04-012 :堕ちる夏 ◆p4rXhmWpH2:2011/08/23(火) 20:15:57.88 ID:9NDcmvWN
堕ちる夏

 暑い夏は、思考しないほうがいい。まともに働かない頭に仕事を
させるほうがおかしい。
 体調をやっと維持できる中、難しいことは考えられない。
 だから、ただの生き物になる。
 ただ、悦楽の行為にふける。キモチイイことの虜になればいい。
 もう、欲望にからめとられたほうがいいに決まってる。

 じゅぼっ、じゅぼっ、ぐちゅぅ……
 午前なのにすでに蒸し暑い。開け放っている窓が多いのに、風が
通らない。
 淀んだ空気にまとわりつかれて、あたしは少年のペニスを頬張っていた。
 固い。熱い。瑞々しい。
 青い匂い。男だけれど、どこか熟さない植物の香り。
「はあ、あ……ああ! ……すごいです。水野さん!」
 取り繕うこともできずに、素直に欲望の虜になっている少年。
 そうよ。それでいいの。気持ちよくなりなさいな。
 
 不条理、姦淫、不道徳。
 そんな言葉がくるくる回り、そのただ中でも口の動きは止められない。
 牡が欲しい。体内にとりこんでしまいたい。
 興奮と、嗜虐と、本能。
 そこにカラダを委ねてしまえばいいの。考えちゃいけないの。
  
 含んだつるつるの先を最高に速い動きで舐める。上目づかいで少年にも
見せつける。
「うわ……ぐ……それじゃ……出ちゃう」
「だぁめ。だらしないこと言わないの」
 ラバー張りのダイニングチェアーに下半身裸で座る俊(しゅん)は情け
ない顔で、あたしを見下す。弱音を吐く割に、タンクトップのあたしの胸
元の谷間から目を外さない。
 舌を触れさせながら、竿の横を降りて行き、すっかりたくまった袋へ。
 そのまま、全体を軽く舐めるとキュッと縮まり、うごめく。
 そこからおもむろに、ねちっこく、中のボールを舌で弄ぶ。
「すげ……キモチイイ……です……」

04-013 :堕ちる夏 ◆p4rXhmWpH2:2011/08/23(火) 20:17:14.12 ID:9NDcmvWN
◆  ◆  ◆

その訳は? と他人に訊かれたとすれば、力なく歩く近所の俊が可哀そう
だったから。

 ここは山間の小さな町。
 俊はこの近所の高校の野球部の名手……だった。
 先週の県予選の決勝で、彼は落胆の対象になった。
 打ち取ったはずのゴロで俊がまさかのトンネル。外野に転がるボールが
戻る前に逆転サヨナラのランナーが駆け抜けたのだ。
 初めての甲子園出場かと地元の盛り上がりはすごかった。まだ決まっても
いないのに応援の申し込み・寄付の回覧板、くす玉、商店街の飾り付け……
 この地に来て1年足らずの私も、毎朝あいさつしてくる俊を清々しく、快く
思っていたところだった。
 俊は家に閉じこもっていたらしい。毎朝明るく礼儀正しく挨拶する俊を見
かけなくなり、気がかりになっていたところだった。

「おはよ、宮島君」
 何もなかったような口調。さりげなさを全面に。
 家の前を掃き清めていた私は、たまたま家の前を通る俊に声をかけた。
 スポーツ刈りの顔は見事に焼けているが表情はそぐわないくらいに暗い。
濃い緑色のTシャツから伸びるこれ以上日焼けできない腕、茶色のカーゴ
パンツの逞しいふくらはぎは、ユニフォームで隠れるのだろう対照的に白い。
「……おはよっす」
 礼儀正しさは抜けないけれど、今までの生気は抜けてしまっている。
 切れ長の目。あたしに声をかけられ反射的に伏せた目。色のない瞳。
 元気ないのね。無理もないわ。地元の期待をどん底に落としたのだから。
 だから、思い出させてあげる。
「今日、部活行かないの? 休み?」
 何も知らないかのような微笑も添えて。言葉の内容とのギャップに交互
に動揺する少年。
 それがとてもたまらない。
「いや、部活、引退しましたから……」
「引退って……え?!……あ!……あ、あたし、しばらく県外に出てて」
 知らないふりで、うろたえるふり。
 ーー楽しすぎ。

04-014 :堕ちる夏 ◆p4rXhmWpH2:2011/08/23(火) 20:18:03.66 ID:9NDcmvWN
 すまなそうな顔と、明るいお姉さん顔を浮かべて、俊の手をとった。
 日焼けの手、と紫外線に気をつけ続けた手。それが重なると、俊はあたしを熱く
見た。それから可笑しいくらい照れて目をそらした。
 俊が言うには、手をとった時の笑顔がとても良かったって。
 あら、ごめんね、つい出ちゃった。
 あたしの場合、憐みの笑顔ほど綺麗に出るものはないの。

 その瞬間、体の奥で、疼くものを感じる。
 
 ーーこの子を、今、自分の良いようにしたい

 どろどろと、熱い何かに、頭の中が占領されていく。
 手のひらに乗せて、人差指ではじくほどにたやすく操りたい。
 子犬のようにすがりつく、その目を突いてから、抱きしめたい。

 俊のカラダを見つめる。
 胸は広いのにウエストはシュッと引き締まって。
 いいお尻してる。ぴんと上がっていて、いかにもバネがありそう。

 ーーこの子、欲しい

「ね、お詫びに上がって行ってよ。暑いから麦茶でもどう?」
 少年の家まで歩いて4,5分なのに、家に誘い込む。まんざらでもない
俊は、おめおめとついてくる。 
 季節は夏で、あたしの服装は白のタンクトップと太ももがあらわなデニム
パンツだったから。
 ことに上半身は露骨なほどに下着の線も見えていたから。
 主人が出張して1か月になっていたから。
 オトコに飢えていたから。
 理性はとろけていたから。

 本当の訳は、この子と滅茶苦茶にセックスしたかっただけ。

04-015 :堕ちる夏 ◆p4rXhmWpH2:2011/08/23(火) 20:19:24.23 ID:9NDcmvWN
◆  ◆  ◆
 
 口を離す。ペニスの先とあたしの舌に伸びるきらきらした糸は、大部分
が俊の欲情の証し。
 キッチンにかけてあるタオルで、俊の手を後ろで縛った。抵抗すること
もなく、ただ息を荒くしている少年のペット化の第1段階。
「……何、するんですか」
 半ば夢うつつのような顔をあげた。あたしは、口の端を手の甲でぬぐい、
聖母のような笑みで答える。
「プレイよ。プ・レ・イ。興奮するんだから」
 あたしがね。なすすべもなく、痴態をさらす少年を、今、ここで見たいの。
 指で汗みずくになったTシャツをお腹からはがすようにして、その裾を
めくって俊のスポーツ刈りにかぶせた。
「うわっ……なに……」
 うろたえるのを無視して、鍛えこんで深く切れ込んだ筋肉を見る。
「……すごい。鍛えてるのね……」
 盛り上がった胸。脂肪ではなく、筋肉に乗って尖っているその先端。
 舌で弾いた。
「わっ!……あっ……」
 男のくせに、舌のひと撫でひと撫でに律義に跳ねる。
 じゃあ、と塩辛いそこを、含んだり、吸ったり、あま噛みしたり。
「うぉ……あっ……やめて、よ……」
 逃げようとすれば、元気な高校生なら逃げられるのに、乳首と下半身を
ギンギンにして喘いでいる。

 ちょっと前まで悲劇のヒーローぶっていたくせに。
 蒼い顔して、近所も歩けなかったくせに。
 バカみたいにさかって、悦に入って声あげてる。
 なんだか、ちょっとムカついた。
 だから、あたしは下着だけの姿になった。
  

04-016 :堕ちる夏 ◆p4rXhmWpH2:2011/08/23(火) 20:20:23.26 ID:9NDcmvWN
「ね、俊君、あたし、今、服脱いで下着だけなのぉ」
 耳に唇を寄せて囁く。
「この下着を、あなたの口で取ってよ。そのままの格好で」
「え……?」
 興奮といきなりの提案で、何を言われたか判らなかったらしい。だから
耳に口を押しつけて、その襞をさするように、
「口で下着をとってごらんなさいよ。まずブラのホックを外すの」
 と、フロントホックのブラジャーの谷間に、俊の口を埋めさせた。見えない
中でEカップの胸に押しつけられて、それでも口が動いてホックを探っている。
 必死になってる。ふふ……
 すでに口の部分のTシャツは俊の唾液で、色が変わっている。うまくいかな
い。焦れているのがわかる。
 だからなのか、俊は頬や鼻の位置で、あたしの乳房の大きさや柔らかさを
確かめ始めた。一番高い位置を何度も押してくる。
「何してるの。外さないと、終わりにしちゃうぞ」
 頭を抱きしめてやる。すると俊は再びホック外しに没頭し始めた。
 異常な鼻息。濡れた布に包まれての息苦しさと、獣のような興奮。
 そこにあるものを味わえず、バカげたゲームをさせられている。
 数分たって、とうとうホックを挟んで、外した。
「ホックは外れたからぁ……ブラをくわえたままでいてよ」
 忠実な飼い犬になった俊は、ブラの端をくわえてじっとしている。

 なんて間抜けな姿なの!
 吹き出しそうになる。下半身丸出しにして勃起させ、手を縛られ、上半身の
乳首をてらてらと光らせて、Tシャツをかぶって、ブラをくわえている少年。
 ぞくぞくする。あたしの色香に負けて、こんな無様なことをしている少年が
いることに、体の奥が熱くなる。
 恥ずかしいくらい、濡れてる……
 少し生臭い匂い。俊はそれに気が付いているかもしれない。
 とってもHな気分なのを隠せない。
 あたしは、あたしを墜とす。
「さ、今度は口で下の下着もとってぇ……」
 背中を俊に近づけて、ガチンガチンの肉の塊に、お尻を押しつけた。
 俊は、ブラを床に落とした。それから、まず汗ばんだ胸をあたしの背中に
押しつけて、うなじの匂いを嗅いだ。
 口を肩口に押しつける。
 そこから、背骨に沿って、顔を下へ下へと落としていく。
「……あ……うん……」
 ちょっと、いい。もともと背中を撫でられるのは好きだから、声が出てしまう。
 顔は、腰を過ぎてから下着のゴムの所で止まって、それをさっきの要領でくわ
えた。
 下される。お尻が外気に触れる。蒸れた匂いが高まる。
 ーーーその瞬間。
「きゃあ!」
 あたしは、背中から体当たりをされて、フローリングに倒された。

04-017 :堕ちる夏 ◆p4rXhmWpH2:2011/08/23(火) 20:21:31.89 ID:9NDcmvWN
 俊はうつぶせのあたしに覆いかぶさった。その上で、上半身をくねらせている。
手を縛ったタオルを取ろうとしている。
「くっ……くっそ……取れねえ!」
「……! ……あぅ……」
 ずり下げたあたしの下着に、しっかり俊の熱いものが埋まっている。その勢い
で再び下着が上がり、俊は気づいていないようだが、その先端は、すっかり準備
されている肉芽に、ともすれば布越しに擦れる。
 焦れている俊。汗に濡れたタオルは思いのほか容易にとれない。あまりにも
進展が見られないと思ったのか、体の動きが止まった。
「はあ、はあ、はあ……あ、チンポが水野さんに……」
 その体勢に気づいた俊は、手っ取り早く欲望を満足することにしたらしい。
 一番深く埋まるような角度にすると、私めがけて腰を突いた。
「……あん……あ……」
 にゅちゅ、ちょぷ……と音がする。布地はクリトリスも周りの襞も道連れに
して、俊の動きで刺激する。
 試し試しだったその動きは、確信めいた律動に変わる。
 やだ、気持ちいい…… 
 声がでちゃう。
「あ……あん……いやあ……あぅ……やん……」
「水野さん、水野さん! ……すげえよ! ……うわ、はあ、はあ……」
 フローリングの床と汗で、徐々に滑って頭の方にずれていく。逃がさないように、
それを続けようとする少年。
 すごい、熱情。若い性。
 とうとう、壁に頭が当たり、あたしは逃げられなくなった。
「やあ……あ、あ、あ、あ! ……あん!」
 これ以上にないスピードの動き。最後の高まりに俊は声を上げた。
「うわあ! ……ああっ! ああっ!……」
 熱い。ショーツの布を何度も打つ液。あたしの秘所の表面をベトベト
にして、俊の熱い塊は、お尻の上でまだ脈動している。 

 男はバカだわ。
 所詮は射精すればいい動物だもの。
 女のパンツに出すことを選んだ若い男は、もう私の手中に入っている。
 俊、あなたは、私が遊んであげる。
 熊に蜜を与えるように、薬漬けにするように。
 ずっと忘れられなくしてあげる。

04-018 :堕ちる夏 ◆p4rXhmWpH2:2011/08/23(火) 20:22:30.18 ID:9NDcmvWN
 俊は興奮しきった呼吸を止められないらしい。
 ベトベトの汗と、お互いの欲の液とが綯い交ぜになった空間で、息の音は
異常な空気をさらに高めている。
 私は、上に乗って脱力した俊を払いのけて、寝そべったまま訊いた。
「少しは落ち着いたの?」
「はあ、はあ……ん、俺、なんだか……すみません! ……はあっ、はあ!」
 うつぶせで激しい息遣い。少年にはきつかったかもしれない。
「あなた、童貞なの?」
 簡単に理性を捨て去った俊を、軽く責める。
「はあ……はあ……」
 床に目をおとす。必死の形相で、真っ赤な顔をさらに赤くして、
「…………………………童貞っす」
「やっぱりね」
 つまらない質問だったけど、これを自らの口で答えさせるのは、なかなか
良かった。
 でも、私も満足したいの。 自分だけ気持ち良くなるなんて許さない。
 私は、腹ばいの俊の腰に跨った。全体重で乗ると俊は声を上げた。
「うわっ、チンポが、チンポがつぶれて、痛ぇ!」
「喚くんじゃないよ! エロ野球バカがっ!!」
「……!?」
 今まで優しげな近所のお姉さんが、こんな暴言を浴びせるとは思わなかった
ようで、俊はたじろいでいる。
 --たまんないわ。
 私は俊の背中に、乳房を乗せた。そして、耳の横に唇を寄せて優しく
甘く囁いた。
「エッチ、したいの?」
 俊は叱責に身を固くしていたが、意識を取り戻したように答えた。
「し、したい! いえ、したいです!」
「なら、約束してくれる?」
 俊に熱い息を耳に吹きかけた。
「あたしとのことは絶対内緒。あと、あたしに逆らわない。いい?」
「はい! 約束します!」
 いい返事。犬はこうでなくっちゃ。それしか取り得がないんだから。

04-022 :堕ちる夏 ◆p4rXhmWpH2:2011/08/24(水) 18:36:28.71 ID:ZIQsNvSH
◆  ◆  ◆

 こんなの中に出されたら、一発で妊娠しそう……
 さっき出された下着の精液は、長く太い筋が幾筋も、そしてクロッチ部
に大きな円の粘りがこびりついていた。
 洗面台の水を出すと、俊の体液を洗う。だいたい洗い流すと、水をためて、
そこにブラとショーツをつけ込んだ。
 俊は、この横の風呂場でシャワーを浴びている。
「シャワーを浴びててよ。でもあなたの家の人にバレるから、シャンプー
とかソープとか使っちゃだめ」
 そう言って、風呂場に入れた。
 汗まみれの俊の服。それを全部、洗剤をセットせずに全自動の洗濯機に
入れてスイッチをオン。
 それから、洗面台の鏡の横の右の開き戸を開いた。
 その一番上にあるピルケースを振った。カラカラと2,3のアフターピル
が入っていることを確かめた。
 映っているあたしの全裸。白い肌にしっとりと汗で艶めいている。体がも
う止められなくなっている。表情には狂気にも似た艶がほの見える。
 自分で見ても、どうしようもなく美しく、オンナな姿。
 あたしは策略通り、そのまま俊がいる風呂場に入った。

「わああっ!」
 俊は、まさかシャワー中に入ってくるとは思わなかったらしい。見開いた
目が動揺を隠しきれない。とっさに股間を手で隠した。
 いい表情! さっきの獣のような息遣いと凄いギャップだよ。
「ふふ。あたしも体がベトベトなの」
 いたずらっぽく笑う。
 昼間のクリーム色のタイルの風呂場はとても明るい。俊の引き締まって
日に焼けた体も、あたしの真っ白で柔らかなラインの肢体も、しっかり鮮
やかに見える。
 洗い場は1畳に満たない。とても二人の距離が近い。
 どうすれば、俊を困らせ、いやらしくさせられるかな?
 あたしは少し考えてから、ほんのりと恥じらいを込めて尋ねた。
「……一番ベトベトしてるところ、わかる?」
「え?……」

04-023 :堕ちる夏 ◆p4rXhmWpH2:2011/08/24(水) 18:38:02.19 ID:ZIQsNvSH
 大人の男なら、まずいやらしい想像をして、にやけながら指をさし向けて
くるだろう。
 この少年はたじろぐだけ。けれど、小声で答える。
「女の人って……その……あそこが濡れるんですよね?」
「あそこって、どこ?」
「あの……その……股のとこの……」
「どう? その手で一つ一つ確かめてみない? ……まずは顔から……」
 あたしは俊の両手を取って、あたしの頬に触れさせた。
 隠されていたものは、すでにビクンビクンと息づいている。
 顔から、喉元、鎖骨、肩口……
 俊は、あたしの手を外し、いきなり乳房を揉んできた。
「……あ……どう? べとべとしてるの?」
「べとべとっていうか、すべすべ、です」
 指が埋まる感触を無遠慮に楽しむ少年は、口からさかんに呼吸をしている。
 指の先をその頂に突き刺して、動かしてきた。
「……あん……あっ……だめぇ」
 あたしのあおるようなわざとらしい声に、俊はきらきらした目で、やわらかさ
に夢中になっている。
「しゃぶって、みて……」
 その声に躊躇なく紅い蕾に吸いついて、唇で先端を甘噛みする。そこを舌で
左右に舐めた。
“あ、ちょっと、今のいい”
 まぐれの愛撫を受け流して、あたしは空いている俊の手をつかみ、下へ導いた。
 初めて触るであろう女の肉の部分に当てて、指の上から指で圧した。
「あっ! 水野さん、ぐちょぐちょで熱い……」
 心底驚いた顔で感想を報告する少年は、ますますあたししか考えられなくなっ
てる。上手に片手で胸を触り、片手で秘所をまさぐる器用なことは童貞にはでき
ない。ただ遮二無二自分の欲望をぶつけてくる。血走った目で、あたしという
女を凝視している。
 欲しくなってきた。でも、もう少し、あたしはあたしを焦らす。焦らされた後
のご褒美は格別なのを知ってるから。
「俊君、とても上手。それじゃ、もっといいこと教えてあげるから」

04-024 :堕ちる夏 ◆p4rXhmWpH2:2011/08/24(水) 18:38:46.59 ID:ZIQsNvSH
 
 あたしはバスタブの縁に腰掛けた。
 目の前には、さっき大量にほとばしったことを忘れたかのように、上に向けて
ビクつく俊の獣じみたもの。
 欲しいものを目の前に、気づかれることなく、あたしはほほ笑みかけた。
「俊君、さっきあたしが舐めてあげた時、気持ち良かったでしょ?」
 俊は、あたしを見下ろして、こくんと頷いた。子供っぽくてかわいい。
「女もおんなじで、ペロペロされると、気持ちいいの……わかるでしょ?」
 あたしは、脚を開く。ゆっくりと少し腰をよじって、俊の目を見据えながら。
 両手で開く。明るい中、少年の前で、どろどろに蕩けているところを見せつけ
た。
 我を忘れた牡は、瞬時に四つん這いの体勢になって、複雑な花びらに吸いつい
た。
「……うあっ……あはぁ……はあっ!」
 少年はところかまわず吸う。襞も、期待にしこった芽も、指先も、愛液が湧き
出る泉も。
 ちゅぼっ、じゅぶっ、じゅっじゅっじゅっ、じゅじゅじゅーっ
 すする音が、風呂場に響く。粘膜を震わして、あたしをきわどく追いつめる。
「……ああっ! ……んっ……んっ……すっごい……あっ!」
「……はぁ! はぁっ! なんか、しょっぱくて、ぬるぬるしてて……」
 テクニックなんてものはなく、ただ遮二無二がっついてくる少年のスポーツ刈
りを両手に収めた。頭全体を撫で回す。短い髪の毛が手のひらを刺激して、その
感触もクセになる。
「はあ、はあ……ね、指……入れて……えっちな液が、出てるとこ……」
 あたし、トびそうになってる。童貞に無茶苦茶にされ嬉しがってる。
 そんな自分のあられもない姿に、背筋(せすじ)がぞくぞくする。
 俊は自分で女の柔襞を開くと、無遠慮にぬるみの中に、人差指を挿し入れた。
「あ……あ……その入り口を……いじって」
 素直に円を描いて、まわりの壁をなぞってる。じんじんと快楽が広がり、思
わず歯を食いしばる。
「くっ! ……ふっ! ……あぅっ!」
 でもだめ、腰が砕けそう。あたしはバスタブに手をついて、背を反らした。 
「はあ! ……ああ! ……あん! あああん!」
「うわ、ぱくぱくして、吸いついて、ぞろぞろしてて、すげえ!」
 勝手に指を奥にくぐらせる少年。好奇心旺盛なきらきら目は、あたしの性器
で遊んでいるかのようで。
「くぅ! ……やだ! ……やだ、ずぼずぼ……あああっ!」
 おもちゃにされているあたし。さっきまで俊を手玉に取っていたあたしは、
指一本でとろとろにされていく。

04-025 :堕ちる夏 ◆p4rXhmWpH2:2011/08/24(水) 18:39:51.66 ID:ZIQsNvSH
「もう、いいでしょ。俊のちょうだい……」
 今、あたしは、どうしようもなく、メス。
 男を迎え入れたいメス。 
 あたしは、かろうじてバスタブから立ち上がり、火照りきった体をタイルの
壁にもたせかけた。そして、片脚を真横に持ち上げて手で支え、もう片手で女
の奥を開いた。
 俊は抱きついてきた。それから上がった脚を支えて、すばやく先端をすぼまり
に狙いをつけた。
「あ、避妊……」
 俊が思い出したようにつぶやくと、あたしは、両手で頭を引き寄せてキスを
した。面喰った少年の唇をほどき、舌を滑り込ませた。しばらくはあたしのなすが
ままだったが、動きを真似て、舌をからませ、躍らせた。
 粘膜と粘膜がからむキスをされながらのセックスほど、体がしびれるものは
ないのだけど、俊はキスに応じるのがやっとだ。
 まったく。焦れるじゃない。
 あたしは、鉄のように固い茎の部分を掴むと、先端のずる剥けの部分をだらし
なく蜜を垂らす泉にキスさせた。
「なあんにも、考えられなくしてあげる……」
 その言葉に、俊は目の色を濁らせた。若い性欲そのままに、一気に熱い分身
を埋め込んできた。
 ずるぅぅぅぅぅ……
「あああっ…………」
 あたしの中の形が変わってる。容積にモノを言わせるのでなく、堅いものが
有無を言わさず、中の肉をひずませていく。
 ずぐっ ずんっ!
「……はあっ……ああっ……奥……ぐりっと、されてる」
「ああ、あったけえ。……なんかぐにぐに動いてる……あ、きゅっと締まった」
 あけすけにあたしの中の感想をうわごとのようにつぶやく。
「……ねえ俊、あたし、気持ちいい?」
「はい、水野さんのここ、すっげえちんぽ、包んでます」
「こっから先、まんこバカになってね……」
 もう一度抱きしめて、耳元で囁いた。
「あたしも……ちんぽバカになるから……」

04-026 :堕ちる夏 ◆p4rXhmWpH2:2011/08/24(水) 18:43:12.05 ID:ZIQsNvSH
「ああっ! ああっ! ふぁ! ああっ! ……むうっ! んっ! むあっ!」
 体力にあかせての突き上げられる肉棒が、あたしの中を往復する。いや、
あたしの底をこじり開けようと、力をためてから飛び込んでくるような動きの
連続。
 決して滑らかな動きではないけど、あたしというオンナを求める本能。少年
の不器用な挿入に、愚かなくらいあたしは酔っていた。
 オトコの唇が欲しくてたまらない。
「ああっ! ……ね、俊キス……して……キスを……」
 俊からしてくる初めてのキスは、舌であたしの唇を舐めてきた。あたしは
それに舌で応え、口の外で舌同士がぶつかり合った。やがて、二人の口の中
で互いの唾液の海で泳いだ。
 ぱんっ! ぱんっ! ちょっ! ぷちょ! ぐちゅ! じゅぶ!
 俊があたしの体に打ち付ける音、あたしの溢れる液のはぜる音、無思考の
中で行われる淫猥な口の音。
 この風呂場に響く音は、いやらしいものしかない。
 それに、二人の体臭と、汗と、もっとも接触した部分からの匂いは、互い
の熱を嫌がおうにも高めてしまう。
「……ぷはっ! ……あっ! ……あ、あ、ああっ……ああっ!」
「すっげえ、奥に吸いこんでる!」 
 口づけも苦しい。本当に死んでしまいそうなほど、あたしは追いつめられ
てきた。それほどに力ずくで犯されている。あまりに強い腰の突きに、床に
ついていた足が時たま浮くほどに。
 立って、られない。
「はあっ……ね、ねえ俊……仰向けになって。あたしが上になる」

04-031 :堕ちる夏 ◆p4rXhmWpH2:2011/08/25(木) 17:52:24.47 ID:ZaFv4l3+
 一瞬何を言われたのかわからない感じの俊は、少し名残惜しそうに、あた
しの中から引き抜いた。そして、様々なものに濡れた床に膝を立てて寝そべ
った。それでもう床はいっぱいいっぱい。
 汗だくの俊。もし布団でシてたら、シーツどころか中綿まで汗で沁み渡って
たろうから、風呂場でのセックスは正解だった。
 好き放題あたしを蹂躙した赤黒いものは、白いクリームをべっとりつけた
まま、お腹の上に張り付いて脈を打っている。
 その上にまたがった。カチカチの肉を後ろ手で持ち上げて、あたしが欲し
いところにあてがってから、そのまま腰を落とした。
 ああ、一気に埋まっていく!
「ああああん! ……はあ ……はあ ……俊の、ガチガチ……」
「……水野さん、俺のこと、『俊』って呼んでる」
 あ、ほんとだ。もう、こんなに体を重ねていて、互いの性器でよがって
いるんだから、もう、『俊君」なんて呼べない。
「水野さんって、名前なんていうんでしたっけ?」
 充血してふくらんだ乳りんを弄り、すっかりしこった乳首の先端をつまむ
俊。
「あんっ ……あたし、香織(かおり)……」
 可笑しい。今頃名前を教えてる。あたしも、それほど余裕がなかったんだ。
「名前可愛いいのに、こんなにやらしいなんて」
「あら、可愛いのは名前だけ?」
「いえ、香織さんは、セクシーで、綺麗でかわいいです」
 悪い気はしない。ーー正直、嬉しさと満足感。例えピロートークだとしても。
「あたし、動くから……」
 膝を立て、ペニスの長さに合わせての上下動。入る時も抜くときも目が眩む
快淫感。
「ああっ! んはあっ! はっ! ……んあっ! んっ」
「ちんぽ締める襞が、はみ出してる!」
 結合部分が丸見えで、その淫猥な光景に喜びを隠しきれない俊。
「香織さん、ぬるぬるで気持ちいい!」
 男のくせに、目をつむってのけぞって。童貞が生で女の淫らな肉に呑まれて
恥ずかしい言葉を口走っている。
あたしは、自分の片手でクリトリスを撫でつけた。一段と強く俊を締め上げ
たはず。
「……あたしの……おまんこ……あんっ うんっ ……好き?」
「ああっ! ああっ! 締まる! 香織さんの、好きだぁ!」
 胸が鷲掴まれてる。指の跡で紅く細く染まってる。
 あたしは、俊の唇を襲う。そのまま、唾液は舌を伝って流れこんでいく。
 野球少年の締まった肉体を抱きしめながら、腰だけを激しく上下に振り続け
た。抜くときに締めつけて、ちょうど陰茎をしごくように。
「ああっ! 香織さん気持ち良すぎ! 中のひだひだ……ああっ!」
 しばらくすると、胸を触っていた俊の手は、爪が立たないのに床のタイルを
かいていた。
 切なそうな顔と呼吸。俊は、それほどもう切羽詰まっていた。
「うわっ! 出るっ出るっ! 香織さん!」
 突然、あたしの体を持ち上げるほど、反射的に体をのけ反らせた。
「いいよっ! 出していいよっ! 中でいいからっ!」
「うわっ!」
「あああんっ!」
 お腹の中の温かさ。胎内の奥の奥にはまって、律動する堅い茎がすごい強さ
で体液を吹き出していた。

04-032 :堕ちる夏 ◆p4rXhmWpH2:2011/08/25(木) 17:54:26.10 ID:ZaFv4l3+
「ふふっ すっごい出てたね……」
 あたしは、上気して目がうつろの少年に微笑んで、ついでに米粒のような乳
首を指の腹でこねた。
 まだ、あたしの内臓の中で精液と愛液で溺れながら息づくモノ。
 今日、この短時間で2回も爆発していながら、それでも萎えないモノ。
「ね、あたし、そんなに良かった?」
 さすがに汗が吹き出て、頬に張り付いた髪を取りながら、聞いてみる。
 唾を飲み込み、息を整えながら、俊はやっと口を開いた。
「中の襞が、ちんぽをくるんでて、ぎゅんぎゅん絞るから……」
「ふふふ……まんこバカになれた?」
「俺、香織さんのまんこのためなら、なんでもやる」
 ああ、罪作りなことしちゃったかな?
 童貞に生で入れさせて、エロエロに締めつけて中出しさせちゃうなんて。
 しかも、ただでさえ、いやらしいことでいっぱいの学生の頭をまんこバカ
にしちゃった。
 でも、いいや。目的はセックス一択だったんだから。
「まだ、堅いよ。……今度は、あたしをイかせて」
「できるかな? それに、疲れてきて……」
「大丈夫よ。運動部で体力はあるんでしょ?」
 あたしは、俊の耳に口づけながら囁いた。
「あたしの、弱いところ、教えちゃうから……」

04-033 :堕ちる夏 ◆p4rXhmWpH2:2011/08/25(木) 17:55:15.01 ID:ZaFv4l3+
 あたしは立ち上がると、寝そべったままの俊にお尻を向けた。そこから片
方の膝だけ床につけて、ぐちょぐちょで節くれたものを手で欲深い蜜壺に
誘(いざな)った。
「ああああんっ!」
 表裏が違うだけで、感触がだいぶ違う。これはこれでいいのだけど。
 でも、もっと、自分を墜していく。
「俊、あたしの背中……両手で支えてて」
 俊が肩甲骨のあたりに両手が当てられるのを確かめてから、つながったまま
俊の方に徐々に体を預けた。お尻、腰、背中……。ついには、俊の顔の隣に、
あたしの頭が来た。俊の体の上に、裏返しで乗っかった格好。
「ね、はずれないように、ゆっくりでいいから、腰を動かして……」
 慎重に動き始める。ゆらゆらとした前後動で、じれったさも感じる緩さ。
 あたしは、その動きに合わせて、腰をずらし、少し深く入ったときに、
「ああっ! そこっ! そこが、いいとこなのぉ!」
 強くされていないのに、わずかなストロークで、もう腰が砕けそうになる。
「わかる?! ……その、先っちょの、擦れてるとこ……ああん!」
「ここで揺するといいんだ、香織さんは?」
「そう! ああん! そう……なのぉ! …………ああ?!」
 あたしのスイートスポットがわかって、暴発の危険も減って、少年らしか
らぬ余裕が生まれた。あたしの指示を待たずに、早い振幅を見舞ってきた。
「あ! あ! あ! ……くぅ、ぐっ! ……あはぁ! ああっ!」
 両手が下から伸びてきて、前後にぶるんぶるん揺れている乳房を捕まえた。
好き放題に揉みしだき、指を埋め込んでいる。
「ああっ! だ、だめぇ! すご……すごい……ああああん!」
 ぐぼっ! ぼちゅ! ぶぼっ! ぶぷっ!
 どうしようもなく恥ずかしい音がしてる。空気が入って震える襞。
「やっ! ちょっと、止めてよぉ! 恥ずかしいから!」
俊はそれを無視して、手をお腹、下腹部に滑らせ、さかんに往復している
部分の上の固い芽を、指でつぶした。さっき、あたしがやったことを真似し
たらしい。
「やああああっ! ああっ! あうっ! ……くうううんっ!」
 体をよじらさずにいられない。快感に耐えるために指を咥えずにいられな
い。たまらず、胸にある俊の手首を無意味に掴んでいた。
 意識に、もやがかかっていく。男から送りこまれる熱を伴った情欲から、
容赦ない痺れが、体中に広がる。
 追い打ちをかけるように、男は腰の動きを痙攣のような細かい動きに変え
た。数倍の頻度でピンポイントを責められて、あたしは一気に、簡単に、
昇りつめた。
「ふっ! うっ! うううっ! ……キちゃう! ひゃあっ! あっ……」
 伸びてしまう脚。弾みでタイルの壁を蹴っていた。
「くっ! ………………ふぅっ! ………………はぁ! はぁ! はぁ!」
 ああ、これ! これがほしかったの!
 なんにも、かんがえられないで、ふわふわと、ただよって。
 ーー頭が軽く痛むくらいの絶頂。体、いうことが利かない。

04-034 :堕ちる夏 ◆p4rXhmWpH2:2011/08/25(木) 17:56:14.49 ID:ZaFv4l3+
「香織、すごい、きゅって、締まってた! イったんでしょ? セックス
っておもしれー!」
 嬉々として俊は耳元で聞いてくる。追いつめたと勘付いてなお、胸を触り
結合部をまさぐっている。
「はぁ……はぁ……はぁ…………俊! ちょっと、触んないで!」
 果てた後の強すぎる愛撫にイライラした。それと心地よさに浸りたい気分
を台無しにするような無邪気すぎる言葉。
 経験のない少年に、見事なくらいに追いつめられた口惜しさもあった。
 俊は、あたしの機嫌を損ねたと気づき、それ以上のいたずらをやめ、何も
言わなくなった。
 息が整って、少しずつ体が元に戻ってくると、あたしは、俊の肉棒を触っ
た。信じられないくらいに固く、あたしの胎内をまだ侵略したがってる。
 あたしは俊の唇をせがんだ。濡れた粘膜を吸うだけで、甘い電気を受ける。
「あのね、女ってイった後は、何されるのもダメなの。体が動かせないし、
何にも考えられないの。触られるのもつらいの」
 教え諭すあたしの声を熱心に聴いている少年。さっき女を滅茶苦茶に追い
つめておきながら、子犬のようにしゅんとしてる。
 かわいい。バカなだけに、キュンとして。
 ムラムラとする。
 だから、今度は男根を抜いてまで向い合せになり、深くねっとりとした舌
の絡み合い。唇のすれ合い。直接的なお互いの味わい。
 キスも性交の一つなんだと、あらためて思い知らされる。
 あっ!
 さっき中に出されたものが、お尻を伝って流れ落ちているのがわかる。そ
の緩慢な滑りに、また、あたしの女が目覚め、熱くなる。
「俊……あたし、またシたくなっちゃった……」
 お湯もないのにムンとしている風呂場の中で、もう衝動は抑えられない。

04-035 :堕ちる夏 ◆p4rXhmWpH2:2011/08/25(木) 17:57:27.07 ID:ZaFv4l3+
「……んっ! ああああああんっ!」
 右を下にして寝そべったあたしの左の太ももに抱きつくようにして、俊は
こなれたあたしの中を進んだ。
「簡単に入ってく……」
 相変わらず最初の一挿しを興味深げに見つめてる。惜しむかのように徐々
に埋めていく。あたしも気持ちいいけれど、俊も視覚で楽しんでいる。
「ふぅぅぅ…………あんっ!」
 一番奥で止まって、それで甘美な衝撃を受ける。素直なお腹と腰が、卑猥
にひくつく。
「……そのまま、左右に、腰……揺らして」
 ゆさゆさと動き始めると、埋め込んだやわらかい先と、行き止まりが、ぬめ
りの中、キスを始めた。
「ああああっ! ……いぃっ! …………い、い、ひぅ!」
 あられもない声が漏れてしまう。ぎゅっと目を閉じてしまい、涙がにじみ
出てしまう。
「……わかった?! はぁ!……一番奥! ……奥を!」
 自ら進んで弱点をさらして、息を絶え絶えになっている。バカになっちゃ
ってる。狂っちゃてる。
 当然、俊はあたしを責めにかかる。固く、熱く、届くもので襲いかかる。
突いて、擦って、回して、圧して……
「ふぁん! ああん! ふぁめっ! ふぁめ! あっ! あっ! あっ!」
 『ダメ』が言えない。ろれつが回ってない。また、力が抜けちゃう。
 頭にタイルの壁が当たってる。逃げられない中、あたしは言いように少年
に生で犯されちゃってる。
「うわ、香織、また締まってきた!」
 目を薄く開けると、俊の顔も切なそうに、眉にしわが寄っている。
 そして、これまでにない、肉棒の頑強さ。
「あっ! あっ! あああああっ! ……………かはっ! ……はっ!」
 た易く、別の世界にトんだ。
 俊は、あたしの乱れた姿を見て、息の整うのを見計らうと、すぐさまピストン
にいそしむ。まるで、そんな機械のように。
「やああん! ちんぽバカ……になるぅ! う、う、う……」
 --そうやって何度、快楽の淵に追いやられたか判らない。
 目尻から涙、口の端からよだれが止まらない。おびただしい濁った蜜は、お互
いの陰毛の奥に沁み渡っている。
 突かれている内臓の響きで、いつまでも高まっている。
 すっかり俊のものの形にされてる。
「香織、出る、うわっ、出るよ……」
「はぁっ はぁっ はぁっ!」
 何を言われてるのかわからない。どうされているのか、どうでもいい。
 あたしを無茶苦茶にしてぇ!
「…………うわあああっ! ……あああっ!」
「ああっ! …………はぁっ! ……はぁっ!」
 俊は震えると、若い精をあたしの胎内に注ぎ込んだ。
 そのまま、あたしに突っ伏すと、キスを求めてきたので、物憂げに応じた。
 飽きるほど舌を吸ったころに、とうとう陰茎は力を無くしてあたしの中から
こぼれおちた。
 二人して、膝を痙攣させている。あたしの中から、今の二人のように溶けあった
粘液が漏れている。
「……ああ」
 思わずため息が漏れた。
 タイルの冷たさが気持ちいい。
 気だるくて、起き上がれないのも気持ちいい。
 今のあたしは、もう、何にも必要なものがなかった。

04-036 :堕ちる夏 ◆p4rXhmWpH2:2011/08/25(木) 17:59:01.57 ID:ZaFv4l3+
◆  ◆  ◆

 俊と抱き合ってから4日後。
「じゃ、忘れ物は無いよな」
「うん!」
 あたしは主人が運転するハイブリッドのセダンの助手席に乗り込んだ。
 夫婦二人の荷物を乗せたトラックが後からついてくる。
 もう6度目の転勤。慣れてしまったが、やはり多いと思う。
「あーあ、今度はどこだっけ?」
「○○市だよ。工場の移転があってさ……」
 体が大きくて、熊みたいな主人は、人望が厚い。つい頼まれて仕事を引き受け
ちゃう。……そんなところと、抱きしめがいのある体が好き。
 それで、鈍感で、あんまり拘束しなくて、あたしに全く疑いを持たないのは、
好きだし、嫌い。
「あの辺は、前に××町にいたんだっけ?」
「40kmは離れてたけど、しばらくいたな」
 ××町は、たしか……悟(さとる)だったね。
 前のところは、和孝(かずたか)、その前は克司(かつし)と奏太(そうた)
……千尋(ちひろ)はどこの子だったっけ。

 夫の転勤地で、夏の長期出張の度にあたしは男の子と体を重ねた。すでに経
験済み子もいたけど、たいていは童貞をいただいてきた。
 童貞、いいね。
 強烈な快感に目をトロンとさせちゃったり、体中が跳ねちゃったりして、い
たずらし甲斐がある。
 でも、水鉄砲のように射精したり、出してもなかなか萎えない若さが魅力。
カチンカチンに興奮するのもかわいい。回数で勝負して、一生懸命にあたしを
気持ち良くしてくれる健気さにゾクゾクする。
 でも、ズブズブな関係になる前に、あたしからさよならする。いつも夏の
転勤間際にさっといなくなる。
 男の子たちも夏のいい思い出の一コマになっていると思うけど、あたしの影
響は大きいのかな。童貞を捨てた女の子を結構覚えている男子が多いとも聞く
けど。あたしみたいな女が、普通と思っちゃったかな。
 あたしなんか、処女を捧げた人の顔も名前も思い出せない。
 しかも、あたしは男の子たちに本名を言っていない。万が一居場所を突き止
められないように、そこまで気を使ってる。
 あたしの本名は水野美沙緒(みさお)。貞操なんて守っていない。完全な名
前負け。

04-037 :堕ちる夏 ◆p4rXhmWpH2:2011/08/25(木) 18:00:26.70 ID:ZaFv4l3+
 信号待ち。そこであたしはぎょっとする。
 自転車を押して歩く俊。その横に白い半そでのシャツに、茶色のロングスカ
ート、ピンクの花のヘアピンをつけたかわいらしい女の子が屈託なく笑ってい
る。
 あら、彼女いるんじゃない。
 あの後の帰り際、『香織さん、またヤらせてくれない?』なんて言ってた癖
に。
 そういうあたしも転勤を知りながら、『来週のこの日にね。絶対秘密、連絡
もダメ。来るのもね』なんて約束したけど。
 俊も、見ているあたしに気づいた。それから、黒い顔を赤黒くして、あから
さまにうつむいてしまった。
 本当にバカ。さすがにバレるでしょうが。
「あー、あの子、野球の地区予選でエラーした子だよね」
 あたしは、何もなかったかのようにペットボトルの水を飲んだ。俊の横を車
は通り過ぎた。

 夏の狂おしい熱風は、秋の涼しい風に、遠くまで押しやられてしまう。
 主人がしっかりつなぎとめてくれなかったら、あたしは、また、夏の暑さに
堕ちていく。どこかの少年を道連れにして。


                           完

最終更新:2011年08月25日 17:40