最初にワープロモードで作成してしまったので、

戦績などは次をお借りします、初心者丸出しで申し訳ない……

戦績など

 

参加領域の雑文です。オペレーター寄り。
……長すぎますね、問題がありそうであれば削除します。

「 Chain of Emperor 」

<0日目>

皇帝の鎖と名のついた領域に、船がいる。
そこに、続々と作業員が集まってきた。
チェックインをすませ、パラキート勤務の準備をする。
明日からしばらく、その作業に従事するのだ。
彼らはお互いに自己紹介をし、楽しそうに歓談する。

……そう、誰もその時点では、この先に起こることを知らなかった。


<1日目>

早朝、けたたましい警報機の音で起こされた。
己に生じた違和感の正体を突きとめる暇もなく、モニターの前に座ってコンソールをいじった。
すると、険しい顔をした局長の顔が写り、続いて機械を通した音声が響く。

この領域にアンチが入りこんだ、その情報は皆に衝撃を与えた。
一様に驚き、そして遅まきながらに己の中に起きた変化に気づく。
昨日までたしかに自分の記憶は己のものであったのに、今その記憶の中には、別の誰かのものが滑りこんでいるのだ。
それは、局長の言葉が真実で、この中にアンチがいることをはっきりと示している。

誰もが驚き慌て、これからのことを考えている。
早く記憶をとりもどし脱出せねば、計画は中断されてしまう。
しかしその中には慌てたふりを装い、脱出を望まないアンチがいる。
オペレーターをすべて外に出し、領域を安住の地にせんと企むものたちが。
……そしてオペレーターとアンチの知恵比べがはじまる。

そしてクロエの叫びから、1日目ははじまった。
続々と集まる乗組員たち。
お互いに今持っている記憶を言いあい、交換の予定を立てる。
夜はねずみが飲酒をしてきたことから、そのまま酒の席へと変貌した。
未成年のヘッドにあわよくば飲ませようとする木登りに目を光らせながら、大いに騒いで楽しんだ。
本当にこの中にアンチがいるとは思えないほど、楽しい時間だった。

<2日目>

2日目は一人の消滅者も出ることなくはじまった。
アンチ対策に様々な方法を考えるが、やりすぎれば型をつくり、対策は容易に立てられるようになってしまう。
さりとてなにもせずにいれば、考える道標もないままとなる。
あれこれと思いめぐらせる一方で、乗組員の愛称を考える話し合いが活発になった。
あれやこれやと新しい略称が飛びだし、大いに笑う一堂。
少しずつ集まりはじめる記憶たち。
集めている彼らは本当にオペレーターなのか、それとも……

<3日目>

記憶の揃う者と揃わぬ者がはっきりと出る領域。
ねずみはリーチに弾んだ声を出すが、その他の交換は芳しいものではない。
リーチに近づいたことで、ストライプアンチ対策などを考えだす一行。
その一環として周囲への印象を語りだすが、誰も彼もオペに見えてしまう。

そんな中、シトロエンをもじった歌をヘッドが歌い出し、いつのまにか皆に伝染する。
賑やかな歌の中、ねずみは記憶が揃った場合、掃除先を言うと宣言した。
ストライプに守られる可能性はあるが、逆にそれを当ててしまおうという、まさに直感勝負の賭に出る。
その作戦は巧くいくのか、それとも……

しかし寸前で最後のねずみの記憶を持つシトロエンが交換を拒否。
ねずみの脱出は二日後になるのだった。

<4日目>

ねずみ、クロエのリーチとは対照的に、一つも揃わぬ者が嘆息する。
そんな中、意味深な発言が交差しはじめる。
二人同時脱出の可能性も出てきたため、考える内容は数多い。
もしも同時となれば、ストライプに守られても、必ず一人は掃除できる。
ストライプを当てることができれば……オペの勝利はぐっと近くなる。
そんな中のヘッドが質問をした。
「アンチはどちらを守るのか?」
ねずみは囮の可能性を示唆し、ぬらぬらとシャムロックは考える必要性を感じない。
にんにくチップスをおやつにつまみながら、一同は次の記憶交換を待った……

<5日目>

ねずみの記憶は無事揃ったが、クロエは惜しくも逃してしまった。
そのため、ねずみは一人での脱出となる。
悩んだ末の結論は、自分の好みでの選択。
愛の告白を固唾を呑んで見守る一同。
そして出た名前は……天才電気ヘッドだった。

名指しされたヘッドは、困惑しつつも己がハイオペであると宣言する。
選択ミスに愕然とし、隅に潜りこむねずみ。
だが実は外れではなく、彼こそが狙い通りのストライプアンチだった。
真のハイオペはポヨンだったが、言葉少なにハイオペについて言及するのみ。
その時点で対抗して名乗りを上げれば、疑惑をむけられることも、アンチの標的になることもわかっていたからだ。
他者の意見が交錯する中、ねずみは自分の選択を撤回し、掃除先を言わぬままに脱出する。

ねずみの掃除先はぬらぬら。
恐るべき勘で二人もアンチを当てたねずみだったが、ストライプのヘッドがぬらぬらの掃除を許さなかった……

<6日目>

掃除機の不発はオペレーターもアンチも驚愕させた。
アンチたちはねずみのあまりの的中率に、アンチ同士の交信で慌てた言葉を交わす。
しかしこれを表に出してはならない。
ぬらぬらとヘッドは自制心の回路をフル回転させ、その恐怖を隠しとおす。
ねずみがアンチを当てたことはたしかだが、それが誰であったかはわからない。
しかしここには確実にストライプがいるのだ。
パニックが起きる中、クロエは自分の記憶が揃ったことを告げる。
やはり彼女も掃除先を明記せず、己の集めた情報を頼りに掃除先を決めた。

一時期を境に饒舌になり、記憶集めに消極的な……
……そう、彼女の標的はポヨン。
掃除先に関してほとんど情報を残さなかったため、クロエはそれと知らずハイオペを標的にしてしまう。
ポヨンはねずみのオペを確認するが、それは即ちアンチがまだ三体いることを示す。
この状態で自分がハイオペだと名乗るのは危険すぎる……
そう判断した彼女は沈黙を貫き、これが仇となってしまう。
クロエは不安な心を押し隠すように、掃除機のスイッチを入れて脱出した……

<7日目>

ポヨンの掃除、そして三角トレード。
アンチのフノキオに記憶がそろってしまう。
悩むフノキオだが、脱出しないわけにはいかない。

それならばシャムロックを道連れにと仲間が言う。
ハイオペを騙るヘッドは、堂々とアンチの数が減ったと告げた。
これにより数名はクロエかポヨンがアンチだったと信じてしまう。
思案の中ではヘッドを疑う一路だが、発信するだけの手札がなく黙りこむ。

ねずみ、クロエらがいなくなったオペレーションルームは、ほぼ男所帯に。
嘆息する給仕役に、木登りが女装を提案する。
乗ったヘッドも申し出るが、引きつった笑顔で断りを入れた。
妙な雰囲気になる中、ぎりぎりでフノキオが駆けつける。
彼はいくつか言葉を残し、掃除先を言わぬまま脱出した。
道連れの相手は……ストライプのヘッドを怪しんでいる男、シャムロック……

<8日目>

ヘッドは二人をオペ扱いし、アンチの数を二体と告げる。
事実ではあるのだが、オペレーターにはそれが誰かはわからない。

そして記憶の揃った木登りだが、目星がつかずにパニックを起こす。
消される恐怖を押し隠し、心配するヘッド。
誰がアンチか目を光らせながら、応援するシトロエン。
必死に過去の記録を洗う木登りだが、その推測は別のほうへといってしまう。

ここでアンチを選ばなければ、オペレーターは負ける。
そのプレッシャーが思考能力を奪ってしまった。
アミダクジを書きはじめる木登りに、アンチたちは交信を続ける。
彼がオペレーターを選べば、自分たちは消されずにすむのだから。

人員の減った室内は、どことなく寒い。
混乱した木登りはぬらぬらにラヴコールを送り、ヘッドはシトロエンの毛皮に癒される。
二つまで絞った木登りの考え、しかし彼は間違ったほうを選択してしまう。
自室の掃除を終えた彼は、最後に掃除機のスイッチを押した。

<9日目>

トランプが舞い、シトロエンは掃除された。
ここにきて一路はヘッドに目をむける。

「君がアンチだね?」

それはかなりの確信を持った発言だった。
残ったオペレーターは彼一人、残るヘッドとぬらぬらはアンチ。
この時点でオペレーターの勝ちは、エラーによるアンチの故障以外にない。
勝ちを確信したヘッドは、にっこりと笑って頷いた。

三人の記憶はどこかが欠けている。
誰かが揃えて脱出すれば、その時点で勝敗は決まる。
ヘッドは余裕たっぷりに一路に訊いた。どうしたいか、と。

もう勝ちはない、だからといって勝負を投げる気は彼にはなかった。
どうせ負けるのならばストライプを消したい、そう呟いた。
消される側のヘッドはどこか安心したように微笑んだ。

いいよ、と快諾し、一路に記憶がまわるよう調整する。
そして特例により、記憶系統の交換が成された……

<10日目>

一路の願いは聞き届けられ、彼の元に記憶が揃った。
彼は言葉少なに感謝を述べると、迷わぬようにすぐさま脱出する。

残ったのは、アンチ二人。
そんな領域も中々あるものではないと、二人は感慨にふける。
10日前は賑やかだったこのオペレーションルームも、今はがらんとしている。
これで自分たちの勝利だが、そこにはどことなく寂しさがあった。

明日には消されるだろうヘッドだが、これで終わると思うと、安堵もあった。
もう騙さなくていい、もう怯えなくていい……
途切れとぎれに仲間と喋りながら、その時を待つことにした。

この領域はアンチのものとなり、ガリレオ計画は頓挫する。
嬉しいはずだが、さして喜びはわかなかった。

願わくば、アンチもオペもない場所で、彼らと過ごしていたかった。
重たくなる瞼にまかせて目を閉じて。
そんな夢を見られるようにと、祈った。

目安箱バナー