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ぽちの別荘 文章 「姫様甘やかしまくりな別荘にしようぜ!」 「アメルダさんに怒られすぎない範囲でね」     狙撃を食らったことのある人間の重みのある言葉 #ref(http://areb.sakura.ne.jp/i_dress/cgi/file/potisafehouse3sen.jpg)        ~~王女ゲーム中~~ /*/ それは誰が最初に言い始めたかもさだかではなかったけれど、 あの日ぽちがになし藩に療養しにきたその日からちょっとずつ始まっていたのだろう。 体調を崩しながらも自分たちと一緒にはしゃいでくれた姫が逗留するにあたり、 少しでも普段のことを忘れて休めるように、とか。 少しでもすごしやすくするためにはどうしたらいいだとか。 前回来た時は王城で人の出入りが一杯だったからのんびり過ごせる場所にしよう、とか。 そのちょっと、は ぽちのこととなると力が入りすぎるになしの民らしく、 やたらと具体的な議論の元あーすればよかったね、次はこうしよっか、という風に段々形をもっていった。 気軽に遊びにこれるようにしよう、すぐ帰ってこれるようにしよう。 そりゃあ政務を抜け出してずっといれるわけじゃあないけれど、 それでも我らが姫様が、ただ笑顔であるためだけの場所を。 最初はただの想像だった。 けれど、休める場所がないならつくればいいじゃない、という いつものはてない的な思考は、いつの間にやら現実になろうとしていた。 /*/ 「お姉様のための別荘を作ろうと思う」 その日、きりっと逆光付きで言い放ったは藩王になしだった。 ぽちのためであるからかいつもよりも気合いが入っている。 相変わらず外見は美少女だったが。 王城の一角、秘密めいた雰囲気の会議室。 政務関係者が珍しくもずらりと一同に会していた。 《第1回・お姉様のためのになし藩民によるお姉様の別荘建設計画会議》と入口には何とも頭の悪いタイトルののぼりが立てられている。 あげく長すぎて文章は尻すぼみになっていた。 ちなみに書いた本人である瑠璃は何故か得意げである。 「先日、お姉様をお迎えした時に思ったのだが――  せっかく、この国に帰ってきていただいたのだから、どうせなら心安らかに過ごしていただきたいのだ。  それは当然皆もそう思っているだろう」 集まった一同の首がこくこく、と縦に振られる。 になしの民としては当然異論はない。 「やはり余としては、何よりもお姉様を喜ばせてさしあげたい。  ……それに、お姉様が気に入ってくださればもっと会える機会も」 「はんおー、気持ちはわかりますが後半本音駄々漏れです」 九重の入れたツッコミにちょっと恥じらう(一見)美少女。 もっとも、ツッコミはすれども問題にはならない。それも常々になし藩全土民が思ってることである。 こほん、と空咳をして威厳を取り戻すかのごとく再度語りかけ始める。 「異論がなければこの案は進めていきたいと思っている。  実行に際しては、やはり警備のことなども考えていかねばならんな。  前回は王城に逗留されていたからさほどの心配もなかったが今回はそうも言えん。  あの悲劇をもう一度は御免こうむる」 になしの言葉に当時をちょっとだけ思い出しうつむいて、すぐ視線を戻す月空。 時間はかかろうが立ち直るのがこの人物のいいところである。 こくり、と神妙な顔をして頷いたのは玲音。 だが、顔を真面目にしても首から下は今日もメイドガイ。 もっとも、格好と心根はまた遠く別物ではある。服装の趣味はアレでも。 「はいはい、とゆーわけで皆案だしてね、どんなのでも構わないよー。  後で専門の人にもきちんと聞いてみるけど。  こういうのは盛り込むのは無理でもさ、素人意見だろうと多ければ多いほど穴は塞げるもんだしね」   ぱん、と手を叩いてArebこと、通称セレナちゃんが場を占める。 意見言いたい人手ーあげてー、と言ったそばからはいはい、と声。 ~以下・踊る会議建設編~ 「やっぱりここはログハウスとかさ、あったかい感じにしましょうよ。保養地っていうかリフレッシュしに来るんですし」 「そもそもの立地をまずどうするか、じゃないかな」 「人工ですけど、海のそばにもつくりませんか?姫様にまた泳いでもらったりとか」 「お姉様の水着……!(きゅん」 「どのあたりがいいかなぁ。藩のはしっことかよりはど真ん中かな」 「それ新市街っていわない?」 「下手に市街地に作るのはそれはそれでまずくないかい? 府利歩智岳(ぷりぽちだけ)中腹が今だったら空いてるっぽい」 「王城つか政庁に併設して作るならありかな……何かあればすぐ行けるよ」 「こういっちゃなんだけど体調崩された場合に備えて担架とか車椅子使えるようにバリアフリーにしないー? なんかおっきい荷物運び込むのとかにも便利だし」 「一応姫様の部屋隣の部屋は扉続きでも通れるように作りましょうよー。普段は部屋の外、臨時のときだけそっち通れるようにすると有事の際便利じゃないですか?」 「あ、じゃあ理力建築の人に頼んどこうか、その辺」 ~以下・踊る会議防犯編~ 「えとー、まず防弾ガラスは必須ですよねー。建築資材はどうします? やはり強固な作りに?」 「いや、それだとかえって堅苦しいんじゃないですかね。内装でごまかすには限界がありますし」 「そもそも建築したときに狙撃できないような作りにしちゃえば問題なしだよー」 「基本姿をさらしてる時が一番危険ですよね、屋敷の入口とか、お散歩中とか」 「見回ってる最中はボディガード達で根性いれましょう。姫様の自由をそこまで奪いたくないです」 「となると、車での出入りですかね。……そも、屋敷の出入り口を使用しない方向はどうです?」 「王城から秘密の入口、とかどうだい?それなら安全に行けると思うけど」 「ああ、姫様が国に来たってのも確実にわかりますしね。なんなら藩王の部屋に直通通路でも作りますか?確実にいらした時はお会いできますよ?」 「おおお、お姉様への一番のご挨拶・・・!」 「まぁ一番の挨拶は運転手さんだと思うけどね(ぼそっ」 「念のためセーフハウスも作っとくとかどうよ?」 「ありすぎても困るでしょ」 「けど防犯大事ですし。それっぽいのとか何軒か立てましょう。実質使うのは一つにして」 「そうねぇ。対外的に姫用で、実際は他の人員の避暑地とか?」 「まぁ実際に使用する屋敷は発表しない、でいいんじゃないですかね」 「あーそだ、パソコン置くとしてーセキュリティとかどうしよう?」 「ネットワークのほうさ、オタポンさんに頼めないかなー。姫様オンラインゲームもするんでしょ?」 「りょーかいです、ではお手紙書くとですよ」 「物理なボディガード関係はぽちの騎士叙勲者で当番制でどうですかね?」 「むしろ担当者の魂の故郷:ぽち姫であればいいんじゃないかな」 「ファンクラブ会員で厳正なる審査の上ってことね」 「それ要はになし藩民ならクリアしてるんじゃ」 「そうともいう」 「んー、使用されてない期間管理人さんいないと色々まずいよね?どうしよう?」 「公募……ってわけにはいかないから、それこそ政庁で働いてる人たちからでいいんじゃないかなー?」 「ハウスキーパーさんと管理人さんは分けるか、一緒でも女のひとがいいと思います!」 「庭先に花壇もほしいですよね。植え込みとか別荘内の花瓶とか、手入れする人も」 「後滞在中の食事もねっ」 「食堂のおばちゃんに頼みます?」 「逆に考えるんだ、今から調理免許とってしまえば姫に手料理が食べてもらえる……」 「……!」 「わ、わたしやりt」「いや待て余が」「立候補したいですーっ」「ちょっと、ずる……!」 「はいはい、お前らオチツケ(蹴」 ~以下・踊る会議内装編~ 「やはり必需品といえばゲームだな」 「ですね」 「とりあえず携帯機据え置き機問わず各種置いときますか。次世代機はでたらすぐ買う方向でさ」 「カードとかボードとかも置く方向でお願いします」 「ソフトはどうするのー?式神はこないだ持ってきてたけど」 「精霊機動だーん!がんしゅーがんしゅー!」 「……あまり置いとき過ぎてもきっとお付きでアメルダ様もいらっしゃるじゃん?怒られない?」 「怒られたらその時ダヨ、その時!」 「どうせ怒られるなら真っ向勝負ですねわかります」 「いやだー!もう狙撃はされたくなーい!」 「いや自分はまたされても………」 「裏切り者?!」 「あ、対戦物も置きましょうよー。姫と一緒に遊びたいです!」 「あ、じゃあマルチタップも書いといて」 「何人押しかける気だ!」 「やっぱりおっきぃ筐体とか……」 「あ、椅子とか机どうします?デザインもそうですけどやっぱりふかふかにしたいかなーと」 「そこら辺はやはり直接商品見て選ばないとな、カタログとは違うのだよ現物は(ごごご」 「高けりゃいいものってわけでもないですしね。高いものにいいものが多いのは事実ですが」 「色でなんか落ち着く効果とかあったよね。うろ覚えだけど」 「まぁその辺りもおいおいで」 「後、医療品念のため揃えませんか?医薬品室というか応急処置的な意味合いで」 「あぁ、診療所経由でお願いしておきますー」 脱線・迷走・妄想しながらも会議は進行されていく。 尚、うっかり今回の議事碌作成役になった芒氏は、書いても書いても終わらない……と涙を流していたという。 誰もが、あーでもないこーでもない、とうんうん唸ったりしながらなけなしの頭で考えていた。 ただ、どこかしら楽しそうであったのは、やはり他の誰でもない王女のための時間だったからだろう。 王犬ちよこさまは、久々に活気付いたその喧騒をくあ、とあくびしながら眺めていた。 #r:ここより先防犯のため文殊に国民番号が登録されているプレイヤーおよび国内関係者以外の資料閲覧を禁ず /*/ それは、自然に囲まれた中に立っていた。 ひっそり、というほどではなかったが、静かな雰囲気に包まれている。 鳥がちちち、と鳴く声がする。 になし藩のほぼ中央に位置する府利歩智岳(ぷりぽちだけ)、その側の中腹。 政庁から歩いて数分と云ったところだろう。 脇道を行くせいか、そう目立たない位置合い。 ちょうど、裾野である市街区からは地形と自然のおかげで目につきにくく、そこより高台には政庁しかない。 政庁からにしたって、はっきりと見えるのは藩王のいる執務室と、警備の人間のいる高台ぐらいしかその屋敷の全景は見えづらいように設計されていた。 垣根が彩る入口をくぐれば、さまざまなになし藩自生の花が咲く花壇。 2階建のそう大きくもないアットホームな雰囲気すら漂わせるそれは、別荘というよりはむしろ一軒家と呼んだほうがいいのかもしれない。 #ref(http://areb.sakura.ne.jp/i_dress/cgi/file/potisafehouse2.jpg) 1Fにリビング・システムキッチン・トイレ・ゆったりめのバスルーム、奥に管理人・警備員が泊りの時用の宿直室。 階段下の空間は医薬品や備品の置いてある収納室。 2Fにレストルーム4部屋。天井は高く、狭苦しさを感じさせない。 #ref(http://areb.sakura.ne.jp/i_dress/cgi/file/potisafehouse4.jpg) 1Fはあえて見取り図を表示しない。秘密通路の漏えいを防ぐためである。 2Fの各部屋の雰囲気は木目の落ち着いた色合いのせいか、カーテンに引いてある色や置いてあるもので様相をがらっと変える。 それそれの部屋にもバストイレはそう大きくはないがついている。 ぽちの部屋には寝室とは別のしきり部屋に勿論ゲーム機の数々。 座り心地のいいソファにクッション。 大型テレビにスピーカーは5.1chサラウンド(ヘッドホンも勿論用意) ネットにもつながるように抜かりはない。 また、先日オタポン氏に頼んだ結果、ネットゲームのための電子防衛も完備されている。 勿論動作環境的には快適である。 隣の部屋は基本お付きのひと(アメルダさま)を想定して、ゲーム類がない分空いたスペースを アロマ類やマッサージチェアなどリラクゼーションに充てている。 この部屋のみ緊急の際に廊下を通らずとも姫の部屋に直結でいけるよう、内ドアで内部がつながっている作りだ。 姫が2名以上で来た場合や、こっそり滞在中に姫を訪ねてきた来賓用の客室も念のために一部屋とっている。 こちらも丁度品などはあまりおかず、ゆったりくつろげるようリラクゼーション関連を優先させている。 残りの1部屋は、藩王などお泊り組用。 泊り組部屋は多人数が来る場合を想定して、ベッドのみのあくまで宿泊部屋的な扱いにしてある。 もっとも、此処に関しては家近くなんだから。。。という話もあるが。 3F………というよりほぼ屋根裏は倉庫室。四季折々で必要な大物などが置いてある。 普段使われない冬物の羽毛布団や、非常食などもここに収納されている。 また、別荘内部には普段は使われることのない秘密通路もある。 王城直通の通路になっていて、有事の際の脱出通路になっていた。 2Fにも階段以外に下に降りるためのダストシュートが配備されている。 更に、すべての部屋に何かがあればぽちっとボタンひと押しで藩国部隊、および政庁の軍部詰め所に通報がいく緊急スイッチまでおいてあったりする。 それが、になし藩国内に建てられたぽち姫のための別荘、だった。 実を云えば、秘密通路自体は別として、同じ外観、同じ間取りのものが他に藩国内に数ヵ所建てられている。 そのうちのひとつが対外的にはぽちが使用する別荘として公表されていた。 姫様の別荘は俺が作りたい いやいや俺に任せてくれ とかで喧嘩になりかけた建築業界の要求に応じられる上に カモフラージュ、ぶっちゃけて言えば暗殺対策にもなるという目論見である。 勿論、建築に携わったものは複数にわたる。 ものすごく広いとも言わない藩国内の建築業界、自分以外にも作っている気配があるのは何となくわかる。 が、それぞれになし藩国の民らしく、自分たちが立てたものがたとえ実際にはぽちに使われようと使われまいと、 使われないことが姫を守ることにつながっているのだと、そう誇っていた。 /*/ r:による閲覧防止措置ここまで。 別荘ができてそれからしばらくたった頃。 久々に、姫がになしに顔を出すという話が舞い込んできた。 ついに準備してた別荘の出番だー、と建設に携わった人間たちは喜んだ。 姫の姿がみれる、と国民も喜んだ。 ついにおもてなしをする時が……!と別荘関係者は緊張とやる気に包まれた。 今回の警備係くじで当たった当たらないで警備詰所は悲喜交々だった。 誰もが胸に明かりが灯ったようになんだか浮かれていた。 内線の電話が鳴る。回線は王城、藩王の執務室からだ。 ―――もうすぐお姉様がそちらに向かわれる。今余がご挨拶をしたところだ。よろしく頼むぞ、余もあとから行く。 最後の花瓶に花をさす。時計をちらちらとみる。 掃除は3回やった。ベッドメイク完璧。料理の仕込みもがんばった。 警備のひとには連絡済み。植え込みの手入れは昨日頑張ってもらった。部屋の換気も大丈夫。 出迎える準備は整った。もうすぐ、やって来られる。 備品の不備がないか何度も点検はした。ああ、あとそれからそれから。 ……車の音がする。止まった。 急いで入口に向かう。 自分の恰好はおかしくないかセルフチェック。 お出迎えの前に深呼吸をひとつ。一拍して、入口がノックされ開かれる。 さあ、今日このときのために練習してきた笑顔で。 「お帰りなさいませ、姫様!」 文:瑠璃・九重 千景 イラスト:瑠璃 ---- L:ぽちの別荘 = {  t:名称 = ぽちの別荘(施設)  t:要点 = 別荘、静かな、ぽち  t:周辺環境=山
ぽちの別荘 文章 「姫様甘やかしまくりな別荘にしようぜ!」 「アメルダさんに怒られすぎない範囲でね」     狙撃を食らったことのある人間の重みのある言葉 #ref(http://areb.sakura.ne.jp/i_dress/cgi/file/potisafehouse3sen.jpg)        ~~王女ゲーム中~~ /*/ それは誰が最初に言い始めたかもさだかではなかったけれど、 あの日ぽちがになし藩に療養しにきたその日からちょっとずつ始まっていたのだろう。 体調を崩しながらも自分たちと一緒にはしゃいでくれた姫が逗留するにあたり、 少しでも普段のことを忘れて休めるように、とか。 少しでもすごしやすくするためにはどうしたらいいだとか。 前回来た時は王城で人の出入りが一杯だったからのんびり過ごせる場所にしよう、とか。 そのちょっと、は ぽちのこととなると力が入りすぎるになしの民らしく、 やたらと具体的な議論の元あーすればよかったね、次はこうしよっか、という風に段々形をもっていった。 気軽に遊びにこれるようにしよう、すぐ帰ってこれるようにしよう。 そりゃあ政務を抜け出してずっといれるわけじゃあないけれど、 それでも我らが姫様が、ただ笑顔であるためだけの場所を。 最初はただの想像だった。 けれど、休める場所がないならつくればいいじゃない、という いつものはてない的な思考は、いつの間にやら現実になろうとしていた。 /*/ 「お姉様のための別荘を作ろうと思う」 その日、きりっと逆光付きで言い放ったは藩王になしだった。 ぽちのためであるからかいつもよりも気合いが入っている。 相変わらず外見は美少女だったが。 王城の一角、秘密めいた雰囲気の会議室。 政務関係者が珍しくもずらりと一同に会していた。 《第1回・お姉様のためのになし藩民によるお姉様の別荘建設計画会議》と入口には何とも頭の悪いタイトルののぼりが立てられている。 あげく長すぎて文章は尻すぼみになっていた。 ちなみに書いた本人である瑠璃は何故か得意げである。 「先日、お姉様をお迎えした時に思ったのだが――  せっかく、この国に帰ってきていただいたのだから、どうせなら心安らかに過ごしていただきたいのだ。  それは当然皆もそう思っているだろう」 集まった一同の首がこくこく、と縦に振られる。 になしの民としては当然異論はない。 「やはり余としては、何よりもお姉様を喜ばせてさしあげたい。  ……それに、お姉様が気に入ってくださればもっと会える機会も」 「はんおー、気持ちはわかりますが後半本音駄々漏れです」 九重の入れたツッコミにちょっと恥じらう(一見)美少女。 もっとも、ツッコミはすれども問題にはならない。それも常々になし藩全土民が思ってることである。 こほん、と空咳をして威厳を取り戻すかのごとく再度語りかけ始める。 「異論がなければこの案は進めていきたいと思っている。  実行に際しては、やはり警備のことなども考えていかねばならんな。  前回は王城に逗留されていたからさほどの心配もなかったが今回はそうも言えん。  あの悲劇をもう一度は御免こうむる」 になしの言葉に当時をちょっとだけ思い出しうつむいて、すぐ視線を戻す月空。 時間はかかろうが立ち直るのがこの人物のいいところである。 こくり、と神妙な顔をして頷いたのは玲音。 だが、顔を真面目にしても首から下は今日もメイドガイ。 もっとも、格好と心根はまた遠く別物ではある。服装の趣味はアレでも。 「はいはい、とゆーわけで皆案だしてね、どんなのでも構わないよー。  後で専門の人にもきちんと聞いてみるけど。  こういうのは盛り込むのは無理でもさ、素人意見だろうと多ければ多いほど穴は塞げるもんだしね」   ぱん、と手を叩いてArebこと、通称セレナちゃんが場を占める。 意見言いたい人手ーあげてー、と言ったそばからはいはい、と声。 ~以下・踊る会議建設編~ 「やっぱりここはログハウスとかさ、あったかい感じにしましょうよ。保養地っていうかリフレッシュしに来るんですし」 「そもそもの立地をまずどうするか、じゃないかな」 「人工ですけど、海のそばにもつくりませんか?姫様にまた泳いでもらったりとか」 「お姉様の水着……!(きゅん」 「どのあたりがいいかなぁ。藩のはしっことかよりはど真ん中かな」 「それ新市街っていわない?」 「下手に市街地に作るのはそれはそれでまずくないかい? 府利歩智岳(ぷりぽちだけ)中腹が今だったら空いてるっぽい」 「王城つか政庁に併設して作るならありかな……何かあればすぐ行けるよ」 「こういっちゃなんだけど体調崩された場合に備えて担架とか車椅子使えるようにバリアフリーにしないー? なんかおっきい荷物運び込むのとかにも便利だし」 「一応姫様の部屋隣の部屋は扉続きでも通れるように作りましょうよー。普段は部屋の外、臨時のときだけそっち通れるようにすると有事の際便利じゃないですか?」 「あ、じゃあ理力建築の人に頼んどこうか、その辺」 ~以下・踊る会議防犯編~ 「えとー、まず防弾ガラスは必須ですよねー。建築資材はどうします? やはり強固な作りに?」 「いや、それだとかえって堅苦しいんじゃないですかね。内装でごまかすには限界がありますし」 「そもそも建築したときに狙撃できないような作りにしちゃえば問題なしだよー」 「基本姿をさらしてる時が一番危険ですよね、屋敷の入口とか、お散歩中とか」 「見回ってる最中はボディガード達で根性いれましょう。姫様の自由をそこまで奪いたくないです」 「となると、車での出入りですかね。……そも、屋敷の出入り口を使用しない方向はどうです?」 「王城から秘密の入口、とかどうだい?それなら安全に行けると思うけど」 「ああ、姫様が国に来たってのも確実にわかりますしね。なんなら藩王の部屋に直通通路でも作りますか?確実にいらした時はお会いできますよ?」 「おおお、お姉様への一番のご挨拶・・・!」 「まぁ一番の挨拶は運転手さんだと思うけどね(ぼそっ」 「念のためセーフハウスも作っとくとかどうよ?」 「ありすぎても困るでしょ」 「けど防犯大事ですし。それっぽいのとか何軒か立てましょう。実質使うのは一つにして」 「そうねぇ。対外的に姫用で、実際は他の人員の避暑地とか?」 「まぁ実際に使用する屋敷は発表しない、でいいんじゃないですかね」 「あーそだ、パソコン置くとしてーセキュリティとかどうしよう?」 「ネットワークのほうさ、オタポンさんに頼めないかなー。姫様オンラインゲームもするんでしょ?」 「りょーかいです、ではお手紙書くとですよ」 「物理なボディガード関係はぽちの騎士叙勲者で当番制でどうですかね?」 「むしろ担当者の魂の故郷:ぽち姫であればいいんじゃないかな」 「ファンクラブ会員で厳正なる審査の上ってことね」 「それ要はになし藩民ならクリアしてるんじゃ」 「そうともいう」 「んー、使用されてない期間管理人さんいないと色々まずいよね?どうしよう?」 「公募……ってわけにはいかないから、それこそ政庁で働いてる人たちからでいいんじゃないかなー?」 「ハウスキーパーさんと管理人さんは分けるか、一緒でも女のひとがいいと思います!」 「庭先に花壇もほしいですよね。植え込みとか別荘内の花瓶とか、手入れする人も」 「後滞在中の食事もねっ」 「食堂のおばちゃんに頼みます?」 「逆に考えるんだ、今から調理免許とってしまえば姫に手料理が食べてもらえる……」 「……!」 「わ、わたしやりt」「いや待て余が」「立候補したいですーっ」「ちょっと、ずる……!」 「はいはい、お前らオチツケ(蹴」 ~以下・踊る会議内装編~ 「やはり必需品といえばゲームだな」 「ですね」 「とりあえず携帯機据え置き機問わず各種置いときますか。次世代機はでたらすぐ買う方向でさ」 「カードとかボードとかも置く方向でお願いします」 「ソフトはどうするのー?式神はこないだ持ってきてたけど」 「精霊機動だーん!がんしゅーがんしゅー!」 「……あまり置いとき過ぎてもきっとお付きでアメルダ様もいらっしゃるじゃん?怒られない?」 「怒られたらその時ダヨ、その時!」 「どうせ怒られるなら真っ向勝負ですねわかります」 「いやだー!もう狙撃はされたくなーい!」 「いや自分はまたされても………」 「裏切り者?!」 「あ、対戦物も置きましょうよー。姫と一緒に遊びたいです!」 「あ、じゃあマルチタップも書いといて」 「何人押しかける気だ!」 「やっぱりおっきぃ筐体とか……」 「あ、椅子とか机どうします?デザインもそうですけどやっぱりふかふかにしたいかなーと」 「そこら辺はやはり直接商品見て選ばないとな、カタログとは違うのだよ現物は(ごごご」 「高けりゃいいものってわけでもないですしね。高いものにいいものが多いのは事実ですが」 「色でなんか落ち着く効果とかあったよね。うろ覚えだけど」 「まぁその辺りもおいおいで」 「後、医療品念のため揃えませんか?医薬品室というか応急処置的な意味合いで」 「あぁ、診療所経由でお願いしておきますー」 脱線・迷走・妄想しながらも会議は進行されていく。 尚、うっかり今回の議事碌作成役になった芒氏は、書いても書いても終わらない……と涙を流していたという。 誰もが、あーでもないこーでもない、とうんうん唸ったりしながらなけなしの頭で考えていた。 ただ、どこかしら楽しそうであったのは、やはり他の誰でもない王女のための時間だったからだろう。 王犬ちよこさまは、久々に活気付いたその喧騒をくあ、とあくびしながら眺めていた。 #r:ここより先防犯のため文殊に国民番号が登録されているプレイヤーおよび国内関係者以外の資料閲覧を禁ず /*/ それは、自然に囲まれた中に立っていた。 ひっそり、というほどではなかったが、静かな雰囲気に包まれている。 鳥がちちち、と鳴く声がする。 になし藩のほぼ中央に位置する府利歩智岳(ぷりぽちだけ)、その側の中腹。 政庁から歩いて数分と云ったところだろう。 脇道を行くせいか、そう目立たない位置合い。 ちょうど、裾野である市街区からは地形と自然のおかげで目につきにくく、そこより高台には政庁しかない。 政庁からにしたって、はっきりと見えるのは藩王のいる執務室と、警備の人間のいる高台ぐらいしかその屋敷の全景は見えづらいように設計されていた。 垣根が彩る入口をくぐれば、さまざまなになし藩自生の花が咲く花壇。 2階建のそう大きくもないアットホームな雰囲気すら漂わせるそれは、別荘というよりはむしろ一軒家と呼んだほうがいいのかもしれない。 #ref(http://areb.sakura.ne.jp/i_dress/cgi/file/potisafehouse2.jpg) 1Fにリビング・システムキッチン・トイレ・ゆったりめのバスルーム、奥に管理人・警備員が泊りの時用の宿直室。 階段下の空間は医薬品や備品の置いてある収納室。 2Fにレストルーム4部屋。天井は高く、狭苦しさを感じさせない。 #ref(http://areb.sakura.ne.jp/i_dress/cgi/file/potisafehouse4.jpg) 1Fはあえて見取り図を表示しない。秘密通路の漏えいを防ぐためである。 2Fの各部屋の雰囲気は木目の落ち着いた色合いのせいか、カーテンに引いてある色や置いてあるもので様相をがらっと変える。 それそれの部屋にもバストイレはそう大きくはないがついている。 ぽちの部屋には寝室とは別のしきり部屋に勿論ゲーム機の数々。 座り心地のいいソファにクッション。 大型テレビにスピーカーは5.1chサラウンド(ヘッドホンも勿論用意) ネットにもつながるように抜かりはない。 また、先日オタポン氏に頼んだ結果、ネットゲームのための電子防衛も完備されている。 勿論動作環境的には快適である。 隣の部屋は基本お付きのひと(アメルダさま)を想定して、ゲーム類がない分空いたスペースを アロマ類やマッサージチェアなどリラクゼーションに充てている。 この部屋のみ緊急の際に廊下を通らずとも姫の部屋に直結でいけるよう、内ドアで内部がつながっている作りだ。 姫が2名以上で来た場合や、こっそり滞在中に姫を訪ねてきた来賓用の客室も念のために一部屋とっている。 こちらも丁度品などはあまりおかず、ゆったりくつろげるようリラクゼーション関連を優先させている。 残りの1部屋は、藩王などお泊り組用。 泊り組部屋は多人数が来る場合を想定して、ベッドのみのあくまで宿泊部屋的な扱いにしてある。 もっとも、此処に関しては家近くなんだから。。。という話もあるが。 3F………というよりほぼ屋根裏は倉庫室。四季折々で必要な大物などが置いてある。 普段使われない冬物の羽毛布団や、非常食などもここに収納されている。 また、別荘内部には普段は使われることのない秘密通路もある。 王城直通の通路になっていて、有事の際の脱出通路になっていた。 2Fにも階段以外に下に降りるためのダストシュートが配備されている。 更に、すべての部屋に何かがあればぽちっとボタンひと押しで藩国部隊、および政庁の軍部詰め所に通報がいく緊急スイッチまでおいてあったりする。 それが、になし藩国内に建てられたぽち姫のための別荘、だった。 実を云えば、秘密通路自体は別として、同じ外観、同じ間取りのものが他に藩国内に数ヵ所建てられている。 そのうちのひとつが対外的にはぽちが使用する別荘として公表されていた。 姫様の別荘は俺が作りたい いやいや俺に任せてくれ とかで喧嘩になりかけた建築業界の要求に応じられる上に カモフラージュ、ぶっちゃけて言えば暗殺対策にもなるという目論見である。 勿論、建築に携わったものは複数にわたる。 ものすごく広いとも言わない藩国内の建築業界、自分以外にも作っている気配があるのは何となくわかる。 が、それぞれになし藩国の民らしく、自分たちが立てたものがたとえ実際にはぽちに使われようと使われまいと、 使われないことが姫を守ることにつながっているのだと、そう誇っていた。 /*/ r:による閲覧防止措置ここまで。 別荘ができてそれからしばらくたった頃。 久々に、姫がになしに顔を出すという話が舞い込んできた。 ついに準備してた別荘の出番だー、と建設に携わった人間たちは喜んだ。 姫の姿がみれる、と国民も喜んだ。 ついにおもてなしをする時が……!と別荘関係者は緊張とやる気に包まれた。 今回の警備係くじで当たった当たらないで警備詰所は悲喜交々だった。 誰もが胸に明かりが灯ったようになんだか浮かれていた。 内線の電話が鳴る。回線は王城、藩王の執務室からだ。 ―――もうすぐお姉様がそちらに向かわれる。今余がご挨拶をしたところだ。よろしく頼むぞ、余もあとから行く。 最後の花瓶に花をさす。時計をちらちらとみる。 掃除は3回やった。ベッドメイク完璧。料理の仕込みもがんばった。 警備のひとには連絡済み。植え込みの手入れは昨日頑張ってもらった。部屋の換気も大丈夫。 出迎える準備は整った。もうすぐ、やって来られる。 備品の不備がないか何度も点検はした。ああ、あとそれからそれから。 ……車の音がする。止まった。 急いで入口に向かう。 自分の恰好はおかしくないかセルフチェック。 お出迎えの前に深呼吸をひとつ。一拍して、入口がノックされ開かれる。 さあ、今日このときのために練習してきた笑顔で。 「お帰りなさいませ、姫様!」 文:瑠璃・九重 千景 イラスト:瑠璃 ---- 新市街より派生 29:になし藩国:ぽちの別荘(施設) L:ぽちの別荘 = {  t:名称 = ぽちの別荘(施設)  t:要点 = 別荘、静かな、ぽち  t:周辺環境=山  t:評価 = 住みやすさ48  t:特殊 = {   *ぽちの別荘の施設カテゴリ = 国家施設、建築物。   *ぽちの別荘の位置づけ = 住居。   *ぽちの別荘の設置 = 設置された国。   *ぽちの別荘の面積 = 400m2。   *ぽちの別荘の構造 = 2階建て。   *ぽちの別荘の特殊1 = (生産フェイズごとに)+資金25億。   *ぽちの別荘の特殊2 = 政権支持率+50%  }  t:→次のアイドレス = ぽち姫ラブ(職業),KBNの家(アイテム),拝領金(イベント) } #4/20 開示に伴いL表記

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