256 :名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 01:47:25 ID:rHGBK61y
里長が呼んでいる、と伝言をもらった時、あたしは武道館で、
一人空手の稽古をしていた。

あたしはくの一見習いのささめ。まだ実戦に出たことはないけど、
いつか男衆に互して武人として名をあげるのが夢なの。
というのも、あたしにはちょっと事情があるから。
フェロモンの過剰分泌だとかで、身体がやたらやらしく発育して、
性的な事考えてる男の人が発散するなんとかリンなんとか酸とか、
そういう体内物質に反応して身体がありえない位エッチになっちゃう、
淫桃(いんとう、って読むのかな?)と呼ばれる、特殊な体質。
うちの一門にごく稀に顕れる特殊な体質で、あたしの前は六代前。
明治維新の陰で暗躍して、今でも里の女傑として尊敬されてるわ。
でも、あたしにとってはこんな体質、厄介なだけ。男女合同組み稽古も
あたしがいると男子が集中出来ないからってハブられるし、学校でも
クラスの男子がちょっとアレな漫画の話をして盛り上がるだけで感じて
トイレに駆け込んで悶絶しちゃう。
学校帰りだって、上手く彼女とベッドインまで持ち込もうと色々算段立ててる
デート中のお兄さんの傍を通っただけでアヘ顔になって不審がられて、
いい事なんか全然ないもの。



里長の命は至極単純だった。
「虎哲が足抜けした、追え」
ドキリとした。
虎哲は同い年の17才。同期でも頭一つ抜きん出た才と見た目の持ち主で、
次期里長の呼び声も高かった。
あたしも体質が目覚める一年前までは、よく乱打組み手の相手をしてもらった。
あたしの中でほんの微かだけど、恋を感じさせた人。
だけど、どうして虎哲が……。
「やれるな、ささめ」
あたしの戸惑いを見抜いたような里長の声。
やれる、とは殺れ、という事。
里長の命は絶対だ。
「応」そう答える以外なかった。



虎哲の足取りはすぐに掴めた。

257 :名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 01:50:16 ID:rHGBK61y
今は昔と違って、上辺だけは、普通に社会に溶け込んで暮らしている。
漫画でお馴染みの忍び装束を着てマキビシ撒き散らしたり、
やたら手裏剣を投げたりなんかしない。
だから、少し短めのポニーテールをシュシュで結んで、黒いタートルセーター、
ウエストにリボンをあしらったタータンチェックのミニスカ、黒タイツに
身を包んだあたし(あたしだって年頃の女の子だもん)がジーンズに
ダウンジャケット姿の虎哲を見つけた時、彼は買い物客で賑わう
スーパーマーケットで夕飯の惣菜とにらめっこしていた。
端正な顔で、どれが旨そうかな、と悩む様はちょっとかわいくって、
あたしは躊躇した。
どうして虎哲、足抜けなんか……。
次期里長として嘱望される前途洋々の未来。
抜ける理由がわからない。
思い当たる節がない。
結局、何も買わずに虎哲が店を出る。
つかず離れずの距離を開けて、あたしは虎哲の後を追った。
とにかく虎哲のヤサを見つけよう。それで、話し合おう。
里に戻ろうって。
里長だって、話せばわかってくれるはずだわ。
そんな事を考え考え路地を曲がって……足が竦んだ。
立ち並ぶ色とりどりのネオン瞬く看板。看板。看板。
賑やかな呼び込みの声。
華やかな嬌声。
やだここ……歓楽街だ……。
身体が反応しちゃう。
濡れちゃう。
ハッピを着た呼び込みのお兄さんがなめ回すような目でこっちを見てる。
やめて、そんな目で見ないで……。
ここから逃げなくちゃ。
「あ……う…ん」
喘ぎ声を押し殺して、あたしは押し寄せる嫌らしいピンクの思念に
揉みくちゃにされながら、それでも虎哲の後を追った。

258 :名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 01:52:27 ID:rHGBK61y
もうやだ……初めての任務なのに。
服の中で乳首が擦れてジンジンする。
あそこもベタベタにして。
誰も見てないところで……オナニーしたい……したくて堪らない。
無意識のうちに腿を摩り、スカートの上からそこを刺激しようとする右手を
左手で押し止める、端から見るとトロンとした目つきで物欲しげな顔の、
明らかに怪しい挙動の女子高生。
泣きたくなってきた。
この身体のせいで虎哲や同期に距離を置かれて。
こんな身体が嫌だから強くなりたい、いやらしい目で見られない、
性別を越えた存在になりたいのに。
涙に滲んだ視界の端で、虎哲が奥まった路地を曲がるのが見えた。
涙を拭って追い縋る。
角を曲がった途端、ドス、鳩尾にきついのを一発喰って、あたしは意識を失った。



目が覚めると、虎哲があたしの顔を覗き込んでいた。
すごく久しぶりに見る虎哲の顔。
こんな間近に……やだ、意識しちゃう。
頬は勿論耳まで赤くなって、思わず顔を背ける。
そこで、周囲に視線を泳がせ、ここがどこだか気がついた。
ラブホだ。
虎哲、ラブホに身を潜めてたんだ。
「ささめ、したいだろ」
ダウンジャケットを脱いでシャツ一枚になった虎哲が耳元に唇を寄せてきた。
「な、何を!?」
慌てて飛び起きようとするあたしにのしかかる。
あたしが小柄なのに対して虎哲は背が高くてがたいもいいから、
簡単に押さえ込まれてしまう。
「セックスしよう」
え?
虎哲があたしのセーターをたくしあげた。
一緒にブラまで外されて、ぷるん、と、おっぱいが剥き出しになった。
「わあっやだ!」
乳首勃ってるの見られちゃう!
慌てて、おっぱいを両腕で隠した。
なのに、虎哲が片手で腕をとって、おっぱいからひき離す。
「やぁっ、見ないでえっ」
「これがささめの乳房か」
掌であたしのおっぱいを覆うようにそうっと掴んだ。
軽く持ち上げて、離す。
たゆんと揺れるおっぱい。
「白くてすべすべで、餅みたいだ」
おっぱいに吸い付いて、乳首を舐め始める。
「やぁ……ん」
舌で転がされて甘噛みされただけで、あたしの大事な場所が熔けてひくついた。

259 :名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 01:53:31 ID:rHGBK61y
抵抗したくても、身体に潜む淫桃の血が、それを許さない。
まるで馴れた女のように身をくねらせて、虎哲の股間に顔を近付ける。
歯と舌を駆使してジッパーを下ろし、虎哲を口に含む。
少し転がしただけですぐにむくむく、と漲ってきた。
先っぽを舌で突くと、しょっぱい味がした。
初めてなのに、自分から口にするなんて恥知らずな事。
肌を触られるのだって初めてなのに。
虎哲は初恋の相手なのに。
こんなの嫌だよぉ……!
虎哲も態勢を直して、四つん這いになったあたしに覆いかぶさって、
あたしのスカートをめくりあげて、黒タイツとパンツを脱がせる。
お尻が丸出しになったところで手を止めた。
「マ×コ、すごく濡れてる」
虎哲、何見てるの?まさかパンツ!?
虎哲がお尻に顔を近付けてくる気配がして、思わずお尻をすぼめた。
あそこ見るつもりなの?!
やだやめて、そんな変態みたいなのやだよぉ!
いくら虎哲でも、そんなとこしげしげ見られたくないよ。
でもそんなの無駄な抵抗。指でお尻を撫でられただけで簡単に開かせられた。
熱い息がかかるだけで、滴っちゃう。
「綺麗な色してる」
「やあ……っ」
どうしていいのかわからなくて、瞼をギュッと固くつぶった。
あたしがやっても意味ないのに。
「ちょっと味見」
指とは違う感触が大事なところに触れて、ねちょ、と、オナニーするときの音がした。
「うぁ……」
虎哲が……あそこ舐めてる……っ。
そこからクリまで丹念に舌を這わせて、ヒダまでめくって綺麗になめ回してる。
嫌だぁ……っ……死ぬほど恥ずかしいのに、指で弄るより
気持ちいいなんて……そんなの反則だよ……っ。
「聞こえる?」
心なしか虎哲の声は上擦った感じがして、それだけであたしは、
快感にゾクゾク震えてしまう。
「ちょっと挿れるよ」
虎哲があたしを舐めながら、指で触れてきた。

260 :名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 01:54:26 ID:rHGBK61y
「え……ちょ、や、待って」
そんな挿れるって……何!
振り返ったら、やんわり戻されて股間を押し付けられた。
「ちゃんとしゃぶって」
手を添えて、口に差し入れてくる。
でも気が気じゃない、虎哲の指が入ってくるんだもの。
最初は馴染ませるようにゆっくりピタピタと指先であそこに触れて、
それから、つ、と潜り込む感触がした。
あ…あ…虎哲の指が挿ってくる……
「わかる、挿ってるの……」
言わなくてもわかるよ、入口がひりひり擦られてるもん……。
返事の代わりに口に含んだ虎哲を吸い上げた。
「ささめの中、ぴったりして、よく締まってる」
そういって、指を出し入れ始める。
最初はゆっくりと、一本だけ。
ゆっくりと指が二本に増えて、そのうち、指遣いにあわせて
虎哲が腰を打ち付けてきた。
両方の口がリズミカルにちゅぱちゅぱ音を立てて、
まるでホントにしてるみたいな感じ。
やだ……そんなのしたら…身体の力が抜けちゃう……。
もう虎哲をしゃぶる余裕なんかない。
「やめっ……っちゃうぅっ」
あたしは虎哲を放して悲鳴をあげた。
「しっかり咥えて」
また押し込まれる。
「あぶっ……ぐむっ、むふっ」
やだ、もうダメぇっ!
「んぷぁっイくうううぅっ」
イキ声をあげて虎哲を吐き出したあたしの目の前に、白い
ネバネバした塊が飛び散った。
鼻の頭に、頬に、額に、髪にボタリとふりかかる。
これ、虎哲の……せーえき……?
変に温かくて、生臭くて、でも嫌な臭いじゃない。
鼻の頭にかかったのを掬いとって口に運んんだ。
虎哲の味……そう思っただけで、ジュン、と奥が熱くなった。
もっと……欲しい。
沢山、したい。
腰が抜けて、そのまま崩れ落ちた。
虎哲は更にあたしのタイツを全部脱がせると、今度は、あそこは勿論、
膝の裏から腿の内側からお尻にかけて執拗にキスをしてきた。
唇で軽く撫でたり、ちゅぱ、と音を立てて吸い付いたり、舌で舐め回したり、
その度に大事な所はヒクヒクしながら、うれしそうにエッチな汁を垂らしてる。
もう、あたしに出来るのはシーツをにぎりしめて喘ぐだけ。

261 :名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 01:56:21 ID:rHGBK61y
なんでこんな事になってるんだっけ……?
そうだ、虎哲が足抜けして……
「ささめ」
でも……あたし虎哲が好き……気持ち良すぎて……。
あたしには出来ないよ……。
「いくよ」
え?
いつの間にかシャツを脱ぎ捨て、上半身を開けた虎哲が、あたしの膝を抱えていた。
いくって……?
あたしの返事を待たずに虎哲が、挿ってきた。
ほんのちょっと突っ掛かる感じがしただけで、後はズルリと
一気にあたしの中に飲み込まれていた。
「ああ……あ……」
こんな簡単に。
あたし……処女じゃなくなっちゃった。
虎哲とセックス……しちゃった。
「ささめ、触ってごらん」
虎哲があたしを抱き起こした。手をとってそこに触れさせる。
「わかる?」
虎哲のピクピクした熱い塊が、あたしを割って中に埋まっている。
奥の奥まで圧し広げられてるのに、感じるのは張り詰めた異物感と
熱さだけで、話にきくような痛みはなかった。
痛くないのは、あたしが淫桃だから?
「何考えてる?」
虎哲が無防備に姿を晒したクリを弄った。
「あっ……ん」
あたしの中がキュウ、と締まって、虎哲を締め付ける。
硬くて、奥でピクピクしてるのがはっきりわかっちゃう。
「ここ、どう?」
虎哲があたしの奥のジンジンするところを軽く突いた。
「わ、わわ……!?」
強いて似た感覚をあげるなら、無心に稽古に打ち込んでる時の充実感?
あれより白くて深くて透明で重くて濃密なのが、まるで、塞きをきったように、
ううん、燃え広がるように一気に身体を駆け抜ける。
なにこれ?!やだ!これ絶頂!?
嘘、これ違う……!あたしの知ってる絶頂と違う!
あれは弄ったとこの辺りから頭のてっぺんにビリビリしたのを
感じるだけでこんな深くな……いぃ………!
「いやぁ……ああ、あ、あ……あ!」
あたしはこれ以上ないってくらいのけ反って、シーツに脚を
擦り付けるようにばたつかせて、啜り泣くようなよがり声をあげて
自分からそこを虎哲に押し付けていた。

262 :名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 01:58:34 ID:rHGBK61y
一時、初めての中イキの感覚に溺れ、我にかえって、あたしはあまりの恥ずかしさに泣きたくなってきた。
なってきた、じゃない、ホントに涙が溢れてきた。
全身汗にまみれて、セーターをたくしあげて、揉んでくださいと
いわんばかりに晒したおっぱい突き出して、胡座をかいた虎哲の膝の上で
大股開いて(しかも自分から密着させて!)、なんてはしたない姿。
大口開けた口の端からよだれまで垂らして。
「も……許して」
あたしは泣きながら虎哲に許しを請うた。
いくらなんでも初めてで、しかも挿れただけでクリ弄って中イキさせるなんて。
虎哲……ホントはあたしの事嫌いなんだ。
逃れようと腰を浮かすと、虎哲の手にがっちり押さえ付けられた。
「駄目」
虎哲は嬉しそうな顔をしてた。
まだ淫桃の体質が目覚める前、組み手稽古で、向かい合った時の、あのままの優しい眼差し。
虎哲だって忍だ。任務のためなら味方をも捨てる非情さ、冷徹さを持ち合わせている。
まして今の虎哲は抜け忍。
かつての里の仲間だって追っ手なら問答無用で切り捨てる。
あたしが追っ手だってわかってないわけない。
わかっててこんな事するのは……何か理由があるの?
「動くよ」
虎哲がゆっくり腰を動かし始めた。
虎哲が腰をひくと中のモノが引き抜かれ、突き立てると、中のモノが押し入ってくる。
ただ、それだけなのに、ずっとさっきのイッた感じが収まらない。
それどころかもっと激しくなってきて。
突かれる度に、体中が疼いちゃう。
脳天に星が舞って、何も考えられなくなっちゃう。
壊れるってこういうこと?
あたしどうなっちゃうの?
「虎哲、虎哲」
あたしは哭いて、虎哲に縋り付いていた。
虎哲の身体は熱くて、汗ばんでいた。
「虎哲、あたし怖い」
「ささめ」
虎哲があたしの名を呼んだ。
唇を重ねて、あたしを固く抱きしめる。
それだけで、怖くなくなった。

263 :名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 02:19:11 ID:rHGBK61y
あたしも舌を絡ませて、これ以上ないくらい虎哲を抱きしめる。
何度も何度もキスをして、互いを呼び合った。
その度にあたしは絶頂を味わい、朦朧とした意識の中、虎哲の熱さだけを感じていた。
もう任務なんてどうでもよくなってた。
あたし、一緒に足抜けしてもいい。
ずっと、このままでいたい。
虎哲が傍にいてくれるなら、あたし淫桃でも構わない。
連れていって……!
一緒に行くから……!
虎哲の動きが早くなって、また思考が掻き乱される。
激しい突き上げにあたしが達し、続いて果てる瞬間、虎哲が囁いた。
「ささめ、愛してる」
「ああ……虎哲……!!」
固く抱き合って、応えるのと同時に、あたしの奥で白い光が弾けた。
ほんの少しだけ淫桃でよかった、と思えた。
きっと、普通の身体だったら、初めてでこんな気持ち良くイけたかわかんないもん。
夢うつつの中、ありがとう、虎哲の泣き声がした気がした。



あたしが意識を失っていたのはほんの数瞬だった。
その僅かの間に、虎哲は備え付けの剃刀を使って自害してた。
虎哲の手荷物の中に、手紙が入っていて、それはあたし宛になっていた。
『ささめ、初任務完遂おめでとう。これをお前が読む頃には
俺は既にお前に殺されるか自害しているか、とにかく彼岸に渡っている筈だ。
まず、二つ三つ許してほしい。
これは俺が仕組んだ事だ。足抜けした俺をお前に追わせるよう里長に頼んだ。
それから、色々ひどい事をしてごめん。
多分俺はお前に処女相手とは思えない行為をあれこれやった筈だ。
お前が嫌いだからでも淫桃だからでもない。
逆だ。
俺はお前が好きだった。
淫桃の質に目覚めてからもお前は人一倍稽古に打ち込んできた。
そんなひたむきさに惹かれていた。
お前を抱きたい、そう思い始めるのに大して時間はかからなかった。
だが、お前はいつかくの一になる。
任務の中には美人局もあるだろう。
実際、お前の初任務に、そういう仕事を選ぶ話も小耳に挟んだ。
気が狂いそうだった。
お前が任務の度に知らない男達に組み敷かれるなんて耐えられない。
忍にあるまじき妄執だ。
だから、里長にお願いした。
長ならきっとお前を追わせるだろう。
そして最後に許してほしい。
ささめ、お前は強い女だ。後を追うことなんか考えるな。
どうか、俺の分まで生きてほしい』

264 :名無しさん@ピンキー:2009/12/09(水) 02:20:29 ID:rHGBK61y
あたしは涙でふやけた頭で擬装工作をした後、カメラに気をつけながら部屋を出た。
虎哲の事だから、カメラに映らないよう細心の注意を払って入っている筈だ。
ホテルを出てから思いきり泣いた。
虎哲……虎哲……人に消えない傷を刻み付けて一人でいなくなるなんて、
あんまりだよ……ひど過ぎるよ、身勝手だよ。
人目を憚る事なく悪態をついていた。
「虎哲の大馬鹿野郎……!」
だけど……あたしは忍だ。
いつまでも悲劇のヒロインぶって陶酔してる訳にはいかない。
だから後少しだけ。
後少しだけ泣いたら……あたしは感傷を振り切るから。
さよなら虎哲、あたしの初恋。





最終更新:2009年12月14日 14:20