真北の大冒険 > 第34話 がんばれ!正義の国連軍

平盛18年1月20日、日本人民軍がついに結成された。
そしてその翌日から、早速訓練が始まった。
「では、本日より日本人民軍第1期兵の訓練を開始する。」
100人いる上官はみな元自衛官である。言わばこの組織は半ば自衛隊の残党のようなものである。しばらく話が続いた後
「4000メートル走り込み!」
と、上官は言うと、1000人の新兵は5組に分かれ、それぞれ別々にスタートしていく。
日本人民軍は、ガロイン陸軍の基地を一部借りている。元々はガロイン陸軍最大の基地だったが、一部の編隊はガルトナーから他の基地へと移転してしまい、余剰となってしまい、ガロイン陸軍総司令部のご厚意により、借りてもらうことができたのである。
この基地の敷地を利用して4000メートル走るというのである。ユーラシア北部の極寒のせいか、最初の組が2000メートル走り終えると、しだいにペースを落とす者が出て来た。そういう者は上官により一喝、もしくは精神注入棒で臀部を殴られる。そのような兵士が出てくる中、島田真北は平然と走り続けた。彼にとっては朝飯前のことだ。
やがて全員が走り終わると、次は射撃訓練である。体を伏せて普通の的を撃ち抜くごく普通の射撃訓練だが、素人はなかなか命中させられない。特に見当違いのところに弾を飛ばした者はこれまた精神注入棒で叩かれた。
これが終わると次は綱渡りである。最初は手すり付きの綱を立って渡る。しかし寄せ集めの素人はなかなか前進できない。10秒も立ち止まれば上官に威嚇射撃を喰らう。しかし真北は手すりに掴まることなく駆け足で進む。他に彼と同じようなことをした者が3人ほどいた。
その後も、サンドバッグでパンチ力を鍛え、極寒の水中を泳ぎ、ひたすら体力を鍛えた。

翌日以降も、同じような訓練が続いた。寄せ集めの素人たちは徐々に訓練になれていくと、訓練はさらにレベルアップしていった。

それから時は過ぎて2月1日の夜、兵営の真北のいる部屋で真北を含めて5人の兵士達が会話をしていた。
「なあ、デインを倒したら何をする」と、1人の兵士は訊く。
「俺だったら恋人と再開し、結婚してやる」と、もう1人の兵士は答える。
「お前、それ言ったら死ぬぞ」と、別の1人が言うと、笑い声が轟く。
「ところで島田は」
「俺は、日本列島に日の丸が翻ればそれでいいさ、」と、真北は答えた。
すると部屋のスピーカーのスイッチが入り。
「重大事項、すぐに全員講堂に来るように」
と言うと、5人はすぐに服装を整え、講堂へと走っていった。

兵、上官、全員が講堂へと集まり、整列した。
壇上に天知が登ると、一同は敬礼。すると天知は壇上のマイクで話す。
「これより、重大事項を発表する。ガロイン時間本日21時、国際連合はデイン軍への武力制裁を承諾した。これにより、ロシア、中国をはじめとする20カ国が新たにデイン帝国に参戦を表明。アメリカも本土からデイン領へと派兵することを決定した。しかし、これら国連軍でデイン帝国軍に太刀打ちできるかどうかはわからない。我が軍は国連軍の戦況に着目しつつ、早期に訓練を完了させ、加勢し、何としても味方を優勢に持っていかなければならない。明日からはより一層心して訓練に取りかかるように。これにて重大事項発表を終わる。」
「敬礼!」と、上官が指図すると、1000人の兵は一斉に額の前に出し、講堂を去った。

2月4日、ロシア陸軍と中国陸軍がデインの領土に入った。
極東の白い平原にロシアと中国の戦車と歩兵を乗せた装甲車が走っていく。ほどなくしてデイン軍が迎え撃つ。銃弾や砲弾が飛び交う、戦争としては当たり前の光景がひたすら続いていく。火器の熱が平原の雪を溶かしていく。国連軍の機動部隊とデイン軍の野戦砲部隊が激しく火花を散らしている。
やがてロシア側から航空戦力が現れた。ロシア軍の攻撃機はデインの野戦砲部隊に次々と機銃掃射。負けじとデイン軍もSAM(地対空ミサイル)で攻撃機を撃ち落としていく。
もはや寝られない、それどころか今すぐそこから立ち去りたいくらいの騒音、砲火、そして兵士の屍、心臓の弱い者なら10分その場に居ればPTSDになること間違いなしの残酷な風景。
その後デイン軍はじわりじわりと後退。しかし、日本、韓国を追われたアメリカ軍がデイン領とその周辺に到達するにはあと1ヶ月ほどかかる。

そのころの日本人民軍、兵士全員が真剣に過酷な訓練をこなしていった。思いはただ一つ、祖国解放の4文字。

その日の訓練を終えた真北たち、食堂での会話。
「ロシアと中国がなんとかデインを少しずつ追い詰めていってるぞ」
「おお、これはよい」
「東からアメリカが来れば一気にガタつくぜ」

3月、アメリカ軍がついに日本近海に到達。いよいよ九州、沖縄に上陸する。
日本人民軍の兵士たちは、ついに一流の兵士になりつつあった。

がんばれ、国連軍、そして日本人民軍
続く
最終更新:2009年01月07日 18:17
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