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岸辺露伴の奇妙な取材 - (2007/06/10 (日) 14:41:12) のソース

Case. A ripple errand and a A machinery soldier ~波紋使いとナチス軍人~ 

ここは閑静な住宅街―――岸辺露伴は赤信号にもかかわらず横断歩道を渡っていた。 
最もそれは十分に安全を確認した上での行動だったが。 
彼は道路を走っている車どころか人間の姿さえここ数十分で一度も見かけていない。 
閑静にも程がある。 
「……妙だな。真夜中とはいえ車の一台も走っていないとは。あの荒木とかいう男が町から人を消したのか?」 
だとしたら、恐ろしい力―――――スタンド?――――――だ。 
「この岸辺露伴を殺し合いなどという無粋なゲームに参加させるとは……いいネタになりそうだが……それとこれとは別だ」 
許せん、と彼は荒木に対する憤りを覚える。 
「しかしあの男何故か他人の気がしないな……」 
顔に見覚えはなく、名前も聞いたことはないがなんとなく……本能で知っているような……? 
「それにしてもこの辺りは確か……ぼくの家の近くだな。いつまでも外をうろついてるとまずい……よし、家を根城にするか」 
自分の家に向かうことにした露伴は方向を変えて真っ直ぐ歩き始めた。 
交差点が見えたところで―――――。 


「このように我がドイツ軍人としての誇りを踏みにじられるとはァァァァァァ!!!屈辱!屈辱ゥ!!!」 
「………なんだありゃ?」 
交差点の真ん中で右目だけを覆う妙な眼鏡を掛けた男が絶叫している。 
「しかしッ!!ナチスの科学は世界一ィィィィィィィ!!! 『柱の男』共を更にパワーアップした我が体で討ち倒し…… 
 ついでにJOJO達と合流し共に荒木とかいう無礼者を斃してくれるゥくれェェェるゥゥゥゥわァァァァ!!!」 
右手を天に掲げた体勢で絶叫というかもう発狂している男を見ながら露伴は電柱の裏に隠れていた。 
「殺し合いに乗る気はないように見えるが……罠かも知れんな。どちらにしてもあまり関わりたくないタイプの人間だが……」 
罠だとすればどこに参加者がいるかもわからないのに大声を上げるという行動は相手が複数でも勝てるという自信を表している。 
そうでなければ只の馬鹿か、リアルに狂ってしまったかだ。 
「そういえば今あいつナチスと言ったな……国家社会主義ドイツ労働者党は五十年以上前に崩壊している……やはり狂人か」 
露伴はそう決定づけると自分の家に向かおうとした……しかし。 
「あいつは交差点の真ん中にいる……これじゃ通れないぞ……どうする…?」 
と、男が妙な動きを始めた。 
「とりあえず体の機能のチェックをしておかなくてはな。……まずは関節動作」 
人間の常識を超えた方向に男の左腕が曲がり、頭の裏から右腕の指先に左腕の指先が触れる。 
「ッ!? なんだあれは!?」 
露伴も思わず目を見張る。 
「異常なしッ! 次に重機関砲のテストを始めるッ!」 
「重……?」 
耳を疑う暇もなく男の服が肌蹴、巨大な銃身が現れる。 
「発射!」 
銃撃……いや砲撃音が響き、たまたま標的に選ばれたバス停で停止していたバスが撃ち抜かれ、爆発炎上する。 
「異常なしィ!」 
「あれはスタンドか?康一くんの記憶で見た億泰の兄の『バッド・カンパニー』はたしか軍隊の群体型スタンドだったな。 
 しかしクレイジーだな……今ここに凶悪な参加者がくれば下手すりゃぼくまで巻き込まれてしまうじゃないか。全く……」 
仕方ない、と露伴が電柱から姿を現さずに声を上げる。 
「おいッ! そこの男!」 
「むっ!!! どこだ!?」 
キョロキョロと見回す男。 
「こちらに敵対する意思はない! お前……『スタンド使い』か?」 
「ハアァァ~~~? 『イカンぞ歯科医』ィィ~~? 何を言ってるのか良く聞こえんぞォォ」 
耳に手を当てて聞き返してくる男、まだキョロキョロしている。 
(かなり離れているからな、無理もないか……) 
露伴はさらに声を張り上げ、半身を現して手を振る。 
「とにかく話がしたいッ! ぼくはここだッ!」 
三度目の正直でようやく男は露伴を見つけた。 
(フン、どうやら一人か。居場所を教えたってことは本当に敵対の意思はないようだが……) 
露伴の声は本当は最初から男にはっきり聞こえていた。男は相手の様子を探るためにトボけていたのだ。 
(まあこのシュトロハイムの肉体は我がゲルマン民族の最高知能の結晶!どっちにせよ困らんがなぁ) 
迷いなく歩みを進める男。露伴は何故か再び電柱の裏に隠れている。 
(恥ずかしがっているのかァ~~~?) 
電柱は目前。 
「さて、どんな顔かな~~?」 
電柱に到達し、覗き込んだ男の眼には―――何も映っていなかった。 
「馬鹿なッ……!? 確かに今ここに……移動していたはずがない! 私は眼を離さなかっ……」 
「『ヘブンズ・ドアー』!!」 
先程の男の声が聞こえ、男の意識が遠のいていく……。 



「名前はルドル・フォン・シュトロハイム……1938年爆薬によって死に掛けサイボーグに……サイボーグ?まあいい。 
 サイボーグになり、ドイツ軍大佐に昇進。なお国家社会主義ドイツ労働者党に所属……1939年更に強化される…… 
 これから後は載っていない……それにジョセフ・ジョースター……どういうことだこれは?」 
シュトロハイムの本のページのようになった顔を覗き込みながら露伴は疑問を感じた。 
「サイボーグだというならこの若さも頷けるが今は1999年……丸々60年分の記憶がないというのはおかしい」 
露伴はページを隈なく捲ってその疑問を解消する記述を探したが、見つからない。 
「……狂人ではなかったようだな。しかしなにかおかしいヤツなのは確かだ。念のために『岸辺露伴を攻撃できない』と書いておくか」 
さらに『今あったことを全て忘れる』と書き込む。 
「放っておいてこの場を去ってもいいんだが……この男に少し興味が湧いてきたぞ」 
露伴は能力を解除する。 
シュトロハイムは起き上がって露伴を見つけた。 
「ぼくの名前は岸辺露伴。漫画家をやっている。よろしく」 
「フン、若造ではないか……ジャップか? まあいい……私はドイツ将校ルドル・フォン・シュトロハイムだ。よろしくな」 
挨拶を交わすと、シュトロハイムの方から話題が切り出された。 
「で、何の用だ? 一緒に行動したいというなら……」 
「いや、取材がしたいんだ。ドイツ将校と言ったが……どんな戦争に参加したんだい?」 
「フハハ、こやつめ! そんなに私の武勇伝を聞きたいかァァーーーッ! では存分に…」 
「おっと、ここではまずい。近くにぼくの家があるからそこで……いや、そこまで歩きながら話そう」 
露伴はチラリと炎上しているバスを見遣ると、先導して歩き出した。 
「……というわけで私はこれからスイスに向かい、吸血鬼めらを滅ぼす予定だったのだッ!」 
「なるほど……ありがとう」 
取材を終え、露伴は確信する。 
(やはりこの男は1939年時点からこの場所に連れてこられているようだ……だとすれば、あの荒木のスタンドは……) 
家まではあと少し。 
吸血鬼、波紋使い、柱の男、エイジャの赤石……興味と好奇心は絶えないが、歩き続けで少し疲れた。 
(とりあえず家で休むか) 
露伴はそう思い、前を向いた。 

そこに男が立っていた。 
――――否、厳密には"立って"はいない。浮いているのだ。 
両腕と口が付いている顔以外の体を口が飲み込んでいるビジョン。 
醜悪な悪魔の自らを喰らった巨大な口の中からその男の顔が覗いている。 

「今貴様等……吸血鬼のことを話していたな?」 
男はいきなり高圧的に話しかけてくる。 
「なッ……何だその姿はァーーーッ!?」 
シュトロハイムが後ずさってオーバーに驚く。 
「質問しているのはわたしだ」 
表情を変えずに言う男。露伴が答える。 
「ああ……それがどうしたんだい?」 
「私の名はヴァニラ・アイス。つい先程知ったのだがわたしも吸血鬼らしいのでな。我が『クリーム』が見えるということは…… 
 貴様等もスタンド使いか。"滅ぼす"などと聞けば貴様等を黙って生かしておくわけにはいかん。何故なら我が主も……」 
「吸血鬼かァァァァーーーーーッッ!!!!」 
男が言い終わらないうちに、シュトロハイムの胸部に備えられた兵器が発動する。 
「紫外線照射装置ィィィィィィィィィィ!!!!」 
光が奔り、一直線に男に向かって飛んでいく。 
(これが吸血鬼に対抗する為の武器か……ん?) 
『ヘブンズ・ドアー』の射程に男が入るのを待っていた露伴は興味深そうにシュトロハイムの攻撃を見ていたが、違和感に気付く。 
「なあ大佐。興味本位で聞くんだが……その紫外線照射装置ってのは一瞬で吸血鬼を消せるのかい?」 
「何ィ?一匹程度ならそう時間はかからんが、流石に一瞬では……なんだ? 紫外線が……逆に消えているだとォー!?」 
徐々に徐々に、光が飲み込まれている。 
何も無いはずの空間にだ。 

「それどころかッ! あの吸血鬼までも消えているだと!? 一体どうなって……」 

ガオンッ!  

岸辺露伴の家は仕事場でもある。 
よってそこにはもちろん漫画を書くための部屋があり、そこには漫画を書くための道具が沢山ある。 
画材や資料、原稿用紙など、岸辺露伴の性格もあってかきちんと整頓されて置かれている。 
その部屋に土足で上がりこみ、無頓着にそれらの仕事道具を引っ張り出して読んでいる男がいた。 
「これはなんだろう……野草の図鑑かな? 素晴らしい……こんなに細かく生息地や生態が書かれているなんて!」 
彼はジョナサン・ジョースター。貴族出身の考古学者の卵で、波紋を修めて吸血鬼との戦いに翻弄された数奇な人生の持ち主である。 
「それにしても気になるのはこの図鑑の出版年数! 1998年というのはどういうことだろう?」 
疑問を抱きつつも大きな椅子に腰掛け、図鑑を読むジョナサン。 
だが彼の意識は、やはりこの殺し合いのゲームに対する不安に傾いていた。 
エリナとの新婚旅行でアメリカに向かっていた船上で首だけになって尚生きていたディオ。 
その直後にここに送られ……垣間見たディオは新たな肉体を手に入れていた。 
そして最大の懸念材料はこのゲームに参加している顔見知り。 
スピードワゴン……彼は自分の友達だ。死なせるわけにはいかない。 
ディオ(DIO?)……決着を付けなくてはならない。 
そしてウィル・A・ツェペリ、ダイアー、ジョージ・ジョースター1世、黒騎士ブラフォード、タルカス。 

彼らは死んだはずだ……ディオが屍生人として蘇らせたのか?だとすれば……。 
「許さないぞ、ディオ!」 
師匠と父……最も自分の心に成長を与えてくれた二人を死してなお現世に呼び戻したディオにジョナサンは怒りを感じていた。 
そして、このゲームに参加している人間を彼らが殺さないうちに再び安らかな眠りにつかせなくてはならないという責任を。 
ジョースターの名を持っている人間には興味を示したが、その名前には見覚えがない。親戚ではなかろう。 
ツェペリの名を持つ人間もいたが、こちらは検証しようがない。 

「やはりここでボサッとしている暇はないな……そろそろ出発しようか」 
屍生人や吸血鬼は昼間は活発には動かない。誰かを襲うとすれば今時分、深夜だ。 
こうしている間にも愛する父親がゾンビと化して人を殺しているのではないかと思うと気が気ではない。 

立ち上がって部屋を出ようとするジョナサン。 
「……なにやら下が騒がしいな」 
窓から外を見下ろすと、一体どういうことか軍服を着た男がスゴイ勢いでこの家に向かって飛んできている。 
よく見ると男がもう一人、軍服を着た男にしがみ付いている。 
「あっ! 止まった……この家に入ってくるぞ」 
ジョナサンは支給品のアイアンボールボーガンを握り、ディバックを背負って下の階へと降りていった。 


「うむぅぅ……今のは一体? いきなり私の体が加速して逃げることが出来たが……」 
「『ヘブンズ・ドアー』!!」 
眼を回していたシュトロハイムを本に変えると、露伴は『岸辺露伴のスタンドに関することを忘れる』と書き、すぐに能力を解除する。 
「ここは? ……露伴、お前の家か?」 
「ああ、いい家だろ。さっきの奴は恐らく追ってきている筈だ……作戦を練らないとな」 
悪びれる様子もなく言う露伴。 
シュトロハイムは自分の右腕が無くなっていることに気付き、口をあんぐりとあける。 
「なっ……なんじゃこりゃァァァ!? 何故私の……ゲルマン民族の誇りである腕が……」 
「吸血鬼の攻撃だ……ぼくが咄嗟に行動していなかったら体ごと消えていたぞ。恐ろしいスタンドだ。 
 サイボーグだから血が出なくてよかったな」 
露伴は呟くと、階段を降りてくる男に気付いた。 
「誰だお前ッ!? 人の家で何をしている!?」 
「僕はジョナサン・ジョースター! 勝手に家に上がった非礼は詫びよう! だが聞かせてくれ!  
 今君が言った『吸血鬼』とやらの特徴を!」 
ジョナサンは真っ直ぐな目で露伴を見つめて答える。 
「ジョースター……?」 
「JOJOかッ!?」 
二人がそれぞれ違う人間を思い浮かべる。だがジョナサンはそのどちらでもなかった。 
「頼む、答えてくれ! その男は僕の宿敵かもしれないんだ!」 

ガオンッ!  

ジョナサンの言葉と同時に、玄関のドアに穴が開く。 
「来たか!」 
露伴はシュトロハイムを立たせるとジョナサンの側に駆け寄り、降りてきた階段を登らせる。 
「話は後だ! その吸血鬼がきている……お前の宿敵はスタンド使いか?」 
ジョナサンが何を言っているのか分からないというような顔をすると、露伴は舌打ちして自分の仕事場へと誘導する。 
「なら今来ている敵はお前の宿敵じゃない……うおっ!」 
すぐ後ろの床に穴が開き、天井にも穴が開いた。 
「どうやら完全にこちらから見えなくなっているときは外の様子もわからないようだな……」 
三人は仕事場に辿り着くと、ドアを閉めて部屋の真ん中に集合した。 
「どうする、露伴……紫外線照射装置も効かないあの得体の知れん吸血鬼……ハッキリ言って全く対抗策が思いつかんッ!」 
シュトロハイムが心配そうな顔で言う。 
「策はある……だがそれが実行できるかどうかは別だがね」 

ガオンッ! 

ドアに穴が開き、『クリーム』の口が姿を現した。 
その中から先程の男が全身を現す。 
「ここにいたか。DIO様に危害を加える恐れのあるものは全て殺す……この私に吸血鬼の力を与えてくださったあの方の為に……」 
「ディオ……!? まさかお前は屍生人か?」 
ジョナサンが男の言葉に反応する。 
「DIO様を知っているのか? おまえは誰だ?」 
「ジョナサン・ジョースター」 

男が急に沈黙する。 
露伴は怪訝な顔をしながらもバックから何かを取り出す。その行動には誰も気付いていない。 
「ジョナサン……ジョースターだと? 馬鹿な……だが確かにその体には見覚えが……」 
ブツブツと呟いている男。やがて顔を上げ、この上ない笑顔を見せながら跳躍する。 
「どういうことかは知らんが……DIO様に最高の土産が出来た! 貴様の血ならばきっと悦んでくださるだろうッ!」 
空中で『クリーム』が男を貪り、口の中に再び入れる。 
(ジョナサンを消すわけにはいかぬから、攻撃されるリスクを背負っても顔を出してギリギリまで外の様子を見ていなければならない…… 
 全てはDIO様のため。まずこの変な髪形の男と機械の男を消し、その後ジョナサンを死なない程度に痛めつけてDIO様を探す!) 

男を口に入れた『クリーム』は最適な軌道を探すため三人の周りを回り始める。 
直ぐに軌道を発見し、一旦止まって真っ直ぐに突っ込んでくる。 
「クッ!」 
シュトロハイムが重機関砲を構え、発射しようとする。だが。 
「大佐、待て。ぼくに考えがある」 
露伴に止められる。 
「考え……だと? だがやつはそこまで……」 
目前に迫った『クリーム』は、もうジョナサンを巻き込むことはないと確信し、完全に消えた。 
これでもう攻撃は通らない。 
「う、うおおおおおッ!?」 
シュトロハイムは眼には見えない殺意を感じ――――。 
『クリーム』が露伴の仕事場に姿を現した。 
スタンドの像は出したまま、外の空間に体を出す男の名はヴァニラ・アイス。 
「さて、ジョナサンを痛めつけなくてはな……スタンド使いではないらしいから簡単……?」 
振り向くと、ジョナサンがいない。無論機械の男も、妙な髪形の男もいない。 
「何?確かにジョナサンを巻き込むはずのない攻撃だったのだが……」 
焦るヴァニラの頭に雫のようなものが垂れる。 
「上……?」 

そこには。 

『天井に張り付いた亀の甲羅から出ている巨大なボーガン』があった。 

「なっ……これは亀の糞……!?」 
動揺する暇もなく発射される。といっても普通のボーガンのように矢が発射されるのではない。鉄球だ。 
一瞬でヴァニラ・アイスの顔面に到達。 
鼻から下を抉り取り、顎を粉々に砕いて胸にめり込んだ。 
「ごえっ」 
昏倒するヴァニラ・アイス。 
亀が天井から落ちてきて、その甲羅からジョナサンと露伴がのそりと姿を現す。 
「知能が低い動物はより簡単に操れるッ!」 
「ディオのことを教えてもらう……といいたいところだがそれでは喋れないな」 
波紋を練りながらヴァニラ・アイスに近づくジョナサン。 
「§○△ЯБ~~~!!」 
声にならない声を上げながら『クリーム』を発動させるヴァニラ・アイス。 
だが、本体の口がないため『クリーム』の口も無くなっている。 
『クリーム』の腕がジョナサンに迫る―――が、その腕が止まる。本体も止まっている。 
「『ヘブンズ・ドアー』。名前はヴァニラ・アイスか。ディオって奴の居場所は知らないようだ」 
露伴がスタンドを使っていた。知りたい情報を見つけるとすぐに解除する。 
その間にもジョナサンはヴァニラ・アイスに迫っていた。 
ヴァニラ・アイスは何が起こったのかもわからず、自分の頭に迫る鉄拳を見るともなく見つめていた。 

「山吹き色の波紋疾走ーーーッ!!」 

完全に波紋が決まり、ヴァニラ・アイスの顔が、体が融けていく。 


決着はついた。 
―――――岸辺露伴の支給アイテムは『ココ・ジャンボ』。 
複数の人間を収容できる空間を作る『ミスター・プレジデント』のスタンド能力を持つ亀だ。 
最初にシュトロハイムと遭遇した時もこれを活用した。 
先程は『ココ・ジャンボ』に入って『クリーム』の攻撃をかわしたあと、ヴァニラ・アイスが出てくる前に『ヘブンズ・ドアー』で 
天井に放り投げ、亀に『天井に張り付く』という命令を書いたのだ。 
その『ココ・ジャンボ』から出た後、仕事場で露伴はジョナサンに取材を行っていた。 
ディオについて、波紋について、吸血鬼について……。 


「なるほど、ありがとう……参考になったよ」 
「そうかい?僕はこれからディオや屍生人達、それにスピードワゴンを探しにいかないといけないんだ。君はどうする?」 
露伴は肩をすくめる。 
「遠慮しとくよ……今から漫画を書きたいしね」 
(まあ本音はコイツと一緒に行っても吸血鬼にインタビューするのは無理そうだから、だがね……) 
露伴はよりリアルに漫画を描くため、吸血鬼に対抗している波紋使いとその敵である吸血鬼、両方から取材がしたいと思っていた。 
「大佐はどうする?」 
シュトロハイムはじっとしているより吸血鬼と戦いに行きたいと言い、ジョナサンについていくことにした。 
「では、昼になったら一度ここに戻るよ……君は本当に大丈夫かい?」 
ジョナサンが心配そうに尋ねるが、露伴はうっとおしそうに答えた。 
「別に戻ってこなくてもいい……ぼくは大丈夫さ」 

こうして三人は二組に分かれた。 
ジョナサンとシュトロハイムは南に向かうことになり、露伴は自宅で漫画を描く。 
果たして、彼らは再開することが出来るのだろうか。 

「……おかしいな、ここに植物図鑑を置いてあったはずなんだが」 


To be contenued・・・ 

【機械化ジョースターズ】 
【市街地(D-04)・1日目 黎明】 

【ジョナサン・ジョースター】 
[能力]:波紋 
[時間軸]:エリナとのハネムーンでアメリカに向かう途中の船上でディオに再開した直後。 
[状態]:肉体は異常なし。父親と師匠が屍生人化したと思い、かなりショック 
[装備]:アイアンボールボーガン(小)(弾数一発のみ。再利用推奨) 
[道具]: 支給品一式、植物図鑑 
[思考・状況] 
 1) DIOの殺害 
 2) ツェペリ、ジョージを人間を殺めないうちに安らかに眠らせたい 
 3) スピードワゴンを探す 
 4) 屍生人の駆除 

【シュトロハイム】 
[能力]:サイボーグ 
[時間軸]:スイスに向かう直前。 
[状態]:右腕喪失。だが痛みはない。 
[装備]:ゲルマン民族の誇りである自らの肉体 
[道具]:支給品一式 (アイテム不明) 
[思考・状況] 
 1) ナチスの科学は世界一ィィィィィィィ!!! 
 2) ジョセフ・ジョースター、シーザー、リサリサと合流 
 3) カーズに雪辱を晴らしたい 

【岸辺露伴宅-仕事場(D-04)・1日目 黎明】 

【岸辺露伴】 
[スタンド]:『ヘブンズ・ドアー』 
[時間軸]:四部終了後。 
[状態]:割と疲れている。 『シュトロハイム』の全記憶を閲覧 
[装備]: ペン 
[道具]: 支給品一式、ココ・ジャンボ 
[思考・状況] 
 1) 漫画を描く 
 2) ネタを集める(特に吸血鬼に取材をしたい) 
 3) 生き残る 
 4) 康一、承太郎、ジョセフと合流 
   (シュトロハイムの記憶でジョセフの名前を見た事から、昔の時点から呼び出された可能性もあると思っている) 
 5) クソったれ仗助にあほの億康、プッツン由花子にはできれば関わりたくない 
 6) 吉良吉影が少し気になる 

※露伴は自分のスタンドの能力により荒木が『時空を超える力』を持つことに薄々感づいています。 


【ヴァニラ・アイス 死亡 残り47人】 
※ヴァニラ・アイスはDIOに影響され支給品一式(アイテム不明)を街中(D-04の周囲一マスのどこか)に捨てています。 
 どこにあるかは後の書き手さんに任せます。 

*投下順で読む
[[前へ>賢者の真実、愚者の嘘]] [[戻る>1日目 第1回放送まで]] [[次へ>『誰が為に砂は舞う』]]

*時系列順で読む
[[前へ>『誰が為に砂は舞う』]] [[戻る>1日目 第1回放送まで(時系列順)]] [[次へ>ドッピオ、兄貴と戦う]]

*キャラを追って読む
|ジョナサン・ジョースター|41:[[《運命》の使徒]]|
|シュトロハイム|41:[[《運命》の使徒]]|
|岸辺露伴|31:[[岸辺露伴の奇妙な冒険]]|