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愛と夢(後編) - (2007/09/27 (木) 01:36:35) のソース

 *  *  * 

「ジョージさん、ジョージさん」 
ジョージの傷を治した仗助が、ジョージを揺り起こす。 
「…ん」 
そして、ジョージは目を覚ました。 
「大丈夫ですか?」 
目を覚ましたジョージに、エルメェスが声を掛ける。 
「あ、ああ。大丈夫だ。ディオは?」 
身を起こしながら、ジョージが開口一番たずねたのは、やはりDIOのこと。 
修羅へと堕ちたDIOを自らの手で救うことができたのかどうか、何よりもまず知りたかった。 
ジョージの質問に、エルメェスは無言で後ろを振り返る。 
ジョージもエルメェスの視線を追った。 
「ジョージさんの決闘、確かに見届けました」 
ブチャラティがジョージに向かって言う。 

視線の先には、DIOの死体が横たわっていた。 
ジョージが、その手で引導を渡したDIOの死体が…。 

 *  *  * 

(!?) 
拳を繰り出そうとした瞬間、DIOは違和感を感じた。 
何故か、自分が左方向へ引っ張られる。 
そして、ザ・ワールドがジョージの体を貫く直前に、ジョージは右方向、DIOから見て左方向へ撃っていた。 
DIOは、銃を撃つ前にDIOが攻撃したために狙いがそれたのだと、最初は思っていた。 
が、その考えが間違っていることに、次の瞬間気付く。 
DIOがこのまま引き寄せられる方向へ向かえば、銃弾の軌道上へ移動することになるのだ。 
(しまった!) 
ジョージの狙いに気付いた時には、銃弾はすでにDIOの首元にまで迫っていた。 
ザ・ワールドで銃弾を防ごうにも、数メートル先でジョージに攻撃をしたままなので、腕を抜いて呼び寄せなくてはならない。 
時を止めようにも、今止まった時を解放したばかりで、もう一度時を止めるには、もう一呼吸程度の時間が必要。 
どちらも、銃弾を防ぐのは間に合わなかった。 
そこから先の出来事を、DIOはスローモーションのように感じた。 
自分は左方向へ引き寄せられる。 
銃弾がDIOの首へ迫る。 
防御のため腕を上げようとする。 
が、防御は間に合わない。 
そして、着弾。 
銃弾は首輪に命中し、DIOの首もろとも、首輪は吹き飛んだ。 
時が動き出してから、まばたき程度の瞬間の出来事である。 

 *  *  * 

最初にDIOに襲われた時、ジョージはDIOの首輪にドル紙幣を巻きつけていた。 
この紙幣を『紙幣A』としよう。 
『紙幣A』はキッスによって2つに分かれている。 
DIOの首輪に巻かれたのは『紙幣A』本体。 
そして、固定されてある『紙幣A』コピーにはキッスのシールが張ってある。 
そのシールを使い、『紙幣A』と、もう一枚の分裂してある紙幣、『紙幣B』本体をくっつける。 
そして『紙幣B』のコピーはジョージの手元にあった。 
つまり、こういうことである。 
ジョージが『紙幣B』のシールを剥がすと、『紙幣B』本体と引き合う。 
そして、『紙幣A』コピーは固定されているので『紙幣B』本体が引っ張られることでシールが剥がれる。 
そして、『紙幣A』のシールが剥がれることで『紙幣A』本体と引かれあい、 
『紙幣A』コピーは固定されているために『紙幣A』本体がコピーへと引っ張られる。 
つまり、ジョージが『紙幣B』のシールを剥がすと、DIOの首輪は『紙幣A』のコピーへと引っ張られるわけだ。 
そして、ジョージが『紙幣A』のコピーへと銃を撃てば、自動的に首輪を爆破できる。 
仗助に助けられたジョージは、DIOに声を掛ける前に、エルメェスに協力してもらってそれだけの下準備をしていた。 

DIOを撃つ時の問題は1つ。 
ザ・ワールドの存在である。 
ザ・ワールドならば銃弾を弾くこと位たやすい。 
また、時を止める能力もある。 
DIOに銃弾を叩き込むためには、ザ・ワールドで銃弾を防がれない、時を止められない、が最低条件だった。 
そんなことが実現可能なのだろうか。普通に考えて無理だ。 
だが、この条件をクリアする為に、ジョージは逆に考えたのだ。 
『ディオが時を止めることは防げない。ならば時を止めさせちゃえばいい』と。 
そして、DIOに先手を打たせるという手段を用いたのだ。 
DIOに時を止めて攻撃させ、カウンターを叩き込むしか方法はなかった。 
しかし、一歩間違えれば反撃する前に殺される。 
DIOがザ・ワールドを使う瞬間を見極める必要があった。 
一瞬遅れても、一瞬早くても失敗する無謀な賭け。 
他の者だったら失敗していただろう。 
しかし、ジョージにはそれが出来た。 
ジョージだから、ジョージがDIOの父親だったからこそできたのだ。 
ジョージはDIOを愛していた。 
ジョナサンと同じく、親の愛を注いでいた。 
だからこそ、DIOのこともよく見てきたのだ。 
ジョナサンと談話した別れ際のDIO、フットボールでタックルを仕掛ける瞬間のDIO、勉強で問題を解くのに集中するDIO。 
さまざまなDIOを見てきたからこそ、ジョージは見切ることができた。 
DIOが攻撃を仕掛ける瞬間を。 


親子対決は、ジョージの勝利とともに幕を下ろした。

 *  *  *

DIOの死体を、仗助が作ったふたのない棺におさめる。
DIOは、復活できなかった。
首輪の爆破により殺害されたからである。
『首輪が爆発したら、再生出来ない』
の書き込みを消す前に首輪により爆殺されたDIOは、蘇生することができない。
例えジョージや仗助が血を注いでも、傷を治すことはできないのだ。
もっとも、ジョージ自身、DIOを生き返らせようなんて考えていなかった。
「灰に還してやろう」
そう皆に言ったのだ。
「このままでは、ディオは永遠に死の苦しみを味わうことになる。
修羅に落ちたとはいえ、ディオにそんな苦痛を与えるのは忍びない。
だから、日の良く当たる所へ置き、日の出とともにディオを苦しみから解放してやりたい」
「わかりました」
仗助たちはジョージの願いを聞き入れ、埋葬を始めた。
そして今に至る。

黙祷を捧げるジョージ。
その閉じた目から、涙が一筋こぼれ落ちた。 
 

【駅前(E-3)/1日目/夜~夜中(20時)】 

【荒木討伐隊】 
[隊基本方針] 
1)C-4へ向かい、ポルナレフ達との合流&ワムウ打倒 
2)シーザー、リサリサ、シュトロハイム、承太郎と合流 
3)アヴドゥル、ディアボロとの接触。状況により、説得或いは打倒 
4)合流後、打倒荒木 

[隊共有情報] 
・荒木のスタンド(荒木がウェザーに話した情報) 
・ゲームに至る経緯(荒木がウェザーに話した情報) 
・首輪(ブチャラティ考察、荒木がウェザーに話した情報) 
・各人物の連れて来られた時代 

【ジョージ・ジョースター1世】 
[能力]:逆に考える 
[時間軸]:ジョナサン少年編終了時 
[状態]:無傷。健康 
[装備]:レミントン2連装デリンジャー(予備弾あり)、ホル・ホースの帽子(ミスマッチは承知の上) 
[道具]:狙撃銃(予備弾あり)ナランチャの舌 
[思考・状況]: 
1)ディオ。安らかに眠ってくれ 
2)荒木打倒に向け、隊方針に従って行動する 
3)荒木打倒方法を模索 

【ブローノ・ブチャラティ】 
[スタンド]:『スティッキー・フィンガーズ』 
[時間軸]:サンジョルジョの教会のエレベーターに乗り込んだ直後 
[状態]:無傷。健康 
[装備]:無し 
[道具]:支給品一式、首輪×2、ミキタカの舌 
[思考・状況]: 
1)荒木打倒に向け、隊方針に従って行動する 
2)荒木打倒方法を模索 

【東方仗助】 
[スタンド]:『クレイジー・ダイアモンド』 
[時間軸]:四部終了時 
[状態]:右大腿部に刺傷(応急手当済み) 
[装備]:無し 
[道具]:支給品一式、エルメェスの舌 
[思考・状況]: 
1)荒木打倒に向け、隊方針に従って行動する 
2)でも、あんまりワムウには会いたくない 
3)億泰達の死を悲しむのは、全てが終わってからだ 

【ヌ・ミキタカゾ・ンシ】 
[スタンド?]:『アース・ウィンド・アンド・ファイアー』(『ヘブンズ・ドアー』) 
[時間軸]:鋼田一戦後 
[状態]:無傷、健康 
[装備]:無し 
[道具]:支給品一式(地図無し)、ポケットティッシュ、ブチャラティの舌 
[思考・状況]: 
1)荒木打倒に向け、隊方針に従って行動する 
2)出会った仲間の書き込み解除をする 

【ナランチャ・ギルガ】 
[スタンド]:『エアロスミス』 
[時間軸]:ヴェネチア入り後 
[状態]:無傷、健康 
[装備]:無し 
[道具]:支給品一式、ハート型の飾り(@DIO) 
[思考・状況]: 
1)荒木打倒に向け、隊方針に従って行動する 

【エルメェス・コステロ】 
[スタンド]:『キッス』 
[時間軸]:スポーツマックスとの決着後、体調が回復した頃(脱獄前) 
[状態]:無傷、健康 
[装備]:ライフル 
[道具]:ドル紙幣等、大量の石ころ、ウェザーの舌、仗助の舌 
[思考・状況]: 
1)荒木打倒に向け、隊方針に従って行動する 



【DIO   死亡】 
※DIOの死体は、駅屋上に安置されています。