猫さんのアトゲファン内検索 / 「秘境の魔女8(20121109)」で検索した結果

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  • 秘境の魔女8(20121109)
    「お二人に依頼があります」 ローズとフェインのもとへ到着したクレイルがテンペストを魔道書に収め、放った第一声がそれだった。 「クレイルと、青いのはレオルス? だっけ?」 ローズに向かってレオルスが頷く。 「何か探し物でも? ……って雰囲気じゃないわよね」 不穏な気配を察してか、ローズの声のトーンが落ちる。 普段のクレイルを知っている人物であればなおさら、目の前のクレイルの余裕の無さは何かが起きていることを予測させるだろう。 「レオルス、ミミックを出してくれるかい」 「あぁ」 レオルスがティファレットから受け取った強欲のミミックを取り出す。 ミミックは既に箱の状態になっていた。 「? 初めて見る箱だわ。フェイン、どう?」 窓際にやってきたフェインも、レオルスの手の上にある箱を見る。 「でしょうね、これは特殊な箱です。見ていてください、今からこの箱を開けてみます」 ...
  • 秘境の魔女2(20121109)
    一瞬の空白時間を得て、二人が到着したのは特に珍しくもない小さな田舎町だった。 「……ここが?」 レオルスが家の扉や屋根から飛び出る煙突を見ながら呟く。 「<秘境の魔女>とは、よく言ったものです。あの木々は結界。この小さな町が魔女たちの住処です」 周辺には何件もの民家が立ち並び、町の周りにはこの場所を守るように木々が囲っている。 結界を越えるまで何の存在も感じなかったことから、その一本一本がこの町の魔力を外に漏らさないような特別な力を持った木なのだろう。 レオルスが何となくそんなことを予想してから、思いついたようにクレイルに話しかける。 「じゃあ、ここにお前の母親の……って、おい! 囲まれてるぞ!」 「言われなくても」 レオルスが言葉を発した時点で違和感に気付いたのは言うまでもない。 二人は一瞬にして、とてつもない量の魔力に囲まれていたのである。 レオルスも合成師の中で...
  • 秘境の魔女16(20121109)
    クレイルとレオルスは、とある山の奥地へと到着していた。 魔力を持つこの山には秘境の魔女たちが住む町の入り口同様に、麓(ふもと)に結界が張られている。 門番として忍んでいた一人の魔女に、クレイルが事情を話すと、すぐに結界が解除されて入り口が現れた。 少なくともクレイルがただの合成師であったなら、そう簡単にはいかなかっただろう。 白金の魔女の子孫――その言葉で生粋の魔女を動かせるほど、彼の受け継いだ血は強力なものなのである。 入り口から歩き続け辿り着いた目の前には五つ水源から流れ出た水が混ざり合った<ティアラレイク>が一望できた。 五本の川が下流に向けて幅を広げて流れ、河口に四角い湖を形成する。 上空から見ると、それがまるで女王の頭に乗るティアラの様な形に見えるため、湖にその名が付けられた。 パピメルの傷を治すための秘薬の素材の一つがこのティアラレイクの水である。 水源を持つ...
  • 秘境の魔女17(20121109)
    クレイルとレオルスが初めて相見えたその日は、両者にとって忘れることの出来ない<事故>が起きた。 <魔人グリーンブレイド> 全身翠色で片腕が刃と化したその魔人は、<魔界の門>の開通を待つことなく、自らの刃で門を引き裂き、抉(こ)じ開けてこちらの世界へ飛び込んできた。 通常、数百年に一度開かれると言われている魔界の門は、予兆の発生から魔女達に監視されている。 それ故に、余程のことがなければ大規模な被害は起きず、世界が脅威に晒されることはない。 だが、その翠の魔人は誰にも感知されることなく、突如現れた。 そしてその時、偶然近くにいた強力な魔力を持つ存在……兄妹の母親である魔女のイヴは、子供たちと一緒に狙われたのだった。 それは事故と呼ばれても仕方ない程、偶然が重なり合って起きてしまった悲劇。 秘境の魔女たちにも予測できなかった事故として、彼女たちの記録にも残されることになる。 ...
  • 秘境の魔女11(20121109)
    「ママ見て! 四葉のクローバー!」 桃色の髪の少女がぱたぱたと全力で母親に走り寄る。 一刻も早く母へ自分の功績を報告したいのだろう。 「まぁ、すごいわねフラメル。お兄ちゃんより先に見つけられるなんて」 「えへへーわたしのかち!」 負けたよと、離れた場所から兄のクレイルが声をかける。 手には既に五つ葉のクローバーを握っていたが、それをそっと隠しながら草の上に座り込んだ。 雑草の生え具合を観察し、草を使って魔法陣を組んだり出来ないかなどと考えながらゆっくりと辺りを見回す。 「パピちゃん、起きないね」 母親の元へ戻ったフラメルは、すやすやと眠る妹の桃色の髪を撫でる。 母に抱きついて眠っているのは、マティリア家の次女パピメル。 「さっきまでフラメルと走り回っていたんだもの。少し疲れちゃったみたい。フラメルは大丈夫?」 「うん! わたし、まだまだはしれるよ!」 「ふふ、元気...
  • 秘境の魔女7(20121109)
    再び一階へと戻ると、先ほどと変わらずセフィラが椅子に腰掛けている。 「感謝します、御婆様」 クレイルが一礼し、レオルスも合わせて頭を下げる。 「なに、ただの交換条件さ。礼を言われる筋合いはないね」 クレイルの言葉に対し、冷たく言い返すセフィラ。 だが、クレイルからすれば協力を得られたことだけでも大きい。 「……待ちな」 家を後にしようとしたところで、セフィラが声をかける。 「お前、不思議な召喚獣を持っているね。こっちの世界じゃ見かけない存在だ」 「テンペスト、と呼んでいます。仰るとおり、別の世界からやってきた獣です」 それが何か、と聞こうとしたクレイルにセフィラが助言する。 「今はなるべく召喚しないほうがいいだろう。異なる世界が繋がろうとしている状態だ。異なる世界から現れたその獣もまた、何かしら影響を受けているはず」 「なるほど……」 今朝召喚したタイミング、もし...
  • 秘境の魔女18(20121109)
    「ふぅ……」 レオルスが透き通る冷水を飲み、ゆっくりと深呼吸をする。 美しい木々の中に小鳥のさえずりが響く。 大地が魔力を持つこの空間は、魔力を持つ者たちの癒しの場所でもある。 冷水の入った水筒を傍に置き、クレイルが両手で冷水を一口だけ飲んで言った。 「次は<レッドホットレモン>ですね。門番の魔女の話によればこの山のどこかにも存在しているらしいのですが……」 「たしか、発熱する赤いレモンだよな? 赤い実なら結構目立つんじゃねーか?」 レオルスの言葉に、クレイルが首を振る。 「いいえ、一度だけ実物を見たことがありますが、一般的な黄色いレモンよりも実が小さく、木の身長も低いのです。こんなに立派な樹木が生い茂る山の中で見つけるのはなかなか困難ですよ」 クレイルの言葉に、森を見渡すレオルスが、思いついた様に声を上げた。 「……よし! 勝負しようぜ!」 「はい?」 先を急ぐこ...
  • 秘境の魔女4(20121109)
    「さ、中へどうぞ」 案内されるままに、クレイルとレオルスは屋敷の中へと足を踏み入れる。 ここへ来る途中、いくつもの家や小屋が立ち並んでいて、それらの建物はすべて区間ごとに一つの色で構成されていた。 ティファレットと一緒に姿を見せた、赤・青・緑・黒の魔女も、それぞれの色の家に住む魔女であり、案内された屋敷の大きさを見る限り、この白い区間の魔女がこの町の統率者だろうと、二人にも安易に予想できた。 そして今いるこの魔女の町のことも、訪れるのは初めてだが母からは昔話のように何度も聞かせてもっていた。 そう、母親の母親である祖母<セフィラ>についても……。 「お母様、姉さんの……イヴ姉さんの長男、クレイルよ」 ティファレットの案内で屋敷の一番奥の部屋に案内された二人。 直後、その部屋に入ったことを後悔しそうになる。 魔女の部屋としてはありきたりで、鍋に書物、怪しく灯る蝋燭と足...
  • 秘境の魔女28(20121109)
    「お兄ちゃん! レオ君!」 フラメルが戻ってきた二人に声をかける。 「ただいま。パピメルは?」 レオルスは無言のままテンペストから降り、先に降りたクレイルはしまっていた水筒を取り出す。 「ううん、まだ一度も目を覚ましてないよ……」 いつもは笑顔を振りまくフラメルの表情がこんなにも暗い。 クレイルは、もう少しだけ我慢して欲しいと思い、心の中で謝りながら、玄関へ向かうすれ違い様にフラメルの頭に掌を乗せて言う。 「大丈夫、必ず治してみせるよ。約束する」 「うん……」 しょんぼりと頷く妹の頭をそっと撫でる。 「パピメルを救うための秘薬を作る。僕とレオルスはもう一度だけ出かけなければならない。でも次で素材集めは終りだ。戻ってきたら薬が完成するよ」 うん、ともう一度フラメルが頷くと、クレイルは手にしていた水筒をフラメルに渡した。 「これが材料?」 「あぁ、でもまだ開けない様に...
  • 秘境の魔女3(20121109)
    <ティファレット>と、クレイルにそう呼ばれたその白い魔女は、周りの四人の魔女を解散させる。 またしても音もなく魔女たちがその場から消えていった。 「あなた……何故ここへ?」 頭を下げたままのクレイルに、再び声をかける白い魔女。 「失礼ですが単刀直入に。僕の妹が<魔刃の傷跡>に苦しめられています」 「何ですって……その傷は消えたはずじゃ?」 クレイルはようやく立ち上がり、目の前の魔女と視線を交わす。 「僕もそう思っていました。母さんが消える前に治してくれていたものだと」 「可能性があるすれば……それは魔界のゲート開放前の影響でしょうね」 それも認識済みだ、とクレイルが頷いて言う。 「あなた方なら既にご存知だと思っていました。そしてそれを開放前に止める術もご存知のはずだ」 「…………」 クレイルの言葉は、ティファレットにとっては想定通りのことであった。 <魔界のゲート...
  • 秘境の魔女10(20121109)
    暖かい春の陽射しの中、柔らかい葉が揃う草原に穏やかな風が流れる。 風は草を撫で、側にある森へと吸い込まれていく。 ゆっくりと時の流れる空間に、幼い子供の笑い声が響き渡る。 白い髪の少年と桃色の髪の少女が仲良く草原を駆け回っていた。 側に、母親と思わしき女が一人。 顔を覆う白い大きな帽子から長い髪が優しく地へ降りている。 闇を寄せ付けないような輝く白の装いが彼女を包む。 人々は皆、その者を<白金の魔女>と呼んだ。 魔女は人と恋に落ち、やがて三人の子を授かった。 魔女と人の血が混ざり合う存在。 禁忌の存在とも思われたその子らが世に受け入れられたのは時代の助けがあったとも言える。 当時、世に晒されることの無かった「魔女」と言う存在が明らかになり、魔女は共存を望み、魔術は人へと提供された。 人が知識を駆使し、科学の力によって生み出された錬金術は純粋な「魔術」を取り入れること...
  • 運命を受け入れ、その宿命を乗り越えろ!デスティニースクエア(20121109)
    第1章 秘境の魔女(story) 第2章 ドリーム&メモリーズ(story) 最終章 悪魔達の侵略(story) キャンペーン 前景アイテムプレゼントキャンペーン!(2012年11月9日~2012年11月13日) ガチャプレイで交換!デスティニースクエア(2012年11月9日~2012年11月22日) ツインスタープレイでかならずゲット!(2012年12月11日~2012年12月25日、一部2013年2月8日まで)
  • 秘境の魔女14(20121109)
    囁く声とは裏腹に、目の前の母親の形相は家族を愛する母ではなく、敵に対して怒りに震える魔女のそれだった。 「バシリス・クリシ――」 激昂したイヴが静かに唱えた一言の詠唱と共に、掴んでいた刃を通して魔獣に全力の魔力を注ぎ込んで攻撃する。 一瞬にして、魔獣の刃とそれを握っていた右腕・右肩までが吹き飛び、醜い翠の肉片は白く輝いて消えた。 「GUAAAAAA!!」 強力な魔力攻撃を受け、片腕を失った魔獣が激痛に大声を上げる。 だが、イヴにとってそれは予想外の展開だった。 彼女の最大魔力を持って、捕らえた状態で攻撃したなら、魔獣は跡形も無く消し飛んでいたはずである。 魔獣は驚異的な反射神経で、魔力が腕を伝った瞬間右腕を捨てて後ろへ退いていた。 流れる込む攻撃魔力に対抗しながら自らの身体を防御する様に傷口に魔力を施し、右肩のみを犠牲にして生き延びたのだ。 恐怖と憤怒の混ざり合った形相...
  • 秘境の魔女1(20121109)
    クレイルとレオルスがテンペストに乗って飛行し、一時間ほど経った頃、その「林」は眼下に姿を現した。 まばらに配置された木々は、どことなく計算されて配置されているかのようにも見える。 「テンペスト、あそこの木の前に降りてくれるかい?」 クレイルはテンペストの体を軽く叩きながら命令すると、テンペストがそれに従いゆっくりと降下して着地した。 「ありがとう、テンペスト」 クレイルが声をかけると共に、テンペストは魔道書の中へ消えていく。 ここへ来る前と状況は変わらず、テンペストはいつもの魔力量ではない。 魔力が戻らない状態では、万が一自身で身を守らなければならない場面が訪れた場合、最悪の結果に至る可能性もある。 そう考えると、今のテンペストを不用意に晒しておく訳にはいかなかった。 「ここに魔女の一族が?」 「えぇ」 レオルスが辺りを見回してみるが、人はおろか生き物の気配さえしない...
  • 秘境の魔女5(20121109)
    「何もそこまでしなくても! この子は魔女じゃないのよ!?」 「お黙り、ティファレット」 今は娘の言葉なぞ知らん、とばかりに、ティファレットを一言で黙らせる。 「魔女には魔女のルールがある」 相変わらずクレイルたちの方に顔を向けることさえせず、セフィラが続ける。 「言ったとおりだ、お前がまだ魔女の血を強く残す孫だからこその条件だよ。さぁ、どうするね?」 再度クレイルへ問いかけるセフィラ。 だが、クレイルの中で既に答えは決まっていた。 「構いません。僕の一年で事足りるなら……妹のために、大事な家族のために、喜んで差し上げますよ」 「クレイルお前……!」 レオルスが止めようとするも、こうなると恐らくクレイルは聞く耳を持たないだろうと瞬時に理解し、言葉を押し殺して小さく舌打ちをする。 「いい答えだ。それでこそ私の孫だよ」 そう言うと、椅子に座ったままのセフィラが左腕をそっと...
  • 秘境の魔女6(20121109)
    案内されるままに、地下へと降りたクレイルとレオルス。 石で作られ、密閉されたその空間は、冷やりとした空気で満たされていた。 何にしても、魔術を使った<作業>をするために使われていることは容易に想像できる。 ティファレットはすぐに本棚へと向かい、一冊の本を手に取り中身を確認した。 「あったわ、これね。という事は……」 本を片手に、今度は道具の並べられた棚を眺め、何かを手に取る。 手に取ったそれを持ち、クレイルとレオルスへ開いた書に記載された秘薬の作成法を見せる。 「まずはこれを見て、どうやらこの秘薬で傷を回復できるようなの。だからこの道具を。<グラトンポット>よ」 「グラトンポット……実物を見るのは初めてです」 「使い方は簡単、最終的に材料はすべてここに入れればいいわ」 ティファレットが取り出したティーポットの様なそれは、ふたの中が闇に染まっている。 魔女の薬品合成用の...
  • 秘境の魔女31(20121109)
    二人は道具を準備するため、庭にある倉庫へとやってきた。 クレイルが重厚な扉を開けて中に入ると、そこには梱包された箱がいくつも収められている。 倉庫から取り出した箱の蓋を外すと、そこには様々な色の薬品が入った試験管が、いくつも並んで入っていた。 レオルスも箱を覗き込む。 <コンポジションウエポンズ(混合薬品武器)> 合成師が所持している、「武器として使用する薬」である。 合成によって作り出した特殊な液体をそのまま使って対象にダメージを与えるものから、自らの魔力を注ぐことで形状を変化させて凝固させ、刃物や棒状の武器として使用することもできる。 複雑な形状を生成するには、注ぐ魔力の調整が必要となるため、使用者の鍛錬が必要である。 鍛錬を続ければ、長身の刀や斧などの大型の武器や、液体を空中に散布させて小さな防護壁を発生させ、対象からの攻撃を受ける盾の様な強固な物体に変化させることも...
  • 秘境の魔女32(20121109)
    クレイルとレオルスがテンペストで飛行して数分。 最後の目的地である森を眼下に捉えた。 森から横へ視線を移していくと、その先にはセルフィタウンが見える。 セルフィタウンから徒歩圏内にあり、ローズから聞いた通り、アルはただ散歩に出かけただけなのに偶然この森へ着いてしまったのだろう。 「レオルス、魔界の魔力がテンペストに及ぼす影響がまだ不明確な状況です。少し離れた位置に下りますよ」 「あぁ、わかった」 クレイルがテンペストの身体を叩き、森から距離を置いて着地させた。 「……アル君の言っていた空気が赤いと言うのは、間違いではないですね」 「この森、どうなってんだ?」 森に近づけば近づくほど、<魔界の門>が開通しようとしているその空間の異様さがはっきりと確認できた。 森の中で広範囲に発生している霧は赤く、奥深くは日差しも僅かしか通っていないのか、夜とは異なる不気味な暗黒に染...
  • 秘境の魔女12(20121109)
    「ママのおともだちっていつくるの?」 「そうね、もう少ししたら着くんじゃないかしら」 それを聞いたクレイルが、立ち上がって母に言う。 「母さん、それまで僕は森の中を見てきます」 「わかったわ。気をつけるのよ」 「はい、いってきます」 少年は楽しそうに、駆け足で森の中へ消えていく。 静まり返った森の中は冷ややかな空気が流れていた。 クレイルが森に入って少し歩いた時、その異変は起きた。 森の奥深くから響いてきた、ガラスのようなものが割れる音。 「?」 次の瞬間、クレイルの頭上、森の木々の上を何かの影が通過して森の入り口方面へと飛んでいく。 それを目で追えなかったクレイルだが、彼の直感が進行方向から何かが襲ってくるのを感じていた。 同時に彼を身の毛もよだつ恐怖と不安が襲う。 クレイルは歩いて来た方向、森の入り口へと全力で走り出した。 彼の背後から襲ってきている...
  • 秘境の魔女13(20121109)
    全身が翠色で身長は約二メートル、逆立つ髪の毛に血管の浮き出る身体、背中には二枚の翼を持ち、真っ赤な瞳は仕留めた獲物を凝視している。 先ほどまで幸せに包まれていた家族の空間は、一匹の翠色の魔獣によって粉々に破壊されたのだった。 クレイルの気配に気づき、魔獣の瞳が動く。 その瞳を見て、少年は一つだけ理解した。 この獣は魔力が強い母を最優先にして狙ったんだ、と。 今この場で母の次に魔力が強いのはクレイルだ。 魔獣が刃を引き抜こうとしたその時―― 「……させない……!」 小さく言葉を発したイヴが自分の身体を貫通しているその翠色の刃を両腕で押さえる。 魔獣が腕に力をこめるが、華奢なイヴの両腕が押さえ込む刃は、不思議なことに微塵も動かすことが出来なかった。 刃と化した片腕を押さえ込まれた魔獣は当然身動きを取れない。 「いや……」 突然声を上げたのは恐怖のあまりその場に座り込んで...
  • 秘境の魔女19(20121109)
    数分後、魔術によって移動速度を上げたクレイルは、早くも山の頂上付近へ到着していた。 ティアラレイクの五つの山のうち、中央の山は一番標高が高い。 その為眼下には、見渡す限りの雲の床が広がっていた。 (……少し飛ばしすぎましたかね) 実際に魔術を使用してみて、セフィラの強化魔術は非の打ち所がないと断言できる程に完璧だった。 魔術の詠唱により魔力を身体から消費すると、通常なら身体への負担で疲労を感じることがある。 長時間の使用、または連続して異なる魔術の使用を繰り返せば、反動は魔術を使用する術者の身体に影響を及ぼす。 だが、魔力強化を受けているこの状態で移動速度を強化する程度なら、何度魔術を使用しても、全く身体への負担は現れなかった。 祖母に感謝しつつ、クレイルは再度周辺を見回してみるが頂上にはまばらに木が立つだけで、目的の実は見当たらなかった。 (…………) すぐに、再び詠...
  • 秘境の魔女22(20121109)
    「っとっと、あっぶねぇ……」 レオルスの勘は正しかった。 直撃と感電、そのどちらをも避けるためにレオルスは空中へ跳んだ。 <カイロス・リグマ> レオルスが唱えたその魔術は脚力に作用して瞬間的な跳躍を得る術だった。 本来であればその超速で垂直に飛んで高い壁の上に登ったり、正面に対する敵との距離を一瞬で縮めたりするために使用する。 レオルスは飛び跳ねる瞬間、角度を調整して斜めに跳躍した。 周りを囲う木々より低く、かつ地を伝う稲妻に触れない様に数秒間空中へ滞在できる高さを保つ。 レオルスは直感で魔術を操り、見事に落雷を回避してみせたのだった。 着地してすぐ、レオルスは「今のは完璧だろう」と、自分で自分を褒めたい気分になっていた。 次の落雷に備えなければと、再度脚に力を入れて立とうとしたその時―― 「いっ!?」 レオルスの脚を鋭い痛みが襲った。 落雷の速度と同等の超高速を...
  • 秘境の魔女15(20121109)
    少年は悔しかった。 許せなかった。 父がいない中、家族を守るのは自分しかいないのにと、自らを責めていた。 気絶した妹の側、倒れる母の横で泣き叫ぶフラメルを見て、少年は彼女の兄として漏れそうになる自分の声を押し殺した。 どんなに声を押し殺しても、溢れる涙は容赦なくクレイルの頬を伝う。 気づけばクレイルは無意識にその場で立ち上がり、森に逃げた魔獣を追いかけようとしていた。 静かに溢れる涙は、逆にクレイルに冷徹な感情を与え、憤激を超えた静かな怒りが少年の心を支配する。 怒りの矛先となる標的を追うために、森へ走り出そうとしたクレイルが気配を感じたのはその時だった。 振り返ると、いつの間にか大柄で青い髪の男が母のすぐ側に立っていた。 もう一人、青い髪の少年が男のそばに立ってクレイルを見ている。 初めて見る姿だが、クレイルは不思議にも敵意を感じなかった。 「……俺は今日、お前たち...
  • 秘境の魔女9(20121109)
    フラメルは、横になっている妹をじっと見守っていた。 時折呼吸の荒くなる妹の顔を、冷水で濡れたタオルで何度も撫でる。 冷たくなった手で、そっと額に触れると、熱を持ったパピメルの額はすぐにフラメルの手の温度を奪っていく。 「あの頃は髪の毛の色お揃いだったんだよね……」 自分の手にかかる浅葱色の前髪を見て、思わず呟くフラメル。 パピメルが生まれたその日から、まだ幼かったフラメルの生活は一変した。 自分の「妹」と言う存在はそれほど大きかったのだ。 ある日を境に、パピメルの髪色はフラメルと同じ桃色から、現在の浅葱色へと変化した。 本当にあの時はまだ幼かったんだ、と痛感させられたりもする。 「でも……この色、母さんがここまで変えてくれたんだっけ……」 眠りにつく妹の顔を見て解けた緊張感に合わせて、精神的な疲労感がフラメルを襲う。 パピメルの眠るベッドの隣でフラメルはそっと目を閉じ...
  • 秘境の魔女30(20121109)
    「レオルス、急いで森へ向かう準備をしましょう」 「わかった」 レオルスが頷き、クレイルがさらに続けて怪訝そうな顔をして言う。 「先ほどの話にあった『空気が赤かった』とは……負の魔力が蔓延してきている可能性があります。こちらの世界に影響を及ぼし始めているかもしれない」 「ねぇ、お兄ちゃん。その影響なのかは分からないんだけど……」 フラメルが割り込むように、二人に自分が目にした二冊の本の話をする。 一冊は急に浮遊した白い魔導書。 もう一冊は、恐らく子供の頃のパピメルの持ち物であろう飛び出す絵本。 そしてその二冊は本棚以外の場所から部屋に現れた可能性があると言うこと……。 話を聞いたクレイルが何かを考える様な仕草をするが、すぐに答えが出るわけではない。 「レオルス、何か分かります?」 「いや、お前に解らなかったら俺にもわかんねーよ!」 悩んだクレイルにそう聞かれたレオルス...
  • 秘境の魔女27(20121109)
    うつ伏せていたフラメルは、何かの気配でうっすらと瞼(まぶた)を開ける。 「う、ん……?」 パピメルの傍で目を閉じ、昔を思い出しながら少しだけ眠ってしまっていたことに気付いて、今度は瞼をはっきりと開く。 フラメルもクレイル同様、母の最期を目の前で見ている。 幼かったフラメルは母が消えたその後、何日も泣き続けた。 夢の中で鮮明に再生された遠い記憶はあの日の涙まで再現させ、目尻から溢れ出た涙は音も無くフラメルの頬を伝う。 (泣いてたってしょうがないじゃんか……!) その場に立ち上がり、勢いよく袖で顔を何度も擦る。 「パピちゃん、大丈夫だよ。お兄ちゃんとレオ君がきっと何とかしてくれるから」 目を覚まさない妹にそう言いながら、パピメルの額にあるタオルに触れる。 すでに取り替えてから時間が経っていたので、タオルが温くなってしまっていた。 そのままそれを手に取り、再度冷水につけてパ...
  • 秘境の魔女21(20121109)
    大粒の雨と共に雹までもが山頂にいるレオルスを襲ってきた。 雷雨の中、木の根元に避難するわけには行かない。 木に直撃した雷は、幹を伝って周辺にいる動植物を感電させてしまう。 しかも、まばらに木が立ち並ぶこの山の上では、どの木に避雷するか全く予想ができない。 地面に立っているだけで感電する可能性があるこの状態を回避するには、一刻も早くこの場から離れるしかない。 周りには木があるとはいえ、その身長は湖のある麓(ふもと)の木よりも低い。 稲妻が木々を無視して、レオルスに直撃する可能性もゼロではなかった。 (どうする……!) その時だった。 何に後押しされる訳でもなく、五感で感じた訳でもなく、ただ彼の直感が落雷を知らせた。 無意識に、レオルスがセフィラから脳に刷り込まれた一つの詠唱を口にする。 「カイロス――リグマ!」 大声で叫んだレオルスが同時に地を蹴る。 瞬間的に脚力を...
  • 秘境の魔女29(20121109)
    その場に集まった合成師たちに声をかけたのは、アイテムトレード管理人のローズだった。 腰の高さほどもある大きな麻の袋を運びながら手を振っている。 その後ろには、ローズと同じサイズの麻袋を二つも運んでくるフェインの姿もあった。 「お待たせー! 持ってきたわよ!」 家の前に到着したローズとフェインが、膨らんだ麻袋を地面に下ろす。 「見てください、いつもトレードへいらっしゃるお客様たちが協力してくれました」 そう言いながら、フェインが閉じていた袋の口を開くと、三つの大きな麻袋の中には、溢れんばかりのガーネットハーブが入っていた。 テンペストのそばに立っていたレオルスも、思わず袋の側に寄って中を覗き込む。 「すげーな! こんだけあれば余裕だろ」 「えぇ、あとは<グラトンポット>に任せれば大丈夫でしょう」 驚くレオルスの隣でクレイルも思わず頷く。 「お二人とも、ありがとうございま...
  • 秘境の魔女26(20121109)
    「見つけたは見つけたんだけどよ、これどーすれば……あちち!」 今度は実ではなく、枝を素手で掴んで無理矢理引っ張ろうとしたが、レオルスは再び悲鳴を上げて手を離した。 果実の特性を知っているクレイルから見た、レモンに翻弄されるレオルスの姿は何とも滑稽(こっけい)だった。 「それに素手で触れるのは、流石に危険でしょう」 「枝でも無理だし、どーすんだよこれ……持ち運べるか?」 触れた手から熱を飛ばす様に、腕を振りながら言うレオルスの前で、クレイルが徐に水筒を取り出す。 「魔力を帯びるティアラレイクの水は、水温が変わりません。ここにレッドホットレモンを入れてしまいましょう」 クレイルが水筒と一緒に取り出した小さなナイフでレモンを枝ごと切り取り、直接水筒の中に収める。 とぽん、と水の中へ果実が落ちる綺麗な音が響いた。 高温のレモンが落とされた水筒の中、ティアラレイクの水は全く変化を起...
  • 秘境の魔女23(20121109)
    「はーっ……助かった……」 レオルスが大きなため息と共に、雲が消えた空を眺める。 先ほどまで巨大な雨雲があったとは思えないほど、空は蒼天を取り戻していた。 落雷が直撃した木は発火して燃えたものの、降り続いた豪雨によって火は消し去られて白い煙を上げている。 レオルスがふと視線を落とした先に、不思議な蒸気が発生しているのを発見した。 (何だ……?) どうやら豪雨によって降り注いだ雨がその場で蒸発し、湯気を上げている様子だった。 だがその湯気の量は、地面に生い茂る雑草や雨でできた水溜りがゆっくりと蒸発するだけでは有り得ない量の蒸気。 雲が無くなり、山へ射す日差しはあるが、今まで降っていた雨を短時間で熱せるほど気温は高くない。 レオルスがゆっくりと近づいてその場を確認すると、そこにはとある熱源があったのだった。
  • 秘境の魔女20(20121109)
    一方、レオルスもようやく山の頂上へと到着した。 セフィラに強化された魔力にはまだまだ余裕がある。 レオルスも素早く辺りを探索し、目的の物が見当たらなければすぐに次の山へ向かうつもりだった。 だが、クレイルと反対方向へと駆け、距離が離れた所で、ふと脳裏に浮かんだ記憶がレオルスの足を止める。 レオルスは、この山に来る前に聞いたクレイルの話を思い出してみる。 兄妹の母親イヴが倒れたその場に、レオルスとその父ラウロスが到着した、とクレイルは言った。 (あいつの話だと……俺が親父と一緒に守ったのはあいつら兄妹全員……ってことだよな) あの時、確かにレオルスは張られた結界を維持させてその場にいた者を守っていた。 (だけど……) レオルスがクレイルの向かった方向を見る。 (違うよな……親父が結界を張って、その中で俺が守っていたのは……) 心の中でそこまで呟いたレオルスの鼻のてっぺん...
  • 秘境の魔女25(20121109)
    その場に着地したクレイルが雨に濡れたレオルスを見て言う。 「落雷があったので心配してきたのですが……無事でしたか」 「まぁ、なんとか」 「焼け焦げていたらどうしようかと思いましたよ」 レオルスは魔術を使って落雷を避けたことを話そうと思ったが、クレイルならあの瞬間にもっと上手い方法で対処しただろうと思い、反論を止めて目の前のそれに話を移した。 「それより、見つけたぜ。これだろ?」 レオルスは目に前にある真っ赤な果実をクレイルに見せる。 「えぇ、これですね。勝負は僕の負けです」 クレイルがあっさりと敗北を言ってのける。 レオルスも、何かを賭けて勝負していた訳でもないのでそれに対して何も言うことはない。 そんなことよりも、問題なのは今目の前にある果実をどうにかして持ち帰ることであった。
  • 秘境の魔女24(20121109)
    木々が立ち並ぶ隙間、雑草に囲まれたその場所に目的の果実は存在していた。 <レッドホットレモン> 真っ赤で小ぶりの実が、背の低い木にたくさん実っている。 形はレモンそのものだが、見た目は完熟したイチゴの様に赤い。 (赤い見た目のレモン……これか!) レオルスがようやくレッドホットレモンの近くまでたどり着いた時には、周辺に降り注いだ雨水が果実の発熱によって綺麗に乾かされていた。 木の周辺には異様な熱気があり、気づけばレッドホットレモンの木の周辺には草木が一切生えていなかった。 (とにかく、俺の勝ちだな!) 直ぐに実を手にして下山しようと、熱気の中へ腕を伸ばしてレッドホットレモンに手をしたのだが 「あっつ!! えぇぇ!?」 思わず実に触れた手を引き戻し、その温度に驚いて大きな声を上げた。 熟成した<レッドホットレモン>が持つ温度は、時に百度を超えることもある。 その為、実...
  • 第1章 秘境の魔女(story)(20121109)
    1 2 3 4 5 6アイテム:魔女のグラトンポット 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 45ピース開放:デスティニースクエアの前景2 90ピース開放:デスティニースクエアイラスト 第一章
  • ドリーム&メモリーズ11(20121211)
    森から出たラウロスがクレイルをそっと草原の上に座らせる。 ふと、幼い自分を見てクレイルが思った。 (何故、今までの僕は覚えていなかったのに、今この状況は再現されているんだ……?) 父と歩く森の中へ強制的に移動させられたのは、クレイルは母と一緒にその場にいなかったからである。 つまり自分が見ていなかった過去は、この場で再現されないはずである。 だが、今記憶を消された自分の過去が再生され続けている。 座ったままの幼いクレイルは、少しずつ視界がはっきりしてきているのか、ぼんやりとしながらも自力でその場で顔を上げようとするが、俯いたままで今の周りの状態を認識できているとは思えない。 詳細は不明だった。 ようやく出てきた父親に気づいたレオルスが少しだけ安堵した、その時―― 唐突に訪れた風が、その場の全員を襲う。 その風はレオルスが発生させていた防護膜も吹き飛ばし、その場の全員を晒...
  • 3ヶ月連続企画開催中!デスティニースクエア(20130104)
    注意:上の画像をクリックすると、イベントページ(公式)に飛びます。 検索エンジン用 魔力溢れる魔女の魔道書 魔力溢れる子供の絵本 魔力溢れる魔女の聖なる羽根 アナスタシスディミウルギア・白金魔女の魔法の前景2 エフニディアズモスマイア・魔女達の支援 魔女のグラトンポット ドリームラビリンスキー 一輪のブラッドローズ ミニキャラ秘境の魔女達 魔女の聖なる羽根 秘境の魔女の極秘薬
  • 大迷惑な大変身!!(20130903)
    検索エンジン用 ひょっこりベアハンドバッグ ルーズカジュアルボーイヘア マジックカプセルメディスン サンキューボックス レッド うっとりベッドメリー ツンデレさんフェイス ぶかぶかメイドワンピ ぶかぶか女子制服 ぶかぶか男子制服 秘境のマジカルガーリーワンピ (ブラック ・ ブルー) リトルガールツインヘア (イエロー ・ ピンク) リトルガールミドルボブ ブラウン ひび割れめがね ビッグボルトハット ゴージャスベビーカート お気に入りのおもちゃ (うさぎ ・ 木馬) 秘境の魔法屋の商品棚 サンキューボックス ブルー ツリ目キュート 桜色微笑 キュートメイドパンツスタイル (ブルー ・ イエロー) ルーズカジュアルボーイスタイル セクシースペードポイントトップス ブラック アキュートウルフヘア (ブラック ・ グリーン) ボリュ...
  • 悪魔達の侵略25(20130104)
    重い瞼を開けると、そこには見覚えのある天井と、人の気配があった。 クレイルは一度手を握って身体が動くことを確認すると、ゆっくりと身体を起こした。 「お兄ちゃん!!」 開口一番、クレイルの上半身にフラメルが抱きついた。 「ちょ、姉さん危ないってば! 今起きたばっかりなんだから!」 慌ててパピメルがフラメルを引き剥がす。 「ありがとう、パピメル」 と、言ったクレイルを見て、 「ほんとに、ほんとに心配したんだから……」 フラメルは涙目でそう言った。 「お帰り、兄さん……」 フラメルを掴むパピメルも、目に涙を浮かべながら言う。 「ありがとう、ただいま」 クレイルはそっとフラメルとパピメルの頭を撫でて言った。 フラメルとパピメルはあの後の出来事を全てクレイルに伝える。 「レオルスには改めてお礼をしなければいけないな……」 「うん……その、ごめんね。私たちが一緒に...
  • ガチャプレイで交換!デスティニースクエア(20121109)
    上の画像をクリックすると、イベントページ(公式)にジャンプします。 検索エンジン用 古びた魔女の魔道書 魔女のトランスノストラム 魔力溢れる魔女の魔道書 セイクリッドシャイニーガールヘア セイクリッドシャイニーボーイヘア
  • ピグアイランド
    【イベント】 聖地イーグル島 秘境のロータス島 真夏のクリスマス(2012年12月1日~2012年12月15日) 南国鳥「オオハシ」(2013年5月17日~2013年5月31日)
  • ドリーム&メモリーズ18(20121211)
    迫り、襲い来るクレイターローズの攻撃を防ぎ、走り続けた二人は、ついに森の入り口を目にする。 「外が見えたぞ!」 「レオルス、これを!」 クレイルが残り数本となったコンポジションウェポンズを剣に変え、ここまで速度を落とすことなく、執拗に二人を捕らえようとしてくる蔦を切り落とす。 それと同時にレオルスにブラッドローズの入ったケースを投げ渡す。 「おっと、あぶねっ!」 「そのまま先に! 突っ切ってください!」 「わかった!」 クレイルが両手に剣を構え、レオルスのすぐ後ろで両側から迫る蔦を切り落とすタイミングを見計らう。 左右どちらから来ても、先を走るレオルスを守りながら攻撃できる。 (よし、これなら――) 残り数歩で外へ出るその瞬間、レオルス眼前に無数のクレイターローズの根が飛び出した。 「嘘――だろ」 出口まで突っ込む勢いで走っていたレオルスが急に止まれる訳も無...
  • ドリーム&メモリーズ8(20121211)
    クレイルが森の中に入り、突然気を失ってから何分くらい経っただろう。 その場に立ち、周囲を警戒していたレオルスがふと、木の根元でうな垂れて座るクレイルを見る。 (…………) 突然の出来事にレオルスは驚いたものの、クレイルのそれは、どこか頭の片隅で思っていた彼の「父親の記憶」に関してではないかと考え、しばらく様子を見ることにしたのである。 レオルスも、改めて自分が見た当時の記憶を振り返ってみることにした。 クレイルが話した内容は、レオルスがラウロスと共に現れ、その場にいたクレイル本人と妹のフラメル、パピメルを守ったと言う話だったが、レオルスの記憶ではその場にクレイルはいなかった。 レオルスは、森に飛び込んだクレイルを追ったラウロスの指示で、その場に残ったフラメルとパピメルを守っていたのである。 「友達に会いに行く」と、父のラウロスと共に出かけ、目的地まであとわずかと言う所で...
  • 2012年度のイベント②
    2012年度のイベント 頁:1ページ バナー・文字、どちらをクリックしても同じページ(wiki内)に飛びます。 ファンタジックカプセルリレー(2012年9月11日~2012年9月25日) さよなら2012夏!レイトサマーポーカーイベント(2012年9月14日~2012年9月28日) かわいいドールとおそろいの格好をしてみよう!(2012年9月14日~2012年9月28日) 運命のボールくじ!(2012年9月18日~2012年10月2日) 星降る夜のできごと(2012年9月21日~2012年10月5日) おポーンの野望!(2012年9月28日~2012年10月12日) じゃろの爆釣伝説(2012年10月19日~2012年11月6日) 狙うねこにゃん!としあわせ娘っ(2012年...
  • 2012年度の複合イベント
    電子空間に可愛いペットを連れて行こう!(2012年6月19日~2012年6月29日) ポップスター ピンクを集めよう!(2012年6月26日~2012年6月29日) レインボー・ヘアスタイル(2012年7月3日~2012年7月17日) ちょこクエ☆モンスターカード(2012年7月10日~2012年7月31日) ヴァンパイアボックス(2012年7月13日~2012年8月10日) ツインスターで楽しみ方2倍!?(2012年7月17日~2012年7月31日) かならずボーナス登場!(2012年7月24日~2012年8月21日) ドリンク&フェイクカードセットを販売!(2012年7月24日~2012年7月31日) 月兎の箱(2012年9月7日~2012年10月5日) 素敵なヘアスタイルにアレンジしよう♪♪(2012年9月18日...
  • ドリーム&メモリーズ6(20121211)
    クレイルが父の事を、父と過ごした子供の頃の日々を思い出す。 目の前にいる父、3人の子を持つマグナは、顔や髪などの見た目は、現在ここまで成長したクレイルとほぼ同年代に見える。 身体に老化が見られないのは、体内に流れる魔力の影響があるからだろう。 クレイルは、父の両親についての話を聞いた事はないが、マグナが持つ魔力量や魔術の能力は何かしらの魔女の恩恵を受けていたのでは、と考えていた。 少なくともイヴと出会う前には錬金術の研究をしていたはずであり、合成師としての術の使用は不可能だったと思われる。 マティリア家は、<過去何世代にも渡って魔女たちとの関係性を築いてきた>との記録もあるので、クレイルが察するにマグナの母親か、もしくはそのさらに過去には魔女と何かしらの関わりを持っていたに違いなかった。 少しずつ、クレイルが知っていた父の記憶を取り戻していく。 だが、それでもまだ、現在...
  • 2012年度のガチャ@セルフィ
    2012年度のガチャ@セルフィ バーチャル・メッセンジャー(2012年6月19日~2012年7月17日) Royalココロ・プレミアム(2012年6月22日~2012年7月20日) 書生さんが行く(2012年6月26日~2012年7月24日) ファンタジー・ペインター(2012年6月29日~2012年7月27日) シャーベティ・カフェ(2012年7月3日~2012年7月31日) トワイライトキングダム(2012年7月6日~2012年8月3日) Vampire Forest(2012年7月13日~2012年8月10日) ガラスのお姫さま(2012年7月17日~2012年8月14日) ハピネス・ストーリー(2012年7月24日~2012年8月21日) アクアワールドプリンセス(2012年7月27日~2012年8月24日) パンキッシュ☆ラビット(...
  • 2012年度のイベント
    2012年度のイベント 頁2ページ バナー・文字、どちらをクリックしても同じページに飛びます。 DRESS UP SUMMONER-ドレスアップサマナー(2012年5月29日~2012年6月29日) セルピット生誕5周年記念パーティー(2012年6月1日~2012年6月29日) 秘密のセルピット図鑑(2012年6月8日~2012年6月29日) アイテムトレード買取希望リクエスト登場キャンペーン(2012年6月19日~2012年6月29日) 今ならGコイン購入がお得!(2012年6月22日~2012年6月29日) あっち向いてココロ(2012年6月22日~2012年6月29日) アイテムチェンジアクア(2012年6月26日~2012年7月10日) 毎日ログインするだけでもらえちゃう!アクションアイテムプレゼントキャンペーン(2012年7月...
  • ドリーム&メモリーズ12(20121211)
    生き物の気配をまるで感じない森の中、空気の冷たさを感じながらレオルスが森の奥を眺める。 目的地である中心部はまだ先だと思われるが、徐々に赤い霧が近づいている様に見えた。 ふとクレイルに目をやると、いつの間起きたのか顔を上げ、そびえ立つ木々を見ている。 「…………」 レオルスは、一瞬クレイルの目に涙が浮かんでいる様な気がしたのだが、それには触れずに声をかけることにした。 「おい、起きたか? 大丈夫かよ?」 「レオルス、ここは?」 「ここはって、変わらず森の中だ。奥まではまだもう少し距離がありそうだぜ」 動かないクレイルを見て、レオルスが言う。 「一体、急にどうしたんだよ」 クレイルがようやく身体を起こし、レオルスのそれに答える。 「思い出したんです。僕ら兄妹には、父親がいた。間違いなく、あの事故の時までずっと一緒に生活していた」 その言葉はレオルスの予想通りであり、そ...
  • ドリーム&メモリーズ10(20121211)
    (父さん……今、僕に何をした……?) 「マグナ、何を!?」 気づいたラウロスが叫ぶ。 「頼みがあるのは、お前だけだ。ラウロス」 ラウロスがクレイルの肩をつかみ、その表情を見て驚愕する。 父を見る目の焦点が定まっていない。 立ったままの状態で、呼吸もしていないのかと思うほどに身体の動きが止まっている。 「まさか……」 「あぁ、今までの俺に関する記憶を……クレイルから消し去った」 (父さんが……!? 何故!?) 自分が父親を知らなかった訳でも、父親が家族を見捨てていた訳でもない。 クレイルは父親から、その記憶を全て消されていたのである。 「今までの俺の存在は消えて、適当に構築されて埋まっていくだろう。もちろん、綺麗に埋まることはない。いや、もしかしたら苦しめちまうかもしれないな……」 「何故だ、マグナ! この子は……クレイルは両親を失うんだぞ! その記憶まで消してしま...
  • 前景アイテムプレゼントキャンペーン!(20121109)
    上の画像をクリックすると、イベントページ(公式)にジャンプします。 検索エンジン用 セイクリッドシンボルの前景2
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