今日は日曜日。何故か朝からみんな私の部屋にいる。
それも一昨、智ちゃんが急にバンドをやるなんて言い出したからだ。
最初はバンドのお名前の事とか、ちゃんと話し合ってたのに、
どんどん話がそれて行ってムチャクチャになってしまった。
智ちゃんは本当にやる気があるのかなぁ…
そう言う私は興味深々で、今までこんな大きな活動はした事が無いから
とても楽しみにしていたりする。
「で、昨日は何が決まったんだ?」
「まだバンドの名前しか決まってないよ。智ちゃんと愉快な仲間たち!」
ぎょっ!
「まじでか!」
よみさんはかなり引いている…
「いやいや、"Raspberry Heaven"だ。」
榊さんが困ったような顔で訂正している。
「それは安心だ。さっきの名前ならやめてるぞ私は。」
あれ?やっぱりよみさん、やる気なのかな?
「よみさん、一昨日はあんなに嫌がってたのに今日はまたどうしてここに?」
私が聞くと、よみさんはちょっと顔を赤くして答えた。
「ほら、歌ったり踊ったりするとダイエットになるかも知れないだろ?」
なるほどー!
「でもよみは歌じゃないよ、下手だから。」
「うるせぇ!」
やっぱり二人は仲がいいなぁ。
「…というわけで、今日は皆さんがどの楽器をするのか決めたいと思います。」
昨日に引き続き、私が議長だ。えへん。
「もちろんあたしはリーダーだから歌で決まり!」間髪入れずに智ちゃんが言う。
「え え っ !?」
「歌は…ほら、こないだカラオケ行った時に榊さんがすごく上手かったじゃないですか…?」
私が聞くと、智ちゃんは人差し指を横に振りながら言った。
「ちっちっち、甘いなちよちゃん。」
「え?」
「榊ちゃんは一昨日、ベースをやりたいと言っていたのだ。だからベース!」
「良かった…」
私の隣で、榊さんの小さなガッツポーズが見えた。
「で、大阪。」
「私は笛やろ~?」
バンドだから…そはないと思います。
「その通り!」智ちゃんが親指を立てる。
えっ!
「おおいちょっと待て、音楽会じゃないんだぞ」
よみさんも心配そうだ。
「笛と言ってもリコーダーじゃないよ。」
「え~ええやん、リコーダーええやん」
だめだってば…。
「笛と言っても、大阪にはブラスをやってもらおうと思う。」
「ブラス~?」
大阪さんは笛を片手に首を傾げる。
「そう。ま、詳しくは明日学校で教えるよ。で、次はよみ~」
「私は楽器の類はやった事が無いぞ」
実は私もです…というより、みんなした事あるのかなぁ?
「わかってるって。そんなの練習すりゃいいじゃん、気合でカバー」
気合かぁ…
「で、私は何なんだ?」
「よみはギター。」
「踊れないじゃないか…」
よみさん、ダイエットしたいって言ってたのに…
「踊りながら弾きゃいいじゃん」
…うわーそのまんまだ。智ちゃん適当だな~
「なーなー」
「何だ大阪?」
「どら焼きとみかさはどう違うんやろ…」
……
「あ、あの、私の楽器は何なんですか?」
「そう、ちよちゃんのは考えるのに苦労したんだよ~」
や、やっぱりちゃんと考えてるんだ。
「ちよちゃんはピアノ弾ける?」
「少し弾けます」
ピアノは幼稚園の頃から少しづつしていて、家にもあったりする。
「決まり!ちよちゃんはキーボードね。いや~ギターとかじゃ重いでしょ?
この機転と利かせたあたしはやっぱりリーダー向きよね~」
「で、ドラムは誰がやるんだ?」
よみさんの一言が、その場の空気を凍りつかせた。
「どうしよう…」
「馬鹿、ちゃんと人数考えろよ」
智ちゃん…やっぱり何も考えて無いんじゃ…
「ほんならさー」
大阪さんが切り出す。何かいい案でもあるのかな…?
「智ちゃんがドラムやるってどないや?」
……
「じゃ誰が歌うんだよ…」よみさんの冷めた突っ込み。
「えーと…私。」
うぉっ!
「大阪さんはブラスですよ!ブラスは口がふさがってますよ!」
「……ほんまや!」
大阪さん…
でも本当に、ドラム無しでどうするんだろう?
ほかの楽器にはもうみんな割りあたっちゃったし、歌う人はもちろん必要だし
「ちよちゃん…」
みんなが悩んでいる中、榊さんが声をかけてきた。
「何ですか?」
「音楽室のキーボードによっては、ドラムの音が出るかも知れない…。」
なるほど!
「あ、そうですね!明日行って確かめてみましょう!」
今日はちょっと危なかったけど、何とかなりそうな気がしてきました…!
「そこ!何楽しそうに話してんだよ!あたしも混ぜろ~」
私と榊さんの間に、智ちゃんが押し入ってきた
最終更新:2007年10月21日 16:23