波打つことしか知らない波が、潮の流れる音とともに押しては引いて、押しては引いてを繰り返している。 この島の上空にはカモメは飛んではおらず、サカナも同様にこの島の周りには住んではいない。この島あら、いまにもあふれんとしている悲しさを察してでもいるのだろ。 空は落とし穴の底のような暗さで、またそれを映す海もまた、悪いものでも取り込んでしまったかのような暗さをしている。雲の奥に隠された太陽の光は、この島にはほんとんど届いてはおらず、島に生えわたる雑草が、風のせいか、はたまは己自身によるものか、太陽の光を求めて強くゆれている。