ああ、うるわしのドッチャー・アルフェンス > 第3話 遠い栄冠 Marinonet.時代

5月、バトロイ本家は閉鎖され、長いバトロイ暗黒時代を迎えた。だが、その5ヶ月後の10月、星川のもとに一通の手紙が届いた。
「鬼神軍入団のお知らせ、で始まってましたね。あれ?バトロイってもう廃止になったのでは?と最初は思いました。」と、星川は語る。
稗田軍は鬼神軍に名が変わり、バトロイ界に帰ってきた。本家無き時代を席巻していたのはMarinonet.という場所のバトロイ場である。
本家閉鎖後、バトロイから離れていた星川は復帰を決意。

10月の終わり頃、彼はバトロイのリングに帰ってきた。
「ご覧下さい!尾張の名ファイター、星川弘がバトロイのリングに姿を現しました!」
鬼神軍の一員としてバトロイに復帰した星川。既に鬼神軍では島田真北、オスパー、桜田純一、船木徳男の4名がD-BR杯で優勝していた。彼もその流れに乗りたいところであった。
すると他3名もリングに上がり、試合開始。観客の大半が星川のファイティングに注目していた。だが、Marinonet.特有のルールに慣れず、ブランクもあった星川は苦戦を強いられる。
白星こそは掴むものの、負けが多かった。結局星川は凡退。
「しかし、星川にはまたという機会があります。またその時に期待しましょう」と、実況が言うものの、サポーターからは野次が飛びに飛んだ。
「もう、あれは焦りすぎましたね。すでに4人がD-BR杯で優勝して『自分もやらねば』という気持ちだけが先行して、不本意な結果を招いてしまったと」と、星川

続く11月7日、星川は復帰2回目の登録となったが、D-BR杯に届かず2勝どまりに終わった。
続く14日、この日もまた3勝と奮わず敗退。
21日、またも3勝で敗退。4週連続の凡退を見てファンは激怒、場内には生卵などが投げつけられることもあった。「星川弘はもう二度とD-BR杯には出られない。」と、ファンは揃って口にするようになった。彼の実力の衰えは明らかだった。主力の座は完全に奪われた。
「今まで誰よりも信頼され起用され、Vを勝ち取ってきた自分が、D-BR杯に出場することすら無理だとなると、本当に悔しくてしかたがない。」と、星川

28日、彼はまたリングに上がった。
「おい星川!お前とっとと神宮前に帰れ!」
「赤いボールしか友達いねぇんだろ!?」
観客による猛烈な野次、星川はそれを聞くたびに冷酷な表情を見せ始めた。
その日の彼のファイティング、怒りに燃えた彼はラフな戦法で、たちまち相手を脅かし、星を重ねていった。誰もが星川の凡退を予測していたが、この日ばかりは違った。D-BR杯出場ラインの5勝に達し、尚もLIGEに余裕ある星川、彼の表情は違っていた。あの朗らかな彼に魔物がとりついたようであった。観客までも恐れを成していた。
「もう、ド真剣にやり返したろうと思いました。本当ならあんな態度出しませんよ」
結局、この日の星川は11勝、信頼と期待を取り戻す結果となった。

そして星川はMarinonet.初のD-BR杯出場。だがそこには強敵シェゾ・ウィグィィがいた。そのほか本家でも見たことがなかった新しい面々ばかりであった。観客の多くは古豪星川の復活優勝を望んでいた。
試合開始、星川は順調なファイティングを見せる。3分ほど経ったが、4者は互角な戦いを繰り広げていた。しかし
「おっと、シェゾ、攻めるか!?」
シェゾは剣を大きく振りかざし、星川に一撃を加える。
「ぐはぁっ・・・・」
星川、倒れた、審判がカウントに入る。
「1,2,3,」
星川の脱落を告げる笛が鳴る。すると場内全体がどよめく。やはり彼には優勝の二文字は遠かったのか。
「あのときの大量勝利は一瞬の輝きにすぎなかったのだと思い知らされました。もうこのときは完全に世代交代でした。」
その後、彼は出ても出てもなかなか勝てず、D-BR杯にはありつけなかった。

1ヶ月後の12月25日、星川は10勝し、D-BR杯に出場。「今度こそは勝てる」とファンの誰もが思っていた。
のくぼを会心の一撃で一抜けに負かしたが、ヨーギラスの平凡な一撃で彼は倒れた。
次にD-BR杯に出られたのは年明けの1月16日。鉄腕アトムを一抜けで負かし、山口花香を会心で倒し、いよいよあと一人。しかし星川の体力は残りわずかだった。それも、相手は快足のラフィーナ。星川に十分攻撃を与えられる。そして・・・
「ぐわぁっ・・・・」
星川、ラフィーナの一撃を喰らい。そのまま倒れた。審判は3カウントを入れ、笛を鳴らし、星川はまた優勝を逃した。
この年始に鬼神軍に入って、その試合を見ていた星川の同僚、江藤小百合はこう語る。
「正直彼はいつも天に見放されていました。私も彼の優勝が一度でも見たかったものです。名鉄のために、神宮前の星川のために」

その後も凡退し続けて、次にD-BR杯出場機会が訪れたのは2月24日、1ヶ月に1度しか来なくなった貴重な時、星川のMarinonet.初優勝の可能性ももはや0に収束していくかのようであった。
しかし、このときものくぼの会心で一抜けで敗れ、またも優勝を逃した。
「もうあかんわ、星川も俺も相本も江藤もヒッターも、誰もがそう思いました。」と、真北は語る。

3月6日、この日彼は嫌な光景を目にすることになった。
リングには江藤が上がっていた。しかし、その江藤は全然勝てずにいた。そしてLIFEは1になり、リング際で見守っていた星川は「がんばれ、がんばれ」と、ひたすら声をかけていった。だが
「あーっと!江藤倒れた!起き上がれないか!?」
そのまま審判は3カウントを入れ、笛を鳴らした。江藤は未勝利で敗退。江藤は悲しい表情でリングを降りていく。
星川は怒りに燃えた。自分だけでなく、仲間まで苦戦しているのを見て、黙ってはいられなかった。
星川は監督のところへと駆け寄り、出場を志願する。すると監督はそれに応じた
「江藤の無念を晴らしてやれ」
「はい」
5分後、場内に星川弘の出場登録が告げられた。そして星川はバトルコスチュームで場内に現れる。星川の表情はあの11勝したときに近かった。ぴりぴりした雰囲気が星川の周りに漂っていた。
だが、その怒りを勝利に変えられず、この日は結局3勝で敗れた。星川は悔しくてたまらなかった。
「もう、私の黒星が決まってから、星川君の機嫌は一切悪化していましたね。あんなんで駅員やったら苦情が来ますよ。」と、江藤は語る。

そしてその翌週の14日、星川にとって、忘れもしない出来事が起こる。
この日、リングに上がった星川、だが終始滅多打ちにされ、LIFEは1に。
「ああ、星川大ピンチ、先週の江藤に続き名鉄勢また黒星か」
しかし、彼は奮起することもなく、黒星を喫した。
試合を終えた星川、もう彼の決意は一つにまとまっていた。「引退」の二文字である。
最終更新:2009年03月30日 18:38
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