真北の大冒険 > 第54話 上陸、そして交戦(エンゲージ)

貨客戦艦ドレッドノートの停泊する横須賀へと移動した日本人民軍。3日ほど習熟訓練を行い、出航の時も刻々と迫っていた。
ある日の夜、士官室には真北と中原脩がいた。
「いよいよ内地から離れるのか」と、真北
「ああ、いよいよだな」と、中原脩
「まずあいつらの本部に着いたら何する?」
「馬があったら盗む。」
「馬か、俺だったら戦車が欲しい。でもあんな島じゃいそうにないか」
一方、甲板では星川、竹取、相本の3人が話していた。星川、胸ポケットから手帳を取り出しては開いた、そこには神宮前の同僚の姿があった。真ん中に星川がいて、その左には江藤、そして右には助役の男がいた。
「あっ、彼女いるでしょ?」と、相本
「いや、それは違うんだよ」と、星川はその手帳を閉じ、しまう。
「戦時中に恋人のことを話すと戦死するんだよ」
「だから禁句扱いさ」
「ところで、竹取さんは帰ったら北海道で何するんですか」と、相本は訊く。
「俺も鉄道に就こうと思ってるさ。」
「てか鉄道員のバーゲンセールだな、我が日本人民軍は」と、星川。日本人民軍は培った規律の良さを生かして戦後は鉄道業に就かせることに力を入れている。
「規律がなければ電車は動かないってわけですか」
「そうよ、でも他の業種もあるでしょ」
「ああ、中原さんの弟もガソスタの従業員だし、もちろん元々フリーターやニートもいる。」

それから5月15日の朝、日本人民軍全員はドレッドノートの甲板に集合。ついに出航のときである。
「これより、第3期日本人民軍、作戦行動を開始する。目的はフェニックス本拠の陥落、そしてフェニックスに拉致された少年たちの救出である。」
5分後、天知による訓辞は終わり、船は離岸。横須賀の港から離れる。地元の自衛軍や米軍が見送りに岸までやってきて、日本人民軍に手を振る。免許の関係で、ドレッドノートを操舵しているのは海上自衛軍の軍人である。航空自衛軍も出来る限り援護するという。

敵本部沿海に到着するのは2日後の17日夕方。ドレッドノートは太平洋を南下していく。
司令室。そこには電信隊が待機していた。その傍らで、相本と一関がいた。どうやら一関は通信機の練習中だった。相本に指示を受けながら、黙々と通信機を扱う一関。
「ほら、そこ違う。」と、相本の口から厳しい声が出る。
「え?」と、一関。まだ機械音痴が治ってない。
「遭難信号の出し方もわからないの?」
「すみません」
一方、突撃隊は、おのおのが装備品の手入れを行っていた。
「頼むぜ、俺の89式小銃」と、真北。第3期日本人民軍突撃隊の標準装備は89式小銃と手榴弾、そして軍刀と手裏剣である。

そして2日後の16時、波が押し寄せる太平洋上に、ドレッドノートは浮かんでいた。
「突撃隊、これより揚陸作戦を開始する。準備につけ」と、艦内に放送が入ると、突撃隊は黙々とドックへと走り、上陸用の漁船に乗り込んだ。漁船は25隻あり、1隻に20人乗り込む。
先頭の漁船の舵を取るのは真北。実は突撃隊で上陸用の漁船の操舵を担当する者は、事前に三崎の漁港で漁師に操船を教えてもらったのである。わずかな時間の操船訓練だったが、果たしてそれが生きるのか。
突撃隊全員が漁船に乗り込んで8分、ドレッドノートのハッチが開く。そして海にレールが敷かれると、真北は笛を鳴らし、漁船を前方へと動かす。台車で固定された漁船はレールをつたって海に投げ出され、浮かぶ。
「それっ!エンジン回せ!」
真北はスイッチを入れ、漁船のエンジンを始動させる。エンジン音が鳴り響き、漁船はフェニックスの本部のある島へと全速で移動してゆく。真北の乗る船を先頭に、あとの24隻も続いていく。
甲板で見守るのは天知駿一。
「うまくやってくれよ」と、天知は願立てる。

一方そのころフェニックスでは
「総統、謎の大型船が我が本部島の近くで先ほどからずっとたむろしていますが」
「大型船か、どうせ貨物船だろ、通してやれ」
「わかりました」
フェニックスはまだドレッドノートと漁船群の存在に気づいていない。

そしてフェニックスの本部島沿岸、時刻は18時、太陽は西に沈もうとしている。そこには真北たちの漁船群がいた。真北は停泊させられそうな波止場を探している。
「真北!見つけたぞ!」と、真北の無線に中原脩の声が
「おお!ケーソンがないか確かめてくれ!」と、真北は返事をする
「了解」
中原の船は本部島の波止場に微速で接近、しばらくして接近を止めた。
「ケーソンなし、今がチャンスだ」と、中原脩
「よし、全員波止場に移動し、上陸せよ!」と、真北は無線で突撃隊全員に告げると、25隻全部が本部島の波止場へと動いた。

そのころの本部島。
「なんか妙な船団がこっちに向かってるぞ」と、警備に当たっていたフェニックスの隊員が双眼鏡で真北たちの船団を見つける。
「一体どうした」と、隣にいた他の隊員
「まさかあれで本部を攻め落とそうとしてるんだ!」
「まぁ、これは大変!すぐに報告するんだ!」

波止場に着いた真北一行、そしていよいよ上陸。
「よし、いよいよアシュナード2世の懺悔が見れる日が近いぞ」
と、真北がいうと、いきなり前方からフェニックスの戦闘員が現れた。
「何のようだ」と、フェニックスの戦闘員
「とっととアシュナード2世を出すんだな」
「黙れ!やっちまえ!」と、戦闘員のリーダーが言うと、一斉に銃撃を開始。
バババババババ!
「それっ!」真北は銃弾をしゃがんでかわし、そのまま戦闘員を回し蹴り。
バコッ!
「ぐわぁっ!」
20人ほどいた戦闘員を実質10人の日本人民軍将兵が倒した。
「さて、進むぞ」と、真北
「敵の気配がする。」と、星川
「どこにだ」
「100メートル前方に」
「星川よ、手榴弾で脅かしてやれ」
と、真北が指図すると、星川は手榴弾を取りだし、敵の気配がする方向へと投擲。
「とっとと出てこーい!」
バコォーン!!
100メートル先に放り込まれた手榴弾は炸裂。すると敵の声が漏れた。
「ほら見ろ、よし」
すると真北を先頭に全隊が移動、果たして、戦いの行方は

続く
最終更新:2009年04月03日 15:59
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