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第4号について - (2012/09/19 (水) 23:43:29) のソース

<p>新しいメンバー候補</p>
<p>藤原真也さん(紹介者小林)</p>
<p>青山学院卒25才</p>
<p>以下作品①</p>
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<p>タイトル・横たわる</p>
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<p>その朝は木曜日であった。</p>
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<span> 風もないのに、このごろの夏は湿気が消されていて、ひんやりした心で、少年は犬とあるいていた。</span></p>
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<span> 少年は昔のことを、あれこれと思い出していた。何年前から自分はどんどん弱気になってしまったのか。自分は生まれて、どこかで何かをしくじった。そのせいで、この世のみんなと何かが異なってしまった。ちょうどいまは、そんな、自分が宇宙人であるかのような感傷でいっぱいだった。人はおろか、飛んでくる虫たちや、自然までもが、自分をいじめようとしている気がしていた。</span></p>
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<span> 木曜日の朝、ひんやりした心に、風がふれていった。やさしいはずの穏やかな少年は、とうとう自分が屈折していることを知った。</span></p>
<p id="yui_3_2_0_1_13479630888481766" class="yiv2070855619MsoNormal"><span id="yui_3_2_0_1_13479630888481765"> 誰かの庭の緑をながめ、「きっとここは別の世界で……」と空想を高くとばせてぽつぽつあるいていると、とつぜん少年の目に、おそろしいものが飛びこんできた。少年は犬を制して距離をとり、それと自分の間に道端の植え込みを置いて、それを避けたのだった。</span></p>
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<span> 少年の目が見たものは、こちらに尻をむけ、こちらに顔を向けず横たわっている、ねずみの死骸だった。</span></p>
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<span> 肉づきのいいねずみだと少年は思った。動物の死に同情すると、祟られるときいたことがあったので、少年の心はねずみを無視しようとした。たしかに彼は振返ることはしなかったが、それでも、横たわるねずみに惹き付けられている自分がいた。ねずみはおおきな尻をおちらに向けて、腿と腰と、背は山あり谷ありの曲線を描いていたが、地につけられた身体は、ただしんとしていた。ねずみのくせに、ベッドに寝るような優雅があった。少年は、死をもってしか、このように美しく横たわることはないのだと感じて、魂がふるえた。</span></p>
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<span> 少年は家に戻ると、彼はかすかな汗と夏の犬臭さを消したくて、着替えを取りにいった。そこには、まだ夏の朝に眠っている少年の父親がいた。</span></p>
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<span> 父は布団を抱くようにして眠っていて、手足のほとんどが遊んでいるようなかたちで投げ出されていた。子どものような寝相で、少年は父をみて笑った。父もねずみも、静かな絵画のモデルのようだった。少年は、もし死ぬのなら横向きに、そして木曜日に死んだらいいと思った。</span></p>
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