「宇宙の果てのどこかにいる私のしもべよ!」
「神聖で、美しく、そして強力な使い魔よ!」
「私は心より求め、訴えるわ! わが導きに、応えなさい!」
閃光、爆風が広場を包む。
煙が晴れた先、この爆発の中心地に現れたのは……
「神聖で、美しく、そして強力な使い魔よ!」
「私は心より求め、訴えるわ! わが導きに、応えなさい!」
閃光、爆風が広場を包む。
煙が晴れた先、この爆発の中心地に現れたのは……
「何だ、ここは!」
白い衣服の上から変わった紺色の上着を羽織り、二つの車輪のついた鉄の馬――というにはあまりにも貧相――にまたがった
青年は怒鳴った。彼は右腕に、黒く四角い物体を持ち上げている。
「俺はデ・マーエの途中なのだぞ! 名門ディスカビル家再興のため、俺はもっとマネーを稼がねばならんのだ!」
早くしなければ、カケ・ソーバが伸びてしまうではないか! と続けるが、誰も彼の言葉を聞いていなかった。というより、
言葉が通じていないのだ。ただ、ピーピーうるさいだけとしか聞こえない。
白い衣服の上から変わった紺色の上着を羽織り、二つの車輪のついた鉄の馬――というにはあまりにも貧相――にまたがった
青年は怒鳴った。彼は右腕に、黒く四角い物体を持ち上げている。
「俺はデ・マーエの途中なのだぞ! 名門ディスカビル家再興のため、俺はもっとマネーを稼がねばならんのだ!」
早くしなければ、カケ・ソーバが伸びてしまうではないか! と続けるが、誰も彼の言葉を聞いていなかった。というより、
言葉が通じていないのだ。ただ、ピーピーうるさいだけとしか聞こえない。
ルイズは召喚で呼び出された、明らかに平民と思しき青年に怒鳴りつけ、コルベール先生の方へと向き直る。
「うるさい! ミスターコルベール!」
「何です?」
「あの、もう一度召喚させてください!」
「それはできない」
「この儀式はメイジとしての一生を決める、神聖なもの。やり直すなど、儀式そのものに対する冒涜ですぞぉ。
君が好むと好まないとにかかわらず、彼は君の使い魔に決まったのです」
「でも、平民を使い魔にするなんて、聞いたこともありません!」
「平民であろうと、何であろうと、例外は認められません」
さらに問答を繰り返すが、答えは代わらない。退学まで示唆され、ルイズはしょげかえる。
「分かりましたぁ」
「うるさい! ミスターコルベール!」
「何です?」
「あの、もう一度召喚させてください!」
「それはできない」
「この儀式はメイジとしての一生を決める、神聖なもの。やり直すなど、儀式そのものに対する冒涜ですぞぉ。
君が好むと好まないとにかかわらず、彼は君の使い魔に決まったのです」
「でも、平民を使い魔にするなんて、聞いたこともありません!」
「平民であろうと、何であろうと、例外は認められません」
さらに問答を繰り返すが、答えは代わらない。退学まで示唆され、ルイズはしょげかえる。
「分かりましたぁ」
まだうるさく喚いている平民の男に、顔を近づける。
「感謝しなさいよね!貴族にこんなことされるなんて普通は一生無いんだから!!」
呪文の詠唱。こんなときでもまだ何かを言っている。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司る
ペンタゴン。このものに祝福を与え、我の使い魔となせ…」
そしてルイズは、仕方なく、本ッ当ゥ~に仕方なく、唇を重ねた。
「コントラクトサーヴァントは無事終了しましたな!」
コルベール先生の賛辞が、やけに白々しく聞こえた。
「感謝しなさいよね!貴族にこんなことされるなんて普通は一生無いんだから!!」
呪文の詠唱。こんなときでもまだ何かを言っている。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司る
ペンタゴン。このものに祝福を与え、我の使い魔となせ…」
そしてルイズは、仕方なく、本ッ当ゥ~に仕方なく、唇を重ねた。
「コントラクトサーヴァントは無事終了しましたな!」
コルベール先生の賛辞が、やけに白々しく聞こえた。
「貴様、何をする! 俺にはミサキ~ヌが……!」
抗議の声が、途中で途切れる。
身体が熱くなり、左手が輝く。あまりの熱さに気を失うが、四角い物体は中身をこぼすこともなく
地面に置かれた。
抗議の声が、途中で途切れる。
身体が熱くなり、左手が輝く。あまりの熱さに気を失うが、四角い物体は中身をこぼすこともなく
地面に置かれた。
その夜。気絶した使い魔がやっと目を覚ました。
言葉が通じず、あまりにもうるさかったので
「あんた、名前は?」
すると、目の前の平民は立ち上がり、誇らしげに名前を言う。
「俺は神に代わって剣を振るう男。俺の名は、神代剣だ! そんなことより、ここはどこだ!
俺はなぜこんな所にいる!?」
「決まってるでしょ、私に召喚されたのよ。使い魔として、ね」
「ツ・カイマー? 何だそれは?」
自分の使い魔、神代剣に対して説明を始める。
言葉が通じず、あまりにもうるさかったので
「あんた、名前は?」
すると、目の前の平民は立ち上がり、誇らしげに名前を言う。
「俺は神に代わって剣を振るう男。俺の名は、神代剣だ! そんなことより、ここはどこだ!
俺はなぜこんな所にいる!?」
「決まってるでしょ、私に召喚されたのよ。使い魔として、ね」
「ツ・カイマー? 何だそれは?」
自分の使い魔、神代剣に対して説明を始める。
「そうか、ツ・カイマーとは騎士なのだな!」
「そうじゃなくて、使い魔は使い魔! 私のしもべなの!」
「任せておくがいい! 俺は騎士道においても頂点に立つ男だ! 必ずやル・イーズを守り抜いて見せよう!」
先ほどからずっとこの調子だ。何を言おうと、言葉は通じるのだが通じない。
「だから~! ……もう、いいわ」
何とか最低限の義務だけは教え込めた。それだけは、やけにやる気になっている。
あとはおいおい調教していくしかない。
「そうじゃなくて、使い魔は使い魔! 私のしもべなの!」
「任せておくがいい! 俺は騎士道においても頂点に立つ男だ! 必ずやル・イーズを守り抜いて見せよう!」
先ほどからずっとこの調子だ。何を言おうと、言葉は通じるのだが通じない。
「だから~! ……もう、いいわ」
何とか最低限の義務だけは教え込めた。それだけは、やけにやる気になっている。
あとはおいおい調教していくしかない。
「ふわあ~~。もう寝るわ」
あくびをしながら、ベッドに這い上がる。
「あんたは床で寝るのよ!」
まずは上下関係をはっきりさせなくてはならない。義務すら覚えられないような使い魔相手なら、なおさらだ。
もちろんこの使い魔も抗議した、のだが……
「この俺が床で寝るだと!? いや……そうか! ベッドに寝ていてはとっさのときに君を守れんな。」
「いや、そうじゃなくて!」
「良かろう! 高貴なる者の義務、ノブレス・オブリージュとして引き受けた!」
なにやら勝手に納得する。何と言っていいのやら、空いた口がふさがらない。
しかし、こんなことでめげるわけにはいかない。今度こそ、どちらが主人かを分からせてやらなくては。
ルイズはブラウスに手をかける。それを見た剣は、今度は血相を変えて叫んだ。
「ル・イーズ、何の真似だ!」
「勝手に変な名前で呼ばないでよ! 寝るから着替えるだけよ」
「な、何だと!? 紳士の前で着替えるとは、それでも淑女か!?」
「うるさいわね! 使い魔に見られたってなんとも思わないだけよ!
あと、明日になったらそれ洗濯しといて」
あれよあれよという間に着替えたルイズは、脱いだ服を投げつける。剣は顔に
かかった布地を広げ、素っ頓狂な声を上げる。
剣の反応に、今度こそルイズはほくそえむ。
そうだ、こうやって私のしもべだということを分からせていけばいいのだ。しかし、
「なぁにぃぃっ! ……いや、か弱きものの世話も高貴なる者の務めだ! よし、任せろ!
俺は洗濯においても頂点に立つ男だ!」
またもこの調子で勝手に納得した。それも、下僕としてではなく高貴なる者の義務とか言って。
こいつとの意思疎通は永遠に不可能かもしれない。ルイズは頭痛を感じながらも、
今日の疲れが出たのかぐっすりと寝入った。
あくびをしながら、ベッドに這い上がる。
「あんたは床で寝るのよ!」
まずは上下関係をはっきりさせなくてはならない。義務すら覚えられないような使い魔相手なら、なおさらだ。
もちろんこの使い魔も抗議した、のだが……
「この俺が床で寝るだと!? いや……そうか! ベッドに寝ていてはとっさのときに君を守れんな。」
「いや、そうじゃなくて!」
「良かろう! 高貴なる者の義務、ノブレス・オブリージュとして引き受けた!」
なにやら勝手に納得する。何と言っていいのやら、空いた口がふさがらない。
しかし、こんなことでめげるわけにはいかない。今度こそ、どちらが主人かを分からせてやらなくては。
ルイズはブラウスに手をかける。それを見た剣は、今度は血相を変えて叫んだ。
「ル・イーズ、何の真似だ!」
「勝手に変な名前で呼ばないでよ! 寝るから着替えるだけよ」
「な、何だと!? 紳士の前で着替えるとは、それでも淑女か!?」
「うるさいわね! 使い魔に見られたってなんとも思わないだけよ!
あと、明日になったらそれ洗濯しといて」
あれよあれよという間に着替えたルイズは、脱いだ服を投げつける。剣は顔に
かかった布地を広げ、素っ頓狂な声を上げる。
剣の反応に、今度こそルイズはほくそえむ。
そうだ、こうやって私のしもべだということを分からせていけばいいのだ。しかし、
「なぁにぃぃっ! ……いや、か弱きものの世話も高貴なる者の務めだ! よし、任せろ!
俺は洗濯においても頂点に立つ男だ!」
またもこの調子で勝手に納得した。それも、下僕としてではなく高貴なる者の義務とか言って。
こいつとの意思疎通は永遠に不可能かもしれない。ルイズは頭痛を感じながらも、
今日の疲れが出たのかぐっすりと寝入った。