真北の大冒険 > 第50話 起て!第3期日本人民軍

平盛23年2月1日、第3期日本人民軍の入隊試験が全国6カ所で開かれた。必要兵力の1000人のうち、第1期、第2期からの皆勤者100人は指導兵となり残りの900人が募集枠となる。志願者は約3200人、倍率は3.6倍。また、今回から女性の入隊も認可されたが、志願者の殆どは男性だった。第2期は必要兵力のほとんどを第1期の兵でまかなったので入隊試験は実施されなかったが、第3期では第1期と同じように行われることになった。
第3期日本人民軍は3つの兵科に分かれている。前回でも述べた通り、突撃隊、後方支援隊、電信隊の3つである。
そんな中、一人の女性が大津市内の会場に受けに来た。
「ここでしたっけ」
相本由香である。
「おっ、来たか」
と、真北も現れた。彼は突撃隊の隊長に任命されたのである。
「島田さん」
「やはり電信隊か」
「安全ですから」
「突撃隊は厳しいぞ」
「うん」
と、相本は受付で手続きを済まし、控え室へと向かった。

その控え室、やはり男だらけで相本には肩身が狭く感じられた。
「男しかいないなぁ、やはり運転士の世界もこんなのかな」
「やぁ」と、もう一人の志願者かと思われる女性が相本に話しかけてきた。
「ああ、高城さん」
高城麗奈、相本の元同級生、彼女は後方支援隊に志願していた。
「久しぶり」
「元気だった?」
「元気だったよ」
「どこの兵科を志願したの」
「電信隊」
「ああ、私は後方支援隊なの」
「別になるんだ」
「でも、それだから心配なのよ」
「そりゃそうね」
それから試験が行われ、2週間後、相本と高城は無事、合格通知を手にした。

その翌日の京阪津電気鉄道・大津列車区
「おはようございます」と、相本が挨拶する。
「日本人民軍入隊おめでとう」と、助役が言葉を返す。
「当然ですよ、何しろ半分俺が鍛えたんですもの」と、真北が誇らしげに言う。
「そうか、そういうあんたも上官だもの」
「でもさぁ、あんだけ朗らかで優しい相本がしばらくステーションスタッフの業務から外れるとなると寂しくなるわ」と、別の助役も言う。相本の働きぶりは高評価だったのである。
「すみませんね」

一方、名古屋会場では星川弘が合格、そして札幌会場ではあの青年剣士団の一人が合格したというのである。青年剣士団の一人、まさかあの人のことなのか。
名鉄神宮前駅では
「第3期日本人民軍に入隊することになりました」と、星川は言った。
「おめでとう」と、江藤が一言。
「江藤さん、俺がいない間頼んだよ」
「がんばりますよ」
「やはり寂しくなるものだなぁ」と、駅助役は言う。

そして、1000人それぞれが思いを馳せ、やってきた第3期日本人民軍の基地。そこは琵琶湖の沖合の島に建設中のスポーツセンターであった。既に一部の建物が完成していて、兵舎のプレハブを建設し、基地としたのである。
いよいよ結成式が始まる。1000人の将兵が整列して、天知総司令官の訓辞を受ける。天知が壇上に上がると将兵全員が敬礼。
「我が国に三度目の苦難が訪れようとしている。世界政府はフェニックスと名を改められ、再び日本を攻撃しようとしている。諸君らは、そのフェニックスを率いるアシュナード2世の野望を打ち砕かねばならない。そのために、これからの3ヶ月は心して訓練に望まなければなならない。」
と、訓辞が続き、30分後、結成式は終わった。

兵舎に向かう兵達、明日から訓練が始まる。星川、相本、高城はそれぞれの部屋へと移動する。すると星川と同室となったのはあの男だった。
「竹取瀬名です、よろしくお願いします。」あの、青年剣士団の竹取瀬名であった。
「星川弘です、よろしくお願いします。」
と、二人は握手を交わし、廊下を歩き、外に出る。
「星川さん、噂に聞きましたよ、あなたは島田さんと知り合いらしいですね」
「そうですよ、あなたこそ島田さんをご存じでしたか」
「はい、6年前、大津まで遠征したときに一度会いましたよ」
すると真北が2人のもとへやってきた。
「おお、星川、それに竹取ではないか」
「島田さん、お久しぶりです」と竹取は一礼する。
「久しぶりだな」
夕方の空、この空が再び明るくなるころ、試練の始まりである。果たして、今後の第3期日本人民軍の動向はいかに。

続く
最終更新:2009年03月18日 17:44
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