4月5日、彼は本当にバトルロイヤルから一線を退いた、はずだった・・・・
しかし、彼には何か忘れ物があった。
それから2ヶ月が過ぎたある日の土日。鬼神軍は敗れに敗れまくり、10者連続凡退で「苦難の行軍」に突入した。
そんなある朝、前夜の終電乗務を終え、乗務区で一晩を過ごした星川だったが・・・
「大至急来て欲しい」と、鬼神監督からの電話が届いた。
「なに、どうせ俺じゃ栄冠はつかめないというのに・・・・」
星川は出たくなかった。しかし、彼には成し遂げたい目標もあった。彼はバトロイスタジアムへと駈けていった。
ロッカールームに待ちかまえていたのは、週末に無惨にも敗れ去った鬼神軍の戦士たちだった。
「星川よ、どうかこの苦難を救ってくれ」と、真北
「お願い、悪夢から目覚めさせて」と、江藤
「わかったよ」と、星川。
彼は再びリングに立ち上がる。そのことを鬼神軍以外の者で誰が知ろうか。
朝のバトロイスタジアムは閑散としていた。
「さあ星川よ、勝つんだ」と、中原
「よし、勝ってみせる・・・」と、星川
「鬼神軍、選手登録のお知らせを致します。中原脩、星川弘」と、場内アナウンスが鳴り響く。
「えっ?星川弘?」
「嘘だ、それは何かの手違いだ」
観客は耳を疑った。
「いやぁ、驚きました。まさか一線を退いた星川を投入しにくるとは」と、放送席にいるCS放送の実況。
星川の戦いは幕を開けた。序盤から順調に勝ち星を重ね、D-BR杯出場を決した。
迎えた第5310D-BR杯。強豪Mr.killer、チームうまかぼうの新星カオス、そしてひらお軍の焼き鳥そうめん、Mr.killerを除いては星川にとっては馴染みのない選手だった。
試合開始の笛はならされた。最初の2分は4者ともに互角な戦いを繰り広げていた。
「それっ」
星川が最初に狙ったのは、あの焼き鳥そうめんだった。星川の快速球がそうめんの腹を突いた。そうめんは倒れ、3カウントを受け、脱落。
「いいぞ星川!」
「このまま優勝するんだ!」
観客からは声援が送られる。軽快な動きで敵の攻撃をかわしてきた星川だったが、次の瞬間、悪夢が起こった。
「俺の触れたものは全て無に帰る」
と、カオスの一撃がたまたま星川の背中に直撃。星川は倒れた。
「1,2,3,」と、審判がカウントを入れ終わり、笛を鳴らす。その瞬間、客席からは落胆のどよめきが流れた。
試合後の星川、あの一撃は自分でも楽にかわせたはずだと思っていたのか、ベンチに座ってずっと悔やんでいた。
すると星川の前に真北が現れた。
「もう一度、チャレンジするか?」と、真北は訊く。
「どうしよう・・・」
「このまま負けたままで一生悔やむのか」
「それはいやだ、いやだ、絶対勝つ。絶対に栄冠を掴む。」
「じゃあがんばれ」
その日の夕方、星川は再び中原と共に立ち上がった。
「星川、そして中原、本日二度目の登場であります。果たして今度こそ栄冠を掴むことができるか」
二人は共に苦しみながら、通常戦を戦った。中原は2勝で散るも、星川は再びD-BR杯への切符を掴んだ。
そして迎えるは第5313回D-BR杯・・・
「さあ、赤コーナーにメディスン、青コーナーにチュ婆ネズミ、黄コーナーには紅美鈴、そして緑コーナーには星川弘がいます!」
「がんばれ星川!」
「我に栄冠を見せたまえ!」
そして試合開始の笛が鳴らされた。まず星川はメディスンを狙った。
「今ので倒さなきゃ駄目だよ~」と、メディスンの声
すると横からは紅美鈴が弾幕を放ったが。
「それーっ!」と、星川は楽々かわした。
再びメディスンに照準を合わせた星川は力強いボールを放った。メディスンに直撃。メディスンは倒れた。
「1,2,3、」メディスンは脱落。
そして星川が次に狙うは紅美鈴、素早さに長けた星川は確実にボールを当てていく。横からのチュ婆ネズミの攻撃も悠々とかわした。
「極彩颱風を喰らえ!!!」紅の一撃がチュ婆ネズミを負かした。
「さあこれで星川の敵はあと一人!星川弘!栄冠は近いぞ!」
星川は紅へと立て続けに攻撃をヒットさせていった。しかし、バトロイは恐ろしい、会心で逆転サヨナラ負けを喫する危険もあるのである。
「それっ!」そんな星川のとある一撃が紅の胸部に直撃。紅は倒れた。
「あっと紅美鈴は倒れた!さあ審判のカウントが入るぞ!」
審判は紅の前に膝をつき、カウントを入れ始めた。
「1,2,」
観客の誰もが固唾を呑んで見守る。そして・・・
「3,」
と、入った瞬間、笛はならされた。
「ゲームセット!星川弘!念願のMarinonet.初優勝!ついにこの時が訪れました!」
続く
最終更新:2009年06月30日 18:35