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遺言 - (2010/12/27 (月) 13:07:26) の編集履歴(バックアップ)


  • 終わりんところがうまくかけなかった、と反省。いや、全体的に(以下同文 -- (管理人) 2010-12-22 17:59:14
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ハー。うん、白い。
屋上というのは、壁がまったくないものだから風をうけると、すぐにスカートがゆれる。いや、スカートなんてうすいもんはすぐにゆれるもんだ。思秋期の心なにみゆれるよ、うん。
いや、そんなくだらないこと聞かせるために屋上につれてきたわけじゃないよ。ただちょっと、心残りみたいなもんだからきにしないで。あ、そういえばあたしの夢ってあんたにいったけ?小説家っていったよね?
ああ、よかった。ちゃんと覚えててくれて。覚えてくれてなかったらはなしが進まないよ。
じゃ、本題ね。
えー、ごほんごほん。本日はわたくし、『御影鏡子の遺言』においでいただきありがとうございます。なお、スピーチ中の私語はご控えください。
あー、緊張するー。……いいかげんにはじめますね。
私の人生のピークは小学三年生です。まだ十年も生きていないのですが、わたしはもう、人生に疲労を感じていました。ですから、わたしが「人生に疲れた」といっていたのは嘘でもギャグでもありません。
では、いったい小学三年生になにがあったか、というのは「いじめ」でした。ちなみに、いじめられていたのではなく、わたしはいじめていた側です。そのいじめは、わたしを入れ、友人五人での活動でした。
いじめていた相手は、今も進行形ではぶられている祐樹君です。今も、クラスで彼が一人になっているのを見るとわたしはとても悲しくなります。
いじめの内容なんてのは、小学生らしく、くだらないいじめでしたし、正体がばれないように、ということでこそこそとおこなっていました。
それで、当然先生にすぐに見つかりました。あっけなく、です。そして当然説教です。
みなさんおわかりだとおもいますが、わたしは学年で一、二を争うほどの泣き虫です。説教がはじまれば、一番最初に泣き出すのはわたしです。ですから、このときの説教でも最初に泣いたのはわたしでした。
ここでみなさん、といってもあなた一人ですが、その説教が私の人生に疲労をあたえた、とかおもっていますか?残念ながら、今その説教の内容はおもいだせません。
内容なんてどうでもよかったんです。じつはわたし、が「あいつうざい」とかいいだした張本人なんです。……わかりますか?ホントの理由は、本気で怒られてみたかったから、です。
今現在、生徒会長という役職についているわたしですが、小学生の頃からでしゃばりグセがひどかったんです。ですから、クラスで問題があれば「どうしたの?」とすぐに首をつっこんでいました。ホント、迷惑ですよね。
正義の塊みたいだったわたしは、一回でも怒られてみたあったんです。だから、友人四人をまきぞいにして、いじめをおこないました。今更ながら、ホント四人には迷惑かけてしまった、とおもいます。
とりあえず怒られて思ったんです。「ああ、悪いことしたらすぐに自分の元にくるんだな」って。これです。これを知ったからこそ、人生に疲労を感じはじめました。
小学生のころって、なんにも考えないで走り回ったりして、とってもうざったいじゃないですか。で、先生にしかられて、反省したフリしてまた走り回る。子供の典型的パターンですよね。あ、ちなみに当時のわたしは男の子みたいな女の子だったので、基本走ってました。あなたには想像しずらいかもですね。今じゃ本の虫ですから。
すいません、それちゃいましたね。話をもどします。
悪いことをしたらバチがあたる、これをしってしまったからわたしは「他人に気をつかう」ということも学だのです。そして、わたしは『他人の幸せの望む』ということをはじめました。どうも、昔からあきっぽい正確のわたしですが、これだけはちゃんと守ってきていることです。
正義って、「だれかのためになんかやる」ってのが基本じゃないですか。や、正義って辞書で調べると違う意味がでてきそうですけど……アンパンマンは腹ペコの庶民にアンパンをあげるから、庶民の空腹のために……きっとそういう意味だとおもいます。
で、わたしも女の子です。思春期になれば、恋をひとつやふたつぐらいします。そこで、ひとつ問題がおこりました。今の私の友人、Kちゃんの好きな人とわたしの好きな人がおなじことを知りました。Kちゃんの好きな人、本人がけっこうアタックしちゃってるから、だれがすきなのかはわかりますよね。え、わかんない?いいですね、あなたは鈍感で。あなたのことですよ。
『他人の幸せの望む』ことをはじめた自分は、友人のKちゃんを応援しようとおもいます。ですから、わたしのことが二の次。
ですが、恋というのはだめですね。がまんができそうにありあません。ですから、自分は消えることにしたんです。今日、屋上にわたしがいるのはそのためなんですよ。ふふ。
ちょっと後ろを向かさしていただきますね。泣き顔はみせたくないので。
で、ですね……どこまで話したっけ。恋をしている相手があなただってことはいいましたっけ?あ、まだですか。ではそこからはなします。あ、聞き取りずらいかもだから、注意ね。
で、『他人の幸せの望む』ことにしたから、わたしはKちゃんを優先するの。わたしのことなんか、正直どうでもいいの。理由は……正直ないから、どうして、って聞くのはなしね。
えーっと、「恋」って漢字は変体の「変」って漢字に似てるよね。そんなかんじで、わたしも恋のせいで変になっちゃったの。あなたはきがつきましたか?わたしがずっと、あなたのことを見てしまったり、あなたについていってしまったりしていたこと。……返事がこないけど、すすめるわね。ああ、鼻水が……
それでですね、Kちゃんに申し訳ないとおもっちゃったの。Kちゃんのあなたなのに、わたしが奪おうとしちゃっていたから。我慢しようとはしたんだよ、だけど、我慢できなかった。だから最終手段、死のうとおもうの。
だから、これは遺言になるの。わたしが、ずっと好きだった相手にこういうこと言うぐらい、べつにいいかな、とおもっちゃってね。だから、最後に一言いわせて、あなたのことがすきでし……
ふふ、だれもいないじゃない。あーあ、わたしはだれにはなしかけてたんだろ。ははは、あなたはそんな弱虫じゃないとおもってたのに。知りたくなかったよ、弱虫だったなんて。
……弱虫はわたしのほうだよね。
さてと、いいかげんに死のう。せめて、だれかにみてもらいたかったな……

鼻を真っ赤にした少女は、紺色のスカートなびかせ、ぼろぼろのフェンスに近寄る。
フェンスは少女きいものだが、少女はのぼる。屋上にいるから下からみたらスカートの中がみえるというのに、少女はトカゲのようにのぼる。
「ふーっ」
少女は息をはく。少女がはしだした息は白かった。
「さようなら」
少女はそうつぶやいて、片足を中に出したそのとき、

「この胸に飛び込むな!!」

一人の、弱虫の少年が、少女の下にいた。
少女は、足の裏を校舎の屋上に戻し、笑った。
「飛び込むなって、飛び込んじゃったらどうしてくれてんだ!バカヤロー!」
ニヤニヤした男女が一組、上と下にいた。