例えば、平凡な生き方を歩んでいる人がいるとする。 しかしその人には非凡と言えるほど、色々な出会いがあったはずなのだ。 ただ、その人が気づいていないだけで。 出会いは、全ての人に大なり小なりの影響を与えている。 本人が気づいていないとしても……人は毎日、海千山千の出会いを作っている。 人、物、環境、状況……対象への定義はない。 己の死を受け入れたとしても、出会いはある。 牢屋の中に閉じ篭っていても、出会いはある。 学校の級友に馴染めなくても、出会いはある。 肉親の復讐に立ち上がっても、出会いはある。 調査のために宇宙から来ても、出会いはある。 組織に絶対の忠誠を誓っても、出会いはある。 不器用な父親と仲が悪くても、出会いはある…… そして今、この瞬間にも出会いは生まれようとしている。 主催者と参加者を紡ぐ『放送時間』という名の『出会い』が……。 喉の調子は、相も変わらず『良好』のようだ。 鼻からこぼれる唄声が、上機嫌ぶりを奏でている。 まるで……玄関にある郵便受けから……朝刊を取りに行くように……日常の何気ない習慣のように……。 ―――――――――男は、放送を流す。 * * * あーあー……テス、テス。 えーっと、皆聞こえてるよね? 第二回放送……始めちゃっていいかい? ちゃんと放送が流れていないと困るんだけど……まぁいいか。 今回の放送も前回と同様に話すのでヨロシク。 まずは、日の出から正午までの6時間で死んだ参加者の名前から……発表するね。 死亡したのは―――― イギー 広瀬康一、虹村億泰、岸部露伴 ジョルノ・ジョバーナ、トリッシュ・ウナ、リゾット・ネェロ ……7人か。ちょっとペースが減ったかな。 でもこの調子でいけば……日没までには、生存者は全体の半分になるだろうね。 皆どんどん殺しあって欲しい。 お次は禁止エリア。今回新しく加えられるエリアは、また『3つ』だよ。 よーく聞いててね。該当するエリアは―――― まず13時、つまり午後1時からG-1 次に15時、つまり午後3時からH-7 次に17時、つまり午後5時からE-8 わかったかな? G-1、H-7、E-8の3つ。 ハイ、もう言わないよ。 ちなみに。 首輪は禁止エリアに入ると爆破する仕掛けになってるんだけどさ。 実は、禁止エリアを参加者に教えてくれる機能もあるんだ。 ……といっても勘違いしないでね? あくまで『今、自分がいる場所が数分後に禁止エリアになる』時のみだからね。 警告サイレンみたいなもんかな。 それと。 君たちは私に一泡吹かせようと色々考えているみたいだけどね……! あまり私を怒らせないほうがいいぞ。 あんまり調子に乗られると、私自身が手を下さなければならなくなるんだ。 こちらとしても、君たちへ罰を与えたという「報告」は今回限りにしたい。 『ジョルノ君は僕の元へ辿り着き、果敢に立ち向かった結果、天へ召されました』……なんて「報告」はねッ! 31人の参加者のみんな、ここまでよく残ってくれた。 次の放送は6時間後の夜だよ。 その時に、また私の声が聞けるといいね――― * * * 『出会い』は終わった。次に出会いは予定通りならば、6時間後。 それまで……彼以外の人物には、一体幾つの出会いが生まれるのだろうか。 男は手を後ろにまわしながら、伸びをしている。 ひとしきり体をほぐすと、彼は視線を『あれ』に向けた。 こざっぱりしたディバッグ。持ち主は、いない。 「DIO君の支給品……出番があるとしたら、次の放送かな? まだ使い時じゃあない気がする」 【教会(?-?)/一日目/昼】 【荒木飛呂彦】 [スタンド]:バトル・ロワイヤル? [時間軸]:??? [状態]: 健康、ちょっと暇。 [装備]: ??? [道具]: ??? [思考・状況] 1:みんな私に逆らわないで欲しい。困るから。 2:DIOくんの支給品は次の放送でどうにかしよう。 3:参加者を観察し、ゲームを楽しむ 4:優勝者に『プレゼント』の存在を示唆。