セイパとメラデイルを始祖とするセム族は、夜に溶け込み歴史の表と裏の全てを凝視することにした。最後の王が倒れた後、我が種族は王の復讐以外にこの土地で何も残さないと決めた。我々は記録すらしない。記憶するのみである。だがそれだけが我々の種族に残された物なのだろうか。セリパとメラデイルのみが何か残した物があるかもしれないと主張した。元老院は彼らを追放し、記憶術師たちはセム族に対する記憶を「追放された」とのみ記憶させた。だが我々は消えることはない。セム族は記憶術を覚えることはできなかったが記録を残した。皆が認めず闇の中に埋もれた話まで全て記録した。
我々はセム族である。夜に溶け込み全てを観察する。
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