真北の大冒険 外伝 > 真北、名古屋へ行く

時は過ぎ、後世西暦2013年。デイン帝国もフェニックスも倒れ、日本は平和に満ちていた。
その日本の真ん中、とある大きい湖の畔の街に、一人の男がいた。
「運転士島田、第1711列車、乗務に参ります。」
そう、その男は島田真北。デイン戦のあと、運転士登用試験を受け、無事合格したのである。常にダイヤと行路に縛られる規律の厳しい運転士生活も、自衛隊や日本人民軍での訓練生活に比べればたいしたことはない。
真北、当直助役に点呼を済ますと、カバンを持ってホームに向かう。
事務所の扉を開けて、外に出る。快晴で列車運行に異常なし、真北はやがてホームに登る。程なくしてこれから乗務する電車が来る。電車が停車すると、乗っていた運転士に交代の点呼を行う。
乗務員室に入る真北、ブレーキが正常に動くかなどを確かめ、出発信号が青になると、扉を閉め、発車。真北はノッチを入れると電車のモーターは唸りを上げ、加速していく。

1時間後、真北は乗務を終え、控え室に戻る。するとそこには一人の女性が。
「おかえり」
すっかり成長した相本由香である。
「やぁ、待ってたのか」
「一緒に帰ろうよ」
「帰ろうか」
この日の全ての乗務を終えた二人は帰宅。真北はデイン戦争で焼け落ちたメゾン船木から浜大津に移り住んでいた。同じく戦災で家を失った相本もその近所に住んでいた。
家に帰った真北はパソコンの電源を入れ、メールをチェックする。すると一件のメールが届いていた。
「中原か」
そう、かつてデイン戦争で共に戦った怪傑播磨王こと中原脩からだった。
メールによると、中原は今度の土曜、名古屋に行くという。
「(今度の土曜か、よし、この日は俺も相本も非番か、なら一緒に行こうぞ)」
真北、自分も名古屋に行くと返信。相本にも電話で中原のことを伝えようとする。
プルルルルッ、プルルルルッ
「もしもし」島田、話しかける。
「ああもしもし、どうしたの?」相本の声がする。
「今度の土曜日って休みだよな」
「土曜日、どうしたの?」
「ああ、実はあの怪傑播磨王が名古屋に行くつもりなんだ」
「へぇ」
「で?君も一緒に誘うことにした」
「そ、そうなの?」
「行く?」
「行くよ、久しぶりに中原さんに会ってみたいし」
「おお、そうか、ならその手はずをしてやる」
「うん、ありがとう」
「じゃ、」と、真北は電話を切って、寝床に付いた。

土曜日、朝七時、大津駅。真北と相本は切符を窓口で買うと、すぐに改札を通り、ホームへと向かった。
「さーて、どこがいいかな?」真北、ホームで乗車位置を選ぶ。
「中原さんに会わなくてもいいの?」
「ああ、そうか」と、真北はうなづくと携帯で中原にどの車両に乗っているかを訊ねる。すると先頭車両だという。
「ねぇ、名古屋に着いたら何しましょ?」と、相本は訊く。
「俺だったらナナちゃん人形と名古屋城とテレビ塔を見て、味噌カツ食って、あとは名鉄乗る」
「ちょっと一番最後がねぇ」相本、やや失笑気味。
「それとも世界の山ちゃんで手羽先でも食うか」
と、話しているうちに乗るべき新快速電車が到着する、真北と相本は中原の居る先頭車両に乗り込む。
「おはようございます」2人が車内にはいると、中原が待ち受けていた。
「あっ、おはようございます」と2人も返すと、中原の向の席に座る。
中原は黒のジャケットに「播磨王」のときの播磨地区の自治体のマークが入ったアロハシャツを身にまとっていた。
「相変わらずそのアロハシャツが好きだなぁ、今何月だと思ってるんだ」時は4月、アロハシャツなど不釣り合いな季節。
「でも播磨王の元ネタそのものが東南アジアだもの」
「ははは」、3人は笑う。
そうしゃべっているうちに1時間弱で米原に到着、3人は大垣行きの普通電車に乗り継ぐ。
米原は東海道本線と北陸本線の乗換駅で交通の要衝として知られている。駅の前後には電留線や車両区がある。3人は大垣行きの電車が発車するホームに到着、するとそこには車掌が立っていた。車掌は3人に振り向く。
「あっ、あなたたちは」その車掌は3人を知っているらしい。
「えっ」と真北、ぞっとする。
「まず、左から中原さん、島田さん、相本さん、でしょ?」まさに、その通り。3人はその車掌が言った通り横に並んでいた。
「あーあ、ばれちゃったか」
「無理ないさ、すっかり音に聞こえた存在だから」
かつて真北と中原は、デイン帝国から日本を救い、相本もその後のフェニックス戦で活躍した、それだけ彼らの名は知られている。
「それにしてもかわいらしいね」と、相本は車掌に一言。ちなみにその車掌は女性。
「いいえ、そんなことございません」
と、話しているうちに発車時刻が近づいてきたので、3人は車内に入り、車掌は後方の乗務員室へと向かった。

しばらくして、電車が動き出し、始発時の放送が流れる。その放送の後ろのほうで、乗務員の紹介が入る。車掌は森という人らしい。
席に座っている3人は話をする。
「そういや、大垣ダッシュって知ってる?」と、真北は2人に訊く。
「ああ、大垣駅での乗り継ぎ競走だろ」と、中原は答える。
大垣ダッシュ、それは前世、後世とも存在する、乗り継ぎ競走のことである。多客時に見られるもので、東京方面からの夜行快速列車から大阪方面への普通列車へと乗客が一斉に乗り換え、座席を巡って我先にとダッシュする行為をいう。
「それがなかなか、席に座れないんですよ」と、相本が渋々言う。彼女はそれなりの俊足を持つものの、力で負けてしまう。
「俺は3回中2回かな」と、中原はいう。
「島田さんは?」
「俺は5戦5勝さ」
「強いなあ」
と話すこと30分、大垣に到着。3人は降りて名古屋へ向かう電車に乗り換えようとするが、思わぬトラブルに。
「あ、切符がない」中原、どうやら切符を落としたようす。
「マジかいな」真北、思わぬトラブルに驚く。
駅のコンコースで3人は立ちっぱなしになること3分
「お客様」と、3人の乗っていた電車に乗務していたあの森という車掌が走ってきた。彼女が持ってきたのは、中原の落とした乗車券だった。
「ああ、これはどうも、ありがとうございます。」と、中原はお礼を言う。
「親切でよかったね」と相本
「あーあ、次の電車行っちゃった」
「またその次乗りましょう」
「ところで、名古屋おすすめの『隠れた名物』ってございますか」と、真北は森に訊く。
「『名物』というか、『名人』になりますが、名鉄に2人ほどいます。」と、森は答える。
「わかった、1人は星川弘のことやろ」と、中原は答える。星川は名古屋の誇るドッジボールのカリスマで、普段は名鉄に勤務しているがてら、ジョッキーズというドッジボールチームで活躍している。
「『名人』ってさては『名古屋の人』という意味だったりして」と相本、にやりと笑う。
「はははっ、そうかもしれんな」
「んで、もう一人は」
「もう一人は・・・私の友達で神宮前という駅に行けばわかるかもしれません。」
神宮前、それは名鉄で名古屋の3駅先の駅である。近くに熱田神宮がある。
「結構有名なんですか」
「はい、それなりに」
「ほんまかいな」中原、どうも疑わしく感じる。
「では次の乗務がありますので」
「では、さようなら」
「さようなら」と、3人と森は別れた。

10分後、名古屋方面の電車に乗る。果たして、森のいう星川ともう一人の『名人』とは何者なのか。3人はひたすら考えていた。しかし、全く思い浮かばないまま、名古屋に着こうとしていた。
「あーあー、もうでっかいツインタワーが見えてきたぞ」でっかいツインタワー、すなわち名古屋駅のセントラルタワーズのことである。
そして電車は名古屋に到着。3人は降りてまずどこへ行こうか考えていた。
「もうお昼だし、何か食べにいきましょうよ」
「でも何にしようかな?味噌カツ?それともひつまぶし?いや、味噌煮込み?」
「味噌カツでしょう」
「やっぱり味噌カツだな」
「よし、決めた。」
といって、3人は地下鉄に乗って味噌カツのお店に向かった。

味噌カツの専門店に来た3人、早速店主に注文と神宮前の『名人』のことを訊く。すると店主は答える。
「ああ、あの車掌のことか」どうやら名鉄の車掌らしい。
「えっ!?また車掌かよ」
「どういう車掌さんですかね」と、相本は詳細を訊ねる。
「女の人で、名鉄なら何でも知っているらしい。苗字は確か、昔中日にいた4番バッターと一緒だったね」
「その元中日の4番バッターって・・・・」
「さあ、忘れた」
10分後、注文した味噌カツができあがり、3人の元へと届く。
「おお、来た来た」
「うまそうな味噌カツだ」
黒い八丁味噌のたれが光ってる。3人は一斉に手を合わせ、食す。
「うみゃぁーっ」と、真北が一声あげる。
「うみゃー、これこそグルメ都市名古屋の象徴だがや」相本、名古屋人になりきる。
3人は味噌カツを味わい、20分後、店を出て神宮前駅へと向かった。

そして神宮前に到着。あの『名人』は現れるのか。
3人はひたすら車掌の乗務交代シーンを見つめる。すると5分ほどで怪しまれ、別の車掌に用件を訊かれる。
「誰を待っているのですか」
「名鉄マニアで、苗字が元中日の4番打者と同じの女性車掌さんを待っています」と相本は答える。
「ああ、あの人ね、あの人なら今、満寺まで行ってはるよ」と、車掌はいう。
満寺、それは前世には存在しなかった地名、後世では知多半島の南端に位置する小さな街である。町章は卍をかたどっていたが、ナチスの象徴である鉤十字と似ているため、中部国際空港の開港と共に改められた。平盛11年には地元の女子高生が北朝鮮に拉致されるという事件もあった。
「あと何分ほどで戻ってこられるのでしょうか」
「そうやね・・・・1時間ぐらいですかね、これ終わったらもうお帰りですが」
「1時間か・・・・」
「そや、さてはあなたたち、星川君の知り合いでしょう」
「はい、そうですが」
「星川君が今内海から戻ってきたわ、呼んでくる」といって、その車掌は3人から去っていった。
「星川とはえらい久しぶりや」かつて、アシュナード2世率いるフェニックスに対し、星川と共に戦った3人。
「戦勝パーティ以来会ったことないね」
2分後、星川が出て来た。
「おっ、久しぶり」と、星川に3人があいさつ。
「また一回り大きくなったなあ」と、真北は言う。
「人民軍にいたときと変わらないぜ、名鉄の制服を着てると」と中原もいう。
「てか名鉄の制服そのものがアーミーみたいだよ」
3人と星川はとりあえず語り合う。
「ところで、次の乗務は大丈夫なの?」と、相本は訊く。
「ああ、夕方までないさ」と、星川は答える。現在時刻13時49分
「もうそろそろやね」と中原、腕時計で時刻を見る。そろそろ『名人』の到着が近い。
「で、誰を待ってるの?」と、星川は訊く。
「気になる車掌さんがいてね」と、相本は答える。
すると、知多方面から電車が来る。後方の乗務員室に女性の姿が見える。電車は3人のいるホームの隣のホームに停車する。
「あれだ、多分あれだ」と真北、その姿に向かって指を差しながらいう。
「ひょっとして・・・ちょっと待ってて」と星川、3人を残し隣のホームへと向かう。

5分後、星川が3人のもとへ戻ってくる。するともう一人も一緒に。
「ほらほら連れてきたよ」と星川、隣にいるのはあの『名人』である。
「どうも、初めまして」と真北、『名人』に挨拶する。中原、相本も続く。
「こちらこそ」と、『名人』も返す。クールで無愛想のように見える。
「紹介するよ。左のターバン男が『怪傑播磨王』こと元日本人民軍の中原さん、真ん中の女性が同じく元日本人民軍で京阪の運転士の相本さん、そして右が島田さん」星川が『名人』に3人を紹介する。
「えっ、あの中原さんに相本さんに島田さん?嘘っ?」その『名人』はあの救国戦士3人に今会っていることが事実だと知り驚きの様子。
「ほほう、確かに元中日の4番だ」真北、『名人』の名札を見つめ、つぶやく。
「はい、私、江藤小百合と申します」
「確かに立派な車掌さんらしいですね」と相本はいう。
「ねぇ江藤さん、例のモノ見せてやってもいい?」と、星川は問う。
「いいよ」と江藤は答えると、星川はポケットの中から何かを取りだした。小さい電車のミニチュアである。
「おお、これはパノラマカーじゃないか」真北、その電車のミニチュアを見て愕然とする。
パノラマカー、前世でも人気を博した名鉄の名車。後世でも照和36年に登場し、名鉄の路線を駆け抜けたが平盛20年で定期運用から離脱した。
「さて誰が作ったかな?」星川は問う。
「トミックス」と、真北は答える。トミックスというのは鉄道模型のメーカーである。
「ブッブー、正解は、僕の隣に居る人でーす」
「嘘!?これあなたが作ったんですか」
「はい」と、江藤は誇らしげに答える。
「150分の1スケールでこんなに細かいとは」
「同僚からも白い目で見られない?」
「そんなことないですよ」
その後も真北一行と江藤の話が続く。

「今日はもう乗務終了か・・・」
「それにしても惜しいことをしたね」
「見たかったなぁ、あなたの乗務を」3人は残念な顔。
「そしたら一緒に名古屋観光でもしましょうよ」と、江藤は提案する。
「おお、それはよろし」3人は大賛成の様子。
30分後、江藤は正式に勤務を終え、神宮前駅前の踏切で列車撮影をしていた3人のもとへやってきた。
「さあ、行きましょう」
江藤が合流し、4人となった真北一行は星川と別れ、名古屋駅へと向うことにした。
「それではみなさん、さようなら〜」と、星川は4人に手を振りながら別れの言葉。
「星川君、元気でね」と、江藤も返す。
ホームで列車を待つ4人、すると名古屋へ向かうステンレスの電車が来る。
「この電車、やたらと不評らしいぜ」
と真北が語るこの電車は平盛20年に登場した新型通勤車、のはずだが、実は元特急車の廃車部品を流用している。
「しかも、もとは特急車両だったものなぁ」
もとは回転リクライニングシート、だがこれはオールロングシート。4人はその電車に乗り、ロングシートに座る。電車は程なくして発車。
「こんなものに乗務にあたって、がっかりしませんか」と、真北は江藤に訊く。
「いいえ、なかなか好きですよ。ウルトラマンみたいで」
名鉄のコーポレートカラーである赤のラインとステンレスの銀色、この塗装からウルトラマンを思い浮かべる者も少なくはないだろう。
「ウルトラマンなだけに3分しか走れなかったりして」と、真北がいうと、4人は笑う。
「もう金山か」
金山駅、もとは中央本線にのみ存在した駅だが、東海道本線や名鉄にも駅が設けられ、名古屋に次ぐ名古屋市2番目の大規模駅である。
「でかい」
「さーて、次は山王ですな」
山王駅、もとはナゴヤ球場前、平盛8年まで中日ドラゴンズの本拠地として使用されていた。球場に繋がっていた「ホームランゲート」が残っている。
「ところで野球はどこの球団のファンなんですか」と中原は訊く。
「中日ですね」と江藤は答える。
「やっぱりな、だって苗字が」
程なくして山王を通過。そして名古屋へ地下に潜る。
「もうすぐしたら、あの駅だ」
名鉄名古屋駅、3面2線、片方に1時間に20本もの電車が来る超過密ダイヤを誇る駅。
「これ一般人が見たら発狂するかもしれんな、あんだけ高頻度に電車が来て、しかも大都市の地下鉄とは違っていろいろな方向に行くんだから」
「いいえ、慣れていないだけですよ」
そして電車は名古屋に到着。4人は降りる。4人はコンコースに行く。そして真北はプラズマディスプレイの発車標を眺める。
「岐阜、犬山はまだわかる。でも佐屋ってどこですか?」と、真北が訊くと、江藤はポケットから路線図を取り出し、佐屋駅の位置を指し示す。
「ここですね」佐屋、それは名古屋から岐阜方面に向かい、須ヶ口というところから津島線という支線に乗り換え、そこから津島を通ってさらに尾西線を南下して数駅通れば佐屋に着く。
「わかりづらくないですか」
「確かに、よっぽどの地元民じゃないとねぇ、駅員時代にもお客さんに『佐屋ってどこですか』としばしば訊かれることもありましたし」
「新鵜沼や新可児もわかりにくい。一体どっちなんだ」
新鵜沼、犬山より2駅先、新可児、犬山より新鵜沼方面とは別の支線の先。

さて、4人はついに改札を通り、地下鉄に乗る。そして中心地へと向かった。そこでは名古屋城に入り、テレビ塔に登り、三越や丸栄でお買い物を楽しんだりした。
17時、栄の「希望の泉」の前に来た4人、時刻は17時
「さて、次はどこへ行こうかな」
「私の出身地、西春なんてどうですか」
西春、それは江藤の出生地。
「西春って、さては星川の住んでいる上小田井ってとこの隣の駅ではないか」
「自分の生まれ育った場所で見る名鉄の赤い電車が一番好きです」
「そうか、そうですか」
4人はまた電車に乗って、西春へと向かった。

そして4人は西春に着いた。
「ここがあなたの故郷ですか」
「はい」
4人は西春駅の改札を抜けて、線路沿いを歩く。
「隣の駅同士ってことは、休みの日もしばしば星川と会ってるのかな」
「そうですね、」
「仲が良いんだね」
ガタンガタンガタンガタン・・・ピーポーパーピーポーパーピーポーピーパー
すると特急電車がミュージックホーンを鳴らしながら通り過ぎていった。
「おっ、ミュージックホーンだ」
「珍しいね」
このミュージックホーンは「どけよどけよころすぞ」というフレーズで歌われることから「ドケヨホーン」と呼ばれ、地元民や鉄道ファンの間で有名な存在である。
「昔は名古屋でよく聞こえたけど、今はクレームがあって滅多にならなくなったのよ。」江藤はかなしげに語る。
「俺の中では『名古屋はええよ!やっとかめ』や『燃えよドラゴンズ!』と並ぶ名古屋三大音楽なのに」と、真北は評する。
「さて、最後はみんなで食事にしましょうか」と、真北は提案する。
「あ、そうだ、私の家族も一緒にしていいですか」と、江藤は訊く。
「それはどうも、是非お会いしてみたいです」
江藤は、自宅の方に連絡を入れる。そして4人の行く先は、とある回転寿司チェーンだった。

そこで待ち受けていたのは、江藤の両親と弟であった。
「紹介するよ、私の父と母、それに弟」
「どうも、はじめまして」と、3人は挨拶する。
「こちらこそ、お会いできて光栄です。」と、江藤の父は返す。
「まさかあなたがたのような英雄が小百合と知り合うなんて思ってもいませんでした」
「いやぁ、私たちは小百合さんと同じ鉄道員ですから」
「あ、島田さんって、さては私の兄の部下だった気がするんですよ」
「えっ、どういうことですか」
「実はね、私の伯父は京阪津の助役なの」
そう、江藤小百合の父は、真北のいる京阪津電気鉄道・大津列車区の助役である江藤晋一の弟だったのである。
「ほほう、そうでしたか」
こうして、話すこと1時間、時刻は20時を回った。
「もうそろそろ、帰りの新幹線の時間では」
「ああ、そうですか」
「もうお別れですね」
「いや、良い友達になれたよ」
「また会いましょうよ」
「星川からちょくちょく近況訊いてやるからな」
と、全員で互いに握手を交わし合う。
「では、みなさん、さようなら」
「さようなら」
と、真北、相本、中原は江藤一家と別れ、名古屋駅に戻り、帰りの新幹線に乗るのだった。

尾張(違
最終更新:2009年02月24日 18:02
ツールボックス

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