らした状態で言うも、影も形もない。
そこで子れいむは来ない理由に考えが浮かぶ。
「……にんげんさん! れいむもうぷくーしないから、でてきていいよ!」
子れいむのぷくーが怖くて、出てこれないんだと。
勘違いも甚だしい、子れいむは男を探す。
しかし、一向に男が帰ってくる気配はなく、子れいむはそわそわし始めたころ。
と、足音が聞こえてくる。
「はぁ、社長の長話に突入するところだった」
男が帰ってきた。
電話が終わり帰ってきたが、子れいむは自分が怒らないということで帰ってきたと勘違いする。
「ゆふふ、だいじょうぶだよにんげんさん、れいむはにんげんさんのこといじめたりしないよ!」
眉をキリッとさせ、自分のゆっくりしていることをアピールしつつ。
自分の寛大さも同時にアピールする、これで男は子れいむに怯えたりしないだろう、そして子れいむにたくさん食べモノを持ってくるだろうと勝手に思う。
一方男は、馬と鹿を同時に視界に収めた様な顔で子れいむを見る。
それと同時に先ほどの怒りが沸々と再燃焼し始めた。
「……なぁにぃがぁいじめたりしないだ! このゴミ!」
まとめてた、古新聞を一部抜き取ると、子れいむを叩いた。
「ゆぴぃ!」
これなら男の全力でも、潰れることは無いだろう。
「???」
子れいむは、自分の身に何が起こったか理解していない。
まさか、強者である自分に歯向かってくるなんて、子れいむは自分の餡子脳ほども考えていなかった。
そして、叩かれたことを理解すると、じわじわと痛みが子れいむの体中に広がる。
「い、いじゃぃぃぃぃぃ!!」
赤ゆ言葉になってしまうほど、子れいむにとっては唐突なことだったようだ。
「れいみゅのきゃわいいおきゃおしゃんぎゃぁぁぁぁぁ、いじゃいぃぃぃぃぃ!!」
男は、その子れいむがぴいぴい泣く姿に。
喜びだとか、怒りだとか、可哀そうだとか、楽しいだとか、そんな感情を一切感じさせない表情をした。
そこあるのはただただ、一つの負の感情。
嫌悪。
醜悪なものを見た。
それだけだった、一言で言うとキモいと言うべきか。
まとめるとそれだが、言葉では言い表せない程の量の嫌悪が男の頭を走り続ける。
ただひたすら、気持ち悪いモノを見る目つきで子れいむを見た。
その嫌悪感で一気に男の怒りが霧散する。
しかし、腹の底にたまる黒い不燃の感情が、男に残った。
男はそれで疲れ切り、夕食も食べず、風呂にも入らずただ寝ることにした、朝にシャワーを浴びることにした。
明日にはこの悪夢の様な物体がこの世から消えることを期待して。
「ゆんゆん」
泣き疲れたのか、子れいむは目の端に涙を流した後を残し、目を瞑っている。
寝てしまったのだろう。
目が覚めて、また部屋を荒らされたら困ると思い、透明なビニール袋に子れいむを詰めると、緩めに締めた。
男は、そのまま寝室へ行き、泥の様に寝た。
時計をセットするのも忘れたが、習慣化された起床時間のおかげか、多大な疲労感を持ちつつ男は目が覚めた。
目覚ましに、顔を洗う、浴室でシャワーを軽く浴びる。
新聞をとり、居間に入り、テーブルの上のビニール袋に気付く。
「……」
スッと、男の眼つきが鋭くなる。
テーブルに近づき、新聞を置く、そして丸い何かが入っているビニール袋を開けた。
「ゆぴ~、ゆぴ~」
そこには案の定、間抜け面を晒す子れいむが一匹寝ていた。
昨日の出来事を感じさせないご機嫌な寝息だ。
男はテーブルに置かれた新聞を再び手に取る。
「起きろ!」
そして新聞で子れいむが寝ているビニール袋ごと叩いた。
「ゆびぃ!? ?? ???」
またしても唐突な衝撃に子れいむは、寝ぼけも相まって現実と夢の境に立つ。
「??? ???」
「今日一日の飯だ、俺は夜まで帰ってこない、騒ぐな散らかすな、わかったか」
「???」
男が昨日買ってきたゆっくりフードを子ゆっくりの一日分の適正分量と書かれたとおりに子れいむが入ったビニール袋に入れ、一方的にまくし立てた。
「わかったか」
返事のない子れいむに、男は新聞紙で再び子れいむを叩く。
「ごめんなざい! わかりまじだ! いだいごどやべべぐだざい!」
寝ぼけた頭で、子れいむは必死に肯定した。
ゆっくりのしての本能の判断、とりあえず謝り、肯定し、要求する。
一厘ほどの理解もないのにとにかく謝る、ゆっくりならではの、鳴き声だ。
男はとりあえずそれを確認すると、朝食を作りに席を立った。
男がいなくなり、しばらく経って、子れいむの意識が覚醒した。
「?? なんだか、ゆっくりできないことがあったきがするよ! ゆゆ! たべものさんがあるよ!」
赤ゆっくりや子ゆっくりに多く見られる、ゆっくりできなかったことをすぐに忘れる特性もあり、子れいむは先ほどのことをさっぱりと忘れた。
昨日起こった出来事するらも、殆ど記憶に残っていないだろう。
この子れいむの家族も、何かしらの出来事で死んだろうが、この子れいむは不義理にも忘れたようである。
そこで、男が食パンとコーヒーを片手に戻ってくる。
食パンにはすでにジャムが塗られている。
「ゆゆ! にんげんさん! ゆっくりしていってね!」
男はそれを無視すると、テレビをつけ、新聞を開いた。
「むししないいでね! ゆっくりできないよ!」
男はテレビの音を大きくした。
「ゆん! まったくゆっくりしてないにんげんさんだね! いいよ、これかられいむのすーぱーむーしゃむーしゃたいむがはじまるよ!」
子れいむが、宣言してゆっくりフードを食べ始めた。
「むーしゃむーしゃ、しあばぁ!」
子れいむが食べた幸せを口にしようとした瞬間、子れいむは衝撃を受けた。
「騒ぐなって、俺は言ったんだが」
「いだいでしょぉぉぉぉ! なにずるのにんげんざん!」
追撃が子れいむを襲う。
「ゆぎゃ!」
「騒ぐな」
「ゆっぐりりがいじまじだぁぁぁ、ずいまぜん」
とにかく謝る、鳴き声を子れいむは言う。
そこにはただ次の暴力を逃れることだけしか意味はなかった。
そろそろ男もこの謝っていることが、口だけというのはわかってきたが、特に何も言うことはなかった。
男が朝食を半分ほど終えた頃、新聞の攻撃がようやく来ないと気付いたのか、子れいむの今までぶるぶると震えるのを止め。
目の前の餌に視線を向けた。
「れいむにゆっくりたべられてね! たべものさん」
ゆっくりフードにそう宣言する。
子れいむは、ゆっくりフードの一粒を口にする。
口に広がるのは、昨日食べた食べ物ほどでないにしろおいしい、ゆっくりできる味。
野良ゆっくり生活では食べたことのない生臭くない匂い。
ゆっくり向けの味の為、舌が慣れない程度に仄かな甘みを感じさせる。
おいしい、子れいむはそう思う、おそらく親ゆっくりが持ってきたゴミの中で一番おいしいモノに該当する味だろう。
食べるときはゆっくりできる、それにおいしいなら尚更だ。
何時も以上の感動は、喉を通り、口を越え、空気を震わせる声となって解き放たれた。
「むーしゃむーしゃ! しあばぜぇ!」
「黙れ」
ゆっくりの悲しい習性がまた発動する。
餌を食べるときは、よほど辛い渦中でない限り、元気よく「むーしゃむーしゃしあわせー!」と叫ぶ。
口に入れたまま叫ぶものだから、餌は汚らしく撒き散らす、飼いゆっくりでは矯正される行動の一つである。
男はとりあえず、子れいむがうるさくしたため、新聞で叩いた。
「ゆぎぃ! どぼじでごんなごどずるのぉぉぉぉ! れいむこんなにゆっぐりじでるのにぃぃい!」
ゆっくりが理不尽な目に合うと叫ぶことがこれである。
おいしかった、幸せな気持ちになれてゆっくりできた、このことを口にしては駄目なのか。
子れいむは、あまりに理不尽な仕打ちに我慢できず、先ほど打たれたことも忘れ、男に抗議する。
男の目はやはり冷たい。
それどころか、今しがた子れいむをしばいた新聞を持った片手は男の頭上に上げられている。
「俺は騒ぐなって言ったはずだ」
そう告げると、電光石火の勢いで新聞は降ろされる。
ゆっくり如きの目では捕えられないほどの速さで振り下ろされた新聞は、空気を裂き、透明なビニールに入っている子れいむを叩く。
「ゆづっ……!」
当たり所が良かったのか悪かったのか、その一撃をもって、子れいむの意識は彼方へ吹き飛ばされた。
動かなくなった子れいむに男は騒がしくなくなってよかったと思いながら残った朝食を片付けた。
男は、準備を整え家を出た。
呼吸が必要かどうかもわからないため、とりあえずビニール袋に適当に穴をあけ空気が通るようにした。
子れいむはいまだ、透明なビニール袋の中である、縛り方は堅結びだ。
「ゆ~ん、ゆ~ん、ゆ! ゆっくりおきるよ!」
男が会社の為に家を出てしばらく子れいむはようやく意識を取り戻した。
先ほどの出来事はもう毛ほども記憶に残っていない様子である。
「ゆゆ! たべものさんがあるよ! れいむにゆっくりたべられてね!」
ビニール袋内にまだ残っているゆっくりフードを見つけると、今度こそ先ほどの事をさっぱり忘れて子れいむは貪り始めた。
「むーしゃむーしゃしあわせー!」
今度は誰の邪魔もされず言い終える。
息つく暇もなく子れいむは次のゆっくりフードに取り掛かる。
食べても食べても、ゆっくりフードは無くならない。
まだまだ残る今日一日分の分量のゆっくりフードを見て、子れいむは涎を垂らす。
ゆっくりの際限ないゆっくりへの欲望の為に後先考えず、一匹でゆっくりフードを完食した。
「げっふー! ゆっくりしてるよ~」
下品に大きなゲップを吐く、口の周りには汚らしくゆっくりフードのカスがこびり付いている。
今日一日分の餌を食べきった子れいむはソフトボール程の大きさになり、しかしボールの一部に空気でも入れすぎたようにその形を醜く歪めていた。
そして、子れいむは底部がむずむずするのを感じる。
食べたら出す、そんな生理的欲求が子れいむを刺激する。
たくさん食べた後、古い餡子を体内から排出するため、子れいむは底部、人間でいう尻を上げる。
「かわいいれいむがうんうんするよ、すっきりー!」
もりもりと子れいむの底部の小さい穴、あにゃるから餡子が排出される。
およそ自分の5分の1のほどの大きさの餡子が子れいむから排出された。
どれだけたくさん子れいむが食べたかが伺えるだろう。
「ゆゆ! なんだかくさいよ!」
ゆっくりはあにゃるから排泄された餡子、うんうんから臭さを感じる。
子れいむも御多分に洩れず自身の排泄したうんうんに臭さを感じた。
「くさいのはゆっくりできないよ!」
そう言うと、子れいむはうんうんから遠ざかるように跳ねる。
しかしビニール内にはうんうんの臭気が充満している、何処に行ってもビニール内では臭気を避けることは敵わない。
ビニールに小さく開いた穴では臭気を全て出すことも出来ない。
透明なビニールは臭気から逃げたい一心の子れいむの認識能力では把握しきれず、ビニールに当たる。
「ゆゆ?」
何かに当たった感触に疑問に思ったが、子れいむは気にせずビニールの壁に向かって飛ぶ。
子れいむが、ビニールに向かって跳んだため、ビニールの壁は動き、子れいむがあたった場所は床となる。
壁となった最初の床からうんうんが転がる。
「ゆゆ!」
それから、ハムスターが回る車輪と言うべきか?
子れいむは逃げる為に、ビニールにぶつかる、うんうんは転がり子れいむに近づく、臭気の下から逃げる為にまた跳ぶ。
という、不毛な事を続けた。
「ぐざぃぃぃぃぃ!!」
しばらく経つと、うんうんは飛び散り、子れいむの体中にこびりついていた。
うんうんは時間が経つと臭くなくなると言うが、子れいむの認識は、うんうんは臭いということに固定されてしまった。
そのことによりゆっくり特有の強い思い込みが起こり、うんうんからいつまでも匂いを感じていた。
ちょっとでも意識を逸らすモノがあれば、臭気から解放されるだろうが、子れいむのうんうんへの認識ははずれることはなかった。
「ぐざいよぉぉぉっぉおっぉおぉぉ!! ゆっぐりできなぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
子れいむの叫びが一軒家に小さく響くだけだった。
日が暮れ始めた頃か。
ようやく子れいむに変化が起こった。
「ゆう、なんだかおなかすいてきたよ」
お腹がすいた、という思いが、子れいむの認識に入り込んできたため、うんうんのことが頭から離れ、すでに臭さを失っていたうんうんから匂いを感じなくなった。
子れいむの思考はすでにお腹がすいたことに一杯になっていて、気付くことはなかったが。
日が暮れてきたと言っても、男が帰ってくる時間にはまだ遠い。
結局子れいむはゆっくりできない思いを抱くだけだった。
「おなかすいたよぉぉぉぉぉ!!」
「ゆぅ~」
外はすっかり暗くなり、灯りをつけていない部屋も当たり前の様に暗くなった頃。
子れいむのお腹の虫が全く収まらない中、ぱちりという音とともに灯りがともった。
「?」
子れいむは灯りが付いたことに気が付き、辺りを見渡した。
ドアの方を向くと、男が帰ってきていた。
「ゆゆ! にんげんさんれいむおなかすいたよ! たべものさんちょうだいね! たくさんでいいよ!」
男を見るなり、子れいむは餌を要求した。
もうお腹と背中がくっ付きそうなほど、子れいむはお腹をすかしていて、挨拶も何も無くとにかく餌がほしかった。
「お前に今日一日分の餌はもうやったろ」
男は子れいむに一瞥もせずそう告げた。
ビニール袋片手に帰ってきた男はスーパーの帰りなのだろう、冷蔵庫に買ってきた物を入れ始めた。
「なにいってるのぉぉぉぉぉぉ!! かわいいれいむがおなかをすかしてるだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「うるさい黙れ」
そう言うと、男はスーツを脱ぎながら居間から出て行った。
「ゆがぁぁぁぁぁっぁぁ!」
半ば無視扱いの男の行動に子れいむは憤慨した。
怒りにより一時的に空腹は忘れてしまった。
しかし、要求は忘れなった。
「おなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「黙れって言ってんだろ」
スーツから家着に着替えた男はキッチンへ向かった。
そして、キッチンから食べ物のにおいが子れいむの元へ流れて行く。
料理をしていることに気づく、野良のゆっくりに料理の概念は無いが、とにかく何か食べモノを作っているという事はわかった。
匂いを嗅ぎ、空腹感が増すが、子れいむは怒鳴り散らすのを止めた。
「ゆふふ、にんげんさんったら、つんでれさんなんだね!」
今作っている物は子れいむに出されるのだろうと思ったからだ。
食べ物の良い匂いが、子れいむの嗅覚を刺激する。
今か今かと待ち焦がれていると、男が居間に戻ってきた。
「ゆんゆん! おいしそうだね!」
男の手に持たれている皿に盛られた料理、見ているだけで子れいむは涎が止まらない。
訝しげに男は子れいむを見るが、まあいいかと、席に着く。
片手に持った料理が盛られた皿、食べる為の食器とコップ、それと飲み物をテーブルに置く。
特に意味もなくテレビをつけ、コップに飲み物を注ぐ。
「いただきますっと」
男はそう言うと、料理を食べ始めた。
子れいむはというと、視線は料理にくぎ付けだ、今か今かと自分の分の料理を待っている。
男は席についてしまった、自分の分は?
そう思いながらも、子れいむの口から涎は止まらなかった。
「だーらだーら」
あの皿の中のモノを分けられるのだろうか、流石に子れいむも成人男性が食べる夕食の量を一匹で全部食べられるとは思わなかったようだ。
男は黙々と食べる。
時々喉を潤わせるため、コップに手を伸ばす程度にしか、手を止めない。
料理を食べ終わると。
「御馳走様でした、ふぅ」
そういい、食器をキッチンに戻し、居間に戻ってきた。
ようやく子れいむは疑問に思ってきた。
「……にんげんさん、れいむのぶんは?」
「は? ああ、やけに静かだと思ってたら、そんな勘違いしてたのか」
「え?」
「先に言ったろ、お前の分の今日一日の餌はくれてやったって」
「ええええええぇぇぇぇ!! れいむおなかすいてるんだよぉぉぉぉぉおおお!!」
男は深いため息を付いた。
「知るか」
そう言うと、テレビに意識を集中させた。
「ゆがあぁぁぁぁぁぁぁ!! おながずいだっでいっでるでしょぉぉぉぉお!! ばかなの!? しぬべっ!」
いつの間にか持たれていた、新聞紙で子れいむは叩かれた。
「なんどもただぶっ」
「いだぃぐぅ!」
「やべぇ!」
「ゆぎぃ!」
「……」
子れいむが静かになるまで、新聞の乱打は止まらなかった。
「ゆっ…… ゆっ…… ゆっ……」
口から餡子を垂らし瞼を腫らしその隙間からは砂糖水の涙が流れている。
足元には、涙と同成分かつ別の意味を持つゆっくりの尿、しーしーが水溜りを作っている。
男が子れいむをどつきまわしたせいだ。
しかし男は何ら気にする様子は無い、寧ろ静かになったことで不機嫌が普通に戻ったくらいだ。
「さて、そろそろ寝るか」
男はそう言うと、家に帰ってきたときにつけておいた風呂に入り寝た。
子れいむの傷は癒されることなく、そのままである。
体中に鈍く響く痛みが子れいむを襲い、眠ることすら許さない。
小さく「ゆっ……ぐ、び ゆっ……じ ゅっ……だぃ」と呻く程度だ。
口がきけたら、「おうちかえる!」と騒ぎたてるだろう。
動けたら、痛みを散らす為に部屋中を転げまわっていただろう。
うるさくしたら、男が起きてきて、今度は命の保証すら危うい。
ここではじめて子れいむは、寿命を伸ばす最善の行動をとっていた、取らざるおえなかった。
この程度の怪我では出鱈目なゆっくりだ、次の日の朝には完治しているだろう。
よほど大きい外傷でなければ、そこまで心配する必要はない。
吐餡量も少ない、寧ろ少しくらい抜いたほうが、馬鹿が雀の涙ほど改善されるかもしれない。
野良を教育することは難しく、都会の空気で育ったというだけでゆっくりの餡子脳は劣化していくのかもしれない。
そんな馬鹿を家で飼うレベルに育てるのは、教育では不足する。
調教しなければ、野良は飼うレベルには育たない。
不味い行動をしたら、口では言わない、一も二もなく叩くことが最善手である。
その風に吹かれれで飛ぶような軽い餡子脳に、痛みで刻みつけなければならない。
この子れいむが、飼いゆっくりとしての知識を身につけ、立派に育つか。
はたまた、馬鹿のままか。
後者なら、悲惨な結果しかないだろう。
そして男は気付かない、野良の子ゆっくりを引き取るお人好しは、少しでもゆっくりを知っているなら子れいむが更生するくらいありえないことに。
今まで書いたモノ
anko1083 サンプル
anko1097 暗く湿った穴の中
anko1308 すろーりぃな作戦
anko1394 投げた!
anko1425 声
anko1477 さよなら生物
anko1503 山彦恋慕
anko1632 親の脛かじり
anko1739 楽しい朝餉
anko1823 梅雨が来て、人が来て
11作目です。
虐殺が多いと見たので、虐待っぽいモノを書いてみたり。
どうなんでしょ、書いているうちにわからなくなりました。
では、最後まで読んでいただけたら幸いです。
とある男は小規模な会社の社員である。
社員は少ないながらも、その関係は割と密であり、不景気の中、険悪な雰囲気は感じられない会社だった。
そんな会社に、一匹のゆっくりが来たのは、何時の頃だったか、男は覚えていない、あまりゆっくりは好きではないからだ。
同じ仕事場を共有する社長が、一匹の拳ほどの大きさの子れいむを連れてきたのだ。
「ゆっくりしていってね!」
全体的に薄汚れたその姿。
世の中を舐めた不遜なその表情、世界が自分の為にまわってるとでも勘違いしていそうなふてぶてしい顔。
何処からどう見ても、善良な個体には見えなかった。
「そこでゆっくりを拾ってしまったんだが、どうしよう?」
人の良い社長には、その事を読み取れなかったようだ。
そして中年が小首をかしげてそう問う様は、流石にないと社員一丸となって思ったわけで。
とりあえず、社員の誰かが一時的に飼うことになってしまったわけだ。
流石に一度拾ってきたのに、また元に戻すは不味かろうと社長の言うことだった。
社長は奥さんが重度のゆっくり嫌いで家では飼えない。
他の社員も似たようなモノだったり、アパート住まいであったり、既に番にゆっくりを飼っていたり。
そこで男に白羽の矢が立ってしまった。
男の両親は既におらず、その家と幾ばくかの財産を残していってしまった。
家住まいだし、一人暮らしだし、いいだろ? と言われ、NOと言えない日本人の彼はうなずくしかなかった。
断りきれない男のせいもあったがそこで断わって、仕事をさらに滞らせるのも悪かったし、どうせ一時的なものだろうと高をくくったせいでもあった。
社長は子れいむを野良だった汚れを落とすと、退社際の男に手渡した。
そこから、男と子れいむの生活が始まった。
子れいむが、男の家で一番初めにやったこと、それは。
「ゆゆ、ゆっくりできるおうちだね! ここはれいむのゆっくりぷれいすにするよ!」
お家宣言である。
いきなり拾われて一般の知識すらない野良の子れいむがした、餡子脳に刻まれた馬鹿な行為の一つだった。
言われた、男は苛立った。
彼の両親が残した少ない財産の一つをいきなり自分のモノ扱いされたのだ。
「れいむ、ここは俺の家だ」
「なにいってるの! れいむがおうちせんげんしたんだよ! れいむのおうちだよ!」
「……」
子れいむは当然のことだと得意げに言う。
ここは男が折れることにした。
所詮は、喋る饅頭の戯言、気にした方が負けだと。
ゆっくりについてはからっきし、どうすればいいかわからない。
とりあえず、男は子れいむを居間に置くと、コンビニまで行って夕食でも買いに行くことにした。
全食を全部買って済ませるわけではないが、訳の分からないモノを押し付けれた精神的疲労でその日は何もしたくなかったのだ。
夕食を購入し、子れいむ用にゆっくりフードなるモノを買った男が居間に入って最初に目に入ったモノは。
散らかされた部屋だった。
ゴミ箱はひっくり返り、中身が散らばり。
ボックスティッシュは全て抜き取られ、部屋の隅に固まり、置いておいた雑誌は全て破られ、まとめておいた小物は部屋に散乱していた。
子れいむだったゆえに、テーブルの上の物は手をつけられていなかったが、それでもかなりのモノが散らかされていた。
男は一瞬思考を停止させるたが、すぐに相手が誰か判断した。
「れいむ!」
家じゅうに響き渡る怒声に、隅に固められたティッシュの中から子れいむが出てきた。
「なにおにいさん、れいむはいま、すーやすーやしてたんだよ、おおきなこえさんはゆっくりできないよ! ぷんぷん!」
正に寝言を吐きながら、子れいむは不機嫌さを隠さず男に言う。
わざとやってるとしか思えないほど子れいむは、巧みに男の神経を逆なでした。
「……お前がこれをやったのか?」
「ゆゆ?」
子れいむは散らかった部屋を見て、どのことを言っているのか分からないように体を少し傾けた。
「お前がこの部屋を散らかしたのか?」
「ちらかしてなんかないよ! れいむがゆっくりぷれいすをこーでぃねいとしたんだよ!」
眉をキリッとさせ、さもいい仕事をしたと言いたげな表情を浮かべる子れいむ。
ゆっくりはゆっくりプレイスを作ると称して、部屋をゴミ部屋に模様替えする、匠の劇的ビフォア―アフターだ。
ゆっくりの悪癖の一つで早々に矯正した方が習性の一つである。
ゆっくりの理解不能の行動に男は、頭を掻き毟る。
これ以上言っても無駄だが、何かやらねば気が済まなかった。
たとえそれが、自傷行為にであったとしても。
何とか気持ちを落ち着かせ、夕食が入ったビニール袋を置くと、男は部屋の掃除かかった。
「ゆゆ! なにしてるの! れいむのゆっくりぷれいすだよ!」
男の足元で子れいむがそう喚くが、男は無視した。
「ゆあぁぁぁぁ! れいむがつくったとってもゆっくりできる、おといれさんがぁぁぁぁぁ!」
泣きながら子れいむはピョンピョンと跳びはねる、追いかけながらできる精一杯の抗議なのだろう。
まとめておいた古新聞紙が乱雑に置かれた場所を片付け。
「ゆぅぅぅぅぅ! れいむのとってもゆっくりできるべっとさんがぁぁぁぁぁぁぁ!!」
座布団の上に置かれたティッシュを捨てた。
その後も掃除しているといろいろと騒いでいたが、ついに何も言わなくなった。
ようやく黙ったかと、思い黙々と掃除を続け、ようやくすべて終わり、夕食へ視線を向けた。
「たべものさんのにおいがするよ! れいむにゆっくりたべられてね!」
そこには、夕食が入ったビニール袋に頭を突っ込んで尻を振っている饅頭の姿が。
男の頭に一気に血が上り、子れいむが入ったビニール袋を潰す勢いで踏み付けようとする。
「このッ……」
足を振りあげ、潰そうとおろした瞬間、会社の面々の顔を浮かぶ。
あの様子では他の人はともかく、社長は子れいむの様子を聞きに来るだろう、そう考えが出て。
踏みつぶす瞬間に何とか軌道をそらし、ビニール袋の端を潰すにとどまった。
れいむの尻はまだ機嫌良く振られているので潰してはいないだろう。
その体勢のまま、息を整えようとすると、子れいむが喜色に富んだ声を出してきた。
「ゆゆ! なんだかゆっくりできるたべものさんだよ! む~ちゃむ~ちゃ、しああああわわわわわあわわせぇぇぇえっぇぇぇ!」
どうやら男の夕食を踏み抜いてしまったようで、こぼれた中身を子れいむが食べてしまったようだ。
野良として生きてきた子れいむだ、人間のゴミではない食べ物を初めて口にし、喜びをあらわにしている。
あまりのおいしさに子ゆっくりまで成長したくせに、うれしーしーすら漏らしている。
ビニール袋から放射線状に液体が流れる。
「あっ、くそ、コイツなんか漏らしたな!」
ビニール袋から子れいむを摘み出し、中を覗いてみると踏みつぶされた弁当と、そこから飛び出た子れいむの食いかけのオカズがあった。
砂糖水のしーしーすらかかっており、踏んだだけならともかく、心情的に口にしたくない物になってしまった。
子れいむは子れいむで、せっかく食べていた御馳走をいきなり取り上げられ、ご立腹の様子だ。
「いきなりなにするの! れいむのすーぱーむーしゃむーしゃたいむがはじまるのに、かってにとらないでね!」
「……」
「なにだまってるの! れいむおこるよ! ぷくー!」
子れいむの一連の行動のせいで青筋が浮かぶほど血圧が上がる男。
男の怒気に全く気付かず、自分の不機嫌さをアピールするべく子れいむはぷくーを敢行した。
ゆっくりは他のモノの感情を読むのが致命的に鈍い部分がある、ましてや、まだ経験の少ない子ゆっくり、さらに目先の事にとらわれて全く何も考えていない状態だ。
気付く可能性など次元が逆転しても存在しないだろう。
その無駄なぷくーは男を委縮させるどころか更に血圧を上げ、男の額はメロンの様に青筋が浮かんでいる。
もはや男の眼に、一片の迷いもなく子れいむを潰すとしか考えていない。
ゆらりと男が動き出し、手を子れいむに伸ばす。
子れいむはそろそろぷくーが疲れてきたのか顔が赤くなり力を込める為か両目をギュッと瞑り、プルプルと震えだしている。
今にも叫び出しそうなほど男の呼吸は荒くなる。
子れいむに手がかかるその瞬間。
ブルルルルル
携帯電話のバイブの音が響いた。
その音に気付き、男は我に帰る。
子れいむを忌々しそうに見て、携帯電話を持つとその場を後にした。
その場に居ると、子れいむがうるさいだろうと判断したのだ。
子れいむは気付かずぷくーを維持している。
「ぷ、ぷ、ぷひゅるるる~、ゆゆ! にんげんさんがいないよ! れいむのぷくーにおそれをなしたんだね! つよくってごめんね!」
限界が来てようやくぷくーを解除すると、目の前には男の姿は無く。
子れいむは、男が逃げたと認識した。
「ゆゆ~ん、つよいれいむにたべものさんをかえしてね! たくさんでいいよ!」
しかし、男は帰ってこない。
自信満々に胸を反らした状態で言うも、影も形もない。
そこで子れいむは来ない理由に考えが浮かぶ。
「……にんげんさん! れいむもうぷくーしないから、でてきていいよ!」
子れいむのぷくーが怖くて、出てこれないんだと。
勘違いも甚だしい、子れいむは男を探す。
しかし、一向に男が帰ってくる気配はなく、子れいむはそわそわし始めたころ。
と、足音が聞こえてくる。
「はぁ、社長の長話に突入するところだった」
男が帰ってきた。
電話が終わり帰ってきたが、子れいむは自分が怒らないということで帰ってきたと勘違いする。
「ゆふふ、だいじょうぶだよにんげんさん、れいむはにんげんさんのこといじめたりしないよ!」
眉をキリッとさせ、自分のゆっくりしていることをアピールしつつ。
自分の寛大さも同時にアピールする、これで男は子れいむに怯えたりしないだろう、そして子れいむにたくさん食べモノを持ってくるだろうと勝手に思う。
一方男は、馬と鹿を同時に視界に収めた様な顔で子れいむを見る。
それと同時に先ほどの怒りが沸々と再燃焼し始めた。
「……なぁにぃがぁいじめたりしないだ! このゴミ!」
まとめてた、古新聞を一部抜き取ると、子れいむを叩いた。
「ゆぴぃ!」
これなら男の全力でも、潰れることは無いだろう。
「???」
子れいむは、自分の身に何が起こったか理解していない。
まさか、強者である自分に歯向かってくるなんて、子れいむは自分の餡子脳ほども考えていなかった。
そして、叩かれたことを理解すると、じわじわと痛みが子れいむの体中に広がる。
「い、いじゃぃぃぃぃぃ!!」
赤ゆ言葉になってしまうほど、子れいむにとっては唐突なことだったようだ。
「れいみゅのきゃわいいおきゃおしゃんぎゃぁぁぁぁぁ、いじゃいぃぃぃぃぃ!!」
男は、その子れいむがぴいぴい泣く姿に。
喜びだとか、怒りだとか、可哀そうだとか、楽しいだとか、そんな感情を一切感じさせない表情をした。
そこあるのはただただ、一つの負の感情。
嫌悪。
醜悪なものを見た。
それだけだった、一言で言うとキモいと言うべきか。
まとめるとそれだが、言葉では言い表せない程の量の嫌悪が男の頭を走り続ける。
ただひたすら、気持ち悪いモノを見る目つきで子れいむを見た。
その嫌悪感で一気に男の怒りが霧散する。
しかし、腹の底にたまる黒い不燃の感情が、男に残った。
男はそれで疲れ切り、夕食も食べず、風呂にも入らずただ寝ることにした、朝にシャワーを浴びることにした。
明日にはこの悪夢の様な物体がこの世から消えることを期待して。
「ゆんゆん」
泣き疲れたのか、子れいむは目の端に涙を流した後を残し、目を瞑っている。
寝てしまったのだろう。
目が覚めて、また部屋を荒らされたら困ると思い、透明なビニール袋に子れいむを詰めると、緩めに締めた。
男は、そのまま寝室へ行き、泥の様に寝た。
時計をセットするのも忘れたが、習慣化された起床時間のおかげか、多大な疲労感を持ちつつ男は目が覚めた。
目覚ましに、顔を洗う、浴室でシャワーを軽く浴びる。
新聞をとり、居間に入り、テーブルの上のビニール袋に気付く。
「……」
スッと、男の眼つきが鋭くなる。
テーブルに近づき、新聞を置く、そして丸い何かが入っているビニール袋を開けた。
「ゆぴ~、ゆぴ~」
そこには案の定、間抜け面を晒す子れいむが一匹寝ていた。
昨日の出来事を感じさせないご機嫌な寝息だ。
男はテーブルに置かれた新聞を再び手に取る。
「起きろ!」
そして新聞で子れいむが寝ているビニール袋ごと叩いた。
「ゆびぃ!? ?? ???」
またしても唐突な衝撃に子れいむは、寝ぼけも相まって現実と夢の境に立つ。
「??? ???」
「今日一日の飯だ、俺は夜まで帰ってこない、騒ぐな散らかすな、わかったか」
「???」
男が昨日買ってきたゆっくりフードを子ゆっくりの一日分の適正分量と書かれたとおりに子れいむが入ったビニール袋に入れ、一方的にまくし立てた。
「わかったか」
返事のない子れいむに、男は新聞紙で再び子れいむを叩く。
「ごめんなざい! わかりまじだ! いだいごどやべべぐだざい!」
寝ぼけた頭で、子れいむは必死に肯定した。
ゆっくりのしての本能の判断、とりあえず謝り、肯定し、要求する。
一厘ほどの理解もないのにとにかく謝る、ゆっくりならではの、鳴き声だ。
男はとりあえずそれを確認すると、朝食を作りに席を立った。
男がいなくなり、しばらく経って、子れいむの意識が覚醒した。
「?? なんだか、ゆっくりできないことがあったきがするよ! ゆゆ! たべものさんがあるよ!」
赤ゆっくりや子ゆっくりに多く見られる、ゆっくりできなかったことをすぐに忘れる特性もあり、子れいむは先ほどのことをさっぱりと忘れた。
昨日起こった出来事するらも、殆ど記憶に残っていないだろう。
この子れいむの家族も、何かしらの出来事で死んだろうが、この子れいむは不義理にも忘れたようである。
そこで、男が食パンとコーヒーを片手に戻ってくる。
食パンにはすでにジャムが塗られている。
「ゆゆ! にんげんさん! ゆっくりしていってね!」
男はそれを無視すると、テレビをつけ、新聞を開いた。
「むししないいでね! ゆっくりできないよ!」
男はテレビの音を大きくした。
「ゆん! まったくゆっくりしてないにんげんさんだね! いいよ、これかられいむのすーぱーむーしゃむーしゃたいむがはじまるよ!」
子れいむが、宣言してゆっくりフードを食べ始めた。
「むーしゃむーしゃ、しあばぁ!」
子れいむが食べた幸せを口にしようとした瞬間、子れいむは衝撃を受けた。
「騒ぐなって、俺は言ったんだが」
「いだいでしょぉぉぉぉ! なにずるのにんげんざん!」
追撃が子れいむを襲う。
「ゆぎゃ!」
「騒ぐな」
「ゆっぐりりがいじまじだぁぁぁ、ずいまぜん」
とにかく謝る、鳴き声を子れいむは言う。
そこにはただ次の暴力を逃れることだけしか意味はなかった。
そろそろ男もこの謝っていることが、口だけというのはわかってきたが、特に何も言うことはなかった。
男が朝食を半分ほど終えた頃、新聞の攻撃がようやく来ないと気付いたのか、子れいむの今までぶるぶると震えるのを止め。
目の前の餌に視線を向けた。
「れいむにゆっくりたべられてね! たべものさん」
ゆっくりフードにそう宣言する。
子れいむは、ゆっくりフードの一粒を口にする。
口に広がるのは、昨日食べた食べ物ほどでないにしろおいしい、ゆっくりできる味。
野良ゆっくり生活では食べたことのない生臭くない匂い。
ゆっくり向けの味の為、舌が慣れない程度に仄かな甘みを感じさせる。
おいしい、子れいむはそう思う、おそらく親ゆっくりが持ってきたゴミの中で一番おいしいモノに該当する味だろう。
食べるときはゆっくりできる、それにおいしいなら尚更だ。
何時も以上の感動は、喉を通り、口を越え、空気を震わせる声となって解き放たれた。
「むーしゃむーしゃ! しあばぜぇ!」
「黙れ」
ゆっくりの悲しい習性がまた発動する。
餌を食べるときは、よほど辛い渦中でない限り、元気よく「むーしゃむーしゃしあわせー!」と叫ぶ。
口に入れたまま叫ぶものだから、餌は汚らしく撒き散らす、飼いゆっくりでは矯正される行動の一つである。
男はとりあえず、子れいむがうるさくしたため、新聞で叩いた。
「ゆぎぃ! どぼじでごんなごどずるのぉぉぉぉ! れいむこんなにゆっぐりじでるのにぃぃい!」
ゆっくりが理不尽な目に合うと叫ぶことがこれである。
おいしかった、幸せな気持ちになれてゆっくりできた、このことを口にしては駄目なのか。
子れいむは、あまりに理不尽な仕打ちに我慢できず、先ほど打たれたことも忘れ、男に抗議する。
男の目はやはり冷たい。
それどころか、今しがた子れいむをしばいた新聞を持った片手は男の頭上に上げられている。
「俺は騒ぐなって言ったはずだ」
そう告げると、電光石火の勢いで新聞は降ろされる。
ゆっくり如きの目では捕えられないほどの速さで振り下ろされた新聞は、空気を裂き、透明なビニールに入っている子れいむを叩く。
「ゆづっ……!」
当たり所が良かったのか悪かったのか、その一撃をもって、子れいむの意識は彼方へ吹き飛ばされた。
動かなくなった子れいむに男は騒がしくなくなってよかったと思いながら残った朝食を片付けた。
男は、準備を整え家を出た。
呼吸が必要かどうかもわからないため、とりあえずビニール袋に適当に穴をあけ空気が通るようにした。
子れいむはいまだ、透明なビニール袋の中である、縛り方は堅結びだ。
「ゆ~ん、ゆ~ん、ゆ! ゆっくりおきるよ!」
男が会社の為に家を出てしばらく子れいむはようやく意識を取り戻した。
先ほどの出来事はもう毛ほども記憶に残っていない様子である。
「ゆゆ! たべものさんがあるよ! れいむにゆっくりたべられてね!」
ビニール袋内にまだ残っているゆっくりフードを見つけると、今度こそ先ほどの事をさっぱり忘れて子れいむは貪り始めた。
「むーしゃむーしゃしあわせー!」
今度は誰の邪魔もされず言い終える。
息つく暇もなく子れいむは次のゆっくりフードに取り掛かる。
食べても食べても、ゆっくりフードは無くならない。
まだまだ残る今日一日分の分量のゆっくりフードを見て、子れいむは涎を垂らす。
ゆっくりの際限ないゆっくりへの欲望の為に後先考えず、一匹でゆっくりフードを完食した。
「げっふー! ゆっくりしてるよ~」
下品に大きなゲップを吐く、口の周りには汚らしくゆっくりフードのカスがこびり付いている。
今日一日分の餌を食べきった子れいむはソフトボール程の大きさになり、しかしボールの一部に空気でも入れすぎたようにその形を醜く歪めていた。
そして、子れいむは底部がむずむずするのを感じる。
食べたら出す、そんな生理的欲求が子れいむを刺激する。
たくさん食べた後、古い餡子を体内から排出するため、子れいむは底部、人間でいう尻を上げる。
「かわいいれいむがうんうんするよ、すっきりー!」
もりもりと子れいむの底部の小さい穴、あにゃるから餡子が排出される。
およそ自分の5分の1のほどの大きさの餡子が子れいむから排出された。
どれだけたくさん子れいむが食べたかが伺えるだろう。
「ゆゆ! なんだかくさいよ!」
ゆっくりはあにゃるから排泄された餡子、うんうんから臭さを感じる。
子れいむも御多分に洩れず自身の排泄したうんうんに臭さを感じた。
「くさいのはゆっくりできないよ!」
そう言うと、子れいむはうんうんから遠ざかるように跳ねる。
しかしビニール内にはうんうんの臭気が充満している、何処に行ってもビニール内では臭気を避けることは敵わない。
ビニールに小さく開いた穴では臭気を全て出すことも出来ない。
透明なビニールは臭気から逃げたい一心の子れいむの認識能力では把握しきれず、ビニールに当たる。
「ゆゆ?」
何かに当たった感触に疑問に思ったが、子れいむは気にせずビニールの壁に向かって飛ぶ。
子れいむが、ビニールに向かって跳んだため、ビニールの壁は動き、子れいむがあたった場所は床となる。
壁となった最初の床からうんうんが転がる。
「ゆゆ!」
それから、ハムスターが回る車輪と言うべきか?
子れいむは逃げる為に、ビニールにぶつかる、うんうんは転がり子れいむに近づく、臭気の下から逃げる為にまた跳ぶ。
という、不毛な事を続けた。
「ぐざぃぃぃぃぃ!!」
しばらく経つと、うんうんは飛び散り、子れいむの体中にこびりついていた。
うんうんは時間が経つと臭くなくなると言うが、子れいむの認識は、うんうんは臭いということに固定されてしまった。
そのことによりゆっくり特有の強い思い込みが起こり、うんうんからいつまでも匂いを感じていた。
ちょっとでも意識を逸らすモノがあれば、臭気から解放されるだろうが、子れいむのうんうんへの認識ははずれることはなかった。
「ぐざいよぉぉぉっぉおっぉおぉぉ!! ゆっぐりできなぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
子れいむの叫びが一軒家に小さく響くだけだった。
日が暮れ始めた頃か。
ようやく子れいむに変化が起こった。
「ゆう、なんだかおなかすいてきたよ」
お腹がすいた、という思いが、子れいむの認識に入り込んできたため、うんうんのことが頭から離れ、すでに臭さを失っていたうんうんから匂いを感じなくなった。
子れいむの思考はすでにお腹がすいたことに一杯になっていて、気付くことはなかったが。
日が暮れてきたと言っても、男が帰ってくる時間にはまだ遠い。
結局子れいむはゆっくりできない思いを抱くだけだった。
「おなかすいたよぉぉぉぉぉ!!」
「ゆぅ~」
外はすっかり暗くなり、灯りをつけていない部屋も当たり前の様に暗くなった頃。
子れいむのお腹の虫が全く収まらない中、ぱちりという音とともに灯りがともった。
「?」
子れいむは灯りが付いたことに気が付き、辺りを見渡した。
ドアの方を向くと、男が帰ってきていた。
「ゆゆ! にんげんさんれいむおなかすいたよ! たべものさんちょうだいね! たくさんでいいよ!」
男を見るなり、子れいむは餌を要求した。
もうお腹と背中がくっ付きそうなほど、子れいむはお腹をすかしていて、挨拶も何も無くとにかく餌がほしかった。
「お前に今日一日分の餌はもうやったろ」
男は子れいむに一瞥もせずそう告げた。
ビニール袋片手に帰ってきた男はスーパーの帰りなのだろう、冷蔵庫に買ってきた物を入れ始めた。
「なにいってるのぉぉぉぉぉぉ!! かわいいれいむがおなかをすかしてるだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「うるさい黙れ」
そう言うと、男はスーツを脱ぎながら居間から出て行った。
「ゆがぁぁぁぁぁっぁぁ!」
半ば無視扱いの男の行動に子れいむは憤慨した。
怒りにより一時的に空腹は忘れてしまった。
しかし、要求は忘れなった。
「おなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたおなかすいたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「黙れって言ってんだろ」
スーツから家着に着替えた男はキッチンへ向かった。
そして、キッチンから食べ物のにおいが子れいむの元へ流れて行く。
料理をしていることに気づく、野良のゆっくりに料理の概念は無いが、とにかく何か食べモノを作っているという事はわかった。
匂いを嗅ぎ、空腹感が増すが、子れいむは怒鳴り散らすのを止めた。
「ゆふふ、にんげんさんったら、つんでれさんなんだね!」
今作っている物は子れいむに出されるのだろうと思ったからだ。
食べ物の良い匂いが、子れいむの嗅覚を刺激する。
今か今かと待ち焦がれていると、男が居間に戻ってきた。
「ゆんゆん! おいしそうだね!」
男の手に持たれている皿に盛られた料理、見ているだけで子れいむは涎が止まらない。
訝しげに男は子れいむを見るが、まあいいかと、席に着く。
片手に持った料理が盛られた皿、食べる為の食器とコップ、それと飲み物をテーブルに置く。
特に意味もなくテレビをつけ、コップに飲み物を注ぐ。
「いただきますっと」
男はそう言うと、料理を食べ始めた。
子れいむはというと、視線は料理にくぎ付けだ、今か今かと自分の分の料理を待っている。
男は席についてしまった、自分の分は?
そう思いながらも、子れいむの口から涎は止まらなかった。
「だーらだーら」
あの皿の中のモノを分けられるのだろうか、流石に子れいむも成人男性が食べる夕食の量を一匹で全部食べられるとは思わなかったようだ。
男は黙々と食べる。
時々喉を潤わせるため、コップに手を伸ばす程度にしか、手を止めない。
料理を食べ終わると。
「御馳走様でした、ふぅ」
そういい、食器をキッチンに戻し、居間に戻ってきた。
ようやく子れいむは疑問に思ってきた。
「……にんげんさん、れいむのぶんは?」
「は? ああ、やけに静かだと思ってたら、そんな勘違いしてたのか」
「え?」
「先に言ったろ、お前の分の今日一日の餌はくれてやったって」
「ええええええぇぇぇぇ!! れいむおなかすいてるんだよぉぉぉぉぉおおお!!」
男は深いため息を付いた。
「知るか」
そう言うと、テレビに意識を集中させた。
「ゆがあぁぁぁぁぁぁぁ!! おながずいだっでいっでるでしょぉぉぉぉお!! ばかなの!? しぬべっ!」
いつの間にか持たれていた、新聞紙で子れいむは叩かれた。
「なんどもただぶっ」
「いだぃぐぅ!」
「やべぇ!」
「ゆぎぃ!」
「……」
子れいむが静かになるまで、新聞の乱打は止まらなかった。
「ゆっ…… ゆっ…… ゆっ……」
口から餡子を垂らし瞼を腫らしその隙間からは砂糖水の涙が流れている。
足元には、涙と同成分かつ別の意味を持つゆっくりの尿、しーしーが水溜りを作っている。
男が子れいむをどつきまわしたせいだ。
しかし男は何ら気にする様子は無い、寧ろ静かになったことで不機嫌が普通に戻ったくらいだ。
「さて、そろそろ寝るか」
男はそう言うと、家に帰ってきたときにつけておいた風呂に入り寝た。
子れいむの傷は癒されることなく、そのままである。
体中に鈍く響く痛みが子れいむを襲い、眠ることすら許さない。
小さく「ゆっ……ぐ、び ゆっ……じ ゅっ……だぃ」と呻く程度だ。
口がきけたら、「おうちかえる!」と騒ぎたてるだろう。
動けたら、痛みを散らす為に部屋中を転げまわっていただろう。
うるさくしたら、男が起きてきて、今度は命の保証すら危うい。
ここではじめて子れいむは、寿命を伸ばす最善の行動をとっていた、取らざるおえなかった。
この程度の怪我では出鱈目なゆっくりだ、次の日の朝には完治しているだろう。
よほど大きい外傷でなければ、そこまで心配する必要はない。
吐餡量も少ない、寧ろ少しくらい抜いたほうが、馬鹿が雀の涙ほど改善されるかもしれない。
野良を教育することは難しく、都会の空気で育ったというだけでゆっくりの餡子脳は劣化していくのかもしれない。
そんな馬鹿を家で飼うレベルに育てるのは、教育では不足する。
調教しなければ、野良は飼うレベルには育たない。
不味い行動をしたら、口では言わない、一も二もなく叩くことが最善手である。
その風に吹かれれで飛ぶような軽い餡子脳に、痛みで刻みつけなければならない。
この子れいむが、飼いゆっくりとしての知識を身につけ、立派に育つか。
はたまた、馬鹿のままか。
後者なら、悲惨な結果しかないだろう。
そして男は気付かない、野良の子ゆっくりを引き取るお人好しは、少しでもゆっくりを知っているなら子れいむが更生するくらいありえないことに。
今まで書いたモノ
anko1083 サンプル
anko1097 暗く湿った穴の中
anko1308 すろーりぃな作戦
anko1394 投げた!
anko1425 声
anko1477 さよなら生物
anko1503 山彦恋慕
anko1632 親の脛かじり
anko1739 楽しい朝餉
anko1823 梅雨が来て、人が来て
11作目です。
虐殺が多いと見たので、虐待っぽいモノを書いてみたり。
どうなんでしょ、書いているうちにわからなくなりました。
では、最後まで読んでいただけたら幸いです。