~EGOグリフ大陸支部・医務室~
ゲイン「うっ…ここは…」
ベッドの上で目を覚ますゲイン。
ゲイン「俺は…ヘレティス5との戦いで…」
ヘレティス5の攻撃で瀕死の重傷を負ったはず。だが今の自分の体にほとんど傷はない。
ガチャ!
医務室の扉が開く。
リヴァーレ「目を覚ましたか」
ゲイン「お前は…?」
リヴァーレ「俺はEGOグリフ大陸支部副長官
リヴァーレ・シュトレードだ」
ゲイン「EGO…なぜ俺を?」
リヴァーレ「レーヴェンズとの戦いの後アイラッド村への山道の調査を行っていた時にたまたまお前を見つけた」
ゲイン「生かして連れてきたのはあちら側の…俺たちの技術を得るためか」
リヴァーレ「…お前はレーヴェンズとの最終決戦で協力してくれたという話を天十也から聞いた。本来ならばアサルト・シャドーの隊員が生きていたとなれば拘束され処刑は免れない。傷が癒えたならここを去れ。後は自由にしろ」
ゲイン「俺を逃がすというのか?」
リヴァーレ「モニカ長官の独断だ。本部に知れれば大変なことになる。それとお前の着けていた武器の修理ももうすぐ終わるはずだ」
ガチャ!
???「リヴァーレ。修理が完了したぞ」
扉を開けて入ってきたのは年配の整備士らしき男だ。
リヴァーレ「
ボルドー技術長。ご苦労様です」
ボルドー「おや?その男も目ざめたんじゃな」
リヴァーレ「はい。後は彼に武器を返して、ここを去ってもらうだけです。では私はこれで」
部屋を後にするリヴァーレ。
ボルドー「あれだけの傷を負っていたのにもう回復したのか。ずいぶんと頑丈な体を持っておるの」
ボルドーの話ではゲインはここに運び込まれたとき全身に無数の穴が開き、もう助からないのではと思われるような状態だったらしい。
ゲイン「能力の力だな」
ボルドー「そうか。それはさておきおぬしの使っていた駆動鎧の碗部。あれはカミナ工業製のものじゃな?」
EGOで使われている駆動鎧はカミナ工業製のものだ。それを普段から整備しているボルドーにはゲインの装備していた駆動鎧の碗部がカミナ工業製のものだとすぐにわかったのだ。
ゲイン「カミナ…たしかガーランドが連絡を取り合っていた奴がそんな名前だったかもしれんな」
ボルドー「やはり…そうするとカミナ工業も裏でアサルト・シャドーとつながっていたのかもしれんということか…。じゃが未元粒子を武装転用する技術も持っているということかの…」
ゲイン「それは後からアサルト・シャドー…俺たちが搭載した武装だ」
ボルドー「なるほどの。じゃがもうカミナ工業はその技術を得たかもしれん」
ゲイン「どういうことだ?」
ボルドー「おぬしらに駆動鎧を提供したということはそこからデータのフィードバックを行っているはずじゃ」
ゲイン「その点は問題ないはずだ。その類の装置はアーヴァヘイムを改修する際に全てはずした」
ボルドー「そうか。ならいいのじゃが。カミナ工業は何やら黒い噂も多い会社での。さらに力をつけたら何をするかわからんからの」
ゲイン「アサルト・シャドーに協力するぐらいの会社ならばそうかもしれんな」
ベッドから出るゲイン。
ボルドー「もういくのかの?」
ゲイン「あぁ。あまり長くいて迷惑をかけるわけにもいかんからな」
ボルドー「そうか。ならばおぬしの武器を用意しよう」
ビービービー!!
館内に突如警報が鳴り響く。
ゲイン「なんだ!?」
ボルドー「この警報は侵入警報じゃ!」
館内放送『侵入者が警備兵を倒し、敷地内へと侵入。なお対象は駆動鎧を装備している模様。各員は対応せよ』
~EGOグリフ大陸支部・長官室~
モニカ「状況は?」
EGO隊員「各員応戦していますが対象は止まりません!」
モニカ「くっ!スパーダシリーズはオーバーホール中…このままでは…」
リヴァーレ「私も出ます」
モニカ「頼みましたリヴァーレ副長官。駆動鎧が使えない以上無理は禁物ですよ」
リヴァーレ「はっ!」
~EGOグリフ大陸支部・外部中央通路~
EGO隊員「くっ!」
ババババ!!
銃弾を放つEGO隊員たち。
???「……」
だが駆動鎧は銃弾をものともせずEGO隊員たちに近づいてくる。
リヴァーレ「各員!対装甲弾を構えろ」
EGO隊員「リヴァーレ副長官!」
現場に駆け付けたリヴァーレ。
EGO隊員「対装甲弾装填完了」
リヴァーレ「撃て!」
ボン!
リヴァーレの指揮により放たれる対装甲弾。
ドゴォン!
EGO隊員「対象に着弾!」
激しい爆発とともに燃え上がる駆動鎧。炎に包まれその姿が見えなくなる。
リヴァーレ「やったか?」
ガシャン!
炎の中から何か音が聞こえる。
ガシャン!ガシャン!
それは何かの足音のようだ。
リヴァーレ「なに!?」
炎の中から姿を現す駆動鎧。各部が壊れ、ボロボロの状態になりながらもその歩みを止めない。
リヴァーレ「あの駆動鎧…無人か」
壊れた駆動鎧の部分から人の姿は確認できない。無人型の駆動鎧のようだ。
リヴァーレ「遠隔操作されているのか…だがまだ来るというのならば」
再び対装甲弾を放とうとするリヴァーレたち。だが…
駆動鎧「……」
バキバキバキ!!
駆動鎧の装甲がものすごい速さで修復されていく。
リヴァーレ「なんだと!?」
駆動鎧「……」
またたくまに先ほどのダメージがなくなり、無傷の状態へと治る駆動鎧。
ガキン!
駆動鎧の腕の装甲が展開し、中から機銃が出てくる。
リヴァーレ「各員!退避だ!」
ダダダダ!!
機銃から放たれる銃弾。
EGO隊員「ぐっ!」
避けきれず負傷するEGO隊員たち。
リヴァーレ「ダメージが回復する駆動鎧など聞いたことがない…。スパーダシリーズが使えない状況では…」
駆動鎧「……」
リヴァーレに狙いを定める駆動鎧。
リヴァーレ「くっ!」
ガシャン!ガシャン!
リヴァーレへと近づいてくる駆動鎧。
ブン!
リヴァーレ「ぐはっ!」
リヴァーレの腹部に深く打ち込まれる拳。その衝撃にその場に倒れるリヴァーレ。
リヴァーレ「ぐ…」
駆動鎧「……」
駆動鎧はリヴァーレにとどめを刺そうと再び拳を構える。
ガキン!
駆動鎧の拳が何かに止められる。
リヴァーレ「おまえは…」
ゲイン「こいつが侵入者か」
アーヴァヘイムの碗部を装備したゲインが駆動鎧の拳を受け止めていた。
ゲイン「粒子ブレード!」
ヴン!
肘部分から展開される粒子ブレード。
ゲイン「てりゃぁ!」
ザシュン!
粒子ブレードの一撃が駆動鎧の腕を切り裂く。
駆動鎧「……」
ゲイン「調子は良好。腕のいい技師だな」
バキバキバキ!!
駆動鎧の切り裂いた腕が修復していく。
ゲイン「自己修復か」
駆動鎧「……」
駆動鎧はゲインにつかみかかろうとする。
ゲイン「無駄だ!」
粒子ブレードで駆動鎧に切りかかるゲイン。
駆動鎧「……」
シュッ!
ゲイン「なに!」
駆動鎧はゲインの攻撃をギリギリでかわす。そのままゲインの両腕を掴む。
ギギギギ!
ゲイン「こいつ…なんて力だ」
駆動鎧「……」
ゲイン「両腕を封じたつもりかもしれんが!」
ゲインは手のひらを駆動鎧に向け開く。
ゲイン「粒子光弾!」
バババ!!
手から放たれる粒子の弾。それが駆動鎧へと撃ち込まれる。だが…
バキバキバキ!
ダメージを受けても修復していく駆動鎧。
ゲイン「この程度の攻撃ではこいつには効かんか…」
ギギギギ!!
ゲインの両腕を掴む力が増していく。
ゲイン「このまま握りつぶすつもりか。ならば!」
キュィィン!!
アーヴァヘイムの碗部ユニットについている緑色の球体部分が赤く光る。
ゲイン「リミット解除」
ググググ!!
先ほどまで力負けしていたゲインが駆動鎧の腕の力を上回っていく。
ゲイン「はぁ!」
ブン!
駆動鎧の手を振りほどくゲイン。
駆動鎧「……」
ゲイン「くらえ!」
両手を合わせその手のひらを駆動鎧へと当てるゲイン。
ゲイン「轟覇砲!」
ドゴォン!
駆動鎧の体を光の粒子が貫く。体に大きく穴が開き動きを停止する駆動鎧。
ゲイン「ようやく効いたか」
駆動鎧「……」
バキバキバキ!
駆動鎧の体に開いた穴が徐々にふさがっていく。
ゲイン「これでも止まらんか!」
駆動鎧「……」
駆動鎧は踵を返し、ゲインの反対側を向く。
駆動鎧「……」
駆動鎧はそのままいずこかへと走り去っていった。
ゲイン「なんだったんだあの駆動鎧は…」
~EGOグリフ大陸支部・長官室~
駆動鎧が去った後、長官室へと呼ばれたゲイン。
モニカ「あなたのおかげで助かりました」
ゲイン「助けてもらった礼だ。気にするな」
リヴァーレ「だがあの駆動鎧はいったいなんだったんだ。ボルドー技術長あの駆動鎧についてなにかわかりますか?」
ボルドー「映像は見たがあんなタイプの駆動鎧はみたことがないのぉ。それに自己修復など聞いたことがないぞ」
モニカ「自分でダメージを修復する無人の駆動鎧…何の目的でここを襲撃してきたのでしょうか」
リヴァーレ「見当もつきませんね」
ゲイン「正体不明の駆動鎧か…」
モニカ「部隊をだしてあの駆動鎧の痕跡を追ってみます」
リヴァーレ「了解しました。すぐに準備をします」
部屋を出ていくリヴァーレ。
ゲイン「俺もあの駆動鎧を追ってみる」
モニカ「あなたにそこまでご迷惑をかけるわけには…」
ゲイン「これは俺個人としてだ。少し気になることがあるんでな」
モニカ「そうですか。わかりました」
ボルドー「ゲイン。もしその武器が壊れたらいつでも治してやるぞ!」
ゲイン「ふっ。ならばその時は頼むことにする」
こうしてゲインはEGOグリフ大陸支部を後にした。
正体不明の駆動鎧。その痕跡を追った先に彼を待ち受けるものは。
to be continued
最終更新:2018年03月10日 01:31